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明細書 :末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-125460 (P2020-125460A)
公開日 令和2年8月20日(2020.8.20)
発明の名称または考案の名称 末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの製造方法
国際特許分類 C08F   4/70        (2006.01)
C08F 297/06        (2006.01)
C08F  38/00        (2006.01)
FI C08F 4/70
C08F 297/06
C08F 38/00
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 38
出願番号 特願2020-002985 (P2020-002985)
出願日 令和2年1月10日(2020.1.10)
優先権出願番号 2019015204
優先日 平成31年1月31日(2019.1.31)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】前田 勝浩
【氏名】谷口 剛史
【氏名】西村 達也
【氏名】吉田 琢海
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
審査請求 未請求
テーマコード 4J026
4J100
4J128
Fターム 4J026HA19
4J026HA27
4J026HA32
4J026HA39
4J026HB19
4J026HB27
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB48
4J026HE01
4J100AT05P
4J100BA05P
4J100BA20P
4J100BA34P
4J100BB18P
4J100BC43P
4J100CA01
4J100CA10
4J100DA00
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA08
4J100FA19
4J100JA45
4J100JA46
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC45
4J128BA01B
4J128BB00B
4J128BC12B
4J128CA22B
4J128CB87B
4J128EA01
4J128EB27
4J128EC01
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA02
4J128GA06
4J128GB01
要約 【課題】末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの簡便且つ効果的な製造方法、及び該方法に使用する置換アセチレンの重合開始剤系の提供。
【解決手段】ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー(A-1)(成分(A))、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)(成分(B))、ジフェニルアセチレン(C-1)(成分(C))、トリフェニルホスフィン(D-1)(成分(D))及び水酸化カリウム(KOH)を含有する置換アセチレンの重合開始剤系を用いる製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)、並びに塩基を含有することを特徴とする置換アセチレンの重合開始剤系。
成分(A):下記式(I):
【化1】
JP2020125460A_000050t.gif

[式中、
-X-は、下記式:
【化2】
JP2020125460A_000051t.gif

又は-CH-で表される基を示し、及び
Yは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるロジウム錯体。
成分(B):下記式(II):
【化3】
JP2020125460A_000052t.gif

[式中、
は、1個以上の置換基を有するアリール基を示し、及び
及びXは、共に水素原子又はアルキル基を示すか、或いは、OX及びOXは、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、置換されていてもよい環状基を形成してもよい。]
で表される化合物。
成分(C):下記式(III):
【化4】
JP2020125460A_000053t.gif

[式中、
n個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
m個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
nは、0~3の整数を示し、及び
mは、0~3の整数を示す。]
で表される化合物。
成分(D):置換されていてもよいトリアリールホスフィン。
【請求項2】
成分(A)の式(I)中の-X-が、-CH-である、請求項1に記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
【請求項3】
成分(A)の式(I)中のYが、塩素原子であり、
成分(B)の式(II)中のRが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり、
成分(C)の式(III)中のn及びmが、共に0又は1であり、
成分(D)が、トリフェニルホスフィン、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン又はトリス(4-クロロフェニル)ホスフィンであり、並びに
塩基が、水酸化カリウムである、
請求項1又は2に記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
【請求項4】
成分(A)の式(I)中のYが、塩素原子であり、
成分(B)の式(II)中のRが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり、
成分(C)の式(III)中のn及びmが、共に0であり、
成分(D)が、トリフェニルホスフィンであり、並びに
塩基が、水酸化カリウムである、
請求項1又は2に記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
【請求項5】
下記式(IV):
【化5】
JP2020125460A_000054t.gif

[式中、
Rは、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。]
で表される置換アセチレンを、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合開始剤系の存在下に重合反応させる工程を含む、下記式(V):
【化6】
JP2020125460A_000055t.gif

[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、並びに下記式(VI):
【化7】
JP2020125460A_000056t.gif

[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレンの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法において、更に下記式(VII):
【化8】
JP2020125460A_000057t.gif

[式中、
R’は、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。ただし、R’は、前記式(V)のRとは異なる基を示す。]で表される置換アセチレンを添加する工程を含む、下記式(V):
【化9】
JP2020125460A_000058t.gif

[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、下記式(VIII):
【化10】
JP2020125460A_000059t.gif

[式中、R’は、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、並びに下記式(VI):
【化11】
JP2020125460A_000060t.gif

[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレンの製造方法。
【請求項7】
置換ポリアセチレンのゲル浸透クロマトグラフィー測定による分子量分布(Mw/Mn)が、1.20以下である、請求項5又は6に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの簡便且つ効果的な製造方法に関する。また、本発明は、上記製造方法に使用する置換アセチレンの重合開始剤系にも関する。
【背景技術】
【0002】
置換ポリアセチレン誘導体は、代表的な共役高分子の一つであり、剛直な主鎖に種々の側鎖を導入した構造を有することから、他の高分子材料には見られない特異的な性質を示し、実際に、気体分離膜や有機EL、液晶、有機ダイオード等の材料の開発に向けた研究が盛んに行われている。
【0003】
置換ポリアセチレン誘導体は、対応するアセチレン誘導体を遷移金属触媒により連鎖重合することで得られる。遷移金属触媒の中でも、ロジウム錯体を主触媒とする重合系は、一置換アセチレン誘導体の重合に対して高活性を示し、且つシス-立体選択的に重合が進行することが報告されている(非特許文献1、2)。シス-立体規則性の置換ポリアセチレン誘導体は、側鎖置換基間の立体反発によりらせん構造を形成することも知られている(非特許文献3)。また、ロジウム錯体は、官能基許容性が高いために、様々な極性官能基を有するアセチレン誘導体の重合反応も可能である(非特許文献4)。そのため、このようなロジウム錯体の特徴を活かし、様々な光学活性基を導入した一方向巻きのらせん構造を有する置換ポリアセチレン誘導体が合成されており、光学分割カラムのキラル固定相、不斉選択合成の有機触媒をはじめ種々のキラルマテリアルとしての応用が期待されている。
【0004】
置換アセチレン誘導体の重合反応においては、立体規則性だけでなく分子量の制御も高分子の物性や機能制御の上で重要であり、これまでにロジウム触媒を用いた一置換アセチレン誘導体のリビング重合を達成した例がいくつか報告されている(非特許文献2、5~9)。しかし、従来の一置換アセチレンの精密重合法(立体特異性リビング重合法)には、(1)高活性なロジウム触媒の調製が非常に煩雑である、(2)高分子末端に任意の官能基を導入することができないといった問題があった(非特許文献6、特許文献1、特許文献2)。
【0005】
一方、パラジウム触媒を用いることにより、一置換アセチレンの高分子の末端に極性官能基を直接導入できることが報告されている(非特許文献10)。しかし、パラジウム触媒を用いる重合系では、得られるポリマーの立体規則性は制御されておらず、リビング重合も達成されてはいない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2004-91539号公報
【特許文献2】特開2008-222796号公報
【0007】

