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明細書 :核酸鎖の四重螺旋構造の形成を可能にするデオキシヌクレオシド誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-210719 (P2016-210719A)
公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
発明の名称または考案の名称 核酸鎖の四重螺旋構造の形成を可能にするデオキシヌクレオシド誘導体
国際特許分類 C07H  19/073       (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C07H  23/00        (2006.01)
C07H  21/04        (2006.01)
FI C07H 19/073
C12N 15/00 ZNAA
C07H 23/00 CSP
C07H 21/04
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2015-095059 (P2015-095059)
出願日 平成27年5月7日(2015.5.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼刊行物名:第41回国際核酸化学シンポジウム Program & Abstract第228頁及び第229頁 発行日: 平成26年11月5日 ▲2▼集会名:第41回国際核酸化学シンポジウム 開催場所:北九州国際会議場(福岡県北九州市小倉北区浅野三丁目8-1) 開催日:平成26年11月5日 ▲3▼刊行物名:2014年度 第14回多元物質科学研究所研究発表会講演要旨集 発行者名:東北大学多元物質科学研究所 発光日:平成26年12月5日 ▲4▼集会名:2014年度 第14回多元物質科学研究所研究発表会 開催場所:東北大学片平さくらホール(宮城県仙台市青葉区片平2-1-1) 開催日:平成26年12月5日 ▲5▼刊行物名:物質・デバイス領域共同研究拠点研究成果報告書(平成26年度) 発行者名:物質・デバイス領域共同研究拠点 拠点本部 発行日:平成27年3月
発明者または考案者 【氏名】杉本 直己
【氏名】建石 寿枝
【氏名】金原 数
【氏名】村岡 貴博
出願人 【識別番号】397022911
【氏名又は名称】学校法人甲南学園
個別代理人の代理人 【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100156845、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 威一郎
【識別番号】100174160、【弁理士】、【氏名又は名称】水谷 馨也
【識別番号】100124039、【弁理士】、【氏名又は名称】立花 顕治
【識別番号】100112896、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 宏記
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4C057
Fターム 4B024AA01
4B024CA01
4B024CA11
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL16
4C057LL19
4C057MM04
4C057MM05
4C057NN10
要約 【課題】本発明は、重螺旋構造に対しては安定化させずに、四重螺旋構造を選択的に安定化させる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】チミジンのピリジン環の5位の炭素に結合しているメチル基を、アルキレンオキサイドを含む基に置換したデオキシヌクレオシドは、二重螺旋構造を形成させても安定化せずに、四重螺旋構造を形成させると安定化できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化1】
JP2016210719A_000028t.gif
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。
2は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。
AOはアルキレンオキサイドを示す。
mは1~8の整数を示す。
nは1~10の整数を示す。
1は、ピリジン環の5位の炭素とL2とを連結するリンカー基を示す。
2は、nが1の場合には単結合、nが2~10の場合にはL1に対して1価の結合と基-(AO)n-R2に対してn価の結合を持つ分岐リンカー基を示す。]
【請求項2】
一般式(1)中、AOがエチレンオキサイドである、請求項1に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【請求項3】
一般式(1)中、nが1である、請求項1又は2に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【請求項4】
一般式(1)中、nが2~10であり、
2が、下記一般式(2)に示すリンカー基である請求項1又は2に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化2】
JP2016210719A_000029t.gif
[一般式(2)中、L21はL1と結合するリンカー基であり、L22及びL23は、それぞれp個及びq個の基-(AO)m-R2と結合するリンカー基である。
p及びqは0~10の整数であり、且つp+q=nの関係を満たす。]
【請求項5】
一般式(1)中、nが2であり、
2が、下記一般式(21)に示すリンカー基である請求項1、2又は4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化3】
JP2016210719A_000030t.gif

