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明細書 :生体粒子観察装置および生体粒子観察方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6742618号 (P6742618)
公開番号 特開2019-213469 (P2019-213469A)
登録日 令和2年7月31日(2020.7.31)
発行日 令和2年8月19日(2020.8.19)
公開日 令和元年12月19日(2019.12.19)
発明の名称または考案の名称 生体粒子観察装置および生体粒子観察方法
国際特許分類 C12M   1/34        (2006.01)
G01N  15/10        (2006.01)
G01N  15/00        (2006.01)
G01N  27/02        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
FI C12M 1/34 A
G01N 15/10 Z
G01N 15/00 B
G01N 27/02 D
G01N 37/00 101
請求項の数または発明の数 10
全頁数 12
出願番号 特願2018-111342 (P2018-111342)
出願日 平成30年6月11日(2018.6.11)
審査請求日 令和元年6月20日(2019.6.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】満仲 健
【氏名】小川 雄一
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査官 【審査官】藤澤 雅樹
参考文献・文献 国際公開第2018/198621(WO,A1)
国際公開第2018/078999(WO,A1)
米国特許出願公開第2012/0085649(US,A1)
米国特許出願公開第2015/0285760(US,A1)
特開2015-109826(JP,A)
特開2000-125846(JP,A)
国際公開第2009/128233(WO,A1)
特開2015-200674(JP,A)
調査した分野 C12M 1/00-3/10
G01N 15/00
G01N 27/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
液中の生体粒子の観察に用いる生体粒子観察装置であって、
前記生体粒子に誘電泳動力を作用させるための第一の信号を出力する誘電泳動電極と、
前記生体粒子と、前記液とのインピーダンス差を検知するためのセンサ電極と、
検知した前記インピーダンス差が一定となるように前記第一の信号を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする生体粒子観察装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第一の信号の振幅または周波数を制御することを特徴とする請求項1に記載の生体粒子観察装置。
【請求項3】
前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に当該センサ電極の周囲を円形または多角形で囲む形状を有し、前記生体粒子に対し、前記第一の信号として、負の誘電泳動力となる信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の生体粒子観察装置。
【請求項4】
前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に当該センサ電極の周囲を囲むように配置された複数の電極により構成され、前記生体粒子に対し、前記第一の信号として、負の誘電泳動力となる信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の生体粒子観察装置。
【請求項5】
前記センサ電極は、単電極または差動電極であることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置。
【請求項6】
前記センサ電極は、スイッチと接続されており、当該スイッチを介して、前記インピーダンス差を検知する機能と、前記生体粒子に対し、正の誘電泳動力となる信号を出力する機能とを切り替えることが可能となっていることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置。
【請求項7】
前記センサ電極から正の誘電泳動力となる第二の信号を出力することを特徴とする請求項1から6までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置。
【請求項8】
前記生体粒子が所定位置に留まっている様子を、外部から観察することができる顕微鏡を備えていることを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置。
【請求項9】
