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明細書 :放射性ハロゲン標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6609868号 (P6609868)
登録日 令和元年11月8日(2019.11.8)
発行日 令和元年11月27日(2019.11.27)
発明の名称または考案の名称 放射性ハロゲン標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物
国際特許分類 C07D 471/04        (2006.01)
A61K  51/04        (2006.01)
C07F   7/22        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
A61K 101/02        (2006.01)
FI C07D 471/04 105E
A61K 51/04 200
C07F 7/22 CSPT
C07B 59/00
A61K 101:02
請求項の数または発明の数 9
全頁数 19
出願番号 特願2017-535245 (P2017-535245)
出願日 平成28年2月24日(2016.2.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 日本薬学会第135年会組織委員会により平成27年3月5日発行の「日本薬学会第135年会DVD要旨集 論文No.26W-pm18S」にて発表
国際出願番号 PCT/JP2016/055357
国際公開番号 WO2017/029820
国際公開日 平成29年2月23日(2017.2.23)
優先権出願番号 2015161472
優先日 平成27年8月19日(2015.8.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成31年1月22日(2019.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】小野 正博
【氏名】佐治 英郎
【氏名】猪原 匡史
【氏名】松本 博樹
【氏名】関 育也
個別代理人の代理人 【識別番号】100091502、【弁理士】、【氏名又は名称】井出 正威
審査官 【審査官】谷尾 忍
参考文献・文献 特表2013-522365(JP,A)
特表2012-521988(JP,A)
特表2015-517572(JP,A)
調査した分野 C07D 471/04
A61K 51/04
C07F 7/22
A61K 101/02
C07B 59/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】
JP0006609868B2_000010t.gif
〔式中、R1、は、いずれか一方が放射性ハロゲン原子であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である〕で表される、放射性ハロゲン標識化合物又はその塩。
【請求項2】
前記放射性ハロゲン原子は、放射性ヨウ素原子である、請求項1に記載の放射性ハロゲン標識化合物又はその塩。
【請求項3】
前記放射性ヨウ素原子が、123I、124I、125I又は131Iである、請求項2に記載の放射性ハロゲン標識化合物又はその塩。
【請求項4】
前記一般式(1)中、Rが放射性ハロゲン原子であり、Rが炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射性ハロゲン標識化合物又はその塩。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項に記載された放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を含む、放射性医薬。
【請求項6】
単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)に用いられる、請求項5に記載の放射性医薬。
【請求項7】
請求項1乃至4いずれか1項に記載された放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を含む、アルツハイマー病診断剤。
【請求項8】
下記一般式(2):
【化2】
JP0006609868B2_000011t.gif
〔式中、R3、は、いずれか一方がハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である〕で表される、化合物又はその塩。
【請求項9】
下記一般式(2):
【化3】
JP0006609868B2_000012t.gif
〔式中、R3、は、いずれか一方がハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である〕で表される化合物又はその塩から、放射性ハロゲン化反応により、下記一般式(1):
【化4】
JP0006609868B2_000013t.gif
〔式中、R1、は、いずれか一方が放射性ハロゲン原子であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である〕で表される放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性ハロゲン標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物又はその塩、及び、これを含む放射性医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)脳内には、アミロイドβ蛋白(Aβ)を主成分とする老人斑(SP)と、タウ蛋白を主成分とする神経原線維変化(NFT)の蓄積が認められる。NFTの蓄積はSPと比べて臨床症状と高い相関を示すことから、最近、タウ蛋白を標的とした核医学診断用放射性分子イメージングプローブの開発が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、タウ蛋白に親和性を有するローダニン及びチオヒダントイン誘導体の放射性ヨウ素標識化合物が記載されている。
【0004】
また、特許文献2~4には、Aβ及びタウ蛋白の両者に対し結合性を有する化合物が記載されている。具体的には、特許文献2には、スチリルベンゾイミダゾールを母核とした放射性ヨウ素標識化合物が、特許文献3には、ベンゾイミダゾールピリミジン類が、特許文献4には、スチリルベンゾチアゾールを母核とした放射性ヨウ素標識化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2011/108236号パンフレット
【特許文献2】特開2013-237655号公報
【特許文献3】特表2013-522365号公報
【特許文献4】特開2015-89879号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~4記載の化合物は、タウ蛋白選択的なインビボイメージング剤としては、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、核医学的手法により非侵襲的に生体内のタウ蛋白を選択的に画像化し得る、新規なタウイメージング剤を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール骨格に、フェニル基よりも小さな置換基を導入させた放射性ハロゲン標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物により、タウ蛋白への選択的結合性を保持しつつ、白質への非特異的集積を抑えられることを新たに知見し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明の一態様は、下記一般式(1)で表される、放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を提供するものである。
【0010】
【化1】
JP0006609868B2_000002t.gif

