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明細書 :スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための医薬組成物及び治療方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年12月12日(2019.12.12)
発明の名称または考案の名称 スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための医薬組成物及び治療方法
国際特許分類 A61K  45/00        (2006.01)
A61P   1/00        (2006.01)
A61P   1/02        (2006.01)
A61P   1/04        (2006.01)
A61P   3/00        (2006.01)
A61P   5/00        (2006.01)
A61P   7/00        (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
A61P  11/02        (2006.01)
A61P  11/00        (2006.01)
A61P  13/02        (2006.01)
A61P  13/12        (2006.01)
A61P  19/00        (2006.01)
A61P  21/00        (2006.01)
A61P  21/04        (2006.01)
A61P  25/00        (2006.01)
A61P  25/08        (2006.01)
A61P  25/14        (2006.01)
A61P  25/16        (2006.01)
A61P  25/18        (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
A61P  27/02        (2006.01)
A61P  27/16        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P   9/06        (2006.01)
A61P   9/04        (2006.01)
A61K  31/38        (2006.01)
A61K  31/52        (2006.01)
A61K  31/428       (2006.01)
A61K  31/4709      (2006.01)
A61K  31/4725      (2006.01)
A61K  31/4439      (2006.01)
FI A61K 45/00
A61P 1/00
A61P 1/02
A61P 1/04
A61P 3/00
A61P 5/00
A61P 7/00
A61P 9/00
A61P 11/02
A61P 11/00
A61P 13/02
A61P 13/12
A61P 19/00
A61P 21/00
A61P 21/04
A61P 25/00
A61P 25/08
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/18
A61P 25/28
A61P 27/02
A61P 27/16
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00 111
A61P 9/06
A61P 9/04
A61K 31/38
A61K 31/52
A61K 31/428
A61K 31/4709
A61K 31/4725
A61K 31/4439
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 53
出願番号 特願2019-500192 (P2019-500192)
国際出願番号 PCT/JP2018/006070
国際公開番号 WO2018/151326
国際出願日 平成30年2月20日(2018.2.20)
国際公開日 平成30年8月23日(2018.8.23)
優先権出願番号 2017029306
優先日 平成29年2月20日(2017.2.20)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】萩原 正敏
【氏名】網代 将彦
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C086
Fターム 4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
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4C084ZA062
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4C086AA01
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4C086ZA66
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4C086ZA94
4C086ZA96
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4C086ZC03
4C086ZC19
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC54
要約 スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための医薬組成物の提供。
スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を有効成分として含む、該遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物、及びスプライシング異常に起因する遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を用いて、該遺伝性疾病を予防、改善、進行抑制及び/又は治療する方法。
特許請求の範囲 【請求項1】
スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、
前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物は、前記スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物又はエクソン認識を抑制できる化合物である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記疾病は、ポンペ病、ムコ多糖症、先天性QT延長症候群、福山型先天性筋ジストロフィー、プロジェリア症候群、筋萎縮性側索硬化症、非定型腺線維症、自閉症、自閉症スペクトル障害、シャルコー・マリー・ツース病、CHARGE症候群、痴呆、てんかん、てんかん性脳症、家族性自律神経失調症、家族性成長ホルモン単独欠損症II型、フレイジャー症候群、前頭側頭認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、マルファン症候群、精神遅滞、メンケス病、筋ジストロフィー、筋疾患、筋緊張性ジストロフィーI型、筋緊張性ジストロフィー2型、フォン・レックリングハウゼンNF、末梢NF、後頭部ホーン症候群、網膜芽細胞腫、統合失調症、結節性硬化症、ファブリー病、ホモシスチン尿症、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群、毛細血管拡張性運動失調症/ルイ=バー症候群、リンチ症候群、神経線維腫症1型、結節性硬化症、非定型ピリドキシン依存性てんかん、レーバー先天性黒内障、アルポート症候群、慢性肉芽腫症、17αヒドロキシラーゼ欠損症、X連鎖低リン血症、多発性嚢胞腎疾患、バーター症候群、Becker型筋ジストロフィー、結腸癌・T細胞急性リンパ芽球性白血病、不整脈、心筋症、カーニー複合、繊毛機能不全症候群、コケイン症候群、先天性グリコシル化異常症I型、コルネリア・デ・ランゲ症候群、嚢胞性線維症、難聴、拡張性心筋症、Duchenne型筋ジストロフィー、家族性大腸腺腫症、肥大型心筋症、線維軟骨形成症、フィンランド型先天性ネフローゼ症候群、βガラクトシダーゼ欠損症、糖原病III型、遺伝性腫瘍症候群、ヘルマンスキー・パドラック症候群、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症、I細胞病、若年性ポリポーシス症候群、肢帯型筋ジストロフィー、滑脳症、胎便性イレウス、メロシン欠損型筋ジストロフィー、先天性鏡像運動症、三好型筋ジストロフィー、ムコリピドーシスIII型、ミオパチー、早期発症-無反射-呼吸窮迫-嚥下障害、ネマリンミオパチー、非免疫性胎児水腫、中性脂肪蓄積ミオパチー、非ケトーシス型高グリシン血症、Hurler症候群、メープルシロップ尿症、減歯症-大腸直腸癌症候群、口腔顔面指趾症候群、脳回転状萎縮症、ナンシー・スウィーニー症候群、掌蹠角化症、フェニルケトン尿症、下垂体ホルモン欠損症、ピリドキシン依存性てんかん、重症型複合免疫不全症、乳児重症ミオクロニーてんかん、筋細管ミオパチー、ソトス症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、結節生硬化症、及び家族性腫瘍状石灰化症からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記スプライシング異常は、CFTR、GLA、MTRR、BRCA2、ATM、MSH2、NF1、TSC2、CEP290、COL4A3、CYBB、CYP17A1、FBN1、PHEX、PKHD1、COL4A5、CLCNKA、DMD、BRCA1、PALB2、BAX、KCNH2、TNNT2、PRKAR1A、CHD7、ZMYND10、ERCC8、SSR4、NIPBL、RDX、OTOF、SMPX、TTN、APC、MYBPC3、COL11A1、NPHS1、GALC、AGL、CDH1、STK11、HPS5、TACR3、GNPTAB、SMAD4、CAPN3、PAFAH1B1、MLH1、PMS2、GUCY2C、LAMA2、DCC、ANO5、GNPTG、MEGF10、NEB、PNPLA2、GLDC、IDUA、BCKDHA、AXIN2、OFD1、OAT、COL11A2、SERPINB7、LRRK2、PAH、POU1F1、DSP、ALDH7A1、JAK3、SCN1A、MTM1、NSD1、SMN1、ANO10、IKBKAP、及びGALNT3からなる群から選択される1又は2以上の遺伝子に関連する、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物は、式(II)、(II')、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【化1】
JP2018151326A1_000037t.gif
1a及びR2aは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、置換若しくは無置換のベンジル基、置換若しくは無置換のヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のヘテロアリールエチル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換基若しくは無置換のアルコキシアミドアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、或いは、R1aとR2aは結合してNとともに環を形成し、前記環が、置換若しくは無置換の単環式複素環、又は置換若しくは無置換の二環式複素環である;
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のC1-C6アルコキシ基である;
1は、N又はCHである;
2は、-N(R3)-、S又はOである;
3は、水素原子、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1a及びR2aが置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、C1-C6アルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、C1-C6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;

式(III)において、
7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、又はC2-C6アルケニル基である;
9は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、-OR10、-NHR10、又は-N(R102である;
10は、水素原子、又はC1-C10アルキル基である;

式(IV)において、
11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-C6アルキル基である;
13は、
【化2】
JP2018151326A1_000038t.gif
であり、Zは、a及びbで印をつけた原子と共に、1つのベンゼン環、1つの複素芳香環、1つ以上のベンゼン環が縮合した芳香環、1つ以上の複素芳香環が縮合した複素芳香環、1つ以上のベンゼン環と1つ以上の複素芳香環とが縮合した混合縮合多環、及び、環状脂肪族からなる群から選択される環を形成し、前記環は水素、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基である置換基を1つ以上有してもよい;
14は、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基である;

