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明細書 :手押し車

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-188908 (P2019-188908A)
公開日 令和元年10月31日(2019.10.31)
発明の名称または考案の名称 手押し車
国際特許分類 B62B   3/02        (2006.01)
FI B62B 3/02 G
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2018-081432 (P2018-081432)
出願日 平成30年4月20日(2018.4.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 第38回 バイオメカニズム学術講演会SOBIM2017予稿集 発行日:平成29年11月4日 発行所:第38回バイオメカニズム学術講演会 [刊行物等] 第38回 バイオメカニズム学術講演会 開催日:平成29年11月5日
発明者または考案者 【氏名】今戸 啓二
出願人 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100123582、【弁理士】、【氏名又は名称】三橋 真二
【識別番号】100147555、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 公一
【識別番号】100160705、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 健太郎
審査請求 未請求
テーマコード 3D050
Fターム 3D050AA03
3D050DD01
3D050EE09
3D050EE18
3D050FF02
3D050KK06
要約 【課題】簡単な操作で段差を乗り越えることが可能で、かつ、安全に段差を乗り越えることが可能な手押し車を提供すること。
【解決手段】前輪16aを有した前フレーム12と、前フレームに回動可能に連結され後輪16bを有した後フレーム14とを備えたフレームを有し、フレームの上端のハンドル30、32を利用者が把持しつつ、フレームを押して前進するようにした手押し車10が、前フレームと共に前輪を上動させる乗り越え機構20を具備し、乗り越え機構が、前フレームと後フレームとの間に配設された主幹部22と、主幹部に回転可能に取り付けられ、手押し車の使用中地面等に接触する車輪24と、使用者がハンドルを操作することによって、主幹部に対して前フレームを上方に駆動する駆動機構40とを具備する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
前輪を有した前フレームと、前フレームに回動可能に連結され後輪を有した後フレームとを備えたフレームを有し、フレームの上端のハンドルを利用者が把持しつつ、フレームを押して前進するようにした手押し車において、
前フレームと共に前輪を上動させる乗り越え機構を具備し、
乗り越え機構が、前フレームと後フレームとの間に配設された主幹部と、
主幹部に回転可能に取り付けられ、手押し車の使用中地面等に接触する車輪と、
使用者がハンドルを操作することによって、主幹部に対して前フレームを上方に駆動する駆動機構と、
を具備することを特徴とした手押し車。
【請求項2】
前フレームは、乗り越え機構の主幹部に沿って摺動可能に該主幹部に連結されている請求項1に記載の手押し車。
【請求項3】
主幹部は、車輪が取り付けられている下端部において、リンクを介して前フレームに連結されている請求項1に記載の手押し車。
【請求項4】
ハンドルは、前フレームの上端部に回転可能に取り付けられており、駆動機構は、ハンドルに固定されハンドルの回転と共に旋回する押圧バーと、押圧バーに接するように主幹部に固定された当接部材とを具備する請求項1に記載の手押し車。
【請求項5】
前記ハンドルは、前フレームに固定された水平に延びるハンドルバーと、ハンドルバーの外周面に沿って回転可能にハンドルバーの両端部分に取り付けられたグリップとを具備する請求項4に記載の手押し車。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や障害者の歩行を補助する手押し車に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や障害者が利用する歩行補助車やシルバーカー、車椅子等の手押し車は、小さな段差でも乗り越えることは難しく、利用者には大きな問題となっている。こうした問題を解決するために、特許文献1には、車体に屈曲した側面形状を有するジャッキレバーを垂直面内で回動可能に取り付けた手押し車が記載されている。使用者が、例えば、その足で踏み込みジャッキレバーを操作することによって、車体の前部が持ち上がり、前輪を浮上させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2016-022836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手押し車では、ジャッキレバーは引張りばねによって車体側に吊り上げられており、そのため、ジャッキレバーに設けられた接地車輪が吊り上げ点から地面に接地する迄のジャッキレバーの回転角は、前輪を持ち上げることには全く寄与しないムダな動作となる。ムダな動作がジャッキレバーのストローク(回転角)に含まれるので、その分大きなストロークが必要となる。
【0005】
更に、特許文献1には、ジャッキレバーは、接地車輪に加えて転動車輪が取り付けられており、ペダルを奥まで踏み込んだ状態で、手押し車を滑らかに前進させることができると記載されている。然しながら、そのときの利用者の体勢は、片足をスケートボードに乗せた状態と同じであり、高齢者にそのようにして段差越えをさせる行為は極めて危険であり、簡単に転倒する危険性が高いと言える。
【0006】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、簡単な操作で段差を乗り越えることが可能で、かつ、安全に段差を乗り越えることが可能な手押し車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、前輪を有した前フレームと、前フレームに回動可能に連結され後輪を有した後フレームとを備えたフレームを有し、フレームの上端のハンドルを利用者が把持しつつ、フレームを押して前進するようにした手押し車において、前フレームと共に前輪を上動させる乗り越え機構を具備し、乗り越え機構が、前フレームと後フレームとの間に配設された主幹部と、主幹部に回転可能に取り付けられ、手押し車の使用中地面等に接触する車輪と、使用者がハンドルを操作することによって、主幹部に対して前フレームを上方に駆動する駆動機構とを具備する手押し車が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハンドルを操作して前輪を前フレームと共に地面等から上方に移動させることができるので、使用者は、ハンドルを把持しながら手押し車を押し続けて前進させ、段差を容易に乗り越えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい実施形態による手押し車の斜視図である。
【図2】図1の手押し車の上端部分を拡大して示す部分斜視図である。
【図3】図1の手押し車の乗り越え機構の斜視図である。
【図4】図1の手押し車の作用を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の好ましい実施形態による手押し車10は、前フレーム12、後フレーム14、前輪16a、後輪16b、ハンドルおよび段差乗り越え機構20を主要な構成要素として具備している。手押し車10は、使用者が腰をおろして休憩できるように、矢印Eで示す方向に折り畳むことのできる腰掛け18を前フレーム12に取り付けるようにしてもよい。

