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明細書 :液晶性ポリアミノウレタン原料化合物、同液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法、及び液晶性ポリアミノウレタン、並びに同液晶性ポリアミノウレタンの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6771766号 (P6771766)
公開番号 特開2018-119039 (P2018-119039A)
登録日 令和2年10月2日(2020.10.2)
発行日 令和2年10月21日(2020.10.21)
公開日 平成30年8月2日(2018.8.2)
発明の名称または考案の名称 液晶性ポリアミノウレタン原料化合物、同液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法、及び液晶性ポリアミノウレタン、並びに同液晶性ポリアミノウレタンの製造方法
国際特許分類 C08G  59/28        (2006.01)
C08G  18/28        (2006.01)
C08G  59/50        (2006.01)
FI C08G 59/28
C08G 18/28 015
C08G 59/50
請求項の数または発明の数 4
全頁数 21
出願番号 特願2017-010270 (P2017-010270)
出願日 平成29年1月24日(2017.1.24)
審査請求日 令和元年12月3日(2019.12.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】氏家 誠司
【氏名】那谷 雅則
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【識別番号】100149205、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 泰央
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 特開2013-245321(JP,A)
特開2015-081329(JP,A)
特表2014-530269(JP,A)
特開2016-169292(JP,A)
特開2009-149754(JP,A)
特開2015-048400(JP,A)
特開2016-014155(JP,A)
調査した分野 C08G 59/00-59/72
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式[I]:
【化1】
JP0006771766B2_000024t.gif
(ただし、式R1は、
【化2】
JP0006771766B2_000025t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化3】
JP0006771766B2_000026t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表されることを特徴とする液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物。
【請求項2】
メソゲンコアと、前記メソゲンコアの一端に配置され同メソゲンコアを構成する芳香環に直接結合するフェノール性ヒドロキシ基と、前記メソゲンコアの他端に結合子とアルキル鎖とを介して結合するアルコール性ヒドロキシ基と、を有するジオールに対し、前記フェノール性ヒドロキシ基と前記アルコール性ヒドロキシ基との反応性の違いを利用して前記フェノール性ヒドロキシ基の部位にエポキシ基を導入することによりエポキシメソゲンモノオールを生成し、得られたエポキシメソゲンモノオールとジイソシアナートとを反応させることで液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのジエポキシウレタンを得ることを特徴とする液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物の製造方法。
【請求項3】
下記一般式[II]:
【化4】
JP0006771766B2_000027t.gif
(ただし、式R1は、
【化5】
JP0006771766B2_000028t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化6】
JP0006771766B2_000029t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、nは2~12の整数を意味し、pは2以上の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表される繰り返し単位を有することを特徴とする液晶性ポリアミノウレタン。
【請求項4】
下記一般式[I]:
【化7】
JP0006771766B2_000030t.gif
(ただし、式R1は、
【化8】
JP0006771766B2_000031t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化9】
JP0006771766B2_000032t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表される液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物と、
下記一般式[III]:
【化10】
JP0006771766B2_000033t.gif
(ただし、nは2~12の整数を意味する。)
で表されるジアミノアルカンと、を所定溶媒中で重合反応させることにより、
下記一般式[II]:
【化11】
JP0006771766B2_000034t.gif
(ただし、式R1は、
【化12】
JP0006771766B2_000035t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化13】
JP0006771766B2_000036t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、nは2~12の整数を意味し、pは2以上の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタンを得ることを特徴とする液晶性ポリアミノウレタンの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶性ポリアミノウレタン原料化合物、同液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法、及び液晶性ポリアミノウレタン、並びに同液晶性ポリアミノウレタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種容器やフィルム、化学繊維製品や家電製品の筐体に至るまで、我々の生活において樹脂は欠かせない存在となっている。
【0003】
これら種々の加工製品に用いられる樹脂は、その用途等に応じた特性を備える必要があるため、今日に至るまで様々な種類のものが提案されている。
【0004】
中でも液晶性を示す高分子材料は、優れた機械的強度や耐熱性、耐薬品性など今までにない機能性を発揮できる樹脂の原料として注目されており、盛んに研究が行われている。
【0005】