式(V)において、
3及びX4は、それぞれ独立して、S又はNHであり、
15は、
【化3】
JP2018151326A1_000039t.gif
であり、Zは、a及びbで印をつけた原子と共に、1つのベンゼン環、1つの複素芳香環、1つ以上のベンゼン環が縮合した芳香環、1つ以上の複素芳香環が縮合した複素芳香環、1つ以上のベンゼン環と1つ以上の複素芳香環とが縮合した混合縮合多環、及び、環状脂肪族からなる群から選択される環を形成し、前記環は水素、ハロゲン原子又はC1-C6アルキル基である置換基を1つ以上有してもよい;
16は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C6アルキル基である;

式(VI)及び(VII)において、
17及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、C1-C6のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
18は、-R22、-C≡C-R22、-CH=CH-R22、又は-O-(CH2)n-R22であり、nは1~6であり、R22は、水素原子、水酸基、C1-C8アルキル基、-Si(R233、並びに、置換若しくは無置換のフェニル基、単環式複素芳香環基又は環状脂肪族基であり、或いは、R17とR18は結合して環を形成し、-R17-R18-が、-(CH2)m-CH2-、-CH=CH-、-(CH2)m-O-、又はハロゲン原子で置換されたこれらのものであり、mは1~6であり、R23は、水素原子、C1-C6アルキル基、卜リハ口メチル基、又は水酸基であり、-Si(R233中の3つのR23はそれぞれ異なっていてもよい;
20及びR21は、水素原子又はC1-C6アルキル基である;

式(VIII)において、
5は、
【化4】
JP2018151326A1_000040t.gif
であって、R26、R27、R28は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4アルキル基である;
6は、-(結合手)、又は-NH-である;
24は、
【化5】
JP2018151326A1_000041t.gif
であって、R29、R30、R31、及びR32は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4アルキル基である;
25は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C4アルキル基である。
【請求項6】
式(VIII)で表される化合物は、下記の化合物からなる群から選択される、請求項5記載の医薬組成物。
【化6】
JP2018151326A1_000042t.gif

【請求項7】
スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法であって、
前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を、必要とされる対象に投与することを含む、方法。
【請求項8】
下記式(IX)若しくは(IX')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化7】
JP2018151326A1_000043t.gif
式(IX)及び(IX')において、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖のアルキル基、炭素数2-6の分枝のアルキル基、炭素数3-6の環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1-6の直鎖のアルキル基、炭素数2-6の分枝のアルキル基若しくは炭素数3-6の環状のアルコキシ基である;
1は、N又はCHである;
2は、-N(R3)-、S又はOである;
3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖のアルキル基、炭素数2-6の分枝のアルキル基、炭素数3-6の環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、炭素数1-6の直鎖のアルキル基、炭素数2-6の分枝のアルキル基、炭素数3-6の環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖のアルキル基、炭素数2-6の分枝のアルキル基、炭素数3-6の環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
【請求項9】
下記式(X)若しくは(X')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化8】
JP2018151326A1_000044t.gif
式(X)及び(X')において、
5は、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエトキシ基である;
6は、2-フリル基、2-チアゾリル基又は4-ピリジル基である;
1は、N又はCHである;
2は、NH、NCH3、S又はOである;
X'は、水素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はフッ素原子である。
【請求項10】
ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療方法であって、
請求項8又は9に記載の医薬組成物を必要とされる対象に投与することを含む、方法。
【請求項11】
下記式(III)、(VI)、(VII)若しくは(VIII)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、嚢胞性線維症の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化9】
JP2018151326A1_000045t.gif
式(III)において、
7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、又はC2-C6アルケニル基である;
9は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、-OR10、-NHR10、又は-N(R102である;
10は、水素原子、又はC1-C10アルキル基である;

式(VI)及び(VII)において、
17及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、C1-C6のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
18は、-R22、-C≡C-R22、-CH=CH-R22、又は-O-(CH2)n-R22であり、nは1~6であり、R22は、水素原子、水酸基、C1-C8アルキル基、-Si(R233、並びに、置換若しくは無置換のフェニル基、単環式複素芳香環基、又は環状脂肪族基であり、或いは、R17とR18は結合して環を形成し、-R17-R18-が、-(CH2)m-CH2-、-CH=CH-、-(CH2)m-O-、又はハロゲン原子で置換されたこれらのものであり、mは1~6であり、R23は、水素原子、C1-C6アルキル基、卜リハ口メチル基、又は水酸基であり、-Si(R233中の3つのR23はそれぞれ異なっていてもよい;
20及びR21は、水素原子又はC1-C6アルキル基である;

式(VIII)において、
5は、
【化10】
JP2018151326A1_000046t.gif
であって、R26、R27、R28は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4アルキル基である;
6は、-(結合手)、又は-NH-である;
24は、
【化11】
JP2018151326A1_000047t.gif
であって、R29、R30、R31、及びR32は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C4アルキル基である;
25は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C4アルキル基である。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための医薬組成物、及びそれを用いたスプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、選択的スプライシングを検出できるレポーターシステム及びそれを用いて選択的スプライシングに影響を及ぼす化合物を同定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2011/152043号(US9273364B2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプライシング異常に起因する様々な遺伝性疾病が知られている。その一つとしてファブリー病がある。ファブリー病は、スプライシング変異による選択的スプライシング等の遺伝子変異が一因である疾患の一つである。ファブリー病の治療方法としては、近年、遺伝子組み換えα-ガラクトシダーゼA(GLA)酵素タンパク質を用いた酵素補充療法がようやく開発されているが、まだ対症療法が多く行われている。このため、ファブリー病にかかわらず、スプライシング異常に起因する様々な遺伝性疾病のための新たな根本的治療法が求められている。
【0005】
本開示は、一又は複数の実施形態において、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療が可能な医薬組成物、それを用いたスプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一又は複数の実施形態において、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を有効成分として含む医薬組成物に関する。
【0007】
本開示は、一又は複数の実施形態において、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法であって、前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を、必要とする対象に投与することを含む方法に関する。
【0008】
本開示は、一又は複数の実施形態において、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、該ファブリー病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる有効成分を含む医薬組成物に関する。
【0009】
本開示は、一又は複数の実施形態において、下記式(I)若しくは(I')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化1】
JP2018151326A1_000003t.gif
式(I)及び(I')において、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
【0010】
本開示は、一又は複数の実施形態において、下記式(IX)若しくは(IX')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化2】
JP2018151326A1_000004t.gif
式(IX)及び(IX')において、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルコキシ基である;
1は、N又はCHである;
2は、-N(R3)-、S又はOである;
3は、水素原子、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
【0011】
本開示は、一又は複数の実施形態において、下記式(X)若しくは(X')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化3】
JP2018151326A1_000005t.gif
式(X)及び(X')において、
5は、水素原子、メトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエトキシ基である;
6は、2-フリル基、2-チアゾリル基又は4-ピリジル基である;
1は、N又はCHである;
2は、NH、NCH3、S又はOである;
X'は、水素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はフッ素原子である。
【0012】
本開示は、一又は複数の実施形態において、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法であって、本開示に係る医薬組成物を必要とされる対象に投与することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、遺伝性疾病で確認されるスプライシング変異を説明する概念図である。
【図2】図2は、GLA遺伝子偽エクソンスキッピング評価系ベクターを説明する図である。pAM1は正常なIVS4配列からなり、pAM2はIVS4+919G>A変異を有する。第4エクソンから第5エクソンを含むmRNA前駆体が転写され、同変異を有する患者由来細胞のスプライシング変化が再現される。pAM1及びpAM2は、IVS4+919G>Aの点変異以外の配列は共通である。
【図3】図3は、化合物1の投与によるIVS4+919G>A変異に起因したファブリー病におけるGLA遺伝子偽エクソンの阻害効果の一例を示す。図3Aは、RT-PCRにより正常型及びIVS4+919G>A変異型のGLAのスプライシングに関して、化合物1の処理により正常型のアイソフォーム(pseudo exon skipping)の産生が回復することを確認した一例である。パネル下段は細胞内Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)によるコントロールであり、解析に用いたRNA量が等量であることを示す。図3Bは、化合物1によるGLAのスプライシング制御と、活性型酵素の回復を説明する模式図である。
【図4】図4は、化合物1の投与によるIVS4+919G>A変異に起因したファブリー病におけるGLA遺伝子偽エクソンの阻害効果の一例を示す。
【図5】図5は、家族性自律神経失調症におけるIKBKAP遺伝子のスプライシング変異に対するSPREADDリポーター系の構成の一例を説明する図である。
【図6】図6は、化合物III-1の投与による嚢胞性線維症におけるCFTR遺伝子偽エクソンの阻害効果の一例を示す。
【図7】図7は、化合物III-1の投与によるアルポート症候群におけるCOL4A5遺伝子、及び結節性硬化症におけるTSC2遺伝子における、機能性アイソフォーム誘導効果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
スプライシング異常に起因する様々な遺伝性疾病が知られている。遺伝性疾病で確認されるスプライシング変異は、1)エクソンスキッピング型、2)スプライス部位選択型、3)イントロン保持型、及び4)偽エクソン型に分類される(図1)。

