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明細書 :無限配位高分子(ICPs)を用いた一酸化炭素放出材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-145248 (P2018-145248A)
公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
発明の名称または考案の名称 無限配位高分子(ICPs)を用いた一酸化炭素放出材料
国際特許分類 C08G  79/00        (2006.01)
A61K  33/00        (2006.01)
A61K  31/555       (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P   1/04        (2006.01)
FI C08G 79/00
A61K 33/00
A61K 31/555
A61P 29/00
A61P 1/04
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2017-039426 (P2017-039426)
出願日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明者または考案者 【氏名】池村 周也
【氏名】古川 修平
【氏名】北川 進
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
4J030
Fターム 4C086AA03
4C086DA31
4C086HA06
4C086HA21
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA05
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA66
4C086ZB11
4J030CA02
4J030CA03
4J030CB07
4J030CB10
4J030CC29
4J030CG16
4J030CG29
要約 【課題】無限配位高分子(ICPs)を用いたCO放出材料の提供。
【解決手段】カルボニル錯体と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから成る無限配位高分子(ICPs)であって、前記2個以上のイミダゾール基を有する配位子が、イミダゾール基を含む化合物と、炭素数10の縮合芳香族環、炭素数6の芳香環又は炭素数5~6の脂肪族環を有してもよい2個のブロモ基を有する脂肪族炭化水素化合物とから合成される配位子であり、前記カルボニル錯体が、マンガンを含む錯体であるICPs。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
カルボニル錯体と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから成る無限配位高分子。
【請求項2】
前記2個以上のイミダゾール基を有する配位子が、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから合成される配位子である、請求項1に記載の無限配位高分子。
【請求項3】
前記イミダゾール基を含む化合物が、
下記一般式(1):
【化1】
JP2018145248A_000018t.gif
(式(1)中、Rは、
2位 : Me, Et, Pr, i-Pr, Bu, Ph, COMe, CHO, NO2, SH, Cl, Br, 又はIを示す;
4位 : Me, Ph, COMe, CN, CHO, NO2, Cl, Br, 又はIを示す;
5位 : CN, Ph, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Bu : C4H9-, Ph : C6H6-)である。)
で表される化合物、及び、
下記一般式(2):
【化2】
JP2018145248A_000019t.gif
(式(2)中、R’は、
2位 : Me, Et, Ph, COMe, Cl, 又はBrを示す;
5位 : Me, OMe, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Ph : C6H6- )である。)
で表される化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、
請求項2に記載の無限配位高分子。
【請求項4】
前記ブロモ基を有する化合物が、
下記一般式(3):
【化3】
JP2018145248A_000020t.gif
(式(3)中、Rは、
3,6-diBr, 1,8-diBr, 3,4,6,7-tetraMe, 3,6-diBrMe, 又は3,4,6,7-tetraBrMe
(Me : CH3-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(4):
【化4】
JP2018145248A_000021t.gif
(式(4)中、R’は、
4-Me, 4-Br, 4-BrMe, 7-Br, 3,5,7-triMe-4-BrMe, 又は3,5,7-triEt-4-BrMe
(Me : CH3-, Et : C2H5-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(5):
【化5】
JP2018145248A_000022t.gif
(式(5)中、R’’は、
n = 1 : Me, Cl, Br, I, diMe, diCl, 又はdiBrを示す;
n = 2 : Me, Et, ClMe, BrMe, 1,1-diMe, 1,2-diMe, 1,1-diCl, 又は1,2-diBrを示す;
n = 3 : 1-Me, 2-Me, 2-Br, 又は1,1-diMeを示す;