【0011】
上記一般式(1)中、R1、は、いずれか一方が放射性ハロゲン原子であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である。
【0012】
本発明の他の態様は、上記の放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を含む、放射性医薬を提供するものである。
【0013】
また、本発明の他の態様は、上記の放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を含む、アルツハイマー病診断剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明の他の態様は、下記一般式(2)で表される、化合物又はその塩を提供するものである。
【0015】
【化2】
JP0006609868B2_000003t.gif

【0016】
上記一般式(2)中、R3、は、いずれか一方がハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であり、他方が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である。
【0017】
また、本発明の他の態様は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩から、放射性ハロゲン化反応により、上記一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を製造する方法を提供するものである。
【0018】
本発明によれば、核医学的手法により生体内のタウ蛋白を選択的に画像化し得る、新規なタウイメージング剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0020】
【図1】7-ヨード-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(BIP-NMe)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-NMeの標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図2】7-ヨード-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(BIP-OMe)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-OMeの標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図3】7-ヨード-3-メチルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(BIP-Me)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-Meの標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図4】放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物の125I標識合成例を示す図である。
【図5】アルツハイマー病患者剖検脳組織を用いた免疫染色及びインビトロオートラジオグラフィーの結果を示す図である。Aは前頭葉の脳組織切片を用いたタウ抗体の免疫染色の結果であり、Bは前頭葉の脳組織切片を用いたAβ抗体の免疫染色の結果である。Cは側頭葉の脳組織切片を用いたタウ抗体の免疫染色の結果であり、Dは側頭葉の脳組織切片を用いたAβ抗体の免疫染色の結果である。Eは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-NMeの結合性を評価した結果を示し、Fは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-NMeの結合性を評価した結果を示す。Gは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-OMeの結合性を評価した結果を示し、Hは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-OMeの結合性を評価した結果を示す。Iは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-Meの結合性を評価した結果を示し、Jは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-Meの結合性を評価した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、「放射性ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の放射性同位体から選択される少なくとも一種であり、好ましくは、18F、34mCl、76Br、123I、124I、125I又は131Iを用いることができる。

【0022】
また、本発明において「放射性ヨウ素原子」とは、ヨウ素の放射性同位体であれば特に限定されないが、ポジトロン放出断層撮影(PET)や単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)等の核医学画像診断に用いられる放射性核種が好ましく、より好ましくは123I、124I、125I又は131Iであり、SPECT用には123Iが更に好ましい。

【0023】
本発明において「アルキル基」は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、炭素数1~4のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基)であり、好ましくは炭素数1~3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基(メチル基、エチル基)である。

【0024】
本発明において「アルコシキ基」は、換言するとアルキルエーテル基であり、ここでいう「アルキル」は前述した「アルキル基」と同義である。

【0025】
本発明において「アルキルアミノ基」は、アミノ基(NH)の1つの水素原子がアルキル基で置換された基(NHR(Rがアルキル基である))である。
また、本発明において「ジアルキルアミノ基」は、アミノ基の2つの水素原子がそれぞれアルキル基で置換された基(NR(R、Rが各々独立してアルキル基である))であるが、炭素数2~4のものである。
なお、「アルキルアミノ基」及び「ジアルキルアミノ基」における「アルキル基」(R、R)もまた、前述した「アルキル基」と同義である。

【0026】
上記一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物は、塩を形成していてもよく、該塩としては酸付加塩、例えば無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩など)などが挙げられる。また、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩は水和物であってもよい。

【0027】
本発明に係る放射性ハロゲン標識化合物としては、好ましくは、上記一般式(1)中Rが放射性ハロゲン原子であり、Rが炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基である放射性ハロゲン標識化合物が挙げられる。

【0028】
また、本発明に係る放射性ハロゲン標識化合物としては、具体的には以下の放射性ヨウ素標識化合物が挙げられる。
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-アミノ-ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがアミノ基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-メチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがメチルアミノ基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがジメチルアミノ基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがメトキシ基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-メチルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがメチル基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-アミノ-3-ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rがアミノ基であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-メチルアミノ-3-ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rがメチルアミノ基であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ジメチルアミノ-3-ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rがジメチルアミノ基であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-メトキシ-3-ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(上記一般式(1)中、Rがメトキシ基であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-メチル-3-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rがメチル基であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)

