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Specification :(In Japanese)コーティング組成物

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-033449A
Date of publication of application Mar 5, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)コーティング組成物
IPC (International Patent Classification) C09D 151/06        (2006.01)
C08F 265/06        (2006.01)
FI (File Index) C09D 151/06
C08F 265/06
Number of claims or invention 4
Filing form OL
Total pages 21
Application Number P2018-160666
Date of filing Aug 29, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】嶋中 博之
【氏名】村上 賀一
【氏名】田儀 陽一
【氏名】釜林 純
【氏名】榊原 圭太
【氏名】辻井 敬亘
Applicant (In Japanese)【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100098707、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 利英子
【識別番号】100135987、【弁理士】、【氏名又は名称】菅野 重慶
【識別番号】100168033、【弁理士】、【氏名又は名称】竹山 圭太
【識別番号】100161377、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 薫
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4J026
4J038
F-term 4J026AA44
4J026AA45
4J026BA04
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4J038CP071
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4J038PB01
4J038PB04
4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
Abstract (In Japanese)【課題】耐久性や、基材に対する密着性などの特性を兼ね備えた塗膜(被膜)を形成可能なコーティング組成物。
【解決手段】ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上含むグラフト型ポリマーで、ポリマーの数平均分子量が、10,000以上1,000,000以下である。
JP2020033449A_000016t.gif
(R1は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、O又はNHを示し、R2は、任意の有機基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示し、nは、任意の繰り返し数を示し、Polymerは、(メタ)アクリル酸系モノマー等のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)
【選択図】なし
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
溶剤及びポリマーを含有するコーティング組成物であって、
前記ポリマーが、下記一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上含むグラフト型ポリマーであり、
前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、10,000以上1,000,000以下であるコーティング組成物。
JP2020033449A_000013t.gif(前記一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、O又はNHを示し、R2は、任意の有機基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示すとともに、R3及びR4が結合している炭素原子は第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは、任意の繰り返し数を示し、Polymerは、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも一種のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)
【請求項2】
前記グラフトモノマーが、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有する請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、前記一般式(1)中のPolymerが相互に異なる2種以上の構成単位を含み、
前記2種以上の構成単位が、下記一般式(1-A)で表される構成単位Aと、下記一般式(1-B)で表される構成単位Bと、を含む請求項1に記載のコーティング組成物。
JP2020033449A_000014t.gif(前記一般式(1-A)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Aは、反応性基を有しない第1のグラフトモノマーに由来する構成単位からなるグラフト鎖を示す)
JP2020033449A_000015t.gif(前記一般式(1-B)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Bは、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有する第2のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)
【請求項4】
前記反応性基と反応しうる基を2以上有する架橋剤をさらに含有する請求項2又は3に記載のコーティング組成物。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性及び基材に対する密着性等に優れた塗膜(被膜)を形成することが可能なコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、及びこれらのポリマーを構成するモノマーの共重合体などの様々なビニル系モノマーを構成成分とするポリマーは、塗料、グラビアインキ、インクジェットインクなどの各種基材の表面を被覆する塗膜(被膜)を形成するコーティング組成物に配合される被膜成分として用いられている。このようなコーティング組成物は、例えば、木材、プラスチック、ゴム、金属、陶器、ガラス、皮革等の材料から構成される建物、建材、構造物、自動車、車両、電気機器、精密機器、食品包装、食品容器、家具、電池材料、電子部品、機械部品等の表面保護や、意匠性付与、材質耐久性向上、美観付与、熱伝導性付与、帯電防止性付与、導電性付与、耐汚染性付与、耐腐食性付与等の目的で用いられている。
【0003】
コーティング組成物に被膜成分として配合されるポリマーとしては、多種多様なものが開発されている。例えば、フッ素原子を含有するビニル系単量体及びシリコーン系マクロモノマーを用いて得られるフッ素系グラフト共重合体(特許文献1)や、皮革用のコーティング剤に配合されるシリコーンアクリルグラフト共重合樹脂(特許文献2)が提案されている。また、アクリル等のポリマーと、官能基を有するポリオレフィンとの反応生成物を含む樹脂(特許文献3)や、ブロック化されたポリフルオロアルキル基を有する枝セグメントが幹セグメントに結合したポリマー(特許文献4)が提案されている。
【0004】
さらに、パーフルオロ(メタ)アクリレートをモノマー成分とする主鎖と、非フッ素系重合体をモノマー成分とする側鎖とを有するグラフト共重合体(特許文献5)や、パーフルオロ(メタ)アクリレート等からなる重合体で構成される側鎖と、その他のラジカル重合性単量体からなる重合体で構成される主鎖とを有するグラフト共重合体(特許文献6)が提案されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2015-13911号公報
【特許文献2】特開2016-138242号公報
【特許文献3】特開2015-232149号公報
【特許文献4】特公昭63-21715号公報
【特許文献5】特開平6-228534号公報
【特許文献6】特開平9-67417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、耐擦過性、耐水性、耐油性、耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性、及び耐汚染性などの耐久性や、各種の基材に対する密着性(接着性)などの特性をバランスよく兼ね備えた塗膜(被膜)を形成しうるコーティング組成物については、これまでに見出されていなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、耐久性や、基材に対する密着性などの特性をバランスよく兼ね備えた塗膜(被膜)を形成することが可能なコーティング組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下に示すコーティング組成物が提供される。
[1]溶剤及びポリマーを含有するコーティング組成物であって、前記ポリマーが、下記一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上含むグラフト型ポリマーであり、前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、10,000以上1,000,000以下であるコーティング組成物。
【0009】
JP2020033449A_000002t.gif(前記一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、O又はNHを示し、R2は、任意の有機基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示すとともに、R3及びR4が結合している炭素原子は第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは、任意の繰り返し数を示し、Polymerは、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも一種のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)
【0010】
[2]前記グラフトモノマーが、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有する前記[1]に記載のコーティング組成物。
[3]前記ポリマーが、前記一般式(1)中のPolymerが相互に異なる2種以上の構成単位を含み、前記2種以上の構成単位が、下記一般式(1-A)で表される構成単位Aと、下記一般式(1-B)で表される構成単位Bと、を含む前記[1]に記載のコーティング組成物。
【0011】
JP2020033449A_000003t.gif(前記一般式(1-A)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Aは、反応性基を有しない第1のグラフトモノマーに由来する構成単位からなるグラフト鎖を示す)
【0012】
JP2020033449A_000004t.gif(前記一般式(1-B)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Bは、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有する第2のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)
【0013】
[4]前記反応性基と反応しうる基を2以上有する架橋剤をさらに含有する前記[2]又は[3]に記載のコーティング組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐久性や、基材に対する密着性などの特性をバランスよく兼ね備えた塗膜(被膜)を形成することが可能なコーティング組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】グラフト型ポリマーの架橋構造の一例を示す模式図である。
【図2】グラフト型ポリマーの架橋構造の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<コーティング組成物>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のコーティング組成物は、溶剤及びポリマーを含有する。そして、ポリマーが、下記一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上含むグラフト型ポリマーである。

