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明細書 :PdRu固溶体ナノ粒子、その製造方法及び触媒、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造を制御する方法、並びにAuRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年3月26日(2020.3.26)
発明の名称または考案の名称 PdRu固溶体ナノ粒子、その製造方法及び触媒、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造を制御する方法、並びにAuRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法
国際特許分類 B22F   1/00        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
C22C   5/04        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/52        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
B01J  37/16        (2006.01)
FI B22F 1/00 K
B22F 1/00 ZABC
B22F 9/24 E
C22C 5/04
B01J 23/46 301
B01J 23/52
B01J 37/08
B01J 37/16
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 26
出願番号 特願2019-503039 (P2019-503039)
国際出願番号 PCT/JP2018/007370
国際公開番号 WO2018/159644
国際出願日 平成30年2月27日(2018.2.27)
国際公開日 平成30年9月7日(2018.9.7)
優先権出願番号 2017038497
優先日 平成29年3月1日(2017.3.1)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】北川 宏
【氏名】草田 康平
【氏名】▲呉▼ 冬霜
【氏名】張 権
【氏名】池渕 徹也
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4K017
4K018
Fターム 4G169AA02
4G169AA08
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC70A
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4G169BC75A
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4G169CA02
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA09
4G169CA13
4G169CA14
4G169CA15
4G169CB02
4G169CB07
4G169CB81
4G169CC32
4G169FA01
4G169FB29
4G169FB45
4G169FB46
4G169FC02
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC08
4K017AA04
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4K017DA09
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4K018BA01
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4K018BC29
4K018BC30
4K018BD10
4K018KA38
要約 本発明は、次の三つを提供する。第一に、式PdRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表される、PdとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)であるPdRu固溶体ナノ粒子を提供する。第二に、PtRu固溶体において、還元剤の加熱温度を制御することにより、PtRu固溶体の結晶構造を制御する方法を提供する。第三に、式AuRu1-z(0.05≦z≦0.4)で表される、AuとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)又は面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子を提供する。
特許請求の範囲 【請求項1】
式PdxRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表わされる、 PdとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)であるPdRu固溶体ナノ粒子。
【請求項2】
0.4≦x≦0.6である、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
hcpの割合が80%以上である、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
hcpの割合が90%以上である、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のナノ粒子を担体に担持してなる触媒。
【請求項6】
水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
水電解反応用触媒である、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
面心立方格子構造(fcc)が主構造である式PdRu固溶体ナノ粒子を水素雰囲気で加熱してfcc結晶構造の一部または全部をhcp結晶構造に変換することを特徴とする、式Pd xRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表わされる、Pd とRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)である固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
液体還元剤を含む加熱溶液にPt化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含み、前記液体還元剤の加熱温度がPt化合物の還元温度~前記還元温度+15℃であればhcpが主構造になり、前記液体還元剤の加熱温度がPt化合物の還元温度+15℃超であればfccが主構造になることを特徴とする、式PtyRu1-y(0.05≦y≦0.3)で表わされるPtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造における六方最密構造(hcp)と面心立方格子(fcc)の割合を制御する方法。
【請求項10】
式AuzRu1-z(0.05≦z≦0.4)で表わされる、 AuとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)又は面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子。
【請求項11】
主構造が六方最密構造(hcp)である、請求項10に記載のAuRu固溶体ナノ粒子。
【請求項12】
主構造が面心立方格子構造(fcc)である、請求項10に記載のAuRu固溶体ナノ粒子。
【請求項13】
液体還元剤を含む加熱溶液にAu化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含む、主構造が面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
CTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide)と液体還元剤を含む加熱溶液にAu化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含む、主構造が六方最密構造(hcp)であるAuRu固溶体ナノ粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項11又は12に記載のナノ粒子を担体に担持してなり、水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、PdRu固溶体ナノ粒子、その製造方法及び触媒、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造を制御する方法、並びにAuRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウム(Pd)はレアメタルの一つであり、その微粒子は工業的には自動車の排気ガス浄化用の触媒(三元触媒)や家庭用燃料電池エネファームなどにおける電極触媒など、様々な反応の触媒として使われている。しかし、これらの触媒として用いられるパラジウム微粒子は、様々な化学反応の過程で生成されるCO(一酸化炭素)などによって被毒され、高出力で長時間使用する事が困難となっている。そのため、このような被毒による劣化を抑制する技術は盛んに研究されている。一方、白金族の一つであるルテニウム(Ru)はCOを酸化しCO2(二酸化炭素)とする触媒活性を有するために、CO被毒に耐久性を持つ。そのため、ルテニウムは実際に燃料電池の電極にCO被毒を抑制するために白金などと合金化され利用されている。しかし、パラジウムとルテニウムは平衡状態において原子レベルで混ざる(固溶する)ことが出来ない組み合わせであり分離してしまう。
【0003】
特許文献1は、PdとRuの2元合金を開示しているが、金を含む固溶体合金の開示はない。
【0004】
特許文献2は、Pt,Ir,Pd,Rh,Ru,Au,Agのうちの少なくとも二種以上の固溶体を記載しているが、実施例ではIrとPtの固溶体が記載されるのみであり、他の固溶体については製造されていない。
【0005】
特許文献3は実質的に面心立方構造を有するルテニウム微粒子群を開示しているが、合金に関する情報は開示されていない。
【0006】
特許文献4はカーボン粉末に担持された白金とルテニウムの合金の微粒子を開示しているが、本発明のように反応条件により結晶構造を制御することは記載がない。
【0007】
特許文献5,6は実施例にはPtRu合金が開示されているが、Ruがコア、白金がシェルの構造であり、固溶体合金ではない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第5737699号
【特許文献2】特開2006-198490号公報
