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明細書 :骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年1月30日(2020.1.30)
発明の名称または考案の名称 骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法
国際特許分類 A61B  17/90        (2006.01)
A61B  17/16        (2006.01)
A61B  17/17        (2006.01)
FI A61B 17/90
A61B 17/16
A61B 17/17
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 30
出願番号 特願2019-506974 (P2019-506974)
国際出願番号 PCT/JP2018/011443
国際公開番号 WO2018/174169
国際出願日 平成30年3月22日(2018.3.22)
国際公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
優先権出願番号 2017057957
優先日 平成29年3月23日(2017.3.23)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】黒田 隆
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100128912、【弁理士】、【氏名又は名称】松岡 徹
【識別番号】110000682、【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
Fターム 4C160LL03
4C160LL12
4C160LL31
要約 トレフィン等の処置具を患者の骨に対して精度よく配置でき、且つ、ガイドピン等の位置決め部材によって処置具による処置に影響が及ぶことを抑制できる、骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法を提供する。
パラレルガイド5は、患者の大腿骨101に仮固定されるガイドピン2に連結される位置決め用ガイド部13と、大腿骨101に処置を施すためのトレフィン3が大腿骨101内に進入する位置と進入方向をガイド可能に構成され、かつ、位置決め用ガイド部13とは異なる箇所に配置された処置具用ガイド部14と、を有している。
特許請求の範囲 【請求項1】
患者の骨に仮固定される位置決め部材に連結される位置決め用ガイド部と、
前記骨に処置を施すための処置具が前記骨内に進入する位置と進入方向をガイド可能に構成され、かつ、前記位置決め用ガイド部とは異なる箇所に配置された処置具用ガイド部と、
を備えていることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項2】
請求項1に記載の骨処置用ガイドであって、
前記位置決め用ガイド部の形状が、前記処置具用ガイド部の形状とは異なることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項3】
請求項2に記載の骨処置用ガイドであって、
前記位置決め用ガイド部および前記処置具用ガイド部は、何れも、円筒形状に形成されており、
前記位置決め用ガイド部の直径は、前記処置具用ガイド部の直径よりも小さく設定されていることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の骨処置用ガイドであって、
術者が把持するための把持部と、
前記位置決め用ガイド部、前記処置具用ガイド部、および、前記把持部に連結された連結部と、
をさらに備えていることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の骨処置用ガイドであって、
前記位置決め用ガイド部は、一対で備えられ、
一対の前記位置決め用ガイド部のそれぞれは、前記処置具用ガイド部の長手方向と垂直な幅方向の両側のそれぞれにおいて、前記処置具用ガイド部に連結されていることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の骨処置用ガイドであって、
筒状に形成されている前記処置具用ガイド部の内側に着脱自在に挿入されることで前記処置具用ガイド部に対して交換可能に装着される筒状の交換部材を更に備え、
前記処置具は、前記処置具用ガイド部に装着された前記交換部材の内側に挿通されることで、前記骨内に進入する位置及び進入方向がガイドされることを特徴とする、骨処置用ガイド。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の骨処置用ガイド、並びに、イメージガイドをさらに含み、
前記イメージガイドは、
前記位置決め部材の配置を示す位置決め部材対応部と、
前記処置具の配置を示す処置具対応部と、
を備えていることを特徴とする、骨処置用ガイドセット。
【請求項8】
請求項7に記載の骨処置用ガイドセットであって、
前記位置決め部材対応部の外縁の形状が、前記位置決め部材の外縁の形状に対応し、
前記処置具対応部の外縁の形状が、前記処置具の外縁の形状に対応することを特徴とする、骨処置用ガイドセット。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の骨処置用ガイドセットであって、
前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとが、互いに固定され、一体の部材として形成されていることを特徴とする、骨処置用ガイドセット。
【請求項10】
請求項7又は請求項8に記載の骨処置用ガイドセットであって、
前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとを連結する連結棒を更に備え、
前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとが、前記連結棒を介して互いに着脱自在に連結されることを特徴とする、骨処置用ガイドセット。
【請求項11】
患者の骨に仮固定される位置決め部材の配置を示す位置決め部材対応部、および、前記骨に処置を施すための処置具の配置を示す処置具対応部、を含むイメージガイドの前記位置決め部材対応部によって前記位置決め部材の進路を確認する第1確認ステップと、
前記骨に仮固定された前記位置決め部材と請求項1~請求項6の何れか1項に記載の骨処置用ガイドの前記位置決め用ガイド部とを連結しつつ前記骨に対する前記骨処置用ガイドの位置を設定する位置設定ステップと、
前記イメージガイドの前記処置具対応部によって前記処置具の進路を確認する第2確認ステップと、
前記処置具を前記処置具用ガイド部でガイドしつつ前記骨内に進入させ前記処置具で前記骨の一部を採取する採骨ステップと、
を含んでいることを特徴とする、骨処置用ガイドの使用方法。
【請求項12】
請求項11に記載の骨処置用ガイドの使用方法であって、
前記採骨ステップで前記骨に形成された孔部を通して、前記骨内に骨組成物を導入する導入ステップをさらに含んでいることを特徴とする、骨処置用ガイドの使用方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の骨に治療等の処置を施す際に用いられる骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工関節手術や生体骨の治療においては、ドリルで骨に穴をあけることがあり、その際、ドリルを案内するためのガイドピンが使用される。そして、ガイドピンを正確に刺すための医療器具も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のガイドピン刺し通し器具は、ガイドピンを通すためのガイドピン挿通筒部を有している。ガイドピンは、挿通筒部内を通ることで挿通筒部に進行方向を案内されつつ、患者の脛骨に刺される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2015-100451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
骨に関する疾患の一つに、大腿骨頭壊死症が知られている。大腿骨頭壊死症は30歳代~40歳代に好発する難病(厚生労働省指定難病)である。大腿骨頭壊死症の患者の8割に、大腿骨頭の圧潰(圧壊)が発生することが知られている。大腿骨頭の圧潰は、歩行困難の原因となる。大腿骨頭壊死症の治療法の一つに、患者の股関節を人工股関節に置換する人工股関節置換術が挙げられる。しかしながら、人工股関節置換術は、股関節の入れ替えを伴う侵襲度の大きな手術が必要であり、感染症発生のおそれ、脱臼発生のおそれ等の点で手術に関する負担は大きい。
【0006】
また、大腿骨頭壊死症に対する別の処置の一つとして、骨頭圧潰前に予防的手術を行うことが知られている。この予防的手術は、徐放性に優れたbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)徐放化ゼラチンハイドロゲルを、大腿骨頭に単回局所投与する低侵襲手術である。この手術により、骨頭壊死の進行が抑えられる効果を期待することができる 。
【0007】
また、骨頭圧潰後の症例に対する治療として、大腿骨頭の壊死部に成長因子を徐放化した担体を投与するとともに、患者自身の骨を自家骨として壊死部に移植する術式を考えることができる。このような手術では、自家骨のみを壊死部に移植する、あるいは骨形成作用のある成長因子を徐放性基材としてのゼラチンハイドロゲルに含ませたものを、自家骨とともに骨頭内の壊死部に直接投与することとなる。なお、bFGF等の成長因子を単独で骨頭内に投与した報告は、本願出願時点で本願発明者が報告しているもの以外に日本国内外で存在しないと考えられる。
【0008】
自家骨移植では、患者の腸骨等、患部以外の部位から自家骨を採骨して移植に用いることが多い。この際、採骨部の痛みを伴うことが問題である。自家骨の採骨と骨移植を一度で済ませることが、手術の負担低減等の観点から好ましい。このため、患者の患部である大腿骨外側部(がいそくぶ)のうち正常な部分から自家骨を採取し、この自家骨を大腿骨頭内に供与する方法が考えられる。
【0009】
従来、大腿骨の一部を自家骨移植のため採骨する目的で、位置決め部材としてのガイドピンを大腿骨に刺し、このガイドピンを軸として穿骨器具である筒状のトレフィンを大腿骨に差し込み、大腿骨を削る方法がある。この方法で採取された骨は、ガイドピンが配置されていた箇所が孔になったドーナツ形状をしており、脆い。その上、トレフィンで採取される骨は、軸状のガイドピンと筒状のトレフィンとの間の狭い空間で採取されることとなり、採骨量が少ない。さらに、大腿骨に仮固定されたガイドピンの位置が採骨予定の箇所と異なる場合、トレフィンによる穿骨箇所が適切とならない可能性もある。このため、ガイドピンに対するトレフィンの採骨箇所をより正確に設定できるようにすることが好ましい。
【0010】
上記の課題は、大腿骨頭壊死症に対する処置以外の、骨への処置にも存在する。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づいて、トレフィン等の処置具を患者の骨に対して精度よく配置でき、且つ、ガイドピン等の位置決め部材によって処置具による処置に影響が及ぶことを抑制できる、骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するための本発明に係る骨処置用ガイドは、患者の骨に仮固定される位置決め部材に連結される位置決め用ガイド部と、前記骨に処置を施すための処置具が前記骨内に進入する位置と進入方向をガイド可能に構成され、かつ、前記位置決め用ガイド部とは異なる箇所に配置された処置具用ガイド部と、を備えている。
【0013】
