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明細書 :放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6609866号 (P6609866)
登録日 令和元年11月8日(2019.11.8)
発行日 令和元年11月27日(2019.11.27)
発明の名称または考案の名称 放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物
国際特許分類 C07D 471/04        (2006.01)
A61K  51/04        (2006.01)
C07F   7/22        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
A61K 101/02        (2006.01)
FI C07D 471/04 105E
A61K 51/04 200
C07F 7/22 CSPT
C07B 59/00
A61K 101:02
請求項の数または発明の数 8
全頁数 22
出願番号 特願2017-503433 (P2017-503433)
出願日 平成28年2月24日(2016.2.24)
国際出願番号 PCT/JP2016/055356
国際公開番号 WO2016/140118
国際公開日 平成28年9月9日(2016.9.9)
優先権出願番号 2015042748
優先日 平成27年3月4日(2015.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成31年1月22日(2019.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】佐治 英郎
【氏名】小野 正博
【氏名】猪原 匡史
【氏名】関 育也
個別代理人の代理人 【識別番号】100091502、【弁理士】、【氏名又は名称】井出 正威
審査官 【審査官】谷尾 忍
参考文献・文献 特表2013-522365(JP,A)
特表2012-521988(JP,A)
国際公開第2013/176698(WO,A1)
松村憲志など,アルツハイマー病脳内タウの生体イメージングを目的とした新規放射性ヨウ素標識ベンゾイミダゾピリジン誘導,日本薬学会第135年会要旨集2,2015年 3月 5日,p.258,論文No.26W-pm18S、文献全体、特に、化合物BIP1-BIP4参照
調査した分野 C07D 471/04
A61K 51/04
C07F 7/22
A61K 101/02
C07B 59/00
C07F 7/10
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】
JP0006609866B2_000009t.gif
〔式中、Rが水素原子であるとき、Rは放射性ヨウ素原子又は放射性ヨウ化フェニル基であり、Rが放射性ヨウ素原子であるとき、Rは水素原子又はフェニル基である〕で表される、放射性ヨウ素標識化合物又はその塩。
【請求項2】
前記放射性ヨウ化フェニル基は、フェニル基の4位の水素原子が放射性ヨウ素原子で置換された置換基である、請求項1に記載の放射性ヨウ素標識化合物又はその塩。
【請求項3】
前記放射性ヨウ素原子が、123I、124I、125I又は131Iである、請求項1又は2に記載の放射性ヨウ素標識化合物又はその塩。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項に記載された放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を含む、放射性医薬。
【請求項5】
単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)に用いられる、請求項4に記載の放射性医薬。
【請求項6】
請求項1乃至3いずれか1項に記載された放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を含む、アルツハイマー病診断剤。
【請求項7】
下記一般式(2):
【化2】
JP0006609866B2_000010t.gif
〔式中、R3が水素原子であるとき、R4はトリアルキルスタニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタニル化フェニル基、又はトリアルキルシリル化フェニル基であり、R3がトリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であるとき、R4は水素原子又はフェニル基である〕で表される、化合物又はその塩。
【請求項8】
下記一般式(2):
【化3】
JP0006609866B2_000011t.gif

〔式中、R3が水素原子であるとき、R4はトリアルキルスタニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタニル化フェニル基、又はトリアルキルシリル化フェニル基であり、R3がトリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であるとき、R4は水素原子又はフェニル基である〕で表される化合物又はその塩から、放射性ヨウ素化反応により、下記一般式(1):
【化4】
JP0006609866B2_000012t.gif
〔式中、Rが水素原子であるとき、Rは放射性ヨウ素原子又は放射性ヨウ化フェニル基であり、Rが放射性ヨウ素原子であるとき、Rは水素原子又はフェニル基である〕で表される放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物又はその塩、及び、これを含む放射性医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)脳内には、アミロイドβ蛋白(Aβ)を主成分とする老人斑(SP)と、タウ蛋白を主成分とする神経原線維変化(NFT)の蓄積が認められる。NFTの蓄積はSPと比べて臨床症状と高い相関を示すことから、最近、タウ蛋白を標的とした核医学診断用放射性分子イメージングプローブの開発が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、タウ蛋白に親和性を有するローダニン及びチオヒダントイン誘導体の放射性ヨウ素標識化合物が記載されている。
【0004】
また、特許文献2、3には、Aβ及びタウ蛋白の両者に対し結合性を有する化合物が記載されている。具体的には、特許文献2には、スチリルベンゾイミダゾールを母核とした放射性ヨウ素標識化合物が、特許文献3には、ベンゾイミダゾールピリミジン類などが記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2011/108236号パンフレット
【特許文献2】特開2013-237655号公報
【特許文献3】特表2013-522365号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~3記載の化合物は、タウ蛋白選択的なインビボイメージング剤としては、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、核医学的手法により非侵襲的に生体内のタウ蛋白を選択的に画像化し得る、新規なタウイメージング剤を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物により、タウ蛋白への選択的結合性を保持しつつ、白質への非特異的集積を抑えられることを新たに知見し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明の一態様は、下記一般式(1)で表される、放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を提供するものである。
【0010】
【化1】
JP0006609866B2_000002t.gif

