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Specification :(In Japanese)肺門部陰影を抑制した肺結節明瞭化法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-049140A
Date of publication of application Apr 2, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)肺門部陰影を抑制した肺結節明瞭化法
IPC (International Patent Classification) A61B   6/00        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
G06T   5/00        (2006.01)
FI (File Index) A61B 6/00 350M
A61B 6/00 350D
G06T 1/00 290A
G06T 5/00 705
Number of claims or invention 4
Filing form OL
Total pages 20
Application Number P2018-183968
Date of filing Sep 28, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三宅 秀敏
【氏名】松本 俊郎
【氏名】原田 義富
Applicant (In Japanese)【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100123582、【弁理士】、【氏名又は名称】三橋 真二
【識別番号】100117019、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 陽一
【識別番号】100141977、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 勝
【識別番号】100150810、【弁理士】、【氏名又は名称】武居 良太郎
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4C093
5B057
F-term 4C093AA01
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Abstract (In Japanese)【課題】偽陽性を抑制して、より明瞭な肺結節明瞭化画像に得る方法を提供する。
【解決手段】肺結節明瞭化画像を取得する第1段階、肺結節明瞭化画像から背景ノイズ抑制画像を取得する第2段階、肺結節明瞭化画像に誤差拡散法を適用して2値画像を得る第3段階、2値画像からランクフィルタ処理により結節陰影を抽出した点画像を得る第4段階、点画像に対して、ラベリング処理を行い、肺門・縦隔部領域に存在する偽結節について、ラベリングされた面積サイズが予め決定された閾値以上であるかどうか真偽判定する第5段階、該段階で面積サイズが閾値以上であると判定された場合、点画像をもとに肺結節明瞭化画像と背景ノイズ抑制画像を合成することにより、偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像を得る第6段階、第5段階で面積サイズが閾値未満であると判断された場合、点画像からラベルを削除後、面積サイズが閾値以上になるまで第6段階を反復する第7段階を備えてなる。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
肺結節明瞭化画像を取得する第1の段階と、
肺結節明瞭化画像から背景ノイズ抑制画像を取得する第2の段階と、
肺結節明瞭化画像に誤差拡散法を適用して2値画像を得る第3の段階と、
前記2値画像からランクフィルタ処理により結節陰影を抽出した点画像を得る第4の段階と、
前記点画像に対して、ラベリング処理を行い、肺門・縦隔部領域に存在する偽結節について、ラベリングされた面積サイズが予め決定された閾値以上であるかどうか真偽判定する第5の段階と、
前記第5の段階で、前記面積サイズが前記閾値以上であると判定された場合には、前記点画像をもとに、肺結節明瞭化画像と前記背景ノイズ抑制画像を合成することにより、偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像を得る第6の段階と、
前記第5の段階で、前記面積サイズが前記閾値未満であると判断された場合には、点画像からラベルを削除後、面積サイズが前記閾値以上になるまで第6の段階を反復する第7の段階と、を備えてなる、肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法。
【請求項2】
前記第2の段階において、誤差拡散法の前に、肺結節陰影を周囲から孤立して目立たせるために、肺結節明瞭化画像にフィルタサイズがともに20×20ピクセルの重みが均一な正方形の構造をした最小値フィルタ及び最大値フィルタを順に適用したオープニング処理を行う、請求項1に記載の肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法。
【請求項3】
前記背景ノイズ抑制画像が、
肺結節明瞭化画像を取得する第8の段階と、
前記肺結節明瞭化画像の持つ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める第9の段階と、
前記平均輝度値tを閾値として前記肺結節明瞭化画像の2値画像を作成し、前記肺結節明瞭化画像を、輝度の高い可変領域と輝度の低い固定領域とに分離する第10の段階と、
前記肺結節明瞭化画像に基づいて2次元ヒストグラムを作成し、前記可変領域のヒストグラムを回転操作することにより、出力画像のヒストグラム圧縮に基づく階調補正を行う第11の段階と、
前記第9の段階から前記第11の段階を予め決定した回数、繰り返す第12の段階と、を備え、
前記第12の段階で前記繰り返し回数が予め決定した回数を超えた場合、前記第11の段階で階調補正された出力画像として求められる、請求項1又は2に記載の肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法。
【請求項4】
前記肺結節明瞭化画像が、
胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する第13の段階と、
前記胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する第14の段階と、
p軸に前記肺結節強調画像とq軸に前記線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムと第1の抽出曲線を用いて前記肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する第15の段階と、
前記肺結節強調画像と前記肺結節強調画像に最大値フィルタを適用した画像とに基づいて、肺門部肺血管陰影の輝度値を抑制することにより、線状陰影抑制画像を作成する第16の段階と、
前記2次元ヒストグラムと第13の抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する第17の段階と、
前記偽陽性陰影の総画素数が予め決定された閾値を上回るまで、前記偽陽性陰影を抽出する段階を繰り返す第18の段階と、を実行することによって求められる、請求項1~3の何れか一項に記載の肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺癌による死亡率は、今なお上昇傾向にあり、ステージと5年生存率の結果から、早期発見・治療が重大な課題である(非特許文献1参照)。しかしながら、日常臨床や検診の胸部X線読影で少なからず肺癌が見落とされており(非特許文献2、3参照)、胸部単純X線写真(以下、胸部X線像)から肺結節を検出するために、経時差分法(非特許文献4参照)や対側差分法(非特許文献5参照)、エネルギー差分を用いたもの(非特許文献6参照)、また、経時差分画像から結節候補を検出し偽陽性を除去するもの(非特許文献7参照)、ニューラルネットワークによる機械学習を用いて、胸部X線像から骨部を除去し、肺結節を描出するもの(非特許文献8)などのComputer-aided detection(or diagnosis)(以下、CAD)手法が提案され、期待が高まっている。
【0003】
このように様々なCAD手法が提案されているが、1枚の胸部X線像から、鎖骨や肋骨などの正常陰影を抑制する手法として、肺血管を抑制するものはこれまであまり知られていない。そこで、本発明者らは、1枚の胸部X線像から、二次元ヒストグラムを用いて、肺門部肺血管陰影やその正接像などの偽陽性陰影を抑制することで、真の肺結節を相対的に明瞭化する肺結節明瞭化法を提案している(非特許文献9、特許文献1参照)(以下、従来の肺結節明瞭化法).さらに、鎖骨や肋骨、末梢肺血管などの偽陽性陰影も抑制し、真の肺結節を相対的に明瞭化するように改良した肺結節明瞭化法(非特許文献10、特許文献2参照)(以下、改良肺結節明瞭化法)を提案している。
【0004】
しかし、改良肺結節明瞭化法では、肺血管や骨などの偽陽性陰影を抑制することで、相対的に肺結節を指摘しやすくなったが、肺門・縦隔部付近にみられた小さい偽結節陰影の抑制がまだ不十分であった。その結果、それらの陰影が真の肺結節を検出する上で障害となり得ると考え、肺門・縦隔部付近の小さい偽結節陰影(以下、偽陽性陰影)の抑制を試みた。
【0005】
非特許文献11では遺伝的アルゴリズムを用いて肺結節を自動検出しており、非特許文献12、13では、胸部X線像から肺結節を検出するために、多重閾値処理を用いて抽出した結節候補から種々の特徴量を用いて真の結節を判別している。これらの手法は肺結節陰影が様々な大きさや形、輝度値を取り、結節の真偽判別には一般的に多くのモデルや特徴量を必要とするためと考えられる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2017-18339号公報
【特許文献2】特開2018-312号公報
【0007】