【0029】
続いて、上記一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物又はその塩の製造方法について説明する。一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物又はその塩は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩を用いて放射性ハロゲン化反応を実行することにより、得ることができる。

【0030】
上記一般式(2)中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子から選択される少なくとも一種である。

【0031】
上記一般式(2)中、トリアルキルスタニル基としては、トリ(C1-C6アルキル)スタニル基が挙げられ、トリブチルスタニル基がより好ましい。トリアルキルシリル基としては、トリ(C1-C6アルキル)シリル基が挙げられ、トリメチルシリル基がより好ましい。

【0032】
上記一般式(2)で表される化合物は、塩を形成してもよい。塩としては、上記一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物が形成しうる塩と同様なものを採用することができる。

【0033】
上記一般式(2)で表される化合物において、上記一般式(2)中、Rがハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であり、Rが炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基であるものは、例えば、スキーム1に従った方法で調製することができる。

【0034】
【化3】
JP0006609868B2_000004t.gif

【0035】
具体的には、一般式(2)のRに相当する置換基を4位に備えた2-ブロモピリジン誘導体に、キシレン中、ヨウ化銅(I)、炭酸セシウム及び1,10-フェナントロリン存在下にジブロモアニリンを作用させる。次いで、ブロモ基を一般式(2)のRに相当する置換基で置換すればよい。

【0036】
また、上記一般式(2)で表される化合物において、上記一般式(2)中、Rが炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基又は炭素数2~4のジアルキルアミノ基であり、Rがハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であるものは、例えば、スキーム2に従った方法で調製することができる。

【0037】
【化4】
JP0006609868B2_000005t.gif

【0038】
具体的には、一般式(2)のRに相当する置換基をメタ位に備えたo-ブロモアニリンに、キシレン中、ヨウ化銅(I)、炭酸セシウム及び1,10-フェナントロリン存在下に2,4-ジブロモピリジンを作用させる。次いで、ブロモ基を一般式(2)のRに相当する置換基で置換すればよい。

【0039】
スキーム1,2において、一般式(2)中R、Rのいずれかがアミノ基又は炭素数1~4のアルキルアミノ基の化合物を合成する際は、ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール骨格の形成前に、アミノ基又はアルキルアミノ基を保護し、ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール骨格の形成後や、後述する放射性ハロゲン化反応後に脱保護を行ってもよい。保護基の選択、保護基の導入条件、脱保護条件は、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & Sons Inc; 5th Revised版)の記載を参照して行うことができる。

【0040】
放射性ハロゲン化反応は、求電子剤として調製された放射性ハロゲンを用いて行えばよく、例えば、放射性ハロゲン分子、放射性アセチルハイポハロリドを用いて行うことができる。放射性ハロゲン分子としては、放射性フッ素分子、放射性塩素分子、放射性臭素分子又は放射性ヨウ素分子が挙げられる。放射性アセチルハイポハロリドとしては、放射性アセチルハイポフルオライド、放射性アセチルハイポクロライド、放射性アセチルハイポブロマイド、放射性アセチルハイポアイオダイドが挙げられる。また、酸性条件下、酸化剤存在下に、放射性ハロゲン化ナトリウム又は放射性ハロゲン化カリウムと反応させてもよい。酸化剤としては、例えば、クロラミン-T、過酸化水素水、過酢酸、ハロゲン化スクシンイミド等を用いることができる。

【0041】
例えば、アルカリ金属放射性ヨウ化物を用いて放射性ヨウ素化反応を行うことにより、一般式(2)で表される化合物において、R又はRのハロゲン原子、トリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基が放射性ヨウ素原子に置換され、一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物において、R又はRが放射性ヨウ素原子の放射性ヨウ素標識化合物を得ることができる。放射性ヨウ素化反応は、酸性条件下、アルカリ金属放射性ヨウ化物、及び、酸化剤を反応させることにより行うことが好ましい。アルカリ金属放射性ヨウ化物としては、例えば、放射性ヨウ素のナトリウム化合物又は放射性ヨウ素のカリウム化合物を用いることができる。酸化剤としては、例えば、クロラミン-T、過酸化水素水、過酢酸、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド等を用いることができる。一例として、塩酸などの酸性条件下、過酸化水素水などの酸化剤存在下に、放射性ヨウ化ナトリウム(例えば、[123I]ヨウ化ナトリウム、[124I]ヨウ化ナトリウム、[125I]ヨウ化ナトリウム、[131I]ヨウ化ナトリウム)を反応させることにより、放射性ヨウ素化反応を行って、一般式(1)においてR又はRが放射性ヨウ素原子の放射性ヨウ素標識化合物を得ることができる。

