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明細書 :ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-131621 (P2018-131621A)
公開日 平成30年8月23日(2018.8.23)
発明の名称または考案の名称 ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体
国際特許分類 C09K  11/65        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
C01B  39/02        (2006.01)
C01B  39/04        (2006.01)
C01B  32/186       (2017.01)
C01B  32/184       (2017.01)
C01B  32/194       (2017.01)
FI C09K 11/65
C09K 11/08 B
C01B 39/02
C01B 39/04
C01B 32/186
C01B 32/184
C01B 32/194
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2018-024141 (P2018-024141)
出願日 平成30年2月14日(2018.2.14)
優先権出願番号 2017026376
優先日 平成29年2月15日(2017.2.15)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】山根 康之
【氏名】田中 秀樹
【氏名】宮原 稔
出願人 【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G073
4G146
4H001
Fターム 4G073BA10
4G073BA52
4G073BA62
4G073BB05
4G073BB08
4G073BB13
4G073BB24
4G073BB29
4G073BB48
4G073BC10
4G073BD15
4G073CM18
4G073CZ02
4G073CZ04
4G073CZ05
4G073CZ07
4G073CZ25
4G073CZ49
4G073CZ54
4G073CZ55
4G073DZ02
4G073DZ08
4G073FB30
4G073FC18
4G073FC19
4G073FD07
4G073FE11
4G073FF04
4G073GA33
4G073GB09
4G073UA20
4G073UB14
4G146AA01
4G146AA15
4G146AB07
4G146AC16B
4G146AD17
4G146AD29
4G146AD40
4G146BA11
4G146BA12
4G146BA15
4G146BA48
4G146BA49
4G146BB09
4G146BC03
4G146BC09
4G146BC23
4G146BC26
4G146BC32
4G146BC33
4G146CB14
4G146DA03
4G146DA12
4G146DA23
4G146DA26
4G146DA28
4G146DA34
4G146DA46
4G146DA48
4H001CC02
4H001XA06
要約 【課題】ナノカーボンの網面サイズを適度に制御し得る発光体を提供する。
【解決手段】無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
【請求項2】
前記無機多孔質材料が、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、活性炭、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、及びアルミノケイ酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
【請求項3】
前記多孔質材料含有発光体全体を100質量%として、炭素含有量が10質量%以下である、請求項1又は2に記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
【請求項4】
前記ナノカーボンが酸素原子を含むナノカーボンである、請求項1~3のいずれかに記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
【請求項5】
無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体の製造方法であって、
無機多孔質材料に有機物を化学気相蒸着する工程
を備える、製造方法。
【請求項6】
ゼオライト骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包ゼオライト発光体の製造方法であって、
規定剤未除去ゼオライトを不活性雰囲気下に焼成する工程
を備える、製造方法。
【請求項7】
ゼオライト骨格及びポリフルフリルアルコールを含むナノカーボン内包ゼオライト発光体の製造方法であって、
ゼオライトにフルフリルアルコールを含浸させる工程
を備える、製造方法。
【請求項8】
得られたナノカーボン内包無機多孔質材料発光体又はナノカーボン内包ゼオライト発光体を空気酸化させる工程
を備える、請求項5~7のいずれかに記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ、コロネン程度のサイズのグラフェン等のナノカーボンは、紫外光を照射することで蛍光を発することが知られており、近年、ナノカーボンを利用した発光体に関する研究が盛んに行われている。しかし、網面サイズが過度に成長したものや網面同士が凝集したものでは、十分な蛍光を得ることができない。ナノカーボンは、サイズの制御が困難であり、また、極めて凝集しやすいため、十分な蛍光を発するナノカーボンを得ることは極めて難しい。
【0003】
また、メソポーラスシリカ-炭素複合体を同様に酸化処理して、シリカ壁面にナノカーボンを固定し、分散する方法も提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この方法でも、製造において非常に多くの工程が必要である。加えて、この方法により得られた発光体は発光スペクトル幅が広いため、発光スペクトル幅を狭くすることにより単色光を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第5557090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、ナノカーボンの網面サイズを適度に制御し得る発光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体が、簡便な方法で得られることを見出した。本発明者らは、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
項2.前記無機多孔質材料が、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、活性炭、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、及びアルミノケイ酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
項3.前記ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体全体を100質量%として、炭素含有量が10質量%以下である、項1又は2に記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
項4.前記ナノカーボンが酸素原子を含むナノカーボンである、項1~3のいずれかに記載のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体。
項5.無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包無機多孔質材料発光体の製造方法であって、
無機多孔質材料に有機物を化学気相蒸着する工程
を備える、製造方法。
項6.ゼオライト骨格及びナノカーボンを含むナノカーボン内包ゼオライト発光体の製造方法であって、
構造規定剤未除去ゼオライトを不活性雰囲気下に焼成する工程
を備える、製造方法。
項7.ゼオライト骨格及びポリフルフリルアルコールを含むナノカーボン内包ゼオライト発光体の製造方法であって、
ゼオライトにフルフリルアルコールを含浸させる工程
を備える、製造方法。
項8.得られたナノカーボン内包無機多孔質材料発光体又はナノカーボン内包ゼオライト発光体を空気酸化させる工程
を備える、項5~7のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体は、優れた発光特性を有するため、種々の発光材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1で使用した装置の概略図である。
【図2】実施例2で使用した装置の概略図である。
【図3】実施例3で使用した装置の概略図である。
【図4】実施例4で観察した、ゼオラムA-4、HSZ-642NAA、HSZ-640HOA、HSZ-690HOA、HSZ-891HOA、及びHSZ-990HOAを用いた場合の蛍光灯下及びUV(354nm)下における試料の色を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「本質的にのみからなる(essentially consist of)」及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。

