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明細書 :燃料電池システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-149313 (P2019-149313A)
公開日 令和元年9月5日(2019.9.5)
発明の名称または考案の名称 燃料電池システム
国際特許分類 H01M   8/065       (2016.01)
FI H01M 8/065
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2018-033871 (P2018-033871)
出願日 平成30年2月27日(2018.2.27)
発明者または考案者 【氏名】平瀬 育生
【氏名】松本 一希
【氏名】野坂 亮仁
【氏名】平尾 一之
【氏名】永嶋 浩二
【氏名】水沢 厚志
出願人 【識別番号】514313904
【氏名又は名称】ヤマト・H2Energy Japan株式会社
【識別番号】517087417
【氏名又は名称】株式会社DFC
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000822、【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
審査請求 未請求
テーマコード 5H127
Fターム 5H127AB27
5H127AB29
5H127AC18
5H127BA01
5H127BA11
5H127BA17
5H127BA22
5H127BA23
5H127BA24
5H127CC06
5H127CC10
5H127DC82
5H127DC83
5H127DC84
5H127EE01
5H127EE12
要約 【課題】水素ガスを持続的、定量的に発生させ、利便性が高く、安全性が高い低圧域の水素ガスを安定的かつ安価に利用することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】低圧域の水素ガスを供給できる水素ガス供給手段および燃料電池ユニットを少なくとも備える燃料電池システムであって、水素ガス供給手段は、水素ガス発生部と、発生した水素ガスを蓄積する蓄ガス部から構成され、水素ガス発生部は、アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物の水溶液と、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムとを原材料とし、原材料を混合する反応容器と、水素ガス発生を持続的かつ定量的に行うために原材料の一部の供給を制御する供給制御機構と、反応容器を他の反応容器に交換する交換機構を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
低圧域の水素ガスを供給できる水素ガス供給手段および燃料電池ユニットを少なくとも備える燃料電池システムであって、
前記水素ガス供給手段は、
水素ガス発生部と、発生した水素ガスを蓄積する蓄ガス部から構成され、
前記水素ガス発生部は、
アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物の水溶液と、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムとを原材料とし、
又は、
アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物と、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムと、水とを原材料とし、
前記原材料を混合する反応容器と、水素ガス発生を持続的かつ定量的に行うために前記原材料の一部の供給を制御する供給制御機構と、反応容器を他の反応容器に交換する交換機構を有することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記供給制御機構は、スクリュー機構又はピストン機構を有し、前記反応容器内に投入する前記アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムの投入量を調整する第1調整機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記供給制御機構は、前記反応容器内に投入する前記水溶液の投入量を調整する第2調整機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記供給制御機構は、前記反応容器内に滴下する水の滴下量を調整する第3調整機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記交換機構は、前記原材料の混合による化学反応が終了した反応容器を、前記原材料が入った他の反応容器と入れ替え、反応後の残渣物を排出するための残渣排出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記水素ガス供給手段と前記燃料電池ユニットが、接続され一体化されたことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記水素ガス供給手段は、性能劣化原因となる水などの不純物を除去するための不純物除去機構を更に備えたことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記不純物除去機構は、吸着剤として多孔質状ゼオライトを用い、温度上昇と圧力変化により再生可能な再生ユニットを備えたことを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記蓄ガス部は、水素吸蔵合金が内蔵された水素吸