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明細書 :がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年9月19日(2019.9.19)
発明の名称または考案の名称 がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物
国際特許分類 A61K  45/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P   3/00        (2006.01)
A61P   3/04        (2006.01)
A61K  45/06        (2006.01)
A61K  31/472       (2006.01)
A61K  31/4725      (2006.01)
FI A61K 45/00
A61P 35/00
A61P 43/00 105
A61P 3/00
A61P 3/04
A61K 45/06
A61P 43/00 121
A61K 31/472
A61K 31/4725
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 43
出願番号 特願2018-547234 (P2018-547234)
国際出願番号 PCT/JP2017/039426
国際公開番号 WO2018/079855
国際出願日 平成29年10月31日(2017.10.31)
国際公開日 平成30年5月3日(2018.5.3)
優先権出願番号 2016213755
優先日 平成28年10月31日(2016.10.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】萩原 正敏
【氏名】豊本 雅靖
【氏名】細谷 孝充
【氏名】吉田 優
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C086
Fターム 4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084ZA70
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC21
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC75
要約 がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法、及びそのための医薬組成物の提供。
がん細胞内において一酸化窒素の産生を亢進させることを含む、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法。がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物。がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物の使用。
特許請求の範囲 【請求項1】
がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための、医薬組成物。
【請求項2】
一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記がん細胞が、ATPの産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【化1】
JP2018079855A1_000034t.gif
式(I)において、Aは、置換基を有する若しくは非置換の単環、二環若しくは二環縮合のアリール基又はヘテロアリール基であり、
Xは、酸素原子、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-SO2-であり、
1は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基であり、
2は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又はハロゲン原子であり、
3は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化2】
JP2018079855A1_000035t.gif
式(II)において、R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
4及びR5は、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
4及びR5は、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。
【請求項6】
前記化合物が、下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
【化3】
JP2018079855A1_000036t.gif
式(III)において、Aは、置換基を有する若しくは非置換の単環、二環若しくは二環縮合のアリール基又はヘテロアリール基であり、
Xは、酸素原子、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-SO2-であり、
1は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基であり、
2は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又はハロゲン原子であり、
4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基であり、;又は、
4及びR5は、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
4及びR5は、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。
【請求項7】
がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤を含有又は併用する、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、
がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進させることを含む、方法。
【請求項9】
一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記がん細胞が、ATPの産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
一酸化窒素産生の亢進が、がん細胞に請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体に請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物を投与することにより行われる、請求項7から10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤をがん細胞に取り込ませることを含む、請求項8から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
一酸化窒素産生の亢進が、さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を、がん細胞に接触させるか、又はがん細胞を有する生体に投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物の使用。
【請求項16】
一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記がん細胞が、ATPの産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞である、請求項14又は15に記載の使用。
【請求項18】
前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である、請求項14から16のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤の併用を含む、請求項14から17のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤の併用を含む、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法であって、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項23】
さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤を対象に投与することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を対象に投与することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
細胞内の一酸化窒素の産生低下に起因する疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、
請求項5で規定された一般式(I)で表される化合物、請求項6で規定された一般式(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を、有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項26】
生活習慣病及び/又はメタボリックシンドロームの予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、
請求項5で規定された一般式(I)で表される化合物、請求項6で規定された一般式(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を、有効成分として含む、医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物、その使用、及び、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、血管内皮性一酸化窒素産生促進及び/又は内皮性一酸化窒素合成酵素活性剤を含有する動脈閉塞症治療剤を開示する。
【0003】
特許文献2は、マクロファージからの一酸化窒素の産生を亢進する成分を含有する抗腫瘍剤を開示する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-186434号公報
【特許文献2】特開2012-153612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法、及びそのための医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一態様において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、がん細胞内において一酸化窒素の産生を亢進させることを含む方法に関する。
本開示は、その他の態様において、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物に関する。
本開示は、その他の態様において、がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物の使用に関する。
本開示は、その他の態様において、細胞内の一酸化窒素の産生低下に起因する疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物、並びにそのための方法に関する。
本開示は、その他の態様において、生活習慣病及び/又はメタボリックシンドロームの予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物、並びにそのための方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、一態様において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本開示に係る化合物によってがん細胞内のNO産生量が亢進することを確認した結果のグラフである。
【図2】図2は、本開示に係る化合物による抗腫瘍効果をCF SE-DAによる生細胞染色で確認した結果の写真である。
【図3】図3は、本開示に係る化合物による抗腫瘍効果をWST-8アッセイで生細胞数測定をした結果のグラフである。
【図4】図4は、本開示に係る化合物によるカスパーゼ3の活性化をフローサイトメトリーによるドットプロットで確認した結果の図である。
【図5】図5は、本開示に係る化合物によるカスパーゼ3の活性化のNO依存性をフローサイトメトリーによるドットプロットで確認した結果の図である。
【図6】図6は、本開示に係る化合物による抗腫瘍効果とグルコース飢餓状態との関係を示すWST-8アッセイの結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、一態様において、がん細胞内で一酸化窒素(NO)産生を促進させると、当該がん細胞にプログラム細胞死を誘導できる、という新たな知見に基づく。

【0010】
がん細胞内のNO産生が亢進することにより当該がん細胞にプログラム細胞死が誘導されるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように考えられる。
細胞内でNO産生量が多くなると細胞内の酸化還元状態を維持するために還元型グルタチオンやチオレドキシンを利用し、それらを再還元するためにNADPHが消費されることになる。そして、量的に少なくなったNADPHを補充するため細胞はグルコースを消費してNADPHを産生する(ペントースリン酸回路)。また、細胞内NOの増加は、チオレドキシン活性を阻害する分子の減少も誘導する。その結果、正常細胞においては抗酸化作用が向上することとなる。
一方、がん細胞では、通常、酸化的リン酸化ではなく、解糖系でATPを産生する。そのため、がん細胞ではグルコース消費量が高い(ワールブルグ効果)。このようながん細胞でNO産生が亢進されると、量的に少なくなったNADPHを補充するため細胞はグルコースをより一層消費し、その結果、グルコースが欠乏してアポトーシスが誘導されることとなると推定される。但し、本開示はこれらのメカニズムに限定されなくてもよい。