前記生体粒子が流入されるマイクロ流体路を備えていることを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか1項に記載の生体粒子観察装置によって、前記生体粒子を前記液中の所定位置に留め、
顕微鏡を介して、前記生体粒子が前記所定位置に留まっている様子を、外部から観察することを特徴とする生体粒子観察方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液中の微小な生体粒子の観察に用いる生体粒子観察装置および生体粒子観察方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体粒子の一つである細胞は、大きく分けて細胞培養における存在形態により、培養容器に付着し増殖する接着性細胞と呼ぶものと、培地内で浮遊した状態で増殖する浮遊性細胞と呼ぶものに分類される。
【0003】
造血細胞に代表される浮遊性細胞に対し、成長パターンの追跡を行う目的で、顕微鏡を用いて観察するには、所定位置に観察対象物を固定する必要がある。浮遊性細胞を顕微鏡で観察するためには、培地内から浮遊細胞をディッシュ等に取り分けて観察する方法が考えられるが、培養や顕微鏡観察を長時間行うためには、浮遊状態が保たれないため細胞へのダメージが大きい。
【0004】
一方、浮遊細胞を固定化するための提案として、図7に示すように、溶液203中の細胞200の表面との親和性が良いタンパク質やポリマー等の固定化剤201を形成することで、細胞表面とディッシュ202等とを固定化する方法が知られている。細胞200の細胞壁がディッシュ202等の底面に直接接着しないため、長時間の培養や観察を行っても浮遊状態が保たれる。カバーガラスなどの蓋204越しに観察する。上記した構成は、細胞へのダメージは少ないことが予想される。例えば特許文献1では、固定化剤201が、ホスホリルコリン類似基およびヒドラジド基を有することを特徴とする方法が提案されている。この方法では、予めディッシュ等に浮遊細胞を固定化するタンパク質を修飾させておき、浮遊細胞の表面と結合・混合させて固定化する。これにより、細胞200の表面とディッシュ202等とを固定化することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2005-80579号公報(2005年3月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された浮遊細胞固定化方法は、修飾するタンパク質によって、複数ある細胞の種別を選択的に固定化することや、単一の細胞のみを固定化することが難しいため、複数の細胞が一度に固定化されてしまうことが多いという問題点がある。また、上記従来の浮遊細胞固定化方法では、顕微鏡で単一細胞の動向を観察できないことや、複数細胞が集中的に固定化されることで細胞へのダメージが懸念されるという問題点もある。
【0007】
本発明の一態様は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、生体粒子へのダメージを軽減し、単一の生体粒子を観察し易くすることができる生体粒子観察装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、液中の生体粒子の観察に用いる生体粒子観察装置であって、前記生体粒子に誘電泳動力を作用させるための第一の信号を出力する誘電泳動電極と、前記生体粒子と、前記液とのインピーダンス差を検知するためのセンサ電極と、検知した前記インピーダンス差が一定となるように前記第一の信号を制御する制御回路と、を備える構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、生体粒子へのダメージを軽減し、単一の生体粒子を観察し易くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る生体粒子観察装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】上記生体粒子観察装置に関し、誘電泳動電極の配置方法のバリエーションを示す模式図である。
【図3】上記生体粒子観察装置に関し、生体粒子を捕捉する構成の一例を示す模式図である。
【図4】上記生体粒子を捕捉する構成の一例を示す模式図である。
【図5】上記生体粒子観察装置に関し、センサ電極に生体粒子を捕捉する際のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係る生体粒子観察装置の概要構成を示す模式図である。
【図7】従来の生体粒子の観察方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る生体粒子観察装置101について図1に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施形態の生体粒子観察装置101は、例えば、培地などの溶液内に浮遊する細胞や菌などの生体粒子106を顕微鏡100などで観察する装置に関するものである。生体粒子観察装置101は、主として生物学・医学における研究、臨床検査等に用いられる。