【請求項6】
請求項1~5に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドが他のデオキシヌクレオシドとリン酸ジエステル結合によって連結しているポリヌクレオチド。
【請求項7】
下記塩基配列(i)を含む、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【化4】
JP2016210719A_000031t.gif
[塩基配列(i)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、A3、及びA4は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(i)の5’末端側又は3’末端側に請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【請求項8】
下記塩基配列(ii)~(iv)のいずれかを含み、GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列を含む標的核酸鎖と四重螺旋構造を形成する、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【化5】
JP2016210719A_000032t.gif
[塩基配列(ii)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、及びB2は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、及びB2のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(ii)の5’末端側又は3’末端側に請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【化6】
JP2016210719A_000033t.gif
[塩基配列(iii)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(iii)の5’末端側又は3’末端側に請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【化7】
JP2016210719A_000034t.gif
[塩基配列(iv)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(iv)の5’末端側又は3’末端側に請求項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【請求項9】
前記配列(ii)~(iv)の5’末端側又は3’末端側に、標的核酸鎖の一部の塩基配列に対する相補的な塩基配列が付加されている、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記相補的な塩基配列が、
前記標的核酸鎖中の前記GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列の5’末端から5’末端側に数えて1~55番目までの塩基の領域内の塩基配列、或いは
前記標的核酸鎖中の前記GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列の3’末端から3’末端側に数えて1~55番目までの塩基の領域内の塩基配列
に対して相補的な塩基配列である、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記標的核酸鎖がDNA鎖又はRNA鎖である、請求項8~10のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
GG又はGGGからなる塩基配列を含む標的核酸鎖と、請求項8~11のいずれかに記載のポリヌクレオチドとを共存させる工程を含む、核酸鎖の四重螺旋構造の形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸鎖の四重螺旋構造を安定に形成できるデオキシヌクレオシド誘導体に関する。更に、本発明は、当該デオキシヌクレオシド誘導体を含むポリヌクレオチド、及び当該ポリヌクレオチドを利用して標的核酸と四重螺旋構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RNAやDNA等の核酸鎖において、グアニンに富む塩基配列部分がグアニン四量体(G-quartet)を形成して四重螺旋構造を形成することが知られている。四重螺旋構造を形成できる塩基配列は、DNAでは30万種類以上、RNAでは3千種類以上存在すると考えられており(非特許文献1参照)、特に、ガン関連遺伝子(例えば、C-MYC、NRAS、BCL2等)、細胞分化関連遺伝子(例えば、HCK等)、血管新生関連遺伝子(例えば、VEGF等)、翻訳因子(例えば、FOS等)のmRNAには、四重螺旋構造を形成できる配列が局在化していることも知られている。
【0003】
核酸鎖の四重螺旋構造は、転写、逆転写、複製、翻訳、テロメア伸長反応等を抑制し、様々な遺伝子の発現や機能を制御することが知られている。そのため、ガン関連遺伝子等の疾患遺伝子において四重螺旋構造を安定に形成すると、当該遺伝子の発現を抑制できるため、当該遺伝子における四重螺旋構造の形成及び安定化は、疾患の予防及び治療にも有効になると考えられている。更に、HIVウイルス等の病原ウイルスの核酸鎖に四重螺旋構造を安定に形成すると、当該病原ウイルスの逆転写や複製を抑制し、当該病原ウイルスの感染予防にも有効であると考えられている。
【0004】
従来、核酸鎖の四重螺旋構造を安定化させる手法として、四重螺旋構造に結合する低分子化合物を使用する方法が知られている(非特許文献2)。しかしながら、非特許文献2に開示されている低分子化合物では、四重螺旋構造のみならず、二重螺旋構造にも結合するという欠点がある。細胞内での多くの核酸は二重螺旋構造を形成するため、四重螺旋構に対して選択的に安定化できなければ、正常な生体機能に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0005】
また、四重螺旋構造をとり得る塩基配列が種々報告されているが、非特許文献2に開示されている低分子化合物では、塩基配列の選択性が無いため、配列特異的に四重螺旋構造を安定化させることができないという欠点もある。
【0006】
このように、従来技術では、核酸鎖の四重螺旋構造を安定化させる技術については知られているものの、二重螺旋構造に対しては安定化させずに、しかも配列特異的に四重螺旋構造を安定化させる技術は開発されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Nucleic acids Res., 2005; 24(9):2908
【非特許文献2】Curr. Opin. Struct. Biol., 2009, 19: 239
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、二重螺旋構造に対しては安定化させずに、四重螺旋構造を選択的に安定化させる技術を提供することである。更に、本発明の他の目的は、標的核酸鎖に対して配列特異的に四重螺旋構造を安定化させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、チミジンのピリジン環の5位の炭素に結合しているメチル基を、アルキレンオキサイドを含む基に置換したデオキシヌクレオシドは、二重螺旋構造を形成させても安定化せずに、四重螺旋構造を形成させると安定化できることを見出した。更に、当該ヌクレオシドを含むポリヌクレオチドにおいて、標的核酸鎖に対してハイブリダイズできる塩基配列を付加することによって、当該標的核酸鎖に対して特異的に四重螺旋構造を形成させ得ることをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化1】
JP2016210719A_000002t.gif
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。
2は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。
AOはアルキレンオキサイドを示す。
mは1~8の整数を示す。
nは1~10の整数を示す。
1は、ピリジン環の5位の炭素とL2とを連結するリンカー基を示す。
2は、nが1の場合には単結合、nが2~10の場合にはL1に対して1価の結合と基-(AO)n-R2に対してn価の結合を持つ分岐リンカー基を示す。]
項2. 一般式(1)中、AOがエチレンオキサイドである、項1に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
項3. 一般式(1)中、nが1である、項1又は2に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
項4. 一般式(1)中、nが2~10であり、
2が、下記一般式(2)に示すリンカー基である項1又は2に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化2】
JP2016210719A_000003t.gif
[一般式(2)中、L21はL1と結合するリンカー基であり、L22及びL23は、それぞれp個及びq個の基-(AO)m-R2と結合するリンカー基である。
p及びqは0~10の整数であり、且つp+q=nの関係を満たす。]
項5. 一般式(1)中、nが2であり、
2が、下記一般式(21)に示すリンカー基である項1、2又は4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド。
【化3】
JP2016210719A_000004t.gif
項6. 項1~5に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドが他のデオキシヌクレオシドとリン酸ジエステル結合によって連結しているポリヌクレオチド。
項7. 下記塩基配列(i)を含む、項6に記載のポリヌクレオチド。
【化4】
JP2016210719A_000005t.gif
[塩基配列(i)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、A3、及びA4は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(i)の5’末端側又は3’末端側に項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
項8. 下記塩基配列(ii)~(iv)のいずれかを含み、GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列を含む標的核酸鎖と四重螺旋構造を形成する、項6に記載のポリヌクレオチド。
【化5】
JP2016210719A_000006t.gif
[塩基配列(ii)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、及びB2は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、及びB2のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(ii)の5’末端側又は3’末端側に項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【化6】
JP2016210719A_000007t.gif
[塩基配列(iii)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(iii)の5’末端側又は3’末端側に項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
【化7】
JP2016210719A_000008t.gif
[塩基配列(iv)において、左側が5’末端側、右側が3’末端側を示す。
1、A2、及びA3は、それぞれ同一又は異なって、GG、GGG、又はGGGGからなるグアニン四量体形成配列を示す。
1、B2、及びB3は、それぞれ同一又は異なって、1~5個の塩基からなるループ配列を示す。
1、B2、及びB3のループ配列に含まれる少なくとも1つの塩基が、項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基に置換されている;或いは塩基配列(iv)の5’末端側又は3’末端側に項1~4に記載のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの塩基が付加されている。]
項9. 前記配列(ii)~(iv)の5’末端側又は3’末端側に、標的核酸鎖の一部の塩基配列に対する相補的な塩基配列が付加されている、項8に記載のポリヌクレオチド。
項10. 前記相補的な塩基配列が、
前記標的核酸鎖中の前記GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列の5’末端から5’末端側に数えて1~55番目までの塩基の領域内の塩基配列、或いは
前記標的核酸鎖中の前記GG、GGG、又はGGGGからなる塩基配列の3’末端から3’末端側に数えて1~55番目までの塩基の領域内の塩基配列
に対して相補的な塩基配列である、項9に記載のポリヌクレオチド。
項11. 前記標的核酸鎖がDNA鎖又はRNA鎖である、項8~10のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項12. GG又はGGGからなる塩基配列を含む標的核酸鎖と、項8~11のいずれかに記載のポリヌクレオチドとを共存させる工程を含む、核酸鎖の四重螺旋構造の形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを利用することによって、核酸鎖の四重螺旋構造を安定化させることができる。また、本発明の一態様では、標的核酸鎖に対して配列特異的に四重螺旋構造を安定化させることもできる。従って、本発明によれば、標的核酸に対して、特異的に安定な四重螺旋構造を形成させ、その転写、逆転写、複製、翻訳、テロメア伸長反応等を抑制し、当該標的核酸の機能性を制御することが可能になる。
【0012】
更に、本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを含むポリヌクレオチドでは、ヌクレアーゼに耐性も高く、優れた安定性も備えている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例の欄で合成したポリヌクレオチド(Q1、Q1-X、Q1-Y、Q1-Z、及びQ1-X2)がとり得る四重螺旋構造の概略図である。
【図2】実施例の欄で合成したポリヌクレオチド(D1及びD1-X)がとり得る二重螺旋構造の概略図である。
【図3】エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入したポリヌクレオチドの安定性を評価した結果を示す図である。
【図4】エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入したポリヌクレオチドを利用してHIV-1由来のRNAの逆転写反応の抑制効果を評価した結果を示す図である。
【図5】エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入したポリヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシド
本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドは、下記一般式(1)で表される化合物である。
【化8】
JP2016210719A_000009t.gif

【0015】
一般式(1)において、R1は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドをポリヌクレオチドの合成原料として使用する際には、一般式(1)におけるR1は保護基であればよく、ポリヌクレオチドの合成中又は後には、当該保護基が外されてR2はリン酸ジエステル結合を形成し、ポリヌクレオチドの5’末端部分ではR2は水素原子であればよい。

【0016】
水酸基の保護基としては、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解、光分解等によって開裂し得る基であればよく、例えば、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、置換されていてもよいアリール基が1~3個置換されているメチル基、シリル基等が挙げられる。

【0017】
前記脂肪族アシル基としては、例えば、炭素数2~20の脂肪族アシル基が挙げられ、より具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、3-メチルノナノイル基、8-メチルノナノイル基、3-エチルオクタノイル基、3,7-ジメチルオクタノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、1-メチルペンタデカノイル基、14-メチルペンタデカノイル基、13,13-ジメチルテトラデカノイル基、ヘプタデカノイル基、15-メチルヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、1-メチルヘプタデカノイル基、ノナデカノイル基、アイコサノイル基、ヘナイコサノイル基等が挙げられる。