【0015】
エクソンスキッピング型変異は、通常は認識されるエクソンが、エクソン又は周辺イントロン配列に変異が生じることにより認識されなくなる(スキッピングが生じる)スプライシング変異をいう。エクソンスキッピング変異は、5'スプライス部位の抑制若しくは消失、3'スプライス部位の抑制若しくは消失、エンハンサー配列の抑制若しくは消失、又はサイレンサー配列の形成を引き起こす。エクソンスキッピング型変異のうち、スプライシングに必須の5'スプライス部位+1,+2のGU、3'スプライス部位の-1,-2のAGにおける変異を除く変異型がスプライシング治療薬の標的として想定される。

【0016】
スプライス部位選択変異は、エクソン領域又はイントロン領域におけるスプライシング調節配列の変異により、複数の5'スプライス部位又は3'スプライス部位が生じるスプライシング変異をいう。エクソンスキッピング型変異と同様に、スプライシングに必須の5'スプライス部位+1,+2のGU、3'スプライス部位の-1,-2のAGにおける変異を除く変異型がスプライシング治療薬の標的として想定される。

【0017】
イントロン保持型変異は、5'スプライス部位又は3'スプライス部位周辺のエクソン又はイントロン領域における変異によりイントロン領域の認識(intron definition)が不完全になり、イントロン保持が誘導されるスプライシング変異をいう。エクソンスキッピング型変異と同様に、スプライシングに必須の5'スプライス部位+1,+2のGU、3'スプライス部位の-1,-2のAGにおける変異を除く変異型がスプライシング治療薬の標的として想定される。

【0018】
偽エクソン型変異は、本来はイントロン領域である配列が、変異が生じることによりエクソンとして認識されるスプライシング変異をいう。偽エクソン型変異は、イントロン領域の変異により、5’スプライス部位の形成、3’スプライス部位の形成、エンハンサー配列の形成、又はサイレンサー配列の抑制若しくは消失が引き起こされることで生じる。偽エクソン型変異は、いずれの変異型類もスプライシング治療薬の標的として想定される。

【0019】
本発明者らは、スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物、及び該スプライシングに対してエクソン認識を抑制できる化合物を見出した。また、スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物が、エクソンスキッピング型変異及び偽エクソン型変異の双方に対して、治療効果を示すことを見出した。また、スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を抑制できる化合物が、偽エクソン型変異に対して治療効果を示すことを見出した。スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を抑制できる化合物が、不完全長終止コドン(premature termination codon、PTC)が導入されたエクソン(PTC型エクソン)に対して、機能性スプライシングアイソフォームを誘導し、PTCを回避することができる効果を示すことを見出した。

【0020】
エクソンスキッピング型変異によるスプライシング異常に起因する遺伝性疾病としては、例えば、ポンペ病、ムコ多糖症、先天性QT延長症候群、福山型先天性筋ジストロフィー、プロジェリア症候群、筋萎縮性側索硬化症、非定型腺線維症、自閉症、自閉症スペクトル障害、シャルコー・マリー・ツース病、CHARGE症候群、痴呆、てんかん、てんかん性脳症、家族性自律神経失調症(IKBKAP)、家族性成長ホルモン単独欠損症II型、フレイジャー症候群(Frasier syndrome)、前頭側頭認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、マルファン症候群、精神遅滞、メンケス病、筋ジストロフィー、筋疾患、筋緊張性ジストロフィーI型、筋緊張性ジストロフィー2型、神経線維腫症1型、フォン・レックリングハウゼンNF、末梢NF、後頭部ホーン症候群、網膜芽細胞腫、統合失調症、及び結節性硬化症等が挙げられる。

【0021】
偽エクソン型変異によるスプライシング異常に起因する遺伝性疾病としては、例えば、ファブリー病(GLA)、嚢胞性線維症(CFTR)、ホモシスチン尿症(MTRR)、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(BRCA1、BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症/ルイ=バー症候群(ATM)、リンチ症候群(MSH2)、神経線維腫症1型(NF1)、結節性硬化症(TSC2)、非定型ピリドキシン依存性てんかん(ALDH7A1)、レーバー先天性黒内障(CEP290)、アルポート症候群(COL4A3)、慢性肉芽腫症(CYBB)、17αヒドロキシラーゼ欠損症(CYP17A1)、マルファン症候群(FBN1)、X連鎖低リン血症(PHEX)、及び多発性嚢胞腎疾患(PKHD1)等が挙げられる(括弧内は偽エクソンを有する原因遺伝子)。

【0022】
スプライシングアイソフォームの誘導により同様なPTCの回避が期待される遺伝性疾患遺伝性疾病としては、例えば、アルポート症候群(COL4A5)、バーター症候群(CLCNKA)、Becker型筋ジストロフィー(DMD)、遺伝性卵巣癌、乳癌(BRCA1, BRCA2, PALB2)、結腸癌・T細胞急性リンパ芽球性白血病(BAX)、不整脈(KCNH2)、心筋症(TNNT2)、カーニー複合(PRKAR1A)、CHARGE症候群(CHD7)、慢性肉芽腫症(CYBB)、繊毛機能不全症候群(ZMYND10)、コケイン症候群(ERCC8)、先天性グリコシル化異常症I型(SSR4)、コルネリア・デ・ランゲ症候群(NIPBL)、嚢胞性線維症(CFTR)、難聴(RDX、OTOF、SMPX)、拡張性心筋症(DSP)、Duchenne型筋ジストロフィー(TTN、DMD)、家族性大腸腺腫症(APC)、肥大型心筋症(MYBPC3)、線維軟骨形成症(COL11A1)、フィンランド型先天性ネフローゼ症候群(NPHS1)、βガラクトシダーゼ欠損症(GALC)、糖原病III型(AGL)、遺伝性腫瘍症候群(CDH1、STK11)、ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS5)、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(TACR3)、I細胞病(GNPTAB)、若年性ポリポーシス症候群(SMAD4)、肢帯型筋ジストロフィー(CAPN3、ANO5)、滑脳症(PAFAH1B1)、リンチ症候群(MLH1、PMS2)、マルファン症候群(FBN1)、胎便性イレウス(GUCY2C)、メロシン欠損型筋ジストロフィー(LAMA2)、先天性鏡像運動症(DCC)、三好型筋ジストロフィー、ムコリピドーシスIII型(GNPTG)、ミオパチー、早期発症-無反射-呼吸窮迫-嚥下障害(MEGF10)、ネマリンミオパチー、非免疫性胎児水腫(NEB)、中性脂肪蓄積ミオパチー(PNPLA2)、非ケトーシス型高グリシン血症(GLDC)、Hurler症候群(IDUA)、メープルシロップ尿症(BCKDHA)、減歯症-大腸直腸癌症候群(AXIN2)、口腔顔面指趾症候群(OFD1)、脳回転状萎縮症(OAT)、ナンシー・スウィーニー症候群(COL11A2)、掌蹠角化症(SERPINB7)、パーキンソン病(LRRK2)、フェニルケトン尿症(PAH)、下垂体ホルモン欠損症(POU1F1)、ピリドキシン依存性てんかん(ALDH7A1)、重症型複合免疫不全症(JAK3)、乳児重症ミオクロニーてんかん(SCN1A)、筋細管ミオパチー(MTM1)、ソトス症候群(NSD1)、脊髄性筋萎縮症(SMN1)、脊髄小脳失調症(ANO10)、結節生硬化症(TSC2)、及び家族性腫瘍状石灰化症(GALNT3)等が挙げられる(括弧内はPTCを有する原因遺伝子)。

