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明細書 :無線通信システム、無線通信方法および無線基地局

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-010115 (P2020-010115A)
公開日 令和2年1月16日(2020.1.16)
発明の名称または考案の名称 無線通信システム、無線通信方法および無線基地局
国際特許分類 H04W  74/04        (2009.01)
H04W  72/08        (2009.01)
H04W  84/12        (2009.01)
FI H04W 74/04
H04W 72/08 110
H04W 84/12
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2018-127735 (P2018-127735)
出願日 平成30年7月4日(2018.7.4)
発明者または考案者 【氏名】アベセカラ ヒランタ
【氏名】石原 浩一
【氏名】松井 宗大
【氏名】山本 高至
出願人 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100072718、【弁理士】、【氏名又は名称】古谷 史旺
【識別番号】100151002、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 剛之
【識別番号】100201673、【弁理士】、【氏名又は名称】河田 良夫
審査請求 未請求
テーマコード 5K067
Fターム 5K067AA13
5K067CC02
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE22
要約 【課題】複数の無線端末局の同時送信機会を増加させてスループットの向上および遅延時間の短縮を可能にする。
【解決手段】無線基地局は、自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得部と、無線環境情報に基づいて自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループに、無線環境情報に応じて同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御部とを備え、OFDMAによる同時送信を行う無線端末局のグループ化と、各グループの無線端末局に設定するCCA閾値を最適化する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲 【請求項1】
共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) を用いて同時送信する無線通信システムにおいて、
前記無線基地局は、
前記自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得部と、
前記無線環境情報に基づいて前記自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピング部と、
前記無線端末局グルーピング部で生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリング部と、
前記無線端末局グルーピング部で生成された各グループに、前記無線環境情報に応じて前記同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御部と
を備え、
前記各グループの複数の無線端末局は、前記スケジューリング部で調整された送信機会に、前記パラメータ制御部で設定された前記パラメータを用いて前記同時送信を行う構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線環境情報取得部は、前記無線基地局と前記無線端末局との間の信号強度を示すRSSI値を取得する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線端末局グルーピング部は、前記同時送信が可能な無線端末局の台数を上限に、前記RSSI値が近接する複数の無線端末局を同一グループに振り分ける構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記スケジューリング部は、前記各グループに対して所定の順番に前記送信機会を与えるアクセス権をスケジューリングする構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記パラメータ制御部は、前記パラメータとして、同一グループの複数の無線端末局の中から最小の前記RSSI値に対応する当該グループのCCA閾値を算出し、同一グループの複数の無線端末局に同一のCCA閾値を設定する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) を用いて同時送信する無線通信方法において、
前記無線基地局は、
前記自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得ステップと、
前記無線環境情報に基づいて前記自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピングステップと、
前記無線端末局グルーピングステップで生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリングステップと、
