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明細書 :工作機械の幾何誤差測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6803043号 (P6803043)
公開番号 特開2018-128328 (P2018-128328A)
登録日 令和2年12月2日(2020.12.2)
発行日 令和2年12月23日(2020.12.23)
公開日 平成30年8月16日(2018.8.16)
発明の名称または考案の名称 工作機械の幾何誤差測定方法
国際特許分類 G01B  21/00        (2006.01)
G01B  11/00        (2006.01)
B23Q  17/00        (2006.01)
B23Q  17/24        (2006.01)
FI G01B 21/00 F
G01B 11/00 D
B23Q 17/00 A
B23Q 17/24 B
請求項の数または発明の数 13
全頁数 22
出願番号 特願2017-020876 (P2017-020876)
出願日 平成29年2月8日(2017.2.8)
審査請求日 令和元年11月27日(2019.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
発明者または考案者 【氏名】茨木 創一
【氏名】洪 策符
【氏名】西川 静雄
【氏名】下池 昌広
個別代理人の代理人 【識別番号】100104662、【弁理士】、【氏名又は名称】村上 智司
審査官 【審査官】櫻井 仁
参考文献・文献 特開2014-215079(JP,A)
特開2015-051493(JP,A)
特開2003-251546(JP,A)
米国特許出願公開第2002/0126297(US,A1)
特開2015-202556(JP,A)
茨城創一、西川静雄他,レーザ変位計を用いた机上測定による5軸工作機械の旋回軸の誤差運動の評価,精密工学会大会学術講演会講演論文集,日本,2013年,2013秋季
調査した分野 G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
B23Q 17/00-23/00
特許請求の範囲 【請求項1】
工具を保持して回転させる主軸と、
ワークが取り付けられるテーブルと、
前記主軸とテーブルとを、前記主軸の軸線に平行なZ軸、該Z軸に直交するX軸、並びに前記X軸及びZ軸に直交するY軸の直交3軸方向にそれぞれ相対的に移動させるZ軸送り装置,X軸送り装置及びY軸送り装置と、
前記主軸とテーブルとを相対的に回転させる少なくとも一つの回転送り装置と、
前記X軸送り装置,Y軸送り装置,Z軸送り装置及び回転送り装置をそれぞれ数値制御する数値制御装置とを備えた工作機械の、前記回転送り装置に係る回転軸の幾何誤差を測定する方法であって、
物体を非接触状態で検出する検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記検出装置によって検出される前記工具の、前記X軸,Y軸及びZ軸を座標軸とした三次元空間内における検出位置を認識し、
次に、前記回転送り装置により前記主軸とテーブルとを相対的に前記回転軸回りに予め設定した角度回転させるとともに、回転後に前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における各検出位置を基に、前記回転送り装置に係る前記回転軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項2】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面に直交し、且つ前記Z軸と平行なC軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるC軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記テーブル上面と平行になり、且つ前記X軸又はY軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記レーザ光が前記X軸又はY軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルをC軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における4つの検出位置を基に、前記C軸送り装置に係る前記C軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項3】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるB軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、上面が前記Z軸と直交する回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項4】
更に、前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項3記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項5】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるB軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項6】
更に、前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項5記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項7】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるD軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、上面が前記Z軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、レーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交した状態となるように、前記検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記テーブル上面が前記Z軸と直交する回転位置に該テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項8】
更に、前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項7記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項9】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるD軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交するように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項10】
更に、前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項9記載の工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項11】
前記検出装置によって検出される前記工具の検出位置を前記数値制御装置から取得するようにしたことを特徴とする請求項1乃至10記載のいずれかの工作機械の幾何誤差測定方法。
【請求項12】
前記検出装置は、前記テーブルと前記主軸が相対移動する動作領域外の待機位置に配設されており、幾何誤差測定時に、前記検出装置を待機位置から前記テーブル上に搬送して固定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至11記載のいずれかの工作機械の幾何学誤差測定方法。
【請求項13】
前記工作機械の加工領域内の雰囲気温度、又は前記工作機械の各構成要素の温度を、該工作機械で実行される加工時の温度と見做せる温度に設定した後、前記幾何誤差測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至12記載のいずれかの工作機械の幾何誤差測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の幾何誤差を測定する方法に関し、特に、主軸とテーブルとを相対的に回転させる回転送り装置について、その回転軸に係る幾何誤差を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工作機械の分野では、相互に直交する直進3軸方向の送り装置であるX軸送り装置、Y軸送り装置及びZ軸送り装置に加えて、主軸とテーブルとを相対的に回転させる2つの回転送り装置を備えた所謂5軸工作機械が多く用いられるようになってきている。
【0003】
この5軸工作機械は、複雑な加工を行うことができるという利点を有する反面、単純な直進3軸の工作機械に比べて高い加工精度が得られ難いという一面を有する。その原因の一つとしては、5軸工作機械は直進3軸に加えて2つの回転軸を有し、しかも各軸が直列に繋がった構成を備えているため、各軸の組み立て誤差、即ち、各軸の取り付け位置及び向きに係る誤差が累積的に積み重なって大きな誤差になるものと考えらえる。また、5軸工作機械はこのような機械構造を有するものであるため、熱変形や経年変化の影響を受け易く、このことも一因であると考えられる。
【0004】
そこで、前記X軸送り装置、Y軸送り装置及びZ軸送り装置の送り精度や各送り軸の幾何誤差、並びに各回転送り装置の送り精度やその回転軸の幾何誤差を機上で測定する試みがなされている。特に、回転軸の幾何誤差の測定については、近時、鋭意研究がなされているところであり、その一つとして、下記非特許文献1に開示される測定方法が提案されている。尚、前記幾何誤差とは、各送り軸及び回転軸に係る軸平均線の位置及び向きの誤差を意味し、ISO 230-7:2015に規定される「location errors」に相当するものである。
【0005】
この非特許文献1に開示された測定方法は、伸縮可能なバーの両端にそれぞれボールを備えた所謂ダブルボールバーを用いるものである。具体的には、一方のボール側をテーブルに装着し、他方のボール側を工作機械の主軸に装着した状態で、前記回転軸を中心にテーブルを回転させるとともに、これと同期させて、直進送り軸により前記主軸を前記バーの長さが理論上変化しないように3次元空間内で移動させ、そのときのバーの伸縮量を測定する。そして、得られた測定値、及び所定の理論計算式を基に、前記回転軸の幾何誤差を算出する。
【0006】
この他、被加工物の形状を計測するためのタッチプローブを用いて、前記回転軸の幾何誤差を測定する方法も、従来、提案されている。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】登根慎太郎、加藤教之、堤正臣著 「幾何偏差の測定及び補正による5軸制御マシニングセンタの工具経路精度の向上」 日本機械学会論文集(C編)78巻794号(2012-10) 第227頁~第238頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述した非特許文献1に開示される測定方法は、主軸にダブルボールバーを装着した状態で行うものであり、測定時には当該主軸の回転を停止する必要があるため、実際の加工状態に近い状態、即ち、主軸が回転している状態の前記幾何誤差を測定することができないという問題があった。このことは、タッチプローブを用いる測定方法においても同様である。
