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明細書 :光位相同期回路

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6838726号 (P6838726)
公開番号 特開2018-074246 (P2018-074246A)
登録日 令和3年2月16日(2021.2.16)
発行日 令和3年3月3日(2021.3.3)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 光位相同期回路
国際特許分類 H04B  10/63        (2013.01)
H04L  27/38        (2006.01)
FI H04B 10/63
H04L 27/38
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2016-208746 (P2016-208746)
出願日 平成28年10月25日(2016.10.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 刊行物名 電子情報通信学会 2016年ソサイエティ大会プログラム(通信講演論文隼2) 発行日 2016年9月6日 発行所 一般社団法人 電子情報通信学会 該当ページ 216ページ 公開のタイトル 「16値光QAM信号のコスタスループによるホモダイン検波」 発表日 2016 (平成28)年9月20日(発表日) 2016 (平成28)年9月20日~9月23日(学会開催日) 集会名 電子情報通信学会 2016年ソサイエティ大会 開催場所 北海道大学 札幌キャンパス(北海道札幌市北区北8条西5丁目)
審査請求日 令和元年7月29日(2019.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】水鳥 明
【氏名】古賀 正文
個別代理人の代理人 【識別番号】100072718、【弁理士】、【氏名又は名称】古谷 史旺
【識別番号】100116001、【弁理士】、【氏名又は名称】森 俊秀
審査官 【審査官】後澤 瑞征
参考文献・文献 特開2015-162863(JP,A)
特開2003-018232(JP,A)
国際公開第2013/046284(WO,A1)
特開2014-138258(JP,A)
特開昭62-039944(JP,A)
特開昭54-130811(JP,A)
調査した分野 H04B 10/63
H04L 27/38
特許請求の範囲 【請求項1】
16値以上の多値QAM信号光を局発光源から出力される局発光を用いて光ホモダイン位相同期検波し、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号を出力する受光器と、 前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号を入力し、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する特定シンボル判定回路と、
前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号と、前記制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記特定シンボルにおける位相誤差信号を検出し、この位相誤差信号により前記局発光源の光周波数を制御して前記多値QAM信号光と前記局発光の光位相を同期させる位相誤差制御手段と
を備えた光位相同期回路において、
前記特定シンボル判定回路は、
前記I成分の差動電気信号の絶対値と所定の閾値との論理演算により第1の判定信号を出力する第1の絶対値判定回路と、
前記Q成分の差動電気信号の絶対値と前記所定の閾値との論理演算により第2の判定信号を出力する第2の絶対値判定回路と、
前記第1の判定信号と前記第2の判定信号の論理演算により前記制御信号として出力する抽出用制御信号生成回路と
を備え、
前記抽出用制御信号生成回路は、前記所定の閾値として前記多値QAM信号光の最小振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、前記第1の判定信号と前記第2の判定信号の論理演算により、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅の内輪4点の特定シンボルの出現タイミングを示す前記制御信号を出力する構成である
ことを特徴とする光位相同期回路。
【請求項2】
16値以上の多値QAM信号光を局発光源から出力される局発光を用いて光ホモダイン位相同期検波し、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号を出力する受光器と、 前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号を入力し、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する特定シンボル判定回路と、
前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号と、前記制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記特定シンボルにおける位相誤差信号を検出し、この位相誤差信号により前記局発光源の光周波数を制御して前記多値QAM信号光と前記局発光の光位相を同期させる位相誤差制御手段と
を備えた光位相同期回路において、
前記特定シンボル判定回路は、
前記I成分の差動電気信号の絶対値と所定の閾値との論理演算により第1の判定信号を出力する第1の絶対値判定回路と、
前記Q成分の差動電気信号の絶対値と前記所定の閾値との論理演算により第2の判定信号を出力する第2の絶対値判定回路と、
前記第1の判定信号と前記第2の判定信号の論理演算により前記制御信号として出力する抽出用制御信号生成回路と
を備え、
前記抽出用制御信号生成回路は、前記多値QAM信号光の多値数MがM=22n(nは2以上の整数)とし、前記所定の閾値として前記多値QAM信号光の最大振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、前記第1の判定信号と前記第2の判定信号の論理演算により、位相が±π/4または±3π/4で最大振幅の外輪4点の特定シンボルの出現タイミングを示す前記制御信号を出力する構成である
