Top > Search of Japanese Patents > SOLID DISSOLUTION NANOPARTICLE AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND CATALYST > Specification

Specification :(In Japanese)固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2018-141232A
Date of publication of application Sep 13, 2018
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒
IPC (International Patent Classification) B22F   1/00        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  37/16        (2006.01)
B01J  37/04        (2006.01)
B01J  23/52        (2006.01)
B01D  53/86        (2006.01)
B01D  53/94        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
B22F   1/02        (2006.01)
C22C   5/02        (2006.01)
C22C   5/04        (2006.01)
H01M   4/90        (2006.01)
H01M   4/92        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI (File Index) B22F 1/00 K
B01J 35/02 H
B01J 37/16
B01J 37/04 102
B01J 23/52 M
B01D 53/86 222
B01D 53/86 245
B01D 53/94 222
B01D 53/94 245
B01D 53/86 150
B22F 9/24 E
B22F 1/02 B
C22C 5/02
C22C 5/04
H01M 4/90 M
H01M 4/92
B82Y 30/00
B82Y 40/00
Number of claims or invention 14
Filing form OL
Total pages 13
Application Number P2018-021386
Date of filing Feb 8, 2018
Application number of the priority 2017034833
Priority date Feb 27, 2017
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】北川 宏
【氏名】草田 康平
【氏名】▲呉▼ 冬霜
【氏名】張 権
Applicant (In Japanese)【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Representative (In Japanese)【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4D148
4G169
4K017
4K018
5H018
F-term 4D148AA06
4D148AA13
4D148AA23
4D148AB01
4D148AB02
4D148BA05X
4D148BA32X
4D148BA33X
4D148BA34X
4D148DA03
4D148DA11
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA08B
4G169BA21C
4G169BA22C
4G169BB01C
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB19C
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC74A
4G169BC74B
4G169BD01C
4G169BD02C
4G169BE02C
4G169BE06C
4G169BE07C
4G169BE08C
4G169BE14C
4G169BE20C
4G169BE38C
4G169CA02
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA11
4G169CA13
4G169CA14
4G169CB02
4G169CB07
4G169CB81
4G169CC32
4G169DA05
4G169EB18X
4G169EB19
4G169EC25
4G169EC27
4G169EE01
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB18
4G169FB24
4G169FB45
4G169FB46
4G169FC03
4G169FC04
4G169FC08
4G169FC10
4K017AA04
4K017BA02
4K017BB02
4K017CA08
4K017DA09
4K017EJ01
4K017FB07
4K017FB08
4K018AA02
4K018BA01
4K018BB05
4K018BC29
4K018BD10
5H018AA06
5H018EE03
5H018EE10
5H018HH01
5H018HH05
Abstract (In Japanese)【課題】新規固溶体を提供する。
【解決手段】金(Au)とイリジウム(Ir)及び/又はルテニウム(Ru)が原子レベルで固溶している固溶体ナノ粒子。
【選択図】なし
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
金(Au)とイリジウム(Ir)及び/又はルテニウム(Ru)が原子レベルで固溶している固溶体ナノ粒子。
【請求項2】
Auを5~95モル%、Ir及び/又はRuを95~5モル%含む、請求項1に記載の固溶体ナノ粒子。
【請求項3】
表面保護剤で覆われている、請求項1又は2に記載の固溶体ナノ粒子。
【請求項4】
担体に担持されている、請求項1又は2に記載の固溶体ナノ粒子。
【請求項5】
粒子の平均粒径が1~30 nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子からなる、触媒。
【請求項7】
水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応(ORR)用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
酸素還元反応用触媒又は水電解反応用触媒である、請求項6又は7に記載の触媒。
【請求項9】
還元剤を含む溶液に、イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を溶媒中に含む溶液を添加することを特徴とする、固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を含む溶液の添加を噴霧、滴下又はポンプによる送液で行う、請求項9に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
還元剤を含む溶液が表面保護剤又は担体を含み、この溶液にイリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を含む溶液を添加することを特徴とする、請求項9又は10に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
還元剤がアルキレングリコール類、グリセリン、ポリグリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アミン類、不飽和脂肪酸、不飽和炭化水素、金属水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9~11のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
表面保護剤がポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、オレイルアミン又はオレイン酸である、請求項11に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
溶媒が水、アルコール、ポリオール類、ポリエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
白金族元素は自動車排ガス処理、水素化などの高機能触媒、あるいはメッキなどに使用されているが、産出量が少なく高価である。このため、白金族元素の使用量を低減しうる技術が求められている。
【0003】
例えば金(Au)とイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)は固溶しないと考えられてきたため、これまでAuとIr又はRuを含む固溶体の構造および触媒活性について調べた例はない。
【0004】
特許文献1は、金元素とイリジウム元素の少なくとも一部が互いに接触した状態でメソポーラスシリカの内部に担持された排ガス浄化用触媒を記載しているが、金とイリジウムは分離しているので、これら元素の相乗効果は期待できない。
【0005】
特許文献2は、PdとRuの2元合金を開示しているが、金を含む固溶体合金の開示はない。
【0006】
非特許文献1は、電極還元をしてAuとIrの固溶体作製を試みているが、均一な合金はできていない。
【0007】
特許文献3は、Irと、Au, Rh, Pd, Mn, Cr, Co, Ni, Cu, FeおよびSnからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素とを含む合金について記載しているが、実施例においてIrとAuを含む合金は製造されていない。
【0008】
特許文献4は、Pt,Ir,Pd,Rh,Ru,Au,Agのうちの少なくとも二種以上の固溶体を記載しているが、実施例ではIrとPtの固溶体が記載されるのみであり、他の固溶体については製造されていない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2002-210369号公報
【特許文献2】特許第5737699号
【特許文献3】特開2002-119862号公報
【特許文献4】特開2006-198490号公報
【0010】