【0011】
上記一般式(1)中、Rが水素原子であるとき、Rは放射性ヨウ素原子又は放射性ヨウ化フェニル基であり、Rが放射性ヨウ素原子であるとき、Rは水素原子又はフェニル基である。
【0012】
本発明の他の態様は、上記の放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を含む、放射性医薬を提供するものである。
【0013】
また、本発明の他の態様は、上記の放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を含む、アルツハイマー病診断剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明の他の態様は、下記一般式(2)で表される、化合物又はその塩を提供するものである。
【0015】
【化2】
JP0006609866B2_000003t.gif

【0016】
上記一般式(2)中、R3が水素原子であるとき、R4はトリアルキルスタニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタニル化フェニル基、又はトリアルキルシリル化フェニル基であり、R3がトリアルキルスタニル基又はトリアルキルシリル基であるとき、R4は水素原子又はフェニル基である。
【0017】
また、本発明の他の態様は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩から、放射性ヨウ素化反応により、上記一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を製造する方法を提供するものである。
【0018】
本発明によれば、核医学的手法により生体内のタウ蛋白を選択的に画像化し得る、新規なタウイメージング剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0020】
【図1】7-ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(BIP-1)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-1の標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図2】3-(4-ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(BIP-2)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-2の標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図3】7-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(BIP-3)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-3の標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図4】3-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(BIP-4)、及び、放射性ヨウ素標識BIP-4の標識前駆体化合物の合成例を示す図である。
【図5】放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物の標識合成例を示す図である。Aが7-[125I]ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン([125I]BIP-1)の合成例を示す図であり、Bが3-(4-[125I]ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン([125I]BIP-2)の合成例を示す図であり、Cが7-[125I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン([125I]BIP-3)の合成例を示す図であり、Dが3-[125I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン([125I]BIP-4)の合成例を示す図である。
【図6】アルツハイマー病患者剖検脳組織を用いたインビトロオートラジオグラフィーの結果を示す図である。Eは、側頭葉の脳組織切片を用いて放射性ヨウ素標識BIP-1の結合親和性を評価した結果を示す。Fは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-1の結合親和性を評価した結果を示す。Gは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-2の結合親和性を評価した結果を示す。Hは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-2の結合親和性を評価した結果を示す。Iは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-3の結合親和性を評価した結果を示す。Jは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-3の結合親和性を評価した結果を示す。Kは、側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-4の結合親和性を評価した結果を示す。Lは、前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-4の結合親和性を評価した結果を示す。
【図7】アルツハイマー病患者剖検脳組織を用いたインビトロオートラジオグラフィー及び免疫染色の結果を示す図である。Mはタウ抗体の免疫染色の結果であり、OはAβ抗体の免疫染色の結果である。Nは、図6Iの拡大画像である。
【図8】前頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-3の結合親和性を評価した結果を示す図である。
【図9】側頭葉の脳組織切片を用いて[125I]BIP-3の結合親和性を評価した結果を示す図である。
【図10】脳組織切片全体に対する各脳組織領域におけるタウ、Aβの免疫陽性部位の割合と、[125I]BIP-3の放射能集積部位の割合とを脳組織領域ごとに示す図である。
【図11】実施例に係る放射性ヨウ素標識ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体化合物の脳内挙動を比較した結果を示す図である。
【図12】放射性ヨウ素標識BIP-3の血漿中安定性評価の結果を示す図である。
【図13】放射性ヨウ素標識BIP-3の血液中代謝物分析の結果を示す図である。
【図14】放射性ヨウ素標識BIP-3の脳内代謝物分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、「放射性ヨウ素」とは、ヨウ素の放射性同位体であれば特に限定されないが、単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)等の核医学画像診断に用いられる放射性核種が好ましく、より好ましくは123I、124I、125I又は131Iであり、核医学画像診断用には123Iが更に好ましい。

【0022】
また、本発明において、「放射性ヨウ化フェニル基」とは、フェニル基の少なくとも1の水素原子が放射性ヨウ素原子で置換された置換基であればよいが、フェニル基の1の水素原子が放射性ヨウ素原子で置換されたモノヨウ化フェニル基が好ましく、より好ましくは、フェニル基の2位、3位又は4位の水素原子が放射性ヨウ素原子で置換されたヨウ化フェニル基であり、フェニル基の4位の水素原子が放射性ヨウ素原子で置換された置換基(放射性4-ヨウ化フェニル基)が更に好ましい。

【0023】
上記一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物は、塩を形成していてもよく、該塩としては酸付加塩、例えば無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩など)などが挙げられる。また、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩は水和物であってもよい。

【0024】
本発明に係る放射性ヨウ素標識化合物は、具体的には以下の化合物が挙げられる。
・放射性ヨウ素標識7-ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rがフェニル基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識3-(4-ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rが放射性4-ヨウ化フェニル基である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識7-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rが放射性ヨウ素原子であり、Rが水素原子である放射性ヨウ素標識化合物)
・放射性ヨウ素標識3-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(上記一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rが放射性ヨウ素原子である放射性ヨウ素標識化合物)

【0025】
続いて、上記一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物又はその塩の製造方法について説明する。一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物又はその塩は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩を用いて放射性ヨウ素化反応を実行することにより、得ることができる。

【0026】
上記一般式(2)中、トリアルキルスタニル基としては、トリ(C1-C6アルキル)スタニル基が挙げられ、トリブチルスタニル基がより好ましい。トリアルキルシリル基としては、トリ(C1-C6アルキル)シリル基が挙げられ、トリメチルシリル基がより好ましい。