n = 4 : 1,-Me, 又は2,3-diBrを示す;
n = 5 : 3-Meを示す;
n = 6 : 2,5-diBrを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-)である。
nは1~12の整数である。)
で表される化合物、
【化6】
JP2018145248A_000023t.gif
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、
請求項2又は3に記載の無限配位高分子。
【請求項5】
前記カルボニル錯体が、マンガンを含む錯体である、請求項1~4のいずれかに記載の無限配位高分子。
【請求項6】
請求項1~5の無限配位高分子を用いた、一酸化炭素放出材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無限配位高分子(ICPs)を用いた一酸化炭素放出材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素(CO)は、臓器や脳への影響が有り、ヘモグロビンと結合し、致死性(150ppm以上)も有ることから、人間が吸入すると、有毒ガスとしての特徴が有る。
【0003】
COは、酸化還元状態の制御、細胞保護、抗炎症作用、血管への作用等、生理活性ガスとしての特徴も有る。COは、特に腸内では、CO濃度が200ppm以上で抗炎症作用を示す。炎症性腸疾患(IBD)の治療薬としての使用が期待される。
【0004】
人間の体内に、COを生理活性成分として取り込む為には、COを固体状態で体内に導入する必要がある(図1)。
【0005】
本発明者等は、既に、多孔性配位高分子(PCPs:Porous Coordinate Polymer)を用いて、CO放出フレームワーク(CORF)を合成している(図2)。
【0006】
PCPsは高い設計性を有し、PCPsを用いたCO放出材料(CORF)を用いることでトリガーとなる吸収波長の制御が可能である。PCPsは多孔性を有し、PCPsを用いたCO放出材料を用いることで高いCO導入量が可能である。PCPsはサイズ制御が可能であり、PCPsを用いたCO放出材料を用いることでCO放出量の制御が可能である。CO放出材料にPCPsを用いることで、CO導入量、放出量等の制御が可能である。
【0007】
本発明者等は、PCPsを用いてCO放出材料を合成し、固体状態における光駆動型CO放出を確認している。本発明者等は、PCPsの特性を活かしたチューニングにより、高いCO導入量、放出量を実現している。しかしながら、これまでのPCPsを用いたCO放出材料は、生体応用に必須となるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での安定性が低いという点について、改良の余地があった。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】Leo E. Otterbein et al, Nat. Rev. Drug Discov., 2010, 9, 728
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
結晶性のPCPsは、溶液処理に弱いという点について、改良の余地があった。
【0010】
結晶性のPCPsとは別に、非晶質性の無限配位高分子(ICPs:Infinite Coordinate Polymer)がある(図3)。
【0011】
ICPsは高い設計性を有し、ICPsを用いたCO放出材料を用いることでトリガーとなる吸収波長の制御が可能である。ICPsはサイズ制御が可能であり、ICPsを用いたCO放出材料を用いることでCO放出量の制御が可能である。
【0012】
ICPsは、溶液処理に強い。ICPsが溶液処理に強いことに着目し、ICPsを用いることで生体応用に必須となるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でも安定なCO放出材料を開発できる。
【0013】
本発明は、ICPsを用いたCO放出材料を提供する。
【0014】
本発明は、イミダゾール基を有する配位子を用いて合成したICPsを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
イミダゾール系配位子を含むCO放出材料は、生理学的溶媒中で安定なことが確認されている(図4及び5)。
【0016】
本発明者らは、イミダゾール基を有する配位子を用いてICPsを合成した。本発明者らは、マンガン錯体と複数のイミダゾール基を有する配位子とから構成される無限配位高分子(ICPs)を用いたCO放出材料を提供する。
【0017】
本発明は、下記にICPsを用いたCO放出材料である(図6)。
【0018】
イミダゾール基を有する配位子は、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから、SN2反応により、合成することができる(図7)。
【0019】
項1.
カルボニル錯体と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから成る無限配位高分子。
【0020】
本発明では、2個以上の金属配位部位を有する架橋配位子として、2個以上のイミダゾール基を有する配位子を好ましく用いることができる。つまり、金属配位部位はイミダゾール基であることが好ましい。
【0021】
項2.
前記2個以上のイミダゾール基を有する配位子が、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから合成される配位子である、前記項1に記載の無限配位高分子。
【0022】
項3.
前記イミダゾール基を含む化合物が、
下記一般式(1):
【0023】
【化1】
JP2018145248A_000002t.gif