【0012】
より具体的には、生体粒子観察装置101は、顕微鏡100により、容器103内に入れられた溶液(液)102中に浮遊する生体粒子106を観察するものである。容器103上面にはカバーガラスなどの蓋114があっても良い。

【0013】
また、本実施形態の生体粒子観察装置101は、培地等の溶液102を貯める容器103の底面に、少なくとも誘電泳動電極104とセンサ電極105とを備える。誘電泳動電極104は、生体粒子106に誘電泳動力を作用させるための信号(第一の信号)VDEP1を出力する電極である。センサ電極105は、生体粒子106と、溶液102とのインピーダンス差を検知するための電極である。なお、センサ電極105は、図2に示すように単電極であっても良く、また差動電極(不図示)であっても良い。

【0014】
次に、図2の(a)は、容器103の底面を上から見た図のうち、誘電泳動電極104とセンサ電極105とが配置されている周辺を示した図である。

【0015】
生体粒子観察装置101は、センサ電極105を囲むように誘電泳動電極104を備える。図2の(a)に示す形態では、誘電泳動電極104は、センサ電極105を中心にセンサ電極105の周囲を円形で囲む形状を有しているが、センサ電極105を中心にセンサ電極105の周囲を多角形で囲む形状を有していても良い。

【0016】
容器103には培地等の溶液102が満たされているが、浮遊する細胞や菌などの生体粒子106は浮遊性細胞であるものとする。

【0017】
誘電泳動電極104が生体粒子106に及ぼす誘電泳動力FDEPは、下記式(1)にて一般に示される。

【0018】
【数1】
JP0006742618B2_000002t.gif
dは生体粒子106の直径、εおよびεはそれぞれ、生体粒子106および溶液102の複素誘電率、Eは誘電泳動電極104が与える電界である。

【0019】
CMファクタである、

【0020】
【数2】
JP0006742618B2_000003t.gif
の実数成分の正負により、誘電泳動力によって生体粒子106が誘電泳動電極104に引き寄せられるか、反発して離れていくかが計算できる。

【0021】
本実施形態では、誘電泳動電極104から生体粒子106が離れていく力(負の誘電泳動力)を利用する。細胞に代表される生体粒子106は一般に培地等の溶液102より重いので、液中で重力により沈む力が働く。ここで、誘電泳動電極104に負の誘電泳動力がかかるような信号(第一の信号)VDEP1がかかると、生体粒子106は沈むことなく液中を浮遊する。

【0022】
誘電泳動電極104は、センサ電極105を中心に囲む構成とする。誘電泳動電極104から発生する電界は、誘電泳動電極104上で大きく、誘電泳動電極104から離れると小さくなる。誘電泳動電極104に囲まれたセンサ電極105付近は、誘電泳動電極104から出される電界の大きさや周波数によって、誘電泳動力がセンサ電極105に引き寄せられる方向になったり、反発する方向になったりするため、顕微鏡100(容器103上方)から見て、生体粒子106は誘電泳動電極104に囲まれた内部に留まる。

【0023】
検知回路111は、センサ電極105と生体粒子106との距離を検知し、制御回路110に対し、信号VDEP1の信号振幅または信号周波数を調整させる。なお、信号周波数により誘電泳動力の向きが変わる。これはCMファクタの実部により正負で判断することができる(数式2)。また、信号振幅が異なると、斥力または引力が大きくなったり小さくなったりする(数式1の∇E参照)。対象とする細胞と周りにある溶液102の誘電率(ε,ε)によって、斥力または引力の向きや大きさが異なるため、誘電泳動力は環境に依存する。

【0024】
制御回路110は、センサ電極105で検知した前記インピーダンス差が一定となるように信号VDEP1の信号振幅または信号周波数を出力する。例えば、図4に示すように、検知回路111の検知信号に基づき、リング発振器などで構成された発振器115の周波数に対し、信号FCNTを出力して制御する。溶液102中における生体粒子106が浮遊する周波数は、引き寄せられる方向および反発する方向による周波数の上限および下限を予め決めておき、その範囲内で信号FCNTにより調整する。発振器115の出力にあるバッファ回路116の出力振幅は、検知回路111より信号ACNTを出力して制御する。信号VDEP1は図示しない外部信号源を用いることで制御回路110から出力される。

【0025】
上記した構成により信号VDEP1の信号振幅または信号周波数によって、生体粒子106はセンサ電極105からある一定距離を保ったまま、重力と負の誘電泳動力とで沈むことなく液中を浮遊する。

【0026】
センサ電極105と生体粒子106との距離を検知する際には、溶液102と生体粒子106の誘電率差を利用したセンシングを行うことで、溶液102と生体粒子106が持つインピーダンス差を計測する。この場合、センサ電極105におけるセンシング周波数は、誘電泳動に使用する信号VDEP1の周波数よりも高い周波数で行った方が良い。センサ電極105の測定周波数における溶液102と生体粒子106の誘電率差を計測することで、誘電泳動力FDEPに影響することなくインピーダンスを計測できる。

