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明細書 :配向体装置及び配向体製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-192668 (P2019-192668A)
公開日 令和元年10月31日(2019.10.31)
発明の名称または考案の名称 配向体装置及び配向体製造方法
国際特許分類 H01F  13/00        (2006.01)
H01F   7/02        (2006.01)
FI H01F 13/00
H01F 7/02 Z
請求項の数または発明の数 20
出願形態 OL
全頁数 27
出願番号 特願2018-079768 (P2018-079768)
出願日 平成30年4月18日(2018.4.18)
発明者または考案者 【氏名】堀井 滋
【氏名】土井 俊哉
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114502、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 俊則
審査請求 未請求
要約 【課題】配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である配向体製造装置及び配向体製造方法を提供する。
【解決手段】材料配置領域12に沿って配置された複数の磁石を有する磁場発生部14が、材料配置領域12に、材料配置領域12に含まれる仮想直線18と平行な基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場を印加する。磁場駆動部16は、材料配置領域12に配置されている材料に印加される磁場を、所定パターンの磁場が基準方向に移動ないし揺動するように変化させる。例えば、定常磁場を印加する磁場発生部14の磁石の少なくとも一部を、材料配置領域12に対して基準方向に往復移動させる。あるいは、磁場発生部14の電磁石又は超電導磁石の通電を制御し、材料配置領域12に印加される磁場を時間の経過に伴って変化させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
配向体を製造するための材料を配置する材料配置領域に沿って配置された複数の磁石を有し、前記材料配置領域に、前記材料配置領域に含まれる仮想直線と平行な基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場を印加する磁場発生部と、
前記材料配置領域に配置されている前記材料に印加される前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる磁場駆動部と、
を備えたことを特徴とする、配向体製造装置。
【請求項2】
前記磁場発生部の前記磁石は、前記磁場発生部の前記磁石に固定された座標系から見ると前記材料配置領域に定常磁場を印加する永久磁石、電磁石又は超電導磁石であり、
前記磁場駆動部は、前記磁場発生部の少なくとも一部の前記磁石を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させるリニア駆動機構を含むことを特徴とする、請求項1に記載の配向体製造装置。
【請求項3】
前記磁場発生部は、
前記材料配置領域に沿って前記基準方向に移動自在に配置された移動体と、
前記材料配置領域を挟んで両側に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、前記基準方向に間隔を設けて配置された複数組の第1の磁石セットと、
前記材料配置領域を挟んで両側に、前記第1の磁石セットとは反対方向に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、互いに隣り合う前記第1の磁石セットの間に配置された第2の磁石セットと、
を有し、
前記リニア駆動機構は、前記磁場発生部の前記移動体を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項2に記載の配向体製造装置。
【請求項4】
互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間に、間隔が設けられ、
前記磁場発生部は、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間の前記間隔に交互に配置され前記移動体に固定された前記磁石である第1及び第2の中間磁石を、さらに有し、
前記第1の中間磁石は、前記第1の中間磁石の内部磁場が、前記第1の中間磁石と隣り合う前記第1の磁石セット側から前記第2の磁石セット側に向かうように配置され、
前記第2の中間磁石は、前記第2の中間磁石の内部磁場が、前記第2の中間磁石と隣り合う前記第2の磁石セット側から前記第1の磁石セット側に向かうように配置されたことを特徴とする、請求項3に記載の配向体製造装置。
【請求項5】
前記リニア駆動機構は、前記基準方向に対し垂直方向から見ると、前記材料配置領域の前記基準方向の両端が、前記磁場発生部の前記磁石の前記基準方向の両端よりも内側に配置されるように、前記磁場発生部の前記移動体を前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項3又は4に記載の配向体製造装置。
【請求項6】
前記磁場発生部は、
前記材料配置領域を挟んで一方側に配置された複数の前記磁石の集合である第1の磁石群と、
前記材料配置領域を挟んで他方側に、それぞれ前記第1の磁石群の前記磁石と対応するように配置された複数の前記磁石の集合である第2の磁石群と、
を有し、
前記リニア駆動機構は、前記磁場発生部の前記第1の磁石群と前記第2の磁石群とのうち少なくとも一方を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項2に記載の配向体製造装置。
【請求項7】
前記第1の磁石群は、前記材料配置領域の一方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含み、
前記第2の磁石群は、前記材料配置領域の他方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含むことを特徴とする、請求項6に記載の配向体製造装置。
【請求項8】
前記第1の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように配置された複数の前記磁石を含み、
前記第2の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように、かつ、前記第1の磁石群の前記磁石と、それぞれ、前記材料配置領域を挟んで互いに向き合い互いに引き合うように配置された複数の前記磁石を含むことを特徴とする、請求項6に記載の配向体製造装置。
【請求項9】
前記磁場発生部の前記磁石は、電磁石又は超電導磁石であり、
前記磁場駆動部は、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石の通電を制御して、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石が前記材料配置領域に印加する前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に往復移動ないし揺動するように変化させる通電制御部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の配向体製造装置。
【請求項10】
前記磁場駆動部は、前記材料が前記材料配置領域に配置されながら前記基準方向に移動するように、前記材料を搬送し、前記材料配置領域を移動している前記材料に印加される磁場を、前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる搬送装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載の配向体製造装置。
【請求項11】
配向体を製造するための材料を材料配置領域に配置し、材料配置領域に沿って配置された複数の磁石を有する磁場発生部を用いて、前記材料配置領域に、前記材料配置領域に含まれる仮想直線と平行な基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場を印加する第1の工程と、
前記材料配置領域に配置されている前記材料に印加される前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる第2の工程と、
を備えたことを特徴とする、配向体製造方法。
【請求項12】
前記第1の工程において、前記磁場発生部の前記磁石が永久磁石、電磁石又は超電導磁石であり、前記磁場発生部の前記磁石に固定された座標系から見ると前記材料配置領域に定常磁場を印加し、
前記第2の工程において、リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の少なくとも一部の前記磁石を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項11に記載の配向体製造方法。
【請求項13】
前記磁場発生部は、
前記材料配置領域に沿って前記基準方向に移動自在に配置された移動体と、
前記材料配置領域を挟んで両側に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、前記基準方向に間隔を設けて配置された複数組の第1の磁石セットと、
前記材料配置領域を挟んで両側に、前記第1の磁石セットとは反対方向に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、互いに隣り合う前記第1の磁石セットの間に配置された第2の磁石セットと、
を有し、
前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の前記移動体を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項12に記載の配向体製造方法。
【請求項14】
互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間に、間隔が設けられ、
前記磁場発生部は、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間の前記間隔に交互に配置され前記移動体に固定された前記磁石である第1及び第2の中間磁石を、さらに有し、
前記第1の中間磁石は、前記第1の中間磁石の内部磁場が、前記第1の中間磁石と隣り合う前記第1の磁石セット側から前記第2の磁石セット側に向かうように配置され、
前記第2の中間磁石は、前記第2の中間磁石の内部磁場が、前記第2の中間磁石と隣り合う前記第2の磁石セット側から前記第1の磁石セット側に向かうように配置されたことを特徴とする、請求項13に記載の配向体製造方法。
【請求項15】
前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記基準方向に対し垂直な方向から見ると、前記材料配置領域の前記基準方向の両端が、前記磁場発生部の前記磁石の前記基準方向の両端よりも内側に配置されるように、前記磁場発生部の前記移動体を前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項12又は13に記載の配向体製造方法。
【請求項16】
前記磁場発生部は、
前記材料配置領域を挟んで一方側に配置された複数の前記磁石の集合である第1の磁石群と、
前記材料配置領域を挟んで他方側に、それぞれ前記第1の磁石群の前記磁石と対応するように配置された複数の前記磁石の集合である第2の磁石群と、
を有し、
前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の前記第1の磁石群と前記第2の磁石群とのうち少なくとも一方を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させることを特徴とする、請求項12に記載の配向体製造方法。