前記無線端末局グルーピングステップで生成された各グループに、前記無線環境情報に応じて前記同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御ステップと
を有し、
前記各グループの複数の無線端末局は、前記スケジューリングステップで調整された送信機会に、前記パラメータ制御ステップで設定された前記パラメータを用いて前記同時送信を行う
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
請求項6に記載の無線通信方法において、
前記無線環境情報取得ステップは、前記無線基地局と前記無線端末局との間の信号強度を示すRSSI値を取得する処理を行い、
前記無線端末局グルーピングステップは、前記同時送信が可能な無線端末局の台数を上限に、前記RSSI値が近接する複数の無線端末局を同一グループに振り分ける処理を行い、
前記スケジューリングステップは、前記各グループに対して所定の順番に前記送信機会を与えるアクセス権をスケジューリングする処理を行い、
前記パラメータ制御ステップは、前記パラメータとして、同一グループの複数の無線端末局の中から最小の前記RSSI値に対応する当該グループのCCA閾値を算出し、同一グループの複数の無線端末局に同一のCCA閾値を設定する処理を行う
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) を用いて同時送信する無線通信システムの無線基地局において、
前記自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得部と、
前記無線環境情報に基づいて前記自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピング部と、
前記無線端末局グルーピング部で生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリング部と、
前記無線端末局グルーピング部で生成された各グループに、前記無線環境情報に応じて前記同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御部と
を備え、
前記各グループの複数の無線端末局に対して、前記スケジューリング部で調整された送信機会に、前記パラメータ制御部で設定された前記パラメータを用いて前記同時送信を行わせる構成である ことを特徴とする無線基地局。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)の稠密環境において、各無線局のCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)制御に起因するスループットの低下を改善する無線通信システム、無線通信方法および無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンやスマートフォン等の持ち運び可能で高性能な無線端末の普及により企業や公共スペースだけではなく、一般家庭でもIEEE802.11標準規格の無線LANが広く使われるようになっている。IEEE802.11標準規格の無線LANには、 2.4GHz帯を用いるIEEE802.11b/g/n 規格の無線LANと、5GHz帯を用いるIEEE802.11a/n/ac規格の無線LANがある。
【0003】
IEEE802.11b規格やIEEE802.11g規格の無線LANでは、2400MHzから2483.5MHz間に5MHz間隔で13チャネルが用意されている。ただし、同一場所で複数のチャネルを使用する際は、干渉を避けるためスペクトルが重ならないようにチャネルを使用すると最大で3チャネル、場合によっては4チャネルまで同時に使用できる。
【0004】
IEEE802.11a規格の無線LANでは、日本の場合は、5170MHzから5330MHz間と、5490MHzから5710MHz間で、それぞれ互いに重ならない8チャネルおよび11チャネルの合計19チャネルが規定されている。なお、IEEE802.11a規格では、チャネル当たりの帯域幅が20MHzに固定されている。
【0005】
無線LANの最大伝送速度は、IEEE802.11b規格の場合は11Mbps であり、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格の場合は54Mbps である。ただし、ここでの伝送速度は物理レイヤ上での伝送速度である。実際にはMAC(Medium Access Control )レイヤでの伝送効率が50~70%程度であるため、実際のスループットの上限値はIEEE802.11b規格では5Mbps 程度、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格では30Mbps 程度である。また、伝送速度は、情報を送信しようとする無線局が増えればさらに低下する。
【0006】
一方で、有線LANでは、Ethernet(登録商標)の100Base-T インタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)の普及から、 100Mbps ~1Gbps 級の高速回線の提供が普及しており、無線LANにおいても更なる伝送速度の高速化が求められている。
【0007】
そのため、2009年に標準化が完了したIEEE802.11n規格では、これまで20MHzと固定されていたチャネル帯域幅が最大で40MHzに拡大され、また、空間多重送信技術(MIMO:Multiple input multiple output)技術の導入が決定された。IEEE802.11n規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行うと、物理レイヤでは最大で 600Mbps の通信速度を実現可能である。
