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明細書 :下肢装具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-208728 (P2019-208728A)
公開日 令和元年12月12日(2019.12.12)
発明の名称または考案の名称 下肢装具
国際特許分類 A61H   3/00        (2006.01)
FI A61H 3/00 B
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-106017 (P2018-106017)
出願日 平成30年6月1日(2018.6.1)
発明者または考案者 【氏名】菊池 武士
【氏名】阿部 功
【氏名】押本 泰貴
出願人 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100123582、【弁理士】、【氏名又は名称】三橋 真二
【識別番号】100147555、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 公一
【識別番号】100160705、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 健太郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C046
Fターム 4C046AA25
4C046AA42
4C046BB09
4C046CC01
4C046DD06
4C046DD08
4C046DD39
4C046FF03
要約 【課題】下肢装具において、足関節の背屈動作時の抵抗を一層低減するとともに、C形ばねの耐久性を高めること。
【解決手段】下肢装具が、装着者の足首に取り付ける脚装着部と、装着者の足と共に脚装着部に対して移動可能に脚装着部に連結された足装着部10と、脚装着部と足装着部とを連結するC形ばね20と、C形ばねの内部に配置され足装着部に取り付けられた弾性体16とを具備し、C形ばねは、その一端部において、装着者の外果の近傍に配置される足装着部に設けられた回転軸18を中心として回転可能に足装着部に連結されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
装着者の足首に取り付ける脚装着部と、
装着者の足と共に前記脚装着部に対して移動可能に前記脚装着部に連結された足装着部と、
前記脚装着部と前記足装着部とを連結するC形ばねと、
前記C形ばねの内部に配置され前記足装着部に取り付けられた弾性体とを具備し、
前記C形ばねは、その一端部において、装着者の外果の近傍に配置される前記足装着部に設けられた回転軸を中心として回転可能に前記足装着部に連結されていることを特徴とした下肢装具。
【請求項2】
前記C形ばねが円弧状に湾曲する板ばねであり、前記弾性体が前記C形ばねの内径に概ね等しい外径の外周面を有した円筒状の本体を備えている請求項1に記載の下肢装具。
【請求項3】
前記C形ばねは、前記足装着部に連結されている端部とは反対側の端部で前記脚装着部に固定されている請求項1に記載の下肢装具。
【請求項4】
前記弾性体は平坦面より成る着座面を有し、前記脚装着部は該着座面に当接可能に設けられた当接面を有しており、該当接面は、装着者の足関節が背屈方向に動作するとき前記着座面から離反し、装着者の足関節が底屈方向に動作するとき前記着座面に当接するように形成されている請求項1に記載の下肢装具。
【請求項5】
前記足装着部は、装着者の履く靴に取り付けるベース部を有している請求項1に記載の下肢装具。
【請求項6】
前記弾性体は、前記ベース部に対して平行に配置されるフランジ部を有しており、前記C形ばねは、該フランジ部と前記ベース部との間に配置される請求項5に記載の下肢装具。
【請求項7】
前記足装着部を装着者の履く靴に取り付けたとき、前記C形ばねが装着者の下腿部に平行な平面内に配置されるように、前記ベース部を装着者の履く靴の側面に取り付け可能とする固定部材を更に具備する請求項5に記載の下肢装具。
【請求項8】
前記足装着部を装着者の履く靴に取り付けたとき、前記C形ばねが装着者の足の長軸に対して内転方向に配向されるように、前記ベース部を装着者の履く靴の側面に取り付け可能とする固定部材を更に具備する請求項5に記載の下肢装具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢機能障害者の歩行時の足部の背底屈動作を補助する下肢装具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、高齢社会の深化に伴い、ロコモティブシンドロームや、サルコペニアによって筋量低下に伴う筋力低下や、歩行、運動機能の低下した高齢者が増加している。こうした高齢者は、転倒の危険や、それに伴う骨折の危険があり、そうした危険を防止するために、高齢者の歩行を工学的にサポートする必要がある。特に、歩行動作の遊脚期における、つま先-地面間のクリアランスを適正に確保することが、つまずきや転倒を防止する上で重要である。特許文献1には、そうした歩行を補助する下肢装具の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2018-050928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の下肢装具は、小型化と、足部の底屈制動時に下肢装具に作用する上向きの反力を低減することに成功しているが、なお一層の改良が必要である。特に、特許文献1の下肢装具では、足関節の背屈動作時の抵抗を一層低減するとともに、C形ばねの耐久性を高めることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、装着者の足首に取り付ける脚装着部と、装着者の足と共に前記脚装着部に対して移動可能に前記脚装着部に連結された足装着部と、前記脚装着部と前記足装着部とを連結するC形ばねと、前記C形ばねの内部に配置され前記足装着部に取り付けられた弾性体とを具備し、前記C形ばねは、その一端部において、装着者の外果の近傍に配置される前記足装着部に設けられた回転軸を中心として回転可能に前記足装着部に連結されている下肢装具が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装着者の足関節が背屈動作するとき、C形バネは、その一端において足装着部に対して回転し、C形ばねは弾性体から離反する。これにより、C形ばねの変形または歪は特許文献1に記載されているような従来技術よりも小さく、従って、背屈動作に対する抵抗は小さく、大きな背屈動作が可能となる。また、C形ばねの変形または歪が小さいことから、C形ばねの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本願発明の好ましい実施形態による足装着部の斜視図である。
【図2】図1の足装着部の正面図である。
【図3】装着者に装着した状態で示す本発明の好ましい実施形態による下肢装具の略示斜視図である。
【図4】図1の足装着部の斜視図であり、弾性体の着脱方法を説明するための図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による下肢装具の作用を説明するための略図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による下肢装具の作用を説明するための図5と同様の略図である。
【図7】装着者の靴と共に示す略示側面図であり、装着者の靴の側面への足装着部の取付方法を説明するための図である。
【図8】装着者の靴と共に示す装着者の後ろ側から見た略示正面図であり、装着者の靴の側面への足装着部の取付方法を説明するための図である。
【図9】装着者の靴と共に示す上方から見た略示平面図であり、装着者の靴の側面への足装着部の取付方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1~3を参照すると、下肢装具は、装着者の足に装着され該足と共に装着者の足首に対して相対的に回転する足装着部10と、装着者の足首に固定される脚装着部と、足装着部10と脚装着部とを連結するC形ばね20とを具備している。