本発明者らは過去に、遷移金属原子と錯形成した液晶性を示す高分子であり、特定方向において極めて高い強度を示したり、遷移金属原子の種類に応じた色を呈したり、また、光に対して運動性を示すという極めてユニークな液晶性ポリアミノウレタンを提供している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この液晶性ポリアミノウレタンによれば、樹脂成形加工分野や、色素材料等を取り扱う工業分野、樹脂シート、イオン伝導チャンネルをもつフィルム等の製造分野など、実に様々な分野における利用が将来的に有望視できる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特願2015-049556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本発明者らが過去に提案した上記従来の液晶性ポリアミノウレタンは、ジイソシアナートとジオールとの反応によって得られるものであり、二次的な化学反応が可能な反応性残基に乏しい。
【0009】
それゆえ、得られた液晶性ポリアミノウレタンに対し、二次的に化学反応を行って加工処理するのは困難であった。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンを提供する。
【0011】
また、本発明では、定量的にヒドロキシ基が導入された液晶性ポリアミノウレタンの製造方法や、同液晶性ポリアミノウレタンの原料化合物、及び同液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法についても提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタン原料化合物では、下記一般式[I]:
【化1】
JP0006771766B2_000002t.gif
(ただし、式R1は、
【化2】
JP0006771766B2_000003t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化3】
JP0006771766B2_000004t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)で表されることとした。
【0013】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物の製造方法では、メソゲンコアと、前記メソゲンコアの一端に配置され同メソゲンコアを構成する芳香環に直接結合するフェノール性ヒドロキシ基と、前記メソゲンコアの他端に結合子とアルキル鎖とを介して結合するアルコール性ヒドロキシ基と、を有するジオールに対し、前記フェノール性ヒドロキシ基と前記アルコール性ヒドロキシ基との反応性の違いを利用して前記フェノール性ヒドロキシ基の部位にエポキシ基を導入することによりエポキシメソゲンモノオールを生成し、得られたエポキシメソゲンモノオールとジイソシアナートとを反応させることで液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのジエポキシウレタンを得ることとした。
【0014】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタンでは、下記一般式[II]:
【化4】
JP0006771766B2_000005t.gif
(ただし、式R1は、
【化5】
JP0006771766B2_000006t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化6】
JP0006771766B2_000007t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、nは2~12の整数を意味し、pは2以上の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)で表される繰り返し単位を有することとした。
【0015】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタンの製造方法では、下記一般式[I]:
【化7】
JP0006771766B2_000008t.gif
(ただし、式R1は、
【化8】
JP0006771766B2_000009t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化9】
JP0006771766B2_000010t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表される液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物と、
下記一般式[III]:
【化10】
JP0006771766B2_000011t.gif
(ただし、nは2~12の整数を意味する。)
で表されるジアミノアルカンと、を所定溶媒中で重合反応させることにより、
下記一般式[II]:
【化11】
JP0006771766B2_000012t.gif
(ただし、式R1は、
【化12】
JP0006771766B2_000013t.gif
のいずれかの基を意味し、R2は、
【化13】
JP0006771766B2_000014t.gif
のいずれかの基を意味する。mは2~12の整数を意味し、nは2~12の整数を意味し、pは2以上の整数を意味し、xは2~8の整数を意味する。)
で表される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタンを得ることとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物によれば、ジアミノアルカンと反応させることで二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンを製造可能な液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物を提供することができる。
【0017】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物の製造方法によれば、重合数の揃ったジエポキシウレタンが得られる液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物の製造方法を提供することができる。
【0018】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタンによれば、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンを提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る液晶性ポリアミノウレタンの製造方法によれば、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの合成過程を示した説明図である。
【図2】本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物の一例を示した説明図である。
【図3】ジエポキシウレタンの性質を示した説明図である。
【図4】液晶性ポリアミノウレタンの構成を示した説明図である。
【図5】液晶性ポリアミノウレタンの性質を示した説明図である。
【図6】液晶性ポリアミノウレタンの分子設計概念を示した説明図である。
【図7】液晶ポリアミノウレタンの可溶化機能の説明図である。
【図8】液晶ポリアミノウレタンの可溶化機能の説明図である。
【図9】液晶性ポリアミノウレタンと無機微粒子との相互作用を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、液晶性ポリアミノウレタン、及び同液晶性ポリアミノウレタンの製造方法を提供するものであり、特に、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンやその製造方法を提供するものである。