【0027】
また、本発明において、「トリアルキルスタニル化フェニル基」とは、フェニル基の少なくとも1の水素原子がトリアルキルスタニル基で置換された置換基であればよいが、フェニル基の1の水素原子がトリアルキルスタニル基で置換されたフェニル基が好ましく、より好ましくは、フェニル基の2位、3位又は4位の水素原子がトリアルキルスタニル基で置換されたトリアルキルスタニル化フェニル基であり、フェニル基の4位の水素原子がトリアルキルスタニル基で置換された置換基(4-トリアルキルスタニル化フェニル基)が更に好ましい。

【0028】
また、本発明において、「トリアルキルシリル化フェニル基」とは、フェニル基の少なくとも1の水素原子がトリアルキルシリル基で置換された置換基であればよいが、フェニル基の1の水素原子がトリアルキルシリル基で置換されたフェニル基が好ましく、より好ましくは、フェニル基の2位、3位又は4位の水素原子がトリアルキルシリル基で置換されたトリアルキルシリル化フェニル基であり、フェニル基の4位の水素原子がトリアルキルシリル基で置換された置換基(4-トリアルキルシリル化フェニル基)が更に好ましい。

【0029】
上記一般式(2)で表される化合物は、塩を形成してもよい。塩としては、上記一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物が形成しうる塩と同様なものを採用することができる。

【0030】
上記一般式(2)で表される化合物は、例えば、図1~4に示すスキームで調製することができる。

【0031】
放射性ヨウ素化反応は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩に対し、放射性ヨウ化アルカリ金属塩を作用させることで実行することができる。放射性ヨウ化アルカリ金属塩は、放射性ヨウ素とアルカリ金属との塩であればよく、例えば、放射性ヨウ化ナトリウム、放射性ヨウ化カリウム等が挙げられる。

【0032】
上記一般式(2)で表される化合物と放射性ヨウ化アルカリ金属塩との反応は、酸性条件下で行い、さらに酸化剤を反応させることにより行なわれる。酸化剤としては、クロラミン-T、過酸化水素、過酢酸等が用いられる。

【0033】
得られた一般式(1)の放射性ヨウ素標識化合物を放射性医薬として用いる場合には、未反応の放射性ヨウ素イオン及び不溶性の不純物を、メンブランフィルター、種々の充填剤を充填したカラム、HPLC等により精製することが望ましい。

【0034】
本発明に係る放射性医薬は、上記一般式(1)で表される放射性ヨウ素標識化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む処方物であると定義することができる。この放射性医薬は、上記得られた一般式(1)の放射性ヨウ素標識化合物を所望により適当なpHに調整された水又は生理食塩水、あるいはリンゲル液等に配合させた液として調製することができる。この場合における本放射性ヨウ素標識化合物の濃度は、配合された本放射性ヨウ素標識化合物の安定性が得られる濃度以下とすることが好ましい。本発明に係る放射性医薬の投与形態は、注射剤が好ましく、投与量は、投与された化合物の分布を画像化するために十分な濃度であれば特に限定される必要はない。