【0009】
主軸を回転させた加工状態では、当該主軸を回転させる主軸モータが発熱し、この主軸モータからの熱によって工作機械が熱変形することが従来より知られており、前記回転軸の幾何誤差もこの熱変形の影響を少なからず受けている。したがって、主軸を停止した状態で測定された幾何誤差と、主軸を回転させた状態で測定される幾何誤差とでは、無視できないほどの大きな差を有するものと考えられる。
【0010】
このため、従来の測定方法、即ち、主軸を停止した状態で測定される幾何誤差データを基に、当該工作機械の運動誤差を補正しても、加工状態で生じている本来の幾何誤差を正確には補正することができず、したがって、高精度な加工を保証することはできない。
【0011】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、実際の加工に即した状態、即ち、主軸を回転させた状態で、回転軸の幾何誤差を測定することができる測定方法の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、
工具を保持して回転させる主軸と、
ワークが取り付けられるテーブルと、
前記主軸とテーブルとを、前記主軸の軸線に平行なZ軸、該Z軸に直交するX軸、並びに前記X軸及びZ軸に直交するY軸の直交3軸方向にそれぞれ相対的に移動させるZ軸送り装置,X軸送り装置及びY軸送り装置と、
前記主軸とテーブルとを相対的に回転させる少なくとも一つの回転送り装置と、
前記X軸送り装置,Y軸送り装置,Z軸送り装置及び回転送り装置をそれぞれ数値制御する数値制御装置とを備えた工作機械の、前記回転送り装置に係る回転軸の幾何誤差を測定する方法であって、
物体を非接触状態で検出する検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記検出装置によって検出される前記工具の、前記X軸,Y軸及びZ軸を座標軸とした三次元空間内における検出位置を認識し、
次に、前記回転送り装置により前記主軸とテーブルとを相対的に前記回転軸回りに予め設定した角度回転させるとともに、回転後に前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における各検出位置を基に、前記回転送り装置に係る前記回転軸の幾何誤差を算出するようにした工作機械の幾何誤差測定方法に係る。
【0013】
この幾何誤差測定方法では、まず、物体を非接触状態で検出する検出装置をテーブル上に固定した後、主軸に、例えば、実際に加工で使用する工具を保持させるとともに、これを実加工時の回転速度で回転させた状態にし、前記検出装置によって検出される前記工具の、前記X軸,Y軸及びZ軸を座標軸とした三次元空間内における検出位置を認識する。
【0014】
尚、この検出位置は、前記X軸送り装置,Y軸送り装置及びZ軸送り装置から入力される位置信号を基に前記数値制御装置において認識されている、例えば機械座標系における位置であって、前記検出装置によって工具が検出されたときの位置である。前記位置信号は、例えば、前記X軸送り装置,Y軸送り装置及びZ軸送り装置にそれぞれ設けられるエンコーダやリニアスケールから出力される信号である。
【0015】
次に、前記回転送り装置により前記主軸とテーブルとを相対的に前記回転軸回りに予め設定した角度回転させ、回転後に前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識する。
【0016】
そして、認識された前記三次元空間内における各検出位置を基に、前記回転送り装置に係る前記回転軸の幾何誤差を算出する。
【0017】
斯くして、この幾何誤差測定方法によれば、実際の加工と同様に、主軸を回転させた状態、即ち、主軸モータの熱によって熱変形した状態の工作機械における、前記回転軸の幾何誤差を測定することができるので、実際の加工時に即した正確な幾何誤差を測定することができる。したがって、このようにして測定された正確な幾何誤差を基に、当該工作機械の運動誤差を補正することで、高精度な加工を保証することが可能となる。
【0018】
尚、本発明では、前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用いることができる。
【0019】
また、本発明では、前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面に直交し、且つ前記Z軸と平行なC軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるC軸送り装置を備えた第1の態様を採ることができる。
【0020】
そして、この第1の態様の工作機械において、前記C軸の幾何誤差を測定する場合、まず、前記検出装置をそのレーザ光が前記テーブル上面と平行になり、且つ前記X軸又はY軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記レーザ光が前記X軸又はY軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルをC軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における4つの検出位置を基に、前記C軸送り装置に係る前記C軸の幾何誤差を算出する。
【0021】
また、前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるB軸送り装置を備えた第2の態様をとることができる。
【0022】
そして、この第2の態様の工作機械において、前記B軸の幾何誤差を測定する場合、まず、前記検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、上面が前記Z軸と直交する回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出する。
【0023】
尚、この場合に、更に、前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしても良い。
【0024】
このようにすれば、前記B軸の幾何誤差を、より正確に測定することができる。
【0025】
また、前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるB軸送り装置を備えた第3の態様を採ることができる。
【0026】
そして、この第3の態様の工作機械において、前記B軸の幾何誤差を測定する場合、まず、前記検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出する。
【0027】
尚、この場合に、更に、前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしても良い。
【0028】
このようにすれば、前記B軸の幾何誤差を、より正確に測定することができる。
【0029】
また、前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるD軸送り装置を備えた第4の態様をとることができる。
【0030】
そして、この第4の態様の工作機械において、前記D軸の幾何誤差を測定する場合、まず、前記検出装置を、上面が前記Z軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、レーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交した状態となるように、前記検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記テーブル上面が前記Z軸と直交する回転位置に該テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出する。
【0031】
この場合に、更に、前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしても良い。
【0032】
このようにすれば、前記D軸の幾何誤差を、より正確に測定することができる。
【0033】
また、前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるD軸送り装置を備えた第5の態様をとることができる。
【0034】
そして、この第5の態様の工作機械において、前記D軸の幾何誤差を測定する場合、まず、前記検出装置をそのレーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交するように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出する。
【0035】
この場合に、更に、前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしても良い。
【0036】
このようにすれば、前記D軸の幾何誤差を、より正確に測定することができる。
【0037】
本発明において、前記検出装置は、前記テーブルと前記主軸が相対移動する動作領域外の待機位置に配設され、幾何誤差測定時に、前記検出装置を待機位置から前記テーブル上に搬送して固定するようにしても良い。
【0038】
また、本発明では、前記工作機械の加工領域内の雰囲気温度、又は前記工作機械の各構成要素の温度を、該工作機械で実行される加工時の温度と見做せる温度に設定した後、前記幾何誤差測定を行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、実際の加工と同様に、主軸を回転させた状態、即ち、主軸モータの熱によって熱変形した状態の工作機械における、前記回転軸の幾何誤差を測定することができるので、実際の加工時に即した正確な幾何誤差を測定することができる。そして、このようにして測定された正確な幾何誤差を基に、当該工作機械の運動誤差を補正することで、高精度な加工を保証することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態における工作機械の概略構成を示した斜視図である。
【図2】本実施形態に係る検出装置及び位置検出方法を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態に係る検出装置及び位置検出方法を説明するための説明図である。
【図4】本実施形態に係る検出装置及び位置検出方法を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態において、工作機械のC軸の幾何誤差を測定する方法を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態において、工作機械のC軸の幾何誤差を測定する方法を説明するための説明図である。
【図7】本実施形態において、工作機械のB軸の幾何誤差を測定する方法を説明するための説明図である。
【図8】本実施形態において、工作機械のB軸の幾何誤差を測定する方法を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係る測定方法によって測定された幾何誤差を示すグラフである。
【図10】本実施形態に係る測定方法によって測定された幾何誤差を示すグラフである。
【図11】本発明を適用可能な他の工作機械の概略構成を示した正面図である。
【図12】本発明を適用可能な更に他の工作機械の概略構成を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

