TOP > 国内特許検索 > 皮膚外用組成物 > 明細書

明細書 :皮膚外用組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-007262 (P2020-007262A)
公開日 令和2年1月16日(2020.1.16)
発明の名称または考案の名称 皮膚外用組成物
国際特許分類 A61K  31/519       (2006.01)
A61P  17/04        (2006.01)
A61P  37/08        (2006.01)
FI A61K 31/519
A61P 17/04
A61P 37/08
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2018-129545 (P2018-129545)
出願日 平成30年7月6日(2018.7.6)
発明者または考案者 【氏名】大塚 篤司
【氏名】萩原 正敏
【氏名】椛島 健治
【氏名】田中 信生
【氏名】中嶋 千紗
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB13
要約 【課題】掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制可能な新たな皮膚外用組成物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有する、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物に関する。
JP2020007262A_000034t.gif
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I):
【化1】
JP2020007262A_000031t.gif
で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有する、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物であって、
式(I)において、
1は、メチル基、イソプロピル基又はイソブチル基であり、
2は、メチル基、メトキシ基、フッ素及び塩素からなる群から選択される1個又は2個で置換されたフェニル基、プロピル基、ジメチルプロピル基又はフェニルエチル基であり、
3は、クロロジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、クロロフルオロフェニル基又はジメチルシクロヘキシル基であり、
4は、メチル基であり、かつR5は、カルボキシイソプロピル基であるか、又は、R4及びR5は、aで印をつけた窒素原子とともに、
【化2】
JP2020007262A_000032t.gif
を形成する、皮膚外用組成物。
【請求項2】
前記式(I)で表される化合物は、
【化3】
JP2020007262A_000033t.gif
上記化合物からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
前記掻痒を伴う皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の皮膚外用組成物を有効量投与することにより、掻痒を伴う皮膚疾患における痒みを抑制する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物、及びそれを用いた掻痒を伴う皮膚疾患における痒みの抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痒みは生活の質(QOL)を著しく阻害する症状の一つである。痒みは皮膚疾患のみならず内臓病変が原因となることも知られている。痒みに対する治療は、抗ヒスタミン剤を投与することが多い。抗ヒスタミン剤は、蕁麻疹など肥満細胞が病態に大きく関与する疾患では著効するものの、痒みを伴う皮膚疾患に対しては効果が不十分な事が多い。
一方で、生活環境や食生活等の変化により、近年、アレルギー性皮膚炎等の炎症性皮膚疾患の罹患者が急増している。アレルギー性皮膚炎等の炎症性皮膚疾患の治療は、抗炎症作用を有するステロイド剤や、抗ヒスタミン剤を投与することにより行われている。しかしながら、決定的な治療方法がまだ確立されていないのが現状である。
【0003】
特許文献1には、PAR2阻害作用を有するピラゾロ[1,5-a]ピリミジン化合物を有効成分とする炎症性皮膚疾患又は炎症性腸疾患の治療のための内服用医薬組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】WO2018/043461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アレルギー性皮膚炎等の皮膚疾患は、通常、痒みを伴う。痒みは、患者にストレスや不眠等をもたらし、患者のQOLを著しく損なう。また、掻くことで皮膚が傷つき、皮膚症状を悪化させるとともに、その刺激により痒みを引き起こす原因物質の分泌を促すと考えられている。このため、できる限り早く痒みを抑制又は軽減可能な新たな治療薬が求められている。
【0006】
本開示は、一態様において、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制可能な新たな皮膚外用組成物、及びそれを用いた掻痒を伴う皮膚疾患における痒みの抑制方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一又は複数の実施形態において、下記式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有する、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物に関する。
【化1】
JP2020007262A_000002t.gif
式(I)において、
1は、メチル基、イソプロピル基又はイソブチル基であり、
2は、メチル基、メトキシ基、フッ素及び塩素からなる群から選択される1個又は2個で置換されたフェニル基、プロピル基、ジメチルプロピル基又はフェニルエチル基であり、
3は、クロロジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、クロロフルオロフェニル基又はジメチルシクロヘキシル基であり、
4は、メチル基であり、かつR5は、カルボキシイソプロピル基であるか、又は、R4及びR5は、aで印をつけた窒素原子とともに、
【化2】
JP2020007262A_000003t.gif
を形成する。
【0008】
本開示は、一又は複数の実施形態において、式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を有効成分とする皮膚外用組成物を有効量投与することにより、掻痒を伴う皮膚疾患における痒みを抑制する方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制可能な新たな皮膚外用組成物、及びそれを用いた掻痒を伴う皮膚疾患における痒みの抑制方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例における皮膚疾患の痒み抑制効果の評価結果を示すグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、一態様において、下記化合物1を含む式(I)で表される化合物が、経口投与では、アトピー性皮膚炎等といった掻痒を伴う皮膚疾患における痒みについての十分な抑制効果が得られなかったにもかかわらず、クリーム剤等の皮膚外用剤として経皮投与することにより、予測を超える優れた痒みの抑制又は軽減効果を発揮できるという知見に基づく。
【化3】
JP2020007262A_000004t.gif