蔵合金内蔵容器であることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記水素吸蔵合金内蔵容器から前記燃料電池ユニットへの水素ガスの供給の際に、前記燃料電池ユニットからの排熱を、前記水素吸蔵合金内蔵容器からの水素ガスの放出に利用することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記水素ガス発生部と前記水素吸蔵合金内蔵容器の間、及び、前記水素吸蔵合金内蔵容器と前記燃料電池ユニットの間には、水素ガスの供給量を調整するためのバッファタンクが設けられたことを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記蓄ガス部は、低圧域の水素ガスを貯蔵し得る水素貯蔵タンクであることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記水素ガス発生部は、前記反応容器内の温度制御を行う温度制御機構を更に備えたことを特徴とする請求項1~12の何れかに記載の燃料電池システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧域の水素ガスをエネルギー源として発電を行う燃料電池システムにおいて、安定性と安全性を高める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーによる発電が行われているが、電力出力が不安定であるという問題がある。また、災害時の非常用電源として、エンジン式発電機が多く用いられているが、騒音や排気ガスの問題がある。そこで、クリーンなエネルギー源として燃料電池が注目されている。
しかしながら、燃料電池を利用する場合には、水素ガスの供給源が必要になる。
従来の燃料電池自動車用の水素ステーションの場合、コンプレッサー(圧縮機)を用いて、蓄圧器に高圧水素ガスを予め充填させて、蓄圧器から燃料電池自動車に水素ガスを充填している(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、水素源として高圧ボンベを利用すると、危険性が高いため、法令規制により設置場所が制約されてしまうという問題がある。そのため、従来の水素ステーションでは、設置や運用のためのコストが高くなるという問題があった。
【0003】
低圧域の水素ガスを、必要となるその場所で発生させ、燃料電池に供給できれば、安全性と利便性を向上させることはできるが、水素ガスの発生には多大なコストがかかるという問題があった。
【0004】
そこで、水とアルミニウムの反応を利用して水素をシート状のアルミニウムを水素発生材料として用いる水素製造装置が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。これによれば、低コストで水素ガスを発生させることができる。
しかしながら、上記特許文献2に開示された水素製造装置では、安定的に水素を連続発生する点については十分な開示がされていないという問題がある。また、水素発生装置と燃料電池を一体として、利便性の高い燃料電池システムを提供するというものでもない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2006-138332号公報
【特許文献2】特開2016-117620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記状況に鑑みて、本発明は、水素ガスを持続的、定量的に発生させ、利便性が高く、安全性が高い低圧域の水素ガスを安定的かつ安価に利用することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の燃料電池システムは、低圧域の水素ガスを供給できる水素ガス供給手段および燃料電池ユニットを少なくとも備える燃料電池システムである。水素ガス供給手段は、水素ガス発生部と、発生した水素ガスを蓄積する蓄ガス部から構成される。水素ガス発生部は、アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物の水溶液と、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムとを原材料とし、または、アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物と、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムと、水とを原材料とし、原材料を混合する反応容器と、水素ガス発生を持続的かつ定量的に行うために原材料の一部の供給を制御する供給制御機構と、反応容器を他の反応容器に交換する交換機構を有する。
本発明の燃料電池システムでは、水素ガス供給手段が、低圧域の水素ガスを供給できることにより安全性が向上する。ここで、低圧域の水素ガスとは、2MPa未満の水素ガスのことである。したがって、低圧域の水素ガスは、例えば1MPa未満の水素ガスでもよく、1MPa未満の低圧域の水素ガスを蓄える容器の場合は、高圧ガス保安法における圧力容器に該当しないため、同法による制約は受けないこととなる。
また、水素ガス供給手段に供給制御機構が設けられることにより、水素ガスを長時間、安定的に発生させることが可能となり、燃料電池ユニットを安定的に稼動することができる。
【0008】
交換機構が設けられることにより、一方の反応容器における反応が終了した場合でも、燃料電池システムの稼動を止めることなく、残渣物の排出や、新たな原材料の反応容器への準備等を行うことができ、安定的に水素ガスを発生させることができる。