【請求項17】
前記第1の磁石群は、前記材料配置領域の一方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含み、
前記第2の磁石群は、前記材料配置領域の他方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含むことを特徴とする、請求項16に記載の配向体製造方法。
【請求項18】
前記第1の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように配置された複数の前記磁石を含み、
前記第2の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように、かつ、前記第1の磁石群の前記磁石と、それぞれ、前記材料配置領域を挟んで互いに向き合い互いに引き合うように配置された複数の前記磁石を含むことを特徴とする、請求項16に記載の配向体製造方法。
【請求項19】
前記磁場発生部の前記磁石は、電磁石又は超電導磁石であり、
前記第2の工程において、通電制御部を用いて、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石の通電を制御して、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石が前記材料配置領域に印加する前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に往復移動ないし揺動するように変化させることを特徴とする、請求項11に記載の配向体製造方法。
【請求項20】
前記第2の工程において、搬送装置を用いて、前記材料が前記材料配置領域に配置されながら前記基準方向に移動するように、前記材料を搬送し、前記材料配置領域を移動している前記材料に印加される磁場を、前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させることを特徴とする、請求項11に記載の配向体製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、配向体装置及び配向体製造方法に関し、詳しくは、磁場を印加することによって材料中の粒子を配向させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックや高分子などの「非磁性」に分類される粒子を、磁場を印加することよって配向させる磁場配向法が知られている。
【0003】
例えば、図22は、微粒子配向装置101の概略構成を示す側面図である。図22に示すように、微粒子を懸濁させた試料が収容された試料容器102が、チャック115を介して駆動部113の駆動軸113aに接続され、ケーシング111内に配置された磁場発生部112の互いに向き合う磁石112a,112bの間に配置される。試料容器102は、駆動部113から回転が伝達され、回転する。制御部114は、試料容器112が、磁石112a,112bの間の磁場中を180度ごとに一時停止しながら回転するように、駆動部113を制御する。微粒子の互いに直交する三軸を、磁化率の大きい順に第一磁化容易軸、第二磁化容易軸、磁化困難軸とすると、回転・停止の繰り返しによって、磁化困難軸が回転中心線と平行、第一磁化容易軸が静磁場の磁力線と平行、第二磁化容易軸が静磁場の磁力線と垂直になるように配向させることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2012-173042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように回転を伴う場合、回転を停止して試料容器102を着脱する必要があるため、配向体を効率よく製造することが困難である。また、配向体の寸法は、磁石112a,112bの間隔以下にする必要があり、磁石112a,112bの間隔を大きくすると磁場の強度が低下するので、サイズの大きいシート状の配向体を製造することができない。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である配向体製造装置及び配向体製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した配向体製造装置を提供する。
【0008】
配向体製造装置は、(a)配向体を製造するための材料を配置する材料配置領域に沿って配置された複数の磁石を有し、前記材料配置領域に、前記材料配置領域に含まれる仮想直線と平行な基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場を印加する磁場発生部と、(b)前記材料配置領域に配置されている前記材料に印加される前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる磁場駆動部と、を備える。
【0009】
上記構成において、材料配置領域に配置された材料に、方向が変化する磁場を印加して、材料中の粒子を配向させることができる。
【0010】
上記構成によれば、磁場発生部や材料配置領域を基準方向に容易に大きくすることができる。また、仮想直線と直交し材料配置領域と平行な方向(以下、「幅方向」という。)にも、磁場発生部や材料配置領域を容易に大きくすることができる。磁場発生部や材料配置領域を基準方向や幅方向に大きくすると、サイズの大きいシート状の配向体を製造することができ、単位時間あたりの製造量を増やすことができる。
【0011】
また、磁場発生部や磁場駆動部に干渉することなく、配向体製造装置の運転中に材料配置領域に材料を搬入・搬出できるように構成することが容易である。
【0012】
したがって、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。
【0013】
好ましい第1の態様において、前記磁場発生部の前記磁石は、前記磁場発生部の前記磁石に固定された座標系から見ると前記材料配置領域に定常磁場を印加する永久磁石、電磁石又は超電導磁石である。前記磁場駆動部は、前記磁場発生部の少なくとも一部の前記磁石を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に移動させるリニア駆動機構を含む。
【0014】
この場合、磁場発生部の磁石が移動すると定常磁場が移動することを利用して、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させる磁場を印加することできる。
【0015】
好ましくは、前記磁場発生部は、(i)前記材料配置領域に沿って前記基準方向に移動自在に配置された移動体と、(ii)前記材料配置領域を挟んで両側に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、前記基準方向に間隔を設けて配置された複数組の第1の磁石セットと、(iii)前記材料配置領域を挟んで両側に、前記第1の磁石セットとは反対方向に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、互いに隣り合う前記第1の磁石セットの間に配置された第2の磁石セットと、を有する。前記リニア駆動機構は、前記磁場発生部の前記移動体を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0016】
この場合、材料配置領域が第1磁石セットの磁石間や第2磁石セットの磁石間を通過するときに、磁力線の方向の変動が一時的に停止する静磁場を印加することできる。これにより、磁場配向法の間欠回転や首振り回転で印加される磁場(以下、「回転変調磁場」という。)に相当する磁場を材料配置領域に印加して、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させることが可能である。
【0017】
より好ましくは、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間に、間隔が設けられる。前記磁場発生部は、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間の前記間隔に交互に配置され前記移動体に固定された前記磁石である第1及び第2の中間磁石を、さらに有する。前記第1の中間磁石は、前記第1の中間磁石の内部磁場が、前記第1の中間磁石と隣り合う前記第1の磁石セット側から前記第2の磁石セット側に向かうように配置される。前記第2の中間磁石は、前記第2の中間磁石の内部磁場が、前記第2の中間磁石と隣り合う前記第2の磁石セット側から前記第1の磁石セット側に向かうように配置される。
【0018】
この場合、第1及び第2の中間磁石は、第1の磁石セットの磁石間の領域と第2の磁石セットの磁石間の領域との間の領域に印加される磁場の強度(磁束密度)を、第1及び第2の中間磁石がない場合に比べ、高めることができる。これにより、材料配置領域に印加される磁場の強度の変動を抑制し、配向精度の向上や配向時間の短縮を図ることができる。
【0019】
好ましくは、前記リニア駆動機構は、前記基準方向に対し垂直な方向から見ると、前記材料配置領域の前記基準方向の両端が、前記磁場発生部の前記磁石の前記基準方向の両端よりも内側に配置されるように、前記磁場発生部の前記移動体を前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0020】
この場合、材料配置領域には、磁場発生部が形成する磁場が印加され続ける。
【0021】
好ましくは、前記磁場発生部は、(i)前記材料配置領域を挟んで一方側に配置された複数の前記磁石の集合である第1の磁石群と、(ii)前記材料配置領域を挟んで他方側に、それぞれ前記第1の磁石群の前記磁石と対応するように配置された複数の前記磁石の集合である第2の磁石群と、を有する。前記リニア駆動機構は、前記第1の磁石群と前記第2の磁石群とのうち少なくとも一方を前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0022】
この場合、材料配置領域に配置された材料中の粒子の第1磁化容易軸が基準方向と垂直になるように配向させることが可能である。
【0023】
磁場発生部の第1の磁石群と第2の磁石群との両方を材料配置領域に対して基準方向に往復移動させる場合、一体に往復移動させても、第1の磁石群第2の磁石群とを互いに逆方向に往復移動させても、第1の磁石群と第2の磁石群とを同じ方向に異なる速度で往復移動させてもよい。
【0024】
好ましくは、前記第1の磁石群は、前記材料配置領域の一方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。前記第2の磁石群は、前記材料配置領域の他方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。
【0025】
この場合、材料配置領域に配置された材料に磁石を接近させて磁場の強度を高め、効率よく配向させることができる。また、材料配置領域に垂直かつ基準方向と平行な面内において方向が変わる磁場を印加して、3軸配向させることが可能である。
【0026】
好ましくは、前記第1の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。前記第2の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように、かつ、前記第1の磁石群の前記磁石と、それぞれ、前記材料配置領域を挟んで互いに向き合い互いに引き合うように配置された複数の前記磁石を含む。
【0027】
この場合、材料配置領域に二次元的又は三次元的に方向が変わる磁場を印加することができる。
【0028】
好ましい第2の態様において、前記磁場発生部の前記磁石は、電磁石又は超電導磁石である。前記磁場駆動部は、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石の通電を制御して、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石が前記材料配置領域に印加する前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に往復移動ないし揺動するように変化させる通電制御部を含む。