【非特許文献1】厚生労働省:平成28年(2016年)人口動態統計(確定数)の概況
【非特許文献2】Soda H, Tomita H, Kohno S et al: Limitation of annual screen-ing chest radiography for the diagnosis of lung cancer: a retro-spective study. Cancer 72: 2341-2346, 1993
【非特許文献3】Shah PK, Austin JHM, White CS et al: Missed non-small cell lung cancer: radio- graphic findings of potentially resectable lesions evident only in retrospect. Radiology 226: 235-241, 2003
【非特許文献4】Nakagawa K, Oosawa A, Tanaka H et al: Clinical effectiveness of improved temporal subtraction for digital chest radiographys. Proc SPIE 4686: 319-330, 2002
【非特許文献5】川口剛,原田義富,永田亮一,他: 胸部X 線画像の対側差分のための位置合わせ法. Med Imag Tech 28(5): 351-361, 2010
【非特許文献6】澤田晃,佐藤嘉伸,木戸尚治,他: 胸部X線画像における肺腫瘤陰影の検出—多重解像度フィルタ,エネルギー差分画像の利用と性能分析—Med Imag Tech 17(1):81-91, 1999
【非特許文献7】小田敍弘,木戸尚治,庄野逸,他: 胸部単純X線写真における経時的差分画像を用いた結節状陰影の自動検出システムの開発. 電子情報通信学会論文誌D-ll J87-D-ll (1): 208-218, 2004
【非特許文献8】Suzuki K, Abe H, MacMahon H et al: Image-processing technique for suppressing ribs in chest radiographs by means of massive training artificial neural network (MTANN). IEEE Trans Medical Imaging 25(4): 406-416, 2006
【非特許文献9】原田義富,野村達八,三宅秀敏: 二次元ヒストグラムを用いた胸部単純X線写真の肺結節明瞭化法. Med Imag Tech 35(4): 239-249, 2017
【非特許文献10】原田義富,三宅秀敏: 背景ノイズを抑制した肺結節明瞭化法. Med Imag Tech 36(3): 239-249, 2018
【非特許文献11】原武史,藤田広志,吉村仁,他: 胸部X線写真における結節状陰影の自動検出-遺伝的アルゴリズムの適用-. Med Imag Tech 15(1): 73-81, 1997
【非特許文献12】杜下淳次,桂川茂彦,土井邦雄: 胸部X線写真における肺結節状陰影の形状特徴量分析による偽陽性陰影の除去.日本放射線技術学会論文誌57: 829-836, 2001
【非特許文献13】日浦美香子,木戸尚治,庄野逸: 胸部単純X線画像における結節性陰影抽出法の開発. Med Imag Tech 23(4): 250-258, 2005
【非特許文献14】Shiraishi J, Katsuragawa S, Ikezoe J et al: Development of a digital image database for chest radiographs with and without a lung nodule: receiver operating characteristic ana- lysis of radiologists’ detection of pulmonary nodules. AJR 174: 71-74, 2000
【非特許文献15】Schneider CA., Rasband WS. Eliceiri KW: NIH Image to ImageJ: 25 years of image analysis. Nature Methods 9: 671-675, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の肺結節明瞭化法(非特許文献9)にて得られた肺結節明瞭化画像(以下、明瞭化画像)に対し、面積のみの少ない特徴量を用いて、肺門や縦隔部領域における偽陽性陰影を判別・抑制することで、真の肺結節をさらに明瞭化する新しい手法を提供することを課題とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法は、肺結節明瞭化画像から背景ノイズ抑制画像を取得する第1の段階と、肺結節明瞭化画像に誤差拡散法を適用して2値画像を得る第2の段階と、前記2値画像からランクフィルタ処理により結節陰影を抽出した点画像を得る第3の段階と、前記点画像に対して、ラベリング処理を行い、肺門・縦隔部領域に存在する偽結節について、ラベリングされた面積サイズが予め決定された閾値以上であるかどうか真偽判定する第4の段階と、前記第4の段階で、前記面積サイズが前記閾値以上であると判定された場合には、前記点画像をもとに、肺結節明瞭化画像と前記背景ノイズ抑制画像を合成することにより、偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像を得る第5の段階と、前記第4の段階で、前記面積サイズが前記閾値未満であると判断された場合には、点画像からラベルを削除後、面積サイズが前記閾値以上になるまで第5の段階を反復する第6の段階と、を備えている。
