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明細書 :プラズマアクチュエータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-113534 (P2020-113534A)
公開日 令和2年7月27日(2020.7.27)
発明の名称または考案の名称 プラズマアクチュエータ
国際特許分類 H05H   1/24        (2006.01)
B64C  21/10        (2006.01)
FI H05H 1/24
B64C 21/10
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2020-000206 (P2020-000206)
出願日 令和2年1月6日(2020.1.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス:https://www.jsme.or.jp/conference/nenji2019/index.html ウェブサイトの掲載日:2019年(令和1年)9月2日 ・集 会 名:日本機械学会 2019年度年次大会 開 催 日:2019年(令和1年)9月8日~9月11日 ・発行者名 :一般社団法人 日本航空宇宙学会 刊行物名 :宇宙科学技術連合講演会講演集 発行年月日:2019年(令和1年)8月13日以降 ・集 会 名:第63回宇宙科学技術連合講演会 開 催 日:2019年(令和1年)11月6日~11月8日
優先権出願番号 2019000603
優先日 平成31年1月7日(2019.1.7)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】佐藤 慎太郎
【氏名】大西 直文
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095359、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 篤
【識別番号】100143834、【弁理士】、【氏名又は名称】楠 修二
審査請求 未請求
テーマコード 2G084
Fターム 2G084AA23
2G084BB07
2G084BB35
2G084BB37
2G084CC03
2G084CC08
2G084CC20
2G084CC34
2G084DD15
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD32
2G084DD39
要約 【課題】誘起される流れを加速可能で、流れの制御効果を高めることができる、小型で安価なプラズマアクチュエータを提供する。
【解決手段】複数の電極対12が、所定の方向に向かって上流側から下流側に並べて誘電体層11に設けられている。各電極対12は、誘電体層11の一方の表面側に設けられた上流電極21と、上流電極21との間に誘電体層11を挟むよう誘電体層11の他方の表面側に設けられた下流電極22とを有している。最下流電極13が、誘電体層11の一方の表面側に、最も下流側の電極対12の下流電極22から下流側にずれて配置され、その下流電極22と同じ電位になるよう設けられている。電圧印加手段14が、印加する電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう、交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を、各電極対12に印加可能に設けられている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
誘電体層と、
前記誘電体層の一方の表面に沿って、所定の方向に向かって上流側から下流側に並べて前記誘電体層に設けられた複数の電極対と、
各電極対の下流側で前記誘電体層に設けられた最下流電極と、
交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を、各電極対に印加可能に設けられた電圧印加手段とを有し、
各電極対は、前記誘電体層の一方の表面側に設けられた上流電極と、前記上流電極との間に前記誘電体層を挟むよう前記誘電体層の他方の表面側に設けられ、前記上流電極から下流側にずれて配置された下流電極とを有し、
隣り合う電極対は、下流側の電極対の前記上流電極が、上流側の電極対の前記下流電極から下流側にずれて配置されており、
前記最下流電極は、前記誘電体層の一方の表面側に、最も下流側の電極対の前記下流電極から下流側にずれて配置され、最も下流側の電極対の前記下流電極と同じ電位になるよう設けられており、
前記電圧印加手段は、印加する前記電圧の極性が隣り合う電極対で反転するよう、前記電圧を印加可能に構成されていることを
特徴とするプラズマアクチュエータ。
【請求項2】
前記電圧印加手段は、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方に前記電圧を印加したとき、他方を接地するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマアクチュエータ。
【請求項3】
前記電圧印加手段は、上流側から奇数番目の電極対の前記上流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記下流電極とに前記電圧を印加したとき、上流側から奇数番目の電極対の前記下流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記上流電極とを接地するよう構成されている、および/または、上流側から奇数番目の電極対の前記下流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記上流電極とに前記電圧を印加したとき、上流側から奇数番目の電極対の前記上流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記下流電極とを接地するよう構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマアクチュエータ。
【請求項4】
前記電圧は、前記交流電圧または前記繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧から成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマアクチュエータ。
【請求項5】
前記電圧印加手段は、DC電源と第1スイッチと第2スイッチとを有し、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方を、前記第1スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第2スイッチを介して接地しており、他方を接地しており、前記第1スイッチをONにすると共に前記第2スイッチをOFFにし、前記第1スイッチをOFFにすると共に前記第2スイッチをONにする動作を繰り返すよう構成されていることを特徴とする請求項4記載のプラズマアクチュエータ。
【請求項6】
前記電圧印加手段は、DC電源と第1スイッチと第2スイッチと第3スイッチと第4スイッチとを有し、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方を、前記第1スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第2スイッチを介して接地しており、他方を、前記第3スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第4スイッチを介して接地しており、前記第1スイッチおよび前記第4スイッチをONにすると共に前記第2スイッチおよび前記第3スイッチをOFFにし、前記第1スイッチおよび前記第4スイッチをOFFにすると共に前記第2スイッチおよび前記第3スイッチをONにする動作を繰り返すよう構成されていることを特徴とする請求項4記載のプラズマアクチュエータ。
【請求項7】
誘電体層と、
前記誘電体層の一方の表面側に設けられた上流電極と、
前記上流電極との間に前記誘電体層を挟むよう前記誘電体層の他方の表面側に設けられ、前記上流電極から所定の方向にずれて配置された下流電極と、
前記誘電体層の一方の表面側に、前記下流電極から前記所定の方向にずれて配置され、前記下流電極と同じ電位になるよう設けられた最下流電極と、
交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を、前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方に印加可能に設けられ、前記一方に前記電圧を印加したとき、他方を接地するよう構成された電圧印加手段とを、
有することを特徴とするプラズマアクチュエータ。
【請求項8】
前記上流電極および前記最下流電極は、それぞれ前記所定の方向に沿って並んだ1対の分割電極に分割されており、各対の上流側または下流側の分割電極に、抵抗器が接続されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプラズマアクチュエータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の翼周り流れの剥離抑制や流体騒音の低減等を目的として、流体制御デバイスの開発が古くから行われている。従来は、受動的な流体制御デバイスの開発がよく行われていたが、近年は、能動的な流体制御デバイスが注目されており、特に放電によって生じるイオン風を利用して気流を制御するプラズマアクチュエータの開発が精力的に行われている。
【0003】
例えば、翼周りの剥離流れを効果的に制御することを目的として、2枚の電極と誘電体とで構成される単一のプラズマアクチュエータを用いた流体制御システム(例えば、特許文献1参照)や、誘電体層上に形成された第1電極と、別の誘電体層上に、互いに対向して櫛歯状に形成された1対の第2電極と、さらに別の誘電体層上に、互いに対向して櫛歯状に形成された1対の第3電極とが、誘電体層を介して積層されており、発生させるプラズマの位置を制御することで流れの方向を制御するプラズマアクチュエータ(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
【0004】
また、単一のプラズマアクチュエータの性能を向上させることを目的として、通常は完全に誘電体で被覆されている下部電極の下流側を露出させたものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、性能を向上させるために、露出電極を追加し、3枚の電極を用いたプラズマアクチュエータも提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
また、性能を向上するために、プラズマアクチュエータを複数並べることが考えられるが、同一の電極配置を有するプラズマアクチュエータを2つ並べた実験により、プラズマアクチュエータ同士の距離が近すぎる場合には、主流方向とは逆向きの流れが形成されるため、主流方向の流れを効果的に加速することができないことが確認されている(例えば、非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2015-161269号公報
【特許文献2】特開2017-76518号公報
【0007】