【0010】
1.ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体
本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体(以下、単に「発光体」と言うこともある)は、無機多孔質材料からなる骨格及びナノカーボンを含む。この本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体は、無機多孔質材料を鋳型として、ナノカーボンが分散した構造を有している。本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体は、無機多孔質材料からなる骨格が有する細孔内部にナノカーボンが分散された構造を有しているため、ナノカーボンの凝集によってバンドギャップが狭まることを防ぎ、優れた発光特性を発揮することができる。

【0011】
本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体は、製造が簡便な点で、化学気相蒸着により無機多孔質材料からなる骨格にナノカーボンを分散させることで得られた複合発光体であることが好ましい。

【0012】
本発明において、ナノカーボンとは、1辺又は2辺が数nm程度の大きさであるグラフェン様炭素を意味する。当該ナノカーボンは、必ずしも六員環構造のみからなる必要はなく、五員環、七員環構造等を含んでいてもよい。また、構造も平面に限らない。本発明のナノカーボンとして、具体的には、ピレン、コロネン、コラニュレン程度のグラフェン様分子等を挙げることができる。

【0013】
本発明のナノカーボンは、酸素、窒素等の元素を含むことができる。これらの元素を導入することにより、発光強度が上昇することが期待される。また、ナノカーボンに酸素、窒素等の元素を含ませることで、酸素、窒素等の元素を含まないナノカーボンと比べて、発光体が発する光の色調を変化させることができる。

【0014】
本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体全体を100質量%とする炭素含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、例えば、炭素含有量は2質量%以下又は1質量%以下とすることもできる。炭素含有量を少なく抑えることにより、網面サイズの大きいナノカーボンの割合を減少させ、且つ発光体中でナノカーボン同士が凝集することを防ぐことができ、より優れた発光特性を発揮することができる。ただし、製造方法によっては炭素含有量が10質量%より大きいナノカーボン内包無機多孔質材料発光体が得られることもあり、この場合も優れた発光特性を発揮することが可能である。なお、炭素含有量の下限は、ナノカーボンが含まれ、十分な発光が得られる限り、特に限定されず、例えば、ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体全体を100質量%として、0.01質量%以上である。発光体における炭素含有量は、熱重量測定により、空気雰囲気下において加熱することにより測定した重量減少量から求める。

