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明細書 :圧力センサおよび圧力測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-219222 (P2019-219222A)
公開日 令和元年12月26日(2019.12.26)
発明の名称または考案の名称 圧力センサおよび圧力測定装置
国際特許分類 G01L   5/00        (2006.01)
G01L   1/20        (2006.01)
FI G01L 5/00 A
G01L 1/20 Z
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2018-115467 (P2018-115467)
出願日 平成30年6月18日(2018.6.18)
発明者または考案者 【氏名】ピパットポンサー ティラポン
【氏名】肥後 陽介
【氏名】白石 啓太
【氏名】ファン クン
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100110847、【弁理士】、【氏名又は名称】松阪 正弘
【識別番号】100136526、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 勉
【識別番号】100136755、【弁理士】、【氏名又は名称】井田 正道
審査請求 未請求
テーマコード 2F051
Fターム 2F051AA06
2F051AB06
2F051AC00
2F051AC01
要約 【課題】座屈の虞や撓みによる測定精度の低下の問題を有しない新規な圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力センサ11は、導電性を有する複数の硬球である硬球群21を含む。硬球群21は、硬球同士が接触する集合状態でハウジング22内に配置される。ハウジング22は、硬球群21の外周を拘束することにより、硬球群21の配置を固定する。ハウジング22の上部である第1受圧部222の下面には、硬球群21と電気的に接続される第1電極23が配置される。ハウジング22の下部である第2受圧部223の上面には、硬球群21と電気的に接続される第2電極24が配置される。第1受圧部222および第2受圧部223が受ける圧力により第1電極23と第2電極24との間の抵抗値が変化することを利用して、回路部12により圧力が検出される。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
圧力センサであって、
導電性を有する複数の硬球である硬球群と、
硬球同士が接触する集合状態で前記硬球群の外周を拘束することにより、前記硬球群の配置を固定するハウジングと、
第1の位置で前記硬球群と電気的に接続される第1電極と、
前記第1の位置とは異なる第2の位置で前記硬球群と電気的に接続される第2電極と、
を備えることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサであって、
前記硬球群の間に存在する固化状態の樹脂をさらに備えることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧力センサであって、
前記第2電極を含む複数の第2電極を備え、
前記硬球群が前記ハウジング内の円柱状の空間内に配置され、
前記第1電極が前記空間の中心軸上に位置し、
前記複数の第2電極が、前記空間の外側面上に位置することを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力センサであって、
前記中心軸から放射状に広がる複数の絶縁部材をさらに備え、
前記複数の絶縁部材が、前記複数の第2電極の間の位置において前記硬球群を分割することを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項1または2に記載の圧力センサであって、
前記第2電極を含む複数の第2電極を備え、
前記硬球群が前記ハウジング内の球状または半球状の空間内に配置され、
前記第1電極が前記空間の中心に位置し、
前記複数の第2電極が、前記空間の外周面上に位置することを特徴とする圧力センサ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の圧力センサであって、
前記硬球群に含まれる硬球の数が、10以上であることを特徴とする圧力センサ。
【請求項7】
圧力測定装置であって、
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の圧力センサと、