【0017】
JP2020033449A_000005t.gif(前記一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、O又はNHを示し、R2は、任意の有機基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示すとともに、R3及びR4が結合している炭素原子は第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは、任意の繰り返し数を示し、Polymerは、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも一種のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)

【0018】
(グラフト型ポリマー)
グラフト型ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%含む。すなわち、グラフト型ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位を主成分とするため、これまでにない性能を発揮しうるポリマーである。このグラフト型ポリマーは、例えば、ボトルブラシ型ポリマー又はシリンダー型ポリマーと呼ばれ、一般式(1)中のPolymerで表される鎖が主鎖に高密度に結合しているため、良溶媒中では伸び切り鎖長に匹敵するほど高度に伸長配向しうる。これにより、圧縮抵抗、超摩擦特性、明確なサイズ排除効果、生体適合性、優れた機械的特性などの種々の特性を発揮することが期待される。そして、このグラフト型ポリマーを被膜形成成分として含有する本発明のコーティング組成物を用いれば、これまでにない特性を有する塗膜(被膜)を形成することができる。

【0019】
一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、XはO又はNHであるため、グラフト型ポリマーの主鎖は、(メタ)アクリロイルオキシ基や(メタ)アクリロイルアミノ基のなどの不飽和基が重合することで形成されている。すなわち、グラフト型ポリマーは、Polymerで表されるグラフト鎖(側鎖)が任意の連結基を介して主鎖にグラフトした構造を有する。

【0020】
グラフト型ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位を80質量%以上含んでいれば、一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を含んでいてもよい。その他の構成単位を構成するモノマーとしては、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基等の不飽和結合を有する、ラジカル重合しうる従来公知のモノマーを用いることができる。

【0021】
一般式(1)中、n(繰り返し数)は、2以上であることが好ましく、10以上であることが好ましい。nの数を2以上とすることで、主鎖がポリマーとしてより機能しやすくなる。一般式(1)で表される構成単位は、ホモポリマーであってもよいし、その他の構成単位を含むランダム型ポリマーであってもよい。さらには、ブロック構造、グラジエント構造、グラフト構造、多分岐構造などの構造をとっていてもよい。

【0022】
一般式(1)中のPolymerは、主鎖に結合した(グラフトした)グラフト鎖であり、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも一種のグラフトモノマーに由来する構成単位を含む。

【0023】
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-メチルプロパン(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、べへニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロデシルメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族、脂環族、芳香族アルキル(メタ)アクリレート;

【0024】
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート;

【0025】
ポリ(n=2以上)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(n=2以上)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(n=2以上)テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノ又はポリ(n=2以上)エチレングリコールモノ又はポリ(n=2以上)プロピレングリコールランダムコポリマーのモノ(メタ)アクリレート、モノ又はポリ(n=2以上)エチレングリコールモノ又はポリ(n=2以上)プロピレングリコールブロックコポリマーのモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレート;

【0026】
(ポリ)エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノオクチルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノオレイルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノステアリン酸エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノオクチルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどの(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテル又はエステルのモノ(メタ)アクリレート;

【0027】
アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸などの酸無水物を反応させたモノマーなどのカルボキシ基を有するモノマー;スルホン酸エチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基を有するモノマー;(ジ、トリ)(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステルなどのリン酸基を有するモノマー;

【0028】
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、メチルモルホリノ(メタ)アクリレート、メチルモルホリノエチル(メタ)アクリレートなどの酸素原子含有モノマー;

【0029】
2-アミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N-エチルモルホリノ(メタ)アクリレート、塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、塩化ジエチルメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、塩化ベンジルジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチル硫酸塩などのアミノ基を有するモノマー;

【0030】
(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、これらのモノマーのイソシアネート基をカプロラクトンなどでブロックしたブロック化イソシアネート含有(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有モノマー;などを挙げることができる。