【0027】
誘電泳動電極104の形状は、図2の(a)に示したように、センサ電極105を中心に円形で囲む構成であっても良いが、図2の(b)に示すように、センサ電極105を中心に120度ずつ3つの誘電泳動電極107を配置する構造でも良い。また、図2の(c)に示すように、センサ電極105を中心に90度ずつ4つの誘電泳動電極108を配置する構造でもよい。重要なことは、センサ電極105を中心に周りを誘電泳動電極で囲む構成であれば良い。

【0028】
〔生体粒子の捕捉〕
溶液102内に浮遊する生体粒子106を、誘電泳動電極104の中心に捕捉する際には、センサ電極105に生体粒子106を捕捉する正の誘電泳動信号VDEP2を与える。生体粒子106を捕捉する構成の一例を図3に示す。センサ電極105に繋がる端子にスイッチ112を備え、C点を起点に、スイッチ112の接続先にはA点とB点とがある。

【0029】
A点は信号源113に接続されている。A点接続時、信号源113は、スイッチ112を通してセンサ電極105に生体粒子106を捕捉する正の誘電泳動信号(第二の信号)VDEP2を与える。その際、スイッチ112がオフされる検知回路111および制御回路110は動作せず、同時に誘電泳動電極104は動作しないため、生体粒子106は誘電泳動電極104の影響を受けない。B点接続時は、図2で説明したように、センサ電極105から得た信号を検知回路111で検知する。

【0030】
次に、センサ電極105に生体粒子106を捕捉する際のタイミングチャートについて、図5を用いて説明する。図5の(a)は、スイッチ112のC点の動作タイミングであって、t~t期間でスイッチ112により一定期間毎にA点およびB点への接続を交互に行う。図5の(b)に示すように、スイッチ112のC点が扱う信号は、センサ電極105に正の誘電泳動信号VDEP2を与えるか、検知回路111を動作させSsenseを得るかであり、図5の(a)のスイッチ112の動作を介して交互に行う。

【0031】
~t期間は、生体粒子106は捕捉されていない状態の例であり、スイッチ112がB点に接続した時には、センサ電極105が検知する信号Ssenseは溶液102がもつ誘電率から計算される信号Ssense=SREFとなる。

【0032】
この溶液102がもつ誘電率から計算される信号SREFは、検知回路111に付属する図示しないメモリ等に値を記憶しておく。スイッチ112は図5の(a)のように一定期間毎にA点およびB点への接続を行うので、A点に接続した場合には、センサ電極105は正の誘電泳動信号VDEP2を与えている。

【0033】
ここで、あるタイミング(t)で生体粒子106がセンサ電極105に引き寄せられ捕捉されたとする。その後、スイッチ112がB点に接続した時(t)に、センサ電極105が検知するのは生体粒子106がもつ誘電率から計算される信号SSIGとなる。図5の(c)に示すように、SSIGとSREFは値が異なるため、SSIGとSREFの値に差があると判定された時に、スイッチ112はB点のみの接続のままになる。

【0034】
同時に、図5の(d)に示すように、誘電泳動電極104に負の誘電泳動力がかかるような信号VDEP1を与える。このとき生体粒子106は、センサ電極105に引き寄せられる誘電泳動力が無く、周りを囲む誘電泳動電極104により反発する誘電泳動力が働くため、センサ電極105から離れる方向(上方向)に移動(浮遊)する。

【0035】
生体粒子106は一般的に溶液102より重いので、溶液102の流れが無い、または非常に遅い場合は沈む(センサ電極105に引き寄せられる)が、時間t以降、誘電泳動電極104により反発する適切な負の誘電泳動力の信号VDEP1を与えることによって、溶液102のセンサ電極105上に浮遊したままになる。

【0036】
信号VDEP1は、図5の(c)に示すSSIGとSREFの間の値(=SCNTL)がセンサ電極105から得られるように生体粒子106の位置を調整するような信号となる。SCNTLが適切値より大きい場合は、生体粒子106がセンサ電極105に近づいているため、信号VDEP1の例えば振幅を大きくし、SCNTLが適切値より小さい場合は、生体粒子106がセンサ電極105に遠ざかっているため、信号VDEP1の振幅を小さくするなどの制御を行う。