前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗の値を取得する回路部と、
を備えることを特徴とする圧力測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を測定する際に使用される圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土圧測定は、様々な土木技術において重要である一方で、容易ではない。現在、土圧測定では、ダイアフラム型の土圧計を用いることが主流である。ダイアフラム型の土圧計は、ダイアフラムと呼ばれる受圧板が圧力を受けた際の撓み量を取得することを測定原理としている。具体的には、受圧板に歪みゲージを貼付しておき、受圧板の引っ張り撓み量が土圧値に換算される。このような土圧計は、例えば、特許文献1の従来技術に開示されている。受圧板の引っ張り撓みを測定することにより、圧縮歪みを圧縮型の歪みゲージで測定する場合に生じ得る座屈が防止される。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開昭58-34332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、土は流動体ではないため、ダイアフラム型の土圧計の周囲の土と土圧計との間の剛性の差や受圧板の撓み等によって、応力集中が生じたり、受圧板の変形に起因する応力変化が周辺に伝達するアーチ作用が生じる。その結果、土圧測定の精度が低下する。また、従来より、土圧を多次元に測定するには、多数の土圧計を配置する必要があり、測定作業が煩雑になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、座屈の虞や撓みによる測定精度の低下の問題を有しない新規な圧力センサおよび圧力測定装置を提供することを主たる目的としている。本発明に係る圧力センサおよび圧力測定装置は、土圧測定以外にも利用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧力センサに向けられている。圧力センサは、導電性を有する複数の硬球である硬球群と、硬球同士が接触する集合状態で前記硬球群の外周を拘束することにより、前記硬球群の配置を固定するハウジングと、第1の位置で前記硬球群と電気的に接続される第1電極と、前記第1の位置とは異なる第2の位置で前記硬球群と電気的に接続される第2電極とを備える。
【0007】
ハウジングを介して硬球群が力を受けて第1電極と第2電極との間の抵抗値が変化することにより、圧力の検出が実現される。
【0008】
好ましくは、圧力センサは、前記硬球群の間に存在する固化状態の樹脂をさらに備える。
【0009】
好ましい一の形態では、圧力センサは、前記第2電極を含む複数の第2電極を備える。前記硬球群は前記ハウジング内の円柱状の空間内に配置される。前記第1電極は前記空間の中心軸上に位置し、前記複数の第2電極は、前記空間の外側面上に位置する。好ましくは、圧力センサは、前記中心軸から放射状に広がる複数の絶縁部材をさらに備え、前記複数の絶縁部材は、前記複数の第2電極の間の位置において前記硬球群を分割する。
【0010】
好ましい他の一の形態では、圧力センサは、前記第2電極を含む複数の第2電極を備え、前記硬球群は前記ハウジング内の球状または半球状の空間内に配置される。前記第1電極は前記空間の中心に位置し、前記複数の第2電極は、前記空間の外周面上に位置する。
【0011】
前記硬球群に含まれる硬球の数は、好ましくは、10以上である。
【0012】
本発明は、上記圧力センサを含む圧力測定装置にも向けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、座屈の虞や撓みによる測定精度の低下の問題を有しない新規な圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】土圧計の構成を示す図である。
【図2】圧力と硬球群の抵抗との相関性を示す実験結果を示す図である。
【図3】硬球群を利用する圧力センサを含むコーンを示す図である。
【図4】硬球群の位置でのコーンの横断面を示す図である。
【図5】部分硬球群に接続される回路部を示す図である。
【図6】硬球群を利用する圧力センサの他の応用例を示す図である。
【図7】硬球群を利用する圧力センサのさらに他の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の好ましい実施の形態に係る土圧計1の構成を示す図である。土圧計1は、圧力センサ11と、回路部12とを含む圧力測定装置である。圧力センサ11は、硬球群21と、硬球群21を覆うハウジング22と、第1電極23と、第2電極24とを含む。