【非特許文献1】D. F. Opaits et al, “Improving Thrust by Suppressing Charge Build-up in Pulsed DBD Plasma Actuators”, 47th AIAA Aerospace Sciences Meeting Including The New Horizons Forum and Aerospace Exposition, 5-8 January 2009, Orlando, Florida, AIAA 2009-487
【非特許文献2】浅海典男、「ターボ機械応用に向けた多電極構成プラズマアクチュエータに関する研究」、鳥取大学 博士論文、2018年
【非特許文献3】M. Forte, J. Jolibois, J. Pons, E. Moreau, G. Touchard, and M. Cazalens, “Optimization of a dielectric barrier discharge actuator by stationary and non-stationary measurements of the induced flow velocity: application to airflow control”, Exp. Fluids, 2007, 43, 917-928
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1または2記載のプラズマアクチュエータは、制御可能な範囲での効果の向上や、状況に応じた流れの向きの制御は可能であるが、ピーク間電圧で20~40kV程度の交流電圧を印加しなければ十分な制御効果が得られないため、電源装置が大型かつ高価になるという課題があった。非特許文献1に記載のプラズマアクチュエータは、流れの制御効果を得るために印加する電圧を高くすると、アーク放電へ移行して電極が損耗してしまうため、印加電圧を抑制する必要があり、十分な制御効果を得ることができないという課題があった。非特許文献2に記載のプラズマアクチュエータは、新たに追加した露出電極と被覆電極との間に電位差が形成されるため、追加した露出電極の電圧が高くなると、主流方向とは反対方向に放電が発生し、誘起される流れが所望の方向から偏向してしまい、十分な流れの制御効果を得ることができないという課題があった。
【0009】
また、非特許文献3に記載のように、同一の電極配置を有するプラズマアクチュエータを複数並べたとしても、逆向きの流れが発生するため、誘起される流れを加速させることができず、十分な流れの制御効果を得ることができないという課題があった。
【0010】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、誘起される流れを加速可能で、流れの制御効果を高めることができる、小型で安価なプラズマアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るプラズマアクチュエータは、誘電体層と、前記誘電体層の一方の表面に沿って、所定の方向に向かって上流側から下流側に並べて前記誘電体層に設けられた複数の電極対と、各電極対の下流側で前記誘電体層に設けられた最下流電極と、交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を、各電極対に印加可能に設けられた電圧印加手段とを有し、各電極対は、前記誘電体層の一方の表面側に設けられた上流電極と、前記上流電極との間に前記誘電体層を挟むよう前記誘電体層の他方の表面側に設けられ、前記上流電極から下流側にずれて配置された下流電極とを有し、隣り合う電極対は、下流側の電極対の前記上流電極が、上流側の電極対の前記下流電極から下流側にずれて配置されており、前記最下流電極は、前記誘電体層の一方の表面側に、最も下流側の電極対の前記下流電極から下流側にずれて配置され、最も下流側の電極対の前記下流電極と同じ電位になるよう設けられており、前記電圧印加手段は、印加する前記電圧の極性が隣り合う電極対で反転するよう、前記電圧を印加可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプラズマアクチュエータは、電圧印加手段で、交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を印加することにより、各電極対の上流電極と下流電極との間に放電プラズマを発生させて、上流側から下流側への流れを誘起することができる。このとき、電圧印加手段により印加される電圧の極性が隣り合う電極対で反転するよう構成されているため、隣り合う電極対のうち、上流側の電極対の下流電極の電位と下流側の電極対の上流電極の電位とを、常に等しくすることができる。また、最下流電極が最も下流側の電極対の下流電極と同じ電位になるよう設けられているため、最下流電極の電位と最も下流側の電極対の下流電極の電位とを、常に等しくすることができる。これにより、それらの電極間で放電が発生するのを防止して、各電極対で誘起される流れに対して逆方向の流れが発生するのを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係るプラズマアクチュエータは、電圧印加手段により印加される電圧の極性が隣り合う電極対で反転するよう構成されているため、各電極対で発生する放電によって堆積した誘電体層上の電荷を、下流側で隣り合う電極対の上流電極により取り除くことができる。