【0031】
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンなどを挙げることができる。

【0032】
芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、ビニルヒドロキシベンゼン、クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルエチルベンゼン、ビニルジメチルベンゼン、α-メチルスチレンなどを挙げることができる。

【0033】
一般式(1)中、R2は任意の有機基を示す。任意の有機基としては、エチレンやプロピレンなどのアルキレン基;シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基;ポリ(n=2以上)アルキレングリコール基;ポリ(n=2以上)アルキレングリコール基の末端水酸基にヒドロキシアルキルカルボン酸を反応又は重合させたポリエステル基;これらの基の任意の位置に水酸基やアシル基などの基が結合した有機基;これらの基をウレタン結合、尿素結合などで結合した基などを挙げることができる。なかでも、汎用性が高く、入手が容易であること等の理由から、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルプロピレンなどのアルキレン基;ポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどが好ましい。

【0034】
一般式(1)中、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示す。そして、R3及びR4が結合している炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子である。R2に結合するエステル基の具体例としては、下記式(1-1)~(1-6)で表される基を挙げることができる。なお、下記式(1-1)~(1-6)中の「*」は、一般式(1)中のR2との結合位置を示す。

【0035】
JP2020033449A_000006t.gif

【0036】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるグラフト型ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、10,000以上1,000,000以下であり、好ましくは20,000以上800,000以下、さらに好ましくは30,000以上500,000以下である。グラフト型ポリマーの数平均分子量が10,000未満であると、グラフト型ポリマーの特定の構造に由来する性能が発揮されない。一方、グラフト型ポリマーの数平均分子量が1,000,000超であると、コーティング組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、基材等への塗布が困難になる。

【0037】
グラフト型ポリマーは、一般式(1)中のPolymerの分子量が小さいとともに、グラフト鎖の本数が多い場合;及び一般式(1)中のPolymerの分子量が大きいとともに、グラフト鎖の本数が少ない場合;のいずれであってもよい。

【0038】
一般式(1)中のPolymerで表されるグラフト鎖の構成単位を構成するグラフトモノマーは、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有することが好ましい。すなわち、このような反応性基を有するグラフト鎖が主鎖に結合したグラフト型ポリマーを用いることで、各種の基材に対してより密着性が向上した塗膜を形成可能なコーティング組成物とすることができる。さらに、反応性基を架橋させることで三次元網目構造を形成することができる。このため、機械的及び化学的な物性が向上した塗膜を形成可能なコーティング組成物とすることができる。

【0039】
反応性基を有するグラフトモノマーは、前述のグラフトモノマーの具体例から適宜選択して用いることができる。なお、リン酸エステル基を有するグラフトモノマーとしては、リン酸基を有するグラフトモノマーのリン酸基をエステル化して得られるモノマーを用いることができる。また、(メタ)アクリロイル基を有するグラフトモノマーは、例えば、カルボキシ基を有するグラフトモノマーにグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる;水酸基を有するグラフトモノマーにイソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させる;グリシジル基を有するグラフトモノマーに(メタ)アクリル酸を反応させる;こと等により得ることができる。

【0040】
グラフト鎖中の反応性基を有するグラフトモノマーに由来する構成単位の量は特に限定されず、架橋密度やポリマーの物性などを考慮して適宜設定すればよい。具体的には、0.5~100質量%であることが好ましく、3~30質量%であることがさらに好ましい。

【0041】
図1は、グラフト型ポリマーの架橋構造の一例を示す模式図である。図1に示すグラフト型ポリマー10は、主鎖2と、この主鎖2に結合した、反応性基を有するグラフト鎖4と、を有する。このグラフト型ポリマー10を反応性基で架橋することで、架橋構造を形成することができる。

【0042】
また、グラフト型ポリマーは、一般式(1)中のPolymerが相互に異なる2種以上の構成単位を含み、これら2種以上の構成単位が、下記一般式(1-A)で表される構成単位Aと、一般式(1-B)で表される構成単位Bと、を含むことが好ましい。

【0043】
JP2020033449A_000007t.gif(前記一般式(1-A)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Aは、反応性基を有しない第1のグラフトモノマーに由来する構成単位からなるグラフト鎖を示す)

【0044】
JP2020033449A_000008t.gif(前記一般式(1-B)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer Bは、カルボキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルコキシシリル基、及び(メタ)アクリロイル基のいずれかの反応性基を有する第2のグラフトモノマーに由来する構成単位を含むグラフト鎖を示す)

【0045】
一般式(1-B)中のPolymer Bは、反応性基を有するグラフト鎖であるため、架橋反応などによって固定化されうる。このため、Polymer Bは、機械的及び化学的な物性が向上した塗膜を形成するためのグラフト鎖として機能する。これに対して、一般式(1-A)中のPolymer Aは、反応性基を実質的に有しないグラフト鎖であるため、架橋反応などによって実質的に固定化されることなく、自由鎖として存在しうる。そして、Polymer Bが架橋反応などにより固定されたとしても、自由鎖の状態で存在するPolymer Aは溶媒に溶解する又は溶媒で膨潤するので、軟質状態が維持された硬化膜である塗膜が形成される。さらに、自由鎖の状態で存在するPolymer Aにより、形成される塗膜に撥水性や撥油性などの特性を付与することもできる。

【0046】
図2は、グラフト型ポリマーの架橋構造の他の例を示す模式図である。図2に示すグラフト型ポリマー20は、主鎖12と、この主鎖12に結合した、反応性基を有しないグラフト鎖(Polymer A)及び反応性基を有するグラフト鎖(Polymer B)と、を有する。このグラフト型ポリマー20を架橋することで、反応性基を有するPolymer Bが固定化されるとともに、反応性基を有しないPolymer Aが自由鎖として存在する架橋構造を形成することができる。