【0008】
さらに、2013年に標準化が完了したIEEE802.11ac規格では、チャネル帯域幅を80MHzや最大で 160MHz(または80+80MHz)まで拡大することや、空間分割多元接続(SDMA:Space Division Multiple Access)を適用したマルチユーザMIMO(MU-MIMO)送信方法の導入が決定している。IEEE802.11ac規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行うと、物理レイヤでは最大で約 6.9Gbps の通信速度を実現可能である。
【0009】
また、現在策定中のIEEE802.11ax規格では、上記の20MHz,40MHz,80MHz, 160MHz,80+80MHzのチャネルを細かいサブチャネルに分け、フレームの送受信ができるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) が規定される見込みである。OFDMAを用いると、上記チャネルを細かいサブチャネルに分けてリソースユニット単位で複数の無線局による同時送信が可能となる。さらに、IEEE802.11ax規格では、キャリアセンス閾値(CCA閾値)制御により周辺の他セルからの干渉を抑えつつ通信機会を増大する機能が規定される見込みである(非特許文献1)。
【0010】
IEEE802.11規格の無線LANは、 2.4GHz帯または5GHz帯の免許不要な周波数帯で運用するため、IEEE802.11規格の無線基地局は、無線LANセル(BSS:Basic Service Set )を形成する際に、自無線基地局で対応可能な周波数チャネルの中から1つの周波数チャネルを選択して運用する。
【0011】
自セルで使用するチャネル、帯域幅およびそれ以外のパラメータの設定値および自無線基地局において対応可能なその他のパラメータは、定期的に送信するBeaconフレームや、無線端末から受信するProbe Request フレームに対するProbe responseフレーム等に記載し、運用が決定された周波数チャネル上でフレームを送信し、配下の無線端末および周辺の他無線局に通知することで、セルの運用を行っている。
【0012】
無線基地局において、周波数チャネルや帯域幅およびその他のパラメータの選択および設定方法には、次の4つの方法がある。
(1) 無線基地局の製造メーカで設定されたデフォルトのパラメータ値をそのまま使用する方法
(2) 無線基地局を運用するユーザが手動で設定した値を使用する方法
(3) 各無線基地局が起動時に自局において検知する無線環境情報に基づいて自律的にパラメータ値を選択して設定する方法
(4) 無線LANコントローラなどの集中制御局で決定されたパラメータ値を設定する方法
【0013】
また、同一場所で同時に使えるチャネル数は、通信に用いるチャネル帯域幅によって、 2.4GHz帯の無線LANでは3つ、5GHz帯の無線LANでは2つ,4つ,9つ,または19のチャネルになるので、実際に無線LANを導入する際には無線基地局が自BSS内で使用するチャネルを選択する必要がある(非特許文献2)。
【0014】
チャネル帯域幅を40MHz、80MHz、 160MHzまたは80+80MHzと広くする場合、5GHz帯において同一場所で同時に使えるチャネル数は、チャネル帯域幅が20MHzで19チャネルだったものが、9チャネル、4チャネル、2チャネルと少なくなる。すなわち、チャネル帯域幅が増加するにつれて、使えるチャネル数が低減することになる。
【0015】
使用可能なチャネル数よりもBSS数が多い無線LANの稠密環境では、複数のBSSが同一チャネルを使うことになる(OBSS:Overlapping BSS )。そのため無線LANでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を用いて、キャリアセンスによりチャネルが空いているときにのみデータの送信を行う自律分散的なアクセス制御が使われている。
【0016】
具体的には、送信要求が発生した無線局は、まず所定のセンシング期間(DIFS:Distributed Inter-Frame Space )だけキャリアセンスを行って無線媒体の状態を監視し、この間に他の無線局による送信信号が存在しなければ、ランダム・バックオフを行う。無線局は、引き続きランダム・バックオフ期間中もキャリアセンスを行うが、この間にも他の無線局による送信信号が存在しない場合に、チャネルの利用権を得る。なお、他の無線局による送受信は、予め設定されたキャリアセンス閾値よりも大きな信号を受信するか否かで判断される。チャネルの利用権を得た無線局は、同一BSS内の他の無線局にデータを送信し、またそれらの無線局からデータを受信できる。このようなCSMA/CA制御を行う場合、同一チャネルを使用する無線LANの稠密環境では、キャリアセンスによりチャネルがビジーになる頻度が高くなるためスループットが低下する。したがって、周辺環境をモニタリングし、使用するチャネル、送信電力値、キャリアセンス閾値、減衰値、OFDMAリソースユニット、収容トラヒック量や、環境情報に応じて同時送信の選定などを適切に実施することが重要になる。
【0017】
無線基地局におけるチャネルの選択などの上記パラメータの選択方法は、IEEE802.11標準規格で定まっていないため、各ベンダーが独自の方法を採用している。
【先行技術文献】
【0018】