また、最下流電極が最も下流側の電極対の下流電極と同じ電位になるよう設けられているため、最も下流側の電極対で発生する放電によって堆積した誘電体層上の電荷を、最下流電極により取り除くことができる。このため、各電極対で発生する放電によって堆積した誘電体層上の電荷により、各電極対で誘起される流れが遮断されるのを防ぐことができる。これにより、上流側から下流側に向かって、誘起される流れを加速することができ、流れの制御効果を高めることができる。また、これにより、電圧印加手段で印加する電圧を小さくしても従来と同等の制御効果が得られるため、電圧印加手段を小さくすることができ、小型で安価に構成することができる。
【0014】
本発明に係るプラズマアクチュエータで、前記電圧印加手段は、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方に前記電圧を印加したとき、他方を接地するよう構成されていることが好ましい。この場合、例えば、前記電圧印加手段は、上流側から奇数番目の電極対の前記上流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記下流電極とに前記電圧を印加したとき、上流側から奇数番目の電極対の前記下流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記上流電極とを接地するよう構成されていてもよく、また、上流側から奇数番目の電極対の前記下流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記上流電極とに前記電圧を印加したとき、上流側から奇数番目の電極対の前記上流電極と上流側から偶数番目の電極対の前記下流電極とを接地するよう構成されていてもよい。これにより、電圧印加手段により印加される電圧の極性を、隣り合う電極対で反転させることができる。
【0015】
本発明に係るプラズマアクチュエータで、前記電圧は、前記交流電圧または前記繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧から成ることが好ましい。この場合、交流電圧または繰り返しパルス電圧により発生した放電プラズマの荷電粒子を、DC電圧により加速させることができる。これにより、誘起される流れをさらに加速することができ、流れの制御効果をより高めることができる。また、この場合、電圧印加手段は、交流電圧または繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧を印加可能であればいかなる構成であってもよく、例えば、交流電源またはパルス電源と、DC電源とを組合せたものであってもよく、DC電源とスイッチとを組合せたものであってもよい。
【0016】
DC電源とスイッチとを組み合わせた場合には、例えば、前記電圧印加手段は、DC電源と第1スイッチと第2スイッチとを有し、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方を、前記第1スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第2スイッチを介して接地しており、他方を接地しており、前記第1スイッチをONにすると共に前記第2スイッチをOFFにし、前記第1スイッチをOFFにすると共に前記第2スイッチをONにする動作を繰り返すよう構成されていてもよい。また、前記電圧印加手段は、DC電源と第1スイッチと第2スイッチと第3スイッチと第4スイッチとを有し、各電極対の前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方を、前記第1スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第2スイッチを介して接地しており、他方を、前記第3スイッチを介して前記DC電源に電気的に接続すると共に前記第4スイッチを介して接地しており、前記第1スイッチおよび前記第4スイッチをONにすると共に前記第2スイッチおよび前記第3スイッチをOFFにし、前記第1スイッチおよび前記第4スイッチをOFFにすると共に前記第2スイッチおよび前記第3スイッチをONにする動作を繰り返すよう構成されていてもよい。
【0017】
本発明に係るプラズマアクチュエータは、電極対が1つの場合、誘電体層と、前記誘電体層の一方の表面側に設けられた上流電極と、前記上流電極との間に前記誘電体層を挟むよう前記誘電体層の他方の表面側に設けられ、前記上流電極から所定の方向にずれて配置された下流電極と、前記誘電体層の一方の表面側に、前記下流電極から前記所定の方向にずれて配置され、前記下流電極と同じ電位になるよう設けられた最下流電極と、交流電圧または繰り返しパルス電圧を含む電圧を、前記上流電極および前記下流電極のいずれか一方に印加可能に設けられ、前記一方に前記電圧を印加したとき、他方を接地するよう構成された電圧印加手段とを、有することが好ましい。この場合にも、誘起される流れを加速可能で、流れの制御効果を高めることができる。また、小型で安価に構成することができる。また、この場合にも、前記電圧は、前記交流電圧または前記繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧から成ることが好ましい。