【非特許文献1】Polym. Bull. 16, 311 (1986)
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 116, 12131 (1994)
【非特許文献3】Chem. Rev., 109, 6102 (2009)
【非特許文献4】J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 27, 75 (1989)
【非特許文献5】Macromolecules, 29, 5054 (1996)
【非特許文献6】Macromolecules, 31, 7572-7573 (1998)
【非特許文献7】Macromol. Chem. Phys., 201, 2239 (2000)
【非特許文献8】Macromolecules, 37, 4044 (2004)
【非特許文献9】Macromolecules, 33, 6636 (2000)
【非特許文献10】J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 48, 5549 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景のもと、末端に所望の各種官能基を容易に導入可能な立体特異的なリビング重合系を開発できれば、構造が精密に制御されたブロック重合体、星形重合体、櫛形重合体等の特殊構造高分子の合成や、異種の材料との融合、及び様々な基板の修飾も自在にできることから、フレキシブル電子デバイスの半導体材料、表示材料の部材、物質輸送膜、超撥水コーティング材、センサー等にも使用可能となる。それ故、末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの簡便且つ効果的な製造方法の開発が切望されている。
【0009】
本発明の課題は、簡便な操作により、末端に置換基を有し、且つ狭い分子量分布を有する立体規則性置換ポリアセチレンを効率良く合成するための重合開始剤系、及びそれを使用する、末端に置換基を有する立体規則性置換ポリアセチレンの効果的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、
成分(A):下記式(I):
【0011】
【化1】
JP2020125460A_000002t.gif

【0012】
[式中、
-X-は、下記式:
【0013】
【化2】
JP2020125460A_000003t.gif

【0014】
又は-CH-で表される基を示し、及び
Yは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるロジウム錯体、
成分(B):下記式(II):
【0015】
【化3】
JP2020125460A_000004t.gif

【0016】
[式中、
は、1個以上の置換基を有するアリール基を示し、及び
及びXは、共に水素原子又はアルキル基を示すか、或いは、OX及びOXは、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、置換されていてもよい環状基を形成してもよい。]
で表される化合物、
成分(C):下記式(III):
【0017】
【化4】
JP2020125460A_000005t.gif

【0018】
[式中、
n個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
m個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
nは、0~3の整数を示し、及び
mは、0~3の整数を示す。]
で表される化合物、
成分(D):置換されていてもよいトリアリールホスフィン、並びに
塩基
を含有することを特徴とする置換アセチレンの重合開始剤系(以下、「本発明の重合開始剤系」と称することもある。)を使用することにより、特殊な触媒を調製することなく、簡便な操作により、一置換アセチレンの精密重合において、立体特異性、及び高いリビング性を示すと共に、分子量分布の狭い置換ポリアセチレンが効率良く得られることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)、並びに塩基を含有することを特徴とする置換アセチレンの重合開始剤系。
成分(A):下記式(I):
【0020】
【化5】
JP2020125460A_000006t.gif

【0021】
[式中、
-X-は、下記式:
【0022】
【化6】
JP2020125460A_000007t.gif

【0023】
又は-CH-で表される基を示し、及び
Yは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるロジウム錯体。
成分(B):下記式(II):
【0024】
【化7】
JP2020125460A_000008t.gif

【0025】
[式中、
は、1個以上の置換基を有するアリール基を示し、及び
及びXは、共に水素原子又はアルキル基を示すか、或いは、OX及びOXは、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、置換されていてもよい環状基を形成してもよい。]
で表される化合物。
成分(C):下記式(III):
【0026】
【化8】
JP2020125460A_000009t.gif

【0027】
[式中、
n個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
m個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
nは、0~3の整数を示し、及び
mは、0~3の整数を示す。]
で表される化合物。
成分(D):置換されていてもよいトリアリールホスフィン。
[2]成分(A)の式(I)中の-X-が、-CH-である、前記[1]記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
[3]成分(A)の式(I)中のYが、塩素原子であり、
成分(B)の式(II)中のRが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり、
成分(C)の式(III)中のn及びmが、共に0又は1であり、
成分(D)が、トリフェニルホスフィン、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン又はトリス(4-クロロフェニル)ホスフィンであり、並びに
塩基が、水酸化カリウムである、
前記[1]又は[2]に記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
[4]成分(A)の式(I)中のYが、塩素原子であり、
成分(B)の式(II)中のRが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり、
成分(C)の式(III)中のn及びmが、共に0であり、
成分(D)が、トリフェニルホスフィンであり、並びに
塩基が、水酸化カリウムである、
前記[1]又は[2]に記載の置換アセチレンの重合開始剤系。
[5]下記式(IV):
【0028】
【化9】
JP2020125460A_000010t.gif

【0029】
[式中、
Rは、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。]
で表される置換アセチレンを、前記[1]~[4]のいずれかに記載の重合開始剤系の存在下に重合反応させる工程を含む、下記式(V):
【0030】
【化10】
JP2020125460A_000011t.gif

【0031】
[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、並びに下記式(VI):
【0032】
【化11】
JP2020125460A_000012t.gif

【0033】
[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレン(以下、「本発明のポリアセチレン」と称することもある。)の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することもある。)。
[6]前記[5]に記載の製造方法において、更に下記式(VII):
【0034】
【化12】
JP2020125460A_000013t.gif

【0035】
[式中、
R’は、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。ただし、R’は、前記式(V)のRとは異なる基を示す。]で表される置換アセチレンを添加する工程を含む、下記式(V):
【0036】
【化13】
JP2020125460A_000014t.gif

【0037】
[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、下記式(VIII):
【0038】
【化14】
JP2020125460A_000015t.gif

【0039】
[式中、R’は、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、並びに下記式(VI):
【0040】
【化15】
JP2020125460A_000016t.gif

【0041】
[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレンの製造方法。
[7]置換ポリアセチレンのゲル浸透クロマトグラフィー測定による分子量分布(Mw/Mn)が、1.20以下である、前記[5]又は[6]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明の重合開始剤系によれば、特殊な触媒を調製することなく、簡便な操作により、一置換アセチレンの精密重合(立体特異性リビング重合)が可能である。また、本発明の重合開始剤系は、非常に高活性、高いシス選択性、且つ高いリビング性を示すだけでなく、末端に置換基を有する置換ポリアセチレンを容易に合成できることから、従来法ではポリアセチレン末端に導入するのが難しい機能性官能基を、簡便且つ自在に導入できるという利点も有する。さらに、本発明の重合開始剤系を用いる置換ポリアセチレンの製造方法は、スケールアップも可能であることから、各種機能性高分子材料の原料合成法としても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、表4の実施例23で得られたポリフェニルアセチレンのH NMRスペクトルにおける主鎖の各プロトンの帰属を示す。
【図2】図2は、実施例1で得られた置換ポリフェニルアセチレンのH NMRスペクトル、及び末端基に該当するプロトンの帰属を示す。
【図3】図3は、実施例1と同様の条件下でフェニルアセチレン(モノマー)が完全に消費された後(1時間後)に、更に同量のフェニルアセチレンを追加して得られたポリフェニルアセチレンのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定の結果を示す。図3中の破線は、1時間後に得られたポリマーの結果を示し、実線は、更に同量のフェニルアセチレンを追加して得られたポリマーの結果を示す。
【図4】図4は、実施例19で得られた2種の置換フェニルアセチレンのブロック共重合体のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定の結果を示す。図4中の破線は、フェニルアセチレン(第1モノマー)添加の1時間後に得られたポリマーの結果を示し、実線は、更に同量の4-エトキシカルボニルフェニルアセチレン(第2モノマー)を追加して得られたポリマーの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書中に用いられる用語及び各記号の定義について、以下に説明する。