【0029】
この場合、磁場発生部の電磁石又は超電導磁石を適宜に配置し、通電制御部によって、磁場発生部の電磁石又は超電導磁石が材料配置部に印加する磁場の磁力線の方向を適宜に変えるように制御すると、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させる磁場を印加することができる。
【0030】
好ましい第3の態様において、前記磁場駆動部は、前記材料が前記材料配置領域に配置されながら前記基準方向に移動するように、前記材料を搬送し、前記材料配置領域を移動している前記材料に印加される磁場を、前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる搬送装置を含む。
【0031】
この場合、材料が材料配置領域を移動するときに、材料中の粒子を配向させる磁場を印加することができる。例えば、固定され静止している磁場発生部が形成する所定パターンの磁場を、搬送中の材料が通過するように構成する。
【0032】
なお、上記第1乃至第3の態様を適宜に組み合わせてもよい。例えば、上記第3の態様において、搬送装置よって材料が材料配置領域を基準方向に移動するときに、上記第1の態様のように、磁場発生部の少なくとも一部の磁石を基準方向に移動させるように構成してもよい。
【0033】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した配向体製造方法を提供する。
【0034】
配向体製造方法は、(i)配向体を製造するための材料を材料配置領域に配置し、材料配置領域に沿って配置された複数の磁石を有する磁場発生部を用いて、前記材料配置領域に、前記材料配置領域に含まれる仮想直線と平行な基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場を印加する第1の工程と、(ii)前記材料配置領域に配置されている前記材料に印加される前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる第2の工程と、を備える。
【0035】
上記方法の第2の工程において、材料配置領域に配置された材料に、方向が変化する磁場を印加して、材料中の粒子を配向させることができる。
【0036】
上記方法によれば、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。
【0037】
好ましい第4の態様において、前記第1の工程において、前記磁場発生部の前記磁石が永久磁石、電磁石又は超電導磁石であり、前記磁場発生部の前記磁石に固定された座標系から見ると前記材料配置領域に定常磁場を印加する。前記第2の工程において、リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の少なくとも一部の前記磁石を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0038】
この場合、磁場発生部の磁石が移動すると定常磁場が移動することを利用して、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させる磁場を印加することできる。
【0039】
好ましくは、前記磁場発生部は、(i)前記材料配置領域に沿って前記基準方向に移動自在に配置された移動体と、(ii)前記材料配置領域を挟んで両側に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、前記基準方向に間隔を設けて配置された複数組の第1の磁石セットと、(iii)前記材料配置領域を挟んで両側に、前記第1の磁石セットとは反対方向に互いに引き合うように前記移動体に固定された前記磁石の組み合わせであって、互いに隣り合う前記第1の磁石セットの間に配置された第2の磁石セットと、を有する。前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の前記移動体を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0040】
この場合、回転変調磁場に相当する磁場を材料配置領域に印加して、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させることが可能である。
【0041】
より好ましくは、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間に、間隔が設けられる。前記磁場発生部は、互いに隣り合う前記第1の磁石セットと前記第2の磁石セットとの間の前記間隔に交互に配置され前記移動体に固定された前記磁石である第1及び第2の中間磁石を、さらに有する。前記第1の中間磁石は、前記第1の中間磁石の内部磁場が、前記第1の中間磁石と隣り合う前記第1の磁石セット側から前記第2の磁石セット側に向かうように配置される。前記第2の中間磁石は、前記第2の中間磁石の内部磁場が、前記第2の中間磁石と隣り合う前記第2の磁石セット側から前記第1の磁石セット側に向かうように配置される。
【0042】
この場合、第1及び第2の中間磁石は、第1の磁石セットの磁石間の領域と第2の磁石セットの磁石間の領域との間の領域に印加される磁場の強度(磁束密度)を、第1及び第2の中間磁石がない場合に比べ、高めることができる。これにより、材料配置領域に印加される磁場の強度の変動を抑制し、配向精度の向上や配向時間の短縮を図ることができる。
【0043】
好ましくは、前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記基準方向に対し垂直な方向から見ると、前記材料配置領域の前記基準方向の両端が、前記磁場発生部の前記磁石の前記基準方向の両端よりも内側に配置されるように、前記磁場発生部の前記移動体を前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0044】
この場合、材料配置領域には、磁場発生部が形成する磁場が印加され続ける。
【0045】
好ましくは、前記磁場発生部は、(i)前記材料配置領域を挟んで一方側に配置された複数の前記磁石の集合体である第1の磁石群と、(ii)前記材料配置領域を挟んで他方側に、それぞれ前記第1の磁石群の前記磁石と対応するように配置された複数の前記磁石である第2の磁石群と、を有する。前記第2の工程において、前記リニア駆動機構を用いて、前記磁場発生部の前記第1の磁石群と前記第2の磁石群とのうち少なくとも一方を、前記材料配置領域に対して前記基準方向に往復移動させる。
【0046】
この場合、材料配置領域に配置された材料中の粒子の第1磁化容易軸が基準方向と垂直になるように配向させることが可能である。
【0047】
磁場発生部の第1の磁石群と第2の磁石群との両方を材料配置領域に対して基準方向に往復移動させる場合、一体に往復移動させても、第1の磁石群第2の磁石群とを互いに逆方向に往復移動させても、第1の磁石群と第2の磁石群とを同じ方向に異なる速度で往復移動させてもよい。
【0048】
好ましくは、前記第1の磁石群は、前記材料配置領域の一方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。前記第2の磁石群は、前記材料配置領域の他方の主面に対向し、前記基準方向に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。
【0049】
この場合、材料配置領域に配置された材料に磁石を接近させて磁場の強度を高め、効率よく配向させることができる。また、材料配置領域に垂直かつ基準方向と平行な面内において方向が変わる磁場を印加して、3軸配向させることが可能である。
【0050】
好ましくは、前記第1の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように配置された複数の前記磁石を含む。前記第2の磁石群は、前記材料配置領域のまわりに、螺旋状に並ぶように、かつ、前記第1の磁石群の前記磁石と、それぞれ、前記材料配置領域を挟んで互いに向き合い互いに引き合うように配置された複数の前記磁石を含む。
【0051】
この場合、材料配置領域に二次元的又は三次元的に方向が変わる磁場を印加することができる。
【0052】
好ましい第5の態様において、前記磁場発生部の前記磁石は、電磁石又は超電導磁石である。前記第2の工程において、通電制御部を用いて、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石の通電を制御して、前記磁場発生部の前記電磁石又は前記超電導磁石が前記材料配置領域に印加する前記磁場を、前記所定パターンの磁場が前記基準方向に往復移動ないし揺動するように変化させる。
【0053】
この場合、磁場発生部の電磁石又は超電導磁石を適宜に配置し、通電制御部によって、磁場発生部の電磁石又は超電導磁石が材料配置部に印加する磁場の磁力線の方向を適宜に変えるように制御すると、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させる磁場を印加することができる。
【0054】
好ましい第6の態様において、前記第2の工程において、搬送装置を用いて、前記材料が前記材料配置領域に配置されながら前記基準方向に移動するように、前記材料を搬送し、前記材料配置領域を移動している前記材料に印加される磁場を、前記基準方向に移動ないし揺動するように変化させる。
【0055】
この場合、搬送装置によって、材料が材料配置領域を移動するときに、材料中の粒子を配向させる磁場を印加することができる。例えば、固定され静止している磁場発生部が形成する所定パターンの磁場を通過するように、材料を搬送する。
【0056】
なお、上記第4乃至第6の態様を適宜に組み合わせてもよい。例えば、上記第6の態様において、搬送装置よって材料が材料配置領域を基準方向に移動するときに、上記第4の態様のように、磁場発生部の少なくとも一部の磁石を基準方向に移動させてもよい。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の配向体製造装置の基本構成を示す説明図である。
【図2】図2は配向体製造装置の概略構成を示す斜視図である。(実施例1)
【図3】図3は磁場発生部の要部斜視図である。(実施例1)
【図4】図4は磁場発生部の要部断面図である。(実施例1)
【図5】図5は磁場配向法の間欠回転の説明図である。
【図6】図6(a)は磁場発生部の断面図、図6(b)は磁束密度のグラフ、図6(c)は磁場の方位のグラフである。(実施例1)
【図7】図7(a)は磁場発生部の断面図、図7(b)は磁束密度のグラフ、図7(c)は磁場の方位のグラフである。(実施例1)
【図8】図8は配向体の極点図である(実施例1の試作例1)
【図9】図9は配向体の極点図である(比較例)
【図10】図10は配向体の極点図である(実施例1の試作例2)
【図11】図11は配向体の極点図である(実施例1の試作例3)
【図12】図12は磁場配向法の首振り回転の説明図である。
【図13】図13は磁場発生部の要部斜視図である。(変形例1)
【図14】図14は磁力線分布図である。(変形例1)
【図15】図15(a)は磁場発生部の要部断面図、図15(b)は側面図、図15(c)は平面図、図15(d)は磁力線方向の説明図である。(変形例2)
【図16】図16は磁場発生部の要部断面図である。(変形例3)
【図17】図17は磁場発生部の要部断面図である。(変形例4)
【図18】図18は磁場発生部の透視図である。(実施例2)
【図19】図19は磁場発生部の透視図である。(実施例2)
【図20】図20は配向体製造装置の概略構成を示す説明図である。(実施例3)
【図21】図21は配向体製造装置の概略構成を示す説明図である。(実施例4)
【図22】図22は微粒子配向装置の概略構成を示す側面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