【0016】
硬球群21は、複数の導電性を有する硬球である。硬球の材料は、導電性を有するものであれば様々なものが採用可能である。硬球は、好ましくは、高い導電性を有し、抵抗が低い。例えば、硬球の材料は金属であり、さらに好ましくはステンレス鋼である。硬球は弾性的に形状が変化する。各硬球の直径は、0.1mm以上であり、上限は限定されない。ただし、大型の圧力センサであったとしても硬球の取り扱いの容易さを考慮した場合、硬球の直径は10cm以下である。硬球の数は、10個(1層目は1つの硬球の周囲に6個、2層目は1層目上に密に配置される3個)以上であり、好ましくは、13個(さらに1層目の下に密に配置される3個)以上であり、通常は、10万個以下である。さらに好ましくは、30個以上5万個以下であり、さらに好ましくは、200個以上1万個以下である。全ての硬球の直径は同一である必要はない。硬球群21に関する上記説明は、以下の他の圧力センサにおいても同様である。

【0017】
ハウジング22は、ハウジング本体221と、第1受圧部222と、第2受圧部223とを含む。ハウジング本体221は図1における上下方向を向く中心軸を有する筒状である。ハウジング本体221は、好ましくは円筒状であるが、横断面が四角形や六角形等の多角筒状でもよい。第1受圧部222はハウジング本体221の上端を塞ぎ、上下方向に僅かにスライド可能である。第2受圧部223はハウジング本体221の下端を塞ぎ、ハウジング本体221に固定される。第1受圧部222および第2受圧部223の少なくとも一方がハウジング本体221に対して上下方向にスライド可能であれば、これらのハウジング本体221に対する取り付け方法は適宜変更されてよい。実際には、受圧部のスライド可能量はほぼ0であり、後述するように、ハウジング22は、硬球群21を安定して保持する。第1受圧部222および第2受圧部223は板状には限定されず、ブロック状でも他の形状でもよい。

【0018】
ハウジング22は、硬球同士が接触する集合状態で硬球群21の外周を拘束することにより、硬球群21の配置を固定する。ここで、「硬球同士が接触する集合状態」とは、ハウジング22内の空間に可能な限り密に硬球が配置された状態を意味する。したがって、1つの硬球に注目した場合、当該硬球は周囲に隣接する幾つかの硬球と接触することにより、硬球の位置が固定される。「硬球群21の外周を拘束する」とは、硬球群21の外周全体、すなわち、側方のみならず、上下方向も拘束することを意味する。したがって、硬球群21の外周部に位置する硬球は、隣接する幾つかの硬球と接触するとともにハウジング22の内面とも接触する。これにより、ハウジング22内では、各硬球の位置が固定され、各硬球は移動不可能な状態になっている。

【0019】
ハウジング22が金属で形成される場合は、ハウジング22の内面には絶縁処理が施されたり、内面上に絶縁層が形成される。以下の他の圧力センサにおいても同様である。

【0020】
第1電極23は、第1受圧部222の硬球群21に対向する面上に設けられる。第1電極23は、硬球群21のいずれかの硬球と接し、これにより、硬球群21と電気的に接続される。第2電極24は、第2受圧部223の硬球群21に対向する面上に設けられる。第2電極24は、硬球群21のいずれかの硬球と接し、これにより、硬球群21と電気的に接続される。第1電極23および第2電極24の位置は、互いに異なるのであれば、図1に示す位置には限定されない。換言すれば、第1電極23と硬球群21との接続位置を「第1の位置」と呼び、第2電極23と硬球群21との接続位置を「第2の位置」と呼ぶと、第2の位置は第1の位置とは異なる。好ましくは、第1電極23および第2電極24は、第1受圧部222から第2受圧部223に向かう方向に関してずれて配置される。

【0021】
硬球群21の間の空間は、空気や不活性ガスで満たされていてもよいが、好ましくは、固化状態の樹脂26で満たされる。樹脂26は各硬球に接着する。硬球群21の間に存在する樹脂26により、硬球群21の接触状態を安定させることができる。その結果、測定結果が安定する。好ましくは、樹脂の材料として、金属との接着性が高く、絶縁性も高いエポキシ樹脂が用いられる。硬球群21を樹脂で固定する際には、硬球群21に錘を載せたり、磁石の間に硬球群21を挟み込むことにより、力を作用させた状態で樹脂を固化させる。なお、絶縁材料であれば、硬球群21の間に存在するものは樹脂には限定されない。