ことを特徴とする光位相同期回路。
【請求項3】
16値以上の多値QAM信号光を局発光源から出力される局発光を用いて光ホモダイン位相同期検波し、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号を出力する受光器と、 前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号を入力し、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する特定シンボル判定回路と、
前記I成分の差動電気信号および前記Q成分の差動電気信号と、前記制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記特定シンボルにおける位相誤差信号を検出し、この位相誤差信号により前記局発光源の光周波数を制御して前記多値QAM信号光と前記局発光の光位相を同期させる位相誤差制御手段と
を備えた光位相同期回路において、
前記特定シンボル判定回路は、
前記I成分の差動電気信号の絶対値と所定の閾値との論理演算により第1の判定信号を出力する第1の絶対値判定回路と、
前記Q成分の差動電気信号の絶対値と前記所定の閾値との論理演算により第2の判定信号を出力する第2の絶対値判定回路と、
前記第1の判定信号と前記第2の判定信号の論理演算により前記制御信号として出力する抽出用制御信号生成回路と
を備え、
前記所定の閾値として、前記多値QAM信号光の中間振幅以上のシンボルを検出できる第1の閾値と、第1の閾値より前記多値QAM信号光の1シンボルの振幅差だけ大きい第2の閾値を設定し、
前記第1の絶対値判定回路は、前記第1の閾値を用いて第1-1の判定信号を出力する第1-1の絶対値判定回路と、前記第2の閾値を用いて第1-2の判定信号を出力する第1-2の絶対値判定回路とを備え、
前記第2の絶対値判定回路は、前記第1の閾値を用いて第2-1の判定信号を出力する第2-1の絶対値判定回路と、前記第2の閾値を用いて第2-2の判定信号を出力する第2-2の絶対値判定回路とを備え、
前記抽出用制御信号生成回路は、前記第1-1の判定信号と前記第2-1の判定信号のNORをとった第1の中間制御信号を生成し、前記第1-2の判定信号と前記第2-2の判定信号のANDをとった第2の中間制御信号を生成し、第1の中間制御信号と第2の中間制御信号のANDをとり、位相が±π/4または±3π/4で中間振幅の4点の特定シンボルの出現タイミングを示す前記制御信号を出力する構成である
ことを特徴とする光位相同期回路。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、16値以上の多値QAM信号光を光ホモダイン位相同期検波する光多値QAM信号受信装置において、多値QAM信号光に対して局発光の光位相を同期させる光位相同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、QPSK信号光に対する従来の光位相同期回路の構成例を示す(特許文献1および特許文献2)。
【0003】
図10において、QPSK信号光と局発光源21から出力される局発光は、光90度ハイブリッド回路を含む受光器22に入力し、I成分の差動電気信号のVI ,V-IおよびQ成分の差動電気信号VQ ,V-QとしてCOSTAS回路28に入力する。COSTAS回路28では、VI ,V-IおよびVQ ,V-QからQPSK信号光に対する局部発振光の位相誤差成分を検出し、ループフィルタ29を介して局発光源21にフィードバックし、QPSK信号光に対する局発光の位相誤差が0になるように光周波数制御を行う。
【0004】
COSTAS回路28では、BPSK信号光やQPSK信号光に対する局部発振光の位相誤差を検出することができる。例えばQPSKでは、送信情報を±π/4,±3π/4の4値位相を使って送信するが、COSTAS回路28では、VI ,V-IおよびVQ ,V-Qの位相を4倍することで、送信情報に依存しない形で位相誤差を検出することができる。
【0005】
しかし、16値以上の多値QAM信号の場合は、位相を4倍したときに送信情報に依存した情報と、依存しない情報(真の位相誤差)になる信号がある。例えば16QAMでは、図11に示すIQ空間上に、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルに対応する信号●と、その他のシンボルに対応する信号○がそれぞれ8個ある。このうち、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルに対応する信号●はその位相を4倍するとπになり、πからのずれが位相誤差として検出できるが、信号○は位相を4倍または8倍しても位相誤差だけを検出することができない。
【0006】
このように、COSTAS回路28は、BPSK信号光やQPSK信号光に対して位相誤差検出器として機能するが、16値以上の多値QAM信号に対する位相誤差検出器として機能させることができない。一方、インターネットが普及した現在、通信容量拡大のために変調方式の多値化が進んでいる。
【0007】
そこで、特許文献2では、図11に示すように、受光器22とCOSTAS回路28との間に特定シンボル判定回路23および抽出回路26,27を挿入し、16値以上の多値QAM信号から位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルに対応する信号●を抽出し、COSTAS回路28に入力する構成を示した。
【0008】
特定シンボル判定回路23は、強度検出回路24で多値QAM信号のI成分とQ成分の2乗和から強度Rを検出し、比較回路25で1つ以上の閾値と比較して位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングに対応する制御信号を生成する。抽出回路26,27は、この制御信号で受光器22から出力されるVI ,V-IおよびVQ ,V-Qをラッチし、COSTAS回路28に入力する。例えば、強度Rが閾値R1以下となるタイミングを判定して16QAM信号の内輪4点を抽出し、強度Rが閾値R2(R2>R1)以上となるタイミングを判定して外輪4点を抽出する。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2014-138258号公報