【0018】
本発明に係るプラズマアクチュエータで、前記上流電極および前記最下流電極は、それぞれ前記所定の方向に沿って並んだ1対の分割電極に分割されており、各対の上流側または下流側の分割電極に、抵抗器が接続されていてもよい。この場合、抵抗器により、各対の上流側または下流側の分割電極に流れる電流を制限することができる。これにより、印加電圧が高い場合や、隣り合う電極対の上流電極の間隔が短い場合であっても、隣り合う電極対の上流電極間で形成される電場を弱めることができ、アーク放電へ移行するのを防ぐことができる。
【0019】
本発明に係るプラズマアクチュエータは、多電極プラズマアクチュエータから成り、誘電体を挟むように複数の高電圧電極と接地電極とを有するプラズマアクチュエータにおいて、第1上部電極、第1下部電極、第2上部電極をそれぞれ高電圧電極、接地電極、接地電極とし、前記第1上部電極と前記第2上部電極との間に、第1のプラズマ形成空間が形成されており、第2下部電極、第3上部電極をそれぞれ高電圧電極、高電圧電極とし、前記第2上部電極と前記第3上部電極との間に、第2のプラズマ形成空間が形成されており、各高電圧電極には、DC電圧が重畳された交流電圧もしくは繰り返しパルス電圧波形を印加するよう構成されていてもよい。この場合、電極対が2つのものに対応しており、誘電体は層状の誘電体層であり、第1上部電極と第1下部電極、および、第2上部電極と第2下部電極がそれぞれ電極対を成している。また、第1上部電極および第2上部電極が各電極対の上流電極に対応し、第1下部電極および第2下部電極が各電極対の下流電極に対応し、第3上部電極が最下流電極に対応している。また、誘電体層の1対の表面のうち、上部側に第1上部電極、第2上部電極、および第3上部電極が配置され、下部側に第1下部電極および第2下部電極が配置されている。
【0020】
また、この場合、前記第n上部電極(nは1、2または3)を、第n上部電極と第n上部電極とに分割し、前記第n上部電極に電流制限を目的とする抵抗器を追加した構造を有することにより、アーク放電への移行を防止する機能を有することができる。また、前記第3上部電極が前記第1上部電極になるよう、前記第1上部電極と前記第1下部電極と前記第2上部電極と前記第2下部電極とを有する電極構造を繰り返し有していてもよい。また、電極対が2つ以上の場合には、第m上部電極および第m+1下部電極を高電圧電極とし、第m下部電極および第m+1上部電極を接地電極とし(mは1以上の奇数)、隣り合う上部電極の間にプラズマ形成空間が形成されており、各高電圧電極には、DC電圧が重畳された交流電圧もしくは繰り返しパルス電圧波形を印加するよう構成されていてもよい。このとき、前記第m上部電極を第m上部電極と第m上部電極とに分割し、前記第m+1上部電極を第(m+1)上部電極と第(m+1)上部電極とに分割し、前記第m上部電極および前記第(m+1)上部電極に抵抗器を追加した構造を有していてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、誘起される流れを加速可能で、流れの制御効果を高めることができる、小型で安価なプラズマアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態のプラズマアクチュエータを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態のプラズマアクチュエータの、電源装置を示すブロック図である。
【図3】図1に示すプラズマアクチュエータの、電極対が3つ以上のときの、分割電極および抵抗器を有する変形例を示す断面図である。
【図4】図1に示すプラズマアクチュエータの、電極対が3つのときの、分割電極および抵抗器を有する変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態のプラズマアクチュエータの、電極対の数を変えたときの性能評価試験の、(a)DC電圧と誘起流速との関係を示すグラフ、(b)試験に用いた電極配置(case 1 ~ 4)を示す断面図である。
【図6】図1に示すプラズマアクチュエータの、電圧印加手段の第1の変形例を示す回路図である。
【図7】図6に示すプラズマアクチュエータの、性能評価試験の、(a)電圧印加手段により印加する電圧波形、(b)そのときの各電極対に流れる電流波形を示すグラフである。
【図8】図6に示すプラズマアクチュエータの、性能評価試験の、電圧印加手段により印加する繰り返しパルス電圧の周波数が50 kHzおよび100 kHz、DC電圧が(a)1200 V、(b)1500 Vのときに誘起された流れの速度プロファイルを示すグラフである。
【図9】図1に示すプラズマアクチュエータの、電圧印加手段の第2の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図9は、本発明の実施の形態のプラズマアクチュエータを示している。
図1乃至図4に示すように、プラズマアクチュエータ10は、誘電体層11と複数の電極対12と最下流電極13と電圧印加手段14とを有している。