【0042】
得られた一般式(1)の放射性ハロゲン標識化合物を放射性医薬として用いる場合には、未反応の放射性ヨウ素イオン及び不溶性の不純物を、メンブランフィルター、種々の充填剤を充填したカラム、HPLC等により精製することが望ましい。

【0043】
本発明に係る放射性医薬は、上記一般式(1)で表される放射性ハロゲン標識化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む処方物であると定義することができる。この放射性医薬は、上記得られた一般式(1)の放射性ハロゲン標識化合物を所望により適当なpHに調整された水又は生理食塩水、あるいはリンゲル液等に配合させた液として調製することができる。この場合における本放射性ハロゲン標識化合物の濃度は、配合された本放射性ハロゲン標識化合物の安定性が得られる濃度以下とすることが好ましい。本発明に係る放射性医薬の投与形態は、注射剤が好ましく、投与量は、投与された化合物の分布を画像化するために十分な濃度であれば特に限定される必要はない。

【0044】
本発明の放射性医薬は、核医学検査用の画像診断剤として使用することができ、具体的には、ポジトロン放出断層撮影(PET)用の画像診断剤やシングルフォトン断層撮影(SPECT)用の画像診断剤の用途に用いることができる。例えば、放射性ハロゲン原子として18F、76Br、124I等の陽電子放出核種を用いた場合は、ポジトロン放出断層撮影用の画像診断剤として用いることができ、放射性ハロゲン原子として123Iを用いた場合は、シングルフォトン断層撮影用の画像診断剤として用いることができる。核医学検査により得られた画像により、タウ蛋白を画像化することができ、例えば、アルツハイマー病を非侵襲的に診断することが可能になる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
本実施例で用いる略語は、以下のように定義される。
BIP-NMe:7-ヨード-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール
BIP-OMe:7-ヨード-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール
BIP-Me:7-ヨード-3-メチルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
125I]BIP-NMe:7-[125I]ヨード-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール
125I]BIP-OMe:7-[125I]ヨード-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール
125I]BIP-Me:7-[125I]ヨード-3-メチルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
【実施例】
【0047】
本実施例において、試薬は、ナカライテスク株式会社、東京化成工業株式会社、和光純薬株式会社、又は、シグマアルドリッチ社から購入したものを使用した。ただし、[125I]ヨウ化ナトリウムは、MP Biomedicalsおよびパーキンエルマージャパン株式会社より購入したものを使用した。中圧分取液体クロマトグラフィー装置には、山善株式会社製の自動設定中圧分取液体クロマトグラフシステム(EPCLC-W-Prep 2XY;送液ポンプ(ミキサー内蔵):No.580D、検出器(波長固定型):prep UV-254W、フラクションコレクター:FR-260)を使用し、HI-FLASH COLUMN(充填材:シリカゲルSiOH,ポアーサイズ:60オングストローム,粒子径:40μm,カラムサイズ:Lあるいは2L)及びINJECT COLUMN(充填材:シリカゲルSiOH,ポアーサイズ:60オングストローム,粒子径:40μm,カラムサイズ:MあるいはL)を装着した。H-NMRは、日本電子社製のJNM-AL400のNMR装置を用いて、テトラメチルシランを内部標準物質として測定した。全ての化学シフトはデルタスケール(δ)上のppmであり、そしてシグナルの微細分裂については、略号(s:シングレット、d:ダブレット、dd:ダブルダブレット、m:マルチプレット)を用いて示した。エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)には,株式会社島津製作所製高速クロマトグラフ質量分析計LCMS-2020を用いて測定した。
また、本実施例において、「室温」は25℃である。
各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。
放射能の測定にはパーキンエルマー株式会社製のWallac WIZARD 1480を用いた。
【実施例】
【0048】
(実施例1)7-トリブチルスタニル-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(放射性ヨウ素標識BIP-NMeの標識前駆体化合物)の合成
図1に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-NMeの標識前駆体化合物(化合物3)を得た。
【実施例】
【0049】
2-ブロモ-N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(化合物1)の合成
Org Biomol Chem,11,8073,2013の方法を基に合成を行い、化合物1を収量1.10g(54.6%)で得た。
【実施例】
【0050】
7-ブロモ-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物2)の合成