【0022】
また本発明は、液晶性ポリアミノウレタンの製造に使用する液晶性ポリアミノウレタン原料化合物や、同液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法についても提供する。

【0023】
以下では製造の手順を追って、まず液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法、及び液晶性ポリアミノウレタン原料化合物について説明し、その後、液晶性ポリアミノウレタンの製造方法及び液晶性ポリアミノウレタンについて説明する。

【0024】
本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法では、メソゲンコアと、前記メソゲンコアの一端に配置され同メソゲンコアを構成する芳香環に直接結合するフェノール性ヒドロキシ基と、前記メソゲンコアの他端に結合子とアルキル鎖とを介して結合するアルコール性ヒドロキシ基と、を有するジオールに対し、前記フェノール性ヒドロキシ基と前記アルコール性ヒドロキシ基との反応性の違いを利用して前記フェノール性ヒドロキシ基の部位にエポキシ基を導入することによりエポキシメソゲンモノオールを生成し、得られたエポキシメソゲンモノオールとジイソシアナートとを反応させることで液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのジエポキシウレタンを得ることを特徴としている。

【0025】
すなわち、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法では、まずメソゲンジオールに対しエポキシ基を導入してエポキシメソゲンモノオールを生成する。

【0026】
メソゲンジオールは、メソゲンコアと、前記メソゲンコアの一端に配置され同メソゲンコアを構成する芳香環に直接結合するフェノール性ヒドロキシ基と、前記メソゲンコアの他端に結合子とアルキル鎖とを介して結合するアルコール性ヒドロキシ基と、を有するジオールであり、例えば下記一般式[IV]の如く表される。
【化14】
JP0006771766B2_000015t.gif

【0027】
ここで、メソゲンコアを構成するR1は、例えば以下に示すいずれかの基から選ばれる。
【化15】
JP0006771766B2_000016t.gif

【0028】
また、アルキル鎖におけるmの値は、2~12の整数であるのが望ましい。mの値が2を下回ると、最終的に合成される液晶性ポリアミノウレタンの製造収率が低下するおそれがあり好ましくない。また、mの値が12を上回ると、最終的に合成されるポリアミノウレタンにおいて液晶性に乏しくなるため好ましくない。mの値を2以上12以下の整数とすることにより、液晶性ポリアミノウレタンを効率良く得ることが可能な液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物とすることができる。

【0029】
また、上述の一般式[IV]において結合子は酸素原子としているが、これに限定されるものではなく、例えば硫黄原子とすることもできる。

【0030】
一般式[IV]において示すメソゲンジオールにおいて特筆すべきは、一端側のヒドロキシ基をメソゲンコアを構成する芳香環に直接結合したフェノール性ヒドロキシ基とする一方、他端側のヒドロキシ基をアルコール性のヒドロキシ基としている点が挙げられる。

【0031】
このような構成とすることにより、エチレンオキシド化合物などによるエポキシ基の導入に際し、フェノール性ヒドロキシ基側に選択的にエポキシ基を導入することができ、ジオールとエチレンオキシド化合物との連鎖重合を回避して、エポキシメソゲンモノオールを生成することができる。なお、エチレンオキシド化合物の導入には、例えば、エピクロロヒドリンを直接用いる方法やアリルブロミドを反応させた後、過酸化物で酸化する方法等を用いることができる。

【0032】
一般式[IV]において示したメソゲンジオールとエチレンオキシド化合物とを反応させると、例えばエチレンオキシド化合物をエピクロロヒドリンとした場合には、下記一般式[V]に示すエポキシメソゲンモノオールが得られる。
【化16】
JP0006771766B2_000017t.gif

【0033】
次に、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン原料化合物の製造方法では、得られたエポキシメソゲンモノオールとジイソシアナートとを反応させることで液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのジエポキシウレタンを得る。

【0034】
ジイソシアナートは、下記一般式[VI]に示す通りである。
【化17】
JP0006771766B2_000018t.gif

【0035】
ここで、ジイソシアナートを構成するR2は、例えば以下に示すいずれかの基から選ばれる。ただし、xは2~8の整数を意味する。
【化18】
JP0006771766B2_000019t.gif

【0036】
そして、一般式[V]に示したエポキシメソゲンモノオールと、一般式[VI]に示したジイソシアナートとを反応させることにより、下記一般式[I]で示す本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのジエポキシウレタンが得られる。
【化19】
JP0006771766B2_000020t.gif

【0037】
この本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物は、後述するように、ジアミノアルカンとの反応により本実施形態に係るポリアミノウレタンを得ることができる。すなわち、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物は、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンの製造を可能とすることができる。

【0038】
また、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物は、架橋化剤としても利用することができ、特に、液晶配向の形成と架橋化とを同時に行うことが可能である。すなわち、液晶架橋化剤としても有用な物質であると言える。