【非特許文献1】Sun Hwa Park et al., RSC Advances, 2016, 6, 3210-3212
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、新規固溶体及びその製造方法並びに触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のAuとIr及び/又はRuを含む固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒を提供するものである。
項1. 金(Au)とイリジウム(Ir)及び/又はルテニウム(Ru)が原子レベルで固溶している固溶体ナノ粒子。
項2. Auを5~95モル%、Ir及び/又はRuを95~5モル%含む、項1に記載の固溶体ナノ粒子。
項3. 表面保護剤で覆われている、項1又は2に記載の固溶体ナノ粒子。
項4. 担体に担持されている、項1又は2に記載の固溶体ナノ粒子。
項5. 粒子の平均粒径が1~30 nmである、項1~4のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子。
項6. 項1~5のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子からなる、触媒。
項7. 水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応(ORR)用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、項6に記載の触媒。
項8. 酸素還元反応用触媒又は水電解反応用触媒である、項6又は7に記載の触媒。
項9. 還元剤を含む溶液に、イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を溶媒中に含む溶液を添加することを特徴とする、固溶体ナノ粒子の製造方法。
項10. イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を含む溶液の添加を噴霧、滴下又はポンプによる送液で行う、項9に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
項11. 還元剤を含む溶液が表面保護剤又は担体を含み、この溶液にイリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を含む溶液を添加することを特徴とする、項9又は10に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
項12. 還元剤がアルキレングリコール類、グリセリン、ポリグリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アミン類、不飽和脂肪酸、不飽和炭化水素、金属水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項9~11のいずれか1項に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
項13. 表面保護剤がポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、オレイルアミン又はオレイン酸である、項11に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
項14. 溶媒が水、アルコール、ポリオール類、ポリエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項9に記載の固溶体ナノ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のナノ粒子は、AuとIr及び/又はRuが固溶体を形成しているため、従来のAuとIr及び/又はRuの複合触媒とは異なる電子状態を有し、これまでにはない性質を有することが期待できる。
【0014】
周期表において、Ir、Pt、Auは順に並んでおり、全てfcc構造を有する。構造および電子数の観点から、IrとAuの1:1の固溶体はPtに類似した電子状態を有することが期待でき、類似した性質を発現する可能性がある。つまり、AuIr合金がPtが高い活性を示す燃料電池電極反応などにおいて、高い触媒活性を示すことが期待できる。
【0015】
従来存在しなかったAuとIr及び/又はRu固溶体を作製することで、新たな電子状態および反応場としての結晶表面を作ることが可能となり、Au、Ir、Ru単体および、非固溶触媒とは異なる触媒活性を有すると考えられる。
【0016】
本発明の合金ナノ粒子は、自動車の排ガス用触媒、化学分野(モノマー合成、有害物の分解、脱臭など)、下記の(1)~(5)の触媒として有用であると期待される。
(1)CO酸化反応,H2酸化反応
(2)VVOC(超揮発性有機化合物;Very Volatile Organic Compounds、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタンなど),VOC(揮発性有機化合物;Volatile Organic Compounds)の燃焼反応
(3)MCH(メチルシクロヘキサン)の脱水素反応
(4)水素化等の選択性の発現をターゲットにした反応
(5) 燃料電池系の反応(水電解反応や酸素還元反応など)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1~3で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のXRDパターンと格子定数を示す。XRDより単純なAu、Irが混入していない均一な粒子が作製できていることが確認できた。LeBail法で格子定数を算出したところ、右図に示すように金属組成に対し線形的に格子定数が変化する、固溶体合金のVegard則に従っているため固溶体合金が作成できていることが確認できた。金属組成はXRF分析を行い算出した。Irが仕込み量より少ないのは一部が不純物として遠心分離で除去されているためと考えられる。
【図2】実施例1~3で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のTEM像を示す。Irの割合が増えるほど、粒径は小さくなるが、全体の金属塩濃度を調整することで、粒径の制御は行える。
【図3】実施例1で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のHAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップを示す。全粒子にAuとIrが粒子内に均一に分布していることから、固溶体を形成していることが確認された。
【図4】実施例1で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のSTEM-EDX線分析の結果を示す。全粒子にAuとIrが粒子全体にわたり均一に分布しており、固溶体を形成していることが確認された。
【図5】実施例2で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のSTEM-EDXマップ及び線分析の結果を示す。全粒子にAuとIrが粒子内に均一に分布していることから、固溶体を形成していることが確認された。
【図6】実施例1~3で得られたAuIr固溶体合金のORR(酸素還元反応)触媒活性(1.0M NaOH中)。Au0.5Ir0.5がIr、Auよりも活性が大幅に向上し、Ptに匹敵する値となる。
【図7】実施例1で得られたAuIr固溶体合金のOER(酸素発生反応)触媒活性(1.0M NaOH中)。Au0.5Ir0.5がIr、Ptよりも活性が大幅に向上した。
【図8】実施例4~8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子のXRDパターンを示す。
【図9】実施例4~8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子の格子定数を示す。
【図10】実施例4~8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子のTEM像を示す。
【図11】実施例4~8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子のSTEM-EDXマップ及び線分析の結果を示す。
【図12】実施例4~8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子のOER(酸素発生反応)触媒活性(0.05 M H2SO4水溶液中)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で得られる固溶体ナノ粒子は、金(Au)とイリジウム(Ir)及び/又はルテニウム(Ru)の固溶体ナノ粒子であり、好ましくはAuIr固溶体ナノ粒子及びAuRu固溶体ナノ粒子である。