【0010】
上記方法において、前記第2の段階では、誤差拡散法の前に、肺結節陰影を周囲から孤立して目立たせるために、肺結節明瞭化画像にフィルタサイズがともに20×20ピクセルの重みが均一な正方形の構造をした最小値フィルタ及び最大値フィルタを順に適用したオープニング処理を行ってもよい。
【0011】
上記方法において、背景ノイズ抑制画像は、肺結節明瞭化画像を取得する第7の段階と、前記肺結節明瞭化画像の持つ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める第8の段階と、前記平均輝度値tを閾値として前記肺結節明瞭化画像の2値画像を作成し、前記肺結節明瞭化画像を、輝度の高い可変領域と輝度の低い固定領域とに分離する第9の段階と、前記肺結節明瞭化画像に基づいて2次元ヒストグラムを作成し、前記可変領域のヒストグラムを回転操作することにより、出力画像のヒストグラム圧縮に基づく階調補正を行う第10の段階と、前記第8の段階から前記第10の段階を予め決定した回数、繰り返す第11の段階と、を備え、前記第11の段階で前記繰り返し回数が予め決定した回数を超えた場合、前記第10の段階で階調補正された出力画像として求めてもよい。
【0012】
上記方法において、肺結節明瞭化画像は、胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する第12の段階と、前記胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する第13の段階と、p軸に前記肺結節強調画像とq軸に前記線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムと第1の抽出曲線を用いて前記肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する第14の段階と、前記肺結節強調画像と前記肺結節強調画像に最大値フィルタを適用した画像とに基づいて、肺門部肺血管陰影の輝度値を抑制することにより、線状陰影抑制画像を作成する第15の段階と、前記2次元ヒストグラムと第13の抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する第16の段階と、前記偽陽性陰影の総画素数が予め決定された閾値を上回るまで、前記偽陽性陰影を抽出する段階を繰り返す第17の段階と、を実行することによって求めてもよい。
【発明の効果】
【0013】
胸部X線はクリニックレベルから疾患を問わず、頻繁に撮影されており、また早期肺癌であっても胸部X線に描出されていることが多い。一方、胸部X線で肺結節を指摘できる一般医の読影レベルは、さまざまである。現状では、胸部X線で結節が描出されているにもかかわらず、見落とされて、CTに回ってくるときには手遅れとなっている。そのために肺癌の予後は非常に悪く、死亡率トップとなっている。胸部X線撮影は、ほとんどがデジタル化されており、クリニックレベルか本手法を利用して肺結節を疑い、CTに回ることができれば、治療可能な早期肺癌をより多く発見できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化画像の偽陽性抑制手順を示すフローチャート。
【図2】肺結節明瞭化画像と座標系を示す図。
【図3】背景ノイズ抑制画像を示す図。
【図4】点画像を示す図。
【図5】肺門・縦隔部領域の設定を示す図。
【図6】肺門・縦隔部偽陽性抑制肺結節明瞭化法を示す図。
【図7】本方法(excellent)の例(左:改良肺結節明瞭化画像,右:提案画像)。
【図8】本方法(good)の例(左:改良肺結節明瞭化画像,右:提案画像)。
【図9】本方法(insufficient)の例(左:改良肺結節明瞭化画像,右:提案画像)。
【図10】肺結節明瞭化画像を得るための実施手順を示すフローチャート。
【図11】胸部X線画像の一例と座標系を示す図。
【図12】特徴抽出フィルタの一例を示す図。
【図13】肺結節強調画像を示す図。
【図14】Kasvandフィルタを示す図。
【図15】線状陰影強調画像を示す図。
【図16】p軸に肺結節強調画像、q軸に線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムを示す図。
【図17】曲線を境界とする抽出曲線を示す図(γ=2.0)。
【図18】肺門部肺血管画像を示す図。
【図19】線状陰影抑制画像を示す図。
【図20】偽陽性抽出(ε=0.45)を示す図。
【図21】偽陽性(黒点)を抽出した画像を示す図。
【図22】肺結節明瞭化画像を示す図。
【図23】肺結節明瞭化画像の背景ノイズ抑制手順を示すフローチャート。
【図24】2値画像を示す図。
【図25】回転前の2次元ヒストグラムを示す図。
【図26】回転後の2次元ヒストグラムを示す図。
【図27】背景ノイズ抑制画像。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化画像における偽陽性の抑制方法の操作手順を示すフローチャートである。本方法の概要は、ランクフィルタ処理及びラベリング処理後の点画像をもとに、肺結節明瞭化画像と前記背景ノイズ抑制画像を合成することにより、偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像を得ることである。