【0022】
回路部12は、第1電極23と第2電極24との間の電気抵抗の値を取得する。回路部12は、定電流源31と、電圧計32と、演算回路33とを含む。定電流源31は、ほぼ一定の電流を生成する。電圧計32の両端子は、好ましくは、第1電極23および第2電極24のそれぞれに直接的に接続される。両端子は、第1電極23および第2電極24に近い位置にて電流回路に接続されてもよい。このように、抵抗測定には、いわゆる、4端子測定法が採用される。これにより、第1電極23と第2電極24との間の電圧値が電圧計32により正確に取得される。演算回路33は、汎用コンピュータにより実現されてもよく、専用の電気回路により実現されてもよい。演算回路33は、電圧値を電流値で除算することにより、第1電極23と第2電極24との間の電気抵抗値を取得する。演算回路33は、さらに、予めメモリに準備されたテーブルを参照して、電気抵抗値を土圧値に変換する。

【0023】
圧力センサ11では、第1受圧部222および第2受圧部223が圧力を受けることにより、硬球群21における硬球同士の総接触面積が増大する。その結果、硬球群21の抵抗値が減少する。

【0024】
土圧計1が使用される際には、圧力センサ11は土中に埋設される。測定対象がコンクリートの場合は、圧力センサ11はコンクリート内に埋設される。圧力センサ11の第1受圧部222が受ける圧力は、演算回路33が第1電極23と第2電極24との間の抵抗値を取得することにより求められる。地震や経年変化による圧力変動は、土圧計1からの出力値の変化として検出される。

【0025】
図2は、圧力と硬球群の抵抗との相関性を示す実験結果を示す図である。実験では、硬球としてステンレス鋼製の直径3mmの球を133.3g使用した。硬球を直径60.23mmのリング内に敷き詰め、上から押さえてできるだけ密になるように配置した。その後、エポキシ樹脂をリング内に流し入れ、上から押さえた状態で樹脂を硬化させた。これにより、円柱状の硬球群を得た。なお、硬化時に押さえる力が大きいほど圧力と抵抗との関係が安定することが別途行われた比較実験から分かっている。硬化後、硬球群の電極と接する部分が樹脂から露出するように処理を行った。硬球群を再度リング内にセットし、上下に電極としてアルミ板を配置した。その後、圧密試験機にて一軸方向に圧力を掛けつつ、抵抗測定を行った。

【0026】
抵抗測定では、上下の電極に定電流源と電圧計とを接続し、2Aの電流を流した。圧密試験機に錘を追加していくことにより荷重を漸次増加させる載荷過程と、錘を取り除いていくことにより荷重を漸次減少させる除荷過程とをそれぞれ4回行った。載荷過程では、荷重が2.734kPa、5kPa、15kPa、35kPa、75kPa、155kPa、315kPa、635kPaの段階で抵抗値を求めた。除荷過程では、荷重が315kPa、155kPa、75kPa、35kPa、15kPa、5kPa、2.734kPaの段階で抵抗値を求めた。

【0027】
図2では、載荷過程を実線で、除荷過程を破線にて示している。符号8にて示す点線は近似直線を示す。近似直線の傾きは0.164である。2つの球体が接触する場合に、荷重と接触抵抗とは両対数グラフにおいて線形関係を有することが知られており、図2から多数の硬球が接触する場合も荷重と接触抵抗とは両対数グラフにおいて線形関係を有することが分かる。また、載荷過程と除荷過程との間のずれも十分に小さいことが分かる。このように、硬球群を感圧導電性粒子として用いることにより、座屈の虞や撓みによる精度の低下の問題を有しない新規な圧力センサが実現される。

【0028】
図3は、硬球群を利用する圧力センサの応用例を示す図である。図3は、コーン貫入試験(CPT)に利用されるコーン4を示し、コーン4は地中に打ち込まれる。コーン4の一部は、2次元ジオストレス感知器、すなわち、2次元の圧力センサ41として機能する。実際には、コーン4には、他の様々な検出器が設けられ、コーン4から地中に関する様々な情報が取得される。