【0011】
[がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法]
よって、本開示は、一態様において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、がん細胞内において一酸化窒素(NO)の産生を亢進させることを含む方法に関する(「本開示に係る誘導方法」ともいう)。

【0012】
本開示においてがん細胞は、ヒト又はヒト以外の動物の細胞をいう。また、本開示においてがん細胞とは、悪性腫瘍の細胞をいう。
本開示においてプログラム細胞死とは、アポトーシス、オートファジーを伴う細胞死、及び、ネクローシス型プログラム細胞死を含む。アポトーシスは、一又は複数の実施形態において、アポトーシスのマーカー(例えば、カスパーゼ3)の活性化を検出することで確認できる。オートファジー細胞死は、一又は複数の実施形態において、オートファジーのマーカー(例えば、LC3-II)の発現亢進で確認できる。

【0013】
がん細胞内のNO産生を亢進させる方法としては、限定されない一又は複数の実施形態において、がん細胞内のNO産生を亢進できる化合物を接触させることが挙げられる。がん細胞内におけるNO産生亢進は、限定されない一又は複数の実施形態において、膜貫通型蛋白質を介したNO産生亢進である。前記膜貫通型蛋白質としては、Gタンパク質共役受容体(GPCR)やその他のチャネルが挙げられ、一又は複数の実施形態において、S1P3、ADOR1、TRPV1、TRPV3、及びTRPA1が挙げられるがこれらに限定されない。がん細胞内のNO産生を亢進できる化合物としては、一又は複数の実施形態において、がん細胞における一酸化窒素合成酵素(NOS)等を活性化させ、NO産生を誘導可能な化合物が挙げられる。該化合物としては、一又は複数の実施形態において、後述する本開示に係る化合物が挙げられる。

【0014】
がん細胞内のNO産生を亢進させる方法としては、一又は複数の実施形態において、後述する本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物による方法が挙げられる。すなわち、がん細胞に本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体に本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物を投与することにより行うことができる。本態様に係る方法は、in vivo、in vitro、ex vivoで行うことができる。

【0015】
がん細胞内のNO産生は、限定されない一又は複数の実施形態において、NO指示薬を使用して検出することができる。具体的には実施例に記載の方法が挙げられるが、これに限定されない。

【0016】
がん細胞内のNO産生を亢進させることでプログラム細胞死を誘導できるがん細胞としては、一又は複数の実施形態において、グルコース依存性が高いがん細胞が挙げられる。グルコース依存性の高いがん細胞とは、一又は複数の実施形態において、ATP産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞であり、あるいは、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞が挙げられる。
グルコース依存性が高いがん細胞は、例えば、PET(陽電子放射断層撮影)プローブ(18F-FDG;2-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース)を用いたPET検査により確認できる。
したがって、がん細胞内のNO産生を亢進させることでプログラム細胞死を誘導できるがん細胞としては、一又は複数の実施形態において、PET陽性のがん細胞が挙げられる。
がん細胞内のNO産生を亢進させることでプログラム細胞死を誘導できるがん細胞の種類又は病巣は特に限定されない。限定されない一又は複数の実施形態において、脳腫瘍、グリオブラストーマ、膵管がん、横紋筋肉腫、肺がん、大腸がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、又は、卵巣がんなどが挙げられる。

【0017】
本開示に係る誘導方法の一又は複数の実施形態において、プログラム細胞死の誘導効率向上の点から、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進させることに加えて、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体をがん細胞に取り込ませることが好ましい。そのようなグルコース誘導体としては、例えば、2-デオキシ-D-グルコース(2-DG)が挙げられる。2-DGを多く取り込む細胞は、その代謝過程において、解糖系では代謝できない2-DG-6リン酸を細胞内に蓄積する。その結果、解糖系とペントースリン酸経路が阻害され、NADPHの産生が低下し、NOによるプログラム細胞死の誘導効率が向上する。

【0018】
本開示に係る誘導方法の一又は複数の実施形態において、プログラム細胞死の誘導効率向上の点から、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進させることに加えて、がん細胞内のNADPHの産生を低下させることが好ましい。
NADPH産生の低下は、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、アミノ酸トランスポーターの阻害等により行うことができる。
ペントースリン酸経路の阻害としては、一又は複数の実施形態において、ヘキソース阻害作用を示す物質を用いることができる。
解糖系を阻害できる薬剤としては、一又は複数の実施形態において、ロニダニン、3-ブロモピルビン酸、イマチニブなどが挙げられる。

【0019】
本開示に係る誘導方法の一又は複数の実施形態において、本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物によるがん細胞内の一酸化窒素産生の亢進に加えて、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を、がん細胞に接触させるか、がん細胞を有する生体に投与することを含むことが好ましい。
一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質としては、一又は複数の実施形態において、該酵素により消費される物質が挙げられ、例えば、アルギニン、シトルリン、又はアルギノコハク酸等が挙げられる。