交換機構は、例えば、回転台に配置された反応容器を回転させて交換する仕様でもよいし、バルブを開閉することで切替えることでもよい。したがって、例えば、バルブを開閉する方式の交換機構である場合には、反応容器を交換するといった利用方法だけではなく、複数の反応容器を同時に利用して大量の水素ガスを発生させるといった利用方法も可能である。
【0009】
アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物の水溶液の構成としては、アルカリ土類金属系水酸化物である水酸化カルシウムが好適であるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属系水酸化物を用いてもよい。
アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムとしては、厚さ10~14μmのアルミ箔を、一辺が1~12mmの矩形にシュレッダーなどで裁断したものが好適である。
なお、原材料としては、後述する残渣排出手段により排出される残渣物を用いる構成でもよい。
【0010】
本発明の燃料電池システムにおいて、供給制御機構は、スクリュー機構又はピストン機構を有し、反応容器内に投入するアルミニウム片又はシート状アルミニウムの投入量を調整する第1調整機構を備えたことが好ましい。
原材料を一度に混合してしまうと、瞬間的には水素ガスが大量に発生するが、その後短時間で発生量は減少し、長時間安定的に水素ガスを発生させることは困難である。
供給制御機構は、アルミニウムを投入する量を調整できるだけではなく、投入する時間的間隔を調整することもできる。
したがって、第1調整機構を設けることにより、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムを少しずつ投入して、長時間安定的に水素ガスを発生させるといったことが可能である。
【0011】
本発明の燃料電池システムにおいて、供給制御機構は、反応容器内に投入するアルカリ土類金属系水酸化物又はアルカリ金属系水酸化物の水溶液の投入量を調整する第2調整機構を備えたことが好ましい。
ここで、第2調整機構は、水酸化カルシウムなどの水溶液の投入量を調整できるだけではなく、投入する時間的間隔を調整することもできる。これにより、長時間・安定的に水素ガスを発生させることができる。
なお、水酸化カルシウムなどの水溶液を、一定の間隔で投入する場合には、水温が低下し、反応率が低下することが考えられる。そこで、効率的に水素ガスを発生させるため、水酸化カルシウムなどの水溶液を更に昇温して投入するための機構が更に設けられることが好ましい。
【0012】
本発明の燃料電池システムにおいて、供給制御機構は、反応容器内に滴下する水の滴下量を調整する第3調整機構を備えたことでもよい。
100W程度の電力を発生させる比較的小型の燃料電池システムにおいては、上記のように、アルカリ土類金属系水酸化物もしくはアルカリ金属系水酸化物の何れかと、アルミニウム片もしくはシート状アルミニウムとの混合物に、水を滴下する方式を採用することも可能である。水を滴下する方式は、アルミニウム片などを投入する方式よりも、投入量の調整が容易であるため、低コストで装置を製造することが可能となる。
【0013】
本発明の燃料電池システムにおいて、交換機構は、原材料の混合による化学反応が終了した反応容器を、原材料が入った他の反応容器と入れ替え、反応後の残渣物を排出するための残渣排出手段を更に備えることが好ましい。
これにより、反応に使用していない反応容器から残渣物を排出することができ、水素ガス供給手段の稼動を止めることなく、残渣物の排出が可能となり、安定的な水素ガスの発生が可能となる。
【0014】
本発明の燃料電池システムは、水素ガス供給手段と燃料電池ユニットが接続され一体化されたことが好ましい。
水素ガス供給手段と燃料電池ユニットが接続され一体化されることにより、水素ステーションを必要とせず燃料電池を利用できるため、利便性の高いシステムとなる。
【0015】
本発明の燃料電池システムにおいて、水素ガス供給手段は、性能劣化原因となる水などの不純物を除去するための不純物除去機構を更に備えたことが好ましい。
不純物除去機構が設けられることにより、純度の高い水素ガスを燃料電池ユニットに供給できる。また、蓄ガス部などの性能の劣化を防止することにも役立つ。
【0016】
本発明の燃料電池システムにおける不純物除去機構は、吸着剤として多孔質状ゼオライトが用いられ、温度上昇と圧力変化により再生可能な再生ユニットを備えることでもよい。多孔質状ゼオライトとして、例えばモレキュラーシーブを用いることができる。モレキュラーシーブとは、ゼオライトの一種であり、多孔質の空孔に分子を吸着するものであり、粉末状やペレット状に成型したものが好適に用いることができる。特に水分子を強く吸着する。
ここで、再生ユニットは、燃料電池ユニットにおける発電の際に発生する熱を利用したものでもよいし、水素製造の際に発生する熱を利用したものでもよい。
【0017】
本発明の燃料電池システムにおいて、蓄ガス部は、水素吸蔵合金が内蔵された水素吸蔵合金内蔵容器あるいは低圧の水素貯蔵タンクであることでもよい。
水素吸蔵合金は、例えば、1MPa未満の低圧域で充填したとしても、結果的に、35MPa相当の圧力の水素を貯蔵することが可能であり、燃料電池ユニットの稼働時間を増加させることができ、また、省スペース性を高めることもできる。
【0018】
ここで、水素吸蔵合金には、既に公知の水素吸蔵合金を用いることができ、例えば、希土類元素、ニオブ、ジルコニウムに対して触媒効果を持つ遷移元素(ニッケル、コバルト、アルミニウムなど)を含む合金(AB型)、チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケルなどの遷移元素の基合金(AB型)、マグネシウム基合金(Mg合金)やバナジウム基合金(V系合金)、チタン-鉄系の金属間化合物の基合金(Ti-Fe系)などを用いることができる。
【0019】