【特許文献2】特開2015-162863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の特定シンボル判定回路23は、多値QAM信号のI成分とQ成分の2乗和から強度を検出して閾値判定する構成であり、通信容量拡大に伴う大きな多値数やシンボルレートの高速化に対応することが困難であった。したがって、多値QAM信号の各シンボルの強度を検出せずに、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルを抽出できる方法が必要になる。
【0011】
本発明は、16値以上の多値QAM信号光から位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを判定する特定シンボル判定回路を改良した光位相同期回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、16値以上の多値QAM信号光を局発光源から出力される局発光を用いて光ホモダイン位相同期検波し、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号を出力する受光器と、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号を入力し、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する特定シンボル判定回路と、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号と、制御信号を入力し、制御信号に応じて特定シンボルにおける位相誤差信号を検出し、この位相誤差信号により局発光源の光周波数を制御して多値QAM信号光と局発光の光位相を同期させる位相誤差制御手段とを備えた光位相同期回路において、特定シンボル判定回路は、I成分の差動電気信号の絶対値と所定の閾値との論理演算により第1の判定信号を出力する第1の絶対値判定回路と、Q成分の差動電気信号の絶対値と所定の閾値との論理演算により第2の判定信号を出力する第2の絶対値判定回路と、第1の判定信号と第2の判定信号の論理演算により制御信号として出力する抽出用制御信号生成回路とを備える。
【0014】
本発明の光位相同期回路において、抽出用制御信号生成回路は、所定の閾値として多値QAM信号光の最小振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、第1の判定信号と第2の判定信号の論理演算により、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅の内輪4点の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する構成である。
【0015】
本発明の光位相同期回路において、抽出用制御信号生成回路は、多値QAM信号光の多値数MがM=22n(nは2以上の整数)とし、所定の閾値として多値QAM信号光の最大振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、第1の判定信号と第2の判定信号の論理演算により、位相が±π/4または±3π/4で最大振幅の外輪4点の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する構成である。
【0017】
本発明の光位相同期回路において、所定の閾値として、多値QAM信号光の中間振幅以上のシンボルを検出できる第1の閾値と、第1の閾値より多値QAM信号光の1シンボルの振幅差だけ大きい第2の閾値を設定し、第1の絶対値判定回路は、第1の閾値を用いて第1-1の判定信号を出力する第1-1の絶対値判定回路と、第2の閾値を用いて第1-2の判定信号を出力する第1-2の絶対値判定回路とを備え、第2の絶対値判定回路は、第1の閾値を用いて第2-1の判定信号を出力する第2-1の絶対値判定回路と、第2の閾値を用いて第2-2の判定信号を出力する第2-2の絶対値判定回路とを備え、抽出用制御信号生成回路は、第1-1の判定信号と第2-1の判定信号のNORをとった第1の中間制御信号を生成し、第1-2の判定信号と第2-2の判定信号のANDをとった第2の中間制御信号を生成し、第1の中間制御信号と第2の中間制御信号のANDをとり、位相が±π/4または±3π/4で中間振幅の4点の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を出力する構成である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光位相同期回路は、特定シンボル判定回路において、I成分の差動電気信号およびQ成分の差動電気信号の絶対値判定を行い、その判定信号の論理演算により、16値以上の多値QAM信号光から位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの出現タイミングを示す制御信号を生成することができる。この制御信号を位相誤差制御手段に与えることにより、特定シンボルから精度の高い位相誤差を検出して位相同期制御に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の光位相同期回路の実施例1の構成を示す図である。
【図2】実施例1の特定シンボル判定回路10Aの動作原理を示す図である。
【図3】本発明の光位相同期回路の実施例2の構成を示す図である。
【図4】実施例2の特定シンボル判定回路10Aの動作原理を示す図である。
【図5】本発明の光位相同期回路の実施例3の構成を示す図である。
【図6】特定シンボル判定回路10Bの動作原理を示す図である。
【図7】特定シンボル判定回路10Bの動作原理を示す図である。
【図8】特定シンボル判定回路10Bの動作原理を示す図である。
【図9】本発明の光位相同期回路の実施例4の構成を示す図である。
【図10】QPSK信号光に対する従来の光位相同期回路の構成例を示す図である。
【図11】特許文献2に記載の光位相同期回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明の光位相同期回路の実施例1の構成を示す。
図1において、局発光源21、受光器22、抽出回路26,27、COSTAS回路28、ループフィルタ29は、図11に示す従来構成(特許文献2の構成)と同様である。実施例1の特徴は、16値以上のM値QAM信号光から位相が±π/4または±3π/4で、最小振幅の内輪4点または最大振幅の外輪4点またはその両方の特定シンボルを抽出するための制御信号を生成して抽出回路26,27に与える特定シンボル判定回路10Aの構成である。