この構成によると、術者の手作業等によって位置決め部材が骨に仮固定される。次いで、位置決め部材に位置決め用ガイド部を連結することで、位置決め部材に対する処置具用ガイド部の向きおよび位置が設定される。すなわち、骨処置用ガイドが、骨に対して正確に位置決めされる。これにより、骨処置用ガイドの処置具用ガイド部は、処置具が骨に対して正確な位置および進入方向に向かうように、当該処置具をガイドできる。例えば、処置具が採骨用のトレフィンである場合に、トレフィンを骨に対して正確な位置および進行方向に向かわせることができる結果、このトレフィンによって、大腿骨の所望の箇所を高い位置精度で採骨できる。さらに、位置決め用ガイド部の位置と処置具用ガイド部の位置とが異なる。これにより、位置決め用ガイド部に連結されている位置決め部材と、処置具用ガイド部にガイドされている処置具とを別々の箇所に配置できる。例えば、処置具としてのトレフィンが、ガイドピン等の位置決め部材を避けるようにして採骨する必要がない。これにより、トレフィンによって採取される骨が、位置決め部材の影響を受けてドーナツ形状等の脆い形状にならずに済み、さらに、トレフィンによる採骨量をより多くできる。以上の次第で、本発明によると、トレフィン等の処置具を患者の骨に対して精度よく配置でき、且つ、ガイドピン等の位置決め部材によって処置具による処置に影響が及ぶことを抑制できる、骨処置用ガイドを実現できる。
【0014】
(2)前記位置決め用ガイド部の形状が、前記処置具用ガイド部の形状とは異なる場合がある。
【0015】
この構成によると、位置決め用ガイド部の形状と処置具用ガイド部の形状とが異なっている構成との相乗効果により、術者は、位置決め用ガイド部材と処置具用ガイド部とをより確実に識別できる。
【0016】
(3)前記位置決め用ガイド部および前記処置具用ガイド部は、何れも、円筒形状に形成されており、前記位置決め用ガイド部の直径は、前記処置具用ガイド部の直径よりも小さく設定されている場合がある。
【0017】
(4)前記骨処置用ガイドは、術者が把持するための把持部と、前記位置決め用ガイド部、前記処置具用ガイド部、および、前記把持部に連結された連結部と、をさらに備えている場合がある。
【0018】
(5)前記位置決め用ガイド部は、一対で備えられ、一対の前記位置決め用ガイド部のそれぞれは、前記処置具用ガイド部の長手方向と垂直な幅方向の両側のそれぞれにおいて、前記処置具用ガイド部に連結されている場合がある。
【0019】
この構成によると、処置具用ガイド部の幅方向の両側のそれぞれに位置決め用ガイド部が連結されている。よって、術者は、位置決め部材に位置決め用ガイド部を連結する際に、処置具用ガイド部の幅方向の両側に設けられた一対の位置決め用ガイド部のうちのいずれか一方を選択して使用することができる。このため、処置具が骨内に進入する位置に対して、位置決め部材が、骨内に進入する処置具の幅方向の両側のいずれの位置において骨に仮固定される場合であっても、同じ骨処置用ガイドで対応することができる。例えば、処置具が採骨用のトレフィンである場合に、ガイドピン等の位置決め部材がトレフィンに対してトレフィンの幅方向のいずれの位置において大腿骨に仮固定される場合であっても、同じ骨処置用ガイドで対応することができる。このため、骨処置用ガイドが、左脚の手術及び右脚の手術のいずれで用いられる場合であっても、同じ骨処置用ガイドで対応することができる。
【0020】
(6)前記骨処置用ガイドは、筒状に形成されている前記処置具用ガイド部の内側に着脱自在に挿入されることで前記処置具用ガイド部に対して交換可能に装着される筒状の交換部材を更に備え、前記処置具は、前記処置具用ガイド部に装着された前記交換部材の内側に挿通されることで、前記骨内に進入する位置及び進入方向がガイドされる場合がある。
【0021】
この構成によると、処置具用ガイド部によって処置具の骨内への進入がガイドされる際には、処置具は、処置具用ガイド部に装着された交換部材の内側に挿通される。このため、処置具が、処置具用ガイド部に直接に接触して摩耗等の損傷を発生させることを防止できる。そして、骨処置用ガイドの使用の際に、交換部材の摩耗等の損傷が発生した場合であっても、交換部材のみを容易に交換することができる。このため、処置具用ガイド部を破損させることなく、交換部材の交換のみで、処置具用ガイド部を繰り返し使用することができる。
【0022】
(7)上記目的を達成するための本発明に係る骨処置用ガイドセットは、前記骨処置用ガイド、並びに、イメージガイドを含み、前記イメージガイドは、前記位置決め部材の配置を示す位置決め部材対応部と、前記処置具の配置を示す処置具対応部と、を備えている。
【0023】
この構成によると、位置決め部材対応部および処置具対応部を、例えば患者の表面にかざすことで、患者の骨に位置決め部材および処置具が進入したときの、位置決め部材および処置具の配置を、術者が視覚的にイメージできる。その結果、術者は、位置決め部材および処置具を患者の骨に対してより精度よく配置できる。特に、イメージガイドがX線装置等の透過装置のモニターに表示される場合、患者の骨とイメージガイドとが重ね合わされた状態がモニターに表示されることで、術者は、位置決め部材および処置具の進路をより正確に把握できる。
【0024】
(8)前記位置決め部材対応部の外縁の形状が、前記位置決め部材の外縁の形状に対応し、前記処置具対応部の外縁の形状が、前記処置具の外縁の形状に対応する場合がある。
【0025】
この構成によると、位置決め部材対応部および処置具対応部を例えば透過装置のモニターに表示することで、患者の骨に位置決め部材および処置具が進入したときの位置を、術者がより正確にイメージできる。
【0026】
(9)前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとが、互いに固定され、一体の部材として形成されている場合がある。
【0027】
この構成によると、骨処置用ガイドとイメージガイドとを術者が一括して把持できるので、骨処置用ガイドの取り扱いをより容易に行うことができる。さらに、骨処置用ガイドとイメージガイドとの相対位置が固定されているので、骨処置用ガイドとイメージガイドの相対位置を調整する手間を省略できる。
【0028】
(10)前記骨処置用ガイドセットは、前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとを連結する連結棒を更に備え、前記骨処置用ガイドと前記イメージガイドとが、前記連結棒を介して互いに着脱自在に連結される場合がある。
【0029】
この構成によると、イメージガイドが必要なときには、連結棒により、骨処置用ガイドとイメージガイドとを連結できる。一方、イメージガイドが不要の場合、連結棒を介した骨処置用ガイドとイメージガイドとの連結を解除し、イメージガイドを単独で或いは連結棒とともに骨処置用ガイドから取り外すことで、骨処置用ガイドを単体で使用できる。
【0030】
(11)上記目的を達成するための本発明に係る骨処置用ガイドの使用方法は、患者の骨に仮固定される位置決め部材の配置を示す位置決め部材対応部、および、前記骨に処置を施すための処置具の配置を示す処置具対応部、を含むイメージガイドの前記位置決め部材対応部によって前記位置決め部材の進路を確認する第1確認ステップと、前記骨に仮固定された前記位置決め部材と前記骨処置用ガイドの前記位置決め用ガイド部とを連結しつつ前記骨に対する前記骨処置用ガイドの位置を設定する位置設定ステップと、前記イメージガイドの前記処置具対応部によって前記処置具の進路を確認する第2確認ステップと、前記処置具を前記処置具用ガイド部でガイドしつつ前記骨内に進入させ前記処置具で前記骨の一部を採取する採骨ステップと、を含んでいる。
【0031】
この構成によると、第1確認ステップにおいて、術者は、位置決め部材対応部で示される位置決め部材の配置イメージによって、骨に対する位置決め部材の予測位置を視覚的にイメージする。そして、術者は、このイメージを参考に、位置決め部材の配置を決定する。さらに、術者は、位置設定ステップにおいて、骨処置用ガイドの位置決め用ガイド部を位置決め部材に連結することで、骨処置用ガイドを骨に対して正確な位置に位置設定できる。次に、術者は、第2確認ステップにおいて、処置具対応部で示される処置具の配置イメージによって、骨に対する処置具の予測進路を視覚的にイメージする。そして、術者は、このイメージを参考に、処置具用ガイド部で処置具をガイドしつつ、処置具を骨内に進入させて処置具で骨の一部を採取できる。このように、術者は、骨処置用ガイドおよびイメージガイドの利用によって、患者の骨のうち所望の箇所を正確な位置で採取でき、且つ、位置決め部材によって処置具による採骨に影響が及ぶことを抑制できる。
【0032】
(12)前記骨処置用ガイドの使用方法は、前記採骨ステップで前記骨に形成された孔部を通して、前記骨内に骨組成物を導入する導入ステップをさらに含んでいる場合がある。
【0033】
この構成によると、術者は、骨に形成された孔部を通して、より適切な箇所に骨組成物を導入できる。その結果、骨をより迅速に治癒させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、トレフィン等の処置具を患者の骨に対して精度よく配置でき、且つ、強度のある骨を処置具により採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る骨処置用ガイドセットの構成要素の模式的な側面図である。
【図2】骨処置用ガイドの一例を示す図であり、図2(A)は斜視図であり、図2(B)は側面図である。
【図3】骨処置用ガイドの一例を示す図であり、図3(A)は底面図であり、図3(B)は正面図である。
【図4】骨処置用ガイドセットのイメージガイドを示す図であり、図4(A)は、イメージガイドの平面図であり、図4(B)は、イメージガイドの側面図である。
【図5】骨処置用ガイドセットによって患者の大腿骨が処置されている状態の一例を示す模式的な平面図であり、一部を断面で示している。
【図6】骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7(A)および図7(B)は、骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示す図であり、図7(A)は、ステップS1を示す図であって、イメージガイドを患者の前方に沿わせた状態を示す主要部の平面図であり、図7(B)は、ステップS1を示す図であり、透過装置のモニターで見える画像を示している。
【図8】図8(A)および図8(B)は、骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示す図であり、図8(A)は、ステップS2を示しており、図8(B)は、ステップS3を示している。
【図9】図9(A)および図9(B)は、骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示す図であり、図9(A)は、ステップS4を示す図であって、イメージガイドを患者の前方に沿わせた状態を示す主要部の平面図であり、図9(B)は、ステップS4を示す図であり、透過装置のモニターで見える画像を示している。
【図10】図10(A)および図10(B)は、骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示す図であり、図10(A)は、ステップS5を示しており、図10(B)は、ステップS6を示している。
【図11】図11(A)および図11(B)は、骨処置用ガイドセットを用いた手術の手順の一例を示す図であり、図11(A)は、ステップS7を示しており、図11(B)は、ステップS8を示している。
【図12】図12(A)は、本発明の変形例の主要部を示す側面図であり、図12(B)は、図12(A)に示す変形例のさらなる変形例について、主要部を示す側面図である。
【図13】図13(A)は、本発明の図12(A)の構成からの変形例の主要部を示す側面図であり、図13(B)は、本発明の図12(B)の構成からの変形例の主要部を示す側面図であり、
【図14】本発明のさらに別の変形例の主要部を示す図であり、図14(A)は、イメージガイドの平面図であり、図14(B)は、図14(A)のイメージガイドの側面図である。
【図15】本発明のさらに他の変形例の主要部を示す平面図である。
【図16】図15に示す骨処置用ガイドの正面図である。
【図17】図15に示す骨処置用ガイドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、骨処置用ガイドセット1が大腿骨頭壊死症の患者の治療に用いられる場合を例に説明する。より具体的には、本実施形態では、骨処置用ガイドセット1が、患者の大腿骨101に対する穿骨と採骨、並びに圧潰部への処置を同時に行うことのできる構成が採用されている。そして、術者は、骨処置用ガイドセット1を用いて、大腿骨101の一部を自家骨105として採取するとともに、この自家骨105のみ、または自家骨105を含む骨組成物109を大腿骨頭103の圧潰部106に供与する。