本発明の燃料電池システムにおいて、蓄ガス部が水素吸蔵合金内蔵容器である場合には、水素吸蔵合金内蔵容器から燃料電池ユニットへの水素ガスの供給の際に、燃料電池ユニットからの排熱を、水素吸蔵合金内蔵容器からの水素ガスの放出に利用することでもよい。
燃料電池ユニットからの排熱を利用することで、効率的に水素ガスを放出させることができる。
【0020】
本発明の燃料電池システムにおいて、蓄ガス部が水素吸蔵合金内蔵容器である場合には、水素ガス発生部と水素吸蔵合金内蔵容器の間、及び、水素吸蔵合金内蔵容器と燃料電池ユニットの間には、水素ガスの供給量を調整するためのバッファタンクが設けられたことが好ましい。
水素ガス発生部における水素ガスの発生速度と水素吸蔵合金内蔵容器における水素ガスの吸蔵速度や、水素吸蔵合金内蔵容器における水素ガスの放出速度と燃料電池ユニットにおける水素ガスの使用速度は必ずしも一致するとは限らないため、流量調整を可能としたものである。
【0021】
本発明の燃料電池システムにおいて、水素ガス発生部は、反応容器内の温度制御を行う温度制御機構を更に備えたことが好ましい。
温度制御機構は、水素ガス発生部において水素を発生させる際に、反応容器や原材料容器内にある水や水溶液を、水素ガスを発生させるための最適な温度に保つためのものである。これにより、安全かつ効率的に水素ガスを発生させることが可能となる。
温度制御機構には、加温手段や冷却手段を含み、例えば、反応容器の水素出口配管を、原材料容器から反応容器への原材料の投入に使用する配管の一部に巻き付けるなどして、加温手段としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の燃料電池システムによれば、水素ガスを持続的、定量的に発生させ、利便性が高く、安全性が高い低圧域の水素ガスを安定的かつ安価に燃料電池に利用できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の燃料電池システムの機能ブロック図
【図2】実施例1の燃料電池システムのシステム構成図
【図3】実施例1の水素ガス発生装置のイメージ図
【図4】実施例1の第1調整機構の説明図
【図5】実施例1の燃料電池システムのイメージ図
【図6】実施例2の水素ガス発生装置のイメージ図
【図7】実施例3の水素ガス発生装置のイメージ図
【図8】実施例4の燃料電池システムのシステム構成図
【図9】水素吸蔵時の水素吸蔵合金内蔵容器の冷却イメージ図
【図10】水素放出時の水素吸蔵合金内蔵容器の加温イメージ図
【図11】ピストン機構を用いた第1調整機構の説明図
【図12】スクリュー機構を用いた第1調整機構の説明図
【図13】従来の水素ガス発生装置のイメージ図

【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0025】
(水素ガス発生方法)
まず、水素ガスの発生方法について説明する。図13は、従来の水素ガス発生装置のイメージ図を示している。図13に示すように、水素ガス発生装置33は、反応容器60及び原材料容器70から成る。反応容器60は、上部に開閉式の蓋部60aが設けられた箱状を呈しており、反応容器60の内部には、アルミ箔15a及び水酸化カルシウム14が備えられている。原材料容器70の内部には、水13が備えられている。
図13に示すように、従来の水素ガス発生装置は、蓋部60aを開けた状態で容器70から水13を流し込み、蓋部60aを閉じて化学反応を起こし、水素ガスを発生させる構造である。なお、反応容器60の側部には排出孔60bが設けられており、発生した水素ガスを排出することができる。
このように、水13、水酸化カルシウム14及びアルミ箔15aを用いて水素ガスを発生させる原理については、以下の実施例において共通である。
【0026】
(使用するアルミニウムについて)
使用するアルミニウムについては、まず、アルミニウム粉末を用いて、水素発生を行った。条件としては、アルミニウム粉末12g、水酸化カルシウム48g、水216mLを用いて、反応温度を10℃、20℃、40℃及び60℃に設定し、240分間水素ガスの発生量を計測した。なお、計測においては攪拌を行った。
計測の結果、反応温度を10℃に設定した場合の反応率は53%であった。また、反応温度を20℃に設定した場合の反応率は51%、反応温度を40℃に設定した場合の反応率は26%であり、反応温度を60℃に設定した場合の反応率は僅か9%という結果であった。
計測においては、反応温度を上げると水素の瞬間発生量は大きくなり、ピークに達する時間が短縮されるものの、反応率が低下することが判った。このような傾向は、攪拌方法を改善しても変わらなかった。これは、反応温度が60℃であったアルミニウム粉末では、粒子の表面のみが反応し、表層から2層目に水を遮断する層(ベーマイト層)が形成され、反応が停止してしまうからである。
【0027】
以下の実施例においては、アルミニウム粉末ではなくアルミ箔を用いた。アルミ箔は、アルミニウム粉末よりも表面積が小さく、水素ガスの発生をコントロールしやすいため、長時間継続的に水素ガスを発生させるのに適しているからである。
また、アルミニウム粉末の場合、目開きが150μmの網ふるいを50%以上通過するものは、粉塵爆発の危険性が高く、消防法上の第2類危険物に該当することになるが、その点、アルミ箔は第2類危険物に該当せず、安全性が高いという利点もある。したがって、アルミ箔を利用した水素ガス発生装置を使用するシステムは、幅広い場所で設置・運用が可能である。
さらに、アルミ箔の厚みは11~12μmであり、これは家庭用に用いられる一般的なアルミ箔と同じ厚みであるため、入手が容易であるという利点もある。
以下の実施例では、帯状のアルミ箔を、縦横が2mm×6~10mmのサイズに裁断したものを使用している。
【実施例1】
【0028】