【0023】
[スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための医薬組成物]
本開示は、一又は複数の実施形態において、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を有効成分として含む、医薬組成物に関する。本開示の医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、前記スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物、及び該スプライシングに対してエクソン認識を抑制できる化合物の少なくとも一方を有効成分として含む。

【0024】
スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物としては、一又は複数の実施形態において、式(II)、(II')、及び(III)で表される化合物が挙げられる。該スプライシングに対してエクソン認識を抑制できる化合物としては、一又は複数の実施形態において、式(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で表される化合物が挙げられる。

【0025】
【化4】
JP2018151326A1_000006t.gif

【0026】
式(II)及び(II')において、
1a及びR2aは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、置換若しくは無置換のベンジル基、置換若しくは無置換のヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のヘテロアリールエチル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換基若しくは無置換のアルコキシアミドアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、或いは、R1aとR2aは結合してNとともに環を形成し、前記環が、置換若しくは無置換の単環式複素環、又は置換若しくは無置換の二環式複素環である;
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のC1-C6アルコキシ基である;
1は、N又はCHである;
2は、-N(R3)-、S又はOである;
3は、水素原子、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1a及びR2aが置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、C1-C6アルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。

【0027】
式(II)又は(II')において、X1とX2とがそれぞれNとNHである場合、上記式(II)と(II')とはそれぞれ互変異性体である。上記具体例では一方のみを例示している場合もあるが、本開示において、互変異性体の一方の開示は、他方の互変異性体も開示するものとする。式(II)又は(II')で表される化合物は、不斉炭素原子が存在する場合、及び/又は、立体異性体が存在する場合、一又は複数の実施形態において、各異性体の混合物、又は、単離されたものである。

【0028】
式(III)において、
7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、又はC2-C6アルケニル基である;
9は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基、-OR10、-NHR10、又は-N(R102である;
10は、水素原子、又はC1-C10アルキル基である。

【0029】
式(IV)において、
11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-C6アルキル基である;
13は、
【化5】
JP2018151326A1_000007t.gif
であり、Zは、a及びbで印をつけた原子と共に、1つのベンゼン環、1つの複素芳香環、1つ以上のベンゼン環が縮合した芳香環、1つ以上の複素芳香環が縮合した複素芳香環、1つ以上のベンゼン環と1つ以上の複素芳香環とが縮合した混合縮合多環、及び、環状脂肪族からなる群から選択される環を形成し、前記環は水素、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基である置換基を1つ以上有してもよく、波線を付した結合手は、式(IV)との結合部分を示す;
14は、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基である。

【0030】
式(V)において、
3及びX4は、それぞれ独立して、S又はNHであり、
15は、
【化6】
JP2018151326A1_000008t.gif
であり、Zは、a及びbで印をつけた原子と共に、1つのベンゼン環、1つの複素芳香環、1つ以上のベンゼン環が縮合した芳香環、1つ以上の複素芳香環が縮合した複素芳香環、1つ以上のベンゼン環と1つ以上の複素芳香環とが縮合した混合縮合多環、及び、環状脂肪族からなる群から選択される環を形成し、前記環は水素、ハロゲン原子又はC1-C6アルキル基である置換基を1つ以上有してもよく、波線を付した結合手は、式(V)との結合部分を示す;
16は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C6アルキル基である;

【0031】
式(VI)及び(VII)において、
17及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、C1-C6のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
18は、-R22、-C≡C-R22、-CH=CH-R22、又は-O-(CH2)n-R22であり、nは1~6であり、R22は、水素原子、水酸基、C1-C8アルキル基、-Si(R233、並びに、置換若しくは無置換のフェニル基、単環式複素芳香環基、又は環状脂肪族基であり、或いは、R17とR18は結合して環を形成し、-R17-R18-が、-(CH2)m-CH2-、-CH=CH-、-(CH2)m-O-、又はハロゲン原子で置換されたこれらのものであり、mは1~6であり、R23は、水素原子、C1-C6アルキル基、卜リハ口メチル基、又は水酸基であり、-Si(R233中の3つのR23はそれぞれ異なっていてもよい;
20及びR21は、水素原子又はC1-C6アルキル基である。

【0032】
式(VIII)において、
5は、
【化7】
JP2018151326A1_000009t.gif
であって、R26、R27、R28は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4ルキル基であり、波線を付した結合手は、式(VIII)との結合部分を示す;
6は、-(結合手)、又は-NH-である;
24は、
【化8】
JP2018151326A1_000010t.gif
であって、R29、R30、R31、及びR32は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4アルキル基であり、波線を付した結合手は、式(VIII)との結合部分を示す;
25は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C4アルキル基である。

【0033】
本開示において、「置換若しくは無置換の」における置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基、又は低級アルキルスルホンアミド基が挙げられる。ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0034】
式(II)又は(II')で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化9】
JP2018151326A1_000011t.gif

【0035】
式(III)で表される化合物の一又は複数の実施形態において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、ハロゲン置換メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ハロゲン置換エチル基、又はトリフルオロエチル基であり、R9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、トリフルオロエチル基、-OR10、-NHR10、又は-N(R102であり、R10は、水素原子、メチル基、又はエチル基である。

【0036】
式(III)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化10】
JP2018151326A1_000012t.gif
上記式において、R9は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン置換若しくは無置換のC1-C10アルキル基であり、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、又はエチル基であり、R10は、水素原子、又はC1-C10アルキル基であり、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。

【0037】
式(III)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化11】
JP2018151326A1_000013t.gif

【0038】
式(IV)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化12】
JP2018151326A1_000014t.gif
上記式において、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-C6アルキル基であり、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基であり、より好ましくはメチル基であり、R14は、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基であり、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基であり、R33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はメチル基であり、より好ましくは一方が水素原子であり、他方が塩素原子又はメチル基であるか、または双方がメチル基である。

【0039】
式(IV)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化13】
JP2018151326A1_000015t.gif
上記式において、R33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はメチル基であり、より好ましくは一方が水素原子であり、他方が塩素原子又はメチル基であるか、または双方がメチル基である。

【0040】
式(IV)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化14】
JP2018151326A1_000016t.gif

【0041】
式(V)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化15】
JP2018151326A1_000017t.gif
上記式において、R16は、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル基であり、好ましくは水素原子であり、X4は、S又はNHである。

【0042】
式(VI)又は(VII)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化16】
JP2018151326A1_000018t.gif
18は、水素原子、水酸基、又はC1-C6アルキル基であり、好ましくは水素原子、水酸基又はメチル基である。

【0043】
式(VI)又は(VII)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化17】
JP2018151326A1_000019t.gif

【0044】
式(VIII)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化18】
JP2018151326A1_000020t.gif
上記式において、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、C1-C4アルキル基、又はハロゲン原子で置換されたC1-C4アルキル基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はメチル基である。

【0045】
式(VIII)で表される化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記化合物が挙げられる。
【化19】
JP2018151326A1_000021t.gif

【0046】
本開示の医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、式(II)、(II')、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)若しくは(VIII)で表される化合物又はそれらの組み合わせを有効成分として含み、さらに、医薬的に許容される担体、防腐剤、希釈剤、賦形剤又はその他の医薬的に許容される成分を含んでよい。

【0047】
[スプライシング異常に起因する遺伝性疾病のための予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法]
本開示は、その他の態様として、スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療の方法であって、前記遺伝性疾病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる化合物を、必要とされる対象に投与することを含む。化合物としては、一又は複数の実施形態において、スプライシング異常により認識が不完全となったスプライシングに対してエクソン認識を促進できる化合物又はエクソン認識を抑制できる化合物が挙げられ、特に限定されない具体例としては、式(II)、(II')、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で表される化合物が挙げられる。