【0012】
本開示における「掻痒を伴う皮膚疾患」としては、一又は複数の実施形態において、湿疹/皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、痒疹、アトピー性皮膚炎、アミロイド苔癬、薬疹、乾癬、白癬、皮膚カンジダ症、疥癬、ダニ、シラミ、虫刺症、皮膚T細胞リンパ腫、腎疾患に伴う皮膚そう痒症、及び肝疾患に伴う皮膚そう痒症等が挙げられる。

【0013】
本開示における「皮膚外用組成物」とは、皮膚の局所的表面に直接塗布(投与)可能な剤形をいい、そのような剤形であれば特に制限されない。皮膚外用組成物の形態としては、クリーム剤(乳剤性軟膏)、水溶性軟膏、油溶性軟膏、ゲル剤、ローション剤、テープ剤、貼付剤、スプレー、ゲル、リザーバー型パッチ等が挙げられる。本開示における皮膚外用組成物は、一又は複数の実施形態において、外用医薬品組成物、外用医薬部外品、又は化粧品の形態であってもよい。

【0014】
[皮膚外用組成物]
本開示は一態様において、下記式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を有効成分とする、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物(本開示の皮膚外用組成物)に関する。
【化4】
JP2020007262A_000005t.gif

【0015】
本開示の皮膚外用組成物によれば、一又は複数の実施形態において、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを、効果的に抑制又は軽減することができる。本開示の皮膚外用組成物は、外用剤であるため、一又は複数の実施形態において、内服薬のような飲み合わせによる副作用の懸念が低く、安全に治療効果をあげることが可能となる。

【0016】
式(I)において、R1は、メチル基、イソプロピル基又はイソブチル基であり、好ましくはメチル基である。

【0017】
2は、メチル基、メトキシ基、フッ素及び塩素からなる群から選択される1個又は2個で置換されたフェニル基、プロピル基、ジメチルプロピル基又はフェニルエチル基である。R2としては、一又は複数の実施形態において、2-フルオロ-6-メチルフェニル基、2-クロロ-6-メチルフェニル基、2-クロロ-6-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、2-フルオロ-6-メトキシフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2-メトキシ-6-メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピル基、ジメチルプロピル基又はフェニルエチル基等が挙げられ、好ましくは2-フルオロ-6-メチルフェニル基である。

【0018】
3は、クロロジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、クロロフルオロフェニル基又はジメチルシクロヘキシル基であり、好ましくはクロロジフルオロフェニル基であり、より好ましくは4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル基である。

【0019】
4はメチル基であり、かつR5はカルボキシイソプロピル基であるか、又は、R4及びR5は、aで印をつけた窒素原子とともに、
【化5】
JP2020007262A_000006t.gif
を形成する。上記式において、波線を付した結合手は、式(I)で表される化合物との結合部分である。また、本開示において、立体配置中の“*”は、相対配置を表し、特に記載がない場合にはいずれか一つのエナンチオマーを示す。

【0020】
4及びR5は、aで印をつけた窒素原子とともに、
【化6】
JP2020007262A_000007t.gif
を形成することが好ましく、より好ましくは
【化7】
JP2020007262A_000008t.gif
を形成する。

【0021】
式(I)で表される化合物は、一又は複数の実施形態において、下記式(II)又は(III)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
JP2020007262A_000009t.gif
式(II)において、R6は、メチル基、フッ素原子、塩素原子又はメトキシ基であり、好ましくはフッ素原子である。R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、好ましくはR7及びR9はフッ素原子であり、R8は塩素原子である。
式(III)において、R6は、メチル基、塩素原子又はメトキシ基である。R10は、水素原子、メチル基、又はメトキシ基である。R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子である。