【0045】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。

【0046】
本明細書中、「アルキル(基)」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C1-20アルキル基であり、中でも、C1-6アルキル基がより好ましく、C1-4アルキル基が特に好ましい。

【0047】
本明細書中、「C1-20アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。

【0048】
本明細書中、「C1-6アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。

【0049】
本明細書中、「C1-4アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~4のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。 本明細書において、「C1-6アルキル基」は、炭素数が1~6の直鎖状又は分岐鎖状の1価の飽和炭化水素基を意味する。当該「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、4-メチルペンチル、へキシル等が挙げられる。

【0050】
本明細書中、「シクロアルキル(基)」とは、環状アルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3-8シクロアルキル基である。

【0051】
本明細書中、「C3-8シクロアルキル(基)」とは、炭素原子数3~8の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3-6シクロアルキル基が好ましい。

【0052】
本明細書中、「アルコキシ(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基が酸素原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-20アルコキシ基であり、より好ましくは、C1-6アルコキシ基である。

【0053】
本明細書中、「C1-20アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~20のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1,1-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、エイコシルオキシ等が挙げられる。

【0054】
本明細書中、「C1-6アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1-4アルコキシ基が好ましい。

【0055】
本明細書中、「アルキルスルファニル(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基が硫黄原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-6アルキルスルファニル基であり、より好ましくは、C1-4アルキルスルファニル基である。

【0056】
本明細書中、「C1-6アルキルスルファニル(基)」とは、硫黄原子に前記「C1-6アルキル」基が結合した基、すなわち、炭素数が1-6の直鎖または分岐鎖アルキルスルファニル基を意味する。該「C1-6アルキルスルファニル(基)」としては、例えば、メチルスルファニル、エチルスルファニル、プロピルスルファニル、イソプロピルスルファニル、ブチルスルファニル、イソブチルスルファニル、sec-ブチルスルファニル、tert-ブチルスルファニル、ペンチルスルファニル、イソペンチルスルファニル、ネオペンチルスルファニル、1-エチルプロピルスルファニル、へキシルスルファニル等が挙げられる。

【0057】
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル(基)」とは、スルホニル基に前記「C1-6アルキル」基が結合した基、すなわち、炭素数が1~6の直鎖または分岐鎖アルキルスルホニル基を意味する。該「C1-6アルキルスルホニル(基)」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、1-エチルプロピルスルホニル、へキシルスルホニル等が挙げられる。

【0058】
本明細書中、「アルコキシ-カルボニル(基)」とは、前記アルコキシ基が酸素原子とカルボニル基に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-20アルコキシ-カルボニル基であり、より好ましくは、C1-8アルコキシ-カルボニル基である。

【0059】
本明細書中、「アシル(基)」とは、アルカノイル又はアロイルを意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-7アルカノイル基又はC7-11アロイルである。

【0060】
本明細書中、「C1-7アルカノイル(基)」とは、炭素原子数1~7の直鎖又は分枝鎖状のホルミル又はアルキルカルボニル(すなわち、C1-6アルキル-カルボニル)であり、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等が挙げられる。

【0061】
本明細書中、「C7-11アロイル(基)」とは、炭素原子数7~11のアリールカルボニル(すなわち、C6-10アリール-カルボニル)であり、ベンゾイル等が挙げられる。

【0062】
本明細書中、「アシルオキシ(基)」とは、前記アルカノイル基又はアロイル基が酸素原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-7アルカノイルオキシ基又はC7-11アロイルオキシ基である。

【0063】
本明細書中、「C1-7アルカノイルオキシ(基)」としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ(ピバロイルオキシ)、ペンチルカルボニルオキシ、イソペンチルカルボニルオキシ、ネオペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ等が挙げられ、好ましくは、アセトキシ又はピバロイルオキシである。

【0064】
本明細書中、「C7-11アロイルオキシ(基)」としては、例えば、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ等が挙げられる。

【0065】
本明細書中、「アリール(基)」とは、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリル、2-アンスリル、フルオレニル等のC6-14アリール基が挙げられ、中でもC6-10アリール基が好ましい。

【0066】
本明細書中、「C6-10アリール(基)」とは、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチルが挙げられ、フェニル又は1-ナフチルが特に好ましい。

【0067】
本明細書中、「アラルキル(基)」とは、アルキル基にアリール基が置換した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C7-14アラルキルである。

【0068】
本明細書中、「C7-22アラルキル(基)」とは、「C1-4アルキル基」に「C6-18アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、(ナフチル-1-イル)メチル、(ナフチル-2-イル)メチル、1-(ナフチル-1-イル)エチル、1-(ナフチル-2-イル)エチル、2-(ナフチル-1-イル)エチル、2-(ナフチル-2-イル)エチル、ジフェニルメチル、フルオレニルメチル、トリチル等が挙げられる。

【0069】
本明細書中、「アリールスルホニル(基)」とは、アリール基がスルホニル基に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C6-10アリールスルホニル基である。

【0070】
本明細書中、「C6-10アリールスルホニル(基)」とは、「C6-10アリール基」がスルホニル基に結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニル等が挙げられる。

【0071】
本明細書中、「アルキルスルホニルオキシ(基)」とは、アルキルスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1-6アルキルスルホニルオキシ基である。

【0072】
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニルオキシ(基)」とは、C1-6アルキルスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、ブチルスルホニルオキシ等が挙げられる。

【0073】
本明細書中、「アリールスルホニルオキシ(基)」とは、アリールスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C6-10アリールスルホニルオキシ基である。

【0074】
本明細書中、「C6-10アリールスルホニルオキシ(基)」とは、C6-10アリールスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニルオキシ、1-ナフチルスルホニルオキシ、2-ナフチルスルホニルオキシ等が挙げられる。

【0075】
本明細書中、「ヘテロアリール(基)」とは、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、単環式、二環式または多環式芳香族基を意味する。単環式ヘテロアリール基としては、限定されないが、5または6個の環原子を有する環式芳香族基であって、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である環式芳香族基が挙げられる。窒素原子は任意に四級化されていてもよく、硫黄原子は任意に酸化されていてもよい。本発明のヘテロアリール基としては、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、及びテトラゾールから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」には、ヘテロアリール環が、アリール環、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、及び別の単環式ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル環からなる群から独立して選択される1つまたは2つの環に縮合している、二環式または三環式の環も含まれるが、これらに限定されない。これらの二環式または三環式のヘテロアリールとしては、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5-c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3-c]ピリジン、チエノ[3,2-b]ピリジン、チエノ[2,3-b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリミジン、イミダゾ[1,2-c]ピリミジン、イミダゾ[1,5-a]ピリミジン、イミダゾ[1,5-c]ピリミジン、ピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、ピロロ[2,3-d]ピリミジン、ピロロ[3,2-d]ピリミジン、ピロロ[2,3-b]ピラジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピロロ[1,2-b]ピリダジン、ピロロ[1,2-c]ピリミジン、ピロロ[1,2-a]ピリミジン、ピロロ[1,2-a]ピラジン、トリアゾ[1,5-a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2-ジヒドロピロロ[3,2,1-hi]インドール、ピリド[1,2-a]インドール、及び2(1H)-ピリジノンから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好適なヘテロアリール(基)としては、例えば、ピリジンから誘導されるもの(ピリジル(基))、ピリミジンから誘導されるもの(ピリミジル(基))、ピラゾールから誘導されるもの(ピラゾリル(基))等の5乃至6員のヘテロアリール(基)が挙げられる。