【0048】
スプライシング異常に起因する遺伝性疾病の一つとして、ファブリー病がある。ファブリー病は、ライソゾーム加水分解酵素の一つであるGLA酵素の欠損によって、グロボトリアオシルセラミド(Gb3)等の糖脂質が細胞のライソゾームに蓄積し、その結果、心臓等の循環器や腎臓等といった様々な臓器に関連する様々な症状を引き起こす疾患である。
ファブリー病は、症状により、古典型、亜型、及びヘテロ接合型の3つの型に分類される。古典型ファブリー病は、通常、GLA酵素活性が低いかほとんど検出されない。一方、亜型ファブリー病、中でも主に心血管系に症状が表れる心型バリアント(心変異型ファブリー病)は、古典型ファブリー病に比べてGLA酵素活性が測定されることから、古典型ファブリー病に比べて発症年齢が遅い。ヘテロ接合型の場合は組織ごとのX染色体不活性化の影響から個人差があるが、多くの場合ファブリー病の症状が認められる。

【0049】
心肥大患者においてファブリー病スクリーニングが行われ、その結果、左室肥大を有する日本人男性患者の3.0%(Nakao S et al., NEJM 333, 288-293, 1995)、40歳以降に肥大型心筋症と診断された英国人患者の6.3%(Sachdev B et al., Circulation 105, 1407-1411, 2002)、肥大型心筋症を有するイタリア人女性患者の12%(Chimenti C et al., Circulation 110, 1047-1053, 2004)に存在したと報告されている。このため、原因不明の左室肥大や肥大型心筋症を有する患者の中に、心変異型ファブリー病の患者が高い頻度で存在する可能性があることが指摘されている。

【0050】
心変異型ファブリー病の原因の一つとして、GLA遺伝子の第4イントロン内の一塩基置換(IVS4+919G>A変異)が報告されている。IVS4+919G>A変異は、GLA遺伝子の転写において選択的スプライシングを引き起こし、その結果ライソゾームのGLA酵素の欠損を引き起こす。このIVS4+919G>A変異を有する大人の台湾人において、心血管異常等が多く確認されていることが報告されている。また、台湾の新生児においてGLA酵素活性によるスクリーニングを行ったところ、血漿中のGLA酵素活性が低く、ファブリー病の原因変異が存在した新生児のうち、70~80%程度がIVS4+919G>A変異を有することが報告されている(Lin H-Y, et al., Circ Cardiovasc Genet 2(5) 450-456 2009, Hwu W-L et al., Hum Mutat 30(10) 1397-1405 2009)。

【0051】
[ファブリー病のための医薬組成物]
本開示は、一又は複数の実施形態において、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、該ファブリー病の発症又は進行の一因(ファブリー病の一因となる異常スプラシング)となるスプライシング異常を抑制できる有効成分を含む医薬組成物に関する。本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、ファブリー病の一因となるスプライシング異常を抑制するための用途に使用されうる。

【0052】
本開示において「ファブリー病の一因となるスプライシング異常」は、一又は複数の実施形態において、スプライスされる遺伝子の変異に起因する。ファブリー病の一因となる異常スプラシングとしては、限定されない一又は複数の実施形態において、IVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングが挙げられる(上述)。本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、ファブリー病の中でも、心変異型ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療の用途に使用されうる。

【0053】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、哺乳類細胞若しくは哺乳類個体においてファブリー病の一因となる異常スプラシングを変化させるための用途に使用されうる。該ファブリー病の一因となる異常スプラシングは、一又は複数の実施形態において、スプライスされる遺伝子の変異に起因し、さらなる一又は複数の実施形態において、IVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングである。

【0054】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、哺乳類細胞若しくは哺乳類個体においてファブリー病の一因となる異常スプラシングに対する正常型スプライシングの比率を増加させるための用途に使用されうる。該ファブリー病の一因となる異常スプラシングは、一又は複数の実施形態において、スプライスされる遺伝子の変異に起因し、さらなる一又は複数の実施形態において、IVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングである。

【0055】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、ヒト細胞若しくはヒト個体においてIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングを変化させるための用途に使用されうる。また、本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、ヒト細胞若しくはヒト個体においてIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシング異常に対する正常型スプライシングの比率を増加させるための用途に使用されうる。

【0056】
本開示において哺乳類細胞若しくはヒト細胞は、一又は複数の実施形態において、in vivo、in vitro、又は、ex vivoの細胞を含む。また、哺乳類細胞は、一又は複数の実施形態において、ヒト細胞又はヒト以外の哺乳類の細胞である。

【0057】
上記実施形態において、ヒト細胞及びヒト個体は、一又は複数の実施形態において、内在性のGLA遺伝子にIVS4+919G>A変異を有する。本開示において、IVS4+919G>A変異とは、上述のとおり、GLA遺伝子の第4イントロン内における一塩基置換(G→A)である。ヒト細胞及びヒト個体がIVS4+919G>A変異を有するか否かは、限定されない一又は複数の実施形態において、一塩基置換を検出できる方法が挙げられ、或いは、塩基配列シーケンス、アレイ、各種遺伝子増幅方法が挙げられる。

【0058】
本開示は、一態様において、式(I)若しくは(I')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物であって、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化20】
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【0059】
式(I)及び(I')において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。

【0060】
1及びR2における炭素数1-6の直鎖又は分枝のアルキル基としては、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基、2-メチル-2-プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、3-メチル-1-ブチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、1-へキシル基、2-へキシル基、3-へキシル基、2-メチル-1-ペンチル基、3-メチル-1-ペンチル基、4-メチル-1-ペンチル基、2-メチル-2-ペンチル基、3-メチル-2-ペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-メチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ペンチル基、2,3-ジメチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-1-ブチル基、2,2-ジメチル-1-ブチル基、2-エチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-2-ブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基等が挙げられる。また、R1及びR2における炭素数1-6の環状アルキル基としては、一又は複数の実施形態において、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。

【0061】
1及びR2におけるヘテロアリール(ヘテロアリールメチル基におけるヘテロアリールを含む)としては、一又は複数の実施形態において、窒素原子を1~2個含む5~6員単環式の基、窒素原子を1~2個と酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個とを含む5~6員単環式の基、酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個含む5員単環式の基、窒素原子1~4個を含み、6員環と5又は6員環が縮合した二環式の基などが挙げられる。また、その他の一又は複数の実施形態において、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-チエニル、3-チエニル、3-オキサジアゾリル、2-イミダゾリル、2-チアゾリル、3-イソチアゾリル、2-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、2-フリル、3-フリル、3-ピロリル、2-キノリル、8-キノリル、2-キナゾリニル、8-プリニルが挙げられる。R1及びR2におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素原子数10個以下のアリール基が挙げられる。

【0062】
1及びR2におけるアリール基及びヘテロアリール基上の置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基、又は低級アルキルスルホンアミド基が挙げられる。ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0063】
式(I)及び(I')において、R3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である。

【0064】
式(I)及び(I')において、R4は、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。

【0065】
3及びR4における炭素数1-6の直鎖又は分枝のアルキル基としては、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基、2-メチル-2-プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、3-メチル-1-ブチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、1-へキシル基、2-へキシル基、3-へキシル基、2-メチル-1-ペンチル基、3-メチル-1-ペンチル基、4-メチル-1-ペンチル基、2-メチル-2-ペンチル基、3-メチル-2-ペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-メチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ペンチル基、2,3-ジメチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-1-ブチル基、2,2-ジメチル-1-ブチル基、2-エチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-2-ブチル基、又は2,3-ジメチル-2-ブチル基等が挙げられる。また、R3及びR4における炭素数1-6の環状アルキル基としては、一又は複数の実施形態において、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルが挙げられる。

【0066】
3及びR4におけるヘテロアリール(ヘテロアリールメチル基におけるヘテロアリールを含む)としては、一又は複数の実施形態において、窒素原子を1~2個含む5~6員単環式の基、窒素原子を1~2個と酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個とを含む5~6員単環式の基、酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個含む5員単環式の基、窒素原子1~4個を含み、6員環と5又は6員環が縮合した二環式の基などが挙げられる。また、その他の一又は複数の実施形態において、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-チエニル、3-チエニル、3-オキサジアゾリル、2-イミダゾリル、2-チアゾリル、3-イソチアゾリル、2-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、2-フリル、3-フリル、3-ピロリル、2-キノリル、8-キノリル、2-キナゾリニル、又は8-プリニルが挙げられる。R1及びR2におけるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基等の炭素原子数10個以下のアリール基が挙げられる。