【0024】
図1に示すように、誘電体層11は、誘電体から成り、所定の厚みを有している。誘電体層11は、いかなるものから成っていてもよく、図1に示す具体的な一例では、ポリイミドフィルムから成っている。

【0025】
各電極対12は、誘電体層11の一方の表面に沿って、所定の方向に向かって上流側から下流側に並べて配置されている。各電極対12は、誘電体層11の一方の表面に設けられた上流電極21と、誘電体層11の他方の表面に設けられ、上流電極21から下流側にずれて配置された下流電極22とを有している。各電極対12は、上流電極21と下流電極22との間に、誘電体層11を挟むよう設けられている。また、隣り合う電極対12は、下流側の電極対12の上流電極21が、上流側の電極対12の下流電極22から下流側にずれて配置されている。図1に示す具体的な一例では、上流電極21および下流電極22は、銅テープから成っている。また、図1に示す具体的な一例では、電極対12は3つ以上であるが、電極対12は2つであってもよい。また、電極対12は1対であってもよい。

【0026】
最下流電極13は、誘電体層11の一方の表面に、最も下流側の電極対12の下流電極22から下流側にずれて配置されている。最下流電極13は、最も下流側の電極対12の下流電極22と同じ電位になるよう、その下流電極22に電気的に接続されている。図1に示す具体的な一例では、最下流電極13は、銅テープから成っている。

【0027】
図2に示すように、電圧印加手段14は、交流電源またはパルス電源23と、DC電源24と、ハイパスフィルタ25と、ローパスフィルタ26とを有している。交流電源またはパルス電源23およびDC電源24は、各電極対12に接続されている。ハイパスフィルタ25は、DC電源24からの電圧で交流電源またはパルス電源23が破損しないよう、交流電源またはパルス電源23と各電極対12との間に設けられている。ローパスフィルタ26は、交流電源またはパルス電源23からの電圧でDC電源24が破損しないよう、DC電源24と各電極対12との間に設けられている。これにより、電圧印加手段14は、交流電圧または繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧を、各電極対12に印加可能になっている。

【0028】
電圧印加手段14は、印加する電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう、各電極対12の上流電極21および下流電極22のいずれか一方に電圧を印加し、他方を接地するよう構成されている。すなわち、電圧印加手段14は、上流側から奇数番目の電極対12の上流電極21と上流側から偶数番目の電極対12の下流電極22とに電圧を印加し、上流側から奇数番目の電極対12の下流電極22と上流側から偶数番目の電極対12の上流電極21とを接地するよう構成されていてもよく、上流側から奇数番目の電極対12の下流電極22と上流側から偶数番目の電極対12の上流電極21とに電圧を印加し、上流側から奇数番目の電極対12の上流電極21と上流側から偶数番目の電極対12の下流電極22とを接地するよう構成されていてもよい。