【0020】
本開示はさらに以下の限定されない一又は複数の実施形態に関する。
〔A1〕 がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進させることを含む方法。
〔A2〕 前記一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である〔A1〕に記載の方法。
〔A3〕 前記がん細胞が、ATPの産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞である〔A1〕又は〔A2〕に記載の方法。
〔A4〕 前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である〔A1〕から〔A3〕のいずれかに記載の方法。
〔A5〕 一酸化窒素産生の亢進が、がん細胞に本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体に本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物を投与することにより行われる〔A1〕から〔A4〕のいずれかに記載の方法。
〔A6〕 さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A1〕から〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A7〕 さらに、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害を行う剤をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A1〕から〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A8〕 さらに、解糖系の阻害剤をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A1〕から〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A9〕 さらに、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A1〕から〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A10〕 さらに、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A1〕から〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A11〕 プログラム細胞死が、アポトーシスである、〔A1〕から〔A10〕のいずれかに記載の方法。
〔A12〕 さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質をがん細胞に取り込ませることを含む、〔A5〕から〔A11〕に記載の方法。 〔A13〕 NO産生の亢進が、さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を、がん細胞に接触させるか、又はがん細胞を有する生体に投与することを含む、〔A5〕から〔A11〕に記載の方法。

【0021】
[がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物]
本開示は、一態様において、がん細胞内の一酸化窒素(NO)産生を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物に関する(「本開示に係る医薬組成物」ともいう)。本開示に係る医薬組成物は、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物を有効量含有することが好ましい。前記有効量とは、一又は複数の実施形態において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導できる量である。「がん細胞内のNO産生を亢進する化合物」については後述する。本開示に係る医薬組成物でプログラム細胞死が誘導できるがん細胞は、上述の、がん細胞内のNO産生を亢進させることでプログラム細胞死を誘導できるがん細胞と同様である。

【0022】
がん細胞内のNO産生を亢進する化合物によるNO産生の亢進は、限定されない一又は複数の実施形態において、膜貫通型蛋白質を介したNO産生亢進である。前記膜貫通型蛋白質としては、上述のようにGタンパク質共役受容体(GPCR)やその他のチャネルが挙げられる。

【0023】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、プログラム細胞死の誘導効率向上の点から、がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進させることに加えて、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤を含有又は併用することが好ましい。
NADPH産生の低下は、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、アミノ酸トランスポーターの阻害等により行うことができる。
ペントースリン酸経路の阻害としては、一又は複数の実施形態において、ヘキソース阻害作用を示す物質を用いることができる。
解糖系を阻害できる薬剤としては、一又は複数の実施形態において、ロニダニン、3-ブロモピルビン酸、イマチニブなどが挙げられる。

【0024】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、本開示に係る化合物又は本開示に係る医薬組成物によるがん細胞内のNO産生の亢進に加えて、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を含有又は併用することが好ましい。
一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質としては、一又は複数の実施形態において、該酵素により消費される物質が挙げられ、例えば、アルギニン、シトルリン、又はアルギノコハク酸等が挙げられる。

【0025】
本開示に係る医薬組成物は、プログラム細胞死の誘導効率向上の点から、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体をさらに含有してもよい。含有量としては、有効量が挙げられる。該有効量は、一又は複数の実施形態において、がん細胞の解糖系及び/又はペントースリン酸経路を阻害できる量が挙げられる。

【0026】
本態様の医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、周知の製剤技術を適用し、投与形態に適した剤形とすることができる。その投与形態としては、これらに限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤等の剤形による経口投与が挙げられる。或いは、注射剤、液剤、エアゾール剤、坐剤、貼布剤、パップ剤、ローション剤、リニメント剤、軟膏剤、点眼剤等の剤形による非経口投与を挙げることができる。これらの製剤は、これらに限定されないが、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造されうる。

【0027】
前記賦形剤としては、これらに限定されないがデンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。前記コーティング剤としては、これらに限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。前記結合剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。前記崩壊剤としては、これらに限定されないが、前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。前記安定化剤としては、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェエノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。前記矯味矯臭剤としては、これらに限定されないが、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。

【0028】
また、液剤の製造には、溶媒として、これらに限定されないが、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができ、必要に応じて界面活性剤又は乳化剤等も使用できる。前記界面活性剤又は乳化剤としては、これらに限定されないが、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。

【0029】
本態様の医薬組成物の使用方法は、症状、年齢、投与方法等により異なりうる。使用方法は、これらに限定されないが、有効成分であるがん細胞内のNO産生を亢進する化合物の体内濃度が100nM~1mMの間のいずれかになるように、間欠的若しくは持続的に、経口、経皮、粘膜下、皮下、筋肉内、血管内、脳内、又は腹腔内に投与することができる。限定されない実施形態として、経口投与の場合、対象(ヒトであれば成人)に対して1日あたり、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物で表される化合物に換算して、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg)、上限として、2000mg(好ましくは500mg、より好ましくは100mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。限定されない実施形態として、静脈内投与の場合には、対象(ヒトであれば成人)に対して1日当たり、下限として0.001mg(好ましくは0.01mg)、上限として、500mg(好ましくは50mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。

【0030】
本開示はさらに以下の限定されない一又は複数の実施形態に関する。
〔B1〕 がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための、医薬組成物。
〔B2〕 前記一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である〔B1〕に記載の医薬組成物。
〔B3〕 前記がん細胞が、ATPの産生が酸化的リン酸化よりも解糖系に依存するがん細胞である〔B1〕又は〔B2〕に記載の医薬組成物。
〔B4〕 前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である〔B1〕から〔B3〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B5〕 プログラム細胞死が、アポトーシスである、〔B1〕から〔B4〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B6〕 がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物が、後述する本開示に係る化合物である、〔B1〕から〔B5〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B7〕 さらに、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤を含有又は併用する、〔B1〕から〔B6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B8〕 さらに、前記がん細胞において、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害を行う剤を含有又は併用する、〔B1〕から〔B6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B9〕 さらに、解糖系の阻害剤を含有又は併用する、〔B1〕から〔B6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B10〕 さらに、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質を含有又は併用する、〔B1〕から〔B6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B11〕 さらに、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体を含有又は併用する、〔B1〕から〔B10〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔B12〕 さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を含有又は併用する、〔B1〕から〔B6〕のいずれかに記載の医薬組成物。