【0039】
次に、液晶性ポリアミノウレタンの製造について説明する。本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの製造方法では、前述の一般式[I]で示す液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物と、下記一般式[III]で示すジアミノアルカンとを重合反応させる。
【化20】
JP0006771766B2_000021t.gif

【0040】
ここでジアミノアルカンを構成するアルキル基のnの値は、2~12の整数であるのが望ましい。nの値が2を下回ると、最終的に合成される液晶性ポリアミノウレタンの製造収率が低下するおそれがあり好ましくない。また、nの値が12を上回ると、合成されるポリアミノウレタンにおいて液晶性に乏しくなるため好ましくない。nの値を2以上12以下の整数とすることにより、液晶性を有するポリアミノウレタンを効率良く得ることができる。

【0041】
そして、重合反応は図1の通りである。なお、重合反応にあたり、液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物とジアミノアルカンとを溶解させる溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン等の汎用性溶媒を好適に用いることができる。

【0042】
また、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの製造方法に関し特筆すべき点として、基本的に副反応生成物が生じない点が挙げられる。すなわち、液晶性ポリアミノウレタンを生成した際に副反応生成物を取り除く必要がなく、溶媒の除去を行うのみで、目的物である液晶性ポリアミノウレタンを得ることが可能である。

【0043】
このようにして得られた本実施形態に係るポリアミノウレタンは、下記一般式[II]で示されるように、エポキシ基の開環反応に伴って形成されたヒドロキシ基が、繰り返し単位あたり2つずつ備えられることとなる。すなわち、二次的な化学反応が可能な反応性残基としてヒドロキシ基が定量的に導入された液晶性ポリアミノウレタンが得られる。
【化21】
JP0006771766B2_000022t.gif

【0044】
この本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンは、繊維化、フィルム化、樹脂化が可能であり、しかも、これらに加工した後においてヒドロキシ基を利用した架橋化、すなわち構造の固定化を可能にすることができる。

【0045】
また、親水基としてのヒドロキシ基と、疎水基とを有するため、界面活性機能を生起することができる。すなわち、相溶しない二種の樹脂等を相溶させるための可溶化剤としての機能が期待される。

【0046】
また、金属錯体形成能を有することから、高分子配位子としても利用することができる。具体的には、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンにフェロシアン化コバルトを担持させておき、例えば放射性セシウムの吸着剤として利用することも可能である。

【0047】
以下、実施例について図面を参照しながら具体的に説明する。

【0048】
〔実施例1〕
まず、ジエポキシウレタンの製造を行った。具体的には、500mlの乾燥したナスフラスコ中に、7.0gの4-ニトロフェノールと、7.51gの6-クロロ-1-ヘキサノールと、1.7gのKIとを測りとり、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶解させ、10.4gの炭酸カリウムを加えて4h還流した。反応後、反応液をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた6-(4-(ニトロ)フェノキシ)ヘキサノール 8.3 gおよびヒドラジン一水和物 8.9 gを1Lの乾燥したナスフラスコ中に入れ、エタノールに溶解させ、グラファイト 17.5 gを加え、24h還流した。反応後、クロロホルム 230 ml加え、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ液からエタノールとクロロホルムを留去して得られた粗結晶をメタノールで再結晶し、6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノールを得た。6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノール 4.6 gを塩酸 10mlと反応させ、水に溶解させた。この溶液を5 ℃に冷却し、そこに亜硝酸ナトリウム 1.6 gを加え、ジアゾニウム塩の水溶液を得た。この5 ℃の水溶液にフェノール 2.2 gと水酸化ナトリウム 1.0 gを溶解させ、5 ℃に冷却された水溶液の入った3 Lのビーカーに加え、アゾベンゼン誘導体を得た。このアゾベンゼン誘導体 10 gとエピクロロヒドリン 105.18 gを300 mlのナスフラスコに入れ、ベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 0.365 gを加えて3 h還流した。反応後、エタノールを用いて再結晶し、エポキシ誘導体を得た。100 mlの乾燥したナスフラスコに2,4-トリエレンジイソシアナート 0.705 gを入れ、テトラヒドロフラン 30 mlに溶解させた。エポキシ誘導体 3 gをテトラヒドロフラン 50 mlに溶解させ、その溶液を100 mlのナスフラスコに加え、窒素置換した後、室温で46 h反応させた。反応後、反応溶液を20 mlに濃縮し、メタノールを加え、図2(a)に示すジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-Tを得た。