【特許文献3】特許第5657805号
【特許文献4】特開2002-222655号公報
【特許文献5】特開2012-41581号公報
【特許文献6】特開2016-43314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、PdとRuの固溶体において、触媒活性及び耐久性をさらに向上させることを目的とする。
【0010】
また、本発明は、PtRu固溶体において、結晶構造を制御することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、所望の結晶構造を持つAuRu固溶体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のPdRu固溶体ナノ粒子、その製造方法及び触媒、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造を制御する方法、並びにAuRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法を提供するものである。
項1. 式PdxRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表わされる、 PdとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)であるPdRu固溶体ナノ粒子。
項2. 0.4≦x≦0.6である、項1に記載のナノ粒子。
項3. hcpの割合が80%以上である、項1又は2に記載のナノ粒子。
項4. hcpの割合が90%以上である、項3に記載のナノ粒子。
項5. 項1~4のいずれか1項に記載のナノ粒子を担体に担持してなる触媒。
項6. 水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、項5に記載の触媒。
項7. 水電解反応用触媒である、項6に記載の触媒。
項8. 面心立方格子構造(fcc)が主構造である式PdRu固溶体ナノ粒子を水素雰囲気で加熱してfcc結晶構造の一部または全部をhcp結晶構造に変換することを特徴とする、式Pd xRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表わされる、Pd とRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)である固溶体ナノ粒子の製造方法。
項9. 液体還元剤を含む加熱溶液にPt化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含み、前記液体還元剤の加熱温度がPt化合物の還元温度~前記還元温度+15℃であればhcpが主構造になり、前記液体還元剤の加熱温度がPt化合物の還元温度+15℃超であればfccが主構造になることを特徴とする、式PtyRu1-y(0.05≦y≦0.3)で表わされるPtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造における六方最密構造(hcp)と面心立方格子(fcc)の割合を制御する方法。
項10. 式AuzRu1-z(0.05≦z≦0.4)で表わされる、 AuとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)又は面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子。
項11. 主構造が六方最密構造(hcp)である、項10に記載のAuRu固溶体ナノ粒子。
項12. 主構造が面心立方格子構造(fcc)である、項10に記載のAuRu固溶体ナノ粒子。
項13. 液体還元剤を含む加熱溶液にAu化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含む、主構造が面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子の製造方法。
項14. CTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide)と液体還元剤を含む加熱溶液にAu化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程を含む、主構造が六方最密構造(hcp)であるAuRu固溶体ナノ粒子の製造方法。
項15. 項11又は12に記載のナノ粒子を担体に担持してなり、水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒又は水素燃料電池用触媒である、触媒。
【発明の効果】
【0013】
PdとRuを含む金属微粒子は様々な反応で用いられる有用な触媒であり、本発明によれば、これまでにない高い活性及び耐久性を有する触媒を開発することができる。
【0014】
PtとRuを含む触媒の結晶構造は、組成によりほぼ決まっていたが、本発明によれば、PtRu固溶体ナノ粒子の製造温度を制御することにより、結晶構造におけるhcpとfccの比率を自由に制御できるようになった。
【0015】
AuとRuは本来固溶しない合金系である。本発明によれば、従来存在しなかった、主構造がfcc又はhcpのAuRu固溶体を作製することで、新たな電子状態及び反応場として結晶表面を作ることが可能になり、このようなAuRu固溶体は、Au単体、Ru単体、非固溶体とは異なる触媒活性を有すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子の粉末X線回折の結果
【図2】種々の反応時間での実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子の粉末X線回折の結果、およびその回折パターンのRietveld解析から得られたhcp構造の割合
【図3】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子のTEM像
【図4】カーボンに担持されたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子の粉末X線回折の結果
【図5】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子のHAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップ
【図6】実施例2で得られたPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子の粉末X線回折の結果、およびその回折パターンのRietveld解析から得られたhcp構造の割合
【図7】実施例2で得られたPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子のTEM像
【図8】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子触媒を用いた酸素発生反応(酸性水溶液)
【図9】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子触媒を用いた酸素発生反応(アルカリ性水溶液)
【図10】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子触媒を用いた酸素還元反応(アルカリ水溶液)
【図11】実施例2で得られたPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子触媒を用いた酸素発生反応(酸性水溶液)
【図12】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子の耐久性試験(ADT test)後のTEM像
【図13】実施例1で得られたPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子のX線光電子分光スペクトル(fcc&hcp)
【図14】実施例3,4で得られたPtRu固溶体ナノ粒子のXRDパターンとTEM像
【図15】実施例5,6で得られたPtRu固溶体ナノ粒子のXRDパターンとTEM像
【図16】比較例1で得られたPtRu固溶体ナノ粒子のXRDパターンとTEM像
【図17】実施例7、8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子およびAuナノ粒子、Ruナノ粒子の(a)XRDパターン、(b)拡大図、(c) fcc-AuRu3のXRDパターンのhcp成分とfcc成分を用いたRietveld解析のフィッティング結果。78.5%(fcc)と21.5%(hcp)であった。(d) hcp-AuRu3のXRDパターンのhcp成分を用いたRietveld解析のフィッティング結果。
【図18】実施例7、8で得られたAuRu固溶体ナノ粒子のTEM像
【図19】実施例7で得られたhcp構造のAuRu固溶体ナノ粒子のHAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップを示す。
【図20】実施例8で得られたfcc構造のAuRu固溶体ナノ粒子のHAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップを示す。
【図21】参考例1及び実施例1で得られたfcc構造又はhcp構造が主成分のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子触媒を用いた水素発生反応(HER、0.1 M HClO4酸性水溶液)。fccPdRuはPdに比べ活性が低いのに対し、hcpPdRuはPdよりも高い活性を示すことがわかる。
【図22】実施例7,8で得られたfcc構造又はhcp構造のAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子触媒を用いた酸素発生反応(OER、0.05 M H2SO4酸性水溶液)。(a)fcc-Au0.3Ru0.7/C触媒によるOERのLSV 分極曲線、(b) hcp-Au0.3Ru0.7/C触媒によるOERのLSV 分極曲線。Ruは約1.5V以降、触媒の溶出に伴う活性の低下が観測されるが、fcc合金の場合は1.6V以降に徐々に活性の低下が見られ、測定回数に伴い活性が低下。一方、hcp合金では活性の低下は観測されず、5000回の測定でも活性を維持する。結晶構造制御による触媒特性の向上が観測された。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、主構造が六方最密構造(hcp)である、PdRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒(第1発明)、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造を制御する方法(第2発明)、及び、主構造が六方最密構造(hcp)又は面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子及びその製造方法並びに触媒(第3発明)に関する。