【0037】
骨処置用ガイドセット1は、患者の骨(本実施形態では、大腿骨101)に、より正確な処置を施すために用いられる。

【0038】
骨処置用ガイドセット1は、図1に示されるように、ガイドピン2と、トレフィン3と、タンパー4と、パラレルガイド5と、イメージガイド6と、を有している。

【0039】
ガイドピン2は、本発明の「位置決め部材」の一例である。トレフィン3は、本発明の「骨に処置を施すための処置具」の一例である。また、パラレルガイド5は、本発明の「骨処置用ガイド」の一例である。

【0040】
次に、図5を参照してガイドピン2とトレフィン3を説明する。ガイドピン2は、大腿骨101の外側部(右側の部分)102から内側部(ないそくぶ)108に向けて刺され、仮固定される部材である。ガイドピン2は、例えば、先端が円錐状に尖った丸軸状に形成される。ガイドピン2の太さは、素材にもよるが骨に刺そうとした場合に、ガイドピン2がしなって骨に刺しこめないことを防ぐために0.5mm以上であることが好ましい。一方、太すぎるとガイドピン2により生じた孔の自然修復に時間を要するため4mm以下であることが好ましい。より好ましい太さの範囲として1.5mm~3mmが挙げられる。ガイドピン2の長さは、患者の体格にもよるが、15~35cmであることが好ましく、20~30cmであることがより好ましい。

【0041】
トレフィン3は、患者の大腿骨101を削り、その一部を採取するために用いられる。また、トレフィン3は、大腿骨101の一部を採取することで、大腿骨101内に処置を施すためのアクセス孔部104を、大腿骨101の大腿骨頭103から大腿骨頸部114にかけて形成する。本実施形態では、大腿骨101の外側部102の外側(図面右側)から、トレフィン3が進み、大腿骨101を削る。トレフィン3は、全体として、円筒状に形成されている。トレフィン3の内径は、大腿骨101の大きさ等に応じて適宜設定されており、例えば、4mm~16mm、好ましくは6mm~13mm、より好ましくは8mm~11mm程度に設定されている。トレフィン3の筒部の肉厚は0.5mm~1mm程度のため、トレフィン3の外径は5mm~17mm、好ましくは7mm~14mm、より好ましくは9mm~12mmである。トレフィン3の先端には、刃部3cが形成されている。この刃部3cは、トレフィン3が電動ドリル7等の回転工具によって回転されつつ大腿骨101に当てられることで、大腿骨101を削る。この削り作業が完了し、トレフィン3が大腿骨101から抜き取られることで、大腿骨101のうちトレフィン3の内部に入った部分が、自家骨105(図11(A)、図11(B)参照)として採取される。

【0042】
次に、図1および図5を参照して、タンパー4を説明する。タンパー4は、アクセス孔部104を通じて、自家骨105および成長因子を徐放化したゼラチンゲル等の骨組成物109(図1、図5では図示せず)を大腿骨頭103内に導入する際に用いられる部材である。また、タンパー4は、大腿骨頭103の一部が圧潰して圧潰部106を形成している場合にこの圧潰部106を大腿骨頭103の内側から押し上げることが可能に構成されている。

【0043】
タンパー4は、細長く延びる軸部4aと、この軸部4aの基端部に固定された把持部4bと、を有している。

【0044】
軸部4aは、例えば丸軸状に形成されており、アクセス孔部104の全長よりも長い全長を有しているとともに、トレフィン3の内径よりも小さい外径を有している。軸部4aの外径は、トレフィン3の内径より0.1mm以上小さければよいが、典型的には2mm~5mmである。なお、軸部4aの先端は、フック状に曲った形状に形成されることで、骨組成物109を大腿骨101のアクセス孔部104に押し込み易くされていてもよい。把持部4bは、術者が手で把持可能な形状に形成されており、例えば、円板状に形成されている。