【0060】
図1は、本発明の配向体製造装置10の基本構成を示す説明図である。図1に示すように、配向体製造装置10は、磁場発生部14と、磁場駆動部16とを備える。磁場発生部14は、配向体を製造するための材料(例えば、セラミック等の粒子を含むスラリー)を配置する材料配置領域12に沿って配置された複数の磁石(不図示)を有する。磁場発生部14は、材料配置領域12に、材料配置領域12に含まれる仮想直線18と平行な方向(以下、「基準方向」という。)の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場を印加する。磁場駆動部16は、材料配置領域12に印加される磁場を、所定パターンの磁場が基準方向に移動ないし揺動するように変化させる。

【0061】
配向体製造装置10は、材料配置領域12に配置された材料に、方向が変化する磁場を印加して、材料中の粒子を配向させることができる。

【0062】
例えば、基準方向に基本単位の構成を繰り返すように磁場発生部14を構成すると、磁場発生部14や材料配置領域12を基準方向に容易に大きくすることができる。また、仮想直線18と直交し材料配置領域12と平行な方向(以下、「幅方向」という。図1において紙面垂直方向である。)については、仮想直線18と直交する面内において一様又は略一様な磁場が印加されるように磁場発生部14を構成することで、磁場発生部14や材料配置領域12を容易に大きくすることができる。磁場発生部14や材料配置領域12を基準方向や幅方向に大きくすると、サイズの大きいシート状の配向体を製造することができ、単位時間あたりの製造量を増やすことができる。

【0063】
また、磁場発生部14や磁場駆動部16が、材料配置領域12から基準方向や幅方向に延長された領域と干渉しないように構成することが容易である。そのため、磁場発生部14や磁場駆動部16に干渉することなく、配向体製造装置10の運転中に材料配置領域12に材料を搬入・搬出できるように構成することが容易である。そのため、連続生産したり、バッジ生産(ロット生産)の場合には待ち時間を短縮したりすることができる。

【0064】
したがって、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。

【0065】
以下、具体的な構成を説明する。

【0066】
<実施例1> 実施例1の配向体製造装置10aについて、図2~図8を参照しながら説明する。

【0067】
図2は、配向体製造装置10aの概略構成を示す斜視図である。図2に示すように、配向体製造装置10aは、基台20に材料配置領域12aが設けられ、磁場駆動部であるリニア駆動機構16aを備えている。

【0068】
詳しくは後述するが、磁場発生部14aの磁石(図2では不図示)は永久磁石であり、磁場発生部14aの磁石に固定された座標系から見ると、材料配置領域12aに定常磁場、すなわち、時間が経過しても磁力線の方向や強度が一定である磁場を印加する。磁場発生部14aの磁石に、電磁石や超電導磁石を用い、電磁石や超電導磁石に固定された座標系から見ると、材料配置領域12に定常磁場を印加するように構成してもよい。

【0069】
磁場発生部14aは、磁場発生部14aの磁石によって、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場が形成されるように構成する。リニア駆動機構16aは、磁場発生部14aを、材料配置領域12aに対して、材料配置領域12aに含まれる仮想直線18aと平行な方向、すなわち基準方向に往復移動させる。これにより、リニア駆動機構16aは、材料配置領域12aに印加される磁場を、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場が基準方向に往復移動するように変化させる。

【0070】
材料配置領域12aに配置された材料中の粒子に印加される磁場が適宜に変化すると、粒子を配向させることができる。磁場発生部14aの磁石が材料配置領域12aに配置された材料に接近するように構成すると、材料配置領域12aに印加される磁場の強度を高め、配向精度の向上や配向時間の短縮を図ることができる。

【0071】
リニア駆動機構16aは、磁場発生部14aと回転ホイール22とを、ロッド24を介してリンク結合している。回転ホイール22は、モータ26が回転駆動する。回転ホイール22が矢印23で示す方向に1回転すると、磁場発生部14aは、矢印28で示す範囲を一往復直線移動する。

【0072】
磁場発生部14aを材料配置領域12aに対して基準方向に往復移動させるリニア駆動機構16aは、図2に示した構成に限らず、適宜に構成すればよい。例えば、スライダ・クランク機構、カムとカムフォロア、ラックとピニオン、ウォームとウォーム・ホイール、ボールねじ、ピストン、リニアモータなどを用いて構成することができる。

【0073】
図3は、磁場発生部14aの要部斜視図である。図4は、図3のX-X線に沿って切断した磁場発生部14aの要部断面図である。

【0074】
図3及び図4に示すように、磁場発生部14aは、アルミ等の非磁性材料の一対の側板15a,15bと、天板15s及び底板15tとが矩形状に結合された移動体15を有する。移動体15は、材料配置領域12aに沿って基準方向に移動自在に、基台20に配置されている。移動体15で囲まれた角柱状の中空空間に、材料配置領域12aが配置される。

【0075】
移動体15には、磁石50a,50b,52,54a,54b,56が固定されている。磁石50a,50b,52,54a,54b,56は永久磁石であり、それぞれの内部磁場の磁力線方向を、図4において白抜きの矢印で示している。

【0076】
材料配置領域12aを挟んで両側に互いに引き合うように移動体15に固定された磁石50a,50bの組み合わせは、第1の磁石セット50a,50bである。第1の磁石セット50a,50bは、基準方向(図4において左右方向)に間隔を設けて配置されている。