【0024】
(式(1)中、Rは、
2位 : Me, Et, Pr, i-Pr, Bu, Ph, COMe, CHO, NO2, SH, Cl, Br, 又はIを示す;
4位 : Me, Ph, COMe, CN, CHO, NO2, Cl, Br, 又はIを示す;
5位 : CN, Ph, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Bu : C4H9-, Ph : C6H6-)である。)
で表される化合物、及び、
下記一般式(2):
【0025】
【化2】
JP2018145248A_000003t.gif

【0026】
(式(2)中、R’は、
2位 : Me, Et, Ph, COMe, Cl, 又はBrを示す;
5位 : Me, OMe, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Ph : C6H6- )である。)
で表される化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、
前記項2に記載の無限配位高分子。
【0027】
項4.
前記ブロモ基を有する化合物が、
下記一般式(3):
【0028】
【化3】
JP2018145248A_000004t.gif

【0029】
(式(3)中、Rは、
3,6-diBr, 1,8-diBr, 3,4,6,7-tetraMe, 3,6-diBrMe, 又は3,4,6,7-tetraBrMe
(Me : CH3-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(4):
【0030】
【化4】
JP2018145248A_000005t.gif

【0031】
(式(4)中、R’は、
4-Me, 4-Br, 4-BrMe, 7-Br, 3,5,7-triMe-4-BrMe, 又は3,5,7-triEt-4-BrMe
(Me : CH3-, Et : C2H5-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(5):
【0032】
【化5】
JP2018145248A_000006t.gif

【0033】
(式(5)中、R’’は、
n = 1 : Me, Cl, Br, I, diMe, diCl, 又はdiBrを示す;
n = 2 : Me, Et, ClMe, BrMe, 1,1-diMe, 1,2-diMe, 1,1-diCl, 又は1,2-diBrを示す;
n = 3 : 1-Me, 2-Me, 2-Br, 又は1,1-diMeを示す;
n = 4 : 1,-Me, 又は2,3-diBrを示す;
n = 5 : 3-Meを示す;
n = 6 : 2,5-diBrを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-)である。
【0034】
nは1~12の整数である。)
で表される化合物、
【0035】
【化6】
JP2018145248A_000007t.gif

【0036】
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、
前記項2又は3に記載の無限配位高分子。
【0037】
項5.
前記カルボニル錯体が、マンガンを含む錯体である、前記項1~4のいずれかに記載の無限配位高分子。
【0038】
項6.
前記項1~5の無限配位高分子を用いた、一酸化炭素放出材料。
【発明の効果】
【0039】
本発明のマンガン錯体と複数のイミダゾール基を有する配位子とから構成されるICPsは、CO放出材料として機能する(図8)。
【0040】
本発明のICPsは、光照射によりCOを放出することができる。
【0041】
本発明のICPsは、例えば3つのイミダゾール配位子が配位した構造を有している。
【0042】
本発明のICPsは、反応温度を変化させることで粒子サイズを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、人間の体内に、COを生理活性成分として取り込む為には、COを固体状態で体内に導入する必要があることを示す。
【図2】図2は、結晶性の多孔性配位高分子(PCPs)を示す。
【図3】図3は、非晶質性の無限配位高分子(ICPs)を示す。
【図4】図4は、イミダゾール系配位子を示す。
【図5】図5は、イミダゾール系配位子を含むCO放出材料が、生理学的溶媒中で安定なことが確認されていることを示す。
【図6】図6は、本発明のICPsを用いたCO放出材料を表す。
【図7】図7は、本発明のICPsで用いたイミダゾール基を有する配位子は、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから、SN2反応により、合成することができることを示す。
【図8】図8は、本発明のマンガン錯体と複数のイミダゾール基を有する配位子とから構成されるICPsを示す。
【図9】図9は、本発明で使用するイミダゾール基を含む化合物を示す。
【図10】図10は、本発明で使用するブロモ基を有する化合物を示す。
【図11】図11は、本発明で使用する2個以上のイミダゾール基を有する配位子の好ましい例を示す。
【図12】図12は、本発明のICPsを示す。
【図13】図13は、実施例で製造した配位子L1及び配位子L2を示す。
【図14】図14は、実施例で製造したICPs(CP1)を示す。
【図15】図15は、モデル錯体MnIm3を示す。
【図16】図16は、モデル錯体MnIm3を示す。
【図17】図17は、本発明のICPs(CP1)のIRスペクトルを示す。
【図18】図18は、本発明のICPs(CP1)のUV-visスペクトルを示す。
【図19】図19は、本発明のICPs(CP1)のPDF解析を示す。
【図20】図20は、本発明のICPs(CP1)のPDF解析を示す。
【図21】図21は、本発明のICPs(CP1)を示す。
【図22】図22は、本発明のICPs(CP1)の温度による粒子サイズ制御を示す。
【図23】図23は、本発明のCP1の固体状態からのCO放出を測定したを示す。
【図24】図24は、本発明のCP1では、CO放出が検出されたことを示す。
【図25】図25は、実施例で製造したICPs(CP2)をを示す。
【図26】図26は、本発明のICPs(CP2)のIRスペクトルを示す。
【図27】図27は、本発明のICPs(CP2)のUV-visスペクトルを示す。
【図28】図28は、本発明のICPs(CP2)のPDF解析を示す。
【図29】図29は、本発明のCP2の固体状態からのCO放出を測定したを示す。
【図30】図30は、本発明のCP2では、CO放出が検出されたことを示すを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の無限配位高分子(ICPs)及びICPsを用いた一酸化炭素(CO)放出材料を説明する。