【0011】
前フレーム12は、手押し車10の前方から見て左右一対の縦フレーム12aと、該一対の縦フレーム12aの間に水平に設けられ一対の縦フレーム12aを一体に連結する複数の横フレーム12b~12eとを含み、ラダー形のフレームとなっている。横フレーム12b~12eは、縦フレーム12aの上端から所定長さ下側に設けられた上段横フレーム12b、縦フレーム12aの下端部に設けられた下段横フレーム12eと、上段横フレーム12bと下段横フレーム12eとの間で、上段横フレーム12b側に設けられた第1の中間横フレーム12cと、下段横フレーム12e側に設けられた第2の中間横フレーム12dとを含む。

【0012】
ハンドルは、前フレーム12の上端部に溶接等の公知技術を用いて水平に取り付けられた円筒形または円柱状のハンドルバー30と、ハンドルバー30の両端部分的に取り付けられたグリップ32とを具備している。グリップ32は、ハンドルバー30の外周面に沿って回転可能に取り付けられている。

【0013】
後フレーム14は、図示するように、2本の腕14aを有した概ねU字形に形成されている。後フレーム14は、2本の腕14aの先端が路面、地面または建物の床面(以下、単に地面等と記載する)Gに接近するように配置され、2本の腕14aを連結するU字形の底の部分14bに結合された一対のラグ46で前フレーム12に連結されている。より詳細には、一対の縦フレーム12aを貫通させて第1の中間横フレーム12c内に軸棒または回動ピン50が挿通されており、ラグ46が、カシメ等の公知の方法で回動ピン50に回動可能に連結される。

【0014】
また、前フレーム12と後フレーム14との間にはサブフレーム42が連結されている。サブフレーム42は、図示するように、2本の腕42aを有した概ねU字形に形成されている。サブフレーム42は、2本の腕42aの先端が前フレーム12の第2の中間横フレーム12dの位置に連結されている。より詳細には、一対の縦フレーム12aを貫通させて第2の中間横フレーム12d内に軸棒または回動ピン44が挿通されており、カシメ等の公知の方法で、2本の腕42aの先端部分が回動ピン44に回動可能に連結される。サブフレーム42は、また、リンク部材52によって、その腕42aが後フレーム14の2本の腕14aの各々に連結される。サブフレーム42は、前フレーム12と後フレーム14との回動範囲を限定する。

【0015】
前輪16aは、一対の縦フレーム12aの各々の下端部に1つずつ取り付けられている。より詳細には、一対の縦フレーム12aを貫通させて下段横フレーム12e内に軸棒または車軸48が挿通されており、前輪16aは該車軸48を中心として回転可能に取り付けられている。後輪16bは、後フレーム14の2本の腕14aの各々の下端部に1つずつピンまたは車軸45を中心として回転可能に取り付けられている。

【0016】
乗り越え機構20は前フレーム12と後フレーム14との間に配設されており、上下方向に延びる棒状の主幹部22、車輪24、リンク26および駆動機構40(図2参照)を主要な構成要素として具備している。主幹部22の上端部には、利用者の身体保護のためのプラスチック製またはゴム製の押しボタン28が取り付けられている。前フレーム12は、連結部材22aによって、主幹部22に摺動可能に連結されている。

【0017】
連結部材22aは、主幹部22の外周面に沿って上下方向に摺動可能に、かつ、ハンドルバー30の外周面に沿ってハンドルバー30の周方向に摺動(回転)可能に取り付けられている。本実施形態では、連結部材22aは、ハンドルバー30を通す貫通穴22b(図3)と主幹部22を通す貫通穴とを有し、該2つの貫通穴は互いに捻れの位置にある。なお、主幹部22の延設方向である上下方向は、鉛直方向を含み得るが、好ましくは、図示するように、水平方向から上方に所定の角度、例えばα=80°±5°のような傾斜した方向である。

【0018】
車輪24は、ピンまたは車軸24aを中心として主幹部22の下端部に回転可能に取り付けられている。車輪24は、前輪16aと後輪16bとの間に配置され、手押し車10の通常の使用中は常に地面等Gに接している。図示する実施形態では、車輪24は左右一対のダブルホイール形態の車輪となっている。