【0045】
パラレルガイド5は、トレフィン3が大腿骨101内に進入する位置と進行方向をガイド可能な部材である。特に、パラレルガイド5は、ガイドピン2を介して大腿骨101に位置決めされた状態で、トレフィン3をガイドするように構成されている。パラレルガイド5は、患者の大腿骨101の外側部102のうち大転子111の下側に接するようにトレフィン3を位置決めして、圧潰部106に向けて大腿骨頸部114の中央部を通るように方向付けて使用される。本実施形態では、パラレルガイド5が、左脚の手術に用いられる形態を例に説明する。パラレルガイド5が右脚の手術に用いられる場合、このパラレルガイド5は、患者の手術時におけるパラレルガイド5の形状(図5の配置)と患者の左右方向に対称な形状(配置)となる。

【0046】
パラレルガイド5は、複数の部材を互いに組み合わせることで形成されているか、または、一体成形によって形成されている。パラレルガイド5の素材は、加工が可能でかつ使用中に破損の恐れがない素材であれば特に制限されず、金属、カーボン繊維が例示される。パラレルガイド5は、術者が手で把持することが可能な大きさに形成されており、例えば、人間の拳2つぶん程度の大きさを有している。

【0047】
次に、図2(A)、図2(B)、図3(A)および図3(B)を参照して、パラレルガイド5を説明する。パラレルガイド5は、術者が把持するための把持部11と、連結部12と、位置決め用ガイド部13と、処置具用ガイド部14と、を有している。

【0048】
把持部11は、把持部本体11aと、把持部本体11aの基端部に連続する延伸部11bと、を有している。

【0049】
把持部本体11aは、例えば、平板状に形成されている。把持部本体11aの縁部は、把持部11の基端部から先端部に向かうに従い幅広となるテーパ状に形成されているともに、この縁部の先端部は、半円状に形成されている。把持部本体11aは、側面視において、延伸部11bに対して傾斜している。延伸部11bは、矩形の平板状に形成されている。延伸部11bは、位置決め用ガイド部13が延びている方向と直交するように配置されている。延伸部11bおよび連結部12には、板状の補強部11cが固定されている。補強部11cは、延伸部11bと直交するように配置されており、連結部12に対する延伸部11bの変形が抑制されている。延伸部11bに対する把持部本体11aの傾斜角度θ11を設定することで、術者が把持部本体11aを把持したときにおける、位置決め用ガイド部13の向きおよび処置具用ガイド部14の向きを設定できる。延伸部11bに対する把持部本体11aの傾斜角度θ11は、把持部11を持つ術者の手と患者の脚とが接触することなく、大腿骨101において骨軸方向に対して斜めに大腿骨頭103が突出する方向に沿って術者がパラレルガイド5を操作し易いように設定される。具体的には、傾斜角度θ11は、例えば、120°~160°、好ましくは130°~150°、より好ましくは140°程度に設定される。なお、把持部11は、術者によって把持することが可能な形状であればよく、具体的な形状は限定されない。把持部11の基端部である延伸部11bに、連結部12が連続している。

【0050】
連結部12は、位置決め用ガイド部13、処置具用ガイド部14、および、把持部11に連結された部分であり、パラレルガイド5におけるベース部として機能する。本実施形態では、連結部12は、位置決め用ガイド部13の基端部を取り囲むブロック状に形成されている。幅方向W1における連結部12の中間部の上面および底面は、当該幅方向W1と平行な平面に形成されている。連結部12は、位置決め用ガイド部13の基端部を支持しているとともに、処置具用ガイド部14の基端部を支持している。本実施形態では、幅方向W1に沿って位置決め用ガイド部13と処置具用ガイド部14とが平行に並んでいる。

【0051】
位置決め用ガイド部13は、図5に示される通り、ガイドピン2に連結される部分として設けられている。本実施形態では、位置決め用ガイド部13は、細長い円筒状に形成されている。位置決め用ガイド部13の基端部は、図3(A)、図3(B)に示される通り、連結部12に形成された貫通孔部12aに嵌合されており、この貫通孔部12aに溶接等によって固定されている。位置決め用ガイド部13の内周面の形状は、ガイドピン2の外周面の形状に対応している。より詳細には、位置決め用ガイド部13の内周面の内径D13は遊びを設け、ガイドピン2の外径より0.1mm~0.5mm程度大きく、より好ましくは0.2~0.4mm大きく設定されている。このような形状により、位置決め用ガイド部13は、ガイドピン2を人力によってスムーズに通すことができるとともに、ガイドピン2との間のガタつきが抑制されている。位置決め用ガイド部13の全長(長手方向の長さ、軸方向長さ)L13は、患者の体格にもよるが、長すぎると細かい動作がしづらく、器具も重くなり、短いと把持部11を持つ術者の手と患者とが接触して不便であるため、好ましくは5~15cm、より好ましくは8~12cmである。

【0052】
処置具用ガイド部14は、図5から明らかな通り、先端を患者の大腿骨101の外側部102のうち大転子111の下側に接するようにしてトレフィン3を位置決めし、圧潰部106に向けて大腿骨頸部114の中央部を通るように方向付けして使用される。本実施形態では、位置決め用ガイド部13と平行に処置具用ガイド部14が配置されている。

【0053】
処置具用ガイド部14は、図2(A)、図3(B)および図5から明らかな通り、トレフィン3が大腿骨101内に進入する位置と進行方向をガイド可能に構成され、かつ、位置決め用ガイド部13とは異なる箇所に配置された部分として設けられている。処置具用ガイド部14は、トレフィン3が通されることでトレフィン3に連結される。本実施形態では、処置具用ガイド部14は、細長い円筒状に形成されており、連結部12に固定されている。本実施形態では、処置具用ガイド部14の基端部は、幅方向W1における連結部12の一側面において、処置具用ガイド部14の基端部の外周面の形状に合致する円弧凹状の結合面12bに沿わされた状態で、この連結部12に溶接等によって固定されている。処置具用ガイド部14の内周面の形状は、トレフィン3の外周面の形状に対応している。より詳細には、処置具用ガイド部14の内周面の内径D14は遊びを設け、トレフィン3の外径より0.1mm~0.5mm程度大きく、より好ましくは0.2mm~0.4mm大きく設定されている。このような形状により、処置具用ガイド部14は、トレフィン3を人力によってスムーズに通すことができるとともに、トレフィン3との間のガタつきが抑制されている。尚、後述する図15に示す変形例のように、パラレルガイド5が、筒状の交換部材40を備える場合は、トレフィン3の外径と交換部材40の内径との間に遊びが設けられ、交換部材40の外径と処置具用ガイド部14の内周面の内径D14との間に遊びが設けられる。この場合、例えば、交換部材40の内径は、トレフィン3の外径より0.01mm~0.3mm程度大きく、より好ましくは0.05mm~0.15mm程度大きく設定される。そして、処置具用ガイド部14の内周面の内径D14は、交換部材40の外径より0.01mm~0.3mm程度大きく、より好ましくは0.05mm~0.15mm程度大きく設定される。

【0054】
処置具用ガイド部14の全長(長手方向の長さ、軸方向長さ)L14は、患者の体格にもよるが、長すぎると細かい動作がしづらく、器具も重くなり、短いと把持部11を持つ術者の手と患者とが接触して不便であるため、好ましくは5~15cm、より好ましくは8~12cmである。

【0055】
図1、図2(A)、図3(B)および図5に示される通り、本実施形態では、位置決め用ガイド部13の形状が、処置具用ガイド部14の形状とは異なっている。より具体的には、位置決め用ガイド部13の内径(直径)D13は、処置具用ガイド部14の内径(直径)D14よりも小さく設定されている。位置決め用ガイド部13の内径D13は、ガイドピン2の外径より0.1mm程度大きければよく、例えば、1mm~4mm、より好ましくは1.5~2.5mmである。一方、処置具用ガイド部14の内径D14は、トレフィン3の外径より大きければよく、例えば、5~17mm、好ましくは7~14mm、より好ましくは9~12mmである。