【0016】
[第1の段階:肺結節明瞭化画像の取得]
まず、解析対象である肺結節明瞭化画像を取得する。肺結節明瞭化画像は、特願2015-138808号「胸部X線画像における肺結節明瞭化法」に示す方法により求められるが、その詳細については後述する「肺結節明瞭化画像の取得方法」の項で述べる。図2は、求められた肺結節明瞭化画像とその座標系を示す図であり、肺結節を○で示している。

【0017】
[第2の段階:背景ノイズ抑制画像の取得]
肺結節明瞭化画像から背景ノイズ抑制画像を取得する。従来の肺結節明瞭化画像(非特許文献9)にみられる鎖骨や肋骨、末梢肺血管などの濃度変化を背景ノイズと定義し、背景ノイズ抑制画像は、特願2016-127817号「肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法」(特許文献2)に示す方法により求められるが、その詳細については後述する「背景ノイズ抑制画像の取得方法」の項で述べる。図3は、求められた背景ノイズ抑制画像を示す。

【0018】
[第3~5の段階:点画像の作成及び各種処理]
(1)点画像の作成
肺結節明瞭化画像に、誤差拡散法を適用して2値画像を得ることができる(第3の段階)。一態様では、誤差拡散法を適用する前に、オープニング処理を行ってもよい。具体的には、肺結節陰影を周囲から孤立して目立たせるために、まず明瞭化画像にフィルタサイズがともに、例えば、20×20ピクセルの重みが均一な正方形の構造をした最小値フィルタと最大値フィルタを順に1回ずつ適用したオープニング処理を行ってもよい。次に、オープニング処理後の画像に対し、誤差拡散法による擬似階調表現を用いて2値画像を作成することができる。その後、作成した2値画像からランクフィルタ処理により結節陰影を抽出した点画像を得ることができる(第4の段階)。この場合、上記の誤差拡散法にて2値化された画像に、例えば、3×3のランクフィルタを用いて孤立点を除去したものを点画像として作成することができる。このとき、輝度値の低い肺結節は、周囲よりも黒点が集積して表現される。本発明の方法では、肺門から肺野末梢までの広範囲に存在する肺結節陰影を描出するために、ランクフィルタのランクを5として用いることができる(図4)。

【0019】
(2)肺門・縦隔部領域の偽結節陰影検出
(2-1)中心軸の検出
肺結節明瞭化画像に対し、ソーベルフィルタを用いて胸郭エッジ画像を作成することができる。一態様として、胸郭エッジ画像の右半分をx=M/2の軸にて折り返した左胸郭(y=N/6~N、x=M/2~M)の鏡像をテンプレートとし、右胸郭エッジ画像上でx方向に±20ピクセル移動させてもよい。このとき、相互相関値が最大となるテンプレートの移動量δから、胸郭を左右対称に2分するy軸に平行な軸を中心軸としてx座標xcを式(1)より検出することができる。
xc=(M+δ)/2 (1)
(2-2)肺門・縦隔部領域の決定
図4の点画像のまま画像合成しても、肺門部近くに存在する肺血管と肋骨との重なりや縦隔部にみられる鎖骨や肋骨の正接像などが偽結節として描出されやすい。そこで、上記処理にて得られた点画像全体に、例えば、重みが均一な4×4の正方形をした最大値フィルタを適用し、細い肺血管や小さい孤立した陰影を除去することができる。次に、上記式(1)より求めた中心軸xcからx方向に±M/12までの範囲を縦隔部領域と定義し、この領域には最大値フィルタを再度適用する。一方、中心軸xcからx方向に±(M/12~M/6)の範囲は左右の肺門部領域と定義し、例えば、重みが均一な4×4の正方形をした最小値フィルタを適用してもよい(図5)。最後に、得られた2値の点画像に対し、ラベリング処理を行い、肺門・縦隔部領域に存在する偽結節を、ラベリングされた陰影の面積サイズをもとに真偽判定を行うことができる。真結節として判定されたものはラベルをそのまま残し、偽結節として判定されたものは点画像からラベルを削除することができる(以下の項、参照)。

【0020】
[第6及び7の段階:偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像の取得]
前記第5の段階で、面積サイズが特定の閾値以上であると判定された場合には、前記点画像をもとに、肺結節明瞭化画像と前記背景ノイズ抑制画像を合成することにより、偽陽性陰影が抑制された肺結節明瞭化画像を得ることができる。一方で、前記第5の段階で、面積サイズが特定の閾値未満であると判断された場合には、点画像からラベルを削除後、面積サイズが前記閾値以上になるまで第6の段階を反復してもよい。

【0021】
より具体的には、ラベリングされた陰影の中には、結節状を示さない偽陽性陰影が含まれるため、本発明の方法では、真の肺結節以外の陰影を偽陽性陰影として扱う。上記の通り、ラベリング処理により肺門・縦隔部領域の偽陽性陰影を削除した新たな点画像から、肺結節明瞭化画像と背景ノイズ抑制画像を合成する。肺門・縦隔部領域に残るラベルと肺門・縦隔部領域を除く点画像の黒点(輝度値:0)を示す部分は、肺結節明瞭化画像を採用し、その他の部分には背景ノイズ抑制画像を採用する。図6に、肺門・縦隔部領域の偽陽性陰影を抑制した肺結節明瞭化法を示し、図7~9に、改良肺結節明瞭化画像と本発明に係る肺門・縦隔部の偽陽性を抑制した肺結節明瞭化画像の例を示す(○:真の結節)。