【0019】
リンク26は、その一端において、主幹部22の下端部に取り付けられた前方に突出するブラケット(図示せず)に回動可能に取り付けられている。該ブラケットは、左右一対の車輪24の間に配置されており、ピンまたは車軸24aが、ブラケットを貫通して水平に延びている。リンク26は、その他端において、連結部材26aによって、第2の中間横フレーム12dに回動可能に取り付けられている。

【0020】
駆動機構40は、主幹部22の上方部分に固定されたL字形の当接部材36、および、左右一対のグリップ32に固定された一対のブラケット38に取り付けられた押圧バー34を具備している。当接部材36は、その上端の一点(接点)Pにおいて、押圧バー34に接するように主幹部22に固定される。

【0021】
以下、図4を参照して、本実施形態の作用を説明する。
手押し車10の利用者は手押し車10の後方側に起立し、ハンドルのグリップ32を両手で把持しつつ、矢印Fで示す前方へ歩行する。そのとき、前輪16a、後輪16bおよび乗り越え機構20の車輪24は地面等Gに接している。地面等Gよりも上方に突出した段差Sに到達したとき、利用者がグリップ32をハンドルバー30に対して矢印Aで示す方向に回転させると、押圧バー34が、グリップ32と共にハンドルバー30を中心に矢印Aで示す方向に旋回する。

【0022】
このとき、押圧バー34は当接部材36に対して接点Pで接しているので、主幹部22が下方に押し下げられる。主幹部22が下方へ押圧されると、主幹部22の下端の車輪24は、地面等Gに接しているので前方へ押し出される。車輪24が前方へ押し出されることにより、リンク26が横フレ-ム12dを上方に突き上げる。グリップ32を回転させることに代えて、手で押しボタン28を下方に押圧してもよい。

【0023】
当接部材36は主幹部22に移動しないように固定され、前フレーム12が連結部材22aによって主幹部22に沿って摺動可能に連結されているので、リンク26によって上方に突き上げられる前フレーム12は、図4において矢印Uで示すように、前輪16aと共に主幹部22に沿って上動する。

【0024】
なお、前フレーム12が上動する間、前フレ-ム12、後フレ-ム14およびサブフレ-ム42は一体物の剛体を形成し、相対的な位置関係は変化しない。乗り越え機構20のリンク26は、前フレーム12を上方へ突き上げる間、前フレーム12に対して矢印Bで示す方向に回動すると共に、主幹部22に対して矢印Cで示す方向に回動する。この間、前フレーム12は、主幹部22に対して矢印Dで示す方向に回動する。

【0025】
前フレーム12が上動し前輪16aが地面等Gから離反したとき、手押し車10は、乗り越え機構20の車輪24および後輪16bによって地面等Gに対して支持されている。従って、手押し車10は、前輪16aが地面等Gから上方に離反しても安定している。特に、ハンドル(グリップ32)が、乗り越え機構20の車輪24と後輪16bとの間に配置されているので、グリップ32を矢印Aの方向に回転させても、手押し車10全体が、後輪16bを中心として後傾してしまうことはない。

【0026】
本実施形態による手押し車10によれば、使用者は、ハンドル(グリップ32)を操作して前輪16aを地面等Gから上方に移動させ、手押し車10を押しつつ、そのままグリップ32から手を離すことなく、手押し車を前進させることによって、段差Sを容易に乗り越えることができる。また、乗り越え機構20の車輪24を前輪16aおよび後輪16bよりも大きな直径の車輪とすることによって、図4に示すように、前輪16aが段差Sを乗り越えた後、そのまま手押し車10を押しつつ前進することによって、車輪24が段差Sを乗り越えることが容易になる。

【0027】
なお、本発明の駆動機構40を含んだ乗り越え機構20は、既存のシルバーカーや市販のシルバーカーに後付けで装着することができる。そのために、前フレーム12を主幹部22に摺動可能に連結する連結部材22aは、図3の分割線22cで示すように、ハンドルバー30を通す貫通穴22bを縦方向に横断する平面で分割できるように形成することができる。同様に、リンク26を第2の中間横フレーム12dに回動可能連結する連結部材26aも、分割線26cで示すように、ハンドルバー30を通す貫通穴26bを縦方向に横断する平面で分割できるように形成することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 手押し車
12 前フレーム
12a 縦フレーム
12b 上段横フレーム
12c 第1の中間横フレーム
12d 第2の中間横フレーム
12e 下段横フレーム
14 後フレーム
14a 腕
14b 底部分
16a 前輪
16b 後輪
20 乗り越え機構
22 主幹部
22a 連結部材
22b 貫通穴
22c 分割線
24 車輪
24a 車軸
26 リンク
26a 連結部材
26b 貫通穴
26c 分割線
28 押しボタン
30 ハンドルバー
32 グリップ
34 押圧バー
36 当接部材
38 ブラケット
40 駆動機構
42 サブフレーム
42a 腕
44 回動ピン
45 車軸
46 ラグ
48 車軸
50 回動ピン
52 リンク部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3