【0015】
本発明において、鋳型として用いる無機多孔質材料は、細孔内にナノカーボンを形成することができる材料であれば特に制限されない。具体的には、シリカのみならず、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、アルミナ、シリカマグネシア、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、活性炭、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、アルミノケイ酸塩等も採用できる。特に、サイズの制御、細孔の制御がしやすいことからゼオライトが好ましいが、ゼオライト以外(シリカゲル、シリカアルミナ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、活性炭、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、アルミノケイ酸塩等)を採用することも可能である。

【0016】
例えば、化学気相蒸着法によりナノカーボンを形成する場合、炭素が蒸着された箇所で新たな炭素源が細孔内に侵入できれば、ナノカーボンをゼオライト粒子内部に効率的に導入することが可能である。フルフリルアルコールを含浸させる方法を採用する場合も同様である。このような観点からは、無機多孔質材料としてゼオライトを使用する場合は、細孔入口が酸素12員環以上で構成されるゼオライト(Y型ゼオライト、X型ゼオライト、A型ゼオライト、β型ゼオライト、L型ゼオライト、モルデナイト、シリカライト、EMT等)を使用することが好ましい。

【0017】
ゼオライトを使用する場合、結晶構造中におけるSi/Al比は、ゼオライトの固体酸としての強酸性に影響する。化学気相蒸着法を採用する場合は、強酸性が強い程、炭素源の堆積分解が促進される。このため、ゼオライトの内部まで均一に分散してナノカーボンを堆積させる点で、ゼオライトのSi/Al比は20以下が好ましい。不活性雰囲気下に焼成する方法やフルフリルアルコールを含浸させる方法を採用する場合も同様である。

【0018】
また、ゼオライトを使用する場合、Alと結合する交換カチオンにより触媒活性が依存することが知られている。ゼオライトの内部まで均一に分散してナノカーボンを堆積させる点で、ゼオライトの交換カチオンとしては、水素イオン(H+)及びナトリウムイオン(Na+)が好ましい。

【0019】
2.ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体の製造方法
(2-1)化学気相蒸着法
本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体は、例えば、無機多孔質材料に対して、化学気相蒸着法により、ナノカーボンを堆積させることで製造することができる。化学気相蒸着法を用いることにより、簡便な手法で発光体を製造することができ、また、ナノカーボンの導入量(発光体の炭素含有量)の調整も比較的容易である。この方法によれば、機多孔質材料含有発光体全体を100質量%として、炭素含有量が10質量%以下である発光体が得られやすいため、得られる発光体中でナノカーボン同士が凝集することを防ぐことができ、より優れた発光特性を発揮することができる。

【0020】
化学気相蒸着に用いる炭素源としては、無機多孔質材料の細孔径よりも小さく、分解後にsp2炭素として堆積する化合物であれば、特に限定されない。例えば、炭素源として、アルカン(メタン、エタン、プロパン等)、アルキレン(エチレン、プロピレン、イソプレン等)、アルキニレン(アセチレン、メチルアセチレン等)、環状アルカン(シクロプロパン等)、芳香族化合物(ベンゼン、フェノール、ピリジン等)等を用いることができる。

【0021】
化学気相蒸着における反応温度、時間及び炭素源の濃度は、適宜設定することができる。無機多孔質材料の内部まで均一に分散してナノカーボンを堆積させる点で、反応速度を適度に調整することが好ましい。そのため、反応温度及び炭素源の濃度は高すぎないことが好ましい。具体的には、反応温度は1000℃以下が好ましく、炭素源の濃度はベンゼンを使用する場合で25体積%以下が好ましく、エチレンを使用する場合で50体積%以下が好ましい。なお、炭素源の好ましい濃度は、炭素源とする分子中の炭素数や反応性にも依存する。

【0022】
化学気相蒸着に用いる不活性ガスは、無機多孔質材料及び炭素源と反応しないものであれば、特に限定されない。具体的には、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。

【0023】
本発明の発光体は、化学気相蒸着によりナノカーボンを形成した後、酸化処理を行い、ナノカーボンに酸素原子等を導入することで、発光体が発する光の色調を変更する(特に蛍光の色を白色化する)ことができるとともに、発光強度も向上させることができる。酸化処理の方法としては、上記化学気相蒸着により得られた発光体を空気条件下、150~1000℃、特に200~800℃、さらには250~600℃に加熱する方法を挙げることができる。加熱時間は例えば300℃で処理する場合、30分~3日間が好ましい。