【0035】
生体に投与された本放射性ヨウ素標識化合物の分布は、公知の方法にて画像化することができ、例えば[123I]ヨウ素標識化合物の場合は単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)を用いて画像化することができる。このようにして得られた画像により、タウ蛋白を画像化することができ、例えば、アルツハイマー病を非侵襲的に診断することが可能になる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
本実施例で用いる略語は、以下のように定義される。
BIP-1:7-ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
BIP-2:3-(4-ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
BIP-3:7-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
BIP-4:3-ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
125I]BIP-1:7-[125I]ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
125I]BIP-2:3-(4-[125I]ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
125I]BIP-3:7-[125I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
125I]BIP-4:3-[125I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
123I]BIP-1:7-[123I]ヨード-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
123I]BIP-2:3-(4-[123I]ヨードフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
123I]BIP-3:7-[123I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
123I]BIP-4:3-[123I]ヨードベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン
【実施例】
【0038】
本実施例において、試薬は、ナカライテスク株式会社、東京化成工業株式会社、和光純薬株式会社、又は、シグマアルドリッチ社から購入したものを使用した。ただし、[125I]ヨウ化ナトリウムは、MP Biomedical,Inc及び株式会社パーキンエルマージャパンより購入したものを使用した。中圧分取液体クロマトグラフィー装置には、山善株式会社製の自動設定中圧分取液体クロマトグラフシステム(EPCLC-W-Prep 2XY;送液ポンプ(ミキサー内蔵):No.580D、検出器(波長固定型):prep UV-254W、フラクションコレクター:FR-260)を使用し、HI-FLASH COLUMN(充填材:シリカゲルSiOH,ポアーサイズ:60オングストローム,粒子径:40μm,カラムサイズ:Lあるいは2L)及びINJECT COLUMN(充填材:シリカゲルSiOH,ポアーサイズ:60オングストローム,粒子径:40μm,カラムサイズ:MあるいはL)を装着した。NMRは、日本電子社製のJNM-AL400のNMR装置を用いて、テトラメチルシランを内部標準物質として測定した。全ての化学シフトはデルタスケール(δ)上のppmであり、そしてシグナルの微細分裂については、略号(s:シングレット、d:ダブレット、dd:ダブルダブレット、ddd:トリプルダブレット、m:マルチプレット)を用いて示した。
質量分析は、大気圧化学イオン化(APCI-MS)法では、株式会社島津製作所製のLCMS-2010EVを用い、電子イオン化質量分析(EI-MS)では、日本電子株式会社製のGCmate IIを用いて測定した。
また、本実施例において、「室温」は25℃である。
各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。
放射能の測定にはパーキンエルマー株式会社製のWallac WIZARD 1470を用いた。
【実施例】
【0039】
(実施例1)3-フェニル-7-(トリブチルスタニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(放射性ヨウ素標識BIP-1の標識前駆体化合物)の合成
図1に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-1の標識前駆体化合物(化合物9)を得た。
【実施例】
【0040】
2-ブロモ-4-フェニルピリジン(化合物7)の合成
ジメチルアミノエタノール(DMAE,1.50mL,15.0mmol)をヘキサン(20.0mL)に溶解し,氷冷下で撹拌した。n-ブチルリチウム(2.5mol/Lヘキサン溶液,12.0mL,30.0mmol)を氷冷下で少しずつ滴下し、そのまま30分間撹拌した。4-フェニルピリジン(776mg,5.00mmol)のヘキサン溶液(30.0mL)を氷冷下で少しずつ滴下し、そのまま1時間撹拌した。反応溶液を-78℃に冷却した後、四臭化炭素(6.30g,18.0mmol)のヘキサン溶液(15.0mL)を少しずつ滴下し、そのまま50分間撹拌した。氷冷下で精製水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物7を収量645mg(収率55.1%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.38(d,J=5.2Hz,1H),7.66-7.67(m,1H),7.56-7.58(m,2H),7.42-7.49(m,4H)。
【実施例】
【0041】
7-ブロモ-3-フェニルベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物8)の合成
化合物7(645mg,2.75mmol)をキシレン(30.0mL)に溶解し、2,4-ジブロモアニリン(690mg,2.75mmol)、ヨウ化銅(I)(105mg,0.550mmol)、炭酸セシウム(2.67g,8.26mmol)及び1,10-フェナントロリン(198mg,1.10mmol)を加えた後、撹拌下、24時間加熱還流させた。反応溶液を室温に戻し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物8を収量78.4mg(収率8.80%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.47(d,J=7.2Hz,1H),8.08(s,1H),7.88(s,1H),7.77(d,J=8.7Hz,1H),7.72(d,J=7.2Hz,2H),7.45-7.55(m,4H),7.19(d,J=7.0Hz,1H)。
【実施例】
【0042】
3-フェニル-7-(トリブチルスタニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物9)の合成