【0031】
[がん細胞内の一酸化窒素産生を亢進する化合物]
本開示における「がん細胞内の一酸化窒素(NO)産生を亢進する化合物」は、一又は複数の実施形態において、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である(「本開示に係る化合物」ともいう)。

【0032】
よって、本開示は、一態様において、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩に関する。
また、本開示は、その他の態様において、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩の使用、及び、それらを含む医薬組成物に関する。前記医薬組成物は、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する用途に使用できる。

【0033】
【化1】
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式(I)において、Aは、置換基を有する若しくは非置換の単環、二環若しくは二環縮合のアリール基又はヘテロアリール基であり、
Xは、酸素原子、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-SO2-であり、
1は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基であり、
2は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又はハロゲン原子であり、
3は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化2】
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式(II)において、R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
4及びR5は、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
4及びR5は、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。

【0034】
式(II)において、波線を付した結合手は、式(I)との結合部分を示す。

【0035】
上記一般式(I)のAとしては、一又は複数の実施形態において、下記が挙げられる。
【化3】
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【0036】
上記式で表されるAにおいて、R6—R9は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基である。あるいは、R6及びR7は、互いに隣り合って、置換基を有する若しくは非置換の単素環又は複素環を形成する。
6は、一又は複数の実施形態において、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-2アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基であり、R7は、一実施形態において、水素原子であり、あるいは、R6及びR7は、互いに隣り合って、置換基を有する若しくは非置換の6員の単素環又は複素環を形成する。
8及びR9は、一又は複数の実施形態において、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-2アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基である。
上記式において、波線を付した結合手は、式(I)におけるXとの結合部分を示す。

【0037】
上記一般式(I)のAとしては、一又は複数の実施形態において、下記が挙げられる。
【化4】
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【0038】
上記一般式(I)のR1としては、一又は複数の実施形態において、水素原子、C1-3アルキル基、ハロゲン置換C1-3アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基が挙げられる。R1としては、一又は複数の実施形態において、水素原子、C1-3アルキル基、又はハロゲン置換C1-3アルキル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。
上記一般式(I)のR2としては、一又は複数の実施形態において、水素原子が挙げられる。

【0039】
上記一般式(I)のR3としては、一又は複数の実施形態において、デカヒドロイソキノリン基、trans-デカヒドロイソキノリン基、及びcis-デカヒドロイソキノリン基等が挙げられ、具体的には、下記が挙げられる。
【化5】
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【0040】
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である。
【化6】
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【0041】
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、下記一般式(IVa)~(IVe)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である。

【0042】
【化7】
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【0043】
一般式(IVa)~(IVe)のXとしては、一又は複数の実施形態において、-C(=O)-、-C(=S)-、又は-SO2-であり、好ましくは-C(=S)-、又は-SO2-である。一般式(IVb)のXとしては、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する観点から、一又は複数の実施形態において、-SO2-である。一般式(IVc)のXとしては、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する観点から、一又は複数の実施形態において、-C(=O)-、又は-C(=S)-である。

【0044】
一般式(IVa)~(IVe)のAとしては、一又は複数の実施形態において、下記が挙げられる。
【化8】
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上記式において、R6は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基であり、R7は水素原子である。

【0045】
一般式(IVa)~(IVe)のAとしては、一又は複数の実施形態において、好ましくは、下記が挙げられる。
【化9】
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上記式において、R6は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基であり、一又は複数の実施形態において、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基であり、好ましくはフッ素原子又は臭素原子である。

【0046】
一般式(IVa)~(IVe)のAとしては、一又は複数の実施形態において、より好ましくは、下記が挙げられ、
【化10】
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さらに好ましくは、下記が挙げられる。
【化11】
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【0047】
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、下記一般式(Va)~(VIIIe)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である。

【0048】
【化12】
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【0049】
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、下記一般式(IXa)~(XIIe)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である。

【0050】
【化13】
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【0051】
上記一般式(III)~(XIIe)において、A及びR1—R6は、上記一般式(I)における説明を参照できる。

【0052】
上記一般式(I)及び(III)~(XIIe)において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する観点から、R1は、ハロゲントリ置換C1-3アルキル基が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基であり、R2は、水素原子又はハロゲン原子が好ましく、より好ましくは水素原子であり、R6は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はヒドロキシ基であり、さらに好ましくはフッ素原子又は臭素原子である。

【0053】
本開示において、C1-6アルキル基としては、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基、2-メチル-2-プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、3-メチル-1-ブチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、1-へキシル基、2-へキシル基、3-へキシル基、2-メチル-1-ペンチル基、3-メチル-1-ペンチル基、4-メチル-1-ペンチル基、2-メチル-2-ペンチル基、3-メチル-2-ペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-メチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ペンチル基、2,3-ジメチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-1-ブチル基、2,2-ジメチル-1-ブチル基、2-エチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-2-ブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基等の直鎖又は分枝アルキル基、及び、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基が挙げられる。

【0054】
本開示において、C2-6アルケニル基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数2~6個の直鎖状または分枝鎖状のアルケニル基を意味し、具体的には例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。

【0055】
本開示において、C2-6アルキニル基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数2~6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキニル基を意味し、具体的には例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。