【0047】
グラフト型ポリマーに含まれる、構成単位Aと構成単位Bの比率は特に限定されず、所望とする物性を有する塗膜が形成されるように適宜設定すればよい。例えば、溶媒で膨潤しにくい塗膜を形成するには、反応性基を有するPolymer Bを含む構成単位Bの比率を多くすればよい。一方、溶媒に溶解しないが、膨潤してゲル状になりやすい塗膜を形成するには、反応性基を有しないPolymer Aを含む構成単位Aの比率を多くすればよい。

【0048】
グラフト型ポリマーには、さらに、上記の構成単位A及び構成単位Bと異なる構成単位(構成単位C、D、E、…)を含ませることができる。構成単位A、B、C、D、E、…を含むグラフト型ポリマーは、下記一般式(X)で表すことができる。

【0049】
JP2020033449A_000009t.gif(前記一般式(X)中、R1~R4、X、及びnは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びnと同義であり、Polymer A~Eは、相互に異なるグラフト鎖を示す)

【0050】
一般式(X)中のPolymer A~Eは、相互に異なるグラフト鎖である。その後に異なる複数種のグラフト鎖を主鎖に結合させることで、所望とする様々な特性を有するグラフト型ポリマーとすることができる。例えば、硬さ(軟らかさ)が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;ガラス転移点や融点が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;屈折率が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;水溶解性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;相溶性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;親水性(疎水性)が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;嵩密度が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;イオン性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;光の吸収波長が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;光架橋性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;(加水)分解性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;色素が結合したグラフト鎖と色素が結合していないグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;無機性の基が結合したグラフト鎖と無機性の基が結合していないグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;ガス透過性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマー;熱導電性が相違する複数種のグラフト鎖が導入されたグラフト型ポリマーなどを挙げることができる。

【0051】
さらに、グラフト鎖に含まれる官能基の種類、グラフト鎖の本数、グラフト鎖の相互比率、グラフト鎖を構成するモノマーの種類及び数などを適宜設定したり;グラフト鎖の分子量を適宜設定したり;することもできる。

【0052】
(グラフト型ポリマーの製造)
本発明のコーティング組成物に用いるグラフト型ポリマーは、例えば、塩素イオン、臭素イオン、又はヨウ素イオンを生ずる第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩の少なくともいずれかの存在下、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する構成単位を含むポリマーと、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも一種のグラフトモノマーと、を重合反応させることで製造することができる。

【0053】
JP2020033449A_000010t.gif(前記一般式(2)中、R1~R4及びXは、前記一般式(1)中のR1~R4及びXと同義であり、Yは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)

【0054】
一般式(2)中、Yで表される基(ハロゲン原子)がラジカルとなって脱離するとともに、ハロゲン原子が結合していた炭素原子がラジカルとなる。そして、生成した炭素原子のラジカルがグラフトモノマーと反応し、ラジカルが生成する。生成したラジカルに脱離したハロゲンラジカルが直ちに結合して安定化させる。生成したラジカルがこのように安定化することで、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が生じにくくなる。これにより、グラフトモノマーが逐次重合して、一般式(1)中のPolymerで表されるグラフト鎖が形成され、目的とするグラフト型ポリマーを得ることができる。

【0055】
ところで、下記一般式(4)で表されるマクロモノマーを重合することによっても、目的とするグラフト型ポリマーを製造することは可能ではある。しかし、下記一般式(4)で表されるマクロモノマーの反応点は高分子末端に存在するため、重合しないマクロモノマーが残存しやすいとともに、得られる重合体の分子量が増大しにくい。また、相互に異なる複数種のグラフト鎖(Polymer A、B、…)が主鎖に結合したグラフト型ポリマーを製造する場合には、対応する複数種のマクロモノマーを用意する必要があるため、煩雑であるとともに効率的でもない。

【0056】
JP2020033449A_000011t.gif(前記一般式(4)中、R1~R4、X、及びPolymerは、前記一般式(1)中のR1~R4、X、及びPolymerと同義である)

【0057】
これに対して、一般式(2)で表されるモノマーに由来する構成単位を含むポリマー(以下、「開始基ポリマー」とも記す)を用いる前述の方法によれば、複数種のマクロモノマーをあらかじめ用意する必要がないとともに、目的とするグラフト型ポリマーを1ポットで効率的に製造することができる。

【0058】
一般式(2)で表されるモノマーの具体例としては、下記一般式(3)で表されるモノマーを挙げることができる。

【0059】
JP2020033449A_000012t.gif(前記一般式(3)中、R1及びR2は、前記一般式(1)中のR1及びR2と同義である)

【0060】
一般式(3)で表されるモノマーは、市販されているものを用いても、合成したものを用いてもよい。例えば、水酸基やグリシジル基を有する(メタ)アクリレートに、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(2-ブロモイソ酪酸)類を反応させることで、一般式(3)で表されるモノマーを合成することができる。

【0061】
また、水酸基やグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを重合した後、Y(塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)を有するカルボン酸又はその誘導体を反応させることによって、一般式(2)で表されるモノマーに由来する構成単位を含むポリマー(開始基ポリマー)を得ることもできる。

【0062】
第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩としては、従来公知の化合物を用いることができる。これらの第4級塩は、重合溶媒に溶解しうるものであることが好ましい。これらの第4級塩は、用いるモノマーや重合溶媒の種類等に応じて適宜選択して用いればよい。