【0018】
本明細書において、固溶体ナノ粒子の「主構造」がhcp又はfccとは、hcpとfccの合計を100%とした場合にhcp又はfccの割合が50%又はそれより高く、好ましくは55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上又は100%であることを意味する。

【0019】
固溶体ナノ粒子におけるhcpとfccの割合は、固溶体ナノ粒子のXRDを測定し、そのXRDパターンをTopas(Bruker AXS社製)、PDXL(Rigaku社製)、RIETAN-FP、GSASなどのソフトウェアでfcc(空間群Fm-3m)とhcp(空間群P 63/mmc)の2成分を用いたRietveld解析を行うことで、hcpとfccの合計を100%とした場合の各結晶構造(hcp、fcc)の割合として決定できる。例えば、図17(a)にはRu NPs、hcp-AuR3、fcc-AuR3、Au NPsのXRDパターンが示され、図17(c)にはfcc-AuR3のXRDパターンについてのTopas(Bruker AXS社製)を用いたRietveld解析によりfcc(78.5%)とhcp(21.5%)であると算出され、fccが主構造であることが実証されている。図17(d)にはhcp-AuR3のXRDパターンについてのTopas(Bruker AXS社製)を用いたRietveld解析の結果が示されている。したがって、本発明のPdRu、PtRu又はAuRu固溶体ナノ粒子の主構造がhcpであるかfccであるかは、XRDパターンの解析により確認できる。

【0020】
(1)第1発明
Pdはfcc構造を有し、Ruはhcp構造を有する。PdとRuからなる固溶体の結晶構造はfccとhcpの混ざりになり、Pdの割合が多くなるほどfccの割合が増加し、Ruの割合が多くなるほどhcpの割合が増加する。本発明ではPdRu固溶体ナノ粒子を還元性の水素雰囲気において加熱するか、真空もしくは不活性ガス雰囲気で加熱するとhcpの割合が増加し、加熱を続けると結晶構造はほぼ100%の割合でhcpに変換され、hcpの割合が増大するにつれて触媒活性及び耐久性が改善されることを見出した。PdRu固溶体ナノ粒子の加熱は、好ましくは200~600℃程度、より好ましくは300~500℃程度の温度で行うことができる。反応時間は、5分~12時間程度、好ましくは10分~5時間程度、より好ましくは20分~3時間程度である。反応温度が低いほど反応時間が長くなる傾向にある。hcpの結晶構造の割合を高くする反応の雰囲気は水素雰囲気が特に好ましい。水素雰囲気の水素濃度としては、容量で5~100%程度が挙げられる。

【0021】
PdRu固溶体ナノ粒子は、式PdxRu1-x(0.1≦x≦0.8)で表わされる。xの好ましい範囲は、0.12≦x≦0.75、より好ましくは0.15≦x≦0.7、さらに好ましくは0.17≦x≦0.65、特に0.2≦x≦0.6である。

【0022】
PdRu固溶体ナノ粒子におけるhcp結晶構造の比率は、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は100%である。hcpの比率が高いほど、触媒性能、耐久性が向上するために好ましい。

【0023】
本発明のPdRu固溶体ナノ粒子の平均粒径は、1~20 nm程度、好ましくは1~15 nm程度、より好ましくは1~10 nm程度、さらに好ましくは1~6 nm程度である。平均粒径が小さいと触媒性能が高くなるために好ましい。固溶体ナノ粒子の平均粒径は、TEMなどの顕微鏡写真により確認することができる。固溶体ナノ粒子の形状は特に限定されず、球状、楕円体状、ロッド状、柱状、リン片状など任意の形状であってよい。

【0024】
本発明のPdRu固溶体ナノ粒子は、担体に担持されていてもよい。担体は特に制限はないが、具体的には酸化物類、窒化物類、炭化物類、単体炭素、単体金属などが担体として挙げられ、中でも酸化物類、単体炭素が好ましく、酸化物類が特に好ましい担体である。酸化物類としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ニオビアなどの酸化物や、シリカ-アルミナ、チタニア-ジルコニア、セリア-ジルコニア、チタン酸ストロンチウムなどの複合酸化物などが挙げられる。単体炭素としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維などが挙げられる。窒化物類としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタン、窒化ニオブが挙げられる。炭化物類としては、炭化ケイ素、炭化ガリウム、炭化インジウム、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化ホウ素が挙げられる。単体金属としては、鉄、銅、アルミニウムなどの純金属及びステンレスなどの合金が挙げられる。