【0023】
特定シンボル判定回路10Aは、受光器22から出力されるI成分の差動電気信号VI ,V-Iと閾値Vthとを比較したAとBの排他的論理和Eを出力する絶対値判定回路11と、Q成分の差動電気信号VQ ,V-Qと閾値Vthとを比較したCとDの排他的論理和Fを出力する絶対値判定回路12と、絶対値判定回路11の出力Eと絶対値判定回路12の出力FのANDまたはNORまたはEx-NORのいずれかによる制御信号Gを生成する抽出用制御信号生成回路13Aにより構成される。ここで、AはVI -Vth、BはVth-V-I、CはVQ -Vth、DはVth-V-Qがそれぞれ正であれば1、負であれば0となる。

【0024】
図2は、実施例1の特定シンボル判定回路10Aの動作原理を示す。
図2において、絶対値判定回路11は、VI >+VthであればA=1、VI <+VthであればA=0、V-I<+Vth(-VI <+Vth、VI >-Vth)であればB=1、V-I>+Vth(-VI >+Vth、VI <-Vth)であればB=0とし、AとBの排他的論理和Eを出力する。すなわち、|VI |>VthであればE=0、|VI |<VthであればE=1となる。

【0025】
絶対値判定回路12は、VQ >+VthであればC=1、VQ <+VthであればC=0、V-Q<+Vth(-VQ <+Vth、VQ >-Vth)であればD=1、V-Q>+Vth(-VQ >+Vth、VQ <-Vth)であればD=0とし、CとDの排他的論理和Fを出力する。すなわち、|VQ |>VthであればF=0、|VQ |<VthであればF=1となる。

【0026】
抽出用制御信号生成回路13Aは、閾値VthとしてM値QAM信号光の最小振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、EとFのANDをとることにより、閾値Vth、-Vthの内側にあり位相が±π/4または±3π/4で、最小振幅の内輪4点の特定シンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。この内輪4点の特定シンボルを抽出する場合は、M=22nおよびM=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に対応できる。