【0042】
[工作機械の構成]
まず、測定対象としての工作機械の概略構成について説明する。尚、当該工作機械は、一例に過ぎないものであり、本発明を適用することができる工作機械は、これに限定されるものではない。

【0043】
図1に示すように、本例の工作機械1は、所謂5軸マシニングセンタであり、ベッド3、ベッド3上に所定間隔をあけて立設された左側壁部4及び右側壁部5、並びに同じくベッド3上で、前記左側壁部4及び右側壁部5の後方に立設された後壁部6からなる支持構造体2と、この支持構造体2によって支持されるサドル7、主軸頭8、揺動部材10及び回転テーブル11と、数値制御装置30などを備えている。

【0044】
前記サドル7は、前記左側壁部4及び右側壁部5上に、これらに跨るように配設されており、前後方向の水平な軸であるY軸方向に沿って移動可能になっている。また、主軸頭8は、前記サドル7の前面に設けられており、前記Y軸と直交する水平なX軸方向(左右方向)に沿って移動可能になっている。また、主軸頭8には、前記X軸及びY軸に直交するZ軸方向(垂直方向)に沿って設けられた主軸9が回転自在に保持されており、当該主軸9は前記Z軸方向に沿って移動可能になっている。

【0045】
前記揺動部材10は左側面視L字状をした部材であり、その垂直辺部10aが前記後壁部6の前面に取り付けられて、前記Y軸と平行なB軸を中心として揺動可能になっている。また、前記回転テーブル11は、前記揺動部材10の水平辺部10b上に設けられており、前記B軸と直交するC軸を中心として回転可能になっている。