【0025】
本発明のPdRu固溶体ナノ粒子は、表面保護剤により被覆されていてもよい。表面保護剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー類、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸などのカルボン酸類が挙げられる。

【0026】
本発明のPdRu固溶体ナノ粒子は、水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応(ORR)用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒、水素燃料電池用触媒、炭化水素の酸化反応用触媒として優れており、水電解反応用触媒、三元触媒などの排ガス浄化触媒として好ましく使用される。三元触媒の場合、例えばNOxは窒素に還元され、COは二酸化炭素に酸化され、炭化水素(CH)は水と二酸化炭素に酸化される。

【0027】
本発明のhcp構造を富化させる前のPdRu固溶体ナノ粒子は公知であり、常法に従い製造できる。例えば、Pd化合物とRu化合物を含む混合水溶液と液体還元剤を準備し、液体還元剤にPd化合物とRu化合物を含む混合水溶液を加えて加熱下(例えば150~250℃程度)に1分~12時間程度撹拌下に反応し、その後に放冷し、遠心分離することにより、fcc構造を多く含むPdRu固溶体ナノ粒子を得ることができる。液体還元剤とPd化合物、Ru化合物の反応を担体の存在下に行うと、担体に担持されfcc構造を多く含むPdRu固溶体ナノ粒子が得られる。還元反応は加圧下に行ってもよい。

【0028】
液体還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジアルキレングリコール類、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどのトリアルキレングリコール類、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。

【0029】
Pd化合物、Ru化合物としては、以下のものが挙げられる:
Pd: K2PdCl4, Na2PdCl4, K2PdBr4, Na2PdBr4、硝酸パラジウムなど、
Ru: RuCl3, RuBr3などのハロゲン化ルテニウム、硝酸ルテニウムなど。

【0030】
fcc構造を多く含む原料のPdRu固溶体ナノ粒子は、水素雰囲気、不活性雰囲気もしくは真空中で加熱することにより、fccをhcpに変換することができる。fccをhcpに変換するための反応は、好ましくは水素雰囲気で行われる。水素と不活性ガスを含む雰囲気で反応を行ってもよい。不活性雰囲気に使用する不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンが挙げられ、窒素又はアルゴンが好ましい。水素雰囲気又は不活性雰囲気の反応圧力は、100~1000000 Pa程度、より好ましくは1000~1000000 Pa程度である。反応温度は、好ましくは200~600℃程度であり、より好ましくは250~550℃程度であり、さらに好ましくは300~500℃程度である。反応時間は、5分程度以上、好ましくは30分~3時間程度である。fccからhcpへの結晶構造の変換は時間とともに進行し、x<0.7の場合には、反応を長時間行うことで結晶構造を100% hcpに変換することができる。

【0031】
(2)第2発明
第2の好ましい実施形態において、本発明は、PtRu固溶体ナノ粒子の結晶構造における六方最密構造(hcp)と面心立方格子(fcc)の割合を制御する方法に関し、液体還元剤を含む加熱溶液にPt化合物とRu化合物を含む溶液を添加する工程において、反応温度を制御することによりhcpとfccの割合を制御することができる。反応終了後に放冷し、遠心分離することにより、六方最密構造(hcp)と面心立方格子(fcc)の割合が制御されたPtRu固溶体ナノ粒子を得ることができる。

【0032】
式PtyRu1-yにおいて、好ましくは0.05≦y≦0.3、より好ましくは0.1≦y≦0.2である。

【0033】
Pt化合物、Ru化合物としては、以下のものが挙げられる:
Pt: K2PtCl4、(NH4)2K2PtCl4、(NH4)2PtCl6、Na2PtCl6など、ビスアセチルアセトナト白金(II)、
Ru: RuCl3, RuBr3などのハロゲン化ルテニウム、硝酸ルテニウムなど。

【0034】
本発明において、Pt化合物、Ru化合物の還元温度を以下の表に示す。

【0035】
【表1】
JP2018159644A1_000003t.gif

【0036】
反応温度は、好ましくは150~300℃程度であり、より好ましくは170~270℃程度であり、さらに好ましくは200~250℃程度である。反応時間は、5分程度以上、好ましくは10分~2時間程度である。

【0037】
第2発明において、好ましくはPt化合物の還元温度はRu化合物の還元温度よりも5℃以上高く、より好ましくはPt化合物の還元温度はRu化合物の還元温度よりも10℃以上高く、さらに好ましくはPt化合物の還元温度はRu化合物の還元温度よりも15℃以上高い。

【0038】
第2発明において、液体還元剤の加熱温度が維持されるように、Pt化合物とRu化合物を含む溶液を液体還元剤の溶液に徐々に添加することが好ましい。添加の方法は、噴霧、滴下、ポンプによる送液などが挙げられる。

【0039】
Pt化合物とRu化合物を含む溶液を液体還元剤の加熱溶液に添加しても温度はほとんど低下しないので、液体還元剤の加熱温度は反応温度にほぼ等しい。

【0040】
hcpが主構造の式PtyRu1-y(0.05≦y≦0.3)で表されるPtRu固溶体ナノ粒子を得る場合、反応温度(すなわち還元剤溶液の温度)はPt化合物の還元温度~前記還元温度+15℃であることが好ましく、より好ましくはPt化合物とRu化合物の高い方の還元温度~前記還元温度+10℃であり、さらに好ましくはPt化合物とRu化合物の高い方の還元温度~前記還元温度+5℃である。反応温度はPt化合物の還元温度と同じか少し高いが、Ru化合物の還元温度よりも十分高いため、Ru化合物の還元のタイミングが少し早くなり、それによりhcpリッチな結晶構造になる。Ru化合物の還元のタイミングは少し早いが、Pt化合物の還元も同時に生じているので、固溶体が得られる。Ru化合物の還元のタイミングが大幅に早いと固溶体は形成されない。固溶体であり、かつ、hcpリッチなPtRu固溶体ナノ粒子を得るためには、温度の微妙な制御が必要とされる。