【0022】
[実験]
実験には、日本放射線技術学会JSRTの標準デジタル画像データベース中の胸部腫瘤画像154例の原画像に対し、従来の肺結節明瞭化法(非特許文献9)を適用した肺結節明瞭化画像を用いた。胸部腫瘤画像154例は、結節の位置があらかじめ示されており、結節検出の難易度によって、1(極めて困難)、2(非常に困難)、3(困難)、4(比較的容易)、5(容易)の5つのレベルに分類されている。また、各レベルはそれぞれ、25、29、50、38、12枚あるが、本明細書では、容易なレベル5と極めて困難なレベル1を除く、臨床的に問題となりやすいレベル2~4の117例に対し、以下の実験を行った。

【0023】
<実験1>
肺結節明瞭化画像に対する改良肺結節明瞭化画像と提案画像のピーク信号対雑音比PSNR(Peak signal-to-noise ratio)を下記式(2)を用いて比較した(表1)。

【0024】
【数1】
JP2020049140A_000003t.gif

【0025】
ただし、MSEは肺結節明瞭化画像と両画像の輝度値の平均2乗誤差を表す。

【0026】
【表1】
JP2020049140A_000004t.gif

【0027】
<実験2>
1名の画像診断専門医が、提案画像における肺門・縦隔部偽陽性陰影の抑制の程度をexcellent、good、insufficientの3段階の評価を用いて改良肺結節明瞭化画像と比較した(表2a)。また、両画像における肺門・縦隔部に存在する肺結節陰影の濃度や範囲などの見え方の優劣を検討した(表2b)。

【0028】
【表2A】
JP2020049140A_000005t.gif

【0029】
【表2B】
JP2020049140A_000006t.gif

【0030】
本発明においては、実行時間は、154例1画像当たり2.2GHzのPCで平均1463[ms]であった。本発明の方法は、従来の肺結節明瞭化法と組み合わせても平均4541[ms]程度であった。

【0031】
[考察]
1) ランクフィルタについて
本発明の方法では、肺結節明瞭化画像の中から肺結節を検出する手法として誤差拡散法による2値画像を用いた。これは肺結節明瞭化法にて強調される結節陰影であれば。誤差拡散法により擬似階調表現された2値画像では点が集積して抽出される。また、ランクフィルタのもつランクは、明瞭化画像のもつ輝度値を反映するため、コントラストの付きにくい肺門部領域ではランクを下げることで結節を抽出することも可能であった。

【0032】
2) 肺門・縦隔部領域の設定について
本発明の方法では、中心軸の検出のために、肺門・縦隔部と比べ比較的ノイズが少ない外側胸郭の左右対称性を利用した。中心軸の傾きとして胸郭自身の傾きを検討したが、式(1)のδが±20ピクセル程度であれば、多くの画像でy軸に平行な軸を胸郭の中心軸として決定しても、偽陽性陰影の抑制効果は十分であった。

【0033】
非腫瘤画像93例において、肺門・縦隔部領域にみられる偽結節陰影の原因を調べた結果、縦隔部領域にみられる小さい偽結節陰影は、胸鎖関節や肋椎関節などの骨の正接像、椎体のエッジ部分が最も多く、次に、骨同士の合成像が椎体近傍に観測された。このため最大値フィルタを用いてxcからx方向に±M/12の範囲にある陰影は偽陽性として削除した。

【0034】
一方、左右の肺門部領域に存在する偽結節陰影は、後部肋骨と肺血管の合成像が多かったが、それらの陰影は肺血管程度の大きさであったため最大値フィルタを用いて削除した。154例中、肺門部領域に存在する真の結節陰影の一部がフィルタサイズにより削られるものが2例あった(図9)が、血管サイズよりも大きい肺結節陰影であれば、最小値フィルタにより復元され指摘可能であった。

【0035】
3) 判別のための特徴量について
改良肺結節明瞭化法を適用した非腫瘤画像93例において、偽結節陰影のほとんどが縦隔部陰影、骨と血管や骨同士の合成像などの小さい陰影であったため、本論文では面積サイズによる真偽判定を用いた。ここで判別のための特徴量として円形度も考えられたが、提案手法による2値化法では偽結節陰影の多くが円形であること、真の結節の円形度が0.5程度と高くなかったため考慮しなかった・このため、本論文では結節の特徴量として面積サイズのみを利用し、面積サイズが閾値110以上のものは真結節候補として残すようにした。この結果、コンピュータを用いたラベリング処理による面積サイズの大きいものとして、第一肋軟骨骨化があり(表3:その他)、単純な閾値処理のみでは、偽陽性として残るものがあったが事前に学習すれば識別可能であると考えられる。

【0036】
【表3】
JP2020049140A_000007t.gif

【0037】
4) 最大・最小値フィルタ処理について
最大・最小値フィルタのサイズがともに3×3よりも小さい場合、偽結節が増加し、フィルタサイズがともに5×5よりも大き過ぎる場合、検出対象結節を削除する恐れがあった。そのため、最大・最小値フィルタのサイズをともに4×4とした。

【0038】
5) 実験結果について
(1) 実験1の結果:
従来の肺結節明瞭化画像(非特許文献9)に対する改良肺結節明瞭化画像(非特許文献10)と肺門・縦隔部の偽陽性を抑制した提案画像のPSNRを比較した結果、0.39[dB]程度の違いであった。肺門・縦隔部の偽陽性陰影を背景ノイズ抑制画像に置き換えることで、圧縮効果によりそれらの陰影を抑制することができた。