【0018】
前記芳香族アシル基としては、例えば、ベンゾイル基、α-ナフトイル基、β-ナフトイル基等のアリールカルボニル基等が挙げられる。

【0019】
前記置換されていてもよいアリール基が1~3個置換されているメチル基におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、前記アリール基に必要に応じて置換している置換基としては、具体的には、炭素数1~7の低級アルキル基、炭素数1~7の低級アルコキシル基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。前記アリール基に置換基が置換している場合、その置換基の数については、特に制限されないが、例えば、アリール基1個当たり、置換基が1~3個置換されているものが挙げられる。前記置換されていてもよいアリール基が1~3個置換されているメチル基として、より具体的には、トリチル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基等が挙げられる。

【0020】
前記シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチルジ-t-ブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のトリ低級アルキルシリル基;ジフェニルメチルシリル基、ジフェニルブチルシリル基、ジフェニルイソプロピルシリル基、フェニルジイソプロピルシリル基等の1又は2個のアリール基で置換されたトリ低級アルキルシリル基等が挙げられる。

【0021】
前記保護基の好適な例として、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、p-メトキシベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、トリイソプロピルシリル基、ジフェニルブチルシリル基が挙げられる。

【0022】
一般式(1)において、R2は、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドをポリヌクレオチドの合成原料として使用する際には、一般式(1)におけるR2は保護基であればよく、ポリヌクレオチドの合成後には当該保護基が外されてR2は水素原子であればよい。

【0023】
2における水酸基の保護基は、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解、光分解等によって開裂し得る基であればよく、具体的には、R1で例示した保護基が挙げられる。但し、R1及びR2が保護基である場合には、R1及びR2は、相互に異なる種類の保護基であることが望ましい。

【0024】
一般式(1)において、nは1~10の整数を示す。より一層効果的に四重螺旋構造を安定化させるという観点から、nとして、好ましくは1~5の整数、更に好ましくは1又は2が挙げられる。

【0025】
一般式(1)において、mは、アルキレンオキサイドの付加モル数であり、1~8の整数を示す。より一層効果的に四重螺旋構造を安定化させるという観点から、mとして、好ましくは1~5の整数、更に好ましくは1~4の整数が挙げられる。

【0026】
一般式(1)において、AOはアルキレンオキサイドを示し、具体的には、エチレンオキサイド(-CH2-CH2-O-)、プロピレンオキサイド(-CH2-CH2-CH2-O-)、ブチレンオキサイド(-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)等の炭素数1~3のアルキレンオキサイドが挙げられる。また、アルキレンオキサイドにおけるアルキレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。これらのアルキレンオキサイドの中でも、より一層効果的に四重螺旋構造を安定化させるという観点から、好ましくはエチレンオキサイドが挙げられる。

【0027】
一般式(1)において、L1は、ピリジン環の5位の炭素とL2とを連結するリンカー基である。L1としては、具体的には、-O-;-S-;-(CO)O-;-NHCO-;-NH(CO)O-;-O(CO)O-;-NH-;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数1~7(好ましくは炭素数1~5)のアルキレン基;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数2~7(好ましくは炭素数2~5)のアルキレン基;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数2~7(好ましくは炭素数2~5)のアルキニレン基が挙げられる。これらのL1の中でも、合成の簡便性等の観点から、好ましくはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数2~7のアルキニレン基、更に好ましくはエーテル結合を含む炭素数2~5のアルキニレン基、特に好ましくはL2と結合する側の末端に-O-を含む炭素数2~5のアルキニレン基が挙げられる。

【0028】
一般式(1)において、L2は、nが1の場合には単結合、nが2~10の場合にはL1に対して1価の結合と基-(AO)m-R2に対してn価の結合を持つ分岐リンカー基である。

【0029】
nが2~10の場合、L2としては、具体的には、下記一般式(2)に示すリンカー基が挙げられる。
【化9】
JP2016210719A_000010t.gif

【0030】
一般式(2)において、L21はL1と結合するリンカー基であり、L22及びL23は、それぞれp個及びq個の基-(AO)m-R2と結合するリンカー基である。ここで、p及びqは0~10の整数であり、且つp+q=nの関係を満たす。

【0031】
一般式(2)において、L21、L22及びL23として、例えば、-O-;-S-;-(CO)O-;-NHCO-;-NH(CO)O-;-O(CO)O-;-NH-;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数1~7(好ましくは炭素数1~5)のアルキレン基;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数2~7(好ましくは炭素数2~5)のアルキレン基;エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及び2級アミノ基を1又は2個含んでいてもよい炭素数2~7(好ましくは炭素数2~5)のアルキニレン基が挙げられる。L21、L22及びL23は、それぞれ同一であってもよく、また異なっていてもよい。

【0032】
一般式(1)においてnが2である場合に、一般式(2)に示すリンカー基の好適な一例として、L21が-O-CH2-であり、且つL22及びL23がメチレン基である下記一般式(21)に示すリンカー基が挙げられる。
【化10】
JP2016210719A_000011t.gif

【0033】
一般式(1)で表される化合物は、デオキシチミンにおけるピリジン環の5位のメチル基を、-L1-L2[-(AO)m-R2nで置換することによって合成することができる。具体的には、デオキシチミンにおけるピリジン環の5位のメチル基を、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子に置換し、カップリング反応を利用して-L1-L2[-(AO)m-R2nを導入すればよい。デオキシチミンにおけるピリジン環の5位のメチル基をハロゲン原子に置換する方法は、Khan, S. I.; Grinstaff, M. W. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4704-4705等で公知である。また、L1、L2、及び基-(AO)m-R2の各結合反応も、基L1及び基L2の種類に応じて公知のカップリング反応を利用して行うこともできる。

【0034】
また、一般式(1)で表される化合物において、デオキシリボースの4位の水酸基をリン酸化することによって、ヌクレオチド誘導体に変換することもできる。

【0035】
2.ポリヌクレオチド
本発明は、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを含むポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを、他のデオキシヌクレオシドとリン酸ジエステル結合によって連結して得られるポリヌクレオチドである。本発明のポリヌクレオチドは、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドが導入されていることによって、安定な四重螺旋構造を形成することが可能になっている。

【0036】
通常、1本鎖の核酸鎖による四重螺旋構造は、図1に示すように、グアニンが2~4個連続する塩基からなり、グアニン四量体(G-quartet)を形成する塩基配列(Gカルテット形成配列)4つと、2又は3個の塩基からなり、Gカルテット形成配列を連結してループを形成する塩基配列(ループ配列)3つによって形成される。

【0037】
本発明のポリヌクレオチドは、単独で四重螺旋構造を形成させるように構成(以下、「第1実施態様のポリヌクレオチド」)することもでき、また標的核酸鎖と共に四重螺旋構造を形成するように構成(以下、「第2実施態様のポリヌクレオチド」)することもできる。

【0038】
第1実施態様のポリヌクレオチドの場合には、本発明のポリヌクレオチドは、下記の塩基配列(i)を含んでいればよい。
【化11】
JP2016210719A_000012t.gif