【0027】
また、閾値VthとしてM値QAM信号光の最大振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、EとFのNORをとることにより、閾値Vth、-Vthの外側にあり位相が±π/4または±3π/4で、最大振幅の外輪4点のシンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。なお、M=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光の場合は、最大振幅となるシンボルの位相が±π/4または±3π/4でないため、M=22n(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に限定される。

【0028】
また、16QAM信号光の場合は、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅の内輪4点のシンボルと、位相が±π/4または±3π/4で最大振幅の外輪4点のシンボルは、1つの閾値Vthで分離できるので、EとFのEx-NORをとることにより、閾値Vth、-Vthの内側および外側にある内輪/外輪8点のシンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。

【0029】
このように、実施例1の特定シンボル判定回路10Aは、1つの閾値Vthに対して2つの絶対値判定回路11,12を用い、抽出用制御信号生成回路13AでEとFのAND、またはNOR、またはEx-NORをとることにより、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅または最大振幅またはその両方の特定シンボルを抽出する制御信号Gを生成することができる。抽出回路26,27は、制御信号Gが1となるタイミングで、受光器22から出力されるVI ,V-IおよびVQ ,V-Qをラッチし、COSTAS回路28に入力する。

【0030】
(実施例2)
図3は、本発明の光位相同期回路の実施例2の構成を示す。
図3において、実施例2の絶対値判定回路11’,12’の構成が異なる他は、実施例1と同様である。

【0031】
特定シンボル判定回路10Aは、受光器22から出力されるI成分の差動電気信号VI ,V-Iと閾値Vthとを比較したAとB’の否定論理和Eを出力する絶対値判定回路11’と、Q成分の差動電気信号VQ ,V-Qと閾値Vthとを比較したCとD’の否定論理和Fを出力する絶対値判定回路12’と、絶対値判定回路11’の出力Eと絶対値判定回路12’の出力FのANDまたはNORまたはEx-NORのいずれかによる制御信号Gを生成する抽出用制御信号生成回路13Aにより構成される。ここで、AはVI -Vth、B’はV-I-Vth、CはVQ -Vth、D’はV-Q-Vthがそれぞれ正であれば1、負であれば0となる。

【0032】
図4は、実施例2の特定シンボル判定回路10Aの動作原理を示す。
図4において、絶対値判定回路11’は、VI >+VthであればA=1、VI <+VthであればA=0、V-I>+Vth(-VI >+Vth、VI <-Vth)であればB’=1、V-I<+Vth(-VI <+Vth、VI >-Vth)であればB’=0とし、AとB’の否定論理和Eを出力する。すなわち、|VI |>VthであればE=0、|VI |<VthであればE=1となる。

【0033】
絶対値判定回路12’は、VQ >+VthであればC=1、VQ <+VthであればC=0、V-Q>+Vth(-VQ >+Vth、VQ <-Vth)であればD’=1、V-Q<+Vth(-VQ <+Vth、VQ >-Vth)であればD’=0とし、CとDの否定論理和Fを出力する。すなわち、|VQ |>VthであればF=0、|VQ |<VthであればF=1となる。

【0034】
ここで、実施例1における排他的論理和E,Fと、実施例2における否定論理和E,Fは、I成分の差動電気信号VI ,V-Iと閾値Vthとの比較結果として同じ論理であり、Q成分の差動電気信号VQ ,V-Qと閾値Vthとを比較結果として同じ論理である。したがって、抽出用制御信号生成回路13Aにおける処理は、実施例1と同様である。

【0035】
また、実施例1における排他的論理和E,Fの反転出力、または実施例2における否定論理和E,Fの反転出力を用いることも可能である。この場合には次のようになる。

【0036】
抽出用制御信号生成回路13Aは、閾値VthとしてM値QAM信号光の最小振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、のNORをとることにより、閾値Vth、-Vthの内側にあり位相が±π/4または±3π/4で、最小振幅の内輪4点の特定シンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。この内輪4点の特定シンボルを抽出する場合は、M=22nおよびM=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に対応できる。

