【非特許文献1】C. Smith-Clarke, A. Mashhadi and L. Capra, “Poverty on the Cheap: Estimating Poverty Maps Using Aggregated Mobile Communication Networks”, Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems, 2014, pp. 511-520. 【非特許文献2】N. W. Park, “Spatial Downscaling of TRMM Precipitation Using Geostatistics and Fine Scale Environmental Variables”, Advances in Meteorology, volume 2013, article ID 237126, 2013. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 上記の従来技術(非特許文献1、2)は、ターゲットとする空間データが持つ空間相関を考慮しつつ、他の種類の解像度の高い空間データを補助的なデータとして用いて学習した回帰モデルに基づいて、ターゲットとする空間データの細かい粒度における値を予測することが可能である。 【0010】 ここで、従来技術では、“補助的な空間データの粒度(住所、地域などの集計単位)は互いに等しい”ことが仮定されている。 【0011】 しかし、この仮定は、より多くの種類の空間データを補助的に用いる場合には、必ずしも適切ではない。なぜなら、政府や企業などが収集する空間データは、各組織の方針に基づいて独自の粒度で集計されるからである。 【0012】 例えば、政府による国勢調査では、住所ごとの細かい粒度の人口密度データが得られるが、犯罪発生率データは警察の管轄エリア毎に得られる場合などが考えられる。 【0013】 このように、従来技術では、空間データ毎に粒度が異なる場合には適用困難である、という問題があった。 【0014】 本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、異なる粒度を持つ補助的な空間データを用いて、空間データを精度よく高解像度化することができる高解像度化装置、高解像度化方法、およびプログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明に係る高解像度化装置は、空間を分割するエリアの単位を示す粒度でのエリアごとに紐付く値からなる変換対象の空間データを、値の種類が異なる補助的な空間データを用いてターゲットとする前記粒度の前記変換対象の空間データに変換するための回帰モデルを学習する高解像度化装置であって、前記値の種類を示す複数のドメインの各々について、前記ドメインの前記補助的な空間データを、任意の空間補間法を用いて前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データに補間する空間補間部と、前記変換対象の空間データと、前記複数のドメインの各々についての前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データの各々とに基づいて、前記回帰モデルのパラメータを推定するパラメータ推定部と、を備えて構成される。 【0016】 また、本発明に係る高解像度化方法は、空間を分割するエリアの単位を示す粒度でのエリアごとに紐付く値からなる変換対象の空間データを、値の種類が異なる補助的な空間データを用いてターゲットとする前記粒度の前記変換対象の空間データに変換するための回帰モデルを学習する高解像度化方法であって、空間補間部が、前記値の種類を示す複数のドメインの各々について、前記ドメインの前記補助的な空間データを、任意の空間補間法を用いて前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データに補間し、パラメータ推定部が、前記変換対象の空間データと、前記複数のドメインの各々についての前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データの各々とに基づいて、前記回帰モデルのパラメータを推定する。 【0017】 本発明に係る高解像度化装置及び高解像度化方法によれば、空間補間部が、空間を分割するエリアの単位を示す粒度でのエリアごとに紐付く値の種類を示す複数のドメインの各々について、当該ドメインの補助的な空間データを、任意の空間補間法を用いてターゲットとする粒度の当該補助的な空間データに補間する。 【0018】 そして、パラメータ推定部が、当該変換対象の空間データと、複数のドメインの各々についての当該ターゲットとする当該粒度の当該補助的な空間データの各々とに基づいて、当該粒度の当該変換対象の空間データに変換するための回帰モデルのパラメータを推定する。 