【0039】
第2実施態様のポリヌクレオチドの場合には、本発明のポリヌクレオチドは、Gカルテット形成配列を有する標的核酸鎖と共に、当該標的核酸鎖のGカルテット形成配列を利用して四重螺旋構造を形成する。即ち、第2実施態様のポリヌクレオチド中の3つのGカルテット形成配列と、標的核酸鎖中の1つのGカルテット形成配列によって、四重螺旋構造が形成される。第2実施態様のポリヌクレオチドの場合には、本発明のポリヌクレオチドは、下記の塩基配列(ii)~(iv)のいずれかを含んでいればよい。
【化12】
JP2016210719A_000013t.gif
【化13】
JP2016210719A_000014t.gif
【化14】
JP2016210719A_000015t.gif

【0040】
前記塩基配列(i)~(iv)において、Gカルテット形成配列を示すA1、A2、及びA3は、2~4個のグアニンが連続して存在する塩基配列を示す。A1、A2、及びA3は、それぞれグアニンの塩基数が同一であっても、異なっていてもよい。

【0041】
また、前記塩基配列(i)~(iv)において、ループ配列を示すB1、B2、及びB3は、2つのGカルテット形成配列間でループを形成する配列であり、1~5個、好ましくは1~4個、更に好ましくは1~3個の塩基によって構成される配列である。ループ配列の塩基配列としては、Gカルテット形成配列間をループ(ヘアピン)を形成できることを限度として、特に制限されないが、安定なループを形成するという観点から、チミンを含む塩基で形成されていることが好ましく、より具体的には、TTT、TTN、NTT、TNT、AN、TN、及び/又はNからなるループ配列が挙げられる。ここで、Nは、A、C、G又はTを示す。

【0042】
本発明のポリペプチドにおいて、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの導入部位については、四重螺旋構造を安定化できることを限度として特に制限されず、例えば、前記塩基配列(i)~(iv)におけるループ配列中、前記塩基配列(i)~(iv)における5’末端側、及び前記塩基配列(i)~(iv)における3’末端側のいずれであってもよい。

【0043】
前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを前記塩基配列(i)~(iv)における5’末端側に導入する場合、前記配列(i)~(iv)の5’末端から5’末端側に1~3番目に存在する塩基を担うヌクレオシドの少なくとも1つが前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドであればよい。

【0044】
また、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを前記配列(i)~(iv)における3’末端側に導入する場合、前記配列(i)~(iv)の3’末端から3’末端側に1~3番目に存在する塩基を担うヌクレオシドの少なくとも1つが前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドであればよい。

【0045】
四重螺旋構造を効果的に安定化させるという観点から、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドは、前記塩基配列(i)~(iv)におけるループ配列中に含まれていることが望ましい。より具体的には、ループ配列として、TTT、TTN、NTT、TNT、AN、TN、及び/又はNからなる塩基配列(Nは前記と同様)を使用する場合であれば、これらの塩基配列中の塩基を担うヌクレオシドの少なくとも1つが、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドに置換されていることが望ましい。とりわに、少なくとも1つのループ配列として、TTT、TTN、NTT、TNT、はTN、AT、及び/又はTからなる塩基配列(Nは前記と同様)を使用し、且つこれらの塩基配列中のTを担うヌクレオシドの少なくとも1つが、前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドに置換されていることが特に望ましい。

【0046】
また、本発明のポリペプチドに含まれる前記アルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの数については、特に制限されないが、例えば1~7個、好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個が挙げられる。

【0047】
また、第2実施態様のポリヌクレオチドの場合、標的核酸鎖に対して特異的に四重螺旋構造を形成できるように、標的核酸鎖に対してハイブリダイズできる塩基配列を有していることが好ましい。このような態様のポリヌクレオチドの塩基配列として、具体的には、前記配列(ii)~(iv)の5’末端側又は3’末端側に、標的核酸鎖に対する相補的な塩基配列が付加されている塩基配列が挙げられる。

【0048】
また、標的核酸鎖に対する相補的な塩基配列は、標的核酸鎖中のGカルテット形成配列部分2~4個のグアニンが連続して存在する塩基配列部分)の5’末端から5’末端側に数えて、1~55番目の塩基の領域内、好ましくは1~33番目の塩基の領域内の塩基配列にハイブリダイズできるもの;或いは標的核酸鎖中のGカルテット形成配列部分(2又は3個のグアニンが連続して存在する塩基配列部分)の3’末端から3’末端側に数えて、1~55番目の塩基の領域内、好ましくは1~33番目の塩基の領域内の塩基配列にハイブリダイズできるものであればよい。

【0049】
また、標的核酸鎖に対する相補的な塩基配列の塩基数については、標的核酸鎖にハイブリダイズして結合できることを限度として特に制限されないが、例えば、8~35個、好ましくは15~23個が挙げられる。

【0050】
第2実施態様のポリヌクレオチドが、標的核酸鎖中のGカルテット形成配列部分の5’末端側の領域内の塩基配列に対してハイブリダイズする場合、第2実施態様のポリヌクレオチドにおける標的核酸鎖に対する相補的な塩基配列は、前記配列(ii)~(iv)の3’末端側に、前記相補的な塩基配列が付加されていればよい。また、第2実施態様のポリヌクレオチドが、標的核酸鎖中のGカルテット形成配列部分の3’末端側の領域内の塩基配列に対してハイブリダイズする場合、第2実施態様のポリヌクレオチドにおける標的核酸鎖に対する相補的な塩基配列は、前記配列(ii)~(iv)の5’末端側に、前記相補的な塩基配列が付加されていればよい。

【0051】
第2実施態様のポリヌクレオチドにおいて、標的核酸鎖に対して相補的な塩基配列は、前記配列(ii)~(iv)の5’末端側又は3’末端側に直接連結してもよいが、1~20個、好ましくは1~10個のリンカー配列を介して結合していてもよい。当該リンカー配列の塩基数は、標的核酸鎖における、Gカルテット形成配列部分と第2実施態様のポリヌクレオチドがハイブリダイズする塩基配列部分との間の領域の塩基数と同程度(例えば、±10)個、好ましくは±3個)であることが望ましい。また、当該リンカー配列は、任意の塩基配列で形成することができる。

【0052】
また、前記標的核酸鎖は、RNA、DNAのいずれであってもよい。標的核酸鎖がRNAの場合、本発明のポリヌクレオチドによって四重螺旋構造を形成することにより、当該RNAの逆転写又は翻訳を抑制することが可能になる。また、標的核酸鎖がDNAの場合、本発明のポリヌクレオチドによって四重螺旋構造を形成することにより、当該DNAの転写、複製、又はテロメア伸長反応を抑制することが可能になる。

【0053】
前記標的核酸の種類については、機能発現の抑制が求められるものであればよいが、例えば、C-MYC、NRAS、BCL2等の癌関連遺伝子、これらのmRNA等の癌関連核酸;HIVウイルス、B型肝炎ウイルス等の病原性RNAウイルス由来のRNA;等が挙げられる。

【0054】
本発明のポリヌクレオチドにおける総塩基数については、前述する塩基配列を備えることを限度として特に制限されないが、例えば、第1実施態様のポリヌクレオチドの場合であれば、例えば12~32個、好ましくは15~22個;第2実施態様のポリヌクレオチドの場合であれば、例えば17~75個、好ましくは31~55個が挙げられる。

【0055】
第2実施態様のポリヌクレオチドは、疾患の発症や進行と関連性がある遺伝子を標的核酸鎖とする場合には、疾患の予防又は治療の目的で使用することができる。また、第2実施態様のポリヌクレオチドは、病原性ウイルスに内在する核酸鎖を標的核酸鎖とする場合には、当該病原性ウイルスによる感染症の予防又は治療の目的で使用することができる。また、本発明のポリヌクレオチドは、機能性の解明が求められる核酸を標的核酸鎖とすることにより、当該標的核酸の転写、逆転写、複製、翻訳、テロメア伸長反応等を抑制し、当該標的核酸が担っている機能の解明を行うこともできる。