【0039】
(2) 実験2の結果について
本発明のような圧縮法は、均一な陰影であれば取り除きやすい。明瞭化画像にみられる細い肺血管や、後方肋骨のような骨同士の重なりの少ない均一な輝度分布をした陰影であれば、ウェーブレット成分の圧縮により背景ノイズの抑制が可能であった。背景ノイズの抑制については、結節陰影の背景が抑制されたことで結節を指摘しやすくなった(表2a)。一方、結節の濃度や範囲については、結節周囲が若干削られるものが12.0%あった。これはオープニング処理におけるフィルタサイズによる影響のためであり、最適なフィルタサイズを選択する必要があるが、それでも結節は周囲から孤立したため指摘可能であった(表2b)。

【0040】
本発明の方法は、従来の明瞭化画像に肺門部や縦隔部の偽結節陰影を抑制する手法を追加することで、結果がより改善し、臨床で十分適用可能と考えられる。

【0041】
[肺結節明瞭化画像の取得方法]
以下に、第1の手段として示す肺結節明瞭化画像の取得方法について、説明する。この取得方法は、既に、本出願人により、特願2015-138808号「胸部X線画像における肺結節明瞭化法」として出願されている。

【0042】
図10のフローチャートに、胸部X線画像における肺結節明瞭化法の操作手順を示す。本方法の概要は、2次元ヒストグラムを用いて、線状陰影を示す肺門部肺血管陰影と偽陽性を抽出し、偽陽性として抽出した画素の総数が、閾値を上回るまで、線状陰影抑制画像内の偽陽性陰影の輝度値を更新することである。偽陽性陰影の輝度値を更新することにより、相対的に肺結節陰影が明瞭化される。

【0043】
[ステップS11:胸部X線画像の取得]
まず、ステップS11において、解析対象である胸部X線画像を取得する。解析の対象としてJSRTの標準デジタル画像データベース(日本放射線技術学会作成)(参考文献1参照)中の胸部腫瘤画像中の1例を抽出し、これを、マトリックス寸法2048×2048(ピクセル寸法0.175mm)に対して、ImageJ1.4r(参考文献2参照)を用いて、マトリックス寸法を512×512(ピクセル寸法0.7mm)、階調を8bitとなるように画像を変換して用いた。

【0044】
図11は、このようにして抽出された胸部X線画像例とその座標系を示す図である。図11に示すように、左上隅を原点とし、p軸、q軸をそれぞれx、yとする座標系を用いる。ここでは、輝度値0を黒、255を白とし、輝度値255を高いとする。図11において、矢印は肺結節を示している。さらに、肺結節の強調処理に用いる局所テンプレートTのサイズを、T=20×20画素とし、肺結節の大きさは、肺血管の正接像よりも大きいものを対象とする。

【0045】
[ステップS12:肺結節強調画像の作成]
次のステップS12では、胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する。肺結節強調画像を作成するために、胸部X線像における淡い肺結節陰影の輝度値と、その周囲の僅かな輝度差を局所的なテンプレートTを用いて強調する。テンプレートTの大きさは、胸部X線像において、およそ肋骨に納まる程度の大きさである20×20の画素数とした。また、淡い肺結節陰影は、肋骨や鎖骨、横隔膜などの構造物がもつ輝度値の中に埋もれており、結節が存在する背景やその周囲の輝度から影響を受ける。このため、背景や周囲の輝度からの影響を抑え、僅かな差を強調するために、テンプレートT内にガウス関数による重みを用いる。

【0046】
具体的には、テンプレートTの中心における重みが1.0、標準偏差が20.0のガウス関数を用いて、テンプレート中心における注目画素の輝度値と、近傍の重み付き平均との差を強調した重み付き強調画像を作成する。次に、重み付き強調画像に、図12に示す3×3の特徴抽出フィルタを適用し、特徴抽出画像を作成する。最後に、特徴抽出画像のヒストグラムの値を平方根し、得られた値から、ヒストグラム平坦化処理にて、コントラスト強調処理を行った画像を、肺結節強調画像とする。図13は、このようにして作成された、肺結節強調画像を示す。

【0047】
[ステップS13:線状陰影強調画像の作成]
ステップS13では、胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する。具体的には、胸部X線画像から、線検出フィルタを用いて、線状陰影を抽出し強調する。線検出フィルタには、図14に示すような4方向のKasvandフィルタを用いる。このフィルタは、反復型として用いられるが、ここでは反復回数を1回とした。

【0048】
線検出フィルタを用いる目的は、偽陽性となりやすい肺門部肺血管とその正接像を抽出するためである。Kasvandフィルタを用いて検出される線状陰影は、肺門部肺血管の正接像と比べ小さく、肺血管の先端部の細さとなる。そのため、先端部の細い肺血管を、線として検出し、ヒストグラム平坦化処理にて、線状陰影の輝度値を強調する。図15に、線状陰影を強調した線状陰影強調画像を示す。

【0049】
なお、ステップS12及びステップS13の実行に時間上の前後関係はなく、例えば並行して行われてもよい。

【0050】
[ステップS14:肺門部肺血管陰影の抽出]
ステップS14では、ステップS12及びS13で作成された肺結節強調画像と線状陰影強調画像に基づいて、肺門部肺血管陰影を抽出する。この抽出には、図16に示す2次元ヒストグラムを用いる。具体的には、左上隅を原点とした座標系において、p軸、q軸に、それぞれ256階調の肺結節強調画像、線状陰影強調画像をとる2次元ヒストグラムを用いて、肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する。臨床において、肺門部における腫瘍として線状陰影は考えにくい。そこで、線状陰影を利用して、肺結節強調画像から、偽陽性となりやすい肺血管や、その正接像が、抽出されるような曲線を求める。ここでは、これを抽出曲線と呼び、2次元ヒストグラムにおける曲線をとる。図17に、曲線を境界とする抽出曲線を示す。この抽出曲線には、以下の式(3)を用いた。