【0041】
fccが主構造の式PtyRu1-y(0.05≦y≦0.3)で表されるPtRu固溶体ナノ粒子を得る場合、反応温度(すなわち還元剤溶液の温度)はPt化合物の還元温度よりも好ましくは15℃よりも高く、より好ましくは20℃以上高く、さらに好ましくは25℃以上高い。反応温度がPt化合物の還元温度よりも十分高いと、Pt化合物の還元のタイミングが少し早くなり、それによりfccリッチな結晶構造になる。Pt化合物の還元のタイミングが大幅に早いと固溶体は形成されない。固溶体であり、かつ、hcpリッチなPtRu固溶体ナノ粒子を得るためには、温度の微妙な制御が必要とされる。

【0042】
好ましいPt化合物は、Pt(acac)2、C10H8Cl2N2Ptであり、好ましいRu化合物は、RuCl3である。

【0043】
例えばPt化合物としてPt(acac)2(還元温度220℃)を使用し、Ru化合物としてRuCl3(還元温度198℃)を使用した場合、反応温度が220℃又は少し温度が高い場合、Pt(acac)2の還元反応は僅かに遅く、RuCl3の還元反応は僅かに早くなり、Ru単体の結晶構造であるhcpが主構造になる。反応温度が220℃よりも十分高い(15℃以上高い、20℃以上高い、25℃以上高い)場合、Pt(acac)2の還元反応が僅かに早くなり、RuCl3の還元反応は僅かに遅くなるため、Pt単体の結晶構造であるfccが主構造になる。還元反応は加圧下に行ってもよい。

【0044】
液体還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジアルキレングリコール類、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどのトリアルキレングリコール類、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。

【0045】
液体還元剤とPt化合物、Ru化合物の反応を担体の存在下に行うと、担体に担持されたPtRu固溶体ナノ粒子が得られる。また、液体還元剤とPt化合物、Ru化合物の反応を表面保護剤の存在下に行うと、表面保護剤で被覆されたPtRu固溶体ナノ粒子が得られる。

【0046】
担体は特に制限はないが、具体的には酸化物類、窒化物類、炭化物類、カーボン、単体金属などが担体として挙げられ、中でも酸化物類、カーボンが好ましい。酸化物類としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ニオビアなどの酸化物や、シリカ-アルミナ、チタニア-ジルコニア、セリア-ジルコニア、チタン酸ストロンチウムなどの複合酸化物などが挙げられる。カーボンとしては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維などが挙げられる。窒化物類としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタン、窒化ニオブが挙げられる。炭化物類としては、炭化ケイ素、炭化ガリウム、炭化インジウム、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化ホウ素が挙げられる。単体金属としては、鉄、銅、アルミニウムなどの純金属及びステンレスなどの合金が挙げられる。

【0047】
本発明のPtRu固溶体ナノ粒子は、表面保護剤により被覆されていてもよい。表面保護剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー類、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸などのカルボン酸類が挙げられる。

【0048】
本発明のPtRu固溶体ナノ粒子は、メタノール酸化用触媒、水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応(ORR)用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒、水素燃料電池用触媒、炭化水素の酸化反応用触媒として優れており、メタノール酸化用触媒、水電解反応用触媒、三元触媒などの排ガス浄化触媒として好ましく使用される。三元触媒の場合、例えばNOxは窒素に還元され、COは二酸化炭素に酸化され、炭化水素(CH)は水と二酸化炭素に酸化される。

【0049】
(第3発明)
第3発明で得られる固溶体ナノ粒子は、式AuzRu1-z(0.05≦z≦0.4)で表わされる、 AuとRuが原子レベルで固溶し、かつ、主構造が六方最密構造(hcp)又は面心立方格子構造(fcc)であるAuRu固溶体ナノ粒子である。本発明では、AuとRuの比率が同一であり、かつ、結晶構造の主構造がhcp又はfccであるAuRu固溶体ナノ粒子が得られる。

【0050】
ここで、「AuRu固溶体ナノ粒子」とは、ナノ粒子の中でAuとRuが均一に存在し、各金属原子の分布に偏りがないことを意味する。

【0051】
本発明の固溶体ナノ粒子において、zは、0.05≦z≦0.4、好ましくは0.1≦z≦0.35、より好ましくは0.15≦z≦0.25である。

【0052】
本発明のAuRu固溶体ナノ粒子の平均粒径は、1~100 nm程度、好ましくは1~50 nm程度、より好ましくは1~10 nm程度、さらに好ましくは1~6 nm程度である。平均粒径が小さいと触媒性能が高くなるために好ましい。固溶体ナノ粒子の平均粒径は、TEMなどの顕微鏡写真により確認することができる。固溶体ナノ粒子の形状は特に限定されず、球状、楕円体状、ロッド状、柱状、リン片状など任意の形状であってよい。