【0077】
材料配置領域12aを挟んで両側に、第1の磁石セット50a,50bとは反対方向に互いに引き合うように移動体15に固定された磁石54a,54bの組み合わせは、第2の磁石セット54a,54bである。第2の磁石セット54a,54bは、互いに隣り合う第1の磁石セット50a,50b;50a,50bの間に、第1の磁石セット50a,50b;50a,50bと間隔を設けて配置されている。

【0078】
互いに隣り合う第1の磁石セット50a,50bと第2の磁石セット54a,54bとの間に交互に配置され移動体15に固定された磁石52,56は、第1及び第2の中間磁石52,56である。第1の中間磁石52は、第1の中間磁石52の内部磁場の磁力線方向が、第1の中間磁石52と隣り合う第1の磁石セット50a,50b側から第2の磁石セット54a,54b側に向かうように配置されている。第2の中間磁石56は、第2の中間磁石56の内部磁場の磁力線方向が、第2の中間磁石56と隣り合う第2の磁石セット54a,54b側から第1の磁石セット50a,50b側に向かうように配置されている。

【0079】
第1及び第2の中間磁石52,56は、第1の磁石セットの磁石50a,50b間の領域44と第2の磁石セットの磁石54a,54b間の領域40との間の領域42,46に印加される磁場の強度(磁束密度)を、第1及び第2の中間磁石52,56がない場合に比べ、高めることができる。これにより、材料配置領域に印加される磁場の強度の変動を抑制し、配向精度の向上や配向時間の短縮を図ることができる。

【0080】
図4では、第1及び第2の中間磁石52,56が材料配置領域12aの一方側にのみ配置されているが、第1及び第2の中間磁石52,56が材料配置領域12aの両側に配置されてもよい。

【0081】
あるいは、第1及び第2の中間磁石52,56を省略してもよい。この場合、第1の磁石セットの磁石50a,50bと第2の磁石セットの磁石54a,54bとの間に間隔を設けても、設けなくてもよい。

【0082】
例えば、図4において符号Pで示す互いに隣り合う第1の磁石セット50a,50bの基準方向の1ピッチ分の範囲を基本構成とし、この基本構成を基本構成を基準方向に繰り返すように磁場発生部14aを構成すると、磁場発生部14aや材料配置領域12aを基準方向に容易に大きくすることができる。

【0083】
磁場発生部14aが、材料配置領域12aに対して基準方向に往復移動すると、磁場配向法の間欠回転や首振り回転で印加される回転変調磁場に相当する磁場を、材料配置領域12aに印加することが可能である。

【0084】
図5は、磁場配向法の間欠回転の説明図である。図5(a)に示すように、磁場配向法の間欠回転では、互いに引き合うように対向配置された一対の磁石4a,4bの間に試料2を配置し、一対の磁石4a,4bと試料2とを相対的に回転させる。例えば、試料2に固定された座標系x-yからみると、一対の磁石4a,4bは、x軸及びy軸に垂直なz軸を中心に、矢印6a,6bで示す方向に回転し、一対の磁石4a,4bがy軸に重なる180度ごとに、一時的に回転を停止する。

【0085】
図5(b)は、図5(a)で矢印6a,6bで示す方向に半回転したときに試料2に印加される磁場の磁力線の方向をx-y面に矢印で示した図を、時間経過に従ってz軸方向に並べたものを、3次元的に図示している。図5(b)において第1区間8aは、図5(a)に示した状態で一対の磁石4a,4bが一時的に停止しているときに対応する。第2区間8bは、図5(a)で矢印6a,6bで示す方向に一対の磁石4a,4bが回転しているときに対応する。第3区間8cは、図5(a)に示した状態から一対の磁石4a,4bが180度回転し、一時的に停止しているときに対応する。

【0086】
図5(c)は、図5(b)のお各図を、時間経過に従ってx軸方向に並べたときの、各図の矢印を示す。図5(c)に示されている矢印の方向に対応する定常磁場を形成し、この定常磁場の左側に試料2xを配置し、矢印8xで示すように、定常磁場を右から左に直線移動させると、定常磁場が試料2xを通過するときに、試料2xには、図5(a)に示す状態から一対の磁石4a,4bが180度回転する間欠回転の際に試料2に印加される磁場に相当する磁場を、試料2xに印加することができる。

【0087】
図4に示した第2の磁石セット54a,54bは、磁石54a,54b間の領域40に、図5(c)に示した第1区間8aに相当する上向きの磁場を形成する。同様に、第2の中間磁石56は、磁石56に隣接する領域42に、第2区間8bに相当する左向きの磁場を形成し、第1の磁石セット50a,50bは、磁石50a,50b間の領域44に、第3区間8aに相当する下向きの磁場を形成する。図4に示した第1の中間磁石52は、磁石52に隣接する領域46に、図5(a)に示した状態から一対の磁石4a,4bが矢印6a,6bで示す方向に180°から360°の範囲を回転する際に試料2に印加される磁場に相当する左向きの磁場を形成する。

【0088】
図6及び図7に、磁場の二次元解析例を示す。図6(a)及び図7(a)は、二次元解析モデルの断面図であり、基準方向と平行かつ材料配置領域に垂直な磁場発生部の断面を示している。太い矢印が付された矩形部分が磁石であり、太い矢印は内部磁場の磁力線方向を示している。寸法の単位は、mmである。座標原点Oは、下側の磁石群の左上の角である。X軸は基準方向と平行、Z軸は材料配置領域と垂直である。

【0089】
図6(b)及び図7(b)は、Z=1,2,3mmにおける定常磁場の磁束密度の解析結果を示すグラフである。図6(c)及び図7(c)は、Z=1,2,3mmにおける磁場の方位の解析結果を示すグラフである。

【0090】
図6及び図7から、基準方向(X方向)の1ピッチに相当する範囲(図6では、X=15~65mmの範囲、図7では、X=10~70mmの範囲)において、図7(a)の磁石の配列は、図6(a)の磁石の配列に比べ、磁束密度の変動が小さいので、図7(a)の磁石の配列は、磁場配向法の間欠回転で印加される磁場により類似した磁場を印加できる。

【0091】
次に、実施例1の配向体製造装置10aを用いて製造した配向体の試作例1~3について説明する。

【0092】
<試作例1> 試作例1では、2液混合型のエポキシ樹脂の溶媒にDyBaCu粉末を分散させた試料を用いた。材料配置領域に、試料が塗布されたプレートを配置し、図6(a)に示した寸法・配置の永久磁石を有する磁場発生部を、材料配置領域に対して基準方向に、互い隣り合う第1の磁石セットの基準方向の1ピッチ分に相当する範囲(図6(a)に示したX=15mm~65mmの範囲)で、すなわち、ストローク50mmで往復移動させて、試料に磁場を印加した。永久磁石の厚み(図6(a)において紙面垂直方向の寸法)は15mmである。

【0093】
図8に、種々の速度で作製した配向体の(103)極点図を示す。図中に、回転ホイール22の回転速度をωで示し、実質的な回転磁場速度をΩで示し、配向度をFで示している。ω=180rpmは、設備上の上限速度である。

【0094】
比較例として、同じ試料を用い、磁場配向法の間欠回転により、静止時間t=2s、回転時間t=1sの条件で、超電導磁石を用いて約1T(テスラ)の回転変調磁場を印加した。図9に、比較例の配向体の(103)極点図を示す。配向度はF=76.7%である。

【0095】
図8及び図9から、いずれも、4回対称性のピークが認められ、試作例1は、比較例と同様に三軸配向していることが分かる。

【0096】
<試作例2> 試作例2では、スラリーの試料でDyBaCu配向厚膜を作製した。試料として、DyBaCu粉末の含有率が異なる2種類のスラリーを準備し、スラリーの乾燥工程中に磁場を印加した。試料は、いずれも、分散媒はエタノールであり、粘性増強剤として5wt%のポリビニルブチラール(PVB)を含む。試作例1と同じ磁場配向装置を用い、ストロークは50mm、回転ホイール22の回転速度ω=180rpm、実質的な回転磁場速度Ω=521rpmとした。