【0051】
【数2】
JP2020049140A_000008t.gif

【0052】
抽出したい肺門部肺血管陰影は、図16に示すように、2次元ヒストグラムの左上隅の原点から、曲線より下側に存在する座標である。ここで、2次元ヒストグラムを用いて、元画像からどの程度線状陰影を抽出するかを決定する、抽出曲線(3)の線状陰影抽出パラメータγは、実験からγ=2.0とした。図17において、灰色の部分(曲線より左下側部分)に、抽出した線状陰影が含まれる。

【0053】
図18は、図17の灰色の部分に存在する座標を黒(輝度値:0)で表示したものである。この線状陰影を抽出した画像を、肺門部肺血管画像と呼ぶ。

【0054】
[ステップS15:線状陰影抑制画像の作成]
次のステップS15では、ステップS14で抽出された肺門部肺血管陰影とステップS12で作成された肺結節強調画像とに基づいて、線状陰影抑制画像を作成する。図17に示す2次元ヒストグラム上の抽出曲線により、線状陰影を抽出しただけでは、胸郭の外側部分に存在する肺結節陰影や、肋骨エッジなどの線状陰影も抽出されてしまう。そこで、画像中心からある一定の範囲以外では、抽出した線状陰影の影響を抑える。そのために、画像全体に、ガウス関数による重み付けを行い、抽出された肺門部肺血管陰影を抑制した、線状陰影抑制画像を作成する。

【0055】
具体的には、まず、ステップS12で作成された肺結節強調画像Aと、Aに最大値フィルタ(5×5)を適用させた画像Bを作成する。次に、最大値1.0を画像中心とする、標準偏差が150.0のガウス関数を、画像全体に対する重みαとして、画像AとBとの間に次の式(4)にて重み付けを行う。
C=(1-α)A+αB (4)

【0056】
ただし、出力される輝度値Cは、肺門部肺血管抽出画像において、輝度値が0となる座標、つまり、肺結節強調画像にて、線状陰影として抽出した座標は、輝度値Cを採用し、その他の座標では、画像Aの輝度値を採用する。その結果、式(4)にて得られる画像は、肺門部肺血管陰影の輝度値が抑制され、肺結節が明瞭化されたものとなる。ただし、この段階では、肺門部肺血管陰影の境界にてリング状の偽像が表れるため、3×3の中間値フィルタを用いて、画像全体に平滑化処理を行う。最後に、画像全体の平均輝度値を、肺結節強調画像の平均輝度値と同じ値になるように、明るさを調整する。このようにして、図19に示す線状陰影抑制画像が得られる。

【0057】
[ステップS16:偽陽性の抽出と抑制]
次のステップS16では、ステップS5で求めた線状陰影抑制画像とステップS12で求めた肺結節強調画像に基づいて、偽陽性の抽出と抑制を行う。まず、2次元ヒストグラムと式(3)に示した抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する。具体的には、横軸、縦軸をそれぞれ、肺結節強調画像、線状陰影抑制画像とする2次元ヒストグラムと、抽出曲線を用いて肺血管の正接像を抽出する(図19の→)。肺結節強調画像において、肺血管やその正接像は、輝度値が極めて低い。しかし、線状陰影抑制画像においては、それらの輝度値は比較的高い。そのため、抑制したい肺血管の正接像は、2次元ヒストグラムにおいて、左下の部分に存在する可能性が高い。そこで肺血管陰影と肺結節を抽出曲線を用いて、真の結節を含まないように分離し、偽陽性陰影を抽出する。

【0058】
ここで、偽陽性抽出のための抽出曲線を以下の式(5)で表す。

【0059】
【数3】
JP2020049140A_000009t.gif

【0060】
εは、偽陽性陰影抽出パラメータであり、実験から、抽出曲線のパラメータεを=0.45と固定して用いた(図20)。図20の2次元ヒストグラムにおいて、左下の灰色の部分に分布する画素を偽陽性と判別する(図20の円内部は、2次元ヒストグラムにおける、真の結節がもつ輝度分布の大まかな位置を表す)。

【0061】
本方法では、2次元ヒストグラムにおいて、抽出曲線よりも下側に存在する画素を偽陽性とする。図19のように、画像中心に近く、輝度値が抑制された線状陰影の画素の中で、特に輝度が低いものを偽陽性として選ぶと、その中に、肺血管の正接像が含まれる。このとき、肺結節以外の心臓エッジなどの陰影も含まれるため、肺血管の正接像を偽陽性として抽出した。図20の2次元ヒストグラムから得られた偽陽性陰影を、黒点として図21に示す。

【0062】
2次元ヒストグラムを用いて得られた、偽陽性陰影の総画素数(図21に示す黒点の集合)が、閾値(=1800)を上回るまで、ステップS5と同様の操作を繰り返す。ただし、ここで取り扱う画像は、線状陰影抑制画像Aと、Aに最大値フィルタ(5×5)を適用させた画像Bを用いる。その結果、式(5)にて得られる画像は、肺血管の正接像を含む偽陽性陰影の輝度値が抑制されたものとなる。最後に、ステップS6と同様、3×3の中間値フィルタを用いて、画像全体に平滑化処理を行う。

【0063】
[ステップS17:輝度値の更新]
ステップ17において、ステップ16で偽陽性陰影として選ばれた画素の総数が、閾値よりも少ない場合、その画素の輝度値を更新し、新たな線状陰影抑制画像とする。条件を満たすまで、この操作を繰り返し、抽出曲線により抽出した偽陽性陰影の輝度値を、その周囲の輝度と置き換えることで、偽陽性は目立たなくなる。偽陽性陰影をその周囲の輝度値と均一化することで、肺結節を相対的に明瞭化する。