【0063】
第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、メチルイミダゾリウム塩、メチルピリジニウム塩などを挙げることができる。第4級ホスホニウム塩としては、テトラブチルホスホニウム塩、トリブチルメチルホスホニウム塩、トリフェニルメチルホスホニウム塩などを挙げることができる。

【0064】
開始基ポリマーに対し、等モル以上の第4級塩の存在下でグラフトモノマーを反応させると、すべての開始基がハロゲン交換してグラフト鎖が形成され、目的とするグラフト型ポリマーを得ることができる。また、相互に異なる複数種のグラフト鎖(Polymer A、B、C、…)が主鎖に結合したグラフト型ポリマーを製造する場合には、まず、開始基ポリマーに対して、等モル数未満の第4級塩の存在下で1段目のグラフトモノマーを重合してグラフト鎖(例;Polymer A)を形成する。その後、第4級塩及び2段目以降のグラフトモノマーを逐次添加し、残存した開始基から順次重合して2段目以降のグラフト鎖(例;Polymer B、C、…)を形成する。これにより、相互に異なる複数種のグラフト鎖(Polymer A、B、C、…)が主鎖に結合したグラフト型ポリマーを得ることができる。

【0065】
有機溶媒等の重合溶媒の存在下で重合する溶液重合によってグラフト型ポリマーを製造することが好ましい。重合溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、尿素系溶媒、イオン液体などを用いることができる。なかでも、第4級塩を溶解しうるとともに、ハロゲン交換させることが可能な高極性の溶媒を少なくとも一部用いることが好ましい。そのような重合溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;エチレグリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;イミダゾリウム塩や第四級アンモニウム塩等のイオン性液体を挙げることができる。

【0066】
重合時の重合溶媒の量は、重合反応系の全体を基準として、30~80質量%とすることが好ましく、40~70質量%とすることがさらに好ましい。重合溶媒の量が30質量%未満であると、固形分の量が多すぎて粘度が高くなりすぎる場合がある。一方、重合溶媒の量が80質量%超であると、モノマー濃度が低くなりすぎてしまい、重合率が低下する場合がある。グラフト型ポリマーは、そのまま(重合溶媒に溶解した状態のまま)で用いてもよく、貧溶媒中に析出させて取り出した後、他の溶剤に溶解させて用いてもよい。

【0067】
(溶剤)
本発明のコーティング組成物は、溶剤を含有する。溶剤としては、例えば、前述の溶液重合に用いることができる有機溶媒の他、水を用いることもできる。溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤;エチレグリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどのアミド系溶剤;イミダゾリウム塩や第四級アンモニウム塩等のイオン性液体;トルエン、キシレン、ヘキサン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールジラウリン酸、トリメチロールプロパントリアセテートなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテートなどのグリコール系溶剤のエステル化物;などを挙げることができる。

【0068】
(架橋剤)
本発明のコーティング組成物は、グラフト鎖中の反応性基と反応しうる基を2以上有する架橋剤をさらに含有することが好ましい。架橋剤を含有させることで、反応性基を有するグラフト鎖を架橋させて三次元網目構造を形成することができる。これにより、グラフト型ポリマーを硬化させて、機械的物性及び耐久性がより向上した塗膜を形成しうるコーティング組成物とすることができる。

【0069】
架橋剤は、グラフト鎖中の反応性基の種類に合わせて適宜選択して用いることができる。例えば、反応性基がカルボキシ基である場合には、多官能エポキシ化合物、多官能カルボジイミド化合物、メチロールメラミンなどのメラミン系架橋剤、多官能オキサゾリン化合物、多価金属などを架橋剤として用いることが好ましい。反応性基がリン酸基又はリン酸エステル基である場合には、水酸基を多く有する化合物を架橋剤として用いることが好ましい。反応性基が水酸基である場合には、多官能イソシアネート化合物、そのブロック化イソシアネート、酸無水物などを架橋剤として用いることが好ましい。反応性基がグリシジル基である場合には、多官能カルボキシ基含有化合物、ポリアミン、酸無水物などを架橋剤として用いることが好ましい。反応性基がイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基である場合には、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸化合物などを架橋剤として用いることが好ましい。反応性基がアルコキシシリル基である場合には、水、ポリアルコキシシリル基化合物などを架橋剤として用いることが好ましい。反応性基が(メタ)アクリロイル基である場合には、多価不飽和化合物などを架橋剤として用いることが好ましい。

【0070】
コーティング組成物中のグラフト型ポリマーや架橋剤の量は特に限定されず、形成しようとする塗膜の性状等に応じて適宜設定すればよい。コーティング組成物中のグラフト型ポリマーの量は、一般的には5~50質量%であればよく、好ましくは10~30質量%である。また、コーティング組成物中の架橋剤の量は、グラフト型ポリマーに含有される官能基量やその添加する架橋剤の分子量によって調整されるので一概には言えないが、一般的にはグラフト型ポリマー100部に対し0.5~100部であればよく、好ましくは1~50部である。

【0071】
コーティング組成物は、実質的に透明(クリア)な塗膜を形成するための組成物としてもよく、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。例えば、染料や顔料などの着色剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、光開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、防曇剤、撥水剤、帯電防止剤、導電剤、補強材、繊維状物質、他のポリマー成分などを配合することができる。