【0056】
図2(B)および図5に示されるように、処置具用ガイド部14と位置決め用ガイド部13は、連結部12から同じ向きに平行に延びている。また、本実施形態では、側面視(図2(B))において、位置決め用ガイド部13の中心軸線C13と処置具用ガイド部14の中心軸線C14とが略平行である。なお、側面視において、これらの中心軸線C13,C14がずれていてもよい。一方、処置具用ガイド部14の長さL14は、位置決め用ガイド部13の長さL13よりも長く設定されている。これにより、連結部12からの処置具用ガイド部14の突出量は、連結部12からの位置決め用ガイド部13の突出量よりも大きい。このような構成により、ガイド部13,14の先端を大腿骨101の外側部102のうち大転子111の下側に揃って当接し、かつ、処置具用ガイド部14が圧潰部106に向けて大腿骨頸部114の中央部を通るように方向付けることができる。

【0057】
本実施形態では、図3(A)によく示されているように、位置決め用ガイド部13の中心軸線C13の位置と、処置具用ガイド部14の中心軸線C14の位置とが、把持部11の幅方向W1にずらされている。この配置により、正面視(図3(B))において、位置決め用ガイド部13と処置具用ガイド部14とは、重なった箇所がないように所定の間隔W2が設けられている。幅W2は、狭すぎるとトレフィン3が形成する孔とガイドピン2が形成する孔とが近づきすぎ、骨の強度が低下することがある。一方、広すぎるとガイドピン2が大腿骨頸部114(図5参照)から外れることがあるため、一般的には4~12mmであり、好ましくは5~10mmである。

【0058】
図2(A)に示されるように、位置決め用ガイド部13は、連結部12の貫通孔部12aに差し込まれた状態で固定されている。一方、処置具用ガイド部14は、連結部12の円弧凹状の結合面12bに沿わされた状態でこの連結部12に固定されている。このように、連結部12のうち位置決め用ガイド部13を固定している部分の形状と、連結部12のうち処置具用ガイド部14を固定している部分の形状とが異なってもよい。

【0059】
次に、図1、図4(A)、図4(B)、および、図5を参照してイメージガイド6を説明する。イメージガイド6は、施術においてX線装置等、患者の患部(股関節)を透視する透視装置で患部を観察する際に、ガイドピン2やトレフィン3の配置を視覚的に確認するために用いる。イメージガイド6は、金属等、透過装置を通して視認可能な材料を用いて形成されており、患者の体外において患者の表面にかざした状態で使用される。

【0060】
図4(A)に示すように、イメージガイド6は、術者が把持するための把持部21と、連結部22と、ガイドピン2の配置を示す位置決め部材対応部23と、トレフィン3の配置を示す処置具対応部24と、を有している。

【0061】
把持部21は、例えば円柱状等、術者が握るのに適した形状に形成されている。把持部21の外周面は、図4に示すように、ローレット加工等の滑り止め加工が施されてもよい。把持部21の形状は、術者によって把持することが可能であればよく、具体的な形状は限定されない。把持部21の先端部に、連結部22が連続している。

【0062】
連結部22は、位置決め部材対応部23、処置具対応部24、および、把持部21に連結された部分であり、イメージガイド6におけるベース部として機能する。本実施形態では、連結部22は、把持部21の一端面に固定され把持部21の径方向に延びる板状に形成されている。連結部22は、位置決め部材対応部23の基端部を支持しているとともに、処置具対応部24の基端部を支持している。本実施形態では、把持部21の幅方向に沿って位置決め部材対応部23と処置具対応部24とが並んでいる。また、本実施形態では、連結部22、位置決め部材対応部23、および、処置具対応部24は、1枚の金属板を切り出し加工することで形成された一体成形品である。

【0063】
位置決め部材対応部23は、透過装置を通して見たときにガイドピン2と同様のイメージ(画像)を表示するように構成されている。位置決め部材対応部23は、細長い矩形の平板状に形成されている。そして、本実施形態では、位置決め部材対応部23およびガイドピン2を平面視したとき、位置決め部材対応部23の外縁23aの形状が、ガイドピン2の外縁2aの形状に対応している。本実施形態では、平面視において、これらの外縁2a,23aは、それぞれ、平行に延びる一対の直線部2b,23bを含んでいる。一対の直線部2bの幅と、一対の直線部23bの幅とは、同じに設定されている。一方で、本実施形態では、位置決め部材対応部23の全長(把持部21の軸方向(長手方向)に沿った全長)は、ガイドピン2の全長よりも長く設定されている。上記の構成により、透過装置を通してイメージガイド6および患者を平面視したときにおいて、位置決め部材対応部23の形状は、ガイドピン2の形状と長さ以外の点で合致する。

【0064】
透過装置を通して見たときにおいて、処置具対応部24は、トレフィン3と同様のイメージ(画像)を表示するように構成されている。処置具対応部24は、細長い矩形の平板状に形成されている。そして、本実施形態では、処置具対応部24およびトレフィン3を平面視したとき、処置具対応部24の外縁24aの形状が、トレフィン3の外縁3aの形状に対応している。本実施形態では、平面視において、これらの外縁3a,24aは、それぞれ、平行に延びる一対の直線部3b,24bを含んでいる。一対の直線部3bの幅と、一対の直線部24bの幅とは、同じに設定されている。一方で、本実施形態では、処置具対応部24の全長(把持部21の軸方向(長手方向)に沿った全長)は、トレフィン3の全長よりも長く設定されている。上記の構成により、透過装置を通してイメージガイド6および患者を平面視したときにおいて、処置具対応部24の形状は、トレフィン3の形状と長さ以外の点で合致する。

【0065】
前述したように、位置決め部材対応部23の幅がガイドピン2の幅(直径)に合わせた値に設定されているとともに、処置具対応部24の幅がトレフィン3の幅(直径)に合わせた値に設定されている。このような幅の設定により、平面視において、位置決め部材対応部23の幅は、処置具対応部24の幅よりも狭い。一方で、位置決め部材対応部23の全長および処置具対応部24の全長は、対応するガイドピン2の全長およびトレフィン3の全長よりも長く設定されている。この構成により、患者の体外でイメージガイド6をかざした状態で透過装置を通してイメージガイド6を見たときに、ガイドピン2およびトレフィン3がどのような進路で進むかを、術者がより明確に視認できる。なお、本実施形態では、連結部22からの位置決め部材対応部23の長さと、連結部22からの処置具対応部24の長さとは、同じに設定されているけれども、これらの長さは違っていてもよい。

【0066】
以上が、骨処置用ガイドセット1の構成である。次に、骨処置用ガイドセット1を用いた、大腿骨頭壊死症の治療の手順の一例を説明する。

【0067】
図6は、骨処置用ガイドセット1を用いた手術の手順(骨処置用ガイドセット1の使用方法)の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照して説明するときは、フローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。

【0068】
また、骨処置用ガイドセット1が用いられる前の段階の準備として、患者の大腿骨101の外側の組織が切開されること等により、骨処置用ガイドセット1を大腿骨101の外側部102に到達させる準備が完了している前提で説明する。さらに、X線装置等の透過装置が、手術台に載せられた患者の股関節を患者の前方(上方)から撮影するように配置されている前提で説明する。

【0069】
図6、図7(A)および図7(B)を参照して、骨処置用ガイドセット1の使用方法を説明する。まず、術者は、大腿骨102にガイドピン2を刺す位置および方向、すなわち、ガイドピン2の進路を決めるために、イメージガイド6を患者の前方(上方)にかざし、透視装置を通して大腿骨101に対するイメージガイド6の位置を確認し、方向を調整する(ステップS1)。図7(A)は、ステップS1を示す図であって、イメージガイド6を患者の前方にかざした状態を示す主要部の平面図である。図7(B)は、ステップS1を示す図であり、透過装置のモニター200で見える画像を示している。図7(A)で示す状態を透過装置で撮影した結果が、図7(B)で示す画像として表示される。図7(A)および図7(B)では、パラレルガイド5の位置決め用ガイド部13の先端と処置具用ガイド部14の先端とが大腿骨101の外側部102のうち大転子111の下側に配置されている。ステップS1は、本発明の「第1確認ステップ」の一例である。なお、以下では、各部材のうちモニター200に投影されている像を、当該部材の符号に対応する符号の前に「M」を付けて図示する。ステップS1では、術者がイメージガイド6の位置および向きを変更することで、モニター200におけるイメージガイド像M6を、大腿骨像M101に重ねる。これにより、イメージガイド像M6の位置決め部材対応部像M23が、ガイドピン2の進入する位置および進入方向を示す。このように、イメージガイド6の位置決め部材対応部23によってガイドピン2の進路が確認される。この位置決め部材対応部像M23がガイドピン2の目標とする位置および進入方向と重なるように、術者はイメージガイド6を操作する。