【0053】
本発明の固溶体ナノ粒子の製造方法は、Au化合物とRu化合物の溶媒溶液、還元剤と表面保護剤の溶媒溶液を調製し、Au化合物とRu化合物の溶媒溶液を還元剤と表面保護剤(任意成分)の溶媒溶液にスプレー、滴下、ポンプによる送液等で少量ずつ添加することにより得ることができる。

【0054】
本発明のAuRu固溶体ナノ粒子は、例えば、Au化合物とRu化合物を含む溶媒溶液と液体還元剤を準備し、液体還元剤にAu化合物とRu化合物を含む溶媒溶液を加えて加熱下(例えば150~300℃程度)に1分~12時間程度撹拌下に反応し、その後に放冷し、遠心分離することにより、主構造がfccであるAuRu固溶体ナノ粒子を得ることができる。液体還元剤とAu化合物、Ru化合物の反応を担体の存在下に行うと、担体に担持されfcc構造を多く含むAuRu固溶体ナノ粒子が得られる。液体還元剤とAu化合物、Ru化合物の反応を表面保護剤の存在下に行うと、ナノ粒子表面が表面保護剤で被覆されたAuRu固溶体ナノ粒子が得られる。表面保護剤を使用しない場合、精製したナノ粒子は凝集物として得られる。

【0055】
反応系内にCTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide)を加えると、Auの還元速度が下がり、Ruが僅かに早く還元されるので、主構造がhcpであるAuRu固溶体ナノ粒子(担体に担持されていてもよく、表面保護剤で被覆されていてもよい)が得られる。

【0056】
CTABの反応系における濃度は、金属塩の濃度に対して好ましくは1/10倍~100倍程度、より好ましくは1倍~30倍程度である。

【0057】
溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ポリオール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレンングリコール、グリセリンなど)、ポリエーテル類(ポリエチレングリコールなど)などが使用でき、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒としては、水、アルコール又は含水アルコールが好ましい。

【0058】
反応温度は、好ましくは150~300℃程度であり、より好ましくは170~270℃程度であり、さらに好ましくは200~250℃程度である。反応時間は、5分程度以上、好ましくは10分~2時間程度である。

【0059】
Au化合物とRu化合物は、水溶性であることが好ましく、塩であることがより好ましい。好ましいAu化合物とRu化合物としては、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)などが挙げられ、ハロゲン化物、酢酸塩等の有機酸塩、硝酸塩が好ましく使用できる。Auは、2価、3価、4価のいずれでもよい。Ruは1価、2価、3価、4価のいずれでもよい。

【0060】
Au化合物、Ru化合物としては、以下のものが挙げられる:
Au: HAuCl4、HAuBr4、K2AuCl6、Na2AuCl6、酢酸金など、
Ru: RuCl3, RuBr3などのハロゲン化ルテニウム、硝酸ルテニウムなど。
Au化合物とRu化合物の溶媒溶液中の濃度としては、各々0.01~1000mmol/L程度、好ましくは0.05~100 mmol/L 程度、より好ましくは0.1~50 mmol/L程度である。Au化合物とRu化合物の濃度が濃すぎるとAuとRuの原子レベルで均一性が低下する可能性がある。還元反応は加圧下に行ってもよい。

【0061】
液体還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ブチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、ドデセン、テトラデセン、オクタデセンなどの不飽和炭化水素、NaBH4、LiBH4、NaCNBH3、LiAlH4などが使用できる。

【0062】
表面保護剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー類、オレイルアミンなどのアミン類、オレイン酸などのカルボン酸類が使用できる。

【0063】
担体としては、特に制限はないが、具体的には酸化物類、窒化物類、炭化物類、単体炭素、単体金属などが担体として挙げられ、中でも酸化物類、単体炭素が好ましく、酸化物類が特に好ましい担体である。酸化物類としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ニオビアなどの酸化物や、シリカ-アルミナ、チタニア-ジルコニア、セリア-ジルコニア、チタン酸ストロンチウムなどの複合酸化物などが挙げられる。単体炭素としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維などが挙げられる。窒化物類としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタン、窒化ニオブが挙げられる。炭化物類としては、炭化ケイ素、炭化ガリウム、炭化インジウム、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化ホウ素が挙げられる。単体金属としては、鉄、銅、アルミニウムなどの純金属及びステンレスなどの合金が挙げられる。