【0019】
ここで、「AuとIr及び/又はRuの固溶体ナノ粒子」とは、ナノ粒子の中でAuとIr及び/又はRuが均一に存在し、各金属原子の分布に偏りがないことを意味する。

【0020】
本発明の1つの実施形態の固溶体ナノ粒子において、AuとIr及び/又はRuの割合は、Auを5~95モル%、Ir及び/又はRuを5~95モル%;好ましくはAuを10~90モル%、Ir及び/又はRuを10~90モル%;より好ましくはAuを20~80モル%、Ir及び/又はRuを80~20モル%含む。

【0021】
本発明の他の実施形態の固溶体ナノ粒子において、AuとIrの割合は、Auを5~95モル%、Irを5~95モル%;好ましくはAuを10~90モル%、Irを10~90モル%;より好ましくはAuを20~80モル%、Irを80~20モル%、さらに好ましくはAuを30~70モル%、Irを70~30モル%、特に好ましくはAuを40~60モル%、Irを60~40モル%、最も好ましくはAuを50モル%、Irを50モル%含む。好ましい範囲ではOER及びORRにおいて電流密度及び触媒活性が向上する。

【0022】
本発明の他の実施形態の固溶体ナノ粒子において、AuとRuの割合は、Auを5~90モル%、Ruを10~95モル%;好ましくはAuを5~70モル%、Ruを30~95モル%;より好ましくはAuを5~50モル%、Ruを50~95モル%;さらに好ましくはAuを5~30モル%、Ruを70~95モル%;特に好ましくはAuを10~30モル%、Ruを70~90モル%含む。好ましい範囲ではOERにおいて電流密度及び触媒活性が向上する。

【0023】
本発明のナノ粒子の平均粒径は、1~30 nm程度、好ましくは1~20 nm程度、より好ましくは1~15 nm程度、さらに好ましくは1~10 nm程度である。平均粒径が小さいと触媒性能が高くなるために好ましい。固溶体ナノ粒子の平均粒径は、TEMなどの顕微鏡写真により確認することができる。固溶体ナノ粒子の形状は特に限定されず、球状、楕円体状、ロッド状、柱状、リン片状など任意の形状であってよい。