【0029】
図1に示す具体的な一例では、電圧印加手段14は、上流側から1番目の電極対12の上流電極21と上流側から2番目の電極対12の下流電極22とを電気的に接続して電圧を印加し、上流側から1番目の電極対12の下流電極22と上流側から2番目の電極対12の上流電極21とを接地している。また、これにより、最下流電極13にも、電圧を印加するようになっている。

【0030】
次に、作用について説明する。
プラズマアクチュエータ10は、まず、電圧印加手段14で、交流電圧または繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧を印加することにより、各電極対12の上流電極21と下流電極22との間に放電プラズマを発生させる。これにより、図1に示すように、誘電体層11の一方の表面の、隣り合う電極対12の上流電極21の間、および最も下流側の電極対12の上流電極21と最下流電極13との間の放電領域Aに、プラズマが形成されて、上流側から下流側への流れ(図1中の矢印)を誘起することができる。

【0031】
このとき、プラズマアクチュエータ10は、電圧印加手段14により印加される電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう構成されているため、隣り合う電極対12のうち、上流側の電極対12の下流電極22の電位と下流側の電極対12の上流電極21の電位とを、常に等しくすることができる。また、最下流電極13が最も下流側の電極対12の下流電極22と同じ電位になるよう設けられているため、最下流電極13の電位と最も下流側の電極対12の下流電極22の電位とを、常に等しくすることができる。これにより、それらの電極間で放電が発生するのを防止して、各電極対12で誘起される流れに対して逆方向の流れが発生するのを防ぐことができる。

【0032】
また、プラズマアクチュエータ10は、電圧印加手段14により印加される電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう構成されているため、各電極対12で発生する放電によって堆積した誘電体層11の一方の表面上の電荷を、下流側で隣り合う電極対12の上流電極21により取り除くことができる。また、最下流電極13が最も下流側の電極対12の下流電極22と同じ電位になるよう設けられているため、最も下流側の電極対12で発生する放電によって堆積した誘電体層11の一方の表面上の電荷を、最下流電極13により取り除くことができる。このため、各電極対12で発生する放電によって堆積した誘電体層11の一方の表面上の電荷により、各電極対12で誘起される流れが遮断されるのを防ぐことができる。これにより、上流側から下流側に向かって、誘起される流れを加速することができる。また、電極対12の数を増やすことにより、流れを加速させる電気流体力を増大させることができる。このように、プラズマアクチュエータ10は、流れを制御することができると共に、その流れの制御効果を高めることができる。

【0033】
また、プラズマアクチュエータ10は、電圧印加手段14により、交流電圧または繰り返しパルス電圧に、DC電圧を重畳した電圧を印加するため、交流電圧または繰り返しパルス電圧により発生した放電プラズマの荷電粒子を、DC電圧により加速させることができる。これにより、誘起される流れをさらに加速することができ、流れの制御効果をより高めることができる。

【0034】
非特許文献3で報告されているように、従来のプラズマアクチュエータを複数並べると、隣り合うプラズマアクチュエータ同士が互いの電気流体力を弱め合い、性能が低下していた。これに対し、プラズマアクチュエータ10は、電極対12を増やすことにより、むしろ互いの電気流体力を強め合い、性能を飛躍的に高めることができる。

【0035】
また、プラズマアクチュエータ10は、電極対12の数を増やすことにより、電圧印加手段14で印加する電圧を小さくしても、従来と同等の制御効果を得ることができる。このため、例えば高電圧装置が不要となり、電圧印加手段14を小さくすることができ、小型で軽量、かつ安価に構成することができる。