【0045】
(1)無限配位高分子(ICPs)
無限配位高分子(ICPs:Infinite Coordinate Polymer)は、非晶質性である(図3)。

【0046】
ICPsは、カルボニル錯体と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから成る。

【0047】
前記カルボニル錯体は、マンガンを含む錯体であることが好ましい(図6)。

【0048】
ICPsは、マンガン錯体と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから成ることが好ましい。

【0049】
(1-1)カルボニル錯体
カルボニル錯体は、マンガンを含む錯体(マンガン錯体)であることが好ましい。

【0050】
マンガン錯体として、カルボニル基を多く有している、可視光領域に吸収を有している、分子量が小さい等の化合物であることが好ましい(図8)。

【0051】
マンガン錯体として、例えば、以下の化合物を好ましく用いることができる。

【0052】
【化7】
JP2018145248A_000008t.gif

【0053】
ICPsは、前記マンガン錯体の少なくとも1つの化合物から成ることが好ましい。

【0054】
(1-2)2個以上のイミダゾール基を有する配位子
本発明では、2個以上の金属配位部位を有する架橋配位子として、2個以上のイミダゾール基を有する配位子を好ましく用いることができる。つまり、金属配位部位はイミダゾール基であることが好ましい。

【0055】
2個以上のイミダゾール基を有する配位子は、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから合成される配位子である(図7)。

【0056】
イミダゾール基を含む化合物
イミダゾール基を含む化合物は、
下記一般式(1):

【0057】
【化8】
JP2018145248A_000009t.gif

【0058】
(式(1)中、Rは、
2位 : Me, Et, Pr, i-Pr, Bu, Ph, COMe, CHO, NO2, SH, Cl, Br, 又はIを示す;
4位 : Me, Ph, COMe, CN, CHO, NO2, Cl, Br, 又はIを示す;
5位 : CN, Ph, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Bu : C4H9-, Ph : C6H6-)である。)
で表される化合物、及び、
下記一般式(2):

【0059】
【化9】
JP2018145248A_000010t.gif

【0060】
(式(2)中、R’は、
2位 : Me, Et, Ph, COMe, Cl, 又はBrを示す;
5位 : Me, OMe, 又はClを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-, Pr : C3H7-, Ph : C6H6- )である。)
で表される化合物等、SN2反応が可能なアミノ基を有している、マンガン錯体と反応可能な配位サイトを有している等の化合物であることが好ましい(図9)。

【0061】
イミダゾール基を含む化合物は、

【0062】
【化10】
JP2018145248A_000011t.gif

【0063】
が好ましい。

【0064】
2個以上のイミダゾール基を有する配位子を構成するイミダゾール基を含む化合物は、前記イミダゾール基を含む化合物の少なくとも1つの化合物から成ることが好ましい。

【0065】
ブロモ基を有する化合物
ブロモ基を有する化合物は、
下記一般式(3):

【0066】
【化11】
JP2018145248A_000012t.gif

【0067】
(式(3)中、Rは、
3,6-diBr, 1,8-diBr, 3,4,6,7-tetraMe, 3,6-diBrMe, 又は3,4,6,7-tetraBrMe
(Me : CH3-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(4):

【0068】
【化12】
JP2018145248A_000013t.gif

【0069】
(式(4)中、R’は、
4-Me, 4-Br, 4-BrMe, 7-Br, 3,5,7-triMe-4-BrMe, 又は3,5,7-triEt-4-BrMe
(Me : CH3-, Et : C2H5-)を示す。)
で表される化合物、
下記一般式(5):