【0070】
次に、図6および図8(A)を参照して、本発明の位置設定ステップを説明する。下記ステップS2,S3は、本発明の「位置設定ステップ」の一例である。まず、術者は、イメージガイド6の位置決め部材対応部23で確認した位置にガイドピン2を配置し、確認した進路でガイドピン2を大腿骨101の外側部102のうち大転子111の下方から内側部108に向かって刺し、仮固定する(ステップS2)。次いで術者は、図8(B)に示されるように、ガイドピン2にパラレルガイド5を連結する(ステップS3)。このようなステップS2,S3の手順により、術者は、大腿骨101に挿入されたガイドピン2とパラレルガイド5の位置決め用ガイド部13とを連結しつつ、大腿骨101に対するパラレルガイド5の位置を設定できる。なお、パラレルガイド5の位置決め用ガイド部13は、ガイドピン2が大腿骨101に仮固定される際にガイドピン2に通された状態であってもよいし、大腿骨101へのガイドピン2の仮固定後にガイドピン2に通されてもよい。ガイドピン2を仮固定する際の視認性の面からは、ガイドピン2を仮固定した後に、ガイドピン2に位置決め用ガイド部13を通すことが好ましい。

【0071】
次に、図6、図9(A)および図9(B)を参照して、本発明の「第2確認ステップ」を説明する。下記ステップS4は、本発明の「第2確認ステップ」の一例である。まず、術者は、大腿骨101に仮固定されたガイドピン2の位置と方向を参考に、イメージガイド6を患者の前方にかざし、トレフィン3の進路を確認する(ステップS4)。この際、透視装置を用いて確認を行ってもよい。図9(A)は、ステップS4を示す図であって、イメージガイド6を患者の前方にかざした状態を示す主要部の平面図である。図9(B)は、ステップS4を示す図であり、透過装置のモニター200で見える画像を示している。図9(A)で示す状態を透過装置で撮影した結果が、図9(B)で示す画像として表示される。ステップS4では、トレフィン3が大腿骨101の外側部102から大腿骨頸部114の中央部を通り、圧潰部106に到達するよう、術者がイメージガイド6の位置および向きを変更し、それを参考にしてトレフィン3の配置、特に、処置具用ガイド部14の方向と先端位置を決定する。必要に応じ、モニター200におけるイメージガイド像M6の処置具対応部像M24を参照して術者は、処置具対応部24を用いてトレフィン3の進路を確認する。

【0072】
次に、本発明の「採骨ステップ」について、図6、図10(A)、(B)を参照して説明する。ステップS5,S6は、本発明の「採骨ステップ」の一例であり、図10(A)は、ステップS5を示す図であり、図10(B)は、ステップS6を示す図である。まず、術者は、電動ドリル等のドリル7にトレフィン3を固定する。次に、上記位置設定ステップで方向と位置が定められたパラレルガイド5の処置具用ガイド部14に、トレフィン3の先端を挿入する。術者は、ドリル7でトレフィン3を回転させつつ、パラレルガイド5にガイドされたトレフィン3で、大腿骨101の外側部102のうち、大転子111の下側部分から大腿骨頸部114の間を通り大腿骨頭103の圧潰部106にかけて穿骨する(ステップS5)。この作業により、大腿骨101の一部がトレフィン3の内部に取り込まれる。

【0073】
次いで、術者は、トレフィン3を大腿骨101から引き抜くことで採骨する(図10(B)、ステップS6)。このように、ステップS5では、トレフィン3をパラレルガイド5の処置具用ガイド部14でガイドしつつ、トレフィン3を大腿骨101内に進入させトレフィン3で大腿骨101の一部を採取する。

【0074】
次に、図6および図11(A)を参照して、本発明の「導入ステップ」を説明する。導入ステップで術者は、採骨ステップで骨に形成された孔部を通して、骨内に骨組成物109を導入する。ステップS7は、本発明の「導入ステップ」の一例であり、トレフィン3によって大腿骨101に形成されたアクセス孔部104を通じて、大腿骨101内に骨組成物109を導入するステップである。骨組成物109としては、トレフィン3で採取された自家骨105のみでもよく、自家骨105と医薬組成物8との混合物であってもよい。医薬組成物8の例としては、ゲル、成長因子を含むゲル、薬剤、人工骨組成物などが挙げられる。人工骨組成物の例としてはヒドロキシアパタイトが挙げられ、成長因子の例としては、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)などが挙げられる。成長因子を含むゲルは、bFGF除放化ゼラチンゲルのように、約2週間程度の長期間に亘って、徐々に成長因子を放出するように構成されたものでもよい。

【0075】
骨組成物109の導入方法としては、例えば、採骨した骨を採骨した形状のまま挿入する方法、採骨した骨を採骨した形状のまま挿入し、さらに人工骨組成物などを挿入し、充填する方法、採骨した円柱状の骨を短い円柱状断片に切断し、この円柱状骨断片を順次挿入する方法、および採骨した骨の断片を挿入後、人工骨組成物や成長因子などの医薬組成物を挿入しさらに骨の断片を挿入する方法などがある。

【0076】
ゲルは、アクセス孔部104に挿入可能な小片状であることが好ましい。自家骨105は、大きな塊が適宜砕かれた状態で、かつ、圧縮されない状態でアクセス孔部104に挿入してもよい。また、自家骨105は、適宜砕いて、人工骨組成物、成長因子、ゲルなどと混和した骨組成物109として、挿入してもよい。

【0077】
骨組成物109は、アクセス孔部104の奥までタンパー4で押し込まれることで、圧潰部106の付近に配置される。このとき、術者は、タンパー4を用いて圧潰部106を押し上げることで、圧潰部106の骨組織を圧潰前の箇所に戻すか、または、圧潰前の箇所に近い箇所に戻してもよい。また、タンパー4は、処置具用ガイド部14内を通し、進入位置および進入方向をガイドすることが好ましい。

【0078】
図6および図11(B)に示すように、骨組成物109が圧潰部106の近傍に供給された後、タンパー4、パラレルガイド5およびガイドピン2が、大腿骨101から取り外される(ステップS8)。その後、患者の皮膚の切開箇所が縫合される等の後処置が行われ(ステップS9)、手術が完了する。

【0079】
以上説明したように、本実施形態によると、パラレルガイド5は、位置決め用ガイド部13と、位置決め用ガイド部13とは異なる箇所に配置された処置具用ガイド部14と、を有している。この構成によると、術者の手作業等によってガイドピン2が骨に仮固定される。次いで、ガイドピン2に位置決め用ガイド部13を連結することで、ガイドピン2に対するパラレルガイド5の向きおよび位置が設定される。すなわち、パラレルガイド5が、大腿骨101に対して正確に位置決めされる。これにより、パラレルガイド5の処置具用ガイド部14の方向と先端位置を、大腿骨101に対して適切にガイドできる。この結果、処置具用ガイド部14は、トレフィン3を大腿骨101に対して正確な位置および進行方向に向かわせることができ、トレフィン3によって、大腿骨101の所望の箇所を高い位置精度で穿骨できる。さらに、位置決め用ガイド部13の位置と処置具用ガイド部14の位置とが異なる。これにより、位置決め用ガイド部13に連結されているガイドピン2と、処置具用ガイド部14にガイドされているトレフィン3とを別々の箇所に配置できるので、大腿骨101のうちトレフィン3によって採取される箇所が、ガイドピン2の影響を受けてドーナツ形状等の脆い形状にならずに済み、さらに、トレフィン3による採骨量をより多くできる。

【0080】
また、本実施形態によると、位置決め用ガイド部13の形状が、処置具用ガイド部14の形状とは異なっている。この構成によると、位置決め用ガイド部13と処置具用ガイド部14とを術者が見間違えることを防止できる。