【0076】
本明細書中、「置換アミノ基」とは、アミノ基の2個の水素原子のうちの少なくとも1個が水素原子以外の基で置換された基を意味し、2個の水素原子の両方が置換基により置換されている場合には、該置換基は、同一又は異なっていてもよい。

【0077】
本明細書中、「トリ置換シリル(基)」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C1-6アルキル基、C6-10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基(好ましくは、トリC1-6アルキルシリル基)、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が好ましい。

【0078】
本明細書中、「トリ置換シリルオキシ(基)」とは、トリ置換シリル基が酸素原子に結合した基を意味し、当該基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基等のトリアルキルシリルオキシ基(好ましくは、トリC1-6アルキルシリルオキシ基)、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基等が好ましい。

【0079】
本明細書中、「置換アミノ基」を構成する置換基としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons(第3版、1999年)に記載のアミノ基の保護基等を使用し得、例えば、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル、C7-22アラルキル基、C6-10アリール基、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基、C6-10アリールスルホニル、トリC1-6アルキルシリル基(例、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)等の保護基が挙げられる。上記の保護基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はニトロ基により更に置換されていてもよい。当該アミノ基の保護基の具体例としては、メチル(モノメチル又はジメチル)、ベンジル、トリチル、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル等が挙げられる。

【0080】
「置換されていてもよい」とは、無置換、又は置換可能な位置に1個~5個(好ましくは、1個~3個)の置換基を有することを意味し、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。

【0081】
「置換されていてもよい」の置換基としては、例えば、(1)ハロゲン原子、(2)ヒドロキシ基、(3)シアノ基、(4)ニトロ基、(5)アジド基、(6)置換アミノ基、(7)C1-6アルキル基、(8)C1-6アルコキシ基、(9)C3-8シクロアルキル基、(10)C6-10アリール基、(11)C7-22アラルキル基、(12)C1-7アルカノイル基、(13)C7-11アロイル基、(14)C1-7アルカノイルオキシ基、(15)C7-11アロイルオキシ基、(16)C1-6アルコキシ-カルボニル基、(17)C1-6アルキル基でモノ又はジ-置換されていてもよいカルバモイル基、(18)C1-6アルキルスルホニルオキシ基、(19)C6-10アリールスルホニルオキシ基、(20)C1-6アルキルスルファニル、(21)トリ置換シリル基、(22)トリ置換シリルオキシ基等が挙げられる。中でも、ハロゲン原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アセチル、ホルミル、カルバモイル、アジド、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、フェニル、シクロヘキシル、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、メトキシカルボニル、メチルスルファニル等が好ましい。

【0082】
上記置換基は、また、さらに、それぞれ1個以上の、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基等で置換されていてもよい。

【0083】
本明細書中、「トリアリールホスフィン」とは、同一又は異なる3個のアリール基がリン原子に結合した化合物を意味する。「置換されていてもよいトリアリールホスフィン」としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(メチルフェニル)ホスフィン、トリス(フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(クロロフェニル)ホスフィン等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィン、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン又はトリス(4-クロロフェニル)ホスフィンが好ましい。

【0084】
本明細書中、前記式(II)の定義における「OX及びOXは、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、置換されていてもよい環状基」の「環状基」としては、特に限定されないが、例えば、下記式:

【0085】
【化16】
JP2020125460A_000017t.gif

【0086】
で表される基等が挙げられ、中でも、下記式:

【0087】
【化17】
JP2020125460A_000018t.gif

【0088】
で表される基が好ましい。該環状基は、それぞれ置換可能な位置に更に1個以上の置換基(例、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基等)を有していてもよい。

【0089】
本明細書中、「繰り返し単位」とは、ポリマー化合物(本発明のポリアセチレン)を構成する部分単位構造を意味する。該繰り返し単位は、本発明のポリアセチレン中に複数個連続して存在する。本発明のポリアセチレン中に複数種の繰り返し単位が存在する場合には、それら複数種の繰り返し単位が、ポリアセチレン中にそれぞれ複数個のブロックを形成して存在する。

【0090】
本明細書中、「開始剤効率(Initiation Efficiency(IE))」とは、重合反応に加えた開始剤(開始剤系)のうちどれだけが有効に使用されているかを示す指標である。開始剤効率(IE)は、以下の式により算出することができる。
開始剤効率(IE)(%) ={[モノマーの分子量×(モノマーのモル数/触媒のモル数)+末端基の分子量]/[得られたポリマーの数平均分子量]} × 100

【0091】
本明細書中、「分子量分布」とは、重量平均分子量(Mw)を、数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)(以下、「PDI」とも称する。)を意味し、この値が1に近いほど、ポリマー化合物の分子量が揃っていることを意味する。後述する実施例に記載の分子量分布は、屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィーにより概算され、ポリスチレン標準により校正されたものである。

【0092】
(本発明の重合開始剤系)
本発明の重合開始剤系は、成分(A):下記式(I):

【0093】
【化18】
JP2020125460A_000019t.gif

【0094】
[式中、
-X-は、下記式:

【0095】
【化19】
JP2020125460A_000020t.gif

【0096】
又は-CH-で表される基を示し、及び
Yは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるロジウム錯体、
成分(B):下記式(II):

【0097】
【化20】
JP2020125460A_000021t.gif

【0098】
[式中、
は、1個以上の置換基を有するアリール基を示し、及び
及びXは、共に水素原子又はアルキル基を示すか、或いは、OX及びOXは、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、置換されていてもよい環状基を形成してもよい。]
で表される化合物、
成分(C):下記式(III):

【0099】
【化21】
JP2020125460A_000022t.gif

【0100】
[式中、
n個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
m個のRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基又は置換アミノ基を示し、
nは、0~3の整数を示し、及び
mは、0~3の整数を示す。]
で表される化合物、
成分(D):置換されていてもよいトリアリールホスフィン、並びに
塩基
を含有することを特徴とする。

【0101】
成分(A)に係るロジウム錯体(ロジウム触媒)としては、前記式(I)中のXが、好ましくは、-CH-であり、且つYが、好ましくは、塩素原子(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー([RhCl(nbd)])(A-1))である。

【0102】
成分(A)に係るロジウム錯体(ロジウム触媒)の別の好ましい態様としては、前記式(I)中のXが、好ましくは、下記式:

【0103】
【化22】
JP2020125460A_000023t.gif

【0104】
で表される基であり、且つYが、好ましくは、塩素原子(すなわち、テトラフルオロベンゾバレレンロジウム(I)クロリドダイマー([RhCl(tfb)])(A-2))である。