【0072】
本発明のコーティング組成物は、例えば、グラビアインク、オフセットインク、インクジェットインク、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク、自動車や建築などの油性塗料、水性塗料として用いることができる。さらに、本発明のコーティング組成物は、プラスチック、カラーフィルター材料、エネルギー関係材料、機械部品関係材料、医療機器、医療材料、薬剤関係、ヘルスケア、電池材料、有機EL材料などの様々な分野の材料等に塗膜(コーティング膜)を形成するための材料として用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【実施例】
【0074】
<重合開始基含有ポリマーの合成>
(合成例1)
撹拌機、還流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応装置に、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(MDPA)561部、ヨウ素1部、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名「V-70」、和光純薬社製(V-70))3.7部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)208部、及びN-アイオドスクシンイミド(NIS)0.113部を入れた。窒素を吹き込みながら65℃で7時間重合して重合溶液を得た。重合率は、約100%であった。可視光検出機(RI)を備えたGPC装置(溶媒:ジメチルホルムアミド(DMF))を使用して測定した、重合溶液中のポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は20,000であり、分子量分布(分散度PDI)は1.12であった。
【実施例】
【0075】
得られた重合溶液にピリジン189.5部を添加し、氷浴で5℃に冷却した。滴下ロートに2-ブロモイソ酪酸ブロマイド459.8部を入れ、10℃を超えないように3時間かけて滴下した。その温度で2時間放置した後、45℃に加温して1時間反応させた。室温まで冷却した後、メタノール561部を添加して撹拌した。別容器にメタノール5,000部を入れ、ディスパーで撹拌しながら重合溶液を徐々に添加して軟質のポリマーを析出させた。析出したポリマーを分取し、大量の水中にディスパーで撹拌しながら添加して洗浄した。ろ過及び水洗した後、50℃の送風乾燥機を使用して揮発分がなくなるまで乾燥して、白色の粉末状の固体である重合開始基含有ポリマー(1)(開始基ポリマー(1))を得た。RI検出器を備えたGPC装置(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))を使用して測定した開始基ポリマー(1)のMnは28,000であり、PDIは1.31であった。
【実施例】
【0076】
<コーティング組成物の製造(1)>
(実施例1)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、MDPA200部、メタクリル酸メチル(MMA)200部、開始基ポリマー(1)11部、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)11.8部、及びNIS0.3部を入れた。75℃で8時間重合して高粘度の液体を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は86%であった。また、溶液中のポリマーのMnは134,000であり、PDIは1.40であった。得られた溶液を室温まで冷却した後、メタノール5,000部中に徐々に添加してポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ過した後、80℃で12時間乾燥させた。これにより、開始基を有するグラフトポリマーである開始基ポリマー(2)を得た。
【実施例】
【0077】
同様の反応装置に、MDPA200部、MMA25部、メタクリロイロキシプロピルテトラエトキシシラン(MPTES)25部、開始基ポリマー(2)100部、TBAI11.8部、及びNIS0.3部を入れた。75℃で8時間重合して、ポリマーを含有する液体を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は91%であり、ポリマーのMnは208,000であり、PDIは1.43であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがMMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがMMA及びMPTESに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-1ポリマーとする。GP-1ポリマーを含有する液体をメタノール中に徐々に添加し、GP-1ポリマーを析出させて白色のペースト(固形分65.2%)を得た。得られた白色のペーストにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)を添加して溶解させた後、80℃に加温してメタノールを除去した。PGMAcを添加して固形分を調整し、固形分10%であるGP-1ポリマーの溶液を得た。得られたGP-1ポリマーの溶液を実施例1のコーティング組成物とした。
【実施例】
【0078】
(比較例1)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置にPGMAc100部を入れ、70℃に加温して窒素を吹き込んだ。別容器にMMA82部、MPTES8部、及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1部を入れ、窒素を吹き込んでモノマー溶液を調製した。調製したモノマー溶液を反応装置中に3時間かけて滴下し、7時間重合して高粘性のポリマー溶液を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は約100%であった。また、溶液中のポリマーのMnは65,000であり、PDIは3.12であった。得られたポリマーをRP-1ポリマーとする。RP-1ポリマーを含有する液体にPGMAcを添加して固形分を調整し、固形分10%であるRP-1ポリマーの溶液を得た。得られたRP-1ポリマーの溶液を比較例1のコーティング組成物とした。RP-1ポリマーは、直鎖状のランダムコポリマーである。
【実施例】
【0079】
<コーティング組成物の評価>
脱脂後、UVオゾンにて表面を活性化させたシリコン板を用意した。スピンコーターを使用し、2,000rpm、30秒の条件で、用意したシリコン板の表面に実施例1のコーティング組成物と比較例1のコーティング組成物をそれぞれ塗布した。次いで、90℃で1分間及び180℃で30分間焼き付けて塗膜を形成した。エリプソメトリーにより測定した塗膜の膜厚は、それぞれ、612nm(実施例1)及び423nm(実施例2)であった。
【実施例】
【0080】
塗膜を形成したシリコン板をトルエンに24時間浸漬させた後、外観を確認した。その結果、実施例1のコーティング組成物で形成した塗膜は剥がれておらず、シリコン板に密着していることがわかった。一方、比較例1のコーティング組成物で形成した塗膜は部分的に剥がれていた。