【0064】
[ステップS18:肺結節明瞭化画像の取得]
ステップS17における条件が満たされた場合、肺結節明瞭化画像が得られる。図22は、このようにして得られた肺結節明瞭化画像を示す。

【0065】
図1に示す本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化方法のフローチャートでは、以上の様にして得られた、例えば図22に示す、肺結節明瞭化画像を処理のスタート画像としている。この画像では、明瞭化に伴う変動ノイズが結節検出の障害となり得るので、図1に示すフローチャートに従って、ノイズ抑制処理を行うことにより、さらに明瞭な肺結節画像が得られる。

【0066】
[背景ノイズ抑制画像の取得方法]
以下に、第2の手段として示す背景ノイズ抑制画像の取得方法について、説明する。この取得方法は、既に、本出願人により、特願2016-127817号「肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法」として出願されている。本明細書において、図23のフローチャートに、背景ノイズ抑制画像の操作手順を示す。

【0067】
[ステップS1:肺結節明瞭化画像の取得]
上記[肺結節明瞭化画像の取得方法]の項を参照されたい。

【0068】
[ステップS2:ヒストグラム解析]
ステップS2では、画像のもつ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める。圧縮を繰り返す度、更新画像のtとσを求める。

【0069】
[ステップS3:2値化処理]
次のステップS3では、肺野領域と縦隔・横隔膜領域をおおまかに分離するために、肺結節明瞭化画像(以下、明瞭化画像)から得られる平均輝度値tを閾値とする2値画像を作成する。具体的には、明瞭化画像にて輝度の低い縦隔・横隔膜が含まれる領域の輝度値は0、輝度の高い肺野やその他の領域の輝度値を255とする。また、2値画像における輝度値0の黒い領域を固定領域と呼び、輝度値255の白い領域を可変領域と呼ぶ。図24は、ヒストグラムの平均輝度値を閾値とした2値画像を示す。図において、黒い領域は固定領域を、白い領域は可変領域を示す。

【0070】
[ステップS4:2次元ヒストグラム上でのヒストグラム圧縮処理]
次のステップS4では、2次元ヒストグラム上において、抽出した可変領域のヒストグラムを回転し、明瞭化画像のコントラスト制御を行う。図25に示す、2次元ヒストグラムの左上隅を原点とした座標系において、x軸、y軸に、それぞれ肺結節明瞭化画像、提案画像(背景ノイズを抑制した肺結節明瞭化画像)をとる。ただし、回転前の2次元ヒストグラムは、x軸、y軸ともに明瞭化画像とする。このため、回転前の2次元ヒストグラムは図4のように対角線上に分布している。

【0071】
ここでは、図24に示す2値画像から得られた固定領域と可変領域のそれぞれに対し、2次元ヒストグラム上でヒストグラムの回転処理を行う。具体的には、図24に示す2値画像上で、可変領域として選ばれた画素のヒストグラム(以下、可変領域ヒストグラム)は、図26に示すように、2次元ヒストグラム上の対角線から負の方向にθ度(θ>0)回転させた線分となる。ここで、2次元ヒストグラム上の回転中心座標(x、y)は、x軸、y軸ともに肺結節明瞭化画像の平均輝度値tを用い、回転量θには、明瞭化画像の平均輝度値tからの片側の標準偏差σ(σ>0)を変化率cで割ったものを用いる(式(6))。ただし、変化率cとは可変領域ヒストグラムの回転量を決める定数である。
θ=σ/c (6)

【0072】
式(6)は、平均輝度値tからの片側の標準偏差σ(σ>0)をもとに、2次元ヒストグラム上で可変領域ヒストグラムをθ度回転することで、出力画像のヒストグラムを圧縮する。以下の式(7)にて得られる回転操作により座標変換されたy座標の値y’を、出力される明瞭化画像の新しい輝度値として採用する。

【0073】
【数4】
JP2020049140A_000010t.gif

【0074】
一方、縦隔・横隔膜などの固定領域に存在する画素のヒストグラム(以下、固定領域ヒストグラム)は、明瞭化画像の輝度値をそのまま採用するため、2次元ヒストグラムの対角線上に残る。図26のように、明瞭化画像の固定領域に存在する画素の輝度値は変化させず、可変領域に存在する画素の輝度値を回転操作することで、出力画像のヒストグラム圧縮による階調補正にて、明瞭化画像の細かな濃度変動を抑制する。2次元ヒストグラム上にて、可変領域のヒストグラムを標準偏差σと変化率cを用いてθ度回転させ、出力画像のヒストグラムを圧縮する。

【0075】
ステップS2-ステップS4の処理を数回繰り返すことで(ステップS5)、背景ノイズは抑制され、図27に示すように、肺結節が明瞭化された画像が作成される(ステップS6)。ステップS5では、繰り返し回数iをi<Loop回数としているが、Loop回数は予め決定された値であり、例えば、経験的に2が選択され得る。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
12
(In Japanese)【図14】
13
(In Japanese)【図15】
14
(In Japanese)【図16】
15
(In Japanese)【図17】
16
(In Japanese)【図18】
17
(In Japanese)【図19】
18
(In Japanese)【図20】
19
(In Japanese)【図21】
20
(In Japanese)【図22】
21
(In Japanese)【図23】
22
(In Japanese)【図24】
23
(In Japanese)【図25】
24
(In Japanese)【図26】
25
(In Japanese)【図27】
26