【0022】
式(I)で表される化合物は、一又は複数の実施形態において、下記化合物1~18の化合物からなる群から選択される少なくとも一つである。下記化合物2~12における「(3R*,4S*)」の表記は、相対配置については各不斉中心の関係を示すものとする。すなわち、「(3R*,4S*)」は、(3R,4S)又は(3S,4R)のいずれか1つの特定のエナンチオマーを示す。

【0023】
化合物1:2-((3R,4S)-1-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-((2-フルオロ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸
【化9】
JP2020007262A_000010t.gif

【0024】
化合物2:2-((3R*,4S*)-1-(7-((2,6-ジメチルフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸
【化10】
JP2020007262A_000011t.gif

【0025】
化合物3:2-((3R*,4S*)-1-(5-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-((2,6-ジメチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸
【化11】
JP2020007262A_000012t.gif

【0026】
化合物4:2-((3R*,4S*)-3-メトキシ-1-(7-((2-メトキシ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)ピペリジン-4-イル)酢酸
【化12】
JP2020007262A_000013t.gif

【0027】
化合物5:2-((3R*,4S*)-1-(5-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-7-((2-クロロ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸
【化13】
JP2020007262A_000014t.gif

【0028】
化合物6:2-((3R*,4S*)-1-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-((2-クロロ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸
【化14】
JP2020007262A_000015t.gif

【0029】
化合物7:2-((3R*,4S*)-1-(7-((2,6-ジメチルフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)酢酸
【化15】
JP2020007262A_000016t.gif

【0030】
化合物8:2-((3R*,4S*)-1-(5-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-7-((2,6-ジメチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)酢酸
【化16】
JP2020007262A_000017t.gif

【0031】
化合物9:2-((3R*,4S*)-3-フルオロ-1-(7-((2-メトキシ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)ピペリジン-4-イル)酢酸
【化17】
JP2020007262A_000018t.gif

【0032】
化合物10:2-((3R*,4S*)-1-(7-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)酢酸
【化18】
JP2020007262A_000019t.gif

【0033】
化合物11:2-((3R*,4S*)-1-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-((2-クロロフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)酢酸
【化19】
JP2020007262A_000020t.gif

【0034】
化合物12:2-((3R*,4S*)-1-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-(イソプロピル(プロピル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メチルピペリジン-4-イル)酢酸
【化20】
JP2020007262A_000021t.gif

【0035】
化合物13:(R)-3-(7-((2-フルオロ-6-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)-N-メチル-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボキサミド)ブタン酸
【化21】
JP2020007262A_000022t.gif

【0036】
化合物14:(R)-3-(7-(イソブチル((R)-3-メチルブタン-2-イル)アミノ)-N-メチル-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボキサミド)ブタン酸
【化22】
JP2020007262A_000023t.gif

【0037】
化合物15:2-((1α,5α,6α)-3-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-(イソブチル((R)-3-メチルブタン-2-イル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル)酢酸
【化23】
JP2020007262A_000024t.gif

【0038】
化合物16:2-((1α,5α,6α)-3-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-(イソプロピル(プロピル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル)酢酸
【化24】
JP2020007262A_000025t.gif

【0039】
化合物17:2-((1α,5α,6α)-3-(7-(イソブチル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル)酢酸
【化25】
JP2020007262A_000026t.gif

【0040】
化合物18:2-(1-(7-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-5-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)ピペリジン-4-イル)酢酸
【化26】
JP2020007262A_000027t.gif

【0041】
本開示において、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本開示には化合物の構造上生ずる総ての幾何異性体、光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体及び異性体混合物を含む。本開示の化合物は、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体であってもよいし、混合物でもよい。式(I)で表される化合物は、一又は複数の実施形態において、光学活性体及びラセミ体が存在していてもよい。式(I)で表される化合物は、一又は複数の実施形態において、無水物と水和物とを含みうる。式(I)で表される化合物が生体内で代謝(酸化、還元、加水分解又は抱合等)されて生じる、いわゆる代謝物も本開示に含みうる。また、生体内で代謝(酸化、還元、加水分解又は抱合等)を受けて本開示の化合物を生成する化合物(いわゆるプロドラッグ)も本発明に含みうる。