【0037】
また、閾値VthとしてM値QAM信号光の最大振幅のシンボルのみを検出できる値に設定し、のANDをとることにより、閾値Vth、-Vthの外側にあり位相が±π/4または±3π/4で、最大振幅の外輪4点のシンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。なお、M=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光の場合は、最大振幅となるシンボルの位相が±π/4または±3π/4でないため、M=22n(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に限定される。

【0038】
また、16QAM信号光の場合は、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅の内輪4点のシンボルと、位相が±π/4または±3π/4で最大振幅の外輪4点のシンボルは、1つの閾値Vthで分離できるので、のEx-NORをとることにより、閾値Vth、-Vthの内側および外側にある内輪/外輪8点のシンボル(●)を抽出する制御信号Gを生成することができる。

【0039】
このように、実施例1,2の特定シンボル判定回路10Aは、1つの閾値Vthに対して2つの絶対値判定回路11,12または11’,12’を用い、抽出用制御信号生成回路13AでEとFのAND、NOR、Ex-NORをとる、またはのNOR、AND、Ex-NORをとることにより、位相が±π/4または±3π/4で最小振幅または最大振幅またはその両方の特定シンボルを抽出する制御信号Gを生成することができる。抽出回路26,27は、制御信号Gが1となるタイミングで、受光器22から出力されるVI ,V-IおよびVQ ,V-Qをラッチし、COSTAS回路28に入力する。

【0040】
(実施例3)
図5は、本発明の光位相同期回路の実施例3の構成を示す。実施例3は、図1に示す実施例1の変形であるが、同様に図3に示す実施例2にも対応させることができる。
図5において、局発光源21、受光器22、抽出回路26,27、COSTAS回路28、ループフィルタ29は、図11に示す従来構成(特許文献2の構成)および実施例1の構成と同様である。実施例3の特徴は、16値以上のM値QAM信号光から位相が±π/4または±3π/4で、中間振幅の4点の特定シンボルを抽出するための制御信号を生成する特定シンボル判定回路10Bの構成である。

【0041】
特定シンボル判定回路10Bは、2つの閾値Vth1 、Vth2 を用いる。ただし、Vth1 <Vth2 とする。特定シンボル判定回路10Bは、受光器22から出力されるI成分の差動電気信号VI ,V-Iと閾値Vth1 とを比較したAとBの排他的論理和E1を出力する絶対値判定回路11-1と、Q成分の差動電気信号VQ ,V-Qと閾値Vth1 とを比較したCとDの排他的論理和F1を出力する絶対値判定回路12-1と、受光器22から出力されるI成分の差動電気信号VI ,V-Iと閾値Vth2 とを比較したAとBの排他的論理和E2を出力する絶対値判定回路11-2と、Q成分の差動電気信号VQ ,V-Qと閾値Vth2 とを比較したCとDの排他的論理和F2を出力する絶対値判定回路12-2と、絶対値判定回路11-1の出力E1と絶対値判定回路12-1の出力F1と、絶対値判定回路11-2の出力E2と絶対値判定回路12-2の出力F2を入力し、所定の論理演算により制御信号G3を生成する抽出用制御信号生成回路13Bにより構成される。

【0042】
図6および図7は、特定シンボル判定回路10Bの動作原理を示す。
図6において、絶対値判定回路11-1,11-2は、実施例1の絶対値判定回路11と同様に、閾値Vth1 に対して、|VI |>Vth1 であればE1=0、|VI |<Vth1 であればE1=1を出力し、閾値Vth2 に対して、|VI |>Vth2 であればE2=0、|VI |<Vth2 であればE2=1を出力する。

【0043】
絶対値判定回路12-1,12-2は、実施例1の絶対値判定回路12と同様に、閾値Vth1 に対して、|VQ |>Vth1 であればF1=0、|VQ |<Vth1 であればF1=1を出力し、閾値Vth2 に対して、|VQ |>Vth2 であればF2=0、|VQ |<Vth2 であればF2=1を出力する。

【0044】
抽出用制御信号生成回路13Bは、NOR131、AND132,133により構成される。閾値Vth1 としてM値QAM信号光の中間振幅以上のシンボルを検出できる値に設定し、NOR131でE1とF1のNORをとることにより、閾値Vth1 、-Vth1 の外側4隅のシンボル(●)を抽出する制御信号G1を生成することができる。