【0081】
また、本実施形態によると、位置決め用ガイド部13および処置具用ガイド部14は、何れも、円筒形状に形成されており、位置決め用ガイド部13の直径は、処置具用ガイド部14の直径よりも小さく設定されている。この構成によると、位置決め用ガイド部13の直径を小さくできるので、ガイドピン2の直径も小さくできる。これにより、ガイドピン2によって大腿骨101に形成される孔の直径をより小さくできる。

【0082】
また、本実施形態によると、パラレルガイド5において、位置決め用ガイド部13、処置具用ガイド部14、および、把持部11が連結部12を介して互いに連結されている。これにより、術者が把持部11を把持しつつ把持部11の位置を変更することで、位置決め用ガイド部13および処置具用ガイド部14の位置も同時に変更できる。

【0083】
また、本実施形態によると、イメージガイド6は、位置決め部材対応部23と、処置具対応部24と、を有している。この構成によると、位置決め部材対応部23および処置具対応部24を、例えば患者の表面にかざすことで、患者の大腿骨101にガイドピン2およびトレフィン3が進入したときの、これらガイドピン2およびトレフィン3の配置を、術者が視覚的にイメージできる。その結果、術者は、ガイドピン2およびトレフィン3を患者の大腿骨101に対してより精度よく配置できる。特に、イメージガイド6が透過装置のモニター200に表示される場合、患者の大腿骨101とイメージガイド6とが重ね合わされた状態がモニター200に表示されることで、術者は、ガイドピン2およびトレフィン3の進路をより正確に把握できる。

【0084】
また、本実施形態によると、位置決め部材対応部23の外縁23aの形状がガイドピン2の外縁2aの形状に対応し、さらに、処置具対応部24の外縁24aの形状がトレフィン3の外縁3aの形状に対応している。この構成によると、位置決め部材対応部23および処置具対応部24を透過装置のモニター200に表示することで、患者の大腿骨101にガイドピン2およびトレフィン3が進入したときのこれらガイドピン2およびトレフィン3の位置を、術者がより正確にイメージできる。

【0085】
また、本実施形態によると、イメージガイド6を参考にパラレルガイド5の位置を調整するステップS1において、術者は、位置決め部材対応部23で示されるガイドピン2の配置イメージによって、大腿骨101に対するガイドピン2の予測位置を視覚的にイメージする。そして、術者は、このイメージを参考に、ガイドピン2の配置を決定する。さらに、術者は、ガイドピン2を大腿骨101に仮固定するとともにガイドピン2にパラレルガイド5を連結するステップS2,3において、パラレルガイド5の位置決め用ガイド部13をガイドピン2に連結することで、パラレルガイド5を大腿骨101に対して正確な位置に位置設定できる。次に、術者は、トレフィン3の進路を確認するステップS4において、処置具対応部24で示されるトレフィン3の配置イメージによって、大腿骨101に対するトレフィン3の予測進路を視覚的にイメージする。そして、術者は、このイメージを参考に、処置具用ガイド部14でトレフィン3をガイドしつつ、トレフィン3を大腿骨101内に進入させてトレフィン3で大腿骨101の一部を穿骨できる。このように、術者は、パラレルガイド5およびイメージガイド6の利用によって、患者の大腿骨101のうち所望の箇所を正確な位置で穿骨でき、且つ、トレフィン3による穿骨にガイドピン2が影響を及ぼすことを抑制できる。

【0086】
また、本実施形態によると、大腿骨101に形成されたアクセス孔部104を通して、大腿骨101内に骨組成物109を導入するステップS7が設定されている。この構成によると、術者は、大腿骨101に形成されたアクセス孔部104を通して、適切な箇所に骨組成物109を導入できる。その結果、大腿骨101の圧潰部106をより迅速に治癒させることができる。

【0087】
また、本実施形態によると、患者の腸骨等の大腿骨101とは異なる骨を採取する構成とは異なり、患部である大腿骨101自体の一部を自家骨105として採取し、さらに、この自家骨105を含む骨組成物109を圧潰部106に移植する。このような構成により、骨移植を行うルート(アクセス孔部104)上の骨をそのまま自家骨105として使用できる。よって、採骨と骨移植とを一括して行うことができる。

【0088】
また、本実施形態によると、大腿骨頭103の圧潰部106を、タンパー4を用いて持ち上げる構成が採用されている。このような構成であれば、圧潰部106をタンパー4で物理的に加圧することで、圧潰した大腿骨頭103を本来の形状に戻すことができる。

【0089】
以上の次第で、本実施形態によると、より安全に、より正確に、且つ、より簡便に、骨移植術を行うことができる。

【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。

【0091】
(1)上述の実施形態では、パラレルガイド5とイメージガイド6とが別個の部材である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図12(A)に示すように、パラレルガイド5とイメージガイド6とが、一体の部材として形成されていてもよい。図12(A)に示す変形例では、パラレルガイド5とイメージガイド6とは、連結棒30を介して互いに固定されている。この場合、連結棒30の一端は、パラレルガイド5の連結部12に溶接等によって固定され、連結棒30の他端は、イメージガイド6の把持部21に溶接等によって固定されている。また、平面視において、イメージガイド6の位置決め部材対応部23、および、処置具対応部24は、それぞれ、対応する位置決め用ガイド部13、および、処置具用ガイド部14と重なるように配置される。また、イメージガイド6の位置決め部材対応部23の先端位置、および、処置具対応部24の先端位置は、それぞれ、対応する位置決め用ガイド部13の先端位置、および、処置具用ガイド部14の先端位置と比べて、連結棒30から遠い箇所に設定されている。この構成であれば、パラレルガイド5とイメージガイド6とを術者が一括して把持できるので、パラレルガイド5の取り扱いをより容易に行うことができる。さらに、パラレルガイド5とイメージガイド6との相対位置が固定されているので、パラレルガイド5とイメージガイド6の相対位置を調整する手間を省略できる。

【0092】
(2)なお、図12(B)に示すように、連結棒30Aを用いてパラレルガイド5とイメージガイド6とが互いに連結されてもよい。即ち、骨処置用ガイドセット1が、パラレルガイド5とイメージガイド6とを連結する連結棒30Aを更に備え、パラレルガイド5とイメージガイド6とが、連結棒30Aを介して互いに着脱自在に連結されてもよい。尚、図12(B)に示す例では、連結棒30Aは、イメージガイド6の把持部21に固定されており、先端に連結棒30Aよりも小さな断面積の嵌合凸部31が設けられている。この嵌合凸部31は、パラレルガイド5の連結部12の天面に形成された窪み部32に嵌合可能である。この構成であれば、イメージガイド6が必要なときには、嵌合凸部31と窪み部32との連結による連結棒30Aの働きにより、パラレルガイド5にイメージガイド6を連結できる。一方、イメージガイド6が不要の場合、嵌合凸部31を窪み部32から取り外すことで、パラレルガイド5を単体で使用できる。尚、図12(B)においては、連結棒30Aが、イメージガイド6に固定されるとともにパラレルガイド5に嵌合することで、パラレルガイド5とイメージガイド6とが連結棒30Aを介して互いに連結される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。連結棒30Aが、パラレルガイド5に固定されるとともにイメージガイド6に嵌合することで、パラレルガイド5とイメージガイド6とが連結棒30Aを介して互いに連結される形態が実施されてもよい。或いは、連結棒30Aが、パラレルガイド5及びイメージガイド6の両方に嵌合することで、パラレルガイド5とイメージガイド6とが連結棒30Aを介して互いに連結される形態が実施されてもよい。上記のいずれの形態においても、イメージガイド6が必要なときには、連結棒30Aにより、パラレルガイド5とイメージガイド6とを連結できる。一方、イメージガイド6が不要の場合、連結棒30Aを介したパラレルガイド5とイメージガイド6との連結を解除し、イメージガイド6を単独で或いは連結棒30Aとともにパラレルガイド5から取り外すことで、パラレルガイド5を単体で使用できる。

【0093】
(3)また、図12(A)に示す、パラレルガイド5とイメージガイド6とが、一体の部材として形成されている構成において、図13(A)に示すように、処置具用ガイド部14が省略されてもよい。この場合、例えば、連結部12の結合面12b自体が、処置具用ガイド部として機能する。また、図12(B)に示す、連結棒30Aを用いてパラレルガイド5とイメージガイド6とが互いに連結された構成において、図13(B)に示すように、処置具用ガイド部14が省略されてもよい。この場合も、例えば、連結部12の結合面12b自体が、処置具用ガイド部として機能する。