化合物8(95.0mg,0.294mmol)を1,4-ジオキサン(20.0mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(295μL,0.588mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(146mg,0.126mmol)及びトリエチルアミン(16.0mL)を加えて、撹拌下、3時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/2(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物9を収量26.7mg(収率17.0%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.48(d,J=7.3Hz,1H),8.08(s,1H),7.87-7.89(m,2H),7.72(d,J=7.5Hz,2H),7.44-7.53(m,4H),7.12(dd,J=7.2,1.7Hz,1H),0.87-1.63(m,27H)。
【実施例】
【0043】
(実施例2)BIP-1(化合物10)の合成
図1に示すスキームに沿って、BIP-1の非放射性化合物(化合物10)を得た。
実施例1に示す方法で得られた化合物9(24.7mg,0.0463mmol)をクロロホルム(15.0mL)に溶解し、ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を1.00mL加えて室温で1.5時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた後、クロロホルム(50.0mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/2(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物10(BIP-1)を収量10.3mg(収率60.2%)で得た。また、BIP-1は、4-フェニルピリジンからの4段階の反応で0.496%の収率で得られた。
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.18(d,J=7.3Hz,1H),8.19-8.22(m,2H),7.93-7.99(m,3H),7.66(dd,J=8.4,1.4Hz,1H),7.51-7.57(m,2H),7.46-7.51(m,2H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C1711IN(M)369.9967,found 369.9960。
【実施例】
【0044】
(実施例3)3-(4-(トリブチルスタニル)フェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(放射性ヨウ素標識BIP-2の標識前駆体化合物)の合成
図2に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-2の標識前駆体化合物(化合物13)を得た。
【実施例】
【0045】
3-ブロモベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物11)の合成
2-ブロモアニリン(855mg,5.00mmol)をキシレン(5.00mL)に溶解し、2,4-ジブロモピリジン(1.41g,6.00mmol)、ヨウ化銅(I)(191mg,1.00mmol)、炭酸セシウム(4.89g,15.0mmol)及び1,10-フェナントロリン(360mg,2.00mmol)を加えた後、撹拌下、9.5時間加熱還流させた。反応溶液を室温に戻し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物11を収量615mg(収率50.0%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.32(d,J=7.3Hz,1H),7.94(d,J=8.2Hz,1H),7.86-7.90(m,2H),7.56(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),7.41(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),6.96(dd,J=7.1,1.8Hz,1H)。
【実施例】
【0046】
3-(4-ブロモフェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物12)の合成
化合物11(123mg,0.500mmol)をトルエン(5.00mL)及びエタノール(5.00mL)に溶解し,4-ブロモベンゼンボロン酸(100mg,0.500mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(58.0mg,5.00×10-2mmol)及び炭酸カリウム(14.0mg,0.100mmol)を加えた後、撹拌下、11時間加熱還流させた。反応溶液を室温に戻した後、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物12を収量90.0mg(収率55.9%)で得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.18(d,J=7.1Hz,1H),8.35(d,J=8.0Hz,1H),8.02(s,1H),7.91(d,J=7.6Hz,2H),7.82(d,J=8.5Hz,1H),7.74(d,J=7.3Hz,2H),7.52(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),7.37-7.42(m,2H)。
【実施例】
【0047】
3-(4-(トリブチルスタニル)フェニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物13)の合成
化合物12(90.0mg,0.280mmol)を1,4-ジオキサン(5.00mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(280μL,0.560mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(139mg,0.120mmol)及びトリエチルアミン(5.00mL)を加えて、撹拌下、5時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物13を収量70.0mg(収率47.0%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.46(d,J=7.1Hz,1H),7.87-7.95(m,3H),7.50-7.68(m,5H),7.36(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),7.14(dd,J=7.1,1.1Hz,1H)。
【実施例】
【0048】
(実施例4)BIP-2(化合物14)の合成
図2に示すスキームに沿って、BIP-2の非放射性化合物(化合物14)を得た。
実施例3に示す方法で得られた化合物13(70.0mg,0.130mmol)をクロロホルム(30.0mL)に溶解し,ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を5.00mL加えて室温で1時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた後、クロロホルム(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物14(BIP-2)を収量10.0mg(収率20.6%)で得た。また、化合物BIP-2は、2-ブロモアニリンからの4段階の反応で2.71%の収率で得られた。