化合物1(1.10g,5.46mmol)をキシレン(45.0mL)に溶解し、2,5-ジブロモアニリン(1.37g,5.46mmol)、ヨウ化銅(I)(208mg,1.09mmol)、炭酸セシウム(5.34g,16.4mmol)及び1,10-フェナントロリン(393mg,2.18mmol)を加えた後、撹拌下、72時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、クロロホルム(70mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム/メタノール(20/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物2を収量94.9mg(6.00%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.16(d,J=7.5Hz,1H),7.86(s,1H),7.56(d,J=8.7Hz,1H),7.30(d,J=8.7Hz,1H),6.60(d,J=7.5Hz,1H),6.55(s,1H),3.14(s,6H)。
MS(ESI)m/z 290.1[MH]。
【実施例】
【0051】
7-トリブチルスタニル-3-ジメチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物3)の合成
化合物2(94.9mg,0.327mmol)を1,4-ジオキサン(30.0mL)に溶解し,ビス(トリブチルスズ)(655μL,1.31mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(163mg,0.141mmol)、トリエチルアミン(10.0mL)及びジメチルホルムアミド(8mL)を加えて、撹拌下、5.5時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、クロロホルム(90mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム/メタノール(15/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物3を収量18.0mg(11.0%)で得た。
H-NMR(400MHz,重メタノール)δ 8.41(d,J=7.5Hz,1H),7.81(d,J=7.8Hz,1H),7.66(s,1H),7.24(d,J=7.5Hz,1H),6.65(dd,J=7.8,2.6Hz,1H),6.32(d,J=2.3Hz,1H),3.06(s,6H),1.56-1.63(m,6H),1.32-1.41(m,6H),1.10-1.14(m,6H),0.88-0.92(m,9H)。
MS(ESI)m/z 502.4[MH]。
【実施例】
【0052】
(実施例2)BIP-NMe(化合物4)の合成
図1に示すスキームに沿って、BIP-NMeの非放射性化合物(化合物4)を得た。
実施例1に示す方法に従って合成した化合物3(49.0mg,0.0979mmol)をクロロホルム(20.0mL)に溶解し、ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を2.50mL加えて室温で1.5時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した後、クロロホルム(70.0mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム/メタノール(20/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、BIP-NMeを収量5.50mg(16.7%)で得た。
H-NMR(400MHz,重メタノール)δ 8.75(d,J=7.8Hz,1H),7.94(s,1H),7.85(d,J=8.7Hz,1H),7.72(d,J=8.4Hz,1H),7.08(d,J=7.8Hz,1H),6.56(s,1H),3.25(s,6H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C1312IN(M)337.0076,found 337.0074。
【実施例】
【0053】
(実施例3)7-トリブチルスタニル-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(放射性ヨウ素標識BIP-OMeの標識前駆体化合物)の合成
図2に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-OMeの標識前駆体化合物(化合物6)を得た。
【実施例】
【0054】
7-ブロモ-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物5)の合成
2-ブロモ-4-メトキシピリジン(1.23mL,10.0mmol)をキシレン(50.0mL)に溶解し,2,5-ジブロモアニリン(2.51g,10.0mmol)、ヨウ化銅(I)(381mg,2.00mmol)、炭酸セシウム(9.78g,30.0mmol)及び1,10-フェナントロリン(721mg,4.00mmol)を加えた後、撹拌下、75時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、クロロホルム(120mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム/メタノール(49/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物5を収量223mg(8.05%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.21(d,J=7.5Hz,1H),7.95(d,J=1.7Hz,1H),7.63(d,J=8.7Hz,1H),7.34(dd,J=8.4,1.7Hz,1H),6.87(d,J=2.3Hz,1H),6.59(dd,J=7.5,2.6Hz,1H),3.93(s,3H)。
MS(ESI)m/z 277.1[MH]。
【実施例】
【0055】
7-トリブチルスタニル-3-メトキシピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物6)の合成