【0049】
〔実施例2〕
同様にして、中心骨格構造の異なるジエポキシウレタンの製造を行った。具体的には、500mlの乾燥したナスフラスコ中に、4-ニトロフェノール 7.0 g、 6-クロロ-1-ヘキサノール 7.51 gとKI 1.7 gを測りとり、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶解させ、炭酸カリウム 10.4 gを加え4 h還流した。反応後、反応液をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた6-(4-(ニトロ)フェノキシ)ヘキサノール 8.3 gおよびヒドラジン一水和物 8.9 gを1Lの乾燥したナスフラスコ中に入れ、エタノールに溶解させ、グラファイト 17.5 gを加え、24 h還流した。反応後、クロロホルム 230 ml加え、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ液からエタノールとクロロホルムを留去して得られた粗結晶をメタノールで再結晶し、6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノールを得た。6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノール 4.6 gを塩酸 10mlと反応させ、水に溶解させた。この溶液を5 ℃に冷却し、そこに亜硝酸ナトリウム 1.6 gを加え、ジアゾニウム塩の水溶液を得た。この5 ℃の水溶液にフェノール 2.2 gと水酸化ナトリウム 1.0 gを溶解させ、5 ℃に冷却された水溶液の入った3 Lのビーカーに加え、アゾベンゼン誘導体を得た。このアゾベンゼン誘導体 10 gとエピクロロヒドリン 105.18 gを300 mlのナスフラスコに入れ、ベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 0.365 gを加えて3 h還流した。反応後、エタノールを用いて再結晶し、エポキシ誘導体を得た。50 mlの乾燥したナスフラスコに1,4-フェニレンジイソシアナート 0.221 gを入れ、テトラヒドロフラン 20 mlに溶解させた。エポキシ誘導体 1.0 gをテトラヒドロフラン 20 mlに溶解させ、その溶液を50 mlのナスフラスコに加え、窒素置換した後、室温で47 h反応させた。反応後、反応溶液を20 mlに濃縮し、メタノールを加え、図2(b)に示すジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-Pを得た。

【0050】
〔実施例3〕
更に、中心骨格構造の異なるジエポキシウレタンの製造を行った。具体的には、500mlの乾燥したナスフラスコ中に、4-ニトロフェノール 7.0 g、 6-クロロ-1-ヘキサノール 7.51 gとKI 1.7 gを測りとり、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶解させ、炭酸カリウム 10.4 gを加え4 h還流した。反応後、反応液をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた6-(4-(ニトロ)フェノキシ)ヘキサノール 8.3 gおよびヒドラジン一水和物 8.9 gを1Lの乾燥したナスフラスコ中に入れ、エタノールに溶解させ、グラファイト 17.5 gを加え、24 h還流した。反応後、クロロホルム 230 ml加え、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ液からエタノールとクロロホルムを留去して得られた粗結晶をメタノールで再結晶し、6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノールを得た。6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノール 4.6 gを塩酸 10mlと反応させ、水に溶解させた。この溶液を5 ℃に冷却し、そこに亜硝酸ナトリウム 1.6 gを加え、ジアゾニウム塩の水溶液を得た。この5 ℃の水溶液にフェノール 2.2 gと水酸化ナトリウム 1.0 gを溶解させ、5 ℃に冷却された水溶液の入った3 Lのビーカーに加え、アゾベンゼン誘導体を得た。このアゾベンゼン誘導体 10 gとエピクロロヒドリン 105.18 gを300 mlのナスフラスコに入れ、ベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 0.365 gを加えて3 h還流した。反応後、エタノールを用いて再結晶し、エポキシ誘導体を得た。50 mlの乾燥したナスフラスコに4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート 0.35 gを入れ、テトラヒドロフラン 10 mlに溶解させた。エポキシ誘導体 1 gをテトラヒドロフラン 30 mlに溶解させ、その溶液を50 mlのナスフラスコに加え、窒素置換した後、室温で47 h反応させた。反応後、反応溶液を20 mlに濃縮し、メタノールを加え、図2(c)に示すジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-DPhを得た。