【0042】
本開示において「製薬上許容される塩」とは、薬理上及び/又は医薬上許容される塩であって、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性アミノ酸塩又は塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、一又は複数の実施形態において、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、一又は複数の実施形態において、酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。無機塩基塩としては、一又は複数の実施形態において、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基塩としては、一又は複数の実施形態において、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。酸性アミノ酸塩としては、一又は複数の実施形態において、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられる。塩基性アミノ酸塩としては、一又は複数の実施形態において、アルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などが挙げられる。

【0043】
本開示の皮膚外用組成物は、一又は複数の実施形態において、外用組成物に通常用いられる基剤、吸収促進剤、保湿剤、増粘剤、乳化剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤、安定化剤、殺菌剤又は防腐剤等を含んでいてもよい。

【0044】
外用基剤としては、一又は複数の実施形態において、白色ワセリン、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセロール、サラシミツロウ、流動パラフィン、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ラウロマクロゴール(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、スクワラン、スクワレン、ラノリン、ミリスチン酸イソブチル又は中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。水を含む基剤であっても乳化物であればW/O型、O/W型いずれでも、油の方に混ぜることで容易に混合することができる。

【0045】
吸収促進剤としては、一又は複数の実施形態において、尿素、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、l-メントール、サリチル酸、ピロリドン類、中鎖脂肪酸エステル、フォスファチジルコリン、シリコーン系促進剤又はリモネン等が挙げられる。

【0046】
保湿剤としては、一又は複数の実施形態において、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム又はヒアルロン酸ナトリウム等の多価アルコール類が挙げられる。

【0047】
増粘剤としては、一又は複数の実施形態において、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリル酸エステル類、天然ラテックス、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。

【0048】
乳化剤としては、一又は複数の実施形態において、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。

【0049】
芳香剤としては、一又は複数の実施形態においてユーカリ油、ラベンダー油、メントール、ハッカ油、ローズ油、オレンジ油、チェリーフレーバー、フルーツフレーバー、バニリン又はバニラフレーバー等が挙げられる。

【0050】
抗酸化剤としては、一又は複数の実施形態において、L-アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアレート、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル、dl-α-トコフェロール、dl-δ-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。

【0051】
安定化剤としては、一又は複数の実施形態において、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、エタノール、アセトン、軽質無水ケイ酸又はEDTA等が挙げられる。

【0052】
防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸、フェノール、クロロブタノール、クロロクレゾール又はベンジルアルコール等を挙げられる。

【0053】
本開示の皮膚外用組成物の投与量は、一又は複数の実施形態において、疾患の種類、症状の程度、発症部位の面積、体重、年齢及び薬剤の投与形態等に応じて適宜決定できる。本開示の皮膚外用組成物の使用方法としては、特に限定されない一又は複数の実施の形態において、1日当たり0.1g~10gの用量を、1日1回又は数回に分けて患部に直接塗布すること等が挙げられる。

【0054】
式(I)で表される化合物は、WO2018/044361に記載の製造方法に従い製造することができる。

【0055】
本開示の皮膚外用組成物は、一又は複数の実施形態において、掻痒を伴う皮膚疾患の治療剤として用いることができる。

【0056】
本開示は、その他の態様として、本開示の皮膚外用組成物を有効量投与することにより、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制する方法に関する。

【0057】
本開示は、その他の態様として、式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物を用いて、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物を製造する方法に関する。本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物と、外用組成物に通常用いられる基剤、吸収促進剤、保湿剤、増粘剤、乳化剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤、安定化剤、殺菌剤及び防腐剤からなる群から選択される少なくとも一つとを混合することを含む。