【0024】
(2-2)不活性雰囲気下焼成
ゼオライトには、合成時に構造規定剤として有機アミン又は4級アンモニウム塩(テトラプロピルアンモニム、テトラエチルアンモニウム塩DABCO[1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane]等)を使用するものがある。通常これらの構造規定剤は酸化工程により除去されるが、構造規定剤を未除去のゼオライトを不活性雰囲気下に焼成することにより、ゼオライト骨格中の構造規定剤を炭化してナノカーボンとしつつ本発明のナノカーボン内包無機多孔質材料発光体を得ることも可能である。なお、使用できるゼオライトとしては、上記したものを採用できる。

【0025】
焼成の方法としては、特に制限はなく、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の不活性雰囲気下、150~1000℃、特に300~1000℃、さらには400~1000℃に加熱する方法を挙げることができる。加熱時間は例えば、30分~3日間が好ましい。

【0026】
本発明の発光体は、焼成によりナノカーボンを形成した後、酸化処理を行い、ナノカーボンに酸素原子等を導入することで、発光体が発する光の色調を変更する(特に蛍光の色を白色化する)ことができるとともに、発光強度も向上させることができる。酸化処理の方法としては、上記化学気相蒸着により得られた発光体を空気条件下、150~1000℃、特に200~800℃、さらには250~600℃に加熱する方法を挙げることができる。加熱時間は例えば300℃で処理する場合、30分~3日間が好ましい。

【0027】
(2-3)フルフリルアルコール含浸
また、ゼオライトにフルフリルアルコールを含浸させた後に、当該フルフリルアルコールを重合させることによっても、発光体を得ることができる。

【0028】
使用できるゼオライトとしては、上記したものを採用できる。なお、ゼオライトは吸湿性が高く、大量の水分子を吸着していることがあるため、この吸着水を取り除くために、あらかじめゼオライトを乾燥することが好ましい。

【0029】
乾燥条件は、特に制限はなく、例えば100~200℃において1~24時間真空乾燥する方法が挙げられる。なお、急激な水分放出による突沸を防ぐため、あらかじめ0~50℃で1~24時間真空乾燥した後に、上記温度で真空乾燥することが好ましい。

【0030】
次に、ゼオライトにフルフリルアルコールを含浸させる。具体的には、ゼオライトに対してフルフリルアルコールを真空下に注ぎ、10分~12時間撹拌することが好ましい。その後、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の不活性雰囲気下に10分~12時間撹拌することが好ましい。この際、フルフリルアルコールは、長時間空気に曝すと劣化するため、未開封のボトルを使用することが好ましい。

【0031】
ただし、ゼオライトは、フルフリルアルコールを重合する触媒能を有している。フルフリルアルコールを含浸させる際に重合すると、ゼオライトの細孔の奥深くまでフルフリルアルコールを含浸させることができない可能性があるため、この触媒能を極力抑えることが好ましい。このため、ゼオライトにフルフリルアルコールを含浸させる際の温度は30℃以下が好ましい。

【0032】
この後、ゼオライトの外表面に付着したフルフリルアルコールを、有機溶媒で除去することが好ましい。この際、ゼオライトの外表面に付着しているフルフリルアルコールのみを除去するためにゼオライトの細孔よりサイズの大きい化合物(メシチレン等)を用いて洗浄することが好ましい。

【0033】
最後に、30~400℃に加熱することが好ましい。なお、加熱時間は30分~3日間が好ましい。これにより、ゼオライトの触媒能により、細孔内に付着しているフルフリルアルコールを重合させ、本発明の発光体を得ることができる。

【0034】
本発明の発光体は、フルフリルアルコールを重合させた後、酸化処理を行い、ナノカーボンに酸素原子等を導入することで、発光体が発する光の色調を変更する(特に蛍光の色を白色化する)ことができるとともに、発光強度も向上させることができる。酸化処理の方法としては、上記化学気相蒸着により得られた発光体を空気条件下、150~1000℃、特に200~800℃、さらには250~600℃に加熱する方法を挙げることができる。加熱時間は例えば300℃で処理する場合、30分~3日間が好ましい。

