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明細書 :植物免疫活性化剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-210234 (P2019-210234A)
公開日 令和元年12月12日(2019.12.12)
発明の名称または考案の名称 植物免疫活性化剤
国際特許分類 A01N  63/02        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
A01G   7/00        (2006.01)
FI A01N 63/02 P
A01P 21/00
A01G 7/00 605Z
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2018-106085 (P2018-106085)
出願日 平成30年6月1日(2018.6.1)
発明者または考案者 【氏名】橋本 雅仁
【氏名】内海 俊樹
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110002572、【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H011
Fターム 4H011AB03
4H011BA01
4H011BB21
4H011BC19
4H011DA15
4H011DD03
要約 【課題】本発明は、新たな植物免疫活性化剤を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、細菌由来の外膜小胞(OMV)を含む、植物免疫活性化剤に関する。本発明はまた、該免疫活性化剤を植物に施用する工程を含む、植物免疫を活性化する方法、並びに細菌からOMVを精製する工程を含む、植物免疫活性化剤の生産方法に関する。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
細菌由来の外膜小胞(OMV)を含む、植物免疫活性化剤。
【請求項2】
細菌が根粒菌である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項3】
根粒菌がMesorhizobium属に属する、請求項2に記載の免疫活性化剤。
【請求項4】
植物がマメ科植物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の免疫活性化剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の免疫活性化剤を植物に施用する工程を含む、植物免疫を活性化する方法。
【請求項6】
細菌からOMVを精製する工程を含む、植物免疫活性化剤の生産方法。
【請求項7】
細菌が根粒菌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
精製工程の前に、リゾチームの存在下で細菌を培養する工程をさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物免疫活性化剤、植物免疫を活性化する方法、及び植物免疫活性化剤の生産方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
動物は、免疫と呼ばれるシステムを有しており、体内に侵入した微生物等の異物を認識して、感染等に対する防御応答を誘導することが知られている。近年、植物も自己防御システムを有することが明らかとなり、これは「植物免疫」と呼ばれている(非特許文献1)。動物の免疫系と同様に植物においても、細胞に存在するパターン認識受容体が、微生物の構成成分である病原微生物関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns; PAMPs)を検出して防御応答を誘導する。
【0003】
リポ多糖(lipopolysaccharide; LPS)は、グラム陰性菌の外膜に存在する成分であり、PAMPsとして植物免疫を刺激することが知られている(非特許文献2)。LPSは、糖脂質であるリピドAにコア多糖とO抗原多糖から構成される多糖が結合した高分子複合糖質であり、部位ごとに活性が異なることが知られている。
【0004】
近年本発明者らは、マメ科植物であるミヤコグサ(Lotus japonicum)を用いて、根粒菌の共生開始反応について検討してきた(非特許文献3)。その結果、ミヤコグサの根に共生根粒菌であるMesorhizobium japonicum(旧学名M. loti)を接種すると植物免疫応答因子である一酸化窒素(nitric oxide; NO)が根で一過的(数時間)に産生され共生開始に寄与すること、非共生細菌の接種ではNOが産生されず無反応であること、病原細菌ではNOが持続的に産生される過敏感反応を起こすことがわかった。さらに細菌中のPAMPsを検討したところ、M. japonicum由来のLPSがNO産生に関与すること、及びLPSの多糖部分が一過的なNO産生に、リピドA部分が持続的なNO産生に寄与することが明らかになった(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Monaghan J. et al., Curr. Opin. Plant Biol., 15, 349-357, 2012
【非特許文献2】Ranf S., PLoS Pathog., 12, e1005596, 2016
【非特許文献3】Nagata M. et al., Mol. Plant Microbe. Interact., 21, 1175-1183, 2008
【非特許文献4】Murakami E. et al., Plant Cell Physiol., 52, 610-617, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、LPSは植物免疫活性化剤として用いられ得るが、抽出されたLPSは、持続的なNO産生に寄与するリピドAが露出していることに起因して過敏感反応を惹起し得るため、植物免疫の刺激には不適切である可能性がある。
【0007】
本発明は、好ましくは過敏感反応を生ずるリスクが低い、新たな植物免疫活性化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、根粒菌が外膜小胞を産生すること、及び根粒菌由来の外膜小胞が植物免疫を活性化することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、以下の態様を包含する。
(1)細菌由来の外膜小胞(OMV)を含む、植物免疫活性化剤。
(2)細菌が根粒菌である、(1)に記載の免疫活性化剤。
(3)根粒菌がMesorhizobium属に属する、(2)に記載の免疫活性化剤。
(4)植物がマメ科植物である、(1)~(3)のいずれかに記載の免疫活性化剤。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の免疫活性化剤を植物に施用する工程を含む、植物免疫を活性化する方法。
(6)細菌からOMVを精製する工程を含む、植物免疫活性化剤の生産方法。
(7)細菌が根粒菌である、(6)に記載の方法。
(8)精製工程の前に、リゾチームの存在下で細菌を培養する工程をさらに含む、(6)又は(7)に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、外膜小胞を含む新規植物免疫活性化剤が提供される。外膜小胞に含まれるLPSは、膜側にリピドAを向けて存在するため、リピドAによる刺激に起因する植物の過敏感反応のリスクが低い可能性がある。また、リピドAが直接露出していないために疎水性が低いという点で、好ましい物性を有し得る。したがって、本発明の外膜小胞は、LPSよりも優れた植物免疫活性化剤であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、M. japonicumをYM液体培地で1~7日間培養した際の、濁度、及びFM4-64蛍光基質の蛍光強度によって測定されたOMVの量を示す。
【図2】図2は、M. japonicumを、100μg/ml リゾチームを含まないか(A)又は含む(B)YM培地中で1~7日間培養した際の、濁度、及びFM4-64蛍光基質の蛍光強度によって測定されたOMVの量を示す。
【図3】図3Aは、crude OMVを100000rcf、4℃で16時間遠心分離して9つの分画に分け、各分画を15% SDS-PAGE Gelで分離し、過ヨウ素酸-銀染色した結果(A)及びCBB染色した結果(B)を示す。
【図4】図4は、ミヤコグサに水、又は精製OMVを処理し、3時間後に一酸化窒素検出用蛍光試薬(DAF-FM DA、五稜化薬)で1時間処理し、蛍光顕微鏡により蛍光を観察した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一態様において、本発明は、細菌由来の外膜小胞(OMV)を含む、植物免疫活性化剤に関する。