【特許文献1】特開2017-224949号公報
【0019】

【非特許文献1】Robert Stacey,“Specification Framework for TGax, ”2016年.
【非特許文献2】守倉正博、久保田周治監修、「802.11高速無線LAN教科書」改訂三版、インプレスR&D、2008年3月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
高効率無線LAN規格(IEEE802.11ax)では、OFDMAを用いた複数の無線端末局による同時送信機能と、CCA閾値制御により周辺の他セルからの干渉を抑えつつ通信機会を増大する機能が規定される見込みである。
【0021】
IEEE802.11ax時代において、これらのOFDMAおよびCCA閾値制御の効果を最大限に活かすためには、同時送信を実施する無線端末局の適切な選定と、各々の無線端末局で用いるCCA閾値の適切な設定が重要である。
【0022】
本発明は、OFDMAによる同時送信を行う無線端末局のグループ化と、各グループの無線端末局に設定するCCA閾値を最適化することにより、複数の無線端末局の同時送信機会を増加させてスループットの向上および遅延時間の短縮を可能にする無線通信システム、無線通信方法および無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の発明は、共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMAを用いて同時送信する無線通信システムにおいて、無線基地局は、自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得部と、無線環境情報に基づいて自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループに、無線環境情報に応じて同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御部とを備え、各グループの複数の無線端末局は、スケジューリング部で調整された送信機会に、パラメータ制御部で設定されたパラメータを用いて同時送信を行う構成である。
【0024】
無線環境情報取得部は、無線基地局と無線端末局との間の信号強度を示すRSSI値を取得する構成としてもよい。
【0025】
無線端末局グルーピング部は、同時送信が可能な無線端末局の台数を上限に、RSSI値が近接する複数の無線端末局を同一グループに振り分ける構成としてもよい。
【0026】
スケジューリング部は、各グループに対して所定の順番に送信機会を与えるアクセス権をスケジューリングする構成としてもよい。
【0027】
パラメータ制御部は、パラメータとして、同一グループの複数の無線端末局の中から最小のRSSI値に対応する当該グループのCCA閾値を算出し、同一グループの複数の無線端末局に同一のCCA閾値を設定する構成としてもよい。
【0028】
第2の発明は、共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMAを用いて同時送信する無線通信方法において、無線基地局は、自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得ステップと、無線環境情報に基づいて自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピングステップと、無線端末局グルーピングステップで生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリングステップと、無線端末局グルーピングステップで生成された各グループに、無線環境情報に応じて同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御ステップとを有し、各グループの複数の無線端末局は、スケジューリングステップで調整された送信機会に、パラメータ制御ステップで設定されたパラメータを用いて同時送信を行う。
【0029】
第2の発明の無線通信方法において、無線環境情報取得ステップは、無線基地局と無線端末局との間の信号強度を示すRSSI値を取得する処理を行い、無線端末局グルーピングステップは、同時送信が可能な無線端末局の台数を上限に、RSSI値が近接する複数の無線端末局を同一グループに振り分ける処理を行い、スケジューリングステップは、各グループに対して所定の順番に送信機会を与えるアクセス権をスケジューリングする処理を行い、パラメータ制御ステップは、パラメータとして、同一グループの複数の無線端末局の中から最小のRSSI値に対応する当該グループのCCA閾値を算出し、同一グループの複数の無線端末局に同一のCCA閾値を設定する処理を行う。
【0030】
第3の発明は、共用無線周波数帯上で、無線基地局の自セルに属する複数の無線端末局がOFDMAを用いて同時送信する無線通信システムの無線基地局において、自セルに属する複数の無線端末局の無線環境情報を取得する無線環境情報取得部と、無線環境情報に基づいて自セルに属する複数の無線端末局のグルーピングを行う無線端末局グルーピング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループの送信機会を調整するスケジューリング部と、無線端末局グルーピング部で生成された各グループに、無線環境情報に応じて同時送信に必要なパラメータを算出して設定するパラメータ制御部とを備え、各グループの複数の無線端末局に対して、スケジューリング部で調整された送信機会に、パラメータ制御部で設定されたパラメータを用いて同時送信を行わせる構成である。
【発明の効果】
【0031】
本発明、共用無線周波数帯を用いる無線基地局および無線端末局が密集している環境において、OFDMAによる同時送信が可能な無線端末局のグルーピングを行い、グループごとにCCA閾値を設定しているため、無線端末局における同時送信機会が増加し、スループットが向上する。また、送信機会が増えるため無線端末局のアクセス時間が短くなり、トラヒックの遅延時間が短くなる効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】無線基地局APおよび無線端末局STAの構成例を示す図である。
【図3】無線基地局APの処理手順例を示すフローチャートである。
【図4】無線端末局STAのスケジューリングの例を示す図である。
【図5】本発明による効果を示す計算機シミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の無線通信システムの構成例を示す。
図1において、無線基地局APは、無線端末局STA1~STA6をグルーピングし、グループごとに送信機会を与えるアクセス権のスケジューリングとCCA閾値を設定する。各グループの無線端末局STAは、設定されたスケジューリングとCCA閾値によるアクセス制御を行い、共用無線周波数帯上でOFDMAを用いて同時送信する。以下、無線基地局APにおける無線端末局STAのグルーピングの方法、スケジューリングの方法、およびCCA閾値の設定方法について説明する。