【0029】
コーン4の下端は下方に凸となる円錐状である。コーン4の下端よりも上側は円柱状である。コーン4の圧力センサ41として機能する部位の内部には、円柱状の空間220が設けられる。空間220内には硬球群21が収容される。硬球群21の周囲の部位は、硬球群21を収容するハウジング22として機能する。換言すれば、硬球群21はハウジング22内の円柱状の空間220内に配置される。図4は、硬球群21の位置でのコーン4の横断面を示す図である。空間220の中心軸上には、棒状の第1電極23が位置する。第1電極23は硬球群21の中央に位置する。空間220には、中心軸から放射状に広がる3つの絶縁部材25が設けられる。絶縁部材25は、周方向に120度間隔で配置される。絶縁部材25により、硬球群21は、3つの部分硬球群211に分けられる。

【0030】
各部分硬球群211は、硬球同士が接触する集合状態である。すなわち、ハウジング22と絶縁部材25とにより仕切られる空間に可能な限り密に硬球が配置された状態になっている。そして、ハウジング22は、硬球群21の外周を絶縁部材25と共に拘束することにより、硬球群21の配置を固定する。隣接する部分硬球群211の間は、第1電極23を除いて絶縁部材25により電気的に絶縁される。好ましくは、硬球群21および絶縁部材25の間の隙間は樹脂にて固められる。

【0031】
ハウジング22の円筒部分は、受圧部224として機能する。受圧部224の内面上、かつ、絶縁部材25の間のそれぞれの位置に第2電極24が配置される。換言すれば、3つの第2電極24は、空間220の外側面上に位置する。そして、3つの絶縁部材25は、3つの第2電極24の間の位置において、硬球群21を分割する。3つの第2電極24は、3つの部分硬球群211にそれぞれ電気的に接続される。

【0032】
図5は、部分硬球群211に接続される回路部12を示す図である。少なくとも2次元の圧力センサ41と回路部12とにより、2次元の圧力測定装置が構成される。2次元の圧力測定装置は、土中や構造物中等における2次元の応力測定装置でもある。回路部12は、図1と同様の構成が各部分硬球群211に接続された構造を有する。すなわち、3つの定電流源31および3つの電圧計32が設けられ、定電流源31は、第1電極23と各部分硬球群211に接する第2電極24とに接続され、電圧計32も、第1電極23と各部分硬球群211に接する第2電極24とに接続される。演算回路33は、各部分硬球群211の抵抗値を求める。

【0033】
上記構造により、ハウジング22の一部である受圧部224に力が加わると、硬球群21は受圧部224を介して力を受ける。その結果、各部分硬球群211において、第1電極23と第2電極24との間の抵抗値が変化する。なお、受圧部224の変形量はほぼ0である。3つの部分硬球群211の抵抗値により、中心軸に垂直な方向における3方向の応力を取得することができる。3方向の応力を変換することにより、コーン4の周囲の2次元の応力状態、すなわち、互いに垂直な2つの圧縮応力θxx、θyyおよび1つの剪断応力τxyを取得することができる。

【0034】
なお、第2電極24の数は、4以上でもよい。好ましくは、少なくとも3つの第2電極24のそれぞれと第1電極23とを結ぶ直線上には、他の第2電極24は存在しない。予め他の条件が既知である、または、取得したい情報が限定的である場合は、第2電極24の数は2でもよい。第2電極24と同数の絶縁部材25は第2電極24の間の位置に配置される。測定精度を向上させるためには絶縁部材25が存在することが好ましいが、圧力を受ける方向による硬球群21の抵抗の異方性が顕著に表れる場合は、絶縁部材25は省略されてもよい。すなわち、圧力を受けた際に硬球群21に生じる応力鎖に沿って硬球の強い接触が現れ易い場合、電流は応力鎖に沿って流れやすくなる。その結果、応力鎖に沿う方向における硬球群21の抵抗が減少する。