化合物5(114mg,0.411mmol)を1,4-ジオキサン(30.0mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(827μL,1.65mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(204mg,0.177mmol)及びトリエチルアミン(15.0mL)を加えて、撹拌下、2.5時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム/メタノール(49/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物6を収量47.9mg(23.9%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.24(d,J=7.5Hz,1H),7.95(s,1H),7.75(d,J=7.5Hz,1H),7.36(d,J=7.8Hz,1H),6.86(d,J=2.3Hz,1H),6.54(dd,J=7.2,2.3Hz,1H),3.93(s,6H),1.54-1.60(m,6H),1.32-1.37(m,6H),1.09-1.13(m,6H),0.87-0.90(m,9H)。
MS(ESI)m/z 489.3[MH]。
【実施例】
【0056】
(実施例4)BIP-OMe(化合物7)の合成
図2に示すスキームに沿って、BIP-OMeの非放射性化合物(化合物7)を得た。
実施例3に示す方法に従って合成した化合物6(37.9mg,0.0778mmol)をクロロホルム(10.0mL)に溶解し、ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を1.00mL加えて室温で1.5時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した後、クロロホルム(65.0mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(2/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、BIP-OMeを収量14.2mg(56.3%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.20(d,J=7.5Hz,1H),8.17(d,J=1.2Hz,1H),7.51-7.57(m,2H),6.86(d,J=2.3Hz,1H),6.56(dd,J=7.5,2.3Hz,1H),3.93(s,6H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C12INO(M)323.9760,found 323.9762。
【実施例】
【0057】
(実施例5)7-トリブチルスタニル-3-メチルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物9)(放射性ヨウ素標識BIP-Meの標識前駆体化合物)の合成
図3に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-Meの標識前駆体化合物(化合物9)を得た。
【実施例】
【0058】
7-ブロモ-3-メチルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物8)の合成
2-ブロモ-4-メチルピリジン(135μL,1.20mmol)をキシレン(8.00mL)に溶解し、2,5-ジブロモアニリン(251mg,1.00mmol)、ヨウ化銅(I)(38.1mg,0.20mmol)、炭酸セシウム(978mg,3.00mmol)及び1,10-フェナントロリン(72.1mg,0.40mmol)を加えた後、撹拌下、57.5時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、クロロホルム(65mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物8を収量62.4mg(23.9%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.28(d,J=7.0Hz,1H),8.02(s,1H),7.70(d,J=8.7Hz,1H),7.40-7.43(m,2H),6.72(d,J=7.0Hz,1H),2.48(s,3H)。
MS(ESI)m/z 261.1[MH]。
【実施例】
【0059】
7-トリブチルスタニル-3-メチルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール(化合物9)の合成
化合物8(62.4mg,0.239mmol)を1,4-ジオキサン(14.0mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(240μL,0.478mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(119mg,0.103mmol)及びトリエチルアミン(7.00mL)を加えて、撹拌下、2.5時間加熱還流した。反応終了後,溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物9を収量14.9mg(13.2%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.31(d,J=7.0Hz,1H),8.02(s,1H),7.82(d,J=7.8Hz,1H),7.38-7.42(m,2H),6.66(d,J=7.0Hz,1H),2.46(s,3H),1.53-1.61(m,6H),1.32-1.39(m,6H),1.10-1.14(m,6H),0.86-0.91(m,9H)。
MS(ESI)m/z 473.3[MH]。
【実施例】
【0060】
(実施例6)BIP-Me(化合物10)の合成
図3に示すスキームに沿って、BIP-Meの非放射性化合物(化合物10)を得た。