【0097】
図10に、試作例2の配向体の(103)極点図を示す。図10中に、配向度をFで示している。図10(a)は、20vol%のDyBaCu粉末を含むスラリーの試料を用いた場合である。図10(b)は、30vol%のDyBaCu粉末を含むスラリーの試料を用いた場合である。いずれも、4回対称性のピークが認められ、三軸配向したことが分かる。

【0098】
<試作例3> 試作例3では、2液混合型のエポキシ樹脂の溶媒にDyBaCu粉末を分散させた試料を用い、材料配置領域に、試料が塗布されたプレートを配置し、室温の環境で、図7(a)に示した寸法・配置の永久磁石を有する磁場発生部を往復移動させて配向体を作製した。永久磁石の厚み(図7(a)において紙面垂直方向の寸法)は15mmである。

【0099】
図11に、試作例3の配向体の(103)極点図を示す。図中に、回転ホイール22の回転速度をωで示し、実質的な回転速度をΩで示し、配向度をFで示している。図10(a)は、磁場発生部を、材料配置領域に対して基準方向に、1ピッチ分に相当する範囲(図7(a)において、X=10mm~70mmの範囲)で、すなわち、ストローク60mmで往復移動させて、試料に磁場を印加した。図11(b-1)及び図11(b-2)は、磁場発生部を、1ピッチ分に相当する範囲より狭い範囲で、すなわち、ストローク50mmで往復移動させて、試料に磁場を印加した。図11(a)~図11(c)は、いずれも、4回対称性のピークが認められ、三軸配向したことが分かる。

【0100】
試作例1~3では、磁場発生部を往復移動させるとき、材料配置領域の基準方向の両端が、磁場発生部の磁石の基準方向両端を超えないようにした。すなわち、基準方向に対し垂直な方向から見ると、材料配置領域の基準方向の両端が、磁場発生部の磁石の基準方向の両端よりも内側に配置されるように、磁場発生部を基準方向に往復移動させた。これにより、材料配置領域には、磁場発生部が形成する磁場が印加され続ける。

【0101】
磁場発生部14aを往復移動させるときの片道移動距離は、適宜に選択すればよい。

【0102】
例えば、互いに隣り合う第1の磁石セット50a,50bの基準方向のピッチをP、Nを1以上の整数(自然数)とすると、磁場発生部14aを基準方向に往復移動させるときの片道移動距離Dは、
D=P×N ・・・式(1)
を満たすようにする。式(1)を満たすと、材料配置領域12aには、磁場の強さや磁力線の方向が時間とともに変化する変動磁場が、連続した周期で印加される。

【0103】
実施例1の配向体製造装置10aにおいて、磁場発生部14aを基準軸方向に往復移動せるときの片道移動距離を、P/2より小さくすると、磁場配向法の首振り回転において印加される回転変調磁場に相当する磁場を、材料配置領域12aに印加することが可能である。

【0104】
図12は、磁場配向法の首振り回転の説明図である。図12に示すように、互いに引き合うように対向配置された一対の磁石4s,4tの間に試料2を配置し、一対の磁石4s,4tと試料2とを、矢印6sで示すように、180°より小さい角度範囲で相対的に回転させる。これにより、試料2に印加される磁場の磁力線の方向が、矢印5a,5bで示すように、所定角度範囲内で変化する。

【0105】
<変形例1> 変形例1の磁場発生部14pについて、図13及び図14を参照しながら説明する。変形例1の磁場発生部14pは、実施例1の磁場発生部14aの代わりに用いる。

【0106】
図13は、磁場発生部14pの要部斜視図である。図14は、図13のX-X線で切断した、材料配置領域を含む面における磁力線分布図である。図14において第1及び第2の磁石57a,57bに付した矢印は、磁石57a,57bの内部磁場の磁力線方向を示す。

【0107】
図13及び図14に示すように、磁場発生部14pは、アルミ等の非磁性材料の天板15p及び底板15qの間に、材料配置領域を挟んで両側に第1及び第2の磁石群57p,57qが配置されている。第1及び第2の磁石群57p,57qは、それぞれ、第1及び第2の磁石57a,57bが交互に配置されている。

【0108】
図14に示すように、第1の磁石群57pの第1の磁石57aと、第2の磁石群57qの第1の磁石57aとは、互いに対向する。互いに対向する第1の磁石57aの内部磁場の磁力線方向は、互いに同じ方向であり、それぞれ、基準方向と平行である。第1の磁石57aの内部磁場の磁力線方向は、基準方向に交互に方向が反転する。

【0109】
第1の磁石群57pの第2の磁石57bと、第2の磁石群57qの第2の磁石57bとは、互いに対向する。互いに対向する第2の磁石57bの内部磁場の磁力線方向は、基準方向と垂直、かつ、互いに反対方向である。第2の磁石57bの内部磁場の磁力線方向は、基準方向に交互に方向が反転する。

【0110】
変形例1の磁場発生部14pが、実施例1の磁場発生部14aと同様に、材料配置領域に対して基準方向(材料配置領域に含まれる仮想直線18bと平行な方向)に往復移動すると、材料配置領域と平行な面内において磁力線方向が変化する磁場が印加される。これによって、材料配置領域に配置された材料中の粒子を、第1磁化容易軸が基準方向と平行、磁化困難軸が材料配置領域に対して垂直になるように、3軸配向させることが可能である。

【0111】
<変形例2> 変形例2の磁場発生部14qについて、図15を参照しながら説明する。図15(a)は、磁場発生部14qの要部断面図であり、材料配置領域に垂直、かつ、材料配置領域に含まれる仮想直線18cを含む断面図(基準方向の縦断面図)である。図15(b)は、基準方向から見た磁場発生部14qの側面図である。図15(c)は、図15(a)の線A-Aに沿って鉛直方向下向きに見た平面図であり、磁石58a~58gの内部磁場の磁力線方向を白抜き矢印で示している。図15(d)は、図15(a)の線B-Bに沿って鉛直方向下向きに見た面、すなわち、材料配置領域を含む面における磁力線方向の説明図である。

【0112】
図15(a)及び図15(b)に示すように、変形例2の磁場発生部14qは、実施例1の磁場発生部14aと同様に、材料配置領域の上下に、第1及び第2の磁石群58p,58qが配置されている。第1及び第2の磁石群58p,58qは、それぞれ、磁石58a~58gが配列されている。図15(c)に示すように、磁石58a~58gは、磁石58a~58gの配列の中央から離れるに従って内部磁場の磁力線方向が次第に傾き、両端の磁力線方向が中心よりも30~45度傾くように配置されている。第1の磁石群58pと、第2の磁石群58qとは、基本的に、同じ磁石58a~58gが互いに対向し、内部磁場の磁力線方向も同じになるように配列されている。

【0113】
第1及び第2の磁石群58p,58qの間には、図15(d)に概念的に示すように、磁力線方向が次第に変化する磁場を形成することができる。図15(d)では、磁力線方向を白抜き矢印で示している。鎖線は、磁場発生部14qが材料配置領域に対して基準方向に往復移動するときに、材料配置領域に配置された材料3が対向可能な範囲を示している。磁場発生部14qが材料配置領域に対して基準方向に往復移動すると、材料配置領域と平行な面内において磁力線方向が変化し、材料配置領域に配置された材料3に首振り回転に相当する磁場を印加することができる。

【0114】
<変形例3> 図16は、変形例3の磁場発生部14sの要部断面図である。図16は、材料配置領域12sに垂直、かつ基準方向と平行な断面図である。図16に示すように、磁場発生部14sは、材料配置領域12sの片側に、第1の磁石60と第2の磁石62とが基準方向(図16において左右方向)に交互に並ぶように配置されている。