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.60(d,J=7.1Hz,1H),8.63(d,J=8.5Hz,1H),8.33(s,1H),8.00-8.04(m,3H),7.95(d,J=8.2Hz,1H),7.86(d,J=8.7Hz,2H),7.80(dd,J=7.1,7.1Hz,1H),7.68(dd,J=7.3,7.3Hz,1H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C1711IN(M)369.9967,found 369.9970。
【実施例】
【0049】
(実施例5)7-(トリブチルスタニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(放射性ヨウ素標識BIP-3の標識前駆体化合物)の合成
図3に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-3の標識前駆体化合物(化合物16)を得た。
【実施例】
【0050】
7-ブロモベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物15)の合成
2,5-ジブロモアニリン(1.24g,5.00mmol)をキシレン(5.00mL)に溶解し、2-ブロモピリジン(585μL,6.00mmol)、ヨウ化銅(I)(190mg,1.00mmol)、炭酸セシウム(4.89g,15.0mmol)及び1,10-フェナントロリン(360mg,2.00mmol)を加えた後、撹拌下、22時間加熱還流させた。反応溶液を室温に戻し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/1(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物15を収量834mg(収率67.8%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 9.12(d,J=6.7Hz,1H),8.31(d,J=8.4Hz,1H),8.01(d,J=1.5Hz,1H),7.69(d,J=9.3Hz,1H),7.60-7.64(m,1H),7.52(dd,J=8.7,1.7Hz,1H),7.06(dd,J=6.7,6.7Hz,1H)。
【実施例】
【0051】
7-(トリブチルスタニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(化合物16)の合成
化合物15(834mg,3.39mmol)を1,4-ジオキサン(10.0mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(3.40mL,6.78mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.69g,1.46mmol)及びトリエチルアミン(10.0mL)を加えて、撹拌下、6時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物16を収量510mg(収率32.8%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.46(d,J=7.0Hz,1H),8.08(s,1H),7.88(d,J=8.1Hz,1H),7.69(d,J=9.3Hz,1H),7.45(d,J=8.1Hz,1H),7.40-7.42(m,1H),6.84(dd,J=7.0,7.0Hz,1H),0.87-1.64(m,27H)。
【実施例】
【0052】
(実施例6)BIP-3(化合物17)の合成
図3に示すスキームに沿って、BIP-3の非放射性化合物(化合物17)を得た。
実施例5に示す方法で得られた化合物16(510mg,1.11mmol)をクロロホルム(100mL)に溶解し、ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を10.0mL加えて室温で11時間撹拌した。飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた後、クロロホルム(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/1(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物17(BIP-3)を収量210mg(収率64.2%)で得た。また、BIP-3は、2,5-ジブロモアニリンからの3段階の反応で14.3%の収率で得られた。
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.10(dd,J=6.7,0.9Hz,1H),8.17-8.19(m,2H),7.59-7.70(m,3H),7.05(dd,J=6.7,6.7Hz,1H)。
HRMS(EI)m/z calcd for C11IN(M)293.9654,found 293.9660。
【実施例】
【0053】
(実施例7)3-(トリブチルスタニル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン(放射性ヨウ素標識BIP-4の標識前駆体化合物)の合成
図4に示すスキームに沿って、放射性ヨウ素標識BIP-4の標識前駆体化合物(化合物18)を得た。
実施例3に示す方法で得られた化合物11(182mg,0.740mmol)を1,4-ジオキサン(10.0mL)に溶解し、ビス(トリブチルスズ)(741μL,1.48mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(368mg,0.320mmol)及びトリエチルアミン(10.0mL)を加えて、撹拌下、19.5時間加熱還流させた。反応終了後に溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物18を収量140mg(収率41.3%)で得た。
H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ 8.29(d,J=6.6Hz,1H),7.76-7.86(m,3H),7.44(dd,J=8.2,8.2Hz,1H),7.26(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),6.82(d,J=6.6Hz,1H),0.79-1.60(m,27H)。
【実施例】
【0054】
(実施例8)BIP-4(化合物19)の合成
図4に示すスキームに沿って、BIP-4の非放射性化合物(化合物19)を得た。
実施例7に示す方法で得られた化合物18(140mg,0.310mmol)をクロロホルム(30.0mL)に溶解し,ヨウ素のクロロホルム溶液(50.0mg/mL)を5.00mL加えて室温で1.5時間撹拌した.飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた後、クロロホルム(100mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル/へキサン(1/4(体積比))を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、化合物19を収量50.0mg(収率55.7%)で得た。また、BIP-4は、2-ブロモアニリンからの3段階の反応で11.5%の収率で得られた。
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.91(d,J=7.3Hz,1H),8.31(d,J=8.2Hz,1H),8.18(s,1H),7.81(d,J=8.2Hz,1H),7.53(ddd,J=7.1,7.1,0.9Hz,1H),7.39(ddd,J=8.2,8.2,0.9,1H),7.28(dd,J=7.1,1.6Hz,1H)。