【0034】
図2は、無線基地局APおよび無線端末局STAの構成例を示す。
図2において、無線基地局APは、無線端末局STAとデータ送受信を行う無線通信部11と、自セルに属する無線端末局STAの無線環境情報(RSSIやSINR)を取得する無線環境情報取得部12と、その無線環境情報に基づいて自セルに属する無線端末局STAのグルーピングを行う無線端末局グルーピング部13と、グループごとの送信機会を調整するスケジューリング部14と、グループごとに適切なパラメータ(CCA閾値)を算出して設定するパラメータ制御部15と、キャリアセンスによりアクセス権を獲得するアクセス権獲得部16とにより構成される。

【0035】
無線端末局STAは、無線基地局APとデータ送受信を行う無線通信部21と、無線基地局APから通知されたグルーピング情報、スケジューリング情報、パラメータを保持する無線基地局通知情報保持部22と、そのパラメータを用いたキャリアセンスによりアクセス権を獲得するアクセス権獲得部23と、そのグルーピングおよびスケジューリングに従ってOFDMAを用いた同時送信を行う送信制御部24とにより構成される。

【0036】
図3は、無線基地局APの処理手順例を示す。
図3において、無線基地局APの無線環境情報取得部12は、自セルに属する無線端末局STAの無線環境情報として、無線基地局APと無線端末局STAとの間の信号強度を示すRSSI値を取得する(S1)。

【0037】
次に、無線端末局グルーピング部13は、RSSI値に基づいて自セルに属する無線端末局STAのグルーピングを行う(S2)。まず、グループに所属するSTA台数の上限として、OFDMAにより同時送信可能な台数を設定する。次に、同時送信可能台数を上限に、RSSI値が近接するSTAを同一グループに振り分ける。すなわち、同一グループのSTAのRSSI値は所定の範囲内となり、グループごとにRSSI値の所定の範囲は異なることになる。図1に示す例では、グループ1はSTA1,STA2、グループ2はSTA3,STA4、グループ3はSTA5,STA6となる。ここでは、グループ1,2,3の順にRSSI値は小さくなるが、各グループで同時送信しようとするSTAのRSSI値は所定の範囲内で近接している。

【0038】
次に、スケジューリング部14は、グループごとの送信機会を調整するスケジューリングを行う(S3)。例えば、図4に矢印で示すように、グループ1,2,3の順番に送信機会を与えることにより、グループ間の送信機会の均等化を図る。

【0039】
次に、パラメータ制御部15は、グループごとのパラメータとして、グループに属する無線端末局STAのRSSI値に反比例する、例えばRSSI値の最小値に対応するCCA閾値を算出して設定する(S4)。CCA閾値を調整することにより信号受信感度を変更できる。例えば、CCA閾値を-75dBmに設定すると、-75dBm以上の信号のみを受信することになる。本発明では、各グループに属する全ての無線端末局STAに対して同一のCCA閾値を設定する。

【0040】
ここで、無線基地局APは、各グループに属する全ての無線端末局STAからの信号を正常に受信する必要があるため、設定するCCA閾値は、当該グループの中でAP-STA間のRSSI値が最小の無線端末局STA、すなわち最も受信信号レベルが弱い無線端末局STAに合わせる。

【0041】
各グループの複数の無線端末局STAは、グループごとに設定されるスケジューリングの順番で、無線基地局で算出され通知されたCCA閾値を用いてアクセス制御を行い、送信権を獲得したときに、OFDMAを用いて同時送信する。

【0042】
図5は、本発明による効果を示す計算機シミュレーション結果を示す。
図5において、横軸は無線基地局APの密度、縦軸は無線通信システム全体のスループットである。A1はグルーピングおよびCCA閾値制御を行わない場合であり、A2はランダムグルーピングとグループごとのCCA閾値制御を行う場合であり、A3は本発明によるグルーピングとグループごとのCCA閾値制御を行う場合である。

【0043】
A3の場合は、RSSI値がほぼ同等な無線端末局STAをグループ化し、かつ無線基地局APに近い(RSSI値が大きい)グループほどCCA閾値を大きくするため、同時送信がしやすいパラメータ設定となり、スループットの向上および遅延時間の短縮が可能になる。一方、A2の場合は、グルーピングがランダムのため、グループごとにCCA閾値制御を行っても、同時送信によるスループットの改善効果が小さい。
【符号の説明】
【0044】
11 無線通信部
12 無線環境情報取得部
13 無線端末局グルーピング部
14 スケジューリング部
15 パラメータ制御部
16 アクセス権獲得部
21 無線通信部
22 無線基地局通知情報保持部
23 アクセス権獲得部
24 送信制御部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4