【0067】
3及びR4におけるアリール基及びヘテロアリール基上の置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基、又は低級アルキルスルホンアミド基が挙げられる。ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0068】
式(I)及び(I')において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、前述のR1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。

【0069】
Xにおける炭素数1-6の直鎖又は分枝のアルキル基(アルキルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基を含む)としては、一又は複数の実施形態において、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基、2-メチル-2-プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、3-メチル-1-ブチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、1-へキシル基、2-へキシル基、3-へキシル基、2-メチル-1-ペンチル基、3-メチル-1-ペンチル基、4-メチル-1-ペンチル基、2-メチル-2-ペンチル基、3-メチル-2-ペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-メチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ペンチル基、2,3-ジメチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-1-ブチル基、2,2-ジメチル-1-ブチル基、2-エチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-2-ブチル基、又は2,3-ジメチル-2-ブチル基等が挙げられる。また、Xにおける炭素数1-6の環状アルキル基(アルキルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基を含む)としては、一又は複数の実施形態において、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルが挙げられる。

【0070】
Xにおけるヘテロアリール(ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールメチル基におけるヘテロアリールを含む)としては、一又は複数の実施形態において、窒素原子を1~2個含む5~6員単環式の基、窒素原子を1~2個と酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個とを含む5~6員単環式の基、酸素原子を1個若しくは硫黄原子を1個含む5員単環式の基、窒素原子1~4個を含み、6員環と5又は6員環が縮合した二環式の基などが挙げられる。また、その他の一又は複数の実施形態において、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-チエニル、3-チエニル、3-オキサジアゾリル、2-イミダゾリル、2-チアゾリル、3-イソチアゾリル、2-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、2-フリル、3-フリル、3-ピロリル、2-キノリル、8-キノリル、2-キナゾリニル、8-プリニルが挙げられる。Xにおけるアリール基(アリールオキシ基及びアリールチオ基におけるヘテロアリールを含む)としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素原子数10個以下のアリール基が挙げられる。

【0071】
Xにおけるアリール基及びヘテロアリール基上の置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基、又は低級アルキルスルホンアミド基が挙げられる。

【0072】
Xにおけるハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0073】
本開示は、一態様において、式(IX)若しくは(IX')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物であって、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化21】
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【0074】
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルコキシ基である。
1は、N又はCHである。
2は、-N(R3)-、S又はOである。
3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である。
4は、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。

【0075】
式(IX)及び(IX')におけるR1、R2、R3、R4及びXは、式(I)及び(I')と同様である。

【0076】
5における炭素数1-6のアルコキシ基としては、一又は複数の実施形態において、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェニルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、又はシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。

【0077】
5におけるアルコキシ基上の置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基、又は低級アルキルスルホンアミド基が挙げられる。ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0078】
本開示は、一態様において、式(X)若しくは(X')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物であって、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物に関する。
【化22】
JP2018151326A1_000024t.gif
5は、水素原子、メトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエトキシ基である。
6は、2-フリル基、2-チアゾリル基又は4-ピリジル基である。
1は、N又はCHである。
2は、NH、NCH3、S又はOである。
X'は、水素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はフッ素原子である。

【0079】
本開示の化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記式の化合物が挙げられる。
【化23】
JP2018151326A1_000025t.gif
上記式において、Yはハロゲン原子である。Yにおけるハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、塩素、フッ素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0080】
本開示の化合物としては、一又は複数の実施形態において、下記式の化合物が挙げられる。
【化24】
JP2018151326A1_000026t.gif

【0081】
本開示において、X1とX2とがNとNHである場合、上記式(I)と(I')、(IX)と(IX')、(X)と(X')は、それぞれ互変異性体である。上記具体例では一方のみを例示している場合もあるが、本開示において、互変異性体の一方の開示は、他方の互変異性体も開示するものとする。

【0082】
式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)又は(X')で表される化合物は、不斉炭素原子が存在する場合、及び/又は、立体異性体が存在する場合、一又は複数の実施形態において、各異性体の混合物、又は、単離されたものである。

【0083】
本開示における式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)又は(X')で表される化合物は、WO2010/118367に開示される方法又はWO2016/115434に開示される方法を参酌して合成することができる。

【0084】
本開示において「プロドラッグ」は、一又は複数の実施形態において、生体内で一般式(I)、(I')、(II)、(II')、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IX')、(X)又は(X')で表される化合物に変換される化合物である。
カルボキシル基を有する化合物であれば、そのカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物、アルキルチオカルボニル基となった化合物、又はアルキルアミノカルボニル基となった化合物が挙げられる。アミノ基を有する化合物であれば、そのアミノ基がアルカノイル基で置換されアルカノイルアミノ基となった化合物、アルコキシカルボニル基により置換されアルコキシカルボニルアミノ基となった化合物、アシロキシメチルアミノ基となった化合物、又はヒドロキシルアミンとなった化合物が挙げられる。水酸基を有する化合物であれば、その水酸基が前記アシル基により置換されてアシロキシ基となった化合物、リン酸エステルとなった化合物、又はアシロキシメチルオキシ基となった化合物が挙げられる。これらのプロドラッグ化に用いる基のアルキル部分としては前述するアルキル基が挙げられ、そのアルキル基は置換(例えば炭素原子数1~6のアルコキシ基等により)されていてもよい。一又は複数の実施形態において、例えばカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物を例にとれば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニル、メトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、ピバロイロキシメトキシカルボニルなどのアルコキシ基により置換された低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニルが挙げられる。

【0085】
本開示において「製薬上許容される塩」とは、薬学的、薬理的、及び/又は医薬的に許容される塩を含有し、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性又は塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。

【0086】
前記無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。

【0087】
前記無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。

【0088】
前記酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられる。前記塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などが挙げられる。

【0089】
本開示において「化合物の塩」には、化合物が大気中に放置されることにより、水分を吸収して形成されうる水和物が包含され得る。また、本開示において「化合物の塩」には、化合物が他のある種の溶媒を吸収して形成されうる溶媒和物も包含され得る。

【0090】
本開示において「医薬組成物」は、一又は複数の実施形態において、周知の製剤技術を適用し、投与形態に適した剤形とすることができる。その投与形態としては、これらに限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、又は液剤等の剤形による経口投与が挙げられる。或いは、注射剤、液剤、エアゾール剤、坐剤、貼布剤、パップ剤、ローション剤、リニメント剤、軟膏剤、又は点眼剤等の剤形による非経口投与を挙げることができる。これらの製剤は、これらに限定されないが、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、矯味矯臭剤、又は希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造されうる。

【0091】
本開示に係る医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、治療効果を有する他の有効成分を含まず、或いは、さらに一又は複数の有効成分を含有する。

【0092】
賦形剤としては、これらに限定されないがデンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。前記コーティング剤としては、これらに限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。

【0093】
結合剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドン、マクロゴール及び賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。

【0094】
崩壊剤としては、これらに限定されないが、賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。

【0095】
安定化剤としては、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェエノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。

【0096】
矯味矯臭剤としては、これらに限定されないが、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。

【0097】
液剤の製造には、溶媒として、これらに限定されないが、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができ、必要に応じて界面活性剤又は乳化剤等も使用できる。界面活性剤又は乳化剤としては、これらに限定されないが、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。

【0098】
本開示に係る医薬組成物の使用方法は、症状、年齢、投与方法等により異なりうる。使用方法は、これらに限定されないが、有効成分である式(I)若しくは(I')で表される化合物の体内濃度が100nM~1mMの間のいずれかになるように、間欠的若しくは持続的に、経口、経皮、粘膜下、皮下、筋肉内、血管内、脳内、又は腹腔内に投与することができる。限定されない実施形態として、経口投与の場合、対象(ヒトであれば成人)に対して1日あたり、式(I)若しくは(I')で表される化合物に換算して、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg)、上限として、2000mg(好ましくは500mg、より好ましくは100mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。限定されない実施形態として、静脈内投与の場合には、対象(ヒトであれば成人)に対して1日当たり、下限として0.001mg(好ましくは0.01mg)、上限として、500mg(好ましくは50mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。