【0056】
第2実施態様のポリヌクレオチドを標的核酸鎖と四重螺旋構造を形成させるには、第2実施態様のポリヌクレオチドと標的核酸とをハイブリダイズ可能な条件下で共存させさればよい。例えば、疾患の治療又は用途で使用する場合であれば、本発明のポリヌクレオチドを、必要に応じて遺伝子導入剤と共に、患者に投与すればよい。また、in vitroにおいて、細胞内に存在する標的核酸と四重螺旋構造を形成させる場合であれば、第2実施態様のポリヌクレオチドを、必要に応じて遺伝子導入剤を用いて、細胞内に導入すればよい。

【0057】
本発明のポリヌクレオチドは、公知の核酸合成方法に従って製造することができる。具体的には、本発明のアルキレンオキサイド化デオキシヌクレオシドと他のヌクレオシドを用いて、ホスホアミダイト法、固相法等によって製造することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
1.エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの合成
1-1.直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの合成
(1-1-1)化合物1の合成
Khan, S. I.; Grinstaff, M. W. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4704-4705に記載の方法に従って、下記構造の化合物1を合成した。
【化15】
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【実施例】
【0060】
(1-1-2)3,3-ジイプロピル-2-メチル-4,7,10,13,16-ペンタオキサ-3-シラノナデカ-18-インの合成
アルゴン雰囲気下、テトラエチレングリコール(10.37 g, 53.38 mmol)とイミダゾール(1.386 g, 20.36 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液に対し、クロロイソプロピルシラン(1.842 g, 9.554 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液を0℃で15分かけて滴下した。得られた混合物を0℃で30分撹拌後、25℃で12時間撹拌し、そこに飽和食塩水(50 mL)を加えた。得られた混合物に対し、酢酸エチルを用いて3回抽出した(各100 mL)。酢酸エチル抽出液に対し無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30 °Cで減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=25/75から50/50へ段階的に変化させた)によって3,3-ジイプロピル-2-メチル-4,7,10,13-テトラオキサ-3-シラペンタデカン-15-オールを無色油状物として得た(2.595 g, 7.414 mmol, 収率78%)。
【実施例】
【0061】
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(91 mg, 3.8 mmol)の脱水テトラヒドロフラン懸濁液に対し、3,3-ジイプロピル-2-メチル-4,7,10,13-テトラオキサ-3-シラペンタデカン-15-オール(1.106 g, 3.154 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(10 mL)を0 °Cで10分かけて滴下した。さらに30分間0 °Cで撹拌後、プロパルギルブロミド(471 mg, 3.96 mmol)を0 °Cで加え、25 °Cで12時間撹拌した。反応混合物を0 °Cに冷やし、水(100 mL)をそこに加え、塩化メチレンを用いて3回抽出した(各100 mL)。塩化メチレン抽出液を飽和食塩水(50 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30 °Cで減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=30/70から75/25へ段階的に変化させた)によって3,3-ジイプロピル-2-メチル-4,7,10,13,16-ペンタオキサ-3-シラノナデカ-18-インを無色油状物として得た(1.05 g, 2.70 mmol, 収率86%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 4.23 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 3.86 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.73-3.65 (m, 12H), 3.61 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.44 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 1.10 (sept, J = 4.4 Hz, 3H), 1.08 (d, J = 4.4 Hz, 18H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 79.80, 74.60, 72.88, 70.94, 70.82, 70.77, 70.73, 70.55, 69.26, 18.10, 12.10 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C20H40KO5Siの計算値: 427.2282 [M + K]+; 観測値: 427.2316.
【実施例】
【0062】
(1-1-3)化合物2(直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数4))の合成
アルゴン雰囲気下、化合物1(2.512 g, 3.827 mmol)、ヨウ化銅(I)(146 mg, 0.767 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(442 mg, 0.382 mmol)を脱水N,N-ジメチルホルムアミド(35 mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.1 mL, 7.89 mmol)の混合溶液に分散させた混合物に対し、3,3-ジイプロピル-2-メチル-4,7,10,13,16-ペンタオキサ-3-シラノナデカ-18-イン(4.458 g, 11.48 mmol)の脱水N,N-ジメチルホルムアミド(30 mL)溶液を25℃で15分かけて滴下した。得られた混合物を50℃で12時間撹拌し、さらに70℃で3時間撹拌した。その後0℃に冷やし、水(2 mL)と飽和食塩水(100 mL)を加えた。得られた混合物に対し、酢酸エチルを用いて4回抽出した(各300 mL)。酢酸エチル抽出液に対し無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて50℃で減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=25/75から100/0へ段階的に変化させた)によって下記構造の化合物2(直鎖型ポリエチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド)を黄色油状物として得た(3.321 g, 3.626 mmol, 収率95%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 22 °C): δ 8.4 (broad s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.43 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.34-7.22 (m, 7H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 6.28 (dd, J = 7.6 and 6.0 Hz, 1H), 4.51 (secs, J = 3.2 Hz, 1H), 4.11 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.06 (quart, J = 3.2 Hz, 1H), 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.67-3.56 (m, 12H), 3.47 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.45 (dd, J = 10.8 and 3.2 Hz, 1H), 3.40 (dd, J = 10.8 and 3.2 Hz, 1H), 2.49 (ddd, J = 13.6, 6.0 and 3.2 Hz, 1H), 2.27 (ddd, J = 13.6, 7.6 and 6.0, 1H), 1.10-1.08 (m, 21H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 161.39, 158.72, 149.25, 144.58, 142.89, 135.56, 130.05, 128.58, 128.13, 127.97, 127.07, 113.42, 99.84, 90.10, 87.08, 86.53, 85.84, 72.80, 72.28, 70.85, 70.70, 70.56, 70.33, 69.05, 63.57, 63.02, 58.85, 55.32, 41.55, 18.05, 12.03 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C50H68N2NaO12Siの計算値: 939.4439 [M + Na]+; 観測値: 939.4435.
【化16】
JP2016210719A_000017t.gif
【実施例】
【0063】
前記化合物2は、一般式(1)において、R1が保護基、R2が保護基、mが4、nが1、L1が-C≡C-CH2-O-であり、L2が単結合である化合物に該当する。
【実施例】
【0064】
(1-1-4)直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)の合成
テトラエチレングリコールに代えてエチレングリコールを使用すること以外は、前記と同条件で合成を行い、直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)を得た。
【実施例】
【0065】
得られた直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)は、一般式(1)において、R1が保護基、R2が保護基、mが1、nが1、L1が-C≡C-CH2-O-であり、L2が単結合である化合物に該当する。
【実施例】
【0066】
(1-1-5)直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)の合成
テトラエチレングリコールに代えてオクタエチレングリコールを使用すること以外は、前記と同条件で合成を行い、直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)を得た。
【実施例】
【0067】
得られた直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)は、一般式(1)において、R1が保護基、R2が保護基、mが8、nが1、L1が-C≡C-CH2-O-であり、L2が単結合である化合物に該当する。
【実施例】
【0068】
1-2.分岐型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドの合成