【0013】
本発明において、細菌は、植物免疫活性化剤を投与する対象となる植物に対して共生している細菌又は共生することが可能な細菌であることが好ましい。共生細菌と植物の組み合わせ例として、根粒菌とマメ科植物が挙げられる。

【0014】
本明細書において、「細菌」の種類は外膜小胞(OMV)を形成可能なグラム陰性菌である限り、限定しない。一実施形態において、「細菌」は根粒菌である。本明細書において、「根粒菌」とは、植物の根に根粒を形成し、特に窒素固定を行う微生物を指し、その例としてMesorhizobium属、Bradyrhizobium属、Rhizobium属、及びSinorhizobium属細菌が挙げられる。なお、一般にBradyrhizobiumはダイズと、Mesorhizobiumはミヤコグサと、Sinorhizobiumはアルファルファと共生する種である。本発明において、細菌は好ましくはMesorhizobium属細菌であり、さらに好ましくはMesorhizobium japonicumである。

【0015】
植物の種類は、限定されず、単子葉植物及び双子葉植物を含む被子植物並びに裸子植物(種子植物)、コケ植物、シダ植物、草本植物及び木本植物等いずれの植物にも本発明を適用できる。ただし、本発明を適用する植物は、植物免疫を有することが好ましい。植物は、好ましくは双子葉植物、例えばマメ科植物であってよい。マメ科植物の例として、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウマメ、ハナマメ、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、アルファルファ、クローバー、レンゲソウ、ミヤコグサ、アカシア、リョクトウ、レンズマメ、ライマメ、バンバラマメが挙げられる。

【0016】
本明細書において、「外膜小胞」とは、細菌の外膜から細胞外に放出される膜小胞を指す。外膜小胞は、LPS、膜脂質、膜タンパク質等を含んでいる。外膜小胞に含まれるLPSは、膜側にリピドAを向けて存在するため、リピドAによる刺激に起因する植物の過敏感反応のリスクが低い可能性がある。また、リピドAが直接露出していないために疎水性が低いという点で、好ましい物性を有し得る。したがって、本発明の外膜小胞は、LPSよりも優れた植物免疫活性化剤であり得る。