図1は、実施例1の燃料電池システムの機能ブロック図を示している。図1に示すように、燃料電池システム1は、水素ガス供給手段2及び燃料電池ユニット5から成り、水素ガス供給手段2と燃料電池ユニット5は接続され一体となっている。
水素ガス供給手段2は、水素ガス発生部3、不純物除去機構11、温度制御機構12及び蓄ガス部4から成る。水素ガス発生部3には、反応容器6、原材料容器7、供給制御機構8、交換機構9及び残渣排出手段10が設けられている。
燃料電池システム1は、水素ガス発生部3において、温度制御機構12を用いて反応容器6や原材料容器7の内部の温度調整を行いながら、供給制御機構8を用いて原材料容器7から反応容器6へ原材料を投入し、予め反応容器に入れられた原材料と化学反応させることにより、水素ガスを発生させる。
発生した水素ガスは、不純物除去機構11によって、水などの不純物が除去され、蓄ガス部4において流量調整された後、燃料電池ユニット5に送られ、発電に利用される。
【0029】
図2は、実施例1の燃料電池システムのシステム構成図を示している。図2に示すように、燃料電池システム1は、水素ガス発生装置30、不純物除去装置110、温度コントロールデバイス120、水素ガスボンベ40及び燃料電池ユニット5から成る。すなわち、図1で示した水素ガス発生部3として水素ガス発生装置30が設けられている。また、不純物除去機構11として不純物除去装置110、温度制御機構12として温度コントロールデバイス120、蓄ガス部4として水素ガスボンベ40が設けられている。
【0030】
温度コントロールデバイス120は、水素ガス発生装置30において水素を発生させる際に、反応容器や原材料容器内にある水や水溶液を、水素ガスを発生させるための最適な温度に保つための機器である。これにより、安全かつ効率的に水素ガスを発生させることが可能となる。温度コントロールデバイス120は、水素ガス発生装置30に外付けされているが、水素ガス発生装置30に内蔵されていてもよい。
【0031】
水素ガス発生装置30と水素ガスボンベ40の間には、不純物除去装置110が設けられている。不純物除去装置110は、水素ガス発生装置30において発生した水素ガスから水などの不純物をゼオライト(モレキュラーシーブ)により取り除き、純度の高い水素ガスを水素ガスボンベ40へと供給する役割を果たしている。
【0032】
燃料電池システム1において、燃料電池ユニット5に水素ガスを供給する際は、温度コントロールデバイス120を用いつつ、水素ガス発生装置30において水素ガスを発生させ、不純物除去装置110により不純物を取り除いた後、水素ガスボンベ40を介して燃料電池ユニット5へと供給する。
このように、燃料電池システム1は、予め水素ガスボンベに蓄えられた水素ガスを燃料電池ユニットに供給するものではなく、水素ガスを供給するその場所で水素ガスを発生させて供給する構造であるため、安全性が高く、移動可能な装置として設計することも可能である。また、二酸化炭素が発生しない水素発生源であるため、環境にも配慮した装置であるといえる。
【0033】
ここで、水素ガス発生装置30の具体的な構造について、図3を参照しながら説明する。
図3は、実施例1の水素ガス発生装置のイメージ図を示している。図3に示すように、水素ガス発生装置30には、反応容器(6a,6b)、原材料容器(7a,7b)、第1調整機構8a、第2調整機構8b、交換機構9a及び残渣排出手段10が設けられている。第1調整機構8a及び第2調整機構8bは、図1に示す供給制御機構8に備えられたものである。なお、説明の都合上、発生した水素ガスの排出口などは図示していない。
原材料容器7aの内部には、水13と水酸化カルシウム14の混合物が入れられており、原材料容器7bの内部には、裁断されたアルミ箔15が入れられている。水素ガスを発生させる際には、水13と水酸化カルシウム14の混合物とアルミ箔15を反応容器6aに投入して、化学反応を起こすことにより、水素ガスが発生する。その際には、ここでは図示しないが、化学反応を促進するために攪拌装置により攪拌が行われる。
【0034】
(アルミニウムの投入量調整)
前述したように、アルミ箔15はアルミニウム粉末よりも表面積が小さく、水素ガスの発生をコントロールしやすいが、アルミ箔15であっても一度に大量に投入すると、一時的に水素ガスの発生量は増大するが、短時間で水素ガスの発生が終了してしまう。水素ガスを安定的に燃料電池ユニット5に供給するためには、水素ガスを安定的に連続発生させることが必要となる。そのため、第1調整機構8aにより投入量を調整し、一定の間隔でアルミ箔15を投入し、連続的に水素ガスを発生させる。
【0035】
(アルミニウムの投入条件)
用いた反応容器6aは、容量33Lの耐圧容器である。前提として、反応容器6a内に水酸化カルシウム14が480g、80℃の水2000mLを投入し、その後、アルミ箔15を40g投入して、1.1kW燃料電池の発電に必要な13L/minが得られる条件を設定した。結果、約13分後には、反応率は100%となり、積算水素発生量は58.8Lとなった。
【0036】
(第1調整機構について)
一定間隔でアルミ箔15を投入するために用いた第1調整機構8aについて、図4を参照しながら説明する。
図4は、実施例1の第1調整機構の説明図であり、(1)は外観図、(2)は構造図を示している。図4(1)に示すように、第1調整機構8aは、第1調整機構本体81、ピストン部(82,83)及びアルミニウム投入口84から成る。ピストン部82にはピストン82aが設けられており、ピストン部83にはピストン83aが設けられている。
アルミ箔15を投入する際には、アルミニウム投入口84からアルミ箔15を投入し、ピストン82aを手動又は自動で左方から右方へ移動させて、アルミ箔15を右方へと移動させる。その後、ピストン83aを手動又は自動で上方から下方へ移動させて、アルミ箔15を下方へと移動させる。
【0037】