HRMS (EI)m/z calcd for C11IN (M)293.9654,found 293.9652。
【実施例】
【0055】
(実施例9)[125I]BIP-1~4の合成
図5に示すスキームに沿って、[125I]BIP-1~4を得た。具体的には、[125I]ヨウ化ナトリウム(3.7~7.4MBq,比放射能81.4TBq/mmol)を添加し、1mol/L塩酸(100μL)、3%(v/v)過酸化水素水溶液(100μL)に、実施例1に示す方法で得られた化合物9、実施例5に示す方法で得られた化合物16、実施例7に示す方法で得られた化合物18のエタノール溶液、又は、実施例3に示す方法で得られた化合物13の0.1%(v/v)酢酸含有メタノール溶液(1.00mg/mL,200μL)を加えた。室温で40分間反応させた後、還元剤として飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(200μL)を加え、反応を停止させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200μL)を加え、反応液を中和した後、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムを充填したカラムを通し脱水した後、溶媒を留去した。実施例2、4、6、8に示す方法で得られた対応する非放射性化合物BIP-1~4を標品として、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製し、酢酸エチルで抽出した。HPLCは株式会社島津製作所製LC-20ADを使用し、検出器として紫外スペクトル検出器SPD-20Aと日立アロカメディカル株式会社製シンチレーションサーベイメーターTCS-172を使用した。HPLC用カラムにはナカライテスク株式会社製COSMOSIL 5C18-AR-II(4.6mmI.D.×150mm)を使用した。逆相HPLCの移動相及び保持時間は表1に示す。無水硫酸ナトリウムを充填したカラムを通し脱水した後、溶媒を留去した。[125I]BIP-1~4の各化合物を放射化学的収率45~85%,放射化学的純度99%以上で得た。
【実施例】
【0056】
【表1】
JP0006609866B2_000004t.gif
【実施例】
【0057】
(実施例10)[123I]BIP-1~4の合成
実施例9において、[125I]ヨウ化ナトリウムに代えて[123I]ヨウ化ナトリウム(111MBq/10μL)を37~111MBq使用した以外は、同様にして、[123I]BIP-1~4を得た。
【実施例】
【0058】
[評価1]アルツハイマー病患者剖検脳組織を用いたインビトロオートラジオグラフィー
(1)インビトロオートラジオグラフィー
アルツハイマー病(AD)患者剖検脳組織切片(76歳,男性,前頭葉部位と、側頭葉部位のもの,6μm)は、京都大学医学研究科より提供されたものを使用した。キシレン洗浄(15分×2)、エタノール(1分×2)、90体積%エタノール水溶液(1分×1)、80体積%エタノール水溶液(1分×1)、70体積%エタノール水溶液(1分×1)及び精製水洗浄(2.5分×2)をすることで脱パラフィン処理を行った。実施例9に示す方法で得られた[125I]BIP-1~4の10体積%あるいは50体積%エタノール水溶液(370kBq/mL)を添加し、室温で2時間インキュベートした。50体積%エタノール水溶液(2時間×1)で洗浄後、イメージングプレート(富士フィルム株式会社製BAS-SR2025)に12時間露光させ、バイオイメージングアナライザー(富士フィルム株式会社製バイオーメージングアナライザーBAS-5000)にて分析を行った。定量解析には富士フィルム株式会社製Multi Gaugeを使用した。
【実施例】
【0059】
図6にその結果を示す。図6E、Fは、[125I]BIP-1を用いた結果を示し、図6G、Hは、[125I]BIP-2を用いた結果を示し、図6I、Jは、[125I]BIP-3を用いた結果を示し、図6K、Lは、[125I]BIP-4を用いた結果を示す。図6E、G、I、Kは側頭葉の脳組織切片を用いた結果を示し、図6F、H、J、Lは前頭葉の脳組織切片を用いた結果を示す。図6F、Hに示すとおり、[125I]BIP-1及び[125I]BIP-2は,いずれも前頭葉の脳組織切片に放射能集積を認めなかったことから、アミロイドβ蛋白(Aβ)への結合親和性は低いことが示された。一方で、図6E、Gに示す通り、[125I]BIP-1及び[125I]BIP-2の側頭葉の脳灰白質への放射能集積は維持されており、タウに対する結合親和性を有していることが示された。また、これらの化合物は脳白質への非特異的結合が低く、その結果、灰白質と白質とのコントラストが高い画像が得られた。さらに、図6I、J、K、Lで示す通り、[125I]BIP-3及び[125I]BIP-4においても、[125I]BIP-1及び[125I]BIP-2と同等の画像を得た。
以上の結果より、[125I]BIP-1~4は、Aβに比べてタウに対する選択的結合性を有しており、さらに、白質への非特異的集積が低かったことから、タウイメージングプローブの骨格として有望である可能性が示された。
【実施例】
【0060】
(2)AD患者剖検脳組織切片を用いた免疫染色
オートラジオグラフィーで使用した脳切片に近接する切片を用いて,老人斑(SP)及び神経原線維変化(NFT)の染色を行った。SPの免疫染色における1次抗体には、抗Aβ1-42モノクローナル抗体(BC05,WAKO社製)を、NFTの免疫染色における抗体には、抗リン酸化タウモノクローナル抗体(AT8,Thermo Scientfic社製)を用いた。キシレン洗浄(15分×2)、エタノール(1分×2)、90体積%エタノール水溶液(1分×1)、80体積%エタノール水溶液(1分×1)、70体積%エタノール水溶液(1分×1)及び精製水洗浄(2.5分×2)することで脱パラフィン処理を行った。抗原の賦活化には0.01mol/Lクエン酸緩衝液(pH6.0)中におけるオートクレーブ(15分)及び蟻酸処理(5分)を行った。流水で洗浄(5分)した後、PBS-Tween20(2分×1)で洗浄した。1次抗体溶液と室温で1時間反応させた後、PBS-Tween20(5分×3)で洗浄した。ヒストファイン シンプルステイン MAX-PO(MULTI)(ニチレイバイオサイエンス社製)と室温で30分間反応させた後、PBS-Tween20(3分×3)およびTBS(5分×1)で洗浄した。最後に、DAB溶液と室温で1分間反応させた。蒸留水(1分×1)で洗浄し反応を停止させた。脳組織切片を封入した後に顕微鏡(株式会社キーエンス製BZ-9000)で観察した。
【実施例】
【0061】
図7Mはタウ抗体の免疫染色の結果であり、図7OはAβ抗体の免疫染色の結果である。図7Nは、図6Iの拡大画像である。[125I]BIP-3によって得られた側頭葉におけるインビトロオートラジオグラフィーの拡大画像を、タウ及びAβの免疫染色画像と比較した結果、[125I]BIP-3の側頭葉における脳組織切片上への放射能集積(図7N)は、Aβの蓄積(図7O)に比べて、タウの蓄積(図7M)に対応したことから、[125I]BIP-3がAD脳内に蓄積したタウを明瞭に描出していることが明らかとなった。
【実施例】
【0062】