【0046】
そして、前記サドル7はY軸送り装置21により駆動されて前記Y軸方向に移動し、前記主軸頭8はX軸送り装置20により駆動されて前記X軸方向に移動し、前記主軸9はZ軸送り装置22により駆動されて前記Z軸方向に移動する。また、前記揺動部材10はB軸送り装置23により駆動されてB軸回りに揺動し、回転テーブル11はC軸送り装置24により駆動されてC軸回りに回転する。また、主軸9は主軸モータ(図示せず)により駆動されてその軸中心に回転する。

【0047】
前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21、Z軸送り装置22、B軸送り装置23及びC軸送り装置24は、それぞれ前記数値制御装置30によってその作動が制御される。

【0048】
前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22はそれぞれ直進送り軸を構成し、これらの送り軸によって、X軸,Y軸及びZ軸の直交3軸から構成される機械座標系の3次元空間が形成される。そして、これらX軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22は、それぞれボールねじ、ボールねじに螺合するボールナット、ボールねじを駆動するサーボモータ及びサーボモータに付設されるロータリエンコーダなどを備えて構成され、数値制御装置30は各ロータリエンコーダから送信される位置信号を基に、各送り軸における機械座標系の位置を認識し、各送り軸、即ち、X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22の位置制御を行う。

【0049】
一方、前記B軸送り装置23及びC軸送り装置24は回転送り装置であり、それぞれ回転駆動用のサーボモータ及びこのサーボモータに付設されるロータリエンコーダなどを備えて構成され、数値制御装置30は各ロータリエンコーダから送信される位置信号を基に、各回転軸(B軸、C軸)回りの回転位置(角度位置)を認識し、前記B軸送り装置23及びC軸送り装置24の回転位置を制御する。

【0050】
以上の構成を備えた本例の工作機械1は、前記数値制御装置30による制御の下で、X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22により駆動されて、機械座標系の3次元空間内で主軸9が移動し、また、B軸送り装置23及びC軸送り装置24により駆動されて、回転テーブル11がB軸及びC軸を中心に回転する。

【0051】
斯くして、このような各送り装置20,21,22,23,24の動作により、主軸9と回転テーブル11とが3次元空間内で相対的にその位置、姿勢及び向きを変化させ、これにより、回転テーブル11上に設けられたワークが主軸9に装着された工具によって加工される。

【0052】
尚、図1において、前記各送り装置20,21,22,23,24についての具体的な構造物の作図は、簡略化のために省略した。

【0053】
[検出装置の構成]
次に、検出装置の概略構成について説明する。図2に示すように、本例の検出装置40は、水平な基部42、及びこの基部42上に適宜間隔をあけて設けられた2つの垂直辺部42,43からなる正面視U字状をした本体41と、一方側の垂直辺部43に内蔵され、他方側の垂直辺部44に向けてレーザ光Lを照射する発光素子45と、この垂直辺部44に内蔵され、発光素子45から照射されたレーザ光Lを受光する受光素子46とから構成される。そして、受光素子46は受光するレーザ光Lが物体により遮られてその受光量が一定量減少したとき、即ち、受光量が所定の閾値を超えて減少したとき、検出信号を前記数値制御装置30に送信する。
[幾何誤差測定方法]
次に、上述した工作機械1に関し、そのB軸送り装置23の回転軸であるB軸、及びC軸送り装置24の回転軸であるC軸に係る幾何誤差を、前記検出装置40を用いて測定する測定方法について説明する。
1.C軸に関する精度測定
まず、C軸に関する精度測定を行う。即ち、B軸送り装置23のB軸の角度を0°にして、前記回転テーブル11の上面を水平にするとともに、C軸送り装置24のC軸の角度を0°にして、この回転テーブル11上の、回転中心軸である前記C軸よりY軸方向マイナス側に、前記検出装置40を取り付ける。その際、検出装置40のレーザ光LがX軸と平行となり、且つB軸とC軸を含む平面が本体41の垂直辺部42,43間に位置するように、当該検出装置40を回転テーブル11上に固定する(図5参照)。また、主軸9に加工に使用する工具Tを装着する。

【0054】
ついで、前記数値制御装置30による制御の下で、主軸9を実加工における平均的な回転速度と同じ回転速度で回転させた状態で、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を駆動して、工具Tを前記検出装置40のレーザ光Lの僅か上方に移動させる。その際、工具Tの下端中心ToのX軸方向の移動位置xを、機械座標系の原点位置(x=0)とする。尚、本例において、数値制御装置30は、その制御上認識しているB軸とC軸との交点を機械座標系の原点として、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を制御するものとする。

【0055】
次に、Z軸送り装置22を駆動して、工具Tを低速で降下させる。これにより、図2に示すように、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46によって受光される受光量が所定の閾値を超えたとき、当該受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信される。そして、本例では、数値制御装置30は、受光素子46から検出信号を受信したとき、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22から送信される位置信号を基に、機械座標系における工具Tの下端中心Toの位置を記録するように構成されている。斯くして、この操作によって、下端中心ToのZ軸方向の位置zが数値制御装置30に記録される。

【0056】
次に、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を駆動して、工具TをY軸マイナス方向及びZ軸マイナス方向に移動させて、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮らない状態で、当該レーザ光LよりY軸方向マイナス側に位置し、且つその下端がZ軸方向マイナス側に位置する状態にする。

【0057】
ついで、Y軸送り装置21を駆動して、工具Tを低速でY軸プラス方向に移動させる。これにより、図3に示すように、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46によって受光される受光量が所定の閾値を超えたとき、当該受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信され、そのときの下端中心ToのY軸方向の位置yが数値制御装置30に記録される。