(1-2-1)3,3-ジイソプロピル-2-メチル-4,7,10,13-テトラオキサ-3-シラペンタデカン-15-イル 4-メチルベンゼンスルホネートの合成
3,3-ジイソプロピル-2-メチル-4,7,10,13-テトラオキサ-3-シラペンタデカン-15-イル 4-メチルベンゼンスルホネートを、Kawasaki, S.; Muraoka, T.; Obara, H.; Ishii, T.; Hamada, T.; Kinbara, K. Chem. Asian J. 2014, 9, 2778-2788に記載の方法に従って合成した。
【実施例】
【0069】
(1-2-2)化合物4の合成
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(0.9522 g, 8.97 mmol)の脱水ピリジン溶液(10 mL)に対し、トリチルクロリド(1.231 g, 4.41 mmol)を25 ℃で加えた。得られた混合物を25 ℃で12時間撹拌し、そこに水(100 mL)を加えた。得られた混合物に対し、酢酸エチルを用いて3回抽出した(各100 mL)。酢酸エチル抽出液を飽和食塩水(80 mL)で1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30 ℃で減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=20/80から60/40へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物4を白色固体として得た(1.785 g, 3.382 mmol, 収率77%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 7.46-7.41 (m, 6H), 7.31-7.22 (m, 9H), 3.81 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.28 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.05 (s, 2H), 2.03 (sept, J = 2.8 Hz, 1H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 23 °C): δ 143.79, 128.61, 127.94, 127.15, 86.99, 63.61, 63.04, 43.22 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C23H24NaO3の計算値: 371.1623 [M + Na]+; 観測値: 371.1661.
【化17】
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【実施例】
【0070】
(1-2-3)化合物5の合成
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(411 mg, 17.12 mmol)の脱水テトラヒドロフラン懸濁液(10 mL)に対し、3,3-ジイソプロピル-2-メチル-4,7,10,13-テトラオキサ-3-シラペンタデカン-15-イル 4-メチルベンゼンスルホネート(3.502 g, 6.94 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(45 mL)を0 ℃で50分かけて滴下した。得られた混合物を還流させ、化合物4(1.125 g, 3.23 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(40 mL)を30分かけて滴下した。得られた混合物を18時間還流させた。反応混合物を25 ℃に冷やし、塩化メチレン(200 mL)を加え、セライト濾過により不溶物を除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30 ℃で減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=20/80から30/70へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物5を無色油状物として得た(1.684 g, 1.66 mmol, 収率51%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 7.42-7.40 (m, 6H), 7.30-7.21 (m, 9H), 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.67-3.51 (m, 32H), 3.16 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 2.19 (sept, J = 6.0 Hz, 1H), 1.11-0.98 (m, 42H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 144.42, 128.85, 127.79, 126.95, 86.34, 72.86, 70.92, 70.79, 70.74, 70.61, 63.06, 61.39, 40.51, 18.09, 12.08 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C57H96NaO11Si2の計算値: 1035.639 [M + Na]+; 観測値: 1035.637, C57H96KO11Si2の計算値: 1051.613 [M + K]+; 観測値: 1051.611.
【化18】
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【実施例】
【0071】
(1-2-4)化合物6の合成
アルゴン雰囲気下、化合物5(1.481 g, 1.461 mmol)の脱水メタノール溶液(60 mL)に対し、氷酢酸(10 mL)を25 ℃で20分かけて滴下した。得られた混合物を3時間還流させた後、ロータリーエバポレーターを用いて40 ℃で溶媒を減圧留去した。得られた残渣に塩化メチレン(200 mL)を加え、その懸濁液を飽和食塩水(各200 mL)で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30 °Cで減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=20/80から100/0へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物6を無色油状物として得た(0.740 g, 0.959 mmol, 収率66%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 29 °C): δ 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.74 (dd, J = 6.0 and 4.8 Hz, 2H), 3.68-3.54 (m, 32H), 2.87 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 2.13 (sept, J = 6.0 Hz, 1H), 1.12-1.03 (m, 42H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 29 °C): δ 72.83, 71.08, 70.90, 70.78, 70.72, 70.66, 70.51, 63.72, 63.05, 41.35, 18.05, 12.06 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C38H82NaO11Si2の計算値: 793.5293 [M + Na]+; 観測値: 793.5350, C38H82KO11Si2の計算値: 809.5033 [M + K]+; 観測値: 809.5069.
【化19】
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【実施例】
【0072】
(1-2-5)化合物7の合成
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(60 mg, 2.5 mmol)の脱水テトラヒドロフラン懸濁液(10 mL)に対し、化合物6(733 mg, 0.95 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(20 mL)を0 ℃で30分かけて滴下した。得られた混合物にプロパルギルブロミド(0.10 mL, 1.33 mmol)を0 ℃で加えた。得られた混合物を17時間25 °Cで撹拌した後、塩化メチレン(50 mL)を加え、セライト濾過により不溶物を除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて40 ℃で減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=50/50から70/30へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物7を無色油状物として得た(0.602 g, 0.745 mmol, 収率78%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 4.11 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.67-3.55 (m, 28H), 3.49 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 2.41 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 2.29 (sept, J = 6.0 Hz, 1H), 1.12-1.03 (m, 42H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 29 °C): δ 80.10, 74.26, 72.84, 70.91, 70.78, 70.75, 70.72, 70.66, 70.58, 69.61, 68.59, 63.05, 58.47, 42.40, 40.18, 18.06, 12.07 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C41H84NaO11Si2の計算値: 831.5450 [M + Na]+; 観測値: 831.5474, C41H84KO11Si2の計算値: 847.5189 [M + K]+; 観測値: 847.5216.
【化20】
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【実施例】
【0073】
(1-2-6)化合物8の合成