【0105】
成分(A)に係るロジウム錯体は、市販品をそのまま使用してもよいし、自体公知の方法(例えば、D. M. Roe, A. G. Massey, J. Organomet. Chem. 1971, 28, 273-279参照)により調製したものを使用することができる。

【0106】
成分(B)に係る化合物の好ましい態様について、以下に説明する。
成分(B)としては、前記式(II)中の
が、好ましくは、1個以上の置換基を有するフェニル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり、特に好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、置換されていてもよいC2-6アルキニル基(例、トリ(イソプロピル)シリルエチニル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、フェニル基により置換されていてもよいC1-6アルキルスルファニル基(例、トリチルスルファニル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、並びに、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり;
及びXが、好ましくは、共に水素原子又はC1-4アルキル基であるか、或いは、OX及びOXが、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、下記式:

【0107】
【化23】
JP2020125460A_000024t.gif

【0108】
で表される環状基を形成し、より好ましくは、共に水素原子であるか、又は、OX及びOXが、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、下記式:

【0109】
【化24】
JP2020125460A_000025t.gif

【0110】
で表される環状基を形成する。

【0111】
好適な成分(B)に係る化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物II-1]
前記式(II)中の
が、1個以上の置換基を有するフェニル基であり;
及びXが、共に水素原子又はC1-4アルキル基であるか、或いは、OX及びOXが、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、下記式:

【0112】
【化25】
JP2020125460A_000026t.gif

【0113】
で表される環状基を形成する、
成分(B)に係る化合物。

【0114】
[化合物II-2]
前記式(II)中の
が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、トリ置換シリル基及び置換アミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり;
及びXが、共に水素原子であるか、又は、OX及びOXが、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、下記式:

【0115】
【化26】
JP2020125460A_000027t.gif

【0116】
で表される環状基を形成する、
成分(B)に係る化合物。

【0117】
[化合物II-3]
前記式(II)中の
が、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、置換されていてもよいC2-6アルキニル基(例、トリ(イソプロピル)シリルエチニル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、フェニル基により置換されていてもよいC1-6アルキルスルファニル基(例、トリチルスルファニル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、並びに、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基からなる群より選択される1個の置換基を有するフェニル基であり;
及びXが、共に水素原子であるか、又は、OX及びOXが、互いに結合して、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、下記式:

【0118】
【化27】
JP2020125460A_000028t.gif

【0119】
で表される環状基を形成する、
成分(B)に係る化合物。

【0120】
成分(B)に係る化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式:

【0121】
【化28】
JP2020125460A_000029t.gif

【0122】
で表される化合物等が挙げられる。

【0123】
成分(B)に係る化合物は、市販品を容易に入手して、そのまま使用することができるか、又は自体公知の方法(例えば、Ishiyama, T. et al., J. Org. Chem. 1995, 60, 7508;Murata, M. et al., J. Org. Chem. 1997, 62, 6458;Ishiyama, T. et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2002, 41, 3056等参照)、若しくはそれに準ずる方法に従って製造することが可能である。

【0124】
成分(C)に係る化合物の好ましい態様について、以下に説明する。
成分(C)としては、前記式(III)中の
n個のRが、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-8アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、或いは、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)又はC1-8アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)であり;
m個のRが、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-8アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、或いは、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)又はC1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)であり;
nが、好ましくは、0又は1であり;及び
mが、好ましくは、0又は1である。

【0125】
好適な成分(C)に係る化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物III-1]
前記式(III)中の
n個のRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-8アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、或いは、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基であり;
m個のRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイル基(例、アセチル、トリフルオロアセチル)、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-7アルカノイルオキシ基(例、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ)、C1-8アルコキシ-カルボニル基、トリC1-4アルキルシリル基、或いは、C1-6アルキルスルホニル、C1-7アルカノイル基、C7-11アロイル基、C7-14アラルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C7-14アラルキルオキシ-カルボニル基及びC6-10アリールスルホニルからなる群より選択される基で置換されたアミノ基であり;
nが、0又は1であり;及び
mが、0又は1である、
成分(C)に係る化合物。

【0126】
[化合物III-2]
前記式(III)中の
n個のRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)又はC1-8アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)であり;
m個のRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)又はC1-8アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)であり;
nが、0又は1であり;及び
mが、0又は1である、
成分(C)に係る化合物。

【0127】
成分(C)に係る化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式:

【0128】
【化29】
JP2020125460A_000030t.gif

【0129】
で表される化合物等が挙げられる。

【0130】
成分(C)に係る化合物は、市販品を容易に入手して、そのまま使用することができるか、又は自体公知の方法(例えば、Coleman, G. H. et al., J. Am, Chem. Soc., 1936, 58, 2310;Sonogashira, K. et al., Tetrahedron Lett. 1975, 4467;Sonogashira, K. In Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions, Diederich, F. and Stang, P. J., Eds., Wiley-VCH: Weinheim, 1998, Chapter 5, pp 203-229等参照)、若しくはそれに準ずる方法に従って製造することが可能である。

【0131】
成分(D)に係る置換されていてもよいトリアリールホスフィンとしては、好ましくは、トリフェニルホスフィン、トリス(メチルフェニル)ホスフィン、トリス(フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(クロロフェニル)ホスフィン等が挙げられる。中でも、特に好ましくは、トリフェニルホスフィン、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン又はトリス(4-クロロフェニル)ホスフィンである。

【0132】
成分(D)に係る置換されていてもよいトリアリールホスフィンは、市販品をそのまま使用することができる。

【0133】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム等の無機塩基類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン,N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、4-エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、1,
5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネン、1,3-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、N-エチルピペリジン、キノリン、イソキノリン、N,N-ジメチルピペラジン、N,N-ジエチルピペラジン、キナルジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、3,5-ルチジン、2,6-ルチジン、4-メチルモルホリン、2,4,6-コリジン等の有機塩基類等が挙げられるが、好ましくは、水酸化カリウムである。

【0134】
置換アセチレンの重合開始剤系での各成分の配合割合は、成分(A)のロジウム錯体1モル(ロジウム触媒のモル数は、二核錯体のモル数を2倍にし、単核錯体として換算した。)に対して、成分(B)は、1.0~2.0モル(好ましくは、1.2~1.8モル、より好ましくは、1.4~1.6モル、特に好ましくは、1.5モル)であり、成分(C)は、1.0~5.0モル(好ましくは、2.0~4.5モル、より好ましくは、2.5~4.0モル、特に好ましくは、3.0モル)であり、成分(D)は、1.0~5.0モル(好ましくは、2.0~4.0モル、より好ましくは、2.5~3.5モル、特に好ましくは、3.0モル)であり、及び塩基は、2.0~3.0モル(好ましくは、2.2~2.8モル、より好ましくは、2.4~2.6モル、特に好ましくは、2.5モル)である。

【0135】
(本発明のポリアセチレンの製造方法)
本発明のポリアセチレンの製造方法は、前述した本発明の重合開始剤系の存在下で、前記式(IV)で表される置換アセチレンを重合反応させることにより、前記式(V)で表される繰り返し単位、及び前記式(VI)で表される末端基を有する置換ポリアセチレンを得る工程を含むことを特徴とする。

【0136】
重合反応に用いる置換アセチレンは、下記式(IV):