実施例5に示す方法に従って合成した化合物9(12.9mg,0.0274mmol)をクロロホルム(13.0mL)に溶解し、ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を400μL加えて室温で1時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した後、クロロホルム(40.0mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、BIP-Meを収量5.5mg(65.2%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.29(d,J=7.0Hz,1H),8.24(d,J=1.2Hz,1H),7.60(s,2H),7.43(s,1H),6.72(d,J=7.2Hz,1H),2.49(s,3H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C12IN(M)307.9811,found 307.9808。
【実施例】
【0061】
(実施例7)放射性ヨウ素標識BIP誘導体化合物の合成
図4に示すスキームに沿って、[125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe、[125I]BIP-Meを得た。具体的には、実施例1に示す方法に従って合成した化合物3、実施例3に示す方法に従って合成した化合物6、及び、実施例5に示す方法に従って合成した化合物9をそれぞれ用い、スズ-ヨウ素交換反応により放射性ヨウ素標識した。より具体的には、1mol/L塩酸(100μL)及び3%過酸化水素水(100μL)に[125I]ヨウ化ナトリウム(3.7-7.4MBq、比放射能81.4TBq/mmol)を添加し、化合物3、6、9の各エタノール溶液(1.00mg/mLあるいは2.00mg/mL,200μL)をそれぞれ加えた。室温で40分間反応させた後,還元剤として飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(200μL)を加え,反応を停止した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200μL)を加えて反応液を中和した後,酢酸エチルで目的物を抽出した。無水硫酸ナトリウムを充填したカラムを通し脱水した後,溶媒を留去した。得られた放射性ヨウ素標識化合物4、7、10は,対応する非放射性化合物4、7、10を標品として逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製し、酢酸エチルで目的物を抽出した。無水硫酸ナトリウムを充填したカラムを通し脱水した後,溶媒を留去した。
125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe、[125I]BIP-Meの各化合物を放射化学的収率39~49%,放射化学的純度99%以上で得た。
なお、HPLCには,株式会社島津製作所製LC-20ADあるいはLC-20ATを使用し、検出器として紫外スペクトル検出器SPD-20Aと日立アロカメディカル株式会社製シンチレーションサーベイメーターTCS-172あるいはユニバーサル技研株式会社製HPLC用放射線検出器US-000Tを使用した。逆相HPLC用カラムには,ナカライテスク株式会社製COSMOSIL 5C18-AR-II 4.6mmI.D.×150mmを使用した。逆相HPLCの移動相及び保持時間は表1に示す。
【実施例】
【0062】
【表1】
JP0006609868B2_000006t.gif
【実施例】
【0063】
[評価1]アルツハイマー病患者剖検脳組織を用いたインビトロオートラジオグラフィー
(1)インビトロオートラジオグラフィー
アルツハイマー病(AD)患者剖検脳組織切片(76歳,男性,前頭葉部位と、側頭葉部位のもの,6μm)は、京都大学医学研究科及び国立循環器病研究センター病院より提供されたものを使用した。キシレン洗浄(15分×2)、エタノール(1分×2)、90体積%エタノール水溶液(1分×1)、80体積%エタノール水溶液(1分×1)、70体積%エタノール水溶液(1分×1)及び精製水洗浄(2.5分×2)をすることで脱パラフィン処理を行った。実施例7に示す方法で得られた放射性ヨウ素標識BIP誘導体化合物の10体積%エタノール水溶液(370kBq/mL)を添加し、室温で2時間インキュベートした。50体積%エタノール水溶液(1時間×1)で洗浄後、イメージングプレート(富士フィルム株式会社製BAS-SR2025)に露光させ、バイオイメージングアナライザー(富士フィルム株式会社製バイオーメージングアナライザーBAS-5000)にて分析を行った。定量解析には富士フィルム株式会社製Multi Gaugeを使用した。
【実施例】
【0064】
図5にその結果を示す。図5E、Fは、[125I]BIP-NMeを用いた結果を示し、図5G、Hは、[125I]BIP-OMeを用いた結果を示し、図5I、Jは、[125I]BIP-Meを用いた結果を示す。図5E、G、Iは前頭葉の脳組織切片を用いた結果を示し、図5F、H、Jは側頭葉の脳組織切片を用いた結果を示す。図5E、G、Iに示すとおり、[125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe及び[125I]BIP-Meは、いずれも前頭葉の脳組織切片への放射能集積を示さず、図5F、H、Jに示す通り、側頭葉の脳組織切片にのみ放射能集積を示したことから、AD脳内に蓄積したタウに対する結合選択性を維持していることが示された。また、これらの化合物は脳白質への非特異的結合が低く、その結果、灰白質と白質とのコントラストが高い画像が得られた。
【実施例】
【0065】
(2)AD患者剖検脳組織切片を用いた免疫染色
オートラジオグラフィーで使用したAD剖検組織脳切片に隣接切片を用いて、タウ及びAβの免疫染色を行った。タウの免疫染色における一次抗体には、抗リン酸化タウモノクローナル抗体(AT8,Thermo Scientfic社製)を、Aβの免疫染色における1次抗体には、抗Aβ1-42モノクローナル抗体(BC05,WAKO社製)を用いた。キシレン洗浄(15分×2)、エタノール(1分×2)、90体積%エタノール水溶液(1分×1)、80体積%エタノール水溶液(1分×1)、70体積%エタノール水溶液(1分×1)及び精製水洗浄(2.5分×2)することで脱パラフィン処理を行った。抗原の賦活化には0.01mol/Lクエン酸緩衝液(pH6.0)中におけるオートクレーブ(15分)及び蟻酸処理(5分)を行った。流水で洗浄(5分)した後、PBS-Tween20(2分×1)で洗浄した。1次抗体溶液と室温で1時間反応させた後、PBS-Tween20(5分×3)で洗浄した。ヒストファイン シンプルステイン MAX-PO(MULTI)(ニチレイバイオサイエンス社製)と室温で30分間反応させた後、PBS-Tween20(3分×3)およびTBS(5分×1)で洗浄した。最後に、DAB溶液と室温で1分間反応させた。蒸留水(1分×1)で洗浄し反応を停止させた。脳組織切片を封入した後に顕微鏡(株式会社キーエンス製BZ-9000)で観察した。