【0035】
3.ナノカーボン内包無機多孔質材料発光体の発光
本発明の発光体は、励起光として紫外光又は可視光を照射することにより、蛍光を発する。紫外光としては、例えば、波長200~400nmの光を挙げることができる。

【0036】
本発明の発光体が発する蛍光の色は、ナノカーボンのサイズに依存すると考えられ、小さい分子の割合が高いと短い波長の光(例えば、紫等)、比較的大きめの分子の割合が高いと長い波長の光(例えば、赤等)になると推測される。一方で、分子の大きさにばらつきを持たせることにより、得られる蛍光もスペクトル幅が広くなり、白色に近い色になると推測される。また、上述の通り、発光体を空気酸化することにより、ナノカーボンに酸素原子等を導入することで、容易に白色蛍光を発する発光体を製造することが可能である。

【0037】
このようにして得られる本発明の発光体は、紫外光を照射することで蛍光を発するため、照明装置、太陽電池の補助剤(紫外可視光変換)、洗剤用蛍光剤、フィルム添加剤等の用途への応用が期待される。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
なお、使用したゼオライト又は活性白土は、表1に示すものを使用した。なお、ゼオライト又は活性白土は保管中に有機物を吸着している可能性が懸念される。その影響を排除するためにCVD前に予め空気中で1000K(727℃)空焼きして使用した。
【実施例】
【0040】
【表1】
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【実施例】
【0041】
実施例1
鋳型とする無機多孔質材料として、表2に示す材料を使用し、図1の装置を用いて化学気相蒸着処理を行った。まず、ゼオライト又は活性白土2gを磁性ボートに入れ、50mmΦ×1020mmの石英管中に入れた。次に、質量流量制御機(M.F.C.)において窒素ガスを1000mL/min吹き込んで窒素ガス雰囲気としつつ、別の質量流量制御機(M.F.C.)において窒素ガスを10mL/minバブリングしながら炭素源としてベンゼン(和光純薬工業(株)製;特級)を導入した混合ガスを、ゼオライト又は活性白土が入った石英管に対して200mL/minで吹き込み、1000K(727℃)にて30分間化学気相蒸着処理を行った。
【実施例】
【0042】
得られた発光体と、原料となるゼオライト及び活性白土とに対して、蛍光灯の光を当て、蛍光灯下での試料の色を確認した。同じく、紫外光(波長256nm)下での発光の有無及びその色を確認した。結果を表2に示す。種々のゼオライトや活性白土でも発光特性を示した。他のゼオライトの場合は赤~ピンクを呈する場合が多いが、モルデナイトは黄色みがかった白色を呈し、細孔径が大きいミズカライフ(非晶質シリカマグネシア)の場合は白色を呈しており、ゼオライト種の違いによる発光色が相違することを示唆している。
【実施例】
【0043】
【表2】
JP2018131621A_000003t.gif
【実施例】
【0044】
実施例2
鋳型とする無機多孔質材料として、表3に示す材料を使用し、図2の装置を用いて化学気相蒸着処理を行った。まず、ゼオライト又は活性白土2gを磁性ボートに入れ、50mmΦ×1020mmの石英管中に入れた。次に、質量流量制御機(M.F.C.)において窒素ガスを1000mL/min吹き込んで窒素ガス雰囲気としつつ、別の質量流量制御機(M.F.C.)において炭素源としてエチレンを10mL/min導入した混合ガスを、ゼオライト又は活性白土が入った石英管に対して200mL/minで吹き込み、1000K(727℃)にて30分間化学気相蒸着処理を行った。
【実施例】
【0045】
得られた発光体と、原料となるゼオライト及び活性白土とに対して、蛍光灯の光を当て、蛍光灯下での試料の色を確認した。同じく、紫外光(波長256nm)下での発光の有無及びその色を確認した。結果を表3に示す。この結果、炭素源としてエチレンを使用した場合も同様に発光特性を示し、ベンゼンの場合と同様の蛍光特性を示した。
【実施例】
【0046】
【表3】
JP2018131621A_000004t.gif
【実施例】
【0047】
実施例3