【0037】
前記構成によれば、生体粒子106に誘電泳動力を作用させることにより、(単一の)生体粒子106を所定位置に浮遊状態にて固定することができる。これにより、生体粒子106をタンパク質等で固定化することが無く、物理的に生体粒子106の表面に接触することが無いため、生体粒子106へのダメージを軽減し、単一の生体粒子106を観察し易くすることができる。

【0038】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0039】
上記実施の形態では、容器103がシャーレのような、上面が開口された容器である形態について説明した。しかしながら、本実施形態の生体粒子観察装置101aのように、容器103に替えて、マイクロ流体路103aのように、上流から下流に溶液102を流せるような構造を採用しても良い(図6参照)。マイクロ流体路103aには、生体粒子106が流入される。

【0040】
この場合、センサ電極105の上面は、顕微鏡100から確認できるように透明物質でできていることが望ましい。溶液102の流れは、図5で説明した生体粒子106が捕捉された時間t以降、溶液102の流れが止まる、または、誘電泳動電極104の中心にあるセンサ電極105上から、生体粒子106が離れない程度の弱い流れにするなど、溶液102の流速が変化する制御を取り入れても良い。

【0041】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る生体粒子観察装置は、液中の生体粒子の観察に用いる生体粒子観察装置であって、前記生体粒子に誘電泳動力を作用させるための第一の信号を出力する誘電泳動電極と、前記生体粒子と、前記液とのインピーダンス差を検知するためのセンサ電極と、検知した前記インピーダンス差が一定となるように前記第一の信号を制御する制御回路と、を備える構成である。

【0042】
前記構成によれば、生体粒子に誘電泳動力を作用させることにより、(単一の)生体粒子を所定位置に浮遊状態にて固定することができる。これにより、生体粒子をタンパク質等で固定化することが無く、物理的に生体粒子の表面に接触することが無いため、生体粒子へのダメージを軽減し、単一の生体粒子を観察し易くすることができる。

【0043】
本発明の態様2に係る生体粒子観察装置は、上記態様1において、前記制御回路は、前記第一の信号の振幅または周波数を制御することが好ましい。前記構成によれば、制御回路が、誘電泳動電極から出力される第一の信号の振幅または周波数を制御することで、生体粒子はセンサ電極からある一定距離を保ったまま、重力と負の誘電泳動力とで沈むことなく液中を浮遊する。

【0044】
本発明の態様3に係る生体粒子観察装置は、上記態様1または2において、前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に当該センサ電極の周囲を円形または多角形で囲む形状を有し、前記生体粒子に対し、前記第一の信号として、負の誘電泳動力となる信号を出力しても良い。前記構成によれば、センサ電極付近の誘電泳動力は、誘電泳動電極から出される電界の大きさによって、センサ電極に引き寄せられる方向になったり、反発する方向になったりするため、生体粒子を誘電泳動電極に囲まれた内部に留めることができる。

【0045】
本発明の態様4に係る生体粒子観察装置は、上記態様1または2において、前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に当該センサ電極の周囲を囲むように配置された複数の電極により構成され、前記生体粒子に対し、前記第一の信号として、負の誘電泳動力となる信号を出力しても良い。前記構成によれば、生体粒子を誘電泳動電極に囲まれた内部に留めることができる。

【0046】
本発明の態様5に係る生体粒子観察装置は、上記態様1~4の何れかにおいて、前記センサ電極は、単電極であっても良く、または差動電極であっても良い。

【0047】
本発明の態様6に係る生体粒子観察装置は、上記態様1~5の何れかにおいて、前記センサ電極は、スイッチと接続されており、当該スイッチを介して、前記インピーダンス差を検知する機能と、前記生体粒子に対し、正の誘電泳動力となる信号を出力する機能とを切り替えることが可能となっていることが好ましい。前記構成によれば、液中に浮遊する生体粒子を、誘電泳動電極の中心に捕捉することが可能になる。