【0070】
【化13】
JP2018145248A_000014t.gif

【0071】
(式(5)中、R’’は、
n = 1 : Me, Cl, Br, I, diMe, diCl, 又はdiBrを示す;
n = 2 : Me, Et, ClMe, BrMe, 1,1-diMe, 1,2-diMe, 1,1-diCl, 又は1,2-diBrを示す;
n = 3 : 1-Me, 2-Me, 2-Br, 又は1,1-diMeを示す;
n = 4 : 1,-Me, 又は2,3-diBrを示す;
n = 5 : 3-Meを示す;
n = 6 : 2,5-diBrを示す;
(Me : CH3-, Et : C2H5-)である。

【0072】
nは1~12の整数である。)
で表される化合物、

【0073】
【化14】
JP2018145248A_000015t.gif

【0074】
等、SN2反応が可能なブロモ基を有している、マンガン錯体と反応可能な配位サイトを有していない、柔軟な構造である等の化合物であることが好ましい(図10)。

【0075】
ブロモ基を有する化合物は、

【0076】
【化15】
JP2018145248A_000016t.gif

【0077】
等が好ましい。

【0078】
2個以上のイミダゾール基を有する配位子を構成するブロモ基を有する化合物は、前記ブロモ基を有する化合物の少なくとも1つの化合物から成ることが好ましい。

【0079】
(1-2)2個以上のイミダゾール基を有する配位子の製造
2個以上のイミダゾール基を有する配位子は、イミダゾール基を含む化合物とブロモ基を有する化合物とから、SN2反応により、合成される(図7)。

【0080】
SN2反応では、ナトリウムヒドリド(NaH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等の強塩基を使用することが好ましい。

【0081】
SN2反応では、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル(CH3CN)等の溶媒中で行うことが好ましい。

【0082】
SN2反応は、40~70℃、3~6時間程度、撹拌しながら行うことが好ましい。

【0083】
2個以上のイミダゾール基を有する配位子として、例えば、イミダゾール基が2つあり、その間にフェニル基を有する化合物や、イミダゾール基が2つあり、その間がアルキル基のみからなる化合物を合成することができる(図11)。

【0084】
2個以上のイミダゾール基を有する配位子は、

【0085】
【化16】
JP2018145248A_000017t.gif

【0086】
等、柔軟な構造をしている、疎水性である、マンガン錯体と反応可能な配位サイトを有している等が好ましい。

【0087】
(2)ICPsの製造
ICPsは、カルボニル錯体(好ましくはマンガン錯体)と2個以上のイミダゾール基を有する配位子とから合成される(図6及び12)。

【0088】
マンガン錯体と2個のイミダゾール基を有する配位子とから、無限配位高分子(ICPs)CP1を合成する際に、反応温度を調整することで、ICPsの粒子サイズを制御することが可能である。