【0017】
外膜小胞の調製方法は当業者にとって公知である。外膜小胞は、例えば液体培養又は固体培地培養で増殖した細菌又は培地から得てもよいが、好ましくは培地(例えば培養上清)から得ることができる。培養上清から外膜小胞を得る場合、培養上清から細菌細胞を(例えば、濾過及び/又は遠心分離によって細胞を沈殿させることによって)分離し、その培養上清から外膜小胞を精製することができる。細胞から外膜小胞を得る場合、上記の様に沈殿させた細胞を(界面活性剤を用いずに)溶解し、細胞溶解液から、外膜小胞を精製することができる。外膜小胞の精製は、例えば上記培養上清又は細胞溶解液に対して、濾過、外膜及び/又は外膜小胞の密度勾配遠心法等による選択的沈殿又は凝集、外膜小胞を特異的に認識する抗体等のリガンドを使用するアフィニティー分離方法の一つ以上を適用することによって、行うことができる。本発明において、外膜小胞は粗精製されたものでも精製されたものであってもよいが、好ましくは液体培養を行った細菌の培養上清から、密度勾配遠心法によって精製されたものである。

【0018】
植物免疫の刺激は、植物の病害虫防御の強化に寄与するため、本発明の植物免疫活性化剤は植物免疫活性化剤農薬の代替となる新規な農業資材として利用できる可能性がある。植物免疫の刺激の有無は、実施例に記載の方法に従って一酸化窒素の産生の有無を調べることにより検出することができる。

【0019】
植物免疫活性化剤は、細菌由来の外膜小胞(OMV)からなってもよいし、細菌由来の外膜小胞(OMV)に加えて任意に他の成分、例えば各種補助剤を含んでもよい。補助剤としては、例えば、担体、乳化剤、懸濁剤、増粘剤、安定剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤、凍結防止剤、及び消泡剤等が挙げられる。また、本発明の植物免疫活性化剤に含まれ得る他の成分として、化学農薬が挙げられる。他の化学農薬を本発明の植物免疫活性化剤に加えることで、病害虫に対する相加的な効果が期待される。

【0020】
本発明の植物免疫活性化剤の形態は限定されず、常法に従って、液剤、水和剤、乳剤、粉剤、懸濁剤、粒剤、カプセル剤等の製剤形態に調製して使用できる。

【0021】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の植物免疫活性化剤を植物に施用する工程を含む、植物免疫を活性化する方法に関する。

【0022】
植物免疫活性化剤の施用法は限定しないが、例えば植物の全体又は一部、例えば根、花、茎、種子、果実、又は植物が生育している土壌若しくは担体に植物免疫活性化剤を適用することにより行うことができる。植物免疫活性化剤の施用濃度及び頻度は、当業者であれば本明細書の教示を参照し、植物の免疫活性化の程度等を考慮して選択することができる。施用濃度は、限定するものではないが、例えば0.001μg/ml以上、0.01μg/ml以上、0.1μg/ml以上、0.5μg/ml以上、0.8μg/ml以上、又は0.9μg/ml以上であってよく、また1mg/ml以下、100μg/ml以下、10μg/ml以下、2μg/ml以下、1.5μg/ml以下、又は1.1μg/ml以下であってよい。施用用量は、限定するものではないが、例えば0.01μl以上、0.1μl以上、1μl以上、5μl以上、8μl以上、又は9μl以上であってよく、また10ml以下、1ml以下、100μL以下、20μL以下、15μL以下、又は11μL以下であってよい。施用は一回のみであってもよいし、複数回行ってもよい。例えば、1日1回、2日に1回、3日に一回、1週間に1回等の頻度で複数回施用を行うことができる。

【0023】
一態様において、本発明は、細菌から外膜小胞(OMV)を精製する工程を含む、外膜小胞を含む植物免疫活性化剤の生産方法に関する。

【0024】
外膜小胞の精製は、公知の方法により、例えば上記の通り、細胞溶解液又は細胞培養上清から外膜小胞を精製することができる。例えば、上記培養上清又は細胞溶解液に対して、濾過、外膜及び/又は外膜小胞の密度勾配遠心法等による選択的沈殿又は凝集、外膜小胞を特異的に認識するリガンドを使用するアフィニティー分離方法の一つ以上を適用することによって、外膜小胞を精製することができる。精製は、粗精製又は精製のいずれであってもよい。液体培養を行った細菌の培養上清から、密度勾配遠心法によって精製を行うことが好ましい。