【0056】
本開示において、C1-6アルコキシ基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したオキシ基であることを意味し、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-プロピルオキシ基、2-プロピルオキシ基、2-メチル-1-プロピルオキシ基、2-メチル-2-プロピルオキシ基、1-ブチルオキシ基、2-ブチルオキシ基、1-ペンチルオキシ基、2-ペンチルオキシ基、3-ペンチルオキシ基、2-メチル-1-ブチルオキシ基、3-メチル-1-ブチルオキシ基、2-メチル-2-ブチルオキシ基、3-メチル-2-ブチルオキシ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシ基、1-へキシルオキシ基、2-へキシルオキシ基、3-へキシルオキシ基、2-メチル-1-ペンチルオキシ基、3-メチル-1-ペンチルオキシ基、4-メチル-1-ペンチルオキシ基、2-メチル-2-ペンチルオキシ基、3-メチル-2-ペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、2-メチル-3-ペンチルオキシ基、3-メチル-3-ペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-1-ブチルオキシ基、3,3-ジメチル-1-ブチルオキシ基、2,2-ジメチル-1-ブチルオキシ基、2-エチル-1-ブチルオキシ基、3,3-ジメチル-2-ブチルオキシ基、2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ基等が挙げられる。

【0057】
本開示において、C1-6アルキルチオ基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したチオ基であることを意味し、具体的には例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、1-プロピルチオ基、2-プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基等が挙げられる。

【0058】
本開示において、C1-6アルキルスルホニル基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したスルホニル基であることを意味し、具体的には例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、1-プロピルスルホニル基、2-プロピルスルホニル基等が挙げられる。

【0059】
本開示において、C1-6アルコキシカルボニル基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したカルボニル基であることを意味し、具体的には例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1-プロピルオキシカルボニル基、2-プロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0060】
本開示において、C6-10アリール基とは、一又は複数の実施形態において、炭素数6~10の芳香族性の炭化水素環式基をいい、具体的には例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基などが挙げられる。

【0061】
本開示において、「複素環」とは、環を構成する原子中に1~2個のヘテロ原子を含有し、環中に二重結合を含んでいてもよく、非芳香族性の環または芳香族性の環を意味する。本開示において、「ヘテロ原子」とは、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を意味する。本開示において、複素環は、二環又はそれ以上の環が縮合した縮合複素環であってもよい。

【0062】
本開示において、「含窒素複素環」とは、環を構成する原子中に1~2個の窒素原子を含有し、環中に二重結合を含んでいてもよく、非芳香族性の環または芳香族性の環を意味する。含窒素複素環が縮合複素環の場合、窒素原子は少なくとも1つの環に存在すればよい。

【0063】
本開示において、置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、C1-6アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、カルバモイル基、C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジC1-6アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルカノイルアミノ基、又はC1-6アルキルスルホンアミド基が挙げられる。本開示において、ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0064】
また、本開示に係る化合物は、不斉炭素原子が存在する場合、及び/又は、立体異性体が存在する場合、一又は複数の実施形態において、各異性体の混合物、又は、単離されたものである。立体異性体の特に限定されない一又は複数の実施形態において、シス-トランス異性体が挙げられる。

【0065】
本開示において「プロドラッグ」は、一又は複数の実施形態において、生体内で容易に加水分解され、式(I)で表される化合物を再生するものが挙げられ、例えばカルボキシル基を有する化合物であればそのカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物、アルキルチオカルボニル基となった化合物、又はアルキルアミノカルボニル基となった化合物が挙げられる。また、例えばアミノ基を有する化合物であれば、そのアミノ基がアルカノイル基で置換されアルカノイルアミノ基となった化合物、アルコキシカルボニル基により置換されアルコキシカルボニルアミノ基となった化合物、アシロキシメチルアミノ基となった化合物、又はヒドロキシルアミンとなった化合物が挙げられる。また例えば水酸基を有する化合物であれば、その水酸基が前記アシル基により置換されてアシロキシ基となった化合物、リン酸エステルとなった化合物、又はアシロキシメチルオキシ基となった化合物が挙げられる。これらのプロドラッグ化に用いる基のアルキル部分としては前記アルキル基が挙げられ、そのアルキル基は置換(例えば炭素原子数1~6のアルコキシ基等により)されていてもよい。一又は複数の実施形態において、例えばカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物を例にとれば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニル、メトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、ピバロイロキシメトキシカルボニルなどのアルコキシ基により置換された低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニルが挙げられる。

【0066】
本開示において「製薬上許容される塩」とは、薬学的、薬理的、及び/又は医薬的に許容される塩を含有し、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性又は塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。

【0067】
前記無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。

【0068】
前記無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。

【0069】
前記酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられる。前記塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などが挙げられる。

【0070】
本開示において「化合物の塩」には、化合物が大気中に放置されることにより、水分を吸収して形成されうる水和物が包含され得る。また、本開示において「化合物の塩」には、化合物が他のある種の溶媒を吸収して形成されうる溶媒和物も包含され得る。

【0071】
本開示に係る化合物としては、限定されない一又は複数の実施形態において、下記式の化合物が挙げられる。
【化14】
JP2018079855A1_000015t.gif