【実施例】
【0081】
また、Heidon摩擦試験機タイプ14を使用し、荷重50g、振幅3cmの条件で塗膜表面を摩擦する往復摺動摩擦試験を行った。その結果、実施例1のコーティング組成物で形成した塗膜表面の摩擦係数は0.002であり、試験後の塗膜の膜厚は605nmであることがわかった。一方、比較例1のコーティング組成物で形成した塗膜の表面の摩擦係数は0.018であり、試験後の塗膜表面には凹凸が形成されており、膜厚も減少したことがわかった。以上より、実施例のコーティング組成物を用いれば、擦過性及び基板との密着性に優れているとともに、摩擦係数の小さい表面を有する塗膜を形成可能であることがわかる。
【実施例】
【0082】
<コーティング組成物の製造(2)>
(実施例2)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PPG)150部、開始基ポリマー(1)2.8部、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)2.6部を入れた。85℃に加温した後、MMA80部を添加して5時間重合し、ポリマーを含有する溶液を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は68.4%であった。また、溶液中のポリマーのMnは90,000であり、PDIは2.55であった。
【実施例】
【0083】
次いで、TBAB1部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)15部、及びHEMA5部を添加し、6時間重合した後、PGMAc150部を添加して、固形分40.8%のポリマーを含有する液体を得た。ガスクロマトグラフィーにより残存モノマーを定量して算出した重合率は、約100%であった。また、得られたポリマーのMnは120,000であり、PDIは2.64であり、単峰性であった。なお、紫外吸収検出機(測定波長:254nm)を備えたGPC装置を使用して測定したポリマーのMnは122,000であり、PDIは2.43であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがMMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがBzMA及びHEMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-2ポリマーとする。GP-2ポリマーを含有する液体をメタノール中に徐々に添加し、生じた析出物をろ過した後、乾燥させて、GP-2ポリマーを得た。JIS K 1557-1:2007のフタル酸法にしたがって測定したGP-2ポリマーの水酸基価は19.9mgKOH/gであった。
【実施例】
【0084】
GP-2ポリマーを含有する液体49部、PGMAc46.8部、及びブロックイソシアネート(商品名「デュラネートSBB-70」、旭化成社製、固形分70%、NCO10.1%)4.2部を混合して、実施例2のコーティング組成物を調製した。調製したコーティング組成物をスクリーン印刷によりポリイミドフィルムに塗布した後、80℃で30分間及び150℃で60分間加熱処理して、膜厚5μmの塗膜を形成した。塗膜を形成したポリイミドフィルムをトルエンに24時間浸漬させた後、外観を観察した。その結果、膨れやひび割れ等は生じておらず、良好な状態の塗膜が維持されていることがわかった。
【実施例】
【0085】
(実施例3)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、PPG300部、開始基ポリマー(1)5.6部、及びTBAB5.2部を入れた。85℃に加温した後、MMA160部を添加して5時間重合し、ポリマーを含有する液体を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は86%であった。また、液体中のポリマーのMnは135,000であり、PDIは2.30であった。
【実施例】
【0086】
次いで、TBAB2部、MMA30部、及びメタクリル酸2-(0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ)エチル(商品名「カレンズMOI-BM」、昭和電工社製(MOI-BM))10部を添加し、5時間重合した後、PGMAc300部を添加して、固形分26.0%のポリマーを含有する液体を得た。ガスクロマトグラフィーにより残存モノマーを定量して算出した重合率は、約100%であった。また、得られたポリマーのMnは156,000であり、PDIは2.44であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがMMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがMMA及びMOI-BMに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-3ポリマーとする。GP-3ポリマーのイソシアネート(NCO)量は、0.2mmol/gであった。
【実施例】
【0087】
GP-3ポリマーを含有する溶液76.9部、PGMAc19.1部、及びポリカーボネートジオール(商品名「デュラノールT5652」、旭化成社製、固形分100%、水酸基価56.4mgKOH/g)4部を混合して、実施例3のコーティング組成物を調製した。調製したコーティング組成物をスクリーン印刷によりポリイミドフィルムに塗布した後、80℃で30分間及び150℃で60分間加熱処理して、膜厚5μmの塗膜を形成した。塗膜を形成したポリイミドフィルムをN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに24時間浸漬させた後、外観を観察した。その結果、剥がれなどは生じておらず、良好な状態の塗膜が維持されていることがわかった。さらに、塗膜を形成したポリイミドフィルムについて、前述の往復摺動摩擦試験を行った。その結果、塗膜表面の摩擦係数は0.009であることがわかった。
【実施例】
【0088】
また、ポリカーボネートジオール(デュラノールT5652)に代えて、実施例2で製造したGP-2ポリマー(水酸基を有するグラフト型ポリマー)を用いたところ、同等の性能及び摩擦係数の塗膜を形成することができた。
【実施例】
【0089】
(実施例4)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(BDPA)150部、開始基ポリマー(1)2.8部、及びTBAB2.6部を入れた。85℃に加温した後、メタクリル酸ラウリル(LMA)60部を添加して5時間重合し、ポリマーを含有する溶液を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は77.3%であった。また、溶液中のポリマーのMnは85,800であり、PDIは2.24であった。
【実施例】
【0090】