【0064】
本発明のAuRu固溶体ナノ粒子は、水添反応用触媒、水素酸化反応用触媒、酸素還元反応(ORR)用触媒、酸素発生反応(OER)用触媒、水素発生反応(HER)用触媒、窒素酸化物(NOx)還元反応用触媒、一酸化炭素(CO)酸化反応用触媒、脱水素反応用触媒、VVOC又はVOC酸化反応用触媒、排ガス浄化用触媒、水電解反応用触媒、水素燃料電池用触媒、炭化水素の酸化反応用触媒として優れており、水電解反応用触媒、三元触媒などの排ガス浄化触媒として好ましく使用される。三元触媒の場合、例えばNOxは窒素に還元され、COは二酸化炭素に酸化され、炭化水素(CH)は水と二酸化炭素に酸化される。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
【実施例】
【0066】
実施例において、以下の装置を用いた。
(i)Powder X-ray Diffraction (PXRD)
SPring8 BL02B2 (λ = 0.58 Å, in-situ measurement)
Bruker D8 Advance (Cu Kα = 1.54 Å)
(ii)Transmission electron microscope (TEM)
Hitachi HT7700 (accelerating voltage: 100 kV)
(iii)High-angle annular dark-field scanning transmission electron microscopy (HAADF-STEM)
JEOL JEM-ARM200F (accelerating voltage: 200 kV)
(iv)X-ray photoelectron spectroscopy (XPS)
Shimadzu ECSA-3400 (The data were calibrated by carbon 1s signal )
(v)Electrocatalytic process
ALS CHI electrochemical analyzer Model 760E
Rotating Ring Disk Electrode RRDE-3A (ALS Japan)
【実施例】
【0067】
参考例1-2:PdRu固溶体ナノ粒子の製造(Pd:Ru=4:6、5:5)
トリエチレングリコール300 mlを200 ℃で加熱撹拌する。この加熱混合物にK2PdCl4(0.4 mmol又は0.5 mmol)とRuCl3(0.6 mmol又は0.5 mmol)をイオン交換水40 mlに溶かした溶液を加え、 200 ℃で10分間維持した後放冷し、生じた沈殿物を遠心分離により分離した。fccが主構造であるPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(参考例1) 及びPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子(参考例2)を得た。
【実施例】
【0068】
実施例1
参考例1で得たPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(平均粒径13.2nm)を1気圧の水素雰囲気下に573K(300℃)で35分、41分、47分又は53分間加熱し、PXRDを行った。結果を図1(53分間)、図2に示す。図1には、水素雰囲気に代えて真空中で反応させたもの(Vac-treated)、Pdバルク、参考例1で得たPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(As-synthesized)を合わせて示す。
【実施例】
【0069】
さらに、実施例1(30分間300℃処理)のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子とカーボン (Vulcan XC-72R, Cobalt Co.) の混合物 (金属含有量20 wt.% )を水と2-プロパノールの混合液(1:5 v/v)中、4時間室温で超音波処理し、遠心分離してカーボン担持Pd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子を遠心処理により回収し、真空中で乾燥し、TEM像(図3)、PXRDパターン(図4)、HAADF-STEM像(図5)を得た。
【実施例】
【0070】
実施例2
参考例2で得たPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子(平均粒径10.5nm)を、1気圧の水素雰囲気下に373K(100℃)、473K(200℃)、573K(300℃)、623K(350℃)、673K(400℃)で各5分間加熱し、PXRDを行った。結果を図6に示す。さらに、Pd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子(573Kで処理)のTEM像を得た(図7)。
【実施例】
【0071】
試験例1
[電極の製造]
実施例1のhcp構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)をカーボン粒子に担持したPdRu固溶体回転リングディスク電極(PdRu/C:金属量20wt%)を製造した。回転リングディスク電極(RDE)の直径は5mmであった。
[OER(酸素発生反応)触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:実施例1のhcp結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子をカーボンに担持した回転リングディスク電極をアノードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:銀-塩化銀電極(Ag/AgCl)、電解液:0.1MのHClO、25℃、酸素飽和)を用いて、1Vから2.0V(vs.RHE)まで50mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定した。比較のために電極材料をhcp結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子に代えてfcc結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子、Pdナノ粒子(Pd NPs)、Ruナノ粒子(Ru NPs)を用いて同様にOER触媒活性を測定した。結果を図8に示す。また、電解液として1.0MのNaOHを用い、同様にOER触媒活性を測定した。結果を図9に示す。
[ORR(酸素還元反応) 触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:実施例1のhcp結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子をカーボン粒子に担持した回転リングディスク電極をカソードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:水銀-酸化水銀電極(Hg/HgO)、電解液:1.0MのNaOH、25℃、酸素飽和)を用いて、-1Vから0.1V(vs.RHE)まで50mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定し、ORR触媒活性を評価した。比較のために電極材料をhcp結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子に代えてfcc結晶構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子を用いて同様にカソードを作製し、ORR触媒活性を評価した。結果を図10に示す。
【実施例】
【0072】
試験例2
実施例1のhcpのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)に代えて実施例2のhcpのPd0.5Ru0.5固溶体ナノ粒子(400℃処理)を用い、試験例1と同様にしてOER触媒活性を測定した。結果を図11に示す。
【実施例】
【0073】
試験例3
実施例1のhcpのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)、参考例1のfccのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子を用い、加速耐久性試験(ADT)を行い、試験後のサンプルについてTEM像を得た。結果を図12に示す。
【実施例】
【0074】
また、実施例1のhcpのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)、参考例1のfccのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子のXPSの測定結果を図13に示す。