【0048】
本発明の態様7に係る生体粒子観察装置は、上記態様1~6の何れかにおいて、前記センサ電極から正の誘電泳動力となる第二の信号を出力することが好ましい。前記構成によれば、生体粒子を捕捉することが可能となる。

【0049】
本発明の態様8に係る生体粒子観察装置は、上記態様1~7の何れかにおいて、前記生体粒子が所定位置に留まっている様子を、外部から観察することができる顕微鏡を備えていることが好ましい。前記構成によれば、生体粒子へのダメージを軽減し、単一の生体粒子を観察し易くすることができる。

【0050】
本発明の態様9に係る生体粒子観察装置は、上記態様1~8の何れかにおいて、前記生体粒子が流入されるマイクロ流体路を備えていても良い。

【0051】
本発明の態様10に係る生体粒子観察方法は、上記態様1~9の何れかの生体粒子観察装置によって、前記生体粒子を前記液中の所定位置に留め、顕微鏡を介して、前記生体粒子が前記所定位置に留まっている様子を、外部から観察する方法である。前記方法によれば、生体粒子へのダメージを軽減し、単一の生体粒子を観察し易くすることができる。

【0052】
〔本発明の別の表現〕
本発明は、以下のように表現することもできる。すなわち、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、微小な生体粒子を単一で液中の所定位置に留める生体粒子観察装置であって、誘電泳動電極とセンサ電極とを備え、前記生体粒子と、周囲に存在する液とが持つインピーダンス差を検知し、制御回路によって前記誘電泳動電極から出力する信号を制御することで、前記液中において、前記生体分子が所定位置に止まる構成である。

【0053】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記制御回路が、前記誘電泳動電極から出力する信号の振幅または周波数を制御することが好ましい。

【0054】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に円形または多角形に囲み、前記生体分子に対し、負の誘電泳動力になる信号を出力することが好ましい。

【0055】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記誘電泳動電極は、前記センサ電極を中心に囲むように複数の電極で構成され、前記生体分子に対し、負の誘電泳動力になる信号を出力することが好ましい。

【0056】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記センサ電極が、単電極であっても良く、または差動電極であっても良い。

【0057】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記センサ電極が、スイッチ回路を備えることで、前記生体粒子と周囲に存在する液が持つインピーダンス差を検知する機能と、前記生体分子に対し、正の誘電泳動力になる信号を出力する機能を持っていても良い。

【0058】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記センサ電極において、前記生体分子が捕捉されていない状態におけるインピーダンス値から基準信号を検出しメモリ回路に記憶後、前記スイッチ回路を切り替え、前記センサ電極から正の誘電泳動力となる信号を出力することで前記生体粒子を捕捉し、前記誘電泳動電極において、負の誘電泳動力になる信号を出力することによって前記生体粒子の捕捉を維持しながら、前記センサ電極において捕捉した前記生体粒子が持つインピーダンス値から捕捉時信号を検出し、前記メモリ回路に記憶した基準信号と、捕捉時信号から設定した設定信号を基に、該液中において、該生体分子が所定位置に止まるように前記誘電泳動電極から負の誘電泳動力になる信号の振幅または周波数を制御し出力することで、前記生体分子が所定位置に止まっても良い。

【0059】
また、本発明の一態様に係る生体粒子観察装置は、前記生体分子が所定位置に止まっている様子を、外部から観察することができる顕微鏡を備えていても良い。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 顕微鏡
101 生体粒子観察装置
101a 生体粒子観察装置
102 溶液(液)
103 容器
103a マイクロ流体路
104、107、108 誘電泳動電極
105 センサ電極
106 生体粒子
110 制御回路
111 検知回路
112 スイッチ
113 信号源
114 蓋
200 細胞
201 固定化剤
202 ディッシュ
203 溶液
204 蓋
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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