【0051】
〔実施例4〕
更に、中心骨格構造の異なるジエポキシウレタンの製造を行った。具体的には、500mlの乾燥したナスフラスコ中に、4-ニトロフェノール 7.0 g、 6-クロロ-1-ヘキサノール 7.51 gとKI 1.7 gを測りとり、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶解させ、炭酸カリウム 10.4 gを加え4 h還流した。反応後、反応液をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた6-(4-(ニトロ)フェノキシ)ヘキサノール 8.3 gおよびヒドラジン一水和物 8.9 gを1Lの乾燥したナスフラスコ中に入れ、エタノールに溶解させ、グラファイト 17.5 gを加え、24 h還流した。反応後、クロロホルム 230 ml加え、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ液からエタノールとクロロホルムを留去して得られた粗結晶をメタノールで再結晶し、6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノールを得た。6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノール 4.6 gを塩酸 10mlと反応させ、水に溶解させた。この溶液を5 ℃に冷却し、そこに亜硝酸ナトリウム 1.6 gを加え、ジアゾニウム塩の水溶液を得た。この5 ℃の水溶液にフェノール 2.2 gと水酸化ナトリウム 1.0 gを溶解させ、5 ℃に冷却された水溶液の入った3 Lのビーカーに加え、アゾベンゼン誘導体を得た。このアゾベンゼン誘導体 10 gとエピクロロヒドリン 105.18 gを300 mlのナスフラスコに入れ、ベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 0.365 gを加えて3 h還流した。反応後、エタノールを用いて再結晶し、エポキシ誘導体を得た。100 mlの乾燥したナスフラスコに3,3’-ジメチル 4,4’-ビフェニルジイソシアナート 1.092 gを入れ、テトラヒドロフラン 30 mlに溶解させた。エポキシ誘導体 3 gをテトラヒドロフラン 50 mlに溶解させ、その溶液を100 mlのナスフラスコに加え、窒素置換した後、室温で45.5 h反応させた。反応後、反応溶液を20 mlに濃縮し、メタノールを加え、図2(d)に示すジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-Bpを得た。

【0052】
〔実施例5〕
更に、中心骨格構造の異なるジエポキシウレタンの製造を行った。具体的には、500mlの乾燥したナスフラスコ中に、4-ニトロフェノール 7.0 g、 6-クロロ-1-ヘキサノール 7.51 gとKI 1.7 gを測りとり、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶解させ、炭酸カリウム 10.4 gを加え4 h還流した。反応後、反応液をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた6-(4-(ニトロ)フェノキシ)ヘキサノール 8.3 gおよびヒドラジン一水和物 8.9 gを1Lの乾燥したナスフラスコ中に入れ、エタノールに溶解させ、グラファイト 17.5 gを加え、24 h還流した。反応後、クロロホルム 230 ml加え、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ液からエタノールとクロロホルムを留去して得られた粗結晶をメタノールで再結晶し、6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノールを得た。6-(4-(アミノ)フェノキシ)ヘキサノール 4.6 gを塩酸 10mlと反応させ、水に溶解させた。この溶液を5 ℃に冷却し、そこに亜硝酸ナトリウム 1.6 gを加え、ジアゾニウム塩の水溶液を得た。この5 ℃の水溶液にフェノール 2.2 gと水酸化ナトリウム 1.0 gを溶解させ、5 ℃に冷却された水溶液の入った3 Lのビーカーに加え、アゾベンゼン誘導体を得た。このアゾベンゼン誘導体 10 gとエピクロロヒドリン 105.18 gを300 mlのナスフラスコに入れ、ベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 0.365 gを加えて3 h還流した。反応後、エタノールを用いて再結晶し、エポキシ誘導体を得た。100 mlの乾燥したナスフラスコにヘキサメチレンジイソシアナート 0.695 gを入れ、N-メチルピロリドン 50 mlに溶解させた。エポキシ誘導体 3 gをN-メチルピロリドン 15 mlに溶解させ、その溶液を100 mlのナスフラスコに滴下ロートを使って加えた。ナスフラスコ内を窒素置換した後、室温で48 h反応させた。反応後、反応溶液にメタノール 100 mlを加え、攪拌し、図2(e)に示すジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-Hを得た。

【0053】
〔実施例6〕
上記実施例1~5にて得られたジエポキシウレタンである液晶性ポリアミノウレタン製造原料用化合物としてのEP2-T、EP2-P、EP2-DPh、EP2-Bp、EP2-Hについて、NMRにより分析を行ったところ、いずれの化合物もジイソシアナートを介して2つのエポキシメソゲンモノオールが結合した二量体であることが確認された。

【0054】
〔実施例7〕
次に、実施例1~4にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-T、EP2-P、EP2-DPh、EP2-Bpに関し、それぞれの相転移温度について計測を行った。その結果を図3に示す。