【0025】
本発明の植物免疫活性化剤の生産方法は、外膜小胞の精製工程の前に、細菌を培養する工程を含む。培養は、振とう培養等の通常の培養法により、目的の細菌について通常使用される条件下で培養されうる。培養に用いる培地としては炭素源としてグルコース、スクロース、デンプン等の糖類又はマンニトール等の糖アルコール;窒素源として硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩等の無機窒素源;酵母エキス、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン等の有機窒素源;無機塩としてリン酸一カリ、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄等の、リン、カリウム、マンガン、マグネシウム、鉄等を含む塩類を、一以上含む合成又は天然の培地(例えば、YM培地)が挙げられる。培養温度は、通常、20~37℃、好ましくは27~32℃で、好気的又は嫌気的条件下で行うことができる。培養期間は、例えば12時間以上、2日以上、4日以上、又は6日以上とすることができ、2週間以下、12日以下、10日以下、又は8日以下とすることができ、例えば約7日であってよい。

【0026】
培養工程は、リゾチームの存在下で行うことが好ましい。これにより、外膜小胞の収率を高めることができるからである。リゾチームの存在下で培養を行う場合の培地中のリゾチーム濃度は、例えば10μg/ml以上、50μg/ml以上、80μg/ml以上、又は90μg/ml以上とすることができ、また1000μg/ml以下、200μg/ml以下、120μg/ml以下、又は110μg/ml以下とすることができる、例えば約100μg/mlであってよい。