【0094】
(4)また、上述の実施形態では、イメージガイド6が平板状である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図14(A)および図14(B)に示すように、イメージガイド6Aの位置決め部材対応部23Aの形状が、ガイドピン2の形状と同様の円柱状または円筒状に形成され、且つ、処置具対応部24Aの形状が、トレフィン3の形状と同様の円筒状または円柱状に形成されていてもよい。イメージガイド6Aが用いられる場合、患者を平面視したとき以外に、患者を側面視したとき等において、透過装置のモニター200において投影されるイメージガイド像と、骨処置用ガイド像とを、より近似させることができる。

【0095】
(5)また、上述の実施形態では、パラレルガイド5とガイドピン2とが別部材である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、パラレルガイド5の位置決め用ガイド部13に挿入されたガイドピン2が位置決め用ガイド部13に溶接等によって固定されていてもよい。また、位置決め用ガイド部13とガイドピン2とを一体成形してもよい。この場合、パラレルガイド5とガイドピン2とを別々に操作しなくて済み、術者による骨処置用ガイドセット1の取り扱い操作をより簡易にできる。

【0096】
(6)また、上述の実施形態では、1種類のパラレルガイド5が用いられる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、患者の体格に合わせて、ガイドピンの外径、トレフィンの外径、位置決め用ガイド部の内径、および、処置具用ガイド部の内径が異なる複数種類の処置具用ガイドセットが設けられていてもよい。この場合、処置具用ガイドセットは、外径の異なる複数種類のガイドピン、外径の異なる複数種類のトレフィン、位置決め用ガイド部の内径および処置具用ガイド部の内径の異なる複数種類の処置具用ガイドを有することとなる。

【0097】
(7)また、上述の実施形態では、位置決め用ガイド部13及び処置具用ガイド部14をそれぞれ1つ備えたパラレルガイド(骨処置用ガイド)5の形態を例にとって説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図15乃至図17に示すように、位置決め用ガイド部13が一対で備えられたパラレルガイド(骨処置用ガイド)5Aの形態が実施されてもよい。尚、図15は、パラレルガイド5Aの平面図であり、図16は、パラレルガイド5Aの正面図であり、図17は、パラレルガイド5Aの側面図である。

【0098】
図15乃至図17に示す変形例では、パラレルガイド5Aにおいて、処置具用ガイド部14は1つのみ備えられ、位置決め用ガイド部13は一対で備えられている。そして、一対の位置決め用ガイド部13のそれぞれが、処置具用ガイド部14の長手方向(軸方向)と垂直な幅方向W1の両側のそれぞれにおいて、処置具用ガイド部14に一体に連結されている。一対の位置決め用ガイド部13のそれぞれは、処置具用ガイド部14の幅方向W1の両側のそれぞれにおいて、第1連結部12A及び第2連結部12Bを介して、処置具用ガイド部14に一体に結されている。尚、第1連結部12Aは、各位置決め用ガイド部13の基端部を処置具用ガイド部14の基端部に一体に連結している。そして、第2連結部12Bは、各位置決め用ガイド部13の先端側の部分を処置具用ガイド部14の先端側の部分に一体に連結している。また、各位置決め用ガイド部13は、処置具用ガイド部14と幅方向W1に沿って並ぶとともに、処置具用ガイド部14と平行に延びた状態で、第1連結部12A及び第2連結部12Bを介して処置具用ガイド部14に連結されている。

【0099】
図15乃至図17に示す変形例の構成であれば、処置具用ガイド部14の幅方向W1の両側のそれぞれに位置決め用ガイド部13が連結されている。よって、術者は、位置決め部材であるガイドピン2に位置決め用ガイド部13を連結する際に、処置具用ガイド部14の幅方向W1の両側に設けられた一対の位置決め用ガイド部13のうちのいずれか一方を選択して使用することができる。このため、処置具であるトレフィン3が大腿骨101内に進入する位置に対して、ガイドピン2が、大腿骨101内に進入するトレフィン3の幅方向W1の両側のいずれの位置において大腿骨101に仮固定される場合であっても、同じパラレルガイド5Aで対応することができる。このため、パラレルガイド5Aが、左脚の手術及び右脚の手術のいずれで用いられる場合であっても、同じパラレルガイド5Aで対応することができる。

【0100】
なお、図15乃至図17に示す変形例では、位置決め用ガイド部13が一対で備えられ、一対の位置決め用ガイド部13のそれぞれが、処置具用ガイド部14の幅方向W1の両側のそれぞれにおいて、処置具用ガイド部14に連結されている形態を例示した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、処置具用ガイド部14が一対で備えられ、一対の処置具用ガイド部14のそれぞれが、位置決め用ガイド部13の幅方向W1の両側のそれぞれにおいて、位置決め用ガイド部13に連結されている、パラレルガイド(骨処置用ガイド)の形態が実施されてもよい。

【0101】
(8)また、図15に示すように、パラレルガイド(骨処置用ガイド)5Aが、処置具用ガイド部14の内側に着脱自在に挿入されることで処置具用ガイド部14に対して交換可能に装着される、筒状の交換部材40を更に備えた形態が実施されてもよい。交換部材40は、例えば、ポリエチレンなどの樹脂材料で形成され、円筒状に形成されている。そして、交換部材40は、処置具用ガイド部14の内側に挿入され、処置具用ガイド部14の内周14aに嵌め込まれ、処置具用ガイド部14に装着される。処置具であるトレフィン3は、処置具用ガイド部14に装着された交換部材40の内側に挿通されることで、大腿骨101内に進入する位置及び進入方向がガイドされる。即ち、トレフィン3は、処置具用ガイド部14の内周に嵌め込まれた交換部材40の内周40aに挿通されることで、大腿骨101内への進入がガイドされる。尚、交換部材40は、例えば、ディスポーザブルな部材(使い捨て可能な部材)として設けられ、パラレルガイド(骨処置用ガイド)5Aの使用の度に、交換して使用されてもよい。

【0102】
図15に示す変形例の構成であれば、処置具用ガイド部14によってトレフィン3の大腿骨101内への進入がガイドされる際には、トレフィン3は、処置具用ガイド部14に装着された交換部材40の内側に挿通される。このため、トレフィン3が、処置具用ガイド部14に直接に接触して摩耗等の損傷を発生させることを防止できる。そして、パラレルガイド5Aの使用の際に、交換部材40の摩耗等の損傷が発生した場合であっても、交換部材40のみを容易に交換することができる。このため、処置具用ガイド部14を破損させることなく、交換部材40の交換のみで、処置具用ガイド部14を繰り返し使用することができる。

【0103】
(9)また、上述の実施形態では、大腿骨頭103の一部が圧潰した後の大腿骨頭壊死症を治療する形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、大腿骨頭103が圧潰する前の状態の大腿骨壊死症を治療する際に、骨処置用ガイドセット1が用いられてもよい。

【0104】
(10)また、上述の実施形態では、股関節(大腿骨頭103)の疾患を治療する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。本発明の骨処置用ガイドセットは、上腕骨頭等の上腕骨(腕関節)、足部(足関節)、大腿骨の遠位部および脛骨の近位部を含む膝関節の治療等、他の部位の骨治療に用いられてもよい。

【0105】
(11)以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は、少なくともパラレルガイドを有していればよく、他の部材の少なくとも一部は骨処置用ガイドセットに含まれていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、骨処置用ガイド、骨処置用ガイドセット、および、骨処置用ガイドの使用方法として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 骨処置用ガイドセット
2 ガイドピン(位置決め部材)
2a ガイドピンの外縁(位置決め部材の外縁)
3 トレフィン(処置具)
3a トレフィンの外縁(処置具の外縁)
5 パラレルガイド(骨処置用ガイド)
6,6A イメージガイド
11 把持部
12 連結部
13 位置決め用ガイド部
14 処置具用ガイド部
23,23A 位置決め部材対応部
23a 位置決め部材対応部の外縁
24,24A 処置具対応部
24a 処置具対応部の外縁
101 大腿骨(患者の骨)
104 アクセス孔部(骨に形成された孔部)
109 骨組成物
D13 位置決め用ガイド部の内径(直径)
D14 処置具用ガイド部の内径(直径)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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