【0036】
なお、図3および図4に示すように、プラズマアクチュエータ10は、上流電極21および最下流電極13が、それぞれ所定の方向に沿って並んだ1対の分割電極31a、31bに分割されており、各対の上流側または下流側の分割電極31a、31bに、抵抗器32が接続されていてもよい。この場合、抵抗器32により、各対の上流側または下流側の分割電極31a、31bに流れる電流を制限することができる。これにより、印加電圧が高い場合や、隣り合う電極対12の上流電極21の間隔が短い場合であっても、隣り合う電極対12の上流電極21の間で形成される電場を弱めることができ、アーク放電へ移行するのを防ぐことができる。図3に示すものは、電極対12が3対以上の例であり、図4に示すものは、電極対12が3対の例であるが、電極対12は1対であってもよく、2対であってもよい。なお、電極対12が1対のときには、この上流電極21が1対の分割電極31a、31bに分割された構成であることが特に好ましい。
【実施例1】
【0037】
図5に示すように、電極対12の数が異なるプラズマアクチュエータ10を静止気体中で作動させて、性能評価試験を行った。試験では、誘電体層11として、厚さ320μmのポリイミドテープ(80μm厚のポリイミドテープを4層積層したもの)を使用した。各上流電極21および最下流電極13は、幅10 mm、間隔12 mmとした。各下流電極22は、両側の上流電極21および最下流電極13とのオーバーラップ領域を0.2 mmとした。また、ピトー管を用いて、プラズマアクチュエータ10の下流での誘起流速を測定した。流速の測定位置は、最も下流側の電極対の、上流電極21の下流側の端から、誘電体層11の一方の表面に沿って下流側に23mm離れた位置(図5(b)中の矢印の位置)で、誘電体層11の一方の表面から2mmの高さの位置である。
【実施例1】
【0038】
図5(b)に示すように、プラズマアクチュエータ10として、電極対12が1対のもの(case 2)、電極対12が2対のもの(case 3)、電極対12が3対のもの(case 4)について試験を行った。また、各上流電極21および最下流電極13として、分割電極31a、31bに分割され、抵抗器32が接続されたものを用いた。なお、比較例として、電極対が1対で、最下流電極13を有していない従来のもの(case 1)についても試験を行った。比較例は、同じ条件で比較するために、上流側の電極として、分割電極に分割され、抵抗器が接続されたものを用いた。
【実施例1】
【0039】
性能評価試験の結果を、図5(a)に示す。図5(a)に示すように、case 1~4 の全てで、DC電圧(VDC)の増大に従って、誘起流速(velocity)も増大していることが確認された。また、case 1 とcase 2 とを比較すると、最下流電極13を追加することにより、誘起流速が増大していることが確認された。このことから、電極対12の下流側での電荷の蓄積を防ぐことにより、プラズマアクチュエータ10の性能が向上することが分かる。また、非特許文献3で報告されているような、隣り合う電極対12同士が性能を弱め合う効果は確認されず、電極対12を増やすことにより、むしろ性能を高め合い、誘起流速が増大していくことが確認された。DC電圧が8kVのときに着目すると、case 3 はcase 2 の約1.3倍、case 4 はcase 2 の約2倍の流速になっていることが確認された。
【実施例1】
【0040】
[電圧印加手段の変形例]
図6に示すように、プラズマアクチュエータ10で、電圧印加手段14は、DC電源24と第1スイッチ33と第2スイッチ34とを有し、印加する電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう、各電極対12の上流電極21および下流電極22のいずれか一方を、第1スイッチ33を介してDC電源24に電気的に接続すると共に第2スイッチ34を介して接地し、さらに各電極対12の上流電極21および下流電極22の他方を接地し、第1スイッチ33をONにすると共に第2スイッチ34をOFFにし、第1スイッチ33をOFFにすると共に第2スイッチ34をONにする動作を繰り返すよう構成されていてもよい。この場合にも、繰り返しパルス電圧にDC電圧を重畳した電圧を、各電極対12に印加することができる。なお、第1スイッチ33および第2スイッチ34は、例えば、MOSFETやIGBTなどの半導体素子から成っていてもよい。また、図6に示す一例では、電極対12は3つ以上であるが、電極対12は1対であってもよく、2つであってもよい。
【実施例2】
【0041】
図6に示すプラズマアクチュエータ10を用いて、静止気体中での性能評価試験を行った。試験では、誘電体層11として、厚さ50μmのポリイミドテープを使用した。電極対12は8つとし、各上流電極21および最下流電極13は、幅1.5 mm、間隔2.5 mmとした。各下流電極22は、両側の上流電極21および最下流電極13とのオーバーラップ領域を0.2 mmとした。また、第1スイッチ33および第2スイッチ34として、SiC-MOSFET(Wolfspeed社製「C2M1000170D」)を用いた。なお、パルス電圧の立ち上がり時間を調節するために、DC電源24と第1スイッチ33との間に、10 Ωの抵抗を挿入した。