【0024】
本発明の固溶体ナノ粒子は、還元剤を含む溶液にイリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を溶媒中に含む溶液を添加することで調製することができる。イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を溶媒中に含む溶液を噴霧、滴下、或いはポンプによる送液などで少量ずつ添加することで反応混合物の温度を維持することができる。反応混合物に表面保護剤を含まない場合、固溶体ナノ粒子の凝集物が得られるが、表面保護剤の存在下で固溶体ナノ粒子を製造すると、固溶体ナノ粒子の凝集を抑制できる。表面保護剤は、還元剤を含む溶液に加えることが好ましい。また、担体の存在下で固溶体ナノ粒子を製造すると、固溶体ナノ粒子は担体に担持された状態で製造される。担体は、還元剤を含む溶液に加えてもよく、金属塩を含む溶液に加えてもよい。

【0025】
イリジウム化合物及び/又はルテニウム化合物と金化合物を溶解するための溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ポリオール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレンングリコール、グリセリンなど)、ポリエーテル類(ポリエチレングリコールなど)などが使用でき、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒としては、水、アルコール又は含水アルコールが好ましい。

【0026】
反応温度は室温から溶媒の沸点以下の温度が挙げられ、好ましくは60~250℃程度、より好ましくは100~240℃程度、さらに好ましくは160~230℃程度である。反応時間は、特に限定されないが、例えば1~24時間程度である。

【0027】
Au化合物とIr化合物及び/又はRu化合物は、水溶性であることが好ましく、塩であることがより好ましい。好ましいAu化合物とIr化合物及び/又はRu化合物としては、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)などが挙げられ、ハロゲン化物、酢酸塩等の有機酸塩、硝酸塩が好ましく使用できる。Auは、2価、3価、4価のいずれでもよい。Irは2価、3価、4価のいずれでもよい。Ruは1価、2価、3価、4価のいずれでもよい。Au化合物としては、例えばHAuCl4, HAuBr4, HAuI4, KAuCl4, KAuBr4, KAuI4, NaAuCl4, NaAuBr4, NaAuI4, AuCl3, AuBr3, AuI3, HAu(NO)4, KAu(NO3)4, KAu(CN)2, KAu(CN)4などが挙げられ、Ir化合物としては、例えば塩化イリジウム、イリジウムアセチルアセトナート、イリジウムシアン酸カリウム、イリジウム酸カリウムなどが挙げられ、Ru化合物としては、RuCl3, RuBr3などのハロゲン化ルテニウム、硝酸ルテニウム、K2Ru(NO)Cl5、[Ru(NH3)6]Cl2などが挙げられる。

【0028】
Au化合物とIr化合物及び/又はRu化合物の溶媒溶液中の濃度としては、各々0.01~1000mmol/L程度、好ましくは0.05~100 mmol/L 程度、より好ましくは0.1~50 mmol/L程度である。Au化合物とIr化合物及び/又はRu化合物の濃度が濃すぎるとAuとIr及び/又はRuの原子レベルで均一性が低下する可能性がある。

【0029】
還元剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ブチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、ドデセン、テトラデセン、オクタデセンなどの不飽和炭化水素、NaBH4、LiBH4、NaCNBH3、LiAlH4などが使用できる。

【0030】
表面保護剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー類、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸などのカルボン酸類が使用できる。

【0031】
担体としては、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニア或いはこれらを1種又は2種以上含む複合酸化物または活性炭やカーボンナノチューブなど炭素材が挙げられる。表面保護剤の配合量は、AuとIr及び/又はRuの固溶体ナノ粒子の凝集を抑制できる量であれば特に限定されないが、例えばAu化合物とIr化合物及び/又はRu化合物の合計1モルに対し、0.1モル~100モル程度使用すればよい。担体の配合量は、特に限定されないが、例えばAu化合物とIr化合物及び/又はRu化合物の合計1mmolに対し200 mg~40 g程度使用すればよい。