【0035】
図3に示すコーン4が地中に打ち込まれることにより、コーン4の中心軸に垂直な方向における地中の応力状態を取得することができる。従来、地中の2次元の応力状態を取得するには、多数のセンサを使用する必要があり、いずれかのセンサに不具合が生じると測定を行うことができなかった。これに対し、硬球群を利用するセンサを使用することにより、簡単な構造で地中の応力を測定することが可能となる。また、例えば、掘削前にオーバーコアリング法にて地中の応力を測定する場合に比べて、作業が簡素化させる。

【0036】
図6は、硬球群を利用する圧力センサの他の応用例を示す図である。図6の圧力センサ51は、3次元の圧力センサである。圧力センサ51は、半球状のハウジング22を有し、ハウジング22内の半球状の空間220には多数の導電性を有する硬球である硬球群21が配置される。図1や図3の場合と同様に、ハウジング22は、硬球同士が接触する集合状態で硬球群21の外周を拘束することにより、硬球群21の配置を固定する。

【0037】
ハウジング22は、半球の殻状の受圧部225と、厚い板状のベース部226とを含む。受圧部225はベース部226に覆い被さるように配置される。ベース部226の上面中央には第1電極23が配置される。すなわち、第1電極23は半球状の空間220の幾何学的な径方向の中心に位置する。受圧部225の内面の上側の頂部、および、頂部の周囲の6箇所に、第2電極24が配置される。すなわち、第2電極24は、空間200の外周面上に位置する。第2電極24の数は7である。第1電極23および第2電極24は硬球群21に電気的に接続される。

【0038】
硬球群21は樹脂で固められてもよい。図4の場合に準じて、硬球群21が絶縁部材により複数の部分硬球群に分けられ、各部分硬球群は、第1電極23と1つの第2電極24とに電気的に接続されてもよい。これにより、測定精度を向上することができる。

【0039】
第1電極23および7個の第2電極24には、図5の場合に準じて、7個の定電流電源および7個の電圧計を含む回路部に接続される。少なくとも3次元の圧力センサ51と回路部とにより、3次元の圧力測定装置が構成される。3次元の圧力測定装置は、土中や構造物中等における3次元の応力測定装置でもある。演算回路は第1電極23と7個の第2電極24との間の抵抗値を求める。これにより、受圧部225が受ける7方向の圧力、すなわち、圧力センサ51が配置される土中やコンクリート内の応力が求められ、これらの応力を変換することにより、センサ周囲の3次元の応力状態が取得される。なお、圧力を受けた際の受圧部224の変形はほぼ0であり、図1の場合と同様に座屈や撓みの影響の問題は生じない。

【0040】
図7は、硬球群を利用する圧力センサのさらに他の応用例を示す図である。図7の圧力センサ52は、3次元の圧力センサであり、球状である点を除いて図6の圧力センサ51と同様の構造を有する。すなわち、球状のハウジング22を有し、ハウジング22内の球状の空間220には多数の導電性を有する硬球である硬球群21が配置される。ハウジング22は、硬球同士が接触する集合状態で硬球群21の外周を拘束することにより、硬球群21の配置を固定する。

【0041】
ハウジング22は、全体が受圧部として機能する。第1電極23は空間220の中心に位置する。ハウジング22の上半分の3箇所および下半分の4箇所に、第2電極24が配置される。すなわち、第2電極24は、空間200の外周面上に位置する。第2電極24の数は7である。第1電極23と各第2電極24とを結ぶ直線上には他の第2電極24は位置しない。第1電極23および第2電極24は硬球群21に電気的に接続される。

【0042】
硬球群21は樹脂で固められてもよい。図4の場合に準じて、硬球群21が絶縁部材により複数の部分硬球群に分けられ、各部分硬球群は、第1電極23と1つの第2電極24とに電気的に接続されてもよい。これにより、測定精度を向上することができる。