実施例1で得られた発光体を使用し、図3の装置を用いて空気酸化を行った。まず、発光体2gを磁性ボートに入れ、50mmΦ×1020mmの石英管中に入れた。次に、質量流量制御機(M.F.C.)において空気を、石英管に対して200mL/minで吹き込み、573K(300℃)にて30分間化学気相蒸着処理を行った。
【実施例】
【0048】
得られた酸化発光体に対して、蛍光灯の光を当て、蛍光灯下での試料の色を確認した。同じく、紫外光(波長256nm)下での発光の有無及びその色を確認した。結果を表4に示す。この結果、一部を除いて白色化し、蛍光強度は増すことが理解できた。
【実施例】
【0049】
【表4】
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【実施例】
【0050】
実施例4
まず、ビュレット付き丸底フラスコに約15gのゼオライト(HSZ-320NAA)とマグネット撹拌子を入れ、室温で8時間真空乾燥を行い、さらに丸底フラスコをオイルバスに浸し、150℃で真空乾燥を行った。これにより急激な水分放出による突沸を防ぎつつゼオライト表面の水分子を除去した。
【実施例】
【0051】
次に、真空状態の丸底フラスコを冷水に浸し、室温以下まで冷却した。真空ポンプのラインを閉じ、減圧状態で密閉された丸底フラスコに、約400mLのフルフリルアルコール(和光純薬工業(株)製;97%)をビュレットから注入し、減圧状態のまま1時間室温で撹拌した。このようにしてフルフリルアルコールを真空含浸させた後、丸底フラスコに窒素を導入して大気圧とし、そのまま窒素を流通(150cc/min程度)させながら8時間撹拌してフルフリルアルコールをゼオライト細孔内に含浸させた。
【実施例】
【0052】
次に、ゼオライト外表面に付着しているフルフリルアルコールをメシチレン(和光純薬工業(株)製;97%)で洗浄した。具体的には、フルフリルアルコールを含浸させたゼオライトを遠沈させた後、約100mLのメシチレンを加えてよく撹拌し、遠心分離(1500rpm程度)する操作を5回繰り返した。
【実施例】
【0053】
次いで、孔径0.5μmのPTFEメンブレンフィルターで減圧ろ過し、石英反応管内で、窒素流通(500cc/min)下、5℃/minで30℃又は80℃まで昇温し、12時間熱処理し、フルフリルアルコールを重合させた。
【実施例】
【0054】
得られた発光体に対して、蛍光灯の光を当て、蛍光灯下での試料の色を確認した。同じく、紫外光(波長354nm)下での発光の有無及びその色を確認した。結果を表5に示す。
【実施例】
【0055】
【表5】
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【実施例】
【0056】
次に、ゼオライトとして、HSZ-320NAAではなく、ゼオラムA-4、HSZ-642NAA、HSZ-640HOA、HSZ-690HOA、HSZ-891HOA、又はHSZ-990HOAを用い、重合温度を30℃として同様に、蛍光灯下及びUV(354nm)下における試料の色を確認した。結果を表6及び図4に示す。なお、図4では、上図は蛍光灯下、下図はUV(354nm)下における試料の色を示しており、各試料は、左から、ゼオラムA-4、HSZ-642NAA、HSZ-640HOA、HSZ-690HOA、HSZ-891HOA、及びHSZ-990HOAである。
【実施例】
【0057】
【表6】
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【実施例】
【0058】
実施例5
まず、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを有機構造規定剤として用い、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、微粉状シリカをシリカ源として150℃で72時間加熱してMFI型ゼオライトを得た。
【実施例】
【0059】
次いで、得られたMFI型ゼオライトを窒素雰囲気下で200, 400, 600℃で1時間焼成し、ゼオライト内の有機構造規定剤を炭素化させた。得られた発光体に対して、蛍光灯の光を当て、蛍光灯下での試料の色を確認した。同じく、紫外光(波長354nm)下での発光の有無及びその色を確認した。結果を表7に示す。
【実施例】
【0060】
【表7】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3