図4(2)に示すように、第1調整機構本体81の内部には弁81aが設けられている。ピストン(82a,83a)の稼動により、弁81aは上方から下方へと移動し、弁が開いた状態となる。アルミ箔15を投入した後は、ピストン83aを手動又は自動で下方から上方へ移動させて元の状態に戻す。また、同様に、ピストン82aを手動又は自動で右方から左方へ移動させて元の状態に戻す。第1調整機構本体81の内部には弁81aが設けられているため、ピストン(82a,83a)を戻す際には、弁81aは下方から上方へと移動し、弁が閉じた状態となるため、発生した水素ガスの漏出等を防止できる構造となっている。
【0038】
(アルミニウム投入量調整による水素ガス連続発生について)
上記第1調整機構8aを用いて、一定間隔でアルミ箔15を投入し、連続的に水素ガスを発生させた。
まず、反応容器6aに、アルミ箔15を50g、水酸化カルシウム14を480g、80℃の水13を2000mL投入した。投入から約4分経過後、第1調整機構8aを用いて、4.8gのアルミ箔15を40秒毎に計19回、反応容器6aに投入した。その結果、水素発生流量13L/min以上を7分30秒程度維持可能であることが判った。なお、反応率は90%、積算水素発生量は164.6Lであった。
【0039】
(水酸化カルシウム及び水の投入量調整を併用した水素ガス連続発生について)
しかしながら、アルミニウムを一定間隔で投入した場合、水酸化カルシウムが不足し流量が低下する場合がある。そこで、アルミニウムだけではなく、水酸化カルシウム及び水についても一定間隔で投入することで、より安定的に水素ガスを発生できるか否かを確認した。
図3に示す第2調整機構8bは、図示しないが、チュービングポンプで水酸化カルシウムと水をサニタリー管に移送するものである。
まず、反応容器6aに、アルミ箔15を50g、水酸化カルシウム14を480g、80℃の水13を1800mL投入した。投入から約4分経過後、第1調整機構8aを用いて、4.8gのアルミ箔15を40秒毎に計30回、反応容器6aに投入した。また、最初の原材料の投入から約4分経過後、第2調整機構8bを用いて、50gの水酸化カルシウム14と200mLの水13の混合物を75秒毎に計15回、反応容器6aに投入した。
その結果、水素発生流量はアルミニウムのみの一定間隔投入の場合に比べて劣ることがわかった。
しかしながら、水素発生時間については、アルミニウムのみの一定間隔投入の場合には、約20分であったが、本計測では約22分であり、水素発生時間を延長できることが判った。なお、本計測での反応率は64%、積算水素発生量は163Lであった。
【0040】
上記のいずれの計測においても、反応容器として、1つの反応容器6aを使用したが、図3に示すように、本実施例の水素ガス発生装置30では反応容器6bも設けている。水素ガス発生装置30には交換機構9aが設けられており、一方の反応容器6aでの反応が終了した場合には、交換機構9aにより、反応容器6bに切替えて、水素ガス発生装置30の稼動を止めることなく、連続的に水素ガスを発生させることが可能である。
すなわち、化学反応が終了した反応容器6aの内部には、反応済みの残渣物が残っているため、反応容器6aに設けられた残渣排出手段10により、反応後の残渣物を排出する必要がある。また、前述の如く、アルミ箔15、水酸化カルシウム14及び水13を一定間隔で投入するシステムにおいても、反応当初においては、ある程度の水酸化カルシウム14及び水13が備えられている必要がある。そこで、反応容器6aでの反応が終了した場合には、直ちにもう一方の反応容器6bに切替えることで、連続的に水素ガスを発生させることができる。
また、反応容器6bでの反応が終了した場合も同様に、交換機構9aにより、反応容器6aに切替えて、水素ガス発生装置30の稼動を止めることなく、連続的に水素ガスを発生させることが可能である。
このように、反応容器における水素ガスの発生が終了すると、直ちに、交換機構9aにより反応容器を切替えることができ、水素ガスを発生させていない方の反応容器について残渣物の処理や新たな原材料の投入といった水素ガス発生の準備やメンテナンスを行うことができるため、安全かつ安定的な水素ガスの連続発生が可能となる。
【0041】
なお、交換機構9aは、反応容器(6a,6b)の切替を行うだけではなく、併用する機能を設けることも可能であり、反応容器(6a,6b)を同時に稼動することにより、より短時間で大量の水素ガスを発生させることも可能である。
【0042】
図5は、実施例1の燃料電池システムのイメージ図を示している。図5に示すように、燃料電池システム1には、反応容器(6a,6b)、原材料容器(7a,7b)、燃料電池ユニット5、不純物除去装置110などが備えられており、水素ガスの発生装置と燃料電池が一体となったシステムである。水素ガスが必要となるその場所で、水素ガスを発生させて、直ぐに燃料電池に利用できるため、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーによる電源と連動させて、長時間のバックアップ用電源として利用できる。また、安全性が高く、法規制が少ないという利点がある。
なお、燃料電池システム1には、上記以外の機器や、各機器の接続部材なども設けられているが、ここでは省略している。
例えば、燃料電池の通信機能により、水素発生システムの状況、すなわち稼働状態、異常アラームなどをネット上で把握することも可能である。また、補助バッテリが設けられており、短時間の電力供給及び燃料電池が完全に立ち上がる間の電力供給を補うことも可能である。
【実施例2】
【0043】
図6は、実施例2の水素ガス発生装置のイメージ図を示している。図6に示すように、水素ガス発生装置31には、反応容器(6c,6d)、原材料容器(7a,7b)、第1調整機構8a、交換機構9a及び残渣排出手段10が設けられている。なお、説明の都合上、発生した水素ガスの排出口等については、図示していない。