アルゴン雰囲気下、化合物1(0.150 g, 0.229 mmol)、ヨウ化銅(I)(10 mg, 0.054 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(27 mg, 0.023 mmol)を脱水N,N-ジメチルホルムアミド(7 mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.07 mL, 0.42 mmol)の混合溶液に分散させた混合物に対し、化合物7(0.369 g, 0.456 mmol)の脱水N,N-ジメチルホルムアミド(8 mL)溶液を25℃で5分かけて滴下した。得られた混合物を50 ℃で19時間撹拌し、さらに70 ℃で3時間撹拌した。その後50 ℃に冷やし、溶媒を油回転真空ポンプを用いて減圧留去した。得られた残渣に対し酢酸エチル(20 mL)を加え、飽和食塩水(各40 mL)で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(5 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて40 °Cで減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Silica Gel 60, 溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=50/50から100/0へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物8(分岐型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(付加モル数4のエチレンオキサイドが2本結合))を茶色油状物として得た(0.283 g, 0.212 mmol, 収率93%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 22 °C): δ 8.2 (broad s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.42 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.34-7.22 (m, 7H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 6.28 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 4.49 (secs, J = 3.2 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.67-3.53 (m, 30H), 3.45-3.43 (m, 6H), 3.40-3.85 (m, 2H), 2.47 (m, 1H), 2.29 (ddd, J = 13.6, 6.0 and 3.2 Hz, 1H), 2.13 (ddd, J = 13.6, 7.6 and 6.0, 1H), 1.11-1.03 (m, 42H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 28 °C): δ 161.19, 158.76, 149.15, 144.61, 142.84, 135.59, 135.55, 130.09, 128.15, 128.01, 127.10, 113.45, 99.88, 90.46, 87.10, 86.35, 85.78, 72.83, 72.21, 70.90, 70.73, 70.71, 70.67, 70.57, 70.54, 69.61, 68.66, 63.65, 63.05, 60.50, 59.02, 55.33, 41.46, 40.18, 21.13, 18.07, 14.30, 12.07 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C71H112N2NaO18Si2の計算値: 1359.735 [M + Na]+; 観測値: 1359.732, C71H112N2KO18Si2の計算値: 1375.709 [M + K]+; 観測値: 1375.705.
【化21】
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【実施例】
【0074】
前記化合物8は、一般式(1)において、R1が保護基、R2が保護基、mが4、nが2、L1が-C≡C-CH2-O-であり、L2が一般式(21)に示すリンカー基である化合物に該当する。
【実施例】
【0075】
2.エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを用いたポリヌクレオチドの合成
(2-1)化合物3(3’位水酸基がホスホロアミダイト化された直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数4))の合成
アルゴン雰囲気下、化合物2(2.509 g, 2.74 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(50 mL)に対し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.9 mL, 11.1 mmol)と2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホアミダイト(0.8 mL, 3.58 mmol)を0 ℃で滴下した。得られた混合物を0 ℃で40分撹拌した。その後、25℃で3時間半撹拌し、溶媒を油回転真空ポンプを用いて減圧留去した。得られた残渣物に対し、飽和重曹水(15 mL)を加え、塩化メチレンを用いて3回抽出した(各40 mL)。塩化メチレン抽出液に対し無水硫酸ナトリウム(10 g)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて30℃で減圧留去し、得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Chromatorex NH silica, 溶離液:塩化メチレン/メタノール=100/0から90/10へ段階的に変化させた)によって、下記構造の化合物3(3’位水酸基がホスホロアミダイト化された化合物2)を薄黄色油状物として得た(1.592 g, 1.42 mmol, 収率52%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 23 °C): δ 8.11 and 8.07 (s and s, total 1H), 7.42 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.34-7.21 (m, 7H), 6.83 (dd, J = 8.8 and 3.8 Hz, 4H), 6.27 (dd, J = 7.6 and 6.0 Hz, 1H), 4.59 (secs, J = 3.2 Hz, 1H), 4.21 and 4.16 (d and d, J = 2.4 and 2.4 Hz, total 1H), 4.06 (m, 2H), 3.83 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.79 and 3.78 (s and s, total 6H), 3.67-3.56 (m, 12H), 3.46-3.38 (m, 5H), 3.32 (m, 1H), 2.63 (m, 2H), 2.57 (m, 1H), 2.44 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.29 (m, 1H), 1.18-1.14 (m, 12H), 1.10-1.05 (m, 21H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 161.37, 161.33, 158.43, 149.15, 149.08, 144.30, 144.26, 142.59, 135.27, 135.24, 135.21, 129.85, 129.81, 127.85, 127.76, 127.71, 126.79, 117.41, 117.21, 113.13, 99.67, 99.61, 89.77, 89.74, 86.77, 85.90, 85.60, 85.52, 73.63, 73.46, 73.23, 73.07, 72.53, 70.58, 70.43, 70.28, 70.03, 68.69, 63.01, 62.84, 62.75, 58.52, 58.25, 58.12, 58.06, 57.93, 55.07, 55.04, 43.16, 43.09, 43.04, 42.97, 24.47, 24.40, 24.36, 24.29, 20.25, 20.17, 20.06, 19.99, 17.79, 11.76 ppm. 31P NMR (162 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 149.04 and 148.64 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C59H85N4NaO13PSiの計算値: 1139.5518 [M + Na]+; 観測値: 1139.5530.
【化22】
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【実施例】
【0076】
(2-2)3’位水酸基がホスホロアミダイト化された直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)の合成
化合物2に代えて直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)を使用すること以外は、前記と同条件で合成を行い、3’位水酸基がホスホロアミダイト化された直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1)を得た。
【実施例】
【0077】
(2-3)3’位水酸基がホスホロアミダイト化された直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)の合成
化合物2に代えて直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)を使用すること以外は、前記と同条件で合成を行い、3’位水酸基がホスホロアミダイト化された直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)を得た。
【実施例】
【0078】
(2-4)3’位水酸基がホスホロアミダイト化された分岐型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(付加モル数4のエチレンオキサイドが2本結合)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物8(0.306 g, 0.23 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(25 mL)に対し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.160 mL, 0.92 mmol)と2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホアミダイト(0.061 mL, 0.27 mmol)を0 °Cで滴下した。得られた混合物を0 ℃で40分撹拌した。その後、25 ℃で3時間半撹拌し、メタノール(0.5 mL)を加え、溶媒を油回転真空ポンプを用いて減圧留去した。得られた残渣から、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Chromatorex NH silica, 溶離液:塩化メチレン/メタノール=98/2から96/4へ段階的に変化させた)によって下記構造の化合物9(3’位水酸基がホスホロアミダイト化された化合物8)を薄黄色油状物として得た(0.184 g, 0.12 mmol, 収率52%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 8.05 and 8.01 (s and s, total 1H), 7.40 (m, 2H), 7.34-7.19 (m, 7H), 6.83 (dd, J = 8.8 and 3.8 Hz, 4H), 6.24 (dd, J = 7.6 and 6.0 Hz, 1H), 4.57 (m, 1H), 4.31 and 4.28 (d and d, J = 6.4 and 6.4 Hz, total 1H), 4.20-3.84 (m, 3H), 4.15 (s, 2H), 3.96 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 3.82 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 3.772 and 3.766 (s and s, total 6H), 3.67-3.56 (m, 28H), 3.43 and 3.39 (s and s, total 2H), 3.42-3.38 (m, 6H), 2.77 (m, 2H), 2.44 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.27 (m, 1H), 1.18-1.14 (m, 6H), 1.10-1.05 (m, 48H) ppm. 