【0058】
以上のようにして、C軸送り装置24の回転位置が0°であるときに、検出装置40によって検出される工具Tの下端中心Toの位置y,z(図4参照)、言い換えれば、検出装置40の位置が数値制御装置30に記録される。

【0059】
次に、C軸送り装置24により回転テーブル11を、C軸を中心として左回りに90°回転させて、回転テーブル11を-90°の回転位置に回転させる。そして、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を駆動して、上記と同様に、工具Tを前記検出装置40のレーザ光Lの僅か上方に移動させる。その際、工具Tの下端中心ToのY軸方向の移動位置yを原点位置(y=0)とする。

【0060】
次に、Z軸送り装置22を駆動して、工具Tを低速で降下させ、上記と同様にして、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのZ軸方向の位置zを数値制御装置30に記録する。

【0061】
次に、X軸送り装置20及びZ軸送り装置22を駆動して、工具TをX軸プラス方向及びZ軸マイナス方向に移動させて、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮らない状態で、当該レーザ光LよりX軸方向プラス側に位置し、且つその下端がZ軸方向マイナス側に位置する状態にする。

【0062】
ついで、X軸送り装置20を駆動して、工具Tを低速でX軸マイナス方向に移動させ、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのX軸方向の位置xを数値制御装置30に記録する。

【0063】
以上のようにして、C軸送り装置24の回転位置が-90°であるときに、検出装置40によって検出される工具Tの下端中心Toの位置x,z、言い換えれば、検出装置40の位置を数値制御装置30に記録する。

【0064】
次に、C軸送り装置24により回転テーブル11を、C軸を中心として左回りに更に90°回転させて、回転テーブル11を-180°の回転位置に回転させる。そして、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を駆動して、上記と同様に、工具Tを前記検出装置40のレーザ光Lの僅か上方に移動させる。その際、工具Tの下端中心ToのX軸方向の移動位置xを原点位置(x=x=0)とする。

【0065】
次に、Z軸送り装置22を駆動して、工具Tを低速で降下させ、上記と同様にして、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのZ軸方向の位置zを数値制御装置30に記録する。

【0066】
次に、X軸送り装置20及びZ軸送り装置22を駆動して、工具TをY軸プラス方向及びZ軸マイナス方向に移動させて、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮らない状態で、当該レーザ光LよりY軸方向プラス側に位置し、且つその下端がZ軸方向マイナス側に位置する状態にする。

【0067】
ついで、Y軸送り装置21を駆動して、工具Tを低速でY軸マイナス方向に移動させ、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのY軸方向の位置yを数値制御装置30に記録する。

【0068】
以上のようにして、C軸送り装置24の回転位置が-180°であるときに、検出装置40によって検出される工具Tの下端中心Toの位置y,z、言い換えれば、検出装置40の位置を数値制御装置30に記録する。

【0069】
次に、C軸送り装置24により回転テーブル11を、C軸を中心として更に左回りに90°回転させて、回転テーブル11を-270°の回転位置に回転させる。そして、前記X軸送り装置20、Y軸送り装置21及びZ軸送り装置22を駆動して、上記と同様に、工具Tを前記検出装置40のレーザ光Lの僅か上方に移動させる。その際、工具Tの下端中心ToのY軸方向の移動位置yを原点位置(y=y=0)とする。

【0070】
次に、Z軸送り装置22を駆動して、工具Tを低速で降下させ、上記と同様にして、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのZ軸方向の位置zを数値制御装置30に記録する。

【0071】
次に、X軸送り装置20及びZ軸送り装置22を駆動して、工具TをX軸マイナス方向及びZ軸マイナス方向に移動させて、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮らない状態で、当該レーザ光LよりX軸方向マイナス側に位置し、且つその下端がZ軸方向マイナス側に位置する状態にする。

【0072】
ついで、X軸送り装置20を駆動して、工具Tを低速でX軸プラス方向に移動させ、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのX軸方向の位置xを数値制御装置30に記録する。

【0073】
以上のようにして、C軸送り装置24の回転位置が-270°であるときに、検出装置40によって検出される工具Tの下端中心Toの位置x,z、言い換えれば、検出装置40の位置を数値制御装置30に記録する。

【0074】
斯くして、C軸送り装置24の回転位置が0°,-90°,-180°及び-270°であるときの検出装置40の位置が測定される。そして、このようにして測定された検出装置40の位置データから、C軸の幾何誤差を同定することができる。例えば、図6に示すように、回転テーブル11の回転位置が0°のときに測定される検出装置40の位置がy,zであり、また、回転テーブル11の回転位置が-180°のときに測定される検出装置40の位置がy,zであったとし、数値制御装置30において制御上認識されているC軸の位置(図6においてCで示す)と、実際のC軸の位置(図6においてCで示す)との間に、Y軸方向における位置誤差δyBRが存在したとすると、C軸の傾き及びB軸の影響を無視した場合、この位置誤差δyBRは次式によって表される。
2δyBR=y+y
このC軸についての具体的な幾何誤差の同定については後述する。

【0075】
尚、このC軸の精度測定におけるX軸送り装置20、Y軸送り装置21、Z軸送り装置22及びC軸送り装置24の動作は、数値制御装置30による制御の下で、自動的に行うことができる。
2.B軸に関する精度測定
次に、B軸に関する精度測定を行う。即ち、まず、Z軸送り装置22を駆動して、工具TをZ軸プラス方向に移動させて、B軸を中心として回転する回転テーブル11及び検出装置40と干渉しない位置に退避させる。