【0099】
[方法及び使用]
本開示は、その他の一態様において、以下の方法に関しうる。
ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングを変化させる方法。
ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシング異常に対する正常型スプライシングの比率を増加させる方法。

【0100】
これらの方法は、式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)若しくは(X')で表される化合物又は本開示に係る医薬組成物をヒト細胞又はヒト個体に接触させることにより達成されうる。

【0101】
in vitro又はex vivoのヒト細胞に式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)若しくは(X')で表される化合物又は本開示に係る医薬組成物を接触させる方法は、限定されない一又は複数の実施形態において、細胞培養液に式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)若しくは(X')で表される化合物若しくはその塩又は本開示に係る医薬組成物を添加することが挙げられる。添加濃度としては、限定されない一又は複数の実施形態において式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)若しくは(X')で表される化合物の濃度が100nM~1mMの間のいずれかになるように添加することが挙げられる。in vivoのヒト細胞及びヒト個体に(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)若しくは(X')で表される化合物又は本開示に係る医薬組成物を接触させる方法は、一又は複数の実施形態において、前述の医薬組成物の使用方法に準じることができる。

【0102】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[A1] ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物であって、該ファブリー病の発症又は進行の一因となるスプライシング異常を抑制できる有効成分を含む、医薬組成物。
[A2] 前記スプライシング異常が、GLA酵素の欠損及び活性低下の少なくとも一方の一因となるスプライシング異常である、[A1]記載の医薬組成物。
[A3] 前記スプライシング異常が、GLA遺伝子のIVS4+919G>A変異に起因するスプライシング異常である、[A1]又は[A2]に記載の医薬組成物。
[A4] 式(I)若しくは(I')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化25】
JP2018151326A1_000027t.gif
式(I)及び(I')において、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
[A5] 式(IX)若しくは(IX')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化26】
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式(IX)及び(IX')において、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
5は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルコキシ基である;
1は、N又はCHである;
2は、-N(R3)-、S又はOである;
3は、水素原子、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロアリール基、又はCH2OC(O)R4-である;
4は、C1-C6アルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリ-ルメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、R1及びR2が置換したアミノ基、アジド基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基、メルカプト基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、炭素数1-6の直鎖若しくは分枝若しくは環状のアルキル基、ベンジル若しくはヘテロアリールメチル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基である。
[A6] 下記式(X)若しくは(X')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物。
【化27】
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式(X)及び(X')において、
5は、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエトキシ基である;
6は、2-フリル基、2-チアゾリル基又は4-ピリジル基である;
1は、N又はCHである;
2は、NH、NCH3、S又はOである;
X'は、水素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はフッ素原子である。
[A7] ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングを変化させるための、又は
ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシング異常に対する正常型スプライシングの比率を増加させるための、[A1]から[A6]のいずれかに記載の医薬組成物。
[A8] ファブリー病の予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療方法であって、
[A1]から[A7]のいずれかに記載の医薬組成物を必要とされる対象に投与することを含む方法。
[A9] ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシングを変化させる方法、又は、
ヒト細胞若しくはヒト個体におけるIVS4+919G>A変異を有する変異GLA遺伝子のpre-mRNAで起きるスプライシング異常に対する正常型スプライシングの比率を増加させる方法であって、
前記細胞に[A1]から[A7]のいずれかに記載の医薬組成物を接触させることを含む方法。
[A10] [A8]又は[A9]に記載の方法における、[A1]から[A7]のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
[A11] [A1]から[A7]のいずれかに記載の医薬組成物を製造するための[A4]で規定された化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩の使用。

【0103】
[GLA欠損又は活性低下を予防又は改善可能な医薬組成物]
本開示は、一又は複数の実施形態において、GLA欠損が発症又は進行の一因となる疾病の医薬組成物であって、該スプライシング異常を抑制できる有効成分を含む医薬組成物に関する。

【0104】
本開示は、その他の一又は複数の実施形態において、GLA欠損が発症又は進行の一因となる疾病の医薬組成物であって、式(I)、(I')、(IX)、(IX')、(X)又は(X')で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。