【0055】
図3からも分かるように、EP2-Tのガラス転移温度(Tg)は66.9℃であり、液晶-等方相転移温度は160.1℃、液晶相はスメクチックA相とネマチック相であった。また、EP2-Pの融点(Tm)は199.5℃であり、液晶相は形成されなかった(非液晶)。また、EP2-DPhの融点(Tm)は177.2℃であり、液晶相は形成されなかった(非液晶)。また、EP2-Bpは、260℃で熱分解を示し、液晶相は形成されなかった(非液晶)。

【0056】
〔実施例8〕
次に、実施例1にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-Tを用い、ジアミノアルカンであるN,N’-ジメチルエチレンジアミンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0057】
具体的には、100mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-T 0.3 g、ジメチルエチレンジアミン 0.0298 gおよびベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 少量を入れ、N-メチルピロリドン 7 mlに溶解させ、24 h還流した。反応終了後、メタノール 20 mlを加え、沈殿物をろ別後、メタノールで洗浄し、図4(a)に示す、R2=Tとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)T-DMeA-2を得た。

【0058】
〔実施例9〕
同様に、実施例5にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-Hを用い、ジアミノアルカンであるN,N’-ジメチルエチレンジアミンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0059】
具体的には、100mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-H 1.032 g、ジメチルエチレンジアミン 0.1032 gおよびベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 少量を入れ、N-メチルピロリドン 10 mlに溶解させ、24 h還流した。反応終了後、メタノール 50 mlを加え、沈殿物をろ別後、メタノールで洗浄し、図4(a)に示す、R2=Hとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)H-DMeA-2を得た。

【0060】
〔実施例10〕
同様に、実施例1にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-Tを用い、ジアミノアルカンであるN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0061】
具体的には、50mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-T 1.0 gとN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン 0.1626 g を入れ、テトラヒドロフラン 5 ml に溶解させ、24 h還流した。反応後、メタノールで再沈殿し、図4(b)に示す、R2=Tとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)T-DMeA-6を得た。

【0062】
〔実施例11〕
同様に、実施例2にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-Pを用い、ジアミノアルカンであるN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0063】
具体的には、100mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-P 1.0 gとN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン 0.1651 gをN-メチルピロリドン 10 mlに溶解させ、24 h還流した。反応終了後、メタノールで再沈殿し、図4(a)に示す、R2=Pとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)P-DMeA-6を得た。

【0064】
〔実施例12〕
同様に、実施例3にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-DPhを用い、ジアミノアルカンであるN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0065】
具体的には、100mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-DPh 0.484 g、N,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン 0.0726 gとベンジルトリメチルアンモニウム ブロミド 少量をテトラヒドロフラン 5 mlに溶解させ、24 h還流した。反応終了後、テトラヒドロフランを留去し、図4(b)に示す、R2=DPhとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)DPh-DMeA-6を得た。

【0066】
〔実施例13〕
同様に、実施例5にて得られたジエポキシウレタンであるEP2-Hを用い、ジアミノアルカンであるN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサンと反応させることで、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンを得た。

【0067】
具体的には、100mlの乾燥したナスフラスコ中に、EP2-H 1.0324 gとN,N'-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン 0.1689 gを入れ、N-メチルピペリジン 10 mlに溶解させ、24 h還流した。反応終了後、メタノールで再沈殿し、図4(b)に示す、R2=Hとした液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)H-DMeA-6を得た。

【0068】
〔実施例14〕
次に、実施例8及び実施例10にて得られた液晶性ポリアミノウレタンであるPU(OH)T-DMeA-2、及びPU(OH)T-DMeA-6に関し、それぞれの相転移温度について計測を行った。その結果を図5に示す。

【0069】
図5からも分かるように、PU(OH)T-DMeA-6の相転移温度は、ガラス転移温度(Tg)が36.7℃であり、液晶-等方相転移温度(Ti)は70.4℃、液晶相はネマチック相であった。また、PU(OH)T-DMeA-2の相転移温度は、ガラス転移温度(Tg)が73.6℃であり、液晶-等方相転移温度(Ti)は133.6℃、液晶相はネマチック相であった。なお図示は省略するが、実施例9、実施例11~13にて得られたPU(OH)H-DMeA-2、PU(OH)P-DMeA-6、PU(OH)DPh-DMeA-6、PU(OH)H-DMeA-6においても、液晶性が確認された。

【0070】
〔実施例15〕
次に、下記一般式[II]:
【化22】
JP0006771766B2_000023t.gif
に示す本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの分子設計概念について検討を行った。具体的には、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンは、図6に示す分子構造からも分かるように、エポキシ基の開環重合に伴い、単位構造あたりヒドロキシ基が2つ定量的に形成された構造を有している。従って、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンは、親水性を示すと共に、化学反応性をも有することとなる。