【0137】
【化30】
JP2020125460A_000031t.gif

【0138】
[式中、
Rは、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。]
で表される置換アセチレンである。

【0139】
前記式(IV)中のRは、好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルコキシ基、アルコキシ-カルボニル基、及びモノ又はジ置換されていてもよいカルバモイル基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよいアリール基であり、より好ましくは、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、及びモノ又はジ置換されていてもよいカルバモイル基(例、デシロキシアラニルカルバモイル)からなる群より選択される置換基により置換されていてもよいフェニル基である。

【0140】
本重合工程における重合開始剤系の添加量は、本発明の重合開始剤系(ロジウム触媒1モル(ロジウム触媒のモル数は、二核錯体のモル数を2倍にし、単核錯体として換算した。))に対する置換アセチレン(モノマー)のモル比([モノマー]/[Rh])で、10~1000、好ましくは50~500である。

【0141】
本重合工程に使用する溶媒としては、原料を溶解でき、反応に不活性な溶媒であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることもできる。中でも、テトラヒドロフランが好ましい。

【0142】
本重合工程における重合開始剤系の調製時の温度は、使用する成分(A)~(D)及び塩基の種類により適宜好適な温度条件を選択することが好ましいが、通常、-30℃~50℃、好ましくは、-20℃~40℃、より好ましくは、-10℃~30℃である。また、重合開始剤系調製に要する時間は、使用する成分(A)~(D)及び塩基の種類や反応液の濃度等により異なるが、多くの場合、10分以内である。

【0143】
本重合工程における重合反応の温度は、重合を行う置換アセチレン(モノマー)の種類により適宜好適な温度条件を選択することが好ましいが、通常、0℃~60℃、好ましくは、10℃~50℃、より好ましくは、20℃~40℃である。また、重合開始剤系調製後、置換アセチレンを添加してから重合完結までの重合反応時間は、重合を行う置換アセチレンの種類や反応液の濃度等により異なるが、多くの場合、1時間以内である。

【0144】
重合反応終了後、反応液に過剰量の酸(例、酢酸、塩酸等)を加えて重合を停止させた後、当該溶液を大量の貧溶媒(例、メタノール、ジエチルエーテル等)に注ぎ込むことにより沈殿化等を行うことにより、目的とする下記式(V):

【0145】
【化31】
JP2020125460A_000032t.gif

【0146】
[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、並びに下記式(VI):

【0147】
【化32】
JP2020125460A_000033t.gif

【0148】
[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレンを得ることができる。

【0149】
本重合工程における重合反応の反応液中の置換アセチレン(モノマー)の濃度は、置換アセチレンの反応溶媒に対する溶解性により適宜最適化し得るものであり、特に制限されないが、通常、0.1M~1.0Mの濃度範囲内であれば、短時間(1時間以内)で重合反応が完結する。

【0150】
本発明の製造方法において、前記式(IV)で表される置換アセチレンの重合反応は、リビング重合であり、シス特異的に進行する。また、本発明の製造方法は、開始剤効率(IE)が95%以上と極めて高い。

【0151】
本発明の製造方法で得られる置換ポリアセチレンは、数平均分子量(Mn)が、1000~100000であり、好ましくは、5000~50000であり、ゲル浸透クロマトグラフィー測定による分子量分布(Mw/Mn)は、1.20以下(好ましくは、1.10以下)である。

【0152】
(本発明に係る置換アセチレンのブロック共重合体の製造方法)
本発明の製造方法において、前記式(IV)で表される置換アセチレン(第1のモノマー)が消費されたことを確認後、前記式(VII)で表される置換アセチレン(第2のモノマー)を反応液に添加し、混合することにより、下記式(V):

【0153】
【化33】
JP2020125460A_000034t.gif

【0154】
[式中、Rは、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、下記式(VIII):

【0155】
【化34】
JP2020125460A_000035t.gif

【0156】
[式中、R’は、前記と同義を示す。]
で表される繰り返し単位、及び下記式(VI):

【0157】
【化35】
JP2020125460A_000036t.gif

【0158】
[式中、R、R、R、n及びmは、前記と同義を示し、及び
pは、0~2の整数を示す。]
で表される末端基を有する置換ポリアセチレン、すなわち、前記式(IV)で表される置換アセチレン(第1のモノマー)と、前記式(VII)で表される置換アセチレン(第2のモノマー)とのブロック共重合体、を製造することができる。

【0159】
共重合反応に用いる第2の置換アセチレン(第2のモノマー)は、下記式(VII):

【0160】
【化36】
JP2020125460A_000037t.gif

【0161】
[式中、
R’は、それぞれ置換されていてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を示す。ただし、R’は、前記式(V)のRとは異なる基を示す。]
で表される置換アセチレンである。

【0162】
前記式(VII)中のR’は、好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルコキシ基、アルコキシ-カルボニル基、及びモノ又はジ置換されていてもよいカルバモイル基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよいアリール基であり、より好ましくは、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、及びモノ又はジ置換されていてもよいカルバモイル基(例、デシロキシアラニルカルバモイル)からなる群より選択される置換基により置換されていてもよいフェニル基である。

【0163】
本発明の製造方法における重合反応において、前記式(IV)で表される置換アセチレン(第1のモノマー)が消費されたかどうかは、薄層クロマトグラフィー若しくはガスクロマトグラフィーにより容易に確認することが可能である。

【0164】
上記と同様の操作を繰り返すことにより、複数種の置換アセチレンから構成される、分子量の揃ったブロック共重合体を製造することも可能である。

【0165】
本発明の製造方法の特徴として、以下が挙げられる。
1.本発明においては、特殊な重合触媒を調製する必要がなく、本発明の重合開始剤系に含まれる各成分は、安定且つ取扱いが容易であり、また、市販品若しくは市販品から自体公知の方法により容易に入手可能な化合物である。

【0166】
2.本発明の重合開始剤系の調製工程、及び置換アセチレン(モノマー)の重合工程は、各成分、及びモノマーを順次添加して混合するだけで重合反応が効率良く、且つ立体特異的(シス特異的)に進行するので、操作が極めて簡便であり、再現性良く行うことができる。

【0167】
3.本発明の製造方法における重合反応は、リビング重合である。それ故、本発明の重合開始剤系の開始剤効率は、極めて高く(99%以上)、分子量分布も狭く、比較的重合度の低いポリマーから重合度の高いポリマーまで幅広い範囲のポリアセチレンの製造に使用でき、スケールアップも容易である。また、複数種の置換アセチレンを順次添加することにより分子量の揃ったブロック共重合体を得ることも可能である。