【0089】
反応温度は、20~65℃が好ましい。

【0090】
反応時間は、12~24時間が好ましい。

【0091】
反応温度を、例えば65℃(12時間)でICPsを合成すると、ICPsの粒子サイズを3 μm程度に制御できる。

【0092】
反応温度を、例えば、室温(20~30℃)(1日)でICPsを合成すると、ICPsの粒子サイズを1 μm程度に制御できる。

【0093】
ICPsの粒子サイズは、3μm以下が好ましい。

【0094】
(3)無限配位高分子一酸化炭素放出材料(ICPs-CO放出材料)
本発明の無限配位高分子(ICPs)は、疎水性の分子を配位子として用いていることから、生体応用に必須となるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で安定である。そのため一酸化炭素(CO)放出材料として良好に機能する。
【実施例】
【0095】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明する。
【実施例】
【0096】
(1)2個以上のイミダゾール基を有する配位子の製造
イミダゾール基が2つあり、その間にフェニル基を有する配位子L1を製造した(図13)。
【実施例】
【0097】
イミダゾール基が2つあり、その間がアルキル基のみからなる配位子L2を製造した(図13)。
【実施例】
【0098】
(2)ICPsの製造(CP1)
イミダゾール基が2つあり、その間にフェニル基を有する配位子L1を用いた。
【実施例】
【0099】
カルボニル錯体としてマンガン錯体を用い、2個のイミダゾール基を有する配位子L1とから、無限配位高分子(ICPs)CP1を合成した(図14)。
【実施例】
【0100】
材料CP1は非晶質であるため、分子の構造を決定することが難しかった。
【実施例】
【0101】
類似のイミダゾール系配位子を用いて、モデル錯体MnIm3を合成した(図15及び16)。
【実施例】
【0102】
セルパラメータ
Crystal system:Monoclinic
Space group:P21/n
a (Å):7.0995(9)
b (Å):17.635(2)
c (Å):12.7438(14)
β (°):96.335(6)
V (Å3):1585.78
Z:4
R1[I>2σ(I)]:0.0468
wR2(all data):0.1145
【実施例】
【0103】
単結晶構造解析の結果、ICPsは、イミダゾール配位子が3つ、フェイシャル型で配位していることが確認された。
【実施例】
【0104】
CP1の分子情報
IRスペクトルから、ほぼ同じ位置にCO伸縮振動のピークが確認された(図17)。
【実施例】
【0105】
UV-visスペクトルから金属配位子間電荷移動遷移(MLCT)による吸収が確認された(図18)。
【実施例】
【0106】
CP1の原子対相関関数(PDF)を用いた構造解析
PDF解析により得た原子間距離の情報から、マンガン周りはモデル錯体と同様であることが確認された(図19及び20)。
【実施例】
【0107】
CP1は、IRスペクトル、UV-visスペクトル、PDF解析から、モデル錯体と同様の構造をとっていることが示唆された(図21)。
【実施例】
【0108】
(3)ICPs(CP1)の温度による粒子サイズ制御
マンガン錯体と2個のイミダゾール基を有する配位子(L1)とから、無限配位高分子(ICPs)CP1を合成する際に、反応温度を(i)65℃、又は(ii)室温で反応を行った。
【実施例】
【0109】
反応温度を(i)65℃(12時間)でICPsを合成した時は、CP1の粒子サイズは3 μm程度であった(CP1(large))。
【実施例】
【0110】
反応温度を(ii)室温(1日)でICPsを合成した時は、CP1の粒子サイズは1 μm程度であった(CP1(small))。
【実施例】
【0111】
反応温度を変化させることにより、ICPsの粒子サイズを制御することが可能であった(図22)。
【実施例】
【0112】
(4)ICPs(CP1)によるCO放出効率の測定
CP1の固体状態からのCO放出を測定した(図23)。
【実施例】
【0113】
モデル錯体MnIm3では、CO放出はほとんど検出されなかった。
【実施例】
【0114】
CP1では、CO放出が検出された(図24)。
【実施例】
【0115】
CP1のCO放出効率は、CP1の粒子サイズが小さい方が高いことが確認された。
【実施例】
【0116】
(5)ICPsの製造(CP2)
イミダゾール基が2つあり、その間がアルキル基のみからなる配位子L2を用いた。
【実施例】
【0117】
マンガン錯体と2個のイミダゾール基を有する配位子L2とから、無限配位高分子(ICPs)CP2を合成した(図25)。
【実施例】
【0118】
L2を用いて合成したICPsは、ゲルが生成した。
【実施例】
【0119】
IRスペクトル、UV-visスペクトル、PDF解析から、CP1と同様に、モデル錯体と同様の構造をとっていることが示唆された(図26~28)。
【実施例】
【0120】
(6)ICPs(CP2)によるCO放出効率の測定
固体状態からのCO放出を測定した(図29)。
【実施例】
【0121】
CP2では、モデル錯体に比べて、CO放出効率が高くなった(図30)。
【実施例】
【0122】
(7)まとめ
モデル錯体との比較により、CP1及びCP2は、3つのイミダゾール配位子が配位した構造を有していた(図8)。
【実施例】
【0123】
L1及びL2を用いて無限配位高分子CP1及びCP2を合成し、光照射によりCOを放出することを確認した。
【実施例】
【0124】
比較のために合成したモデル錯体では、CO放出はほとんど確認されなかった。
【実施例】
【0125】
CP1は、反応温度を変化させることで粒子サイズを制御できた。
【実施例】
【0126】
本発明のマンガン錯体と複数のイミダゾール基を有する配位子とから構成される非晶質性の無限配位高分子(ICPs)は、CO放出材料として良好に機能する。
【実施例】
【0127】
ICPsは高い設計性を有し、ICPsを用いたCO放出材料を用いることでトリガーとなる吸収波長の制御が可能である。ICPsはサイズ制御が可能であり、ICPsを用いたCO放出材料を用いることでCO放出量の制御が可能である。
【実施例】
【0128】
ICPsは、溶液処理に強く、ICPsを用いることで(生体応用に必須となるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でも安定なCO放出材料を作製できた。
【実施例】
【0129】
本発明は、ICPsを用いたCO放出材料を提供することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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