【0045】
また、閾値Vth2 として閾値Vth1 よりM値QAM信号光の1シンボルの振幅差だけ大きい値に設定し、AND132でE2とF2のANDをとることにより、閾値Vth2 、-Vth2 の内側正方のシンボル(●)を抽出する制御信号G2を生成することができる。

【0046】
さらに、図7において、AND133で制御信号G1,G2のANDをとることにより、閾値Vth1 、-Vth1 と閾値Vth2 、-Vth2 で挟まれた中間4点の特定シンボル(●)を抽出する制御信号G3を生成することができる。すなわち、制御信号G3は、Vth1 <|VI |<Vth2 かつVth1 <|VQ |<Vth2 のときに1となる。抽出回路26,27は、制御信号G3が1となるタイミングで、受光器22から出力されるVI ,V-IおよびVQ ,V-Qをラッチし、COSTAS回路28に入力する。

【0047】
このように、実施例3の特定シンボル判定回路10Bは、閾値Vth1 に対して2つの絶対値判定回路11-1,12-1を用い、閾値Vth2 に対して2つの絶対値判定回路11-2,12-2を用い、抽出用制御信号生成回路13BでE1とF1のNOR、E2とF2のAND、さらにG1とG2のANDをとることにより、M=22nおよびM=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光から位相が±π/4または±3π/4で、閾値Vth1 、-Vth1 と閾値Vth2 、-Vth2 で挟まれた中間振幅の特定シンボルを抽出する制御信号G3を生成することができる。

【0048】
さらに、閾値Vth2 としてM値QAM信号光の最大振幅のシンボルのみを検出できる値設定した場合、閾値Vth2 に対する2つの絶対値判定回路11-2,12-2の出力E2,F2のNORを組み合わせることにより、図8(1) に示すように、中間4点と、その外側の外輪4点のシンボルを抽出するための制御信号を生成することができる。ただし、この場合は、位相が±π/4または±3π/4で外輪4点のシンボルが存在するM=22n(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に限定される。

【0049】
同様に、閾値Vth1 としてM値QAM信号光の最小振幅のシンボルのみを検出できる値に設定した場合、閾値Vth1 に対する2つの絶対値判定回路11-1,12-1の出力E1,F1のANDを組み合わせることにより、図8(2) に示すように、中間4点と、最小振幅の内輪4点のシンボルを抽出するための制御信号を生成することができる。ただし、この場合は、M=22nおよびM=22n+1(nは2以上の整数)のM値QAM信号光に対応できる。

【0050】
さらに、3つの閾値と3ペアの絶対値判定回路を用いることにより、位相が±π/4または±3π/4で、中間4点と最大振幅の外輪4点または最小振幅の内輪4点の合計8点の特定シンボルを抽出するための制御信号を生成することができる。また、閾値と絶対値判定回路のペア数を増やすことにより、位相が±π/4または±3π/4で、8点以上の特定シンボルを抽出するための制御信号を生成することができる。

【0051】
(実施例4)
図9は、本発明の光位相同期回路の実施例4の構成を示す。
なお、図9に示す実施例4の構成は、図1に示す実施例1の変形であるが、同様に図3に示す実施例2、図5に示す実施例3にも対応させることができる。

【0052】
図9において、実施例3の特徴は、抽出回路26をCOSTAS回路28とループフィルタ29との間に移動し、COSTAS回路28はM値QAM信号光のすべてのシンボルに対する位相誤差を検出し、抽出回路26はその位相誤差信号から特定シンボル判定回路10Aから出力される制御信号Gにより、位相が±π/4または±3π/4の特定シンボルの位相誤差を抽出し、ループフィルタ29を介して局発光源21の光周波数を制御する。
【符号の説明】
【0053】
10A,10B 特定シンボル判定回路
11,12 絶対値判定回路
13A,13B 抽出用制御信号生成回路
21 局発光源
22 受光器
23 特定シンボル判定回路
24 強度検出回路
25 比較回路
26,27 抽出回路
28 COSTAS回路
29 ループフィルタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10