次いで、TBAB2部、BzMA30.0部、MOI-BM5部、及びHEMA5部を添加し、4時間重合した後、PGMAc250部を添加して、固形分20.5%のポリマーを含有する液体を得た。ガスクロマトグラフィーにより残存モノマーを定量して算出した重合率は、約100%であった。また、得られたポリマーのMnは105,200であり、PDIは2.85であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがLMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがBzMA、MOI-BM、及びHEMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-4ポリマーとする。
【実施例】
【0091】
得られたGP-4ポリマーを含有する液体にPGMAcを添加して希釈し、実施例4のコーティング組成物(固形分10%)を調製した。スピンコーターを使用し、2,000rpm、30秒の条件でガラス板の表面に実施例4のコーティング組成物を塗布した。次いで、90℃で30秒間及び180℃で20分間処理して硬化させ、膜厚1.1μmの塗膜を形成した。塗膜を形成したガラス板をペンタエリスリトールテトラ2-エチルヘキサノエート(潤滑油)に24時間浸漬させた後、外観を観察した。その結果、形成した塗膜は剥がれておらず、ガラス板に密着していることがわかった。このように、実施例のコーティング組成物を用いれば、潤滑油に対しても良好な耐性を示す塗膜を形成可能であることがわかる。
【実施例】
【0092】
(実施例5)
実施例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル300部、開始基ポリマー(1)11.2部、及びTBAB5.2部を入れた。85℃に加温した後、BzMA100部を添加して5時間重合し、ポリマーを含有する液体を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は77.3%であった。また、液体中のポリマーのMnは75,800であり、PDIは2.24であった。
【実施例】
【0093】
次いで、TBAB2部、BzMA60部、及びメタクリル酸(MA)40.0部を添加し、8時間重合して、ポリマーを含有する高粘度の溶液を得た。ガスクロマトグラフィーにより残存モノマーを定量して算出した重合率は、約100%であった。また、得られたポリマーのMnは105,600であり、PDIは2.85であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがBzMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがBzMA及びMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-5ポリマーとする。
【実施例】
【0094】
GP-5ポリマーを含有する溶液の一部をメタノールに添加して生じた析出物を乾燥し、GP-5ポリマーを得た。得られたGP-5ポリマー0.1g、及びトルエン/エタノール(=1/1)混合溶媒50mLを100mLのコニカルビーカーに入れ、GP-5ポリマーを溶解させた。フェノールフタレインを滴定指示薬とし、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して測定したGP-5ポリマーの酸価は126.1mgKOH/gであった。
【実施例】
【0095】
また、28%アンモニア水溶液30部及びイオン交換水270部を混合してアンモニア水を調製した。GP-5ポリマーを含有する液体を70℃に加温し、アンモニア水を徐々に添加した。次いで、イオン交換水200部を添加して、白濁した低粘度のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの固形分は20.6%であった。得られたエマルジョン48.5部、及びポリカルボジイミド系架橋剤(商品名「カルボジライトE-02」、日清紡社製、固形分40.0%)1.87部を混合して、実施例5のコーティング組成物を調製した。バーコーターを使用して調製したコーティング組成物をアルミ板に塗布した後、150℃で15分間加熱処理して硬化させ、塗膜を形成した。塗膜を形成したアルミ板を水に24時間浸漬させた後、外観を観察した。その結果、剥がれや白化等は生じておらず、耐水性に優れた塗膜が形成されたことがわかった。
【実施例】
【0096】
また、ポリカルボジイミド系架橋剤(カルボジライトE-02)に代えて、水溶性ポリエポキシ系架橋剤(商品名「デナコールEX-411」、ナガセケムテック社製、固形分100%)を用いたところ、同等の耐水性を示す塗膜を形成することができた。
【実施例】
【0097】
(実施例6)
合成例1で用いた反応装置と同様の反応装置に、MDPA150部、開始基ポリマー(1)2.8部、及びTBAB2.6部を入れた。85℃に加温した後、MMA50部及びHEMA40部を添加して10時間重合し、ポリマーを含有する溶液を得た。少量をサンプリングして測定した重合率は約100%であった。また、溶液中のポリマーのMnは178,000であり、PDIは1.74であった。
【実施例】
【0098】
次いで、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名「カレンズAOI」、昭和電工社製(カレンズAOI))10部、及びジオクタン酸錫の10%MPDA溶液1部を添加し、85℃で5時間してポリマーを含有する液体を得た。赤外分光光度計を使用して分析し、2,250cm-1のピーク(イソシアネート基)が消失し、ウレタン結合が生成したことを確認した。PGMAcを添加して希釈し、固形分15%のポリマーを含有する液体を得た。得られたポリマーのMnは198,000であり、PDIは1.59であった。得られたポリマーは、一般式(1-A)中のPolymer AがMMA及びHEMAに由来する構成単位からなるグラフト鎖であり、一般式(1-B)中のPolymer BがカレンズAOIに由来する構成単位からなるグラフト鎖であるグラフト型ポリマーである。得られたポリマーをGP-6ポリマーとする。
【実施例】
【0099】
GP-6ポリマーを含有する液体100部、及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.1部を混合して、実施例6のコーティング組成物を調製した。ナイフコーターを使用して調製したコーティング組成物をポリエチレンテレフタレート製のフィルムに塗布した。120W/cmの高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置を使用し、窒素雰囲気下、照射光量0.8J/cm2の条件で紫外線を照射した後、オーブンに入れ、60℃で10分間加熱して塗膜を形成した。塗膜を形成したフィルムを折り曲げても、塗膜はひび割れや白化等せず、良好な状態が維持されていた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のコーティング組成物は、例えば、家電、自動車、電子デバイス部材、電池部材、ディスプレー部材、容器、建材、包装用資材、医療部材、及びエネルギー関連部材の表面に、低摩擦性、耐摩擦性、耐水性、密着性、電気特性、耐熱性、耐薬品性、耐擦過性等に優れた塗膜(被膜)を形成するための材料として有用である。
【符号の説明】
【0101】
2,12:主鎖
4:グラフト鎖
10,20:グラフト型ポリマー
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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