【0009】
脚装着部は、装着者の足首60に装着するカフ50(図3)、足装着部10に連結されるカバー14、および、カフ50とカバー14とを連結するフレーム52(図3)とを含む。カバー14は概ね円板の部材であり、その外側の側面の中心部から突出する円形の突出部14aと、該突出部14aとは反対側の側面から突出したボス部24とを有している。ボス部24は、概ね直方体形状の部材より成り、その1つの平坦な側面が後述する弾性体16の着座面16aに当接する当接面24aとなっている。フレーム52は、突出部14aを受容する開口部56aを有した下端部分56と、カフ50に固定された上端部分54と、下端部分56と上端部分54とを結合する中間部分58とを有している。

【0010】
足装着部10は、装着者が履く靴100(図3)に固定される円板状のベース部12、該ベース部12に着脱可能に取り付けられる弾性体16、および、C形ばね20の一端(回転端)20aを取り付ける回転ピン18を有している。ベース部12は、弾性体16を取り付けるための係止部28を有している。係止部28は、ベース部12において、装着者の靴100とは反対側の側面から膨出しており、後述する弾性体16の係合部30を受容する固定溝28aを有している。回転ピン18はベース部12から垂直に突出している。

【0011】
C形ばね20の回転端20aは、回転ピン18を中心として回転可能に該回転ピン18に取り付けられる。C形ばね20の他端(固定端)20bはカバー14のボス部24に固定される。本実施形態では、C形ばね20の固定端20bには、カバー14のボス部24に係合する一対のフィンガー22が設けられている。C形ばね20によって、カバー14とベース部12とが連結されると、C形ばね20は、図1、2に示すように、弾性体16の外周面に沿って配置される。

【0012】
弾性体16は、C形ばね20と接触する外周面を有した概ね円筒状の本体と、該本体の一端に設けられベース部12の固定溝28aに係合する係合部30と、前記本体において係合部30とは反対側の端部に設けられた円板状のフランジ部26とを有している。弾性体16は、また、ボス部24の当接面24aが当接可能に形成された平坦な着座面16aを有している。

【0013】
ここで、図4を参照すると、ベース部12の固定溝28aは、弾性体16の係合部30固定溝28aに配置して、弾性体16を矢印Aで示すようにベース部12に対して平行にスライドさせることによって、係合部30が固定溝28aに対してアリ溝式に係合、離脱するように形成されている。

【0014】
弾性体16をベース部12に取り付けたとき、フランジ部26はベース部12に対して所定の距離をおいて略平行に配置される。フランジ部26は、ベース部12に対面する側面とフランジ部26の外周面との間に形成されたテーパ面26aを有している。テーパ面26aは、C形ばね20が弾性体16の外周面から離反した後に、該C形ばね20が弾性体16の外周面に正しく復帰することを補助する。