【0058】
本開示は、その他の態様として、掻痒を伴う皮膚疾患の痒みを抑制するための皮膚外用組成物の製造のための、式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの水和物の使用に関する。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本開示中に引用された文献は、すべて本開示の一部として組み入れられる。
【実施例】
【0060】
[製剤の調製例]
下記の手順で、下記式で表される化合物1(2-((3R,4S)-1-(5-(4-クロロ-3,5-ジフルオロフェニル)-7-((2-フルオロ-6-メチルフェニル)(メチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-カルボニル)-3-メトキシピペリジン-4-イル)酢酸)を含有するクリーム剤を調製した。化合物1は、WO2018/043461号公報に基づき調製した。
【化27】
JP2020007262A_000028t.gif
【実施例】
【0061】
[手順]
1)マクロゴール400(2.1g)及びマクロゴール4000(0.9g)を混合し、60℃で撹拌し均一にした。
2)化合物1(200mg)へDMSO(800 mg)を加え、60℃で10分間撹拌し均一にした。そこに、セタノール(800mg)を加え、60℃で5分間撹拌し均一にした。さらに、1)で調製したマクロゴール混合液のうち1.5gを加え、60℃で5分間撹拌し均一にした。さらに、モノステアリン酸グリセロール(1g)を加え、60℃で5分間撹拌し均一にして化合物1溶液を調製した。
3)polyoxyethylene(20)cetylether(200mg)又はSDS(200mg)にMilli-Q水(5.5g)を加え、60℃で5分間撹拌し均一にした。それを激しく撹拌しながら、2)の化合物1溶液すべてを60℃下で滴下し乳化液を得た。それを60℃で1分間撹拌した後、撹拌子を取り出し、室温下ホモジナイザーで撹拌しながら放冷した。さらに、水冷下ホモジナイザーで撹拌しながら冷却し、下記表1に示す製剤1及び2(クリーム剤)を得た。
【表1】
JP2020007262A_000029t.gif
【実施例】
【0062】
[安定性の評価]
製剤1及び2について、所定の温度で保存後の製剤の安定性を評価した。保存は、4℃は13日間、25℃は9日間、40℃は25日間とした。安定性の評価は、保存後の製剤を下記の条件でHPLC分析を行い、HPLC分析(254nm)の%面積によって純度を算出することにより行った。
[HPLC条件]
カラム; Atlantis T3, 4.6x150 mm, 5μm (waters)
移動相A; 水/過塩素酸(60%) (1000/1, v/v)
移動相B; アセトニトリル/過塩素酸(60%) (1000/1, v/v)
流速; 1 mL/min
カラム温度; 40℃
検出; UV 275 nm
サンプル濃度; 0.2 mg/mL
溶解液; アセトニトリル
注入量; 10μL
【実施例】
【0063】
その結果、製剤1及び2のいずれも、4、25又は40℃のいずれの温度においても97%を超える高い純度で保存することができた。
【実施例】
【0064】
[試験例:NC/Ngaアトピー性皮膚炎自然発症モデル]
自然発症アトピー性皮膚炎モデルであるNC/Ngaマウスを用いて、以下の方法により、製剤1による皮膚疾患の痒み抑制効果を評価した。
<方法>
皮膚炎を発症したNC/Ngaマウス(雄、12及び14週齢)に、製剤1を50mg/bodyを1日1回、7日間にわたって塗布した。投与期間中、1日1回体重測定及び皮膚炎観察を行い、投与期間終了時に掻き行動を測定した。
掻き行動は、掻痒測定システム(MicroAct Ver. 2.15A;株式会社ニューロサイエンス)を用いて、下記の条件で、17時から翌日7時までの14時間(17時から19時は馴化時間とする)測定した。掻き行動回数(Beat)は,最初の2時間の馴化時間を除き,19時から7時までの12時間の値を採用した。1回につき最大16匹の測定を行うこととし、3回に分け、全ての動物について測定を実施した。その結果を図1に示す。
Control群は無処置とした。また、基剤群には、化合物1を含有しない(0重量%)以外は製剤1と同様の処方のクリーム剤を50mg/bodyを1日1回、7日間にわたって塗布した。
【表2】
JP2020007262A_000030t.gif
【実施例】
【0065】
図1に、1時間当たりの掻き行動回数を示す。図1に示すように、製剤1群は、いずれの時間帯においてもcontrol群と比べて優位に低値であった。また、製剤1群は、22-23時及び0-1時の2つの時間帯で、基剤群と比べて有意に低値であり、化合物1を含有するクリーム剤である製剤1の投与によって掻き行動回数が抑制されたことが示された。
よって、化合物1を含有する外用剤により、掻痒を伴う皮膚疾患における痒みを抑制又は軽減できることが示唆された。
図面
【図1】
0