【実施例】
【0066】
図5にその結果を示す。図5A、Bは前頭葉の脳組織切片を用いた結果であり、図5C、Dは側頭葉の脳組織切片を用いた結果である。図5A、Cはタウ抗体の免疫染色の結果であり、図5B、DはAβ抗体の免疫染色の結果である。側頭葉におけるインビトロオートラジオグラフィーの画像を、タウ及びAβの免疫染色画像と比較した結果、側頭葉における脳組織切片上への放射能集積は、Aβの蓄積に比べて、タウの蓄積に対応したことから、[125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe及び[125I]BIP-Meの各化合物がAD脳内に蓄積したタウを明瞭に描出していることが明らかとなった。
【実施例】
【0067】
[評価2]正常マウス体内放射能分布評価
実施例7に示す方法に従って合成した[125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe及び[125I]BIP-Meの各化合物を10体積%エタノール及び0.1体積%Tween80を含む生理食塩水で希釈した。1群5匹の5週齢ddY系雄性マウス(26-28g)に、尾静脈より1匹あたり19.6-29.4kBq(100μL)の各放射性ヨウ素標識BIP誘導体化合物を投与し、2、10、30、60分後に屠殺、採血後、臓器を取り出し、重量と放射能を測定した。
【実施例】
【0068】
その結果を表2~4に示す。表2~4中、投与後時間に応じて示す数値は、胃及び甲状腺が%IDの平均値であり、それ以外の組織が%ID/gの平均値であり、括弧内は標準偏差(SD)を示す。[125I]BIP-NMe、[125I]BIP-OMe及び[125I]BIP-Meの各化合物は、投与早期における高い脳移行性及びその後の脳からの速やかな消失を示した。また、いずれのBIP誘導体化合物においても、投与早期に腎臓及び肝臓に取りこまれ、その後徐々に肝臓から腸へ排泄される挙動が示された。また、甲状腺への集積は比較的低かったことから、生体内において著しい脱ヨウ素は起こっていないことが示唆された。
【実施例】
【0069】
【表2】
JP0006609868B2_000007t.gif
【実施例】
【0070】
【表3】
JP0006609868B2_000008t.gif
【実施例】
【0071】
【表4】
JP0006609868B2_000009t.gif
【実施例】
【0072】
また、上記スキーム1に示す方法に従い、7-トリブチルスタニル-3-アミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-トリブチルスタニル-3-メチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾールをそれぞれ合成し、実施例7の方法に従って、7-[125I]ヨード-3-アミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-[125I]ヨード-3-メチルアミノピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾールをそれぞれ得る。
また、上記スキーム2に示す方法に従い、7-アミノ-3-トリブチルスタニルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メチルアミノ-3-トリブチルスタニルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-ジメチルアミノ-3-トリブチルスタニルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メトキシ-3-トリブチルスタニル-ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メチル-3-トリブチルスタニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジンをそれぞれ合成し、実施例7の方法に従って、7-アミノ-3-[125I]ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メチルアミノ-3-[125I]ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-ジメチルアミノ-3-[125I]ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メトキシ-3-[125I]ヨードピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール、7-メチル-3-[125I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジンをそれぞれ得る。
得られた125I標識化合物を用いて評価1に示す方法に従いインビトロオートラジオグラフィー評価を行って、AD脳内に蓄積したタウに対する結合選択性を有することを確認する。また、これら125I標識化合物を用いて評価2に示す方法に従い正常マウス体内放射能分布評価を行って、脳移行性及びその後の脳からの消失を確認する。
【実施例】
【0073】
以上に示す結果から、本発明に係る放射性ハロゲン標識化合物は、脳内タウ蛋白を選択的かつ非侵襲的に画像化できることが示される。
【実施例】
【0074】
この出願は、2015年8月19日に出願された日本出願特願2015-161472号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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