【0168】
4.本発明の製造方法により得られるポリマーは、ポリマー末端に、本発明の重合開始剤系に使用するアリールボロン酸誘導体(成分(B))由来の任意の官能基を導入することが可能であり、それにより、当該官能基を足掛かりとして、各種有機材料及び/又は無機材料との融合が可能である。
【実施例】
【0169】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、実施例及び試験例により限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。また、本発明において使用する試薬や原料化合物は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。
【実施例】
【0170】
また、各工程において、反応後の処理は、通常行われる方法で行えばよく、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行えばよい。
【実施例】
【0171】
下記実施例で使用された試薬及び原料化合物である、フェニルアセチレン及び各種ボロン酸誘導体(東京化成工業株式会社(TCI)製)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー(Sigma-Aldrich社製又はUmicore社製)、ジフェニルアセチレン及び水酸化カリウム(和光純薬株式会社製)、トリフェニルホスフィン(ナカライテスク製)、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン(和光純薬株式会社製)、トリス(4-クロロフェニル)ホスフィン(和光純薬株式会社製)、並びにテトラヒドロフラン(脱水)(関東化学株式会社製)は、それぞれ市販品をそのまま使用した。
【実施例】
【0172】
%は、収率についてはmol/mol%を示し、その他については特記しない限り、重量%を示す。また、室温とは、特記しない限り、15から30℃の温度を示す。
H-NMRスペクトルは、JEOL ECA500を用い、重クロロホルムを溶媒として測定した。H-NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、quint=クインテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。赤外分光スペクトルは、日本分光製フーリエ変換赤外分光光度計IR-460を用いて測定した。平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(日本分光製高速液体クロマトグラフィーポンプ PU-2080、日本分光製紫外可視検出器 UV-970、日本分光製カラムオーブン CO-1560、Shodex製カラム KF-805L)によりポリスチレン換算で算出した。
【実施例】
【0173】
[実施例1]
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー(A-1)(成分(A))、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)(成分(B))、ジフェニルアセチレン(C-1)(成分(C))、トリフェニルホスフィン(D-1)(成分(D))及び水酸化カリウム(KOH)を含む本発明の重合開始剤系を用いる、末端が官能基された置換ポリフェニルアセチレンの合成
【実施例】
【0174】
【化37】
JP2020125460A_000038t.gif
【実施例】
【0175】
窒素雰囲気下、10 mLの一口ナスフラスコに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー([RhCl(nbd)])(A-1)(9.2 mg, 0.02 mmol(単核錯体に換算すると、0.04 mmol))、ジフェニルアセチレン(C-1)(21.6 mg, 0.12 mmol)、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)(10.8 mg, 0.06 mmol) にテトラヒドロフラン(THF)(0.2 mL) と50%水酸化カリウム水溶液 (11 μL) を加え、0 ℃で5 分間撹拌した。その後、トリフェニルホスフィン(D-1) (31.5 mg, 0.12 mmol) とTHF(3.8 mL) を加え、そこに、フェニルアセチレン(IV-1)(204 mg, 2 mmol) を加えた後、30 ℃で1時間撹拌した。反応溶液に過剰量の酢酸を加えて重合を停止させた後、その溶液を大量のメタノールに注ぎ込むと黄色の沈殿物が生成した。上澄みを除いて沈殿を減圧下で乾燥することによりポリフェニルアセチレンの黄色粉末状固体 (204 mg, >90% yield) を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求めたポリフェニルアセチレンのポリスチレン換算の数平均分子量(M)は、4,600であり、分子量分布(M/M)は1.07であった。また、H NMRによる末端基定量法によって見積もられた分子量は、約5700であった。本条件での触媒/モノマーのモル比([Rh]/[モノマー])は、1/50であることから、これらの分子量から見積もられた開始剤効率(IE)は、95%以上であった。また、触媒量を増やして得られた分子量3000程度のポリマーを用いて、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)を行ったところ、モノマーの分子量に対応する102 Daを繰り返し単位する複数ピークが観測された。そのピーク中から末端に4-プロポキシフェニル基に加えてジフェニルアセチレンユニットが2分子導入された組成式と一致するピークが観測された(例:calcd for C221H170OAg [M+Ag]+2946.2303, found 2946.2299;23量体に相当)。
IR (KBr, cm-1): 3053, 3020, 1596, 1489, 1444, 738, 696.
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): δ 6.94 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 6.64 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 5.84 (s, 1H), 3.65-3.69 (m, 末端OCH2CH2CH3), 1.60-1.70 (m, 末端OCH2CH2CH3), 0.92 (t, J = 7.5 Hz, 末端OCH2CH2CH3).
【実施例】
【0176】
[実施例2~10]
成分(B)に係る化合物として、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0177】
【化38】
JP2020125460A_000039t.gif
【実施例】
【0178】
で表されるアリールボロン酸誘導体((B-2)~(B-10)のいずれか)を用いた以外は、実施例1と同様の反応条件下でフェニルアセチレン(IV-1)の重合反応を行った(重合開始剤系の調製は、室温下で行った)。以下に、得られた置換ポリアセチレンそれぞれの収率、数平均分子量(M)、分子量分布(M/M)、及び開始剤効率(IE)を下記表1に示す。
【実施例】
【0179】
【表1】
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【実施例】
【0180】
[実施例11~14]
フェニルアセチレン(IV-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0181】
【化39】
JP2020125460A_000041t.gif
【実施例】
【0182】
で表される置換フェニルアセチレン((IV-2)~(IV-5)のいずれか)を、モノマーとして用いた以外は、実施例1と同様の反応条件下で重合反応を行った(ロジウム触媒(A-1)に対して、ジフェニルアセチレン(C-1)を4当量使用し、置換フェニルアセチレンを100当量使用して重合反応を行った)。以下に、得られた置換ポリアセチレンそれぞれの収率、数平均分子量(M)、分子量分布(M/M)、及び開始剤効率(IE)を下記表2に示す。
【実施例】
【0183】
【表2】
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【実施例】
【0184】
[実施例15]
成分(A)に係る化合物として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー(A-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0185】
【化40】
JP2020125460A_000043t.gif
【実施例】
【0186】
で表されるテトラフルオロベンゾバレレンロジウム(I)クロリドダイマー(A-2)を用い、成分(B)に係る化合物として、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)に代えて、前記式(B-2)で表される化合物(4-メチルフェニルボロン酸)を用いた以外は、実施例1と同様の反応条件下で重合反応を行った(ロジウム触媒(A-2)に対して、フェニルアセチレン(IV-1)をモノマーとして100当量使用して重合反応を行った)。その結果、得られたポリアセチレンの収率は、>90%であり、数平均分子量(M)は、4,600であり、分子量分布(M/M)は、1.06であり、及び開始剤効率(IE)は、>95%であった。
【実施例】
【0187】
[実施例16~17]
成分(A)に係る化合物として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー(A-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0188】
【化41】
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【実施例】
【0189】
で表されるテトラフルオロベンゾバレレンロジウム(I)クロリドダイマー(A-2)を用い、成分(B)に係る化合物として、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)に代えて、前記式(B-2)で表される化合物(4-メチルフェニルボロン酸)を用い、さらに成分(D)に係る化合物として、トリフェニルホスフィン(D-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0190】
【化42】
JP2020125460A_000045t.gif
【実施例】
【0191】
で表される置換トリフェニルホスフィン((D-2:実施例16)又は(D-3:実施例17))を用いた以外は、実施例1と同様の反応条件下で重合反応を行った(ロジウム触媒(A-2)に対して、フェニルアセチレン(IV-1)をモノマーとして100当量使用して重合反応を行った)。以下に、得られた置換ポリアセチレンそれぞれの収率、数平均分子量(M)、分子量分布(M/M)、及び開始剤効率(IE)を下記表3に示す。
【実施例】
【0192】
【表3】
JP2020125460A_000046t.gif