反応容器6cには、水13と水酸化カルシウム14の混合物が入れられており、原材料容器7bの内部にあるアルミ箔15を反応容器6cに投入して、水素ガスを発生させる。
【0044】
実施例1と同様に、水素ガスを安定的に連続発生させるために、第1調整機構8aにより投入量を調整し、一定の間隔でアルミ箔15を投入する。また、交換機構9aにより、反応容器6cと反応容器6dを直ちに切替られる点も同様である。
しかしながら、実施例1の水素ガス発生装置30とは異なり、実施例2の水素ガス発生装置31においては、第2調整機構8bは設けられていない。水13と水酸化カルシウム14の混合物の投入は、反応に使用していない反応容器6dにおいて行い、反応容器(6c,6d)を切替えることで、装置の稼動を止めることなく継続的に水素ガスを発生させる構造である。そのため、実施例1における水素ガス発生装置30よりも設置コストを低減できるという利点がある。
【実施例3】
【0045】
図7は、実施例3の水素ガス発生装置のイメージ図を示している。図7に示すように、水素ガス発生装置32には、反応容器(6e,6f)、原材料容器7a、第3調整機構8c及び交換機構9bが設けられている。
反応容器6eには、水酸化カルシウム14とアルミ箔15の混合物が入れられており、原材料容器7aの内部にある水13を反応容器6e内に滴下して、水素ガスを発生させる構造である。また、同様に、反応容器6fにも、水酸化カルシウム14とアルミ箔15の混合物が入れられている。なお、アルミ箔15の形状については、実施例1と同様のものを用いているが、帯状のアルミ箔でもよい。
【0046】
反応容器(6e,6f)は、取り外し可能な燃料カートリッジとなっている。そのため、交換機構9bの構造は、実施例1の水素ガス発生装置30における交換機構9aとは異なる。すなわち、実施例3の水素ガス発生装置32の稼動時には、実施例1の水素ガス発生装置30のように、水素ガスを発生させていない反応容器に原材料を充填したり、残渣物を排出したりするのではなく、予めアルミ箔15と水酸化カルシウム14が充填された燃料カートリッジを交換する形で反応容器の切替が行われる。したがって、反応容器(6e,6f)には、残渣排出手段10が設けられていない。なお、交換機構9bは、交換機構9aと同様に、反応容器(6e,6f)の切替を行うだけではなく、併用する機能を設けることも可能であり、反応容器(6e,6f)を同時に稼動することにより、より短時間で大量の水素ガスを発生させることも可能である。
【0047】
実施例1又は2における水素ガス発生装置(30,31)は、500W以上の出力が求められる燃料電池システムにおいて主に利用されるものであるのに対して、本実施例における水素ガス発生装置32は、最大出力が100W程度の比較的小型の燃料電池システムにおいて主に利用されるものである。例えば、実施例2の水素ガス発生装置31におけるアルミ箔15の投入量を調整する第1調整機構8aに比べて、本実施例の水素ガス発生装置32における水13の滴下量を調整する第3調整機構8cは、流量調整を行うだけでよいため、構造が容易であり、低コストで水素ガス発生装置32を作製することができる。
【実施例4】
【0048】
図8は、実施例4の燃料電池システムのシステム構成図を示している。図8に示すように、燃料電池システム100では、蓄ガス部4として水素吸蔵合金内蔵容器41が設けられている。また、水素ガス発生装置30で発生した水素ガスは、水素吸蔵合金内蔵容器41に吸蔵される前に、一旦バッファタンク16aにおいて流量調整され、水素吸蔵合金内蔵容器41から放出された後も、バッファタンク16bにおいて流量調整され、燃料電池ユニット5に送られる構造となっている。これは、水素ガス発生装置30における水素ガスの発生速度と水素吸蔵合金内蔵容器41における水素ガスの吸蔵速度や、水素吸蔵合金内蔵容器41における水素ガスの放出速度と燃料電池ユニットにおける水素ガスの使用速度が一致しない場合の流量調整を可能としたものである。
【0049】
また、燃料電池システム100には、燃料電池ユニット5における排熱を利用した加温冷却ユニット17が設けられている。加温冷却ユニット17は、燃料電池ユニット5から発生する熱を冷却するために用いられるだけではなく、水素吸蔵合金内蔵容器41を加温冷却するためにも用いられる。具体的には、水素吸蔵合金内蔵容器41へ水素ガスを充填する際には、加温冷却ユニット17を冷却手段として用いる。これに対して、水素吸蔵合金内蔵容器41から燃料電池ユニット5へ水素ガスを供給する際には、加温冷却ユニット17を加温手段として用いる。
【0050】
加温冷却ユニット17を加温手段及び冷却手段として用いる仕組みについて、図9及び10を参照しながら説明する。なお、説明の都合上、図9及び10においては、バッファタンク(16a,16b)は図示していない。
図9は、水素吸蔵時の水素吸蔵合金内蔵容器の冷却イメージ図を示している。図9に示すように、加温冷却ユニット17は、水素吸蔵合金内蔵容器41の内部及び燃料電池ユニット5の周囲を矢印(17a,17b)に示す循環方向に冷却液が流れる構造となっている。加温冷却ユニット17内を流れる冷却液は、矢印(17a,17b)に示す循環方向いずれの場合にも、同じ冷却液が用いられており、図示しないバルブを開閉することで、流路を変更することができる。
【0051】
具体的には、図9に示すように、水素吸蔵合金内蔵容器41に水素ガス18を充填する場合、水素吸蔵合金内蔵容器41の内部の水素吸蔵合金を冷却し減圧する必要がある。この場合、燃料電池ユニット5の周囲を経由するためのバルブを閉じ、矢印17aに示す循環方向に冷却液を循環させる。バルブを閉じた状態で加温冷却ユニット17を稼動すると、冷却液が循環し、水素吸蔵合金内蔵容器41内の水素吸蔵合金が冷却される。水素吸蔵合金内蔵容器41内の水素吸蔵合金が冷却されると、水素吸蔵合金内蔵容器41内部が減圧され、水素ガス18が水素吸蔵合金に吸着されやすくなる。これにより、水素吸蔵合金内蔵容器41への水素ガス18の充填がなされる。