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 25 °C): δ 161.15, 158.63, 149.10, 144.50, 142.75, 135.33, 132.95, 132.14, 132.04, 131.99, 131.96, 130.07, 130.02, 128.58, 128.46, 128.03, 127.93, 127.89, 126.97, 117.60, 117.36, 113.30, 99.77, 90.22, 86.99, 85.81, 85.73, 72.71, 70.79, 70.63, 70.61, 70.57, 70.46, 70.43, 69.49, 68.57, 62.93, 58.89, 58.54, 58.34, 58.22, 57.82, 55.24, 55.22, 50.73, 50.56, 45.36, 43.36, 43.30, 43.24, 43.18, 43.02, 42.90, 40.04, 24.70, 24.68, 24.62, 22.96, 22.90, 21.44, 20.41, 20.34, 20.13, 17.97 ppm. 31P NMR (162 MHz, CDCl3, 26 °C): δ 149.68 and 148.87 ppm. ESI-TOF MS: m/z: C80H129N4NaO19PSi2の計算値: 1559.842 [M + Na]+; 観測値: 1559.839, C80H129N4KO19PSi2の計算値: 1575.816 [M + K]+; 観測値: 1575.817.
【化23】
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【実施例】
【0079】
(2-5)ポリヌクレオチドの合成
5’位水酸基が4,4'-ジメトキシトリルで保護され、且つ3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン)と、3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたエチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを用いて、DNA自動合成機を利用して、ホスホロアミダイト法によって所定の塩基配列となるようにポリヌクレオチドを固相合成した。
【実施例】
【0080】
3.用いた測定装置と試薬の情報
1H, 13C, 31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、400 MHz FT NMR Bruker BioSpin AVANCE III 400 spectrometerを用いて測定した。エレクトロスプレーイオン化飛行時間質量分析計 (ESI-TOF MS)スペクトルは、Bruker microTOF-Q II-S1を用い、ポジティブモードで、メタノールを溶媒として用いて測定した。N,N-ジイソプロピルエチルアミンはSigma-Aldrichから購入した。クロロイソプロピルシラン、ヨウ化銅(I)、イミダゾールはナカライテスクから購入した。N,N-ジイソプロピルクロロホスホアミダイト、水素化ナトリウム、2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、氷酢酸、プロパルギルブロミドは、和光純薬工業から購入した。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、トリチルクロリド、テトラエチレングリコールは東京化成工業から購入した。脱水塩化メチレン、脱水N,N-ジメチルホルムアミド、脱水テトラヒドロフランは関東化学から購入し、使用直前にGlass-Contourシステムの2本のカラムを通して使用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、関東化学から購入したSilica Gel 60 (球状, 中性, 粒径: 63-210 μm)、または富士シリシア化学から購入したChromatorex-NH silica (NH DM 1020, 球状, 粒径: 75-150 μm, 細孔径: 10 nm)を用いて行った。
【実施例】
【0081】
4.四重鎖及び二重鎖構造の安定性の評価
エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドがDNA構造に及ぼす影響を検討するため、四重螺旋構造を形成するDNA鎖(Q1)に直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数1、4、又は8)を導入したポリヌクレオチド(Q1-X、Q1-Y、Q1-Z)を合成した。また、四重螺旋構造を形成するDNA鎖(Q1)に分岐型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(付加モル数4のエチレンオキサイドが2本結合)を導入したポリヌクレオチド(Q1-X2)を合成した。更に、重螺旋構造を形成するDNA鎖(D1)に直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数8)を導入したポリヌクレオチド(Q1-X)も合成した。Q1、Q1-X、Q1-Y、Q1-Z、Q1-X2、D1、及びD1-Xの塩基配列は表1に示す通りである。Q1、Q1-X、Q1-Y、Q1-Z、及びQ1-X2は、図1に示すように四重螺旋構造を形成する。また、D1及びD1-Xは、図2に示すように二重螺旋構造を形成する。
【実施例】
【0082】
【表1】
JP2016210719A_000025t.gif
【実施例】
【0083】
100 mM KCl, 10 mM K2HPO4, 1 mM K2EDTAを含む溶液に5 μMのポリヌクレオチドを溶解させ、90℃から0℃まで0.5℃/分で降温させたのち、15分以上静置した。その後、分光光度計で0.5℃/分昇温させ四重鎖は295 nmで、二重鎖は260 nmにおける融解挙動を測定した。
【実施例】
【0084】
得られた結果を図3に示す。この結果、エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入したポリヌクレオチドでは、これを導入していないポリヌクレオチドに比べて、安定性が向上していることが確認された。特に、DNA構造の融解温度(Tm)の値は、D1、D1-X、Q1及び Q1-Xでそれぞれ74.3、73.8、50.7及び 58.8 oCとなった。即ち、エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入することにより、二重螺旋構造は不安定化されるが、四重螺旋構造は安定化されることが明らかとなった。
【実施例】
【0085】
5.逆転写反応の抑制
HIV-1由来のRNAを鋳型にして逆転反応を行い、エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドが付加された四重鎖が逆転写反応に及ぼす影響を解析した。HIV-1由来の鋳型RNA(配列番号1)は一部に、GGG(49~51位)という配列をもつ(このGGGは通常は何の構造も形成しない)。先ず、このGGG部位の5’末端側に位置する塩基配列(19~34位)に相補的な配列をもつDNA1(配列番号2)と、配列番号1の19~34位の塩基配列に対して相補的な配列とリンカー部位、鋳型RNAのGGG部位と四重鎖を形成する配列をもつDNA2(配列番号3)を合成した。DNA2の塩基配列(配列番号3)において、1~3位、7~9位、及び13~15位の各GGGがGカルテット形成部位に該当し、4~6位、10~12位、及び16~18位の各配列がループ配列に該当し、19~28位の配列がリンカー部位に該当し、29~44位の配列が配列番号1の19~34位の塩基配列に対する相補的な配列に該当する。DNA2の塩基配列(配列番号3)において、ループ配列に位置する5位の塩基は、直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数4)の塩基(X)によって形成されている。鋳型RNA、DNA1、DNA2、及びプライマーDNAの塩基配列を表2に示す。
【実施例】
【0086】
【表2】
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【実施例】
【0087】
また、鋳型RNA(配列番号1)の43~57位塩基配列に対して相補的なDNA(配列番号4)の5’末端にフルオレセイン修飾したDNAを逆転写反応のプライマーDNAとして用いて、以下の試験を行った。
【実施例】
【0088】
30 mM KCl, 40 mM Tris-HCl (pH 8.0), 8 mM MgCl2, and 2 mM spermidineを含む溶液に、0.5 μM primer DNA、1μM 鋳型RNA、2μM DNA1又はDNA2を添加し、90℃から37℃まで0.5℃/分で降温させ、15分以上静置した。その後、1 mM dNTPs, 2Uの逆転写酵素を添加し、60分間の逆転写反応を行った。10%変性アクリルアミドゲル電気泳動によって、生産されたDNAを解析した。
【実施例】
【0089】
電気泳動を行った結果を図4に示す。図4中、レーン1には、DNA1及びDNA2いずれも添加せずに逆転写反応を行った結果を示しており、この場合には鋳型RNAの5'末端までプライマーDNAの伸長が起きたことを示すDNA産物が確認された。図4中、レーン2及び3にはDNA1又はDNA2を添加して逆転写反応を行った結果を示しており、レーン2では鋳型RNAの5'末端までプライマーDNAの伸長が起きたことを示すDNA産物が確認されたが、レーン3では逆転写反応によるプライマー伸長が確認されたかった。即ち、これらの結果から、DNA2がプライマーと結合し、安定な四重鎖が形成されることによって逆転写反応が抑制されることが示された。
【実施例】
【0090】
6.ヌクレアーゼ耐性の評価
ヌクレアーゼが、エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドが付加されたポリヌクレオチドに及ぼす影響を検討するために、表3に示す35塩基のポリヌクレオチド(DNA3)、及びDNA3と同じ塩基配列で一か所のチミンを直鎖型エチレンオキサイド化デオキシヌクレオシド(エチレンオキサイドの付加モル数4)の塩基(X)に置き換えたポリヌクレオチド(DNA4)を設計した。これらのポリヌクレオチド5μMを、30 mM KCl, 40 mM Tris-HCl (pH 8.0), 8 mM MgCl2及び2 mMジチオトレイトールを含む溶液に溶解させ、1 unitのDNase Iと共に、37℃において15分静置した。その後、20%変性アクリルアミドゲル電気泳動によって、DNAを解析した。
【実施例】
【0091】
【表3】
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【実施例】
【0092】
得られた結果を図5に示す。図5から明らかなように、DNA3はヌクレアーゼによって完全に分解されたが、DNA4はヌクレアーゼに対する耐性を示し、その構造を安定に維持できていた。即ち、本試験結果から、ポリヌクレオチドにエチレンオキサイド化デオキシヌクレオシドを導入することによって、ヌクレアーゼの耐性を付与できることが示された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4