【0076】
ついで、回転テーブル11回転位置が-270°の状態のままB軸送り装置23を駆動して、図7に示すように、揺動部材10及び回転テーブル11を、B軸を中心として右回りに90°回転させ、これらを-90°の回転位置に回転させる。

【0077】
この後、前記X軸送り装置20及びZ軸送り装置22を駆動して、Y軸方向の位置はそのままにして、回転テーブル11及び検出装置40との干渉を避けつつ、工具Tを前記検出装置40のレーザ光Lの僅か上方に移動させる。

【0078】
次に、Z軸送り装置22を駆動して、工具Tを低速で降下させ、上記と同様にして、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのZ軸方向の位置zを数値制御装置30に記録する。

【0079】
次に、X軸送り装置20及びZ軸送り装置22を駆動して、工具TをX軸プラス方向及びZ軸マイナス方向に移動させて、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮らない状態で、当該レーザ光LよりX軸方向プラス側に位置し、且つその下端がZ軸方向マイナス側に位置する状態にする。

【0080】
ついで、X軸送り装置20を駆動して、工具Tを低速でX軸マイナス方向に移動させ、工具Tが検出装置40のレーザ光Lを遮り、受光素子46から数値制御装置30に検出信号が送信されたときの、下端中心ToのX軸方向の位置xを数値制御装置30に記録する。

【0081】
以上のようにして、B軸送り装置23のB軸の角度位置が-90°であるときに、検出装置40によって検出される工具Tの下端中心Toの位置x,z、言い換えれば、検出装置40の位置を数値制御装置30に記録する。

【0082】
斯くして、B軸送り装置23の回転位置が0°及び-90°であるときの検出装置40の位置が測定される。そして、このようにして測定される検出装置40の位置データから、B軸の幾何誤差を同定することができる。このB軸についての具体的な幾何誤差の同定については後述する。

【0083】
尚、このB軸の精度測定におけるX軸送り装置20、Y軸送り装置21、Z軸送り装置22及びB軸送り装置23の動作は、数値制御装置30による制御の下で、自動的に行うことができる。
3.B軸及びC軸に係る幾何誤差の同定
本例の工作機械1の構成の場合、直進送り軸の運動誤差が無視できる程度に小さいとすると、B軸及びC軸に係る各幾何誤差は、上記の各精度測定値を基に、以下の数式1~6によって表すことができる。
(数式1)
+y=2δyBR-2z×αCR
(数式2)
-z=(y-y)×αCR
(数式3)
+x=2(δxBR+δxCB)+2z×βBR
(数式4)
-z=(x-x)×βBR
(数式5)
-z×βBR=z+δxBR-δzBR
(数式6)
=-(x-z×βBR)+δxBR+δzBR

【0084】
尚、上式の各パラメータの定義は以下の通りである。
δxBR:B軸のX軸方向の位置誤差
δyBR:C軸のY軸方向の位置誤差
δzBR:B軸のZ軸方向の位置誤差
δxCB:B軸に対するC軸のX軸方向の位置誤差
αCR:C軸のZ軸に対する平行度(X軸回り)
βCR:C軸のZ軸に対する平行度(Y軸回り)
また、*を付したものは、ノミナルな値、即ち、数値制御装置30において、その制御上認識されている値を意味している。

【0085】
斯くして、上述した数式1~数式6の連立方程式を解くことで、B軸のX軸方向の位置誤差δxBR、C軸のY軸方向の位置誤差δyBR、B軸のZ軸方向の位置誤差δzBR、B軸に対するC軸のX軸方向の位置誤差δxCB、C軸のZ軸に対する平行度(X軸回り)αCR、及びC軸のZ軸に対する平行度(Y軸回り)βCRの6つの幾何誤差を同定することができる。

【0086】
以上のように、本例の幾何誤差測定方法によれば、実際の加工時と同じ回転速度で主軸9を回転させた状態、即ち、主軸モータ(図示せず)の熱によって熱変形した状態の工作機械1における各回転軸、即ち、B軸及びC軸の幾何誤差を測定することができるので、実際の加工時に即した正確な幾何誤差を測定することができる。したがって、このようにして測定された正確な幾何誤差を基に、当該工作機械1の運動誤差を補正することで、高精度な加工を保証することができる。

【0087】
また、加工に使用する工具Tを用いて測定することができるので、測定のために特別なマスターツールなどを用意する必要がない。また、前記検出装置40には、機上で工具長を測定する一般的なレーザ測定装置を用いることができ、この検出装置40についても、新たなもの用意する必要がない。

【0088】
このように、本例の幾何誤差測定方法によれば、特に新たな器具を用意することないため、廉価に、しかも工作機械1の熱変形を考慮した正確な幾何誤差を測定することができる。

【0089】
尚、上述した工作機械1において、B軸のX軸方向の位置誤差δxBR、C軸のY軸方向の位置誤差δyBR、B軸のZ軸方向の位置誤差δzBR、B軸に対するC軸のX軸方向の位置誤差δxCB、C軸のZ軸に対する平行度(Y軸回り)βCR、及びC軸のZ軸に対する平行度(X軸回り)αCRの6つの幾何誤差を測定したその結果の一例を図9及び図10に示す。