【0032】
反応混合物に表面保護剤が含まれていると、固溶体ナノ粒子の成長が抑制され、反応液に分散したAuIr固溶体ナノ粒子が得られる。

【0033】
反応混合物に担体が含まれていると、固溶体ナノ粒子は担体に担持された状態で得られる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1~3
エチレングリコール(還元剤) 300ml及び6.0mmol PVP(保護剤)の混合液を190℃で加熱撹拌し、この溶液に表1に示すモル数の塩化イリジウム(IV)と塩化金(III)をイオン交換水40mlに溶かした溶液を噴霧し、190℃で5分間維持した後放冷し、生じた沈殿物を遠心分離により分離した。分離した固溶状態のAuIr固溶体ナノ粒子について、XRDパターン(図1)、TEM画像(図2)、STEM-EDXマップ(図3)、実施例1のナノ粒子の線分析(図4)、実施例2のナノ粒子のSTEM-EDXマップ及び線分析(図5)を測定した。
【実施例】
【0035】
【表1】
JP2018141232A_000002t.gif
【実施例】
【0036】
実施例1~3で得られたAuIr固溶体ナノ粒子のAuとIrの比率はXRF(蛍光X線)により測定した。結果を下記に記載する。
実施例1 Au : Ir = 0.22:0.78 以降Au0.2Ir0.8と表記
実施例2 Au : Ir = 0.51:0.49 以降Au0.5Ir0.5と表記
実施例3 Au : Ir = 0.70:0.30 以降Au0.7Ir0.3と表記
【実施例】
【0037】
試験例1
[電極の製造]
実施例1~3のAuIr固溶体ナノ粒子をカーボン粒子に担持したAuIr固溶体電極(AuIr/C:金属量20wt%)を製造した。
[ORR触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:実施例1~3のAuIr固溶体ナノ粒子をカーボン粒子に担持した回転リングディスク電極をカソードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:水銀-酸化水銀電極(Hg/HgO)、電解液:1.0MのNaOH、25℃、アルゴン飽和)を用いて、0.5Vから1.1V(vs.RHE)まで5mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定し、ORR触媒活性を評価した。比較のためにAuIr固溶体ナノ粒子に代えてIrナノ粒子、Auナノ粒子、Ptナノ粒子を用いて同様にカソードを作製し、ORR触媒活性を評価した。結果を図6に示す。
[OER触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:実施例2のAu0.5Ir0.5固溶体ナノ粒子をカーボンに担持した回転リングディスク電極をアノードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:水銀-酸化水銀電極(Hg/HgO)、電解液:1.0MのNaOH、25℃、窒素飽和)を用いて、1Vから2.0V(vs.RHE)まで5mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定した。比較のために電極材料をAu0.5Ir0.5固溶体ナノ粒子に代えてIrナノ粒子、Auナノ粒子、Ptナノ粒子を用いて同様にOER触媒活性を測定した。結果を図7に示す。
【実施例】
【0038】
実施例4~8
100mlのエチレングリコール(還元剤)と4 mmolのPVP(表面保護剤、K30)の溶液を195℃に加熱し、そこに表2に示すモル数のHAuBr4とK2RuCl5(NO)をジエチレングリコール10mlに溶かした溶液をポンプで1.5ml/minで加え、10分間維持した。反応液を遠心分離してAuRu固溶体ナノ粒子を得た。得られたAuRu固溶体ナノ粒子について、XRDパターンを図8に示し、LeBail法で格子定数を算出した結果を図9,表3に示し、TEM画像を図10に示し、STEM-EDXマップを図11に示す。格子定数が金属組成に対し線形的に格子定数が変化する固溶体合金のVegard則に従っていること、またEDXマップよりAuとRuの両元素が粒子内に均一に分布しているため固溶体合金が作製できていることが確認できた。
【実施例】
【0039】
【表2】
JP2018141232A_000003t.gif
【実施例】
【0040】
【表3】
JP2018141232A_000004t.gif
【実施例】
【0041】
試験例2
[電極の製造]
実施例4~8のAuRu固溶体ナノ粒子、Auナノ粒子、Ruナノ粒子をカーボン粒子に担持したAuRu固溶体電極(AuRu/C:金属量20wt%)、Au電極(Au/C:金属量20wt%)、Ru電極(Ru/C:金属量20wt%)を製造した。
[OER触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:Auナノ粒子、Ruナノ粒子、実施例4~8のAuRu固溶体ナノ粒子をカーボンに担持した回転リングディスク電極をアノードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:銀-塩化銀電極(Ag/AgCl)、電解液:0.05MのH2SO4、25℃、窒素飽和)を用いて、1Vから2.0V(vs.RHE)まで5mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定した。結果を図12に示す。
【実施例】
【0042】
Ruは約1.5V以降、触媒の溶出に伴う活性の低下が観測されるが、AuRu固溶体合金の場合はAu10%でも顕著な活性の低下はない(図12a)。また、Au10%、Au30%ではRuに比べ電流密度も高く、活性の向上が確認できる(図12a、12b)。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11