【0115】
矢印60x,62xは、磁石60,62の内部磁場の磁力線方向を示す。第1の磁石60は、内部磁場が材料配置領域12sに向かうように配置されている。第2の磁石62は、内部磁場が材料配置領域12sから離れるように配置されている。これにより、材料配置領域12sには、矢印60a~60c,62a~62cで示すように、第1及び第2の磁石60,62に対向する基準方向の位置によって方向が異なる磁場が印加される。

【0116】
例えば、磁場発生部14sを、不図示のリニア駆動機構によって材料配置領域12sに対して基準方向に、互いに隣り合う磁石60,62のピッチの半分より小さい範囲で往復移動させると、材料配置領域12sに、磁場配向法の首振り回転において印加される回転変調磁場に相当する磁場を印加することが可能である。

【0117】
<変形例4> 図17は、変形例4の磁場発生部14tの要部断面図である。図17は、材料配置領域12tに垂直、かつ基準方向と平行な断面図である。

【0118】
図17(a)に示すように、磁場発生部14tは、材料配置領域12tを挟んで一方側に互いに間隔を設けて基準方向(図17において左右方向)に並ぶように配置された複数の磁石64aの集合である第1の磁石群64と、材料配置領域12tを挟んで他方側に互いに間隔を設けて基準方向に並ぶように配置された複数の磁石66aの集合である第2の磁石群66とを有する。第1の磁石群64の磁石64aと、第2の磁石群66の磁石66aとは、それぞれが互いに対応するように配置されている。

【0119】
矢印64x,66xは、磁石64a,66aの内部磁場の磁力線方向を示す。第1の磁石群64の磁石64aは、内部磁場が材料配置領域12sから離れるように配置されている。第2の磁石群66の磁石66aは、内部磁場が材料配置領域12sに向かうように配置されている。これにより、材料配置領域12tには、矢印67,68で示すように、基準方向の位置によって方向が異なる磁場が印加される。

【0120】
磁場発生部14sの第1の磁石群64と第2の磁石群66とのうち少なくとも一方を、不図示のリニア駆動によって材料配置領域12sに対して基準方向に往復移動させると、材料配置領域12sに、回転変調磁場に相当する磁場を印加することが可能である。

【0121】
例えば、磁場発生部14tの第1の磁石群64と第2の磁石群66との両方の磁石64a,66aを、基準方向に一体に往復移動させる。

【0122】
あるいは、図17(b)に示すように、磁場発生部14tの第1の磁石群64と第2の磁石群66とのうち一方64のみを、材料配置領域12tに対して基準方向に往復移動させる。この場合、材料配置領域12tに印加される磁場、すなわち、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場は、基準方向に揺動するように変化する。

【0123】
あるいは、図17(c)に示すように、磁場発生部14tの第1の磁石群64と第2の磁石群66との両方を、互いに逆方向に往復移動させる。この場合、材料配置領域12tに印加される磁場、すなわち、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場は、基準方向に揺動するように変化する。

【0124】
あるいは、磁場発生部14tの第1の磁石群64と第2の磁石群66との両方を、同じ方向に、第1の磁石群64と第2の磁石群66とでは異なる速度で往復移動させる。

【0125】
<実施例2> 実施例2の配向体製造装置について、図18及び図19を参照しながら説明する。実施例2では、磁場発生部の磁石が3次元的に配置されている。

【0126】
図18は、実施例2の配向体製造装置の磁場発生部14vを、中心線14xの方向に見た透視図である。図19は、磁場発生部14vを、中心線14xに対して垂直方向から見た透視図である。基準方向は、中心線14xと平行な方向である。

【0127】
図18及び図19に示すように、磁場発生部14vは、材料配置領域12vのまわりに螺旋状に並ぶように配置された複数の磁石70a~70k,70m,70n,70pを含む第1の磁石群70と、材料配置領域12vのまわりに螺旋状に並ぶように配置された複数の磁石72a~72k,72m,72n,72pを含む第2の磁石群72とを有する。第1の磁石群70の磁石70a~70k,70m,70n,70pと、第2の磁石群72の磁石72a~72k,72m,72n,72pとは、それぞれ、材料配置領域12vを挟んで互いに向き合い互いに引き合うように配置されている。例えば、第1の磁石群70の磁石70a~70k,70m,70n,70pは、それぞれの内部磁場が材料配置領域12vに向かうように配置されている。第2の磁石群72の磁石72a~72k,72m,72n,72pは、それぞれの内部磁場が材料配置領域12vから離れるように配置されている。

【0128】
磁場発生部14vの第1の磁石群70の磁石70a~70k,70m,70n,70pと第2の磁石群72の磁石72a~72k,72m,72n,72pとのうち少なくとも一方を、不図示のリニア駆動機構によって材料配置領域12vに対して基準方向に往復移動させて、材料配置領域12vに、二次元的又は三次元的に方向が変化する磁場を印加することが可能である。

【0129】
例えば、磁場発生部14vの第1の磁石群70磁石70a~70k,70m,70n,70pと第2の磁石群70の磁石72a~72k,72m,72n,72pとを、不図示のリニア駆動機構によって、例えば図19で符号Wで示した1ピッチ分の範囲を、材料配置領域12vに対して基準方向に一体に往復移動させる。これにより、材料配置領域12vに印加され磁場は、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場が基準方向に往復移動するように変化する。この場合、材料配置領域12vに印加される磁場の磁力線の方向が二次元的に変化する。すなわち、基準方向に垂直な面(図18の紙面に平行な面)内において磁力線の方向が360度の範囲を正転、逆転する。基準方向と平行に並んでいる第1の磁石群70の磁石70a,70b;70m,70nが基準方向に垂直な面を通過するとき、基準方向に垂直な面内に一時的に静磁場が印加されるようにすることができる。つまり、間欠回転の回転変調磁場に相当する磁場を、材料配置領域12vに印加することができる。

【0130】
磁場発生部14vの第1の磁石群70と第2の磁石群70との一方のみの磁石70a~70k,70m,70n,70p又は72a~72k,72m,72n,72pを、不図示のリニア駆動機構によって材料配置領域12bに対して基準方向に一体的に往復移動させたり、磁場発生部14vの第1の磁石群70と第2の磁石群70との両方の磁石70a~70k,70m,70n,70p;72a~72k,72m,72n,72pを、互いに逆方向に、又は同じ方向に互いに異なる速度で、不図示のリニア駆動機構によって材料配置領域12bに対して基準方向に一体的に往復移動させたりすると、三次元的に方向が変わる磁場を材料配置領域12bに印加することができる。

【0131】
なお、図18及図19には、第1の磁石群70の磁石70a~70k,70m,70n,70pと第2の磁石群72の磁石72a~72k,72m,72n,72pとを、材料配置領域12bの中心線12xから等距離に、かつ中心線12xと垂直に、基準方向に等間隔に三次元配置する場合を図示しているが、これに限るものではない。磁石によって、材料配置領域12bまでの距離や材料配置領域12bに対する角度を変えてもよいし、磁石の並ぶ方向や間隔は適宜に選択すればよい。

【0132】
<実施例3> 実施例3の配向体製造装置について、図20を参照しながら説明する。図20は、配向体製造装置10bの概略構成を示す説明図である。実施例1、2の磁場発生部は定常磁場を形成するが、実施例3の磁場発生部は変動磁場を形成する。

【0133】
図20に示すように、配向体製造装置10bの磁場発生部14bは、電磁石ユニットU,U,U,・・・Uが、基準方向に等間隔に並ぶように配置されている。電磁石ユニットU,U,U,・・・Uには、基準方向から見ると、材料配置領域12bのまわりに30°ごとに電磁石74が配置されて、互いに向する電磁石74に通電すると、材料配置領域12bに磁場を印加することができる。材料配置領域12bに印加する磁場の磁力線の方向は、30°ごとに変えることができる。電磁石74の代わりに、超電導磁石を配置してもよい。