【0090】
この例では、直径10mmのストレートエンドミルを主軸9に装着して、当該主軸9を20000min-1の回転速度で回転させ、約30分毎に、上述したB軸及びC軸についての精度測定を実行して、その都度測定値から前記各幾何誤差を同定した。そして、この作業を210分間継続した後、主軸9を停止し、停止して約15分経過したときと、約30分経過したときに、同様にして各幾何誤差の測定を行い、その後、再び主軸9を20000min-1の回転速度で回転させ、約320分まで、約15分ごとに各幾何誤差の測定を行った。

【0091】
図9及び図10に示すように、各幾何誤差δxBR、δyBR、δzBR、δxCB、βCR及びαCRは、主軸9の回転を開始後にそれぞれその値が変動し、主軸9を停止することによって、元の状態に戻ろうとする傾向を示している。したがって、このことから、工作機械1を停止した状態と、工作機械1が加工状態にあるときとでは、その各幾何誤差δxBR、δyBR、δzBR、δxCB、βCR及びαCRの値が異なり、主軸9を回転させた状態で測定を行うことで、より実加工時に即した正確な幾何誤差を測定することができることが分かる。

【0092】
また、図9に示すように、B軸のZ軸方向の位置誤差δzBRは、主軸9を回転して210分経過後には80μm変動しており、B軸のZ軸方向の位置誤差δzBRが主軸9の回転による熱影響を最も大きく受けることが分かる。また、主軸9を停止した後、その値は30分で約45μmも変化しており、たとえ十分な時間、主軸9のウォーミングアップを行ったとしても、一旦主軸9を止めれば、短い時間で工作機械1が変形することを示している。また,変位はZ軸方向だけでなく、B軸のX軸方向の位置も約20μm変位した。また、図10に示されるように、C軸の向きに係る誤差の変化は比較的小さかった。

【0093】
以上のことからすると、上記幾何誤差の測定は、工作機械1の主軸9を所定時間回転させるなど、工作機械1にランニング運転を実行させて、当該工作機械1の加工領域内の雰囲気温度、又は当該工作機械1の各構成要素の温度を、当該工作機械1で実行される加工時の温度と見做せる温度に設定した後行うのが好ましい。

【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何らこれに限定されるものではない。

【0095】
例えば、上例では、C軸に関する精度測定を、回転テーブル11の回転位置が0°、-90°、-180°、-270°である順に行うようにしたが、これに限られるものではなく、いずれの回転位置から測定を始めても良く、或いは、順不同に測定しても良い。要は、4カ所における測定値が得られれば良い。

【0096】
また、上例では、B軸に関する精度測定において、図7に示すように、揺動部材10及び回転テーブル11を-90°の回転位置に回転させた状態で、工具Tの下端中心Toの位置x,zを測定するようにしたが、これに限られるものではなく、図8に示すように、揺動部材10及び回転テーブル11を90°の回転位置に回転させた状態で、工具Tの下端中心Toの位置x,zを測定するようにしても良い。

【0097】
更に、揺動部材10及び回転テーブル11を0°、-90°及び90°の回転位置に回転させた状態でそれぞれ測定される、工具Tの下端中心Toの位置(x,z)(x,z)及び(x,z)を用いて前記幾何誤差を算出するようにしても良い。このようにすれば、より正確な幾何誤差を同定することができる。

【0098】
また、前記検出装置40は、通常の状態では、これを、回転テーブル11と主軸9とが相対移動する動作領域外の待機位置に配設し、幾何誤差測定時に、適宜装置を用いて、当該検出装置40を待機位置から回転テーブル11上に搬送して固定するようにするのが好ましい。

【0099】
また、上例では、工作機械1の回転テーブル11がB軸回りに回転する構成としたが、これに限られるものではなく、前記B軸送り装置23は、主軸頭8をB軸回りに回転させるように構成されていても良い。このような構成の工作機械においても、上述と同様の方法によって、各幾何誤差δxBR、δyBR、δzBR、δxCB、βCR及びαCRを同定することができる。

【0100】
また、前記工作機械1は、図11に示した工作機械50であっても良い。この工作機械50も所謂5軸マシニングセンタであり、ベッド51、紙面に対して直交するX軸に沿って移動可能に前記ベッド51上に設けられたコラム52、前記X軸と直交する垂直なY軸に沿って移動可能にコラム52に保持される主軸頭8’、及びコラム52に対向し、X軸及びY軸に直交するZ軸に沿って移動可能にベッド51上に設けられたサドル55などを備えている。

【0101】
前記主軸頭8’には、主軸9’が回転自在に保持されている。また、前記サドル55には、前記コラム52に対向する面が前記X軸と平行となり、且つ前記Y軸及びZ軸に対して45°で交差する傾斜面となった支持基台56が配設されている。また、支持基台56の傾斜面には、前記Y軸-Z軸平面内でY軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸(上例におけるB軸に相当)を回転軸として回転可能となった回転基台57が設けられている。この回転基台57は、所定の角度位置のときに水平となる面を有し、この面上に回転テーブル11’が設けられている。

【0102】
そして、前記コラム52はX軸送り装置20’により駆動されてX軸方向に移動し、前記主軸頭8’はY軸送り装置21’により駆動されてY軸方向に移動し、前記サドル55はZ軸送り装置22’により駆動されてZ軸方向に移動する。また、回転テーブル11’はC軸送り装置24’により駆動されてC軸回りに回転し、前記回転基台57はD軸送り装置23’により駆動されてD軸回りに回転し、主軸9’は主軸モータ(図示せず)により駆動されてその軸中心に回転する。

【0103】
また、前記X軸送り装置20’、Y軸送り装置21’、Z軸送り装置22’、C軸送り装置24’及びD軸送り装置23’は、それぞれ前記数値制御装置30’によってその作動が制御される。