【0072】
本開示に係る化合物は、本開示に係る誘導方法(がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法)に使用でき、また、本開示に係る医薬組成物(がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物)の有効成分として使用できる。また、本開示に係る化合物は、本開示に係る医薬組成物と同様に、がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法に使用できる。
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
〔C1〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)の使用。
〔C2〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)及び、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤の使用。
〔C2-1〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)並びに、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害の使用。
〔C2-2〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)及び、解糖系の阻害剤の使用。
〔C2-3〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)及び、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質の使用。
〔C2-4〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)及び、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体の使用。
〔C2-5〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法における、がん細胞内のNO産生を亢進する化合物(本開示に係る化合物)及び、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質の使用。
〔C3〕 一酸化窒素産生の亢進が、膜貫通型蛋白質を介した一酸化窒素産生の亢進である〔C1〕又は〔C2〕に記載の使用。
〔C4〕 前記がん細胞が、酸化的リン酸化よりも解糖系によりATPを産生するがん細胞である〔C1〕から〔C3〕のいずれかに記載の使用。
〔C5〕 前記がん細胞が、ワールブルグ効果を発現しているがん細胞である〔C1〕から〔C4〕のいずれかに記載の使用。
〔C6〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物の使用。
〔C7〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、及び、がん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤の使用。
〔C7-1〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、並びに、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害の使用。
〔C7-2〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、及び、解糖系の阻害剤の使用。
〔C7-3〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、及び、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質の使用。
〔C7-4〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、及び、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体の使用。
〔C7-5〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療における、本開示に係る医薬組成物、及び、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質の使用。
〔C8〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における本開示に係る化合物の使用。
〔C9〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物及びがん細胞内のNADPHの産生を低下させる剤の使用。
〔C9-1〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物、並びに、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害の使用。
〔C9-2〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物、及び、解糖系の阻害剤の使用。
〔C9-3〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物、及び、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質の使用。
〔C9-4〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物、及び、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体の使用。
〔C9-5〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための医薬組成物の製造における、本開示に係る医薬組成物、及び、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質の使用。
〔C10〕 がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法であって、本開示に係る医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
〔C11〕 さらに、前記がん細胞において、がん細胞内のNADPHの産生を低下させることを含む、〔C10〕に記載の方法。
〔C12〕 さらに、解糖系の阻害、ペントースリン酸経路の阻害、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの阻害、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの阻害、及びアミノ酸トランスポーターの阻害からなる群から選択される少なくとも1つの阻害を対象に投与することを含む、〔C10〕に記載の方法。
〔C13〕 さらに、解糖系の阻害剤を対象に投与することを含む、〔C10〕に記載の方法。
〔C14〕 さらに、ヘキソキナーゼの阻害作用を有する物質を対象に投与することを含む、〔C10〕に記載の方法。
〔C15〕 さらに、解糖系で代謝できない又は解糖系で代謝できない中間代謝物となるグルコース誘導体を対象に投与することを含む、方法。
〔C16〕 さらに、一酸化窒素合成酵素の基質及び/又は基質となりうる物質を対象に投与することを含む、方法。

【0073】
[細胞内のNO産生低下に起因する疾病のための医薬組成物]
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、がん細胞以外の正常細胞内における一酸化窒素合成酵素(NOS)等を活性化させ、NO産生を誘導し、NO産生を亢進する効果を奏しうる。したがって、本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、細胞内のNO産生低下に起因する疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療に使用でき、また、該疾病のための医薬組成物の有効成分として使用できる。

【0074】
本開示は、その他の態様として、一般式(I)又は(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含む、細胞内のNO産生低下に起因する疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。

【0075】
本開示は、その他の態様として、細胞内のNO産生低下に起因する疾病を予防、改善、進行抑制、及び/又は治療する方法であって、必要とする対象に、一般式(I)又は(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を投与する方法に関する。

【0076】
細胞内のNO産生低下に起因する疾病としては、一又は複数の実施形態において、細胞内のNO産生低下に起因する循環器疾病等が挙げられる。NO産生低下に起因する疾病としては、一又は複数の実施形態において、高血圧、肺高血圧、呼吸不全、心不全、動脈硬化、高脂血症、及び冠動脈痙縮等が挙げられる。本開示において細胞は、ヒト又はヒト以外の動物の細胞をいう。

【0077】
[生活習慣病及び/又はメタボリックシンドロームのための医薬組成物]
本開示に係る化合物は、一又は複数の実施形態において、正常細胞内におけるNO産生を亢進する効果を奏しうることから、体内における炭水化物の消費を促進する効果を奏しうる。よって、本開示は、その他の態様として、一般式(I)又は(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含む、生活習慣病及び/又はメタボリックシンドロームの予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。