【実施例2】
【0042】
試験では、電圧印加手段14により印加する電圧を、高電圧プローブ(PMK社製「PHV4002-3」)により計測し、そのときに各電極対12に流れる電流を、ロゴスキーコイル(Pearson社製「model 2877」)により計測した。また、電圧・電流波形を、デジタルオシロスコープを用いて取得した。
【実施例2】
【0043】
DC電源24の電圧を 1200 Vとしてプラズマアクチュエータ10を駆動したときの、電圧波形および電流波形を、図7に示す。図7に示すように、時刻t = 0μs以前では、第1スイッチ33をONにし、第2スイッチ34をOFFにしている。t = 0μsのタイミングで、第1スイッチ33をOFFにし、第2スイッチ34をONにすることにより、電圧が瞬間的に 0 Vまで低下している。その後、再び第1スイッチ33をONにし、第2スイッチ34をOFFにしているが、この2つのスイッチを同時にONにすると、DC電源24から大電流が流れる恐れがあるため、第2スイッチ34をOFFにした後、1 μs程度あけて第1スイッチ33をONにしている。電圧が降下する段階では、電流値が負のピーク値(約-6 A)となっており、負極性の放電が発生していることが確認された。また、電圧が上昇する段階では、電流値は正のピーク値(約2 A)となっており、正極性の放電が発生していることが確認された。この結果から、図6に示す電圧印加手段14でも、パルス電圧にDC電圧を重畳した電圧を印加可能であるといえる。
【実施例2】
【0044】
次に、繰り返しパルス電圧の周波数を50 kHzおよび100 kHz、DC電圧を1200 Vおよび1500 Vとしてプラズマアクチュエータ10を駆動し、誘起された流れのx方向(誘電体層11の表面に沿った方向)速度のy方向(誘電体層11の表面に対して垂直な方向)プロファイルを求め、図8に示す。図8には、最下流電極13から 1 mm下流の位置でのプロファイルを示す。図8に示すように、DC電圧が1200 Vおよび1500 Vのとき、1 m/s以上の速度の流れが誘起されることが確認された。特に、DC電圧が1500 V、繰り返しパルス電圧の周波数が 100 kHz のとき、誘起される流れの最大速度は 2 m/s であり、従来の 10 kV 以上の電圧を印加するプラズマアクチュエータと同程度の速度が得られている。このため、プラズマアクチュエータ10は、1500 Vの印加電圧で、従来の10 kV以上の電圧を印加した場合と同等の制御効果を得ることができると考えられる。このことから、プラズマアクチュエータ10は、従来よりも電圧印加手段14を小さくすることができ、小型で軽量、かつ安価に構成することができるといえる。
【実施例2】
【0045】
なお、図9に示すように、プラズマアクチュエータ10で、電圧印加手段14は、DC電源24と第1スイッチ33と第2スイッチ34と第3スイッチ35と第4スイッチ36とを有し、印加する電圧の極性が隣り合う電極対12で反転するよう、各電極対12の上流電極21および下流電極22のいずれか一方を、第1スイッチ33を介してDC電源24に電気的に接続すると共に第2スイッチ34を介して接地し、さらに各電極対12の上流電極21および下流電極22の他方を、第3スイッチ35を介してDC電源24に電気的に接続すると共に第4スイッチ36を介して接地し、第1スイッチ33および第4スイッチ36をONにすると共に第2スイッチ34および第3スイッチ35をOFFにし、第1スイッチ33および第4スイッチ36をOFFにすると共に第2スイッチ34および第3スイッチ35をONにする動作を繰り返すよう構成されていてもよい。この場合にも、繰り返しパルス電圧にDC電圧を重畳した電圧を、各電極対12に印加することができる。また、パルス電圧を印加したときの、各電極対12の上流電極21と下流電極22との電位差を大きくすることができ、生成されるプラズマの量を増やすことができる。これにより、より大きい流れを誘起することができる。なお、図9に示す一例では、電極対12は3つ以上であるが、電極対12は1対であってもよく、2つであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るプラズマアクチュエータは、例えば、航空機の翼や風車、ガスタービンのブレード周りの流れの制御に利用することができる。また、本発明に係るプラズマアクチュエータは、従来のものよりも小型で軽量、かつ安価であるため、プラズマアクチュエータを用いた能動的気流制御技術導入の敷居を下げることができ、より広い範囲での産業利用を促進することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 プラズマアクチュエータ
11 誘電体層
12 電極対
21 上流電極
22 下流電極
13 最下流電極
14 電圧印加手段
23 交流電源またはパルス電源
24 DC電源
25 ハイパスフィルタ
26 ローパスフィルタ

31a、31b 分割電極
32 抵抗器
33 第1スイッチ
34 第2スイッチ
35 第3スイッチ
36 第4スイッチ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8