【実施例】
【0193】
[実施例18]
成分(C)に係る化合物として、ジフェニルアセチレン(C-1)に代えて、下記式:
【実施例】
【0194】
【化43】
JP2020125460A_000047t.gif
【実施例】
【0195】
で表される置換ジフェニルアセチレン(C-5)を用いた以外は、実施例1と同様の反応条件下で重合反応を行った(ロジウム触媒(A-1)に対して、フェニルアセチレン(IV-1)をモノマーとして100当量使用して重合反応を行った)。その結果、得られたポリアセチレンの収率は、>90%であり、数平均分子量(M)は、4,500であり、分子量分布(M/M)は、1.09であり、及び開始剤効率(IE)は、>95%であった。
【実施例】
【0196】
[実施例19]
本発明の重合開始剤系を用いる、末端が官能基された、2種の置換フェニルアセチレンのブロック共重合体の合成
【実施例】
【0197】
【化44】
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【実施例】
【0198】
窒素雰囲気下、10 mLの一口ナスフラスコに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエンロジウム(I)クロリドダイマー([RhCl(nbd)])(A-1)(9.2 mg, 0.02 mmol.)、ジフェニルアセチレン(C-1)(21.6 mg, 0.12 mmol)、4-プロポキシフェニルボロン酸(B-1)(10.8 mg, 0.06 mmol) にテトラヒドロフラン(THF)(0.2 mL) と50% 水酸化カリウム水溶液 (11 μL) を加え、0 ℃で5 分間撹拌した。その後、トリフェニルホスフィン(D-1)(31.5 mg, 0.12 mmol) とTHF(3.8 mL) を加え、そこに、フェニルアセチレン(IV-1)(204 mg, 2 mmol) を加えた後、30 ℃で1時間撹拌した。その後、4-エトキシカルボニルフェニルアセチレン(IV-2)(348 mg, 2 mmol) を第2のモノマー(前記式(VII)の化合物)として加え、さらに30 ℃で1時間撹拌した。反応溶液に過剰量の酢酸を加えて重合を停止させた後、その溶液を大量のメタノールに注ぎ込むと黄色の沈殿物が生成した。上澄みを除いて沈殿を減圧下で乾燥することによってブロック共重合体の黄橙色粉末状固体 (524 mg, >90 % yield) を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求めたブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(M)は、12,000であり分子量分布(M/M)は、1.08であった。また、1H NMR による末端基定量法によって見積もられた分子量は、約14,000であった。
IR (KBr, cm-1): 2982, 1718, 1274, 698.
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): δ 7.63 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 6.88-7.04 (m, 3H), 6.58-6.71 (m, 4H), 5.77-5.91 (m, 2H), 4.24-4.33 (m, 2H), 3.66 (td, J = 14.9, 7.3 Hz, 末端OCH2CH2CH3), 1.32 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 0.90 (t, J = 7.4 Hz, 末端OCH2CH2CH3), 末端OCH2CH2CH3のシグナルは、1.32 ppmのシグナルと重なっている.
【実施例】
【0199】
[実施例20~23]
ロジウム触媒(A-1)に対する、フェニルアセチレン(IV-1)の当量数(モル比)([モノマー]/[Rh])を変更した以外は、実施例1と同様の反応条件下でフェニルアセチレン(IV-1)の重合反応を行ったところ、いずれもほぼ定量的にポリフェニルアセチレンが得られた。以下に、得られた置換ポリアセチレンそれぞれの数平均分子量(M)、及び分子量分布(M/M)を下記表4に示す。
【実施例】
【0200】
【表4】
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【実施例】
【0201】
表4によれば、数平均分子量から見積もられた開始剤効率は非常に高く(最高99%以上)、ポリフェニルアセチレンの重合度は、[モノマー]/[Rh]のモル比に対応することが分かった。したがって、本発明の製造方法によれば、[モノマー]/[Rh]のモル比を任意に選択することにより、分子量を制御することが可能である。
【実施例】
【0202】
[実施例24]
立体規則性(シス特異性)の確認
【実施例】
【0203】
表4の実施例23の数平均分子量50,000のポリフェニルアセチレンのH NMRスペクトル(図1)では、5.8 ppm付近に主鎖のプロトンに由来する鋭いシグナルが観測されたことから、本重合触媒系で合成したポリフェニルアセチレンは、非常に高い立体規則性(シス-トランソイド構造)を有していることが示唆された。ポリフェニルアセチレンのシス含量は、% cis = [Aa/{(Aa + Ab + Ac)/6}] × 100(Aは各ピークの面積)の式によって算出できることが報告されていることから(C. I. Simionescu, V. Percec, S. Dumitrescu. J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 15, 2497 (1977)参照)、本発明の製造方法により得られたポリアセチレンのシス含量は、ほぼ100%であると算出された。
【実施例】
【0204】
[実施例25]
ポリアセチレン末端への官能基導入の確認
【実施例】
【0205】
実施例1で得られたポリフェニルアセチレンのH NMRスペクトルから、0.9 ppm、1.65 ppm及び3.7 ppm付近に、プロポキシ基に由来するシグナルa、b及びcがそれぞれ観測された(図2)。
また、高分子主鎖のオレフィン部分とプロポキシ基由来のプロトンのピークの積分比は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から算出された数平均分子量と概ね一致することが確認された。
【実施例】
【0206】
[実施例26]
高分子終末端での重合活性維持について(リビング重合であること)の確認
【実施例】
【0207】
実施例1と同様の条件下で、フェニルアセチレン(モノマー)が完全に消費された重合開始から1時間後に、さらに同量のフェニルアセチレンを追加して得られたポリフェニルアセチレンのSEC測定の結果を図3に示した。
図3によれば、重合開始から1時間後に得られたポリマー(図3中の破線)に対して、さらに同量のフェニルアセチレンを追加して得られたポリフェニルアセチレン(図3中の実線)の数平均分子量は、約2倍になり、分子量分布は、1.1以下という狭い値を保持したままであった。以上の結果から、本重合系では、モノマーが完全に消費された後も、高分子終末端が重合活性を維持していること、すなわち、リビング重合であること、が確認された。
【実施例】
【0208】
また、図4に示されるように、実施例19で示した2種の置換フェニルアセチレンのブロック共重合体の調製においても同様の挙動、すなわち、高分子終末端が重合活性を維持していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の重合開始剤系によれば、特殊な触媒を調製することなく、簡便な操作により、一置換アセチレンの精密重合(立体特異性リビング重合)が可能である。また、本発明の重合開始剤系は、高活性、高いシス選択性(シス特異性)、且つ高いリビング性を示すだけでなく、末端に置換基を有する置換ポリアセチレンを容易に合成できることから、従来法ではポリアセチレン末端に導入するのが難しい機能性官能基を、簡便且つ自在に導入できるという利点も有する。さらに、本発明の重合開始剤系を用いる置換ポリアセチレンの製造方法は、複数種のモノマーの組み合わせによりブロック共重合体を得ることも可能であり、分子量分布も狭く、且つスケールアップも可能であることから、各種機能性高分子材料の原料合成法としても極めて有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3