【0078】
本開示は、その他の態様として、生活習慣病及び/又はメタボリックシンドロームを予防、改善、進行抑制、及び/又は治療する方法であって、必要とする対象に、一般式(I)又は(III)で表される化合物若しくはそれらのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を投与する方法に関する。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本開示中に引用された文献のその全体は、本開示の一部として組み入れられる。
【実施例】
【0080】
製造例1:化合物1の製造
化合物1
【化15】
JP2018079855A1_000016t.gif
化合物1は、以下のように合成した。
【化16】
JP2018079855A1_000017t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(1.20 g,4.03 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(20 mL)溶液に、4-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(4-fluorobenzenesulfonyl chloride)(2.90 g, 14.9 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(1.00 mL, 7.23 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。次に、得られた反応粗生成物のテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(20 mL)溶液に室温でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1.0 M in THF,10 mL, 10 mmol)を加え、12時間撹拌した。減圧濃縮した後、得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage、SNAP Ultra 100 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、4-フルオロ-N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド(4-fluoro-N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl) -5-(trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(647 mg,1.42 mmol,35.2%)(化合物1)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.44 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.89-1.13 (m, 3H), 1.22-1.48 (m, 5H), 1.50-1.72 (m, 2H), 1.73-1.81 (m, 2H), 2.24 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.37-2.42 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 2H), 7.09-7.16 (m, 3H), 7.26-7.30 (m, 1H), 7.82-7.88 (m, 3H), 7.98 (br s, 1H).
【実施例】
【0081】
製造例2:化合物2の製造
化合物2
【化17】
JP2018079855A1_000018t.gif
化合物2は、以下のように合成した。
【化18】
JP2018079855A1_000019t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.403 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(10 mL)溶液に、ベンゼンスルホニルクロリド(benzenesulfonyl chloride)(77 μL, 0.60 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.10 mL, 0.72 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、36時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(146 mg,0.33 mmol,83.1%)(化合物2)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.19 (ヘキサン/酢酸エチル = 20/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.78-1.12 (m, 3H), 1.13-1.48 (m, 5H), 1.55-1.80 (m, 4H), 2.20 (dd, 1H, J = 10.4, 10.4 Hz), 2.31-2.38 (m, 1H), 2.49-2.59 (m, 2H), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.26 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.42-7.47 (m, 2H), 7.51-7.57 (m, 1H), 7.81-7.85 (m, 2H), 7.87 (dd, 1H, J = 1.6 Hz), 7.97 (br s, 1H).
【実施例】
【0082】
製造例3:化合物3の製造
化合物3
【化19】
JP2018079855A1_000020t.gif
化合物3は、以下のように合成した。
【化20】
JP2018079855A1_000021t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(600 mg,2.03 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-トルエンスルホニルクロリド(4-toluenesulfonyl chloride)(460 mg, 2.41 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.33 mL, 2.39 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、24時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、20 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-トルエンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl) -5-(trifluoromethyl)phenyl)-4-toluenesulfonamide)(180 mg,0.397 mmol,19.9%)(化合物3)を無色の結晶として得た。TLC Rf 0.43 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88-1.14 (m, 3H), 1.24-1.48 (m, 5H), 1.50-1.82 (m, 4H), 2.20 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.35-2.41 (m, 4H), 2.54-2.59 (m, 2H), 7.12 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.22-7.26 (m, 3H), 7.70-7.73 (AA'BB', 2H), 7.86 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.95 (br s, 1H).
【実施例】
【0083】
製造例4:化合物4の製造
化合物4
【化21】
JP2018079855A1_000022t.gif
化合物4は、以下のように合成した。
【化22】
JP2018079855A1_000023t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.403 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(4-bromobenzenesulfonyl chloride)(310 mg, 1.21 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.20 mL, 1.45 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物を再沈殿(酢酸エチル/ヘキサン)することで、ビススルホニルイミド中間体(232 mg, 0.315 mmol, 78.4%)を得た。
次に、得られたビススルホニルイミド中間体(152 mg, 0.207 mmol)のテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(20 mL)溶液に室温でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1.0 M in THF,1.0 mL, 1.0 mmol)を加え、12時間撹拌した。減圧濃縮後、得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=20/1 to 10/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、4-ブロモ-N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド(4-bromo-N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5- (trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(101 mg,0.195 mmol,94.4%)(化合物4)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.23 (ヘキサン/酢酸エチル = 20/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88-1.12 (m, 3H), 1.32-1.50 (m, 5H), 1.61-1.73 (m, 2H), 1.73-1.81 (m, 2H), 2.23 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.32-2.40 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 2H), 7.15 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.28 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.56-7.61 (AA'BB', 2H), 7.67-7.70 (AA'BB', 2H), 7.84 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.99 (br s, 1H).
【実施例】
【0084】
製造例5:化合物5の製造
化合物5
【化23】
JP2018079855A1_000024t.gif
化合物5は、以下のように合成した。
【化24】