【0134】
配向体製造装置10bは、磁場駆動部である通電制御部16bを備える。通電制御部16bは、磁場発生部14bの電磁石74又は超電導磁石の通電を制御して、磁場発生部14bの電磁石74又は超電導磁石が材料配置領域12bに印加する磁場を、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場が基準方向に往復移動ないし揺動するように変化させる。

【0135】
通電制御部16bが磁場発生部14bの電磁石74又は超電導磁石の通電を適宜に制御することによって、材料配置領域12bに配置された材料中の粒子を配向させる磁場が印加されるようにすることができる。

【0136】
例えば、通電制御部16bは、各電磁石ユニットU,U,U,・・・Uが材料配置領域12bに印加する磁場の磁力線の方向が、所定時間ごとに、次の表1に示すように変わるように、電磁石74又は超電導磁石の通電を制御する。
【表1】
JP2019192668A_000003t.gif
表1において、磁力線の方向は、時計の短針が指す時刻の数字で示している。例えば、表中の「12」は12時の短針の方向、すなわち、下から上の方向を示す。同様に、「3」は左から右、「6」は上から下、「9」は右から左の方向を示す。

【0137】
表1のように制御すると、実施例2において、磁場発生部14vの第1の磁石群70磁石70a~70k,70m,70n,70pと第2の磁石群70の磁石72a~72k,72m,72n,72pとを、図19で符号Wで示した1ピッチ分の範囲を、材料配置領域12vに対して基準方向に一体に往復移動させる場合に相当する磁場を、印加することができる。すなわち、通電制御部16bは、実施例2の磁場発生部14vが形成する磁場が基準方向に往復移動する場合に相当する磁場が印加されるように、各電磁石ユニットU,U,U,・・・Uの電磁石74の通電を制御し、材料配置領域12bに印加する磁場を、基準方向の位置に応じて方向が異なる所定パターンの磁場が基準方向に往復移動するように変化させる。これにより、材料配置領域12bに配置された材料中の粒子を配向させることが可能である。

【0138】
磁場発生部の電磁石又は超電導磁石は適宜に配置すればよい。その場合、通電制御部によって、磁場発生部の電磁石又は超電導磁石が材料配置部に印加する磁場の磁力線の方向を適宜に変えるように制御すると、材料配置領域に配置された材料中の粒子を配向させる磁場を印加することができる。

【0139】
なお、磁場発生部14bは、固定され静止しているが、実施例1のように基準方向に往復移動するように構成することも可能である。

【0140】
<実施例4> 図21は、実施例4の配向体製造装置10cの概略構成を示す説明図である。図21に示すように、配向体製造装置10cは、配向体を製造するための材料を含むワーク5を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置17と、搬送経路に磁場を印加する磁場発生部14cとを備えている。

【0141】
搬送装置17は、適宜に構成すればよいが、例えば、循環する無端ベルト17aを有し、無端ベルト17a上に載置されたワーク5を矢印17xで示す方向に搬送する。

【0142】
ワーク5は、例えば、配向体を製造するための材料が基材に塗布されたものである。磁場発生部14cは、ワーク5が磁場発生部14cを通過するときに、ワーク5に磁場を印加し、乾燥途中あるいは固化途中の材料に含まれる粒子を配向させる。

【0143】
磁場発生部14cは、永久磁石、電磁石、超電導磁石等の複数の磁石を有し、磁場を形成する。ワーク5の搬送経路は、磁場発生部14cによって形成される磁場を通過する。磁場発生部14cは、ワーク5の搬送経路を搬送方向に移動するに従って、搬送経路における磁力線の方向が周期的に変化するように構成されている。例えば、上述した実施例1等と同様に、ワーク5が搬送方向に移動するに従って、ワーク5に回転変調場に相当する磁場が印加されるように、磁場発生部14cは、複数の磁石が配列されている。

【0144】
ワーク5の搬送経路のうち、磁場発生部14cによって形成される磁場を通過する部分が材料配置領域である。搬送装置17は、材料配置領域を基準方向に移動するように、ワーク5、すなわち、配向体を製造するための材料を搬送する。基準方向は、磁場発生部14cによって形成される磁場を通過するときのワーク5の搬送方向と一致する。磁場発生部14cは、基準方向の位置に応じて磁力線の方向が異なる所定パターンの磁場、例えば、回転変調磁場に相当する定常磁場を形成する。搬送装置17は磁場駆動部であり、搬送装置17がワーク5を搬送することによって、搬送中のワーク5に印加される磁場を、所定パターンの磁場が基準方向に移動ないし揺動するように変化させる。

【0145】
配向体製造装置10cは、ワーク5が磁場発生部14cによって形成される磁場を通過する間に、ワーク5に含まれる材料中の粒子を配向させることによって、配向体を製造することができる。磁場発生部14cに連続的にワーク5を搬送し、配向体を効率よく製造することが容易である。配向体製造装置10cは、ワーク5の基準方向の寸法や、基準方向に対して直角方向の寸法(図21の紙面に垂直な方向の寸法)を大きくすることができ、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。

【0146】
なお、搬送装置17は、磁場発生部14cによって形成される所定パターンの磁場中において、ワーク5を基準方向に往復移動させてもよい。

【0147】
ワークは、連続体でも構わない。例えば、ロールから引き出されたキャリフィルムの上に、配向体を製造するためのスラリー等の材料がドクターブレード法で塗布された連続体のワークが搬送装置によって搬送され、磁場発生部18cを通過するように構成してもよい。連続体のワークは、磁場発生部18cを通過した後に、巻き取ってもよいし、切断して個片に分割してもよい。

【0148】
以上に説明した実施例1~4の構成を、適宜に組み合わせてもよい。例えば、実施例4において、ワークは、固定され静止している磁場発生部によって形成される磁場を通過するが、実施例1、2のように基準方向に往復移動する磁場発生部によって形成される磁場を通過するように構成してもよい。また、実施例4のように搬送装置で搬送されるワークが、実施例3のように電磁石を用いる磁場発生部によって形成される変動磁場を通過するように構成してもよい。

【0149】
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の配向体製造装置及び配向体製造方法は、配向体を効率よく製造することが容易であり、サイズの大きいシート状の配向体を製造可能である。

【0150】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。

【0151】
例えば、磁場発生部の磁石として、永久磁石、電磁石、超電導磁石のうち2種類又は3種類を組み合わせて用いてもよい。

【0152】
また、リニア駆動機構や通電制御部によって材料配置領域に印加される磁場のパターンは、配向の進捗度合等に応じて、異なるパターンに切り替えてもよい。

【0153】
また、磁場発生部が印加する磁場は、回転変調磁場に相当する磁場以外であってもかまわない。
【符号の説明】
【0154】
10,10a,10b,10c 配向体製造装置
12,12a,12b,12s,12t,12v 材料配置領域
14,14a,14b,14c,14p,14q,14s,14t,14v 磁場発生部
15 移動体
16 磁場駆動部
16a リニア駆動機構(磁場駆動部)
16b 通電制御部(磁場駆動部)
17 搬送装置(磁場駆動部)
18,18a,18b,18c 仮想直線
50a,50b 磁石(第1の磁石セット)
52 磁石(第1の中間磁石)
54a,54b 磁石(第2の磁石セット)
56 磁石(第2の中間磁石)
57a,57b 磁石
57p 第1の磁石群
57q 第2の磁石群
58a~58g 磁石
58p 第1の磁石群
58q 第2の磁石群
60,62 磁石
64 第1の磁石群
64a 磁石
66 第2の磁石群
66a 磁石
70 第1の磁石群
70a~70k,70m,70n,70p 磁石
72 第2の磁石群
72a~72k,72m,72n,72p 磁石
74 電磁石
P ピッチ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21