【0027】
本発明を以下の実施例を参照して説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0028】
<実施例1:根粒菌によるOMVの産生>
(OMVの産生条件の検討)
根粒菌M. japonicum (M. loti) MAFF303099(農業生物資源ジーンバンクより入手)をTY寒天培地(0.5% tryptone、0.3% yeast extract、0.083% CaCl2・2H2O、1.5% agar)に植菌し、1週間後に5mlのYM液体培地(0.1% yeast extract、1% mannitol、0.1% KH2PO4、0.1% K2HPO4、0.02% NaCl、0.05% NH4Cl、0.018% MgSO4・7H2O、0.013% CaCl2・2H2O)に移し、前培養を行った。培養2日後に、これを25mlのYM液体培地に移し、本培養を行った。培養1~7日について吸光度(600 nm)に基づいて増殖曲線を作成したところ、1~3日目に対数増殖し、4日目頃に定常期になった。培養液は毎日採取し、遠心分離で菌体を除去した後、0.45 μmメンブランフィルターでろ過し、さらに40000 rpm、2 hで超遠心分離し、沈澱物を回収した。沈殿物中のOMV量を、二重膜脂質を染色するFM4-64蛍光基質を用いて推定したところ、培養7日目に最も多く膜脂質が存在していることがわかった。
培養日数と濁度、FM4-64蛍光基質による蛍光強度を図1に示す。
【実施例】
【0029】
また、TEM(透過電子顕微鏡、TH7700; 日立ハイテクノロジーズ)及びDLS(動的光散乱、Zetasizer; Malvern)を用いて観察したところ、直径20-100nm程度のOMV が存在することがわかり、M. japonicum のOMV 産生能が明らかになった。そのため、上記沈殿画分は、以下crude OMVと記載する。
【実施例】
【0030】
続いて、M. japonicum (M. loti) MAFF303099を、100μg/ml リゾチームを含まないか又は含むYM培地中で培養を行い、上記と同様の方法でCrude OMVを得た。結果を図2に示す(リゾチームを含まないYM培地での結果をAに、含むYM培地での結果をBに示す)。図2に示される通り、培養中にリゾチームを添加すると、Crude OMVの収率が向上することがわかった。
【実施例】
【0031】
(OMVの精製)
続いて、crude OMVの精製を行った。精製は常法に従って、OptiprepTM(コスモ・バイオ株式会社)を用いた密度勾配遠心法を用いて実施した。具体的には、100000rcf、4℃で16時間遠心分離して9つの分画に分けたところ、OptiprepTM 濃度25%付近(分画3)に精製OMVが回収された。OMVが精製されていることは、TEMによる観察により確認した。
【実施例】
【0032】
(根粒菌LPSの調製)
M. japonicumを45% フェノールに分散し、65℃で20分攪拌後、氷上で冷却し、遠心分離して、水相を得た。3500カットの透析膜(Spectra Por7)で透析後、DNase(10 μg/ml、Sigma)、RNase(10 μg/ml、Sigma)で1日消化し、さらにProteinase K(10 μg/ml、タカラバイオ)で消化し、再度透析し、凍結乾燥した。ついで、サンプルを0.1M NaOAc (pH 4.5) に溶解し、OctylSepharose 4FF(GE healthcare)を用いた疎水性カラムクロマトグラフィーに供し、15-60%1-PrOH グラジエントで溶出して、吸着画分を透析することで、LPSを精製した。
【実施例】
【0033】
(過ヨウ素酸・銀染色)
得られた精製OMV分画及びLPSをSDS-PAGEで分離後に、以下に従って過ヨウ素酸・銀染色により糖を染色した。まず、泳動したゲルを、固定液(エタノール:酢酸:水=8:1:11)で10分振とうし、ついで酸化液(0.7% HIO4・2H2O、固定液)で30分振とうした。ゲルを水洗後、硝酸銀溶液(0.7% AgNO3、0.4% NH4OH、0.02 M NaOH)で10分振とうした。ゲルを水洗後、現像液(0.01% クエン酸、0.1% ホルマリン)で振とうし、発色後に停止液(10% 酢酸)で1分振とうし、水洗した。
【実施例】
【0034】
その結果、精製OMV(分画3)において根粒菌由来LPSと同じバンドを含んでいた(図3、精製LPSの過ヨウ素酸・銀染色のデータを図3Aの右端に示す)。
【実施例】
【0035】
(OMV中の成分の検討)
また、精製OMV(分画3)をSDS-PAGEで分離後に、CBBでタンパク質を染色したところ幾つかのバンドが検出された(図3B)。タンパク質バンドをトリプシン消化後(In-Gel Tryptic Digestion Kit、Thermo Fisher)にMALDI-TOF-MS(autoflex、Bruker Daltonics)分析したところ、M. japonicum由来のポリン様タンパク質が検出された。これらの結果はOMVにLPS及び膜タンパク質が含まれていることを示している。また、TEMにより画分3が外膜小胞であることも確認した(データ示さず)。
【実施例】
【0036】
(単糖分析)
サンプルを2M TFAで100℃、3時間加水分解し、減圧乾燥した。2 mg/ml NaBH4水溶液で1時間還元後、過剰のNaBH4を酢酸で除去し、減圧乾燥した。無水酢酸-ピリジン(1/1)を加え100℃、30分加熱しアセチル化した後、減圧乾燥し、さらにクロロホルム-水系でアルジトールアセテートを抽出し、減圧乾燥した。アセトンに再溶解し、キャピラリーカラム(SP-2330、Supelco)用いてCG-MS(2010、島津製作所)にて分離した。
【実施例】
【0037】
単糖分析の結果、M. japonicum由来LPSと同じくOMVにおいて6-デオキシタロース、ラムノースが検出された。
【実施例】
【0038】
<実施例2:OMVによる免疫活性化の検討>
OMVの植物免疫刺激能をミヤコグサ根のNO 産生誘導を指標に検討した。
【実施例】
【0039】
発芽後2週間のミヤコグサの根に、水、又は1mg/mlの精製OMVを10μlで3時間処理した。精製OMVは、実施例1に従って調製し、リゾチームなしの培地で生産したM. japonicumから得られたものを用いた。処理後に10μmol/mlの一酸化窒素検出用蛍光試薬(DAF-FM DA、五稜化薬)に根を浸漬し、1時間処理した。その後、蛍光顕微鏡(Leica DMLB)により蛍光を観察した。
【実施例】
【0040】
結果を図4に示す。図4は、OMVがNOを誘導できることを示している。また、OMVを-80℃での凍結後に融解し、及び凍結乾燥後に水で再分散した後に、サンプル60μl を12 mmキュベットに加え、Zetasizer Nano-ZS90(Malvern, Worcestershire)用いて粒子径を測定した。その結果、凍結融解及び凍結乾燥後に水で再分散した場合でも、粒子径に変化は観察されず、安定であることもわかった(データ示さず)。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、新たな植物免疫活性化剤が提供される。植物免疫の刺激は、植物の病害虫防御の強化に寄与するため、本発明の植物免疫活性化剤は植物免疫活性化剤農薬の代替となる新規な農業資材として利用できる可能性がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3