【0105】
[嚢胞性線維症のための医薬組成物]
本発明者らは、式(III)、(VII)及び(VIII)で表される化合物が、嚢胞性線維症のCFTR遺伝子の3849+10kbC>T変異に起因する偽エクソンを抑制し、その結果、正常なCFTRスプライシング産物が回復するという新たな知見を見出した。
本開示は、その他の態様として、式(III)、(VI)、(VII)若しくは(VIII)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、嚢胞性線維症の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療のための医薬組成物、及びその方法に関する。また、本開示は、その他の態様として、式(III)、(VI)、(VII)若しくは(VIII)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分として含有する、嚢胞性線維症の予防、改善、進行抑制、及び/又は治療方法に関する。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本開示中に引用された文献は、すべて本開示の一部として組み入れられる。
【実施例】
【0107】
製造例1:化合物1の製造
【化28】
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化合物1は、WO2010/118367に開示される方法を参考に、以下のように合成した。
2,6-ジクロロ-1H-プリン(2,6-dichloro-1H-purine)(189mg,1.00mmol、商用品)とフルフリルアミン(furfurylamine)(97.0mg,1.00mmol、商用品)のアセトニトリル(acetonitrile)(20mL)溶液にトリエチルアミン(triethylamine)(0.15mL,1.08mmol)を室温で添加した。混合物を室温にて6時間撹拌した後、60℃にて3時間撹拌した。この混合溶液を減圧下で濃縮した後、水を加え、生じた白色沈殿をろ取した。得られた固体は、水、ジエチルエーテルで順次洗浄し、2-クロロ-N-(2-フラニルメチル)-7H-プリン-6-アミン(2-chloro-N-(2-furanylmethyl)-7H-purin-6-amine)(化合物1)(19.8mg,0.0795mmol,8.0%)を白色固体として得た。
TLC Rf 0.22 (酢酸エチル); 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 4.56-4.67 (br, 2H), 6.24-6.28 (br, 1H), 6.35-6.40 (br, 1H), 7.54-7.57 (br, 1H), 8.11-8.15 (br, 1H), 8.54-8.64 (br, 1H), 13.05-13.17 (br, 1H).
【実施例】
【0108】
製造例2
製造例1及びWO2010/118367に開示される方法を参考に、下記表1に示す化合物を合成した。
【表1】
JP2018151326A1_000031t.gif
製造例3
WO2010/010797に開示される方法を参考に、下記表2に示す化合物を合成した。
【表2】
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【実施例】
【0109】
製造例4:
WO2017/175842に開示される方法を参考に、下記の化合物VIII-A~VIII-Oを合成した。
【化29】
JP2018151326A1_000033t.gif
【実施例】
【0110】
[ファブリー病におけるGLA IVS4+919G>A変異に起因するスプライシング異常の評価系]
スプライシング操作化合物がGLA IVS4+919G>A変異に起因するスプライシング異常に与える影響を検討するための、サイトメガロウイルス(CMV)初期遺伝子プロモーター下流に正常なIVS4又はIVS4+919G>A変異を有するGLA exon 4からexon5の領域(GLA遺伝子配列におけるnt 7272-9215)をクローニングし、評価系となるベクターpAM1(正常型)及びpAM2(919 G>A変異型)を作製した(図2)。これらのベクターを培養細胞に導入することでファブリー病患者細胞におけるスプライシング異常(偽エクソンの取り込み)を再現し、化合物の治療効果の判定を行った。
【実施例】
【0111】
図2において、GLA遺伝子偽エクソンスキッピング評価系ベクターを示す。
図2に示すように、pAM1は正常なIVS4配列からなり、pAM2はIVS4+919G>A変異を有する。第4エクソンから第5エクソンを含むmRNA前駆体が転写され、同変異を有する患者由来細胞のスプライシング変化が再現される。pAM1及びpAM2はIVS4+919G>Aの点変異以外の配列は共通である。
【実施例】
【0112】
[化合物1によるIVS4+919G>A変異に起因するスプライシング異常(偽エクソンの認識)の抑制効果の確認]
ヒト上皮由来細胞株であるHeLa細胞を6cmプレート上で培養し(0.5x106 cells)、図2で示したベクターをそれぞれリポフェクション試薬により細胞内に導入した。導入4時間後に化合物1を0μM、5μM又は10μMの濃度で添加した(DMSO終濃度0.1%)。化合物1添加後24時間後に細胞内RNAを回収し、DNase処理およびRT-PCRを行い、GLAのスプライシングの変化を検討した。その結果を図3に示す。
【実施例】
【0113】
図3において、化合物1の投与によるIVS4+919G>A変異に起因したファブリー病におけるGLA遺伝子偽エクソンの阻害効果を示す。図3Aは、RT-PCRにより正常型およびIVS4+919G>A変異型のGLAのスプライシングに関して、化合物1の処理により正常型のアイソフォーム(pseudo exon skipping)の産生が回復することを確認した結果を示す。パネル下段は細胞内Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)によるコントロールであり、解析に用いたRNA量が等量であることを示す。また、図3Bは、化合物1によるGLAのスプライシング制御と、活性型酵素の回復を説明するための模式図である。
【実施例】
【0114】
図3Aに示すとおり、化合物1は、5μMという低い濃度でGLA遺伝子におけるスプライシング異常(偽エクソンの取り込み)を抑制できることが示された。また、化合物1によるスプライシング異常の抑制活性は、濃度依存的に増加することが示された。
【実施例】
【0115】
次に、図4Aに示すような、GLA遺伝子スプライシングに対して生細胞におけるスプライシング変化の可視化と定量解析を可能にする系であるSPREADDリポーター系を新規に構築した。該リポーター系において、偽エクソンが取り込まれた場合には赤色蛍光蛋白質(RFP)が発現し、偽エクソンがスキッピングされた場合には緑色蛍光蛋白質(GFP)が発現する。
【実施例】
【0116】
作製したSPREADDリポーターコンストラクトと、正常型リポーターコンストラクトとをHeLa細胞にトランスフェクションし、スプライシング異常が再現できるかRT-PCRを用いて確認した。その結果、図4Bに示す通り、正常型リポーターコンストラクトをトランスフェクションした細胞では、GFPとRFPとが発現することが確認され、作製したSPREADDリポーターコンストラクトをトランスフェクションした細胞では、RFPのみが発現が発現した。
作製したSPREADDリポーターコンストラクトをトランスフェクションしたHeLa細胞に、化合物1を接触させて培養した(濃度:10μM、20μM及び50μM)。24時間後に、蛍光観察を行った。その結果を図4Cに示す。図4Cのグラフは、コントロール(溶媒のみ)及び化合物1について、投与濃度と蛍光強度比(GFP/RFP)との関係を示す。同図に示す通り、化合物1は、濃度依存的にGFP/RFPが増加した。したがって、化合物Iにより、GLA遺伝子のIVS4+919G>A変異に起因する偽エクソンが濃度依存的に抑制されることが確認された。
【実施例】
【0117】
偽エクソンの取り込みは、心変異型ファブリー病におけるGLAの活性低下の直接的な原因である。このため、以上の結果より、化合物1によって、GLAの酵素活性の回復と心変異型ファブリー病の治療効果とが得られると考えられる。
【実施例】
【0118】
[IVS20+6T>C変異に起因するスプライシング異常(エクソンスキッピング)の抑制効果の確認]
図5に示すような、家族性自律神経失調症におけるIKBKAP遺伝子のスプライシング変異に対するSPREADDリポーター系を作製した。該リポーター系において、正常型スプライシングを受けた場合には、GFPが発現し、一方、異常スプライシングを受けた場合には、RFPが発現する。
【実施例】
【0119】
作製したSPREADDリポーターコンストラクトをトランスフェクションしたHeLa細胞に表3に示す化合物を接触させて培養し(濃度:10μM又は50μM)、24時間後に蛍光観察を行った。その結果、下記表3に示す化合物についてRFPよりもGFPの発現量が高く、エクソンスキッピングの抑制効果が確認された。よって、化合物1等の式(II)で表される化合物により、IVS20+6T>C変異に起因する異常スプライシングを抑制できることが確認できた。
【表3】
JP2018151326A1_000034t.gif
【実施例】
【0120】
[CFTR 3849+10kbC>T変異に起因するスプライシング異常(偽エクソン)の抑制効果の確認]
図6Aに示すような、嚢胞性線維症におけるCFTR遺伝子スプライシングに対して生細胞におけるスプライシング変化の可視化と定量解析を可能にする系であるSPREADDリポーター系を作製した。該リポーター系において、偽エクソンが取り込まれた場合にはRFPが発現し、偽エクソンがスキッピングされた場合にはGFPが発現する。
【実施例】
【0121】
作製したSPREADDリポーターコンストラクトをトランスフェクションしたHEK293細胞に、化合物III-1を接触させて培養した(濃度:10μM及び30μM)。6時間後に、蛍光観察を行った。その結果を図6Bに示す。
【化30】
JP2018151326A1_000035t.gif
【実施例】
【0122】
図6Bのグラフは、コントロール(溶媒のみ)及び化合物III-1について、投与濃度と蛍光強度比(GFP/RFP)との関係を示す。また、正常型リポーターコンストラクトをトランスフェクションしたHEK293細胞を培養した結果も併せて示す。同図に示す通り、化合物III-1は、濃度依存的にGFP/RFPが増加した。また、濃度が30μMの場合、蛍光強度比は、正常型と同程度のレベルであった。したがって、化合物III-1により、CFTR遺伝子の3849+10kbC>T変異に起因する偽エクソンが濃度依存的に抑制され、正常なCFTRスプライシング産物が回復する効果が確認された。
【実施例】
【0123】
化合物III-1に代えて、下記表に示す化合物を用いて同様の結果を行った(濃度:10μM)。その結果を下記表4に示す。
【表4】
JP2018151326A1_000036t.gif
【実施例】
【0124】
上記表に示すように、上記化合物A~Qは、化合物III-1と同程度又は化合物III-1よりも高い活性を示すことが確認できた。中でも化合物H、P及びQはRecovery rate(solvent処理のCFTR3849+10kb変異型ベクターのGFP/(GFP+RFP)値を0%、正常型ベクターのGFP/(GFP+RFP)値を100%とした場合の、化合物処理によるスプライシング回復効果)において有意差をもって活性を示し、特に化合物H及びQは化合物III-1と比較して高い活性値を示すことが確認できた。したがって、式(IV)、(VII)又は(VIII)で表される上記の化合物により、CFTR遺伝子の3849+10kbC>T変異に起因する偽エクソンが抑制され、正常なCFTRスプライシング産物が回復する効果が確認された。
【実施例】
【0125】
CFTR遺伝子のイントロン配列内に偽エクソンが生成し、それが取り込まれると停止コドンが導入され、その結果CFTRの機能が失われる。したがって、式(III)、(IV)、(VII)及び(VIII)で表される化合物によって、CFTR機能の正常化、及び嚢胞性線維症の治療効果が得られると考えられる。
【実施例】
【0126】
[PTC型エクソン認識の抑制効果の確認]
アルポート症候群におけるCOL4A5遺伝子(c.3710_3761del52欠失変異、PTC変異)、及び結節性硬化症におけるTSC2遺伝子(c.1783C>T、PTC型変異)に対して対象エクソン領域(COL4A5遺伝子exon 40, 41, 42、TSC2遺伝子exon15, 16, 17)をクローニングしたベクターをHeLa細胞において発現させ、化合物III-1(0μM,5μM,10μM,20μM,30μM,50μM)で処理した後にRNAを抽出し、RT-PCR法によりスプライシングアイソフォーム誘導の検証を行った。その結果を図7に示す。
【実施例】
【0127】
図7A及びBは、アルポート症候群におけるCOL4A5遺伝子(図7A)、結節性硬化症におけるTSC2遺伝子(図7B)のHeLa細胞におけるminigeneトランスフェクションにおけるRT-PCRの結果の一例である。図7A及びBに示すように、化合物III-1により、COL4A5遺伝子及びTSC2遺伝子において、濃度依存的なスプライシングの誘導効果が確認された。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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