【0104】
この工作機械50では、回転テーブル11’の上面がZ軸と平行になった水平な状態にあるときに、レーザ光Lが前記Y軸及びZ軸と直交した状態となるように、前記検出装置40を前記回転テーブル11’上に固定した後、主軸9’に工具Tを装着して回転させた状態で、まず、D軸送り装置23’を駆動して、回転テーブル11’を、D軸を中心として180°回転させる。この状態では、図11において2点鎖線で示すように、回転テーブル11’の上面は、X軸-Y軸平面と平行になり、Z軸とは直交した状態になっている。この回転位置を原点、即ち、D=0°とする。そして、この状態で、上述したC軸に関する精度測定に準じて、C軸送り装置24’に係るC軸の精度を測定する。ついで、D軸を中心として回転テーブル11’を一方の回転方向、或いはその逆の回転方向に180°回転させて、前記D軸の角度位置(回転位置)がD=180°となる位置に回転させ、上述したB軸に関する精度測定に準じて、D軸送り装置23’に係るD軸の精度を測定する。

【0105】
そして、得られたC軸及びD軸に関する測定データを基に、上述した数式1~数式6と同様の数式を用いて、各幾何誤差を同定する。尚、この工作機械50では、前記B軸がD軸で置き換えられる。

【0106】
尚、当然のことながら、前記D軸の精度測定における、D=0°の回転位置と、D=180°の回転位置との測定の順序は、上記と逆であっても良い。

【0107】
また、この工作機械50においても、D軸の精度を測定する際に、前記一方及びその逆の方向の両方向に180°回転させ得られる双方の測定データを用いて、前記幾何誤差を同定するようにしても良い。

【0108】
また、前記工作機械1は、図12に示した工作機械60であっても良い。この工作機械60も所謂5軸マシニングセンタであり、ベッド61、紙面に対して直交するX軸に沿って移動可能に前記ベッド61上に設けられたコラム62、前記X軸と直交する垂直なY軸に沿って移動可能にコラム62に保持されたサドル63、コラム62と対向するように設けられるとともに、X軸及びY軸に直交する水平なZ軸に沿って移動可能にベッド61上に設けられた回転テーブル11”などを備えている。

【0109】
前記サドル63は、回転テーブル11”側に、前記X軸と平行となり、且つ前記Y軸及びZ軸に対して45°で交差する傾斜面を有し、この傾斜面に、Y軸-Z軸平面内でY軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸(上例におけるB軸に相当)を回転軸として回転可能となった主軸頭8”が設けられている。また、主軸頭8”には、主軸9”が回転自在に保持されている。

【0110】
そして、前記コラム62はX軸送り装置20”により駆動されてX軸方向に移動し、前記サドル63はY軸送り装置21”により駆動されてY軸方向に移動し、前記回転テーブル11”はZ軸送り装置22”により駆動されてZ軸方向に移動する。また、回転テーブル11”はC軸送り装置24”により駆動されてC軸回りに回転し、主軸9”は主軸モータ(図示せず)により駆動されてその軸中心に回転する。また、主軸頭8”はD軸送り装置23”により駆動されてD軸回りに回転し、所定の角度位置(回転位置)のときに、その軸線が垂直となり、また、その位置から180°回転した角度位置(回転位置)のときに、その軸線が水平となる。

【0111】
また、前記X軸送り装置20”、Y軸送り装置21”、Z軸送り装置22”、C軸送り装置24”及びD軸送り装置23”は、それぞれ前記数値制御装置30”によってその作動が制御される。

【0112】
この工作機械60では、前記検出装置40を、そのレーザ光Lが前記Y軸及びZ軸と直交するように、回転テーブル11”上に固定した後、主軸9”に工具Tを装着して回転させるとともに、D軸送り装置23”を駆動して、前記主軸9”の軸線が前記Z軸と平行となる回転位置をD軸の原点(D=0°)として、前記主軸9”の軸線が前記Y軸と平行となる回転位置、即ち、D=180°となる回転位置に主軸頭8”を回転させる。図12では、この状態を実線で示している。

【0113】
そして、この状態で、上述したC軸に関する精度測定に準じて、C軸送り装置24”に係るC軸の精度を測定する。ついで、前記D軸を中心として、主軸頭8”を一方の回転方向、或いはその逆の回転方向に180°回転させて、前記D軸の回転位置がD=0°となる位置に回転させ、上述したB軸に関する精度測定に準じて、D軸送り装置23”に係るD軸の精度を測定する。

【0114】
そして、得られたC軸及びD軸に関する測定データを基に、上述した数式1~数式6と同様の数式を用いて、各幾何誤差を同定する。尚、この工作機械60においても、前記B軸がD軸で置き換えられる。

【0115】
尚、当然のことながら、前記D軸の精度測定における、D=0°の回転位置と、D=180°の回転位置との測定の順序は、上記と逆であっても良い。

【0116】
また、この工作機械60においても、D軸の精度を測定する際に、前記一方及びその逆の方向の両方向に180°回転させ得られる双方の測定データを用いて、前記幾何誤差を同定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0117】
1 工作機械
2 支持構造体
3 ベッド
4 左側壁部
5 右側壁部
6 後壁部
7 サドル
8 主軸頭
9 主軸
10 揺動部材
20 X軸送り装置
21 Y軸送り装置
22 Z軸送り装置
23 B軸送り装置
24 C軸送り装置
30 数値制御装置
40 検出装置
41 本体
45 発光素子
46 受光素子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11