【0015】
弾性体16は、軽量で加工性の高い弾性素材から概ね円筒状に形成することができる。弾性体16の材料としては、例えば三次元プリンタで使用可能なエラストマ、NC切削加工可能なエラストマ、ゴム等を挙げることができる。弾性体16を三次元プリンタで形成する場合、最外壁がヒルベルト曲線を有し、内部がハニカム構造を有する円形エラストマであることが好ましく、これにより、弾性体16が軽量かつ高強度になるため、下肢装具の軽量化を達成しつつ耐久性を向上させることができる。ハニカム構造の充填密度を調整することにより、装着者の前脛骨筋の筋力や症状に応じて底屈制動トルクを調整することが可能である。

【0016】
以下、図3、5、6を参照して、本実施形態の作用を説明する。
足装着部10は、図3に示すように、装着者の履いている靴100の外側の側面において、装着者の外果の近傍に固定される。足装着部10は、ベース部12を靴100の側面に接着剤を用いて固定することができる。あるいは、ベース部12を靴100の側面に埋設してもよい。

【0017】
脚装着部のカフ50を装着者の足首60に固定した後、図5において矢印Bで示すように装着者の足関節が背屈動作するとき、C形バネ20は回転端20aにおいて回転ピン18を中心として回転し、カバー14のボス部24の側面が矢印Cで示すように弾性体16の着座面16aから離反する。これにより、C形ばね20の変形または歪は特許文献1に記載されているような従来技術よりも小さく、従って、背屈動作に対する抵抗は小さく、大きな背屈動作が可能となる。また、C形ばね20の変形または歪が小さいことから、C形ばね20の耐久性が向上する。

【0018】
背屈動作の後、図6において、矢印Dで示すように装着者の足関節が底屈動作すると、C形ばね20は、回転ピン18を中心として回転して、弾性体16の本体の外周面に密着する。このとき、弾性体16のテーパ面26aを有したフランジ部26が、弾性体16から離反しているC形ばね20が、弾性体16に対して正しく復帰することを補助する。C形ばね20が弾性体16の本体の外周面に密着した後、更に底屈動作すると、カバー14のボス部24の当接面24aが、矢印Eで示すように弾性体16の着座面16aに当接する。これによって、着座面16aが当接面24aによって押圧される。これにより、本実施形態によれば、底屈方向の回転に対する抵抗トルクが特許文献1に記載されているような従来技術よりも増大する。

【0019】
こうして、本実施形態の下肢装具によれば、背屈方向には抵抗が小さく、底屈方向には抵抗が大きくなる。従って、装着者の歩行するとき、装着者の足が地面または床面から離反している遊脚期において、装着者のつま先が垂れ下がることが防止され、つま先-地面間のクリアランスを適正に確保することが可能となる。更に、本実施形態によれば、更に、ボス部24の当接面24aが弾性体16の平坦な着座面16aに当接することによって、足関節が必要以上に底屈してしまうことが防止される。

【0020】
上述したように、足装着部10は装着者の靴100の外側の側面に取り付けられる。そのとき、回転ピン18が装着者の外果の近傍に配置されるようにする。より好ましくは、足装着部10は、図7に示すように、回転ピン18が装着者の外果の頂点Pから距離Zを以て下方に、かつ、外果の頂点Pよりも距離Xを以て前方に配置されるように、靴100の側面に固定される。

【0021】
また、図8に示すように、ベース部12が装着者の下腿部とおおむね平行となるように、或いは、ベース部12つまりC形ばね20が鉛直面V内に配置されるように、足装着部10は、装着者の履く靴の側面に固定される。その際、ベース部12を装着者の靴100の側面に直接固定してもよいが、ベース部12と靴100の側面との間に取付部材70を介在させるようにしてもよい。

【0022】
更に、図9に示すように、ベース部12つまりC形ばね20が装着者の足の長軸Lに対して角度αを以て内側に配向されるように、足装着部10は、装着者の履く靴の側面に固定される。その際、ベース部12を装着者の靴100の側面に直接固定してもよいが、ベース部12と靴100の側面との間に取付部材80を介在させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 足装着部
12 ベース部
14 カバー
14a 突出部
16 弾性体
16a 着座面
18 回転ピン
20 C形バネ
20a 回転端
20a 一端(回転端)
20b 固定端
20b 他端(固定端)
22 フィンガー
24 ボス部
24a 当接面
26 フランジ部
26a テーパ面
28 係止部
28a 固定溝
30 係合部
50 カフ
52 フレーム
54 上端部分
56 下端部分
56a 開口部
58 中間部分
60 足首
70 取付部材
80 取付部材
100 靴
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8