ここで、外部に(図示しない)恒温槽を設け、矢印17aに示す循環方向の冷却液の循環配管の一部の周囲を取り囲む配管に、恒温槽から一定温度の水を流れ込ませることにより、冷却温度を制御することも可能である。例えば、恒温槽が2種類の温度(50℃,10℃)の水を排出できる場合、50℃の温水ならば、冷却液の温度が上昇し、反対に、10℃の冷水ならば、冷却液の温度が更に下降することになる。このように、恒温槽から一定温度の水を流れ込ませることにより、冷却温度を制御できる。
【0052】
図10は、水素放出時の水素吸蔵合金内蔵容器の加温イメージ図を示している。図10に示すように、水素吸蔵合金内蔵容器41から燃料電池ユニット5へ水素ガス18を供給する場合、水素吸蔵合金内蔵容器41の内部の水素吸蔵合金を加温し昇圧する必要がある。この場合、燃料電池ユニット5の周囲を経由するためのバルブを開け、矢印17bに示す循環方向に、燃料電池ユニット5の周囲及び水素吸蔵合金内蔵容器41の内部を冷却液が循環するようにする。バルブを開けた状態で加温冷却ユニット17を稼動すると、水素吸蔵合金内蔵容器41の内部の水素吸蔵合金だけではなく、燃料電池ユニット5の周囲も冷却液が循環するため、燃料電池ユニット5が稼動する際に発生する熱を冷却液が吸収し、冷却液の温度が上昇し、温かい循環液となって水素吸蔵合金内蔵容器41内の水素吸蔵合金を加温することとなる。水素吸蔵合金内蔵容器41内の水素吸蔵合金が加温されると、水素吸蔵合金内蔵容器41内部が昇圧し、水素ガス18が放出されやすくなる。これにより、水素吸蔵合金内蔵容器41から燃料電池ユニット5への水素ガス18の供給がなされる。上記の構成によると、燃料電池ユニット5からの排熱を、水素吸蔵合金内蔵容器41内の水素吸蔵合金の加温手段として、有効に利用することができる。
ここで、矢印17bに示す循環方向の循環液の循環配管の一部であって、水素吸蔵合金内蔵容器41の入口付近に、循環液の温度調整用のラジエータ(液体の熱を放熱する装置)を設けてもよい。水素吸蔵合金内蔵容器41の内部の水素吸蔵合金の温度を調整し、水素ガス18の放出速度を調整する。
【0053】
なお、上記の加温冷却機能は、水素吸蔵合金内蔵容器41への水素ガス18の充填と、燃料電池ユニット5への水素ガス18の供給のスイッチ(図示せず)の切り替えによって容易に行うことが可能である。
【実施例5】
【0054】
図11は、ピストン機構を用いた第1調整機構の説明図を示している。図11に示すように、第1調整機構8dには、ピストン部85が設けられ、ピストン部85の内部には、ピストン85aが設けられている。ピストン85aには、上下2つのシール部(85b,85c)が設けられており、アルミニウム投入口86から投入されたアルミ箔15は、シール部85bとシール部85cの間に挟まり、ピストン85aを上方から下方へ押し下げることで、密閉性を維持したまま、反応容器6gへ投入される構造である。
【実施例6】
【0055】
図12は、スクリュー機構を用いた第1調整機構の説明図を示している。図12に示すように、第1調整機構8eには、スクリュー部87が設けられ、スクリュー部87には、スクリュー87a及びハンドル87bが設けられている。アルミニウム投入口88からアルミ箔15を投入した状態で、ハンドル87bを自動又は手動で回転させると、スクリュー87aが回転し、一定の量を安定的に反応容器6gに投入することができる構造となっている。
【0056】
(その他の実施例)
(1)不純物除去装置110には、不純物除去機能再生装置が設けられ、燃料電池ユニット5における発電の際に発生する熱を利用した不純物除去装置110の機能の再生を行う構成でもよい。その場合、不純物除去装置110には、吸着カラムと再生カラムが設けられる。
(2)不純物除去装置110には、不純物除去機能再生装置が設けられ、水素製造の際に発生する熱を利用した不純物除去装置110の機能の再生を行う構成でもよい。その場合、不純物除去装置110には、吸着カラムと再生カラムが設けられる。
(3)不純物除去装置110には、不純物除去機能再生装置が設けられ、燃料電池ユニット5における発電の際に発生する熱と、水素製造の際に発生する熱を利用した不純物除去装置110の機能の再生を行う構成でもよい。その場合、不純物除去装置110には、吸着カラムと再生カラムが設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、自然エネルギーを利用した発電のバックアップ用の電源として利用可能である。また、災害時の非常用電源としても利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 燃料電池システム
2 水素ガス供給手段
3 水素ガス発生部
4 蓄ガス部
5 燃料電池ユニット
6,6a~6g,60 反応容器
7,7a,7b,70 原材料容器
8 供給制御機構
8a,8d,8e 第1調整機構
8b 第2調整機構
8c 第3調整機構
9,9a,9b 交換機構
10 残渣排出手段
11 不純物除去機構
12 温度制御機構
13 水
14 水酸化カルシウム
15,15a アルミ箔
16a,16b バッファタンク
17 加温冷却ユニット
17a,17b 矢印
18 水素ガス
30~33 水素ガス発生装置
40 水素ガスボンベ
41 水素吸蔵合金内蔵容器
60a 蓋部
60b 排出口
81 第1調整機構本体
81a 弁
82,83,85 ピストン部
82a,83a,85a ピストン
85b,85c シール部
84,86,88 アルミニウム投入口
87 スクリュー部
87a スクリュー
87b ハンドル
110 不純物除去装置
120 温度コントロールデバイス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12