【0071】
また、ウレタン結合部分やアミノ基の部分は、水素結合を生起すると共に、金属に対する配位機能も生起することができる。なお、アミノ基の部分は上記一般式[II]において第3級アミンであり、第4級アンモニウム塩とすることで、イオン架橋のように更なる化学反応が可能となる。このことを踏まえると、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンは、前述の2つのヒドロキシ基と2つのアミノ基との合計4つの反応活性点を有しているとも言える。

【0072】
また、芳香環の部分は、電子ドナー・アクセプターとして機能する。電子ドナー・アクセプターは、例えば有機半導体に見られるように、強い極性基(電子を押し出す基と電子を引っ張る基)とのそれぞれ異なる化合物を混ぜることで実現されるのが一般的である。しかしながら、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンにあっては、ニトロ基やシアノ基をもつような物質に比べ殆ど極性がないという点で特徴的であり、また、本発明者らの鋭意研究によれば、極性の強い物質を取り込みやすいという性質を有することが明らかになっている。

【0073】
すなわち、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの分子構造について機能的ユニットの観点から見れば、芳香環を有し電子ドナー・アクセプターとして機能するユニットと、水素結合できるユニットと、ヒドロキシ基やアミン等の反応性を有するユニットとの大きく3つの機能要素を備えていると言える。

【0074】
〔実施例16〕
次に、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの可溶化機能について検討を行った。ここでは、図7に示すように6‐[4‐(4‐(ニトロ)フェニルアゾ)フェノキシ]ヘキサン酸ナトリウム(IC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンの一つである前述の実施例8及び実施例10にて得られたPU(OH)T-DMeA-2、及びPU(OH)T-DMeA-6により可溶化されるか否かについて確認した。

【0075】
まず、100 ml容量のビーカーに10.0 mgのICを量り取り、10 mlのTHFを分注して十分に攪拌を行った。目視にて確認を行ったところ、ICはTHFに殆ど溶解せず、ビーカーの底部にはICの結晶が見られた。

【0076】
次に、結晶が析出している状態の同ビーカー内に12.7 mgのPU(OH)T-DMeA-2、又は13.5 mgのPU(OH)T-DMeA-6を添加し、十分に攪拌を行ったところ、ビーカー底部に沈殿していたICの結晶は消失し、ICが溶解した状態に見られる赤色のPU-IC-THF溶液が調製された。すなわち、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンにより、ICが可溶化された。

【0077】
本発明者らはこの現象に関し、図8に示すように、ICのニトロアゾベンゼン骨格と、液晶性ポリアミノウレタンのアゾベンゼン骨格同士の相互作用が生起されることによりTHFに可溶化されたものと考えている。これは、THFを除去して得られる混合物において、スメクチックA相が形成されことが確認されたが、液晶性ポリアミノウレタンがネマチック物質であり、ICが融解せず分解することを考慮すると、スメクチックA相は異なるアゾベンゼン骨格同士の相互作用が働くことで誘起されたと考えられる。すなわち,可溶化現象は、液晶性ポリアミノウレタンのアゾベンゼン骨格がICのニトロアゾベンゼン骨格との電荷移動相互作用に起因しているといえる。

【0078】
〔実施例17〕
次に、本実施形態に係る液晶性ポリアミノウレタンフィルムの作製と金属錯体化を行い、熱伝導性の向上を試みた。

【0079】
具体的には、1.0 gの液晶性ポリアミノウレタンをガラス転移温度近傍の液晶温度で熱プレスし、流動配向したフィルムを作製した。100 mlのビーカーに液晶ポリアミノウレタンを入れ、テトラヒドロフランに溶解させ、そこに塩化銅(II)を加え、金属錯体を合成した。この金属錯体を熱プレスし、流動配向フィルム(錯体サンプル)を作製した。

【0080】
次に、フィルムサンプル(比較サンプル)と錯体サンプルについて熱伝導性の確認試験を行ったところ、錯体サンプルは比較サンプルに比して約2倍程度の熱伝導性を有することが確認された。

【0081】
本発明者らはこの現象に関し、図9(a)に示すように、液晶性ポリアミノウレタンの親水基が会合して親水部が形成されるが、この親水部に金属錯体部位が取り込まれることにより、熱伝導パスが形成され、熱伝導性が向上したものと考えている。

【0082】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8