125I]BIP-3に関しては,Multi Gaugeを用いて脳組織切片上に集積した放射能を定量解析し、タウ及びAβの免疫染色陽性部位との相関関係を評価した。図8に示すように、前頭葉をa.帯状回、b.直回、c.下前頭回、d.上前頭回の4箇所に、図9に示すように、側頭葉をe.横側頭回、f.上側頭回、g.中側頭回、h.下前頭回、i.海馬傍回、j.海馬の6箇所に分類した。タウ及びAβの免疫染色陽性部位が各部位の全体の面積に占める割合を算出した結果、前頭葉にはAβのみが蓄積していることが定量的に示された(図10a~d)。一方で、側頭葉には、Aβに比べてタウの免疫染色陽性部位の割合の方が高いことが示された(図10e~j)。タウ及びAβの免疫染色陽性部位の割合と[125I]BIP-3の放射能集積を比較した結果、[125I]BIP-3は,前頭葉への放射能集積は低く(図10a~d)、側頭葉への放射能集積は前頭葉の放射能集積に比べて高かったことから(図10e~j)、[125I]BIP-3の脳組織切片上への放射能集積は、Aβに比べてタウの蓄積割合に相関していることが示された。
【実施例】
【0063】
[評価2]脳内挙動の比較
実施例9に示す方法で得られた[125I]BIP-1~4を10体積%エタノール及び0.1体積%Tween80を含む生理食塩水で希釈した。1群5匹の5週齢ddY系雄性マウス(26-28g)に、尾静脈より1匹あたり25.0-37.5kBq(100μL)の[125I]BIP-1~4をそれぞれ投与し、2、10、30、60分後に屠殺、採血後、脳を取り出し、重量と放射能を測定した。また、[125I]BIP-3に関しては、主要な臓器を摘出し、重量と放射能を測定した。
【実施例】
【0064】
その結果を表2及び図11に示す。表2中、投与後時間に応じて示す数値は、%ID/gの平均値であり、括弧内は標準偏差(SD)を示す。[125I]BIP-1~4は、投与早期における高い脳移行性及びその後の脳からの速やかな消失を示した。なかでも、[125I]BIP-3の投与後2分における脳内放射能(Brain2min)は、4.74%ID/gであった。また、[125I]BIP-3は,投与後2分と60分における脳内放射能の比(Brain2min/60min)が79.0であり、良好な脳内挙動を有することが示された。
【実施例】
【0065】
【表2】
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【実施例】
【0066】
また、[125I]BIP-3の体内放射能分布実験を行った結果を表3に示す。表3中、投与後時間に応じて示す数値は、胃及び甲状腺が%IDの平均値であり、それ以外の組織が%ID/gの平均値であり、括弧内は標準偏差(SD)を示す。投与2分後の腎臓への取り込み(23.7%ID/g)と肝臓への取り込み(19.9%ID/g)は同程度であった。また、投与60分後の腸への取り込みが29.4%ID/gであり、徐々に肝臓から腸へ排泄される挙動が示された。また、甲状腺への取り込みが投与60分後も0.22%IDであり、脱ヨウ素に伴う甲状腺への集積は比較的低かったことから、生体内において著しい脱ヨウ素は起こっていないことが示唆された。
【実施例】
【0067】
【表3】
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【実施例】
【0068】
[評価3][125I]BIP-3の血漿中安定性評価
ddYマウス(5週齢、体重25-28g)をイソフルランで麻酔して心臓採血を行った。採取した血液は4000×gで10分間遠心分画し、上清を回収した。実施例9に示す方法で得られた[125I]BIP-3(188kBq、10.0μL、エタノール溶液)及びマウス血漿サンプル(200μL)を混合した。37℃で1時間インキュベートし、アセトニトリル(400μL)を加えてから4000×gで10分間遠心分画した。上清を回収してCosmonice Filter(S)(0.45μm、4mm)(ナカライテスク株式会社)で処理した後、逆相HPLCで分析した。なお、HPLCの分析条件は、実施例9で使用した条件と同様である。
【実施例】
【0069】
マウス血漿中における[125I]BIP-3の安定性を評価した。マウス血漿中で1時間インキュベートしたサンプルを逆相HPLCで分析した結果、未変化体のピークのみが検出された(図12)。以上より、[125I]BIP-3は、マウス血漿中においては1時間まで安定に存在することが示された。
【実施例】
【0070】
[評価4]LogP値測定
1-オクタノール(3.00mL)及び0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4,3.00mL)が入った遠心管に実施例9に示す方法で得られた[125I]BIP-1~4(125kBq)を加え、2分間vortexした後、4,000×gで10分間遠心分離した。各層から500μLずつ溶液を採取した後、それぞれの放射能を測定し、1-オクタノール/リン酸緩衝液の放射能比から分配係数を求めた。結果を表4に示す。
【実施例】
【0071】
【表4】
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【実施例】
【0072】
[評価5][123I]BIP-3の血液中代謝物分析
正常マウスとして5週齢、雄性のddYマウスを用いた。実施例10に示す方法で得られた[123I]BIP-3の0.1体積%Tween80及び10体積%エタノールを含有した生理食塩水を尾静脈より投与した(3.70MBq、100μL)。投与後2分、10分、30分後に屠殺し、ヘパリンナトリウム注(ニプロファーマ社製)で内壁をコーティングした試験管に血液を採取した。血液は放射能を測定後4℃,4000×gで5分間遠心し、血漿と細胞成分に分離した。得られた血漿の2倍の体積のメタノールを加えてタンパクを変性させ、4℃、4000×gで5分間遠心した。得られた上清はCosmonice Filter(S)(0.45μm,4mm)(ナカライテスク株式会社)を通し,逆相HPLCにて分析した。なお、HPLCの分析条件は、実施例9で使用した条件と同様である。
【実施例】
【0073】
結果を図13及び表5に示す。表5中、未変化体の割合は、試験数3の平均値±標準誤差で示す。[123I]BIP-3は,マウスに投与後、未変化体に比べて水溶性の高い代謝物が生成することが示唆された(図13)。また、未変化体は表5に示す割合で血液中に存在していた。
【実施例】
【0074】
【表5】
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【実施例】
【0075】
[評価6][123I]BIP-3の脳内代謝物分析
正常マウスとして5週齢、雄性のddYマウスを用いた。実施例10に示す方法で得られた[123I]BIP-3の0.1体積%Tween80及び10体積%エタノールを含有した生理食塩水を尾静脈より投与し(3.70MBq,100μL)、2分後に屠殺、脳を摘出してメタノール(2.00mL)及びTBS(2.00mL)中でホモジナイズし、4000×g、4℃で10分間遠心分離後、上清を採取した。得られた上清はCosmonice Filter(S)(0.45μm,4mm)(ナカライテスク株式会社)を通し,逆相HPLCにて分析した。なお、HPLCの分析条件は、実施例9で使用した条件と同様である。
【実施例】
【0076】
結果を図14に示す。脳ホモジネートを逆相HPLCによって分析した結果、未変化体のシグナルピークのみが検出されたことから、[123I]BIP-3は、マウス脳内において安定に存在していることが示された。また,血液サンプル中において検出された代謝物は、脳へ移行しないことが示唆された。
【実施例】
【0077】
以上に示す結果から、本発明に係る放射性ヨウ素標識化合物は、脳内タウ蛋白を選択的かつ非侵襲的に画像化できることが示された。
【実施例】
【0078】
この出願は、2015年3月4日に出願された日本出願特願2015-042748号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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