【0019】 このように、値の種類を示す複数のドメインの各々について、当該ドメインの補助的な空間データを、任意の空間補間法を用いてターゲットとする粒度の当該補助的な空間データに補間し、変換対象の空間データと、複数のドメインの各々についてのターゲットとする当該粒度の当該補助的な空間データの各々とに基づいて、当該変換対象の空間データをターゲットとする当該粒度の当該変換対象の空間データに変換するための回帰モデルのパラメータを推定することにより、異なる粒度を持つ補助的な空間データを用いて、空間データを精度よく高解像度化することができる。 【0020】 また、本発明に係る高解像度化装置の前記空間補間部は、前記複数のドメインの各々について、前記空間補間法としてガウス過程回帰を用いて、前記ターゲットとなる前記粒度の前記補助的な空間データとして、前記ターゲットとする前記粒度でのエリアごとに前記ドメインの値の平均及び分散を求め、前記パラメータ推定部は、前記変換対象の空間データと、前記空間補間部により前記複数のドメインの各々について求められた、前記ターゲットとする前記粒度でのエリア毎に前記ドメインの値の平均及び分散とに基づいて、前記回帰モデルのパラメータを推定することができる。 【0021】 また、本発明に係る高解像度化方法の前記空間補間部は、前記複数のドメインの各々について、前記空間補間法としてガウス過程回帰を用いて、前記ターゲットとなる前記粒度の前記補助的な空間データとして、前記ターゲットとする前記粒度でのエリアごとに前記ドメインの値の平均及び分散を求め、前記パラメータ推定部は、前記変換対象の空間データと、前記空間補間部により前記複数のドメインの各々について求められた、前記ターゲットとする前記粒度でのエリア毎に前記ドメインの値の平均及び分散とに基づいて、前記回帰モデルのパラメータを推定することができる。 【0022】 また、本発明に係る高解像度化装置は、前記変換対象の空間データと、前記複数のドメインの各々についての前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データの各々と、前記回帰モデルとに基づいて、前記ターゲットとする前記粒度の前記変換対象の空間データを算出する高解像度データ算出部を備えることができる。 【0023】 また、本発明に係る高解像度化方法は、高解像度データ算出部が、前記変換対象の空間データと、前記複数のドメインの各々についての前記ターゲットとする前記粒度の前記補助的な空間データの各々と、前記回帰モデルとに基づいて、前記ターゲットとする前記粒度の前記変換対象の空間データを算出することができる。 【0024】 本発明に係るプログラムは、上記の高解像度化装置の各部として機能させるためのプログラムである。 【発明の効果】 【0025】 本発明の高解像度化装置、高解像度化方法、およびプログラムによれば、異なる粒度を持つ補助的な空間データを用いて、空間データを精度よく高解像度化することができる。 【図面の簡単な説明】 【0026】 【図1】本発明の実施の形態に係る高解像度化装置の構成を示すブロック図である。 【図2】本発明の実施の形態における粒度の例(上図)及び出力例(下図)である。 【図3】本発明の実施の形態に係る高解像度化装置の空間データ高解像度化処理ルーチンを示すフローチャートである。 【図4】本発明の実施の形態に係る高解像度化装置の検索処理ルーチンを示すフローチャートである。 【発明を実施するための形態】 【0027】 以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0030】 具体的には、クリギング(参考文献1)やガウス過程回帰(参考文献2)等の空間補間法を、様々な粒度を持つ補助的な空間データに適用することにより、これらの補助的な空間データの粒度を均一にする。そして、それらを入力として、変換対象の空間データとの統計的な関係を回帰モデルにより学習する。 [参考文献1]T. Hengl, G. B. M. Heuvelink and A. Stein, “A Generic Framework for Spatial Prediction of Soil Variables based on Regression-Kriging”, Geoderma, volume 120, issues 11-2, 2004, pages 75-93. [参考文献2]C. E. Rasmussen and C. K. I. Williams, Gaussian Processes for Machine Learning, MIT Press, 2006.
【0078】 すなわち、空間補間部150は、式(5)を最大にするようなハイパーパラメータ を求める。ここで、最適化手法は何を用いてもよいが、例えば、BFGS法(参考文献3)を用いることができる。 [参考文献3]D.C. Liu and J. Nocedal, “On the Limited Memory BFGS Method for Large Scale Optimization”, Mathematical Programming, vol. 45, 1989, pp. 503-528.