【0043】
第1電極23および7個の第2電極24は、図6の場合と同様に、7個の定電流電源および7個の電圧計を含む回路部に接続される。少なくとも3次元の圧力センサ52と回路部とにより、3次元の圧力測定装置が構成される。3次元の圧力測定装置は、土中や構造物中等における3次元の応力測定装置でもある。演算回路は第1電極23と7個の第2電極24との間の抵抗値を求める。これにより、周囲の7方向の応力が求められ、これらの応力を変換することにより、3次元の応力状態が取得される。圧力を受けた際のハウジング22の変形はほぼ0であり、座屈や撓みの影響の問題は生じない。

【0044】
図6および図7の圧力センサ51,52は、例えば、地中や構造物のコンクリート内に埋設される。これにより、圧力センサは3次元ジオストレス感知器として機能し、静的または動的な力を受けた地盤や構造物中の3次元の応力の変化を検出することが可能となる。例えば、地震荷重を受けた斜面の監視、ダムや堤防内の応力の監視等が可能となる。

【0045】
図4、図6および図7に示す圧力センサでは、第1電極23が1つであるため、従来の1次元の圧力センサを多数配置する場合に比べて、配線の数を削減することができる。従来と比べてセンサの設置作業も簡素化される。

【0046】
上記圧力センサおよび圧力測定装置は様々な変形が可能である。

【0047】
圧力センサの用途は、地中や構造物中の応力測定には限定されない。圧力センサは様々な圧力や荷重の測定に利用可能である。

【0048】
ハウジング22の形状は、上述の形状には限定されない。また、硬球群21の配置を固定することができるのであれば、ハウジング22は密閉構造にも限定されない。ハウジング22は、好ましくは、内面が電気的に絶縁材料で形成された金属である。ハウジング22は、剛性が高い樹脂でもよい。剛性を有し、かつ、硬球群21にハウジング22に作用する外力を伝えることができるのであれば、ハウジング22の材料として様々なものが利用可能である。

【0049】
硬球群21の各硬球は、表面のみが金属の球でもよい。導電性を有するのであれば、硬球は金属には限定されない。

【0050】
第1電極23および第2電極24の配置は様々に変更されてよい。もちろん、第1電極23が配置される第1の位置と、第2電極24が配置される第2の位置とは異なる。好ましくは、第1電極23と第2電極24とを結ぶ直線上に他の第2電極24は配置されない。第1電極23と複数の第2電極24との間の距離は同一である必要はない。また、第1電極23は硬球群21の中心に位置する必要もない。第1電極23の数は2以上でもよい。第2電極24は硬球群21の外周に配置される必要はなく、第2電極24は硬球群21内に配置されてもよい。ただし、第1電極23と第2電極24との間の距離は、硬球の平均半径の少なくとも3倍以上あり、好ましくは、10倍以上1万倍以下である。

【0051】
第1電極23および第2電極24の形状も上記実施の形態に示したものには限定されず、硬球群21と電気的に接続可能であれば、円柱状、針状、板状、膜状等の様々な形態が採用可能である。

【0052】
絶縁部材25の形状も、上記実施の形態から変更可能である。各部分硬球群211が第1電極23および1つの第2電極24と接続可能であれば、絶縁部材25の形状は様々に変更されてよい。絶縁部材25の材料は、好ましくは、樹脂である。また、剛性の高い材料であることが好ましい。絶縁部材25は樹脂以外の絶縁性を有する部材であってもよい。

【0053】
上記実施の形態では、回路部12に4端子測定法が採用されるが、通常の2端子測定法が採用されてもよい。すなわち、第1電極23および第2電極24から離れた位置で電圧計32の両端子が定電流回路に接続されてもよい。

【0054】
上記説明における「上下方向」は説明の便宜上の表現であり、実際に圧力センサやコーンが使用される際の重力方向を基準とする上下方向を示すものではない。

【0055】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る圧力センサは、圧力を測定する様々な分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 土圧計(圧力測定装置)
11,41,51,52 圧力センサ
12 回路部
21 硬球群
22 ハウジング
23 第1電極
24 第2電極
25 絶縁部材
26 樹脂
220 空間
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6