【実施例】
【0075】
実施例3、4
トリエチレングリコール(TEG、還元剤) 100ml及び1.0mmol PVP(ポリビニルピロリドン、保護剤)の混合液を220℃(実施例3)又は250℃(実施例4)で加熱撹拌し、この溶液にPt(acac)2(0.04mmol)とRuCl3(0.16mmol)をエタノール10mlに溶かした溶液を滴下し、220℃又は250℃で1時間維持した後放冷し、生じた沈殿物を遠心分離により分離した。分離したPtRu固溶体ナノ粒子について、XRDパターンとTEM画像を得た(図14)。実施例3でhcp構造のPtRu固溶体ナノ粒子が得られ、実施例4でfcc構造のPtRu固溶体ナノ粒子が得られたことが明らかになった。
【実施例】
【0076】
実施例5、6
トリエチレングリコール(TEG、還元剤) 100ml及び1.0mmol PVP(ポリビニルピロリドン、保護剤)の混合液を220℃(実施例5)又は250℃(実施例6)で加熱撹拌し、この溶液にPt(acac)2(0.02mmol)とRuCl3(0.18mmol)をエタノール10mlに溶かした溶液を滴下し、220℃又は250℃で1時間維持した後放冷し、生じた沈殿物を遠心分離により分離した。分離したPtRu固溶体ナノ粒子について、XRDパターンとTEM画像を得た(図15)。実施例5でhcp構造のPtRu固溶体ナノ粒子が得られ、実施例6でfcc構造のPtRu固溶体ナノ粒子が得られたことが明らかになった。
【実施例】
【0077】
比較例1
トリエチレングリコール(TEG、還元剤) 100ml及び1.0mmol PVP(ポリビニルピロリドン、保護剤)の混合液を220℃で加熱撹拌し、この溶液にH2PtCl6(0.04mmol)とRuCl3(0.16mmol)をエタノール10mlに溶かした溶液を滴下し、220℃で1時間維持した後放冷し、生じた沈殿物を遠心分離により分離した。分離したPtRu固溶体ナノ粒子について、XRDパターンとTEM画像を得た(図16)。比較例1でfcc構造のPtRu固溶体ナノ粒子が得られたことが明らかになった。
【実施例】
【0078】
実施例7
ジエチレングリコール(DEG、還元剤) 30mlにHAuBr4(0.03 mmol)及びRuCl3(0.07 mmol)を溶解した(以下、「前駆体溶液」という)。
【実施例】
【0079】
ジエチレングリコール(DEG、還元剤) 100 mlにPVP(4 mmol)及びCTAB(1.5mmol)を加えて撹拌して溶かし、溶液を215℃に加熱した。この溶液の温度を215℃に維持しながら前駆体溶液を0.75ml/minの速度でポンプにより加えた。さらに5分間215℃を維持し、室温まで冷却した。Au0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子を沈殿物として遠心分離により回収し、真空下に乾燥した。得られた沈殿物はhcp構造を有する固溶体ナノ粒子であることが粉末X線回折(図17)、TEM像(図18)、HAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップ(図19)により確認された。
【実施例】
【0080】
実施例8
ジエチレングリコール(DEG、還元剤) 10mlにHAuBr4(0.03 mmol)及びRuCl3(0.07 mmol)を溶解した(以下、「前駆体溶液」という)。
エチレングリコール(EG、還元剤) 100 mlにPVP(4 mmol)を加えて撹拌し、溶液を195℃に加熱した。この溶液の温度を195℃に維持しながら前駆体溶液を1.5ml/minの速度でポンプにより加えた。さらに10分間195℃を維持し、室温まで冷却した。Au0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子を沈殿物として遠心分離により回収し、真空下に乾燥した。得られた沈殿物はfcc構造を有する固溶体ナノ粒子であることが粉末X線回折(図17a)、TEM像(図18)、HAADF-STEM像およびSTEM-EDXマップ(図20)により確認された。また、図17aに示されるfcc-AuRu3とhcp-AuRu3のXRDパターンのTopas(Bruker AXS社製)によるRietveld解析の結果を図17c、図17dに示す。
【実施例】
【0081】
試験例4
[電極の製造]
参考例1のfcc構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子又は実施例1のhcp構造のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)をカーボン粒子に担持したfcc又はhcpのPdRu固溶体回転リングディスク電極(PdRu/C:金属量20wt%)を製造した。回転リングディスク電極(RDE)の直径は5mmであった。また、電極上のPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子の装填量は0.051mg/cmであった。
[HER(水素発生反応) 触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:参考例1のfccのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子又は実施例1のhcpのPd0.4Ru0.6固溶体ナノ粒子(53分間300℃処理)をカーボン粒子に担持したfcc又はhcpのPdRu固溶体回転リングディスク電極(PdRu/C:金属量20wt%)をカソードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:銀-塩化銀電極(Ag/AgCl)、電解液:0.1MのHClO水溶液、25℃、Ar-飽和、1600rpm)を用いて、-0.2Vから0V(vs.RHE)まで5mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定し、HER触媒活性を評価した。比較のために電極材料をPdRu固溶体ナノ粒子に代えてRuナノ粒子(Ru NPs)、Pdナノ粒子(Pd NPs)を用いて同様にHER触媒活性を測定した。結果を図21に示す。図21に示されるように、fccPdRuはPdに比べ活性が低いのに対し、hcpPdRuはPdよりも高い活性を示す。
【実施例】
【0082】
試験例5
[電極の製造]
実施例7のhcp構造のAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子又は実施例8のhcpのAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子をカーボン粒子に担持したfcc又はhcpのAuRu固溶体回転リングディスク電極(AuRu/C:金属量20wt%)を製造した。電極上のAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子の装填量は0.1mg/cmであった。
[OER(酸素発生反応)触媒活性]
電流測定装置:ポテンシオスタット(BAS社製 ALS760E)
測定方法:実施例7のhcp結晶構造のAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子又は実施例8のfcc結晶構造のAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子をカーボンに担持した回転リングディスク電極をアノードとし、3電極式セル(対極:白金線、参照極:銀-塩化銀電極(Ag/AgCl)、電解液:0.05MのHSO、25℃、Ar飽和)を用いて、1Vから2.0V(vs.RHE)まで5mV/sにて電位Eを掃引したときの電流値Iを測定した。比較のために電極材料をAu0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子に代えて、Auナノ粒子(Au NPs)、Ruナノ粒子(Ru NPs)を用いて同様にOER触媒活性を測定した。結果を図22に示す。Ruは約1.5V以降、触媒の溶出に伴う活性の低下が観測されるが、fcc固溶体の場合は1.6V以降に徐々に活性の低下が見られ、測定回数に伴い活性が低下。一方、hcp固溶体では活性の低下は観測されず、5000回の測定でも活性を維持する。Au0.3Ru0.7固溶体ナノ粒子の結晶構造制御による触媒特性の向上が観測された。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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