JP2018079855A1_000025t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.402 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、ピリジン-3-スルホニルクロリド塩酸塩(3-pyridinesulfonyl chloride hydrochloride)(130 mg, 0.607 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.40 mL, 2.89 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=5/1 to 1/1)で精製した後、分取用TLC(ヘキサン/酢酸エチル= 1/1)で再度精製することで、N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3-ピリジンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)-3-pyridine- sulfonamide)(22.8 mg,0.0519 mmol,12.9%)(化合物5)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.21 (ヘキサン/酢酸エチル = 2/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.87-1.13 (m, 3H), 1.22-1.51 (m, 5H), 1.52-1.81 (m, 4H), 2.24 (dd, 1H, J = 10.8 10.8 Hz), 2.36-2.42 (m, 1H), 2.51-2.63 (m, 2H), 7.16 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.41 (ddd, 1H, J = 8.0, 4.8, 0.8 Hz), 7.85 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.76 (dd, 1H, J = 4.8, 1.2 Hz), 9.04 (dd, 1H, J = 2.4, 0.8 Hz).
【実施例】
【0085】
製造例6:化合物6の製造
化合物6
【化25】
JP2018079855A1_000026t.gif
化合物6は、以下のように合成した。
【化26】
JP2018079855A1_000027t.gif
文献(PCT Int. Appl. (2009), WO 2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.402 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-トルエンスルホニルクロリド(4-toluenesulfonyl chloride)(140 mg, 0.617 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.10 mL, 0.72 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、20 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-[2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-ナフタレンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)-2-naphthalenesulfonamide)(50.6 mg,0.103 mmol,25.7%)(化合物6)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.34 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.82-1.12 (m, 3H), 1.23-1.80 (m, 9H), 2.14 (dd, 1H, J = 11.2, 11.2 Hz), 2.24-2.30 (m, 1H), 2.51-2.56 (m, 2H), 7.08 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.20-7.24 (m, 1H), 7.57-7.65 (m, 2H), 7.75 (dd, 1H, J = 8.6, 1.6 Hz), 7.85-7.93 (m, 3H), 7.97 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 8.08 (br s, 1H), 8.45 (s, 1H).
【実施例】
【0086】
製造例7:化合物7の製造
化合物7
【化27】
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化合物7は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0087】
製造例8:化合物8の製造
化合物8
【化28】
JP2018079855A1_000029t.gif
化合物8は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0088】
製造例9:化合物9の製造
化合物9
【化29】
JP2018079855A1_000030t.gif
化合物9は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0089】
製造例10:化合物10の製造
化合物10
【化30】
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化合物10は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0090】
製造例11:化合物11の製造
化合物11
【化31】
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化合物11は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0091】
製造例12:化合物12の製造
化合物12
【化32】
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化合物12は、上述の合成方法を参照して合成した。
【実施例】
【0092】
[がん細胞内におけるNO産生の誘導]
がん細胞内の一酸化窒素(NO)の産生量を、一酸化窒素検出指示薬を用いて確認した。すなわち、下記条件で培養するがん細胞に上記で調製した化合物1を10μMとなるように添加して10時間培養し、その後NO検出指示薬を接触させてフローサイトメトリーを行い、蛍光強度と細胞数分布を測定した。その結果を図1に示す。
がん細胞:ヒト子宮頚部がん細胞株HeLa
培養液の栄養源:0.1% Galactose, 5% FBSを含むMEM(No Glucose)
化合物1又はDMSO添加後の培養時間:10時間、37℃
一酸化窒素検出指示薬:Diaminofluorescein-FM diacetate(DAF-FM DA)
【実施例】
【0093】
図1に示されるとおり、化合物1が添加されると、細胞内のNO産生量が亢進することが確認された。
【実施例】
【0094】
[抗腫瘍作用]
がん細胞に対する抗腫瘍効果を、2つの方法により生細胞数を測定した。
すなわち、下記条件で培養するがん細胞に上記で調製した化合物1を5、10、又は20μMとなるように添加して4日間培養し、その後、CFSE-DAによる生細胞の蛍光染色(図2)、及びWST-8アッセイ(図3)によって化合物1のがん細胞に対する効果を確認した。
がん細胞:ヒト子宮頚部がん細胞株HeLa
培養液の栄養源:5% FBSを含むMEM
化合物1又はDMSO添加後の培養時間:4日間、37℃
CFSE:5- or 6-(N-Succinimidyloxycarbonyl)fluorescein 3',6'-diacetate
【実施例】
【0095】
図2及び3に示されるとおり、化合物1は、がん細胞の生存率を低下させる抗腫瘍効果を発揮した。
【実施例】
【0096】
[抗腫瘍作用はプログラム細胞死である]
前記抗腫瘍効果が、Caspase-3の活性化を伴うものであること、言い換えると、プログラム細胞死であることを確認した。
すなわち、下記条件で培養するがん細胞に上記で調製した化合物1-12を10μMとなるように添加して16時間培養し、その後カスパーゼ3基質及び膜非透過性DNA染色剤とを接触させてフローサイトメトリーを行い、2カラードットプロットを作成した。その結果を図4に示す。
がん細胞:ヒト子宮頚部がん細胞株HeLa
培養液の栄養源:0.1% Galactose, 5% FBSを含むMEM(No Glucose)
化合物1又はDMSO添加後の培養時間:16時間、37℃
カスパーゼ3基質:NucView(商標、Biotium社)488
膜非透過性DNA染色剤:RedDot(商標、Biotium社)2
【実施例】
【0097】
図4に示されるとおり、化合物1-12を接触させたがん細胞では、右下のRedDot(商標)2が陰性、かつ、NucView(商標)488が陽性の細胞率が6.7%を超える値に上昇した。例えば、化合物1は20.6%、化合物2は15.4%、化合物3は、12.9%、化合物4は、22.5%、化合物5は、15.7%、化合物11は、16.2%である。よって、化合物1-12ががん細胞にプログラム細胞死を誘導することが確認された。
【実施例】
【0098】
[誘導されるプログラム細胞死はNO依存性である]
前記Caspase-3活性化が、NO依存性であることをNO除去剤及びNO合成阻害剤を用いた2種類の方法で確認した。
すなわち、下記条件で培養するがん細胞に、まず、下記NO除去剤(0.2 mM)又はNO合成阻害剤(4 mM)を添加し1時間培養し、上記で調製した化合物1を10μMとなるように添加して15時間培養し、その後カスパーゼ3基質及び膜非透過性DNA染色剤とを接触させてフローサイトメトリーを行い、2カラードットプロットを作成した。その結果を図5に示す。
がん細胞:ヒト子宮頚部がん細胞株HeLa
培養液の栄養源:0.1% Galactose, 5% FBSを含むMEM(No Glucose)
NO除去剤及びNO合成阻害剤添加後の培養時間:1時間、37℃
NO除去剤:Carboxy-PTIO (cPTIO, NO scavenger)
NO合成阻害剤:L-NAME (NO synthatase inhibitor)
化合物1又はDMSO添加後の培養時間:15時間
カスパーゼ3基質:NucView(商標、Biotium社)488
膜非透過性DNA染色剤:DRAQ7(商標、BioStatus社)
【実施例】
【0099】
図5に示されるとおり、化合物1を接触させたがん細胞では、右下のDRAQ7(商標)が陰性、かつ、NucView(商標)488が陽性である細胞率が7.8%から36.1%に上昇したが、cPTIO及びL-NAME存在下では該細胞率がそれぞれ13.9%及び22.7%にまで抑制されていた。よって、化合物1により誘導されるプログラム細胞死はNO依存性であることが確認された。
【実施例】
【0100】
すなわち、上記実験結果から、化合物1はがん細胞においてNO産生を亢進し、がん細胞にNO依存性のプログラム細胞死を誘導することが確認された。
【実施例】
【0101】
[プログラム細胞死はグルコース飢餓で促進される]
化合物1によるがん細胞のプログラム細胞死は、グルコース飢餓状態で促進されることを確認した。
すなわち、がん細胞に化合物1を作用させるときの培地の栄養源をグルコース(Glc)及びガラクトース(Gal)のいずれかにして16時間培養し、WST-8アッセイによりがん細胞の生存率を測定した。その結果を図6に示す。
がん細胞:ヒト子宮頚部がん細胞株HeLa
化合物1添加前の培地:10% FBSを含むMEM
化合物1添加後の培地:0.1% Glucoseあるいは0.1% Galactose, 5% FBSを含むMEM(No Glucose)
化合物1添加後の培養時間:16時間、37℃
【実施例】
【0102】
図6に示されるとおり、化合物1によるがん細胞のプログラム細胞死は、グルコース枯渇状態で促進されることが確認された。
【実施例】
【0103】
[抗腫瘍作用]
化合物1は、複数のがん細胞株に対して抗腫瘍効果を発現することが確認されている。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5