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明細書 :情報提示システム、情報提示処理装置及びそのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-095421 (P2020-095421A)
公開日 令和2年6月18日(2020.6.18)
発明の名称または考案の名称 情報提示システム、情報提示処理装置及びそのプログラム
国際特許分類 G08G   1/16        (2006.01)
B60W  50/14        (2020.01)
B60W  50/16        (2020.01)
FI G08G 1/16 F
B60W 50/14
B60W 50/16
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2018-232076 (P2018-232076)
出願日 平成30年12月12日(2018.12.12)
発明者または考案者 【氏名】亀▲崎▼ 允啓
【氏名】富田 智哉
【氏名】河野 陽大
【氏名】マナワドゥ ウダーラ
【氏名】菅野 重樹
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
テーマコード 3D241
5H181
Fターム 3D241BA59
3D241BA60
3D241BA70
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DC01Z
3D241DC22Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC51Z
3D241DD04Z
3D241DD07Z
3D241DD13Z
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF12
5H181FF22
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
要約 【課題】自動車の運転者等の対象者の各種の感覚上の負荷の状態に応じ、当該対象者に適切に情報伝達すること。
【解決手段】情報提示システム10は、入力情報を取得する入力情報取得手段11と、対象者の幾つかの感覚を通じて出力情報を伝達可能に作動する情報伝達手段12と、入力情報に基づき出力情報を生成し、出力情報に従って情報伝達手段12を作動させる情報提示処理装置13とを備えている。入力情報取得手段11では、入力情報として、出力情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、出力情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とが取得される。情報提示処理装置13では、伝達影響情報から対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を感覚毎に推定し、出力情報の種類に応じて当該出力情報を提示するタイミングを調整しながら負荷の少ない感覚を通じて出力情報を提示する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の入力情報に基づいて生成された出力情報を対象者に提示する情報提示システムにおいて、
前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、前記対象者の幾つかの感覚を通じて当該対象者に前記出力情報を伝達可能に作動する情報伝達手段と、前記入力情報に基づき前記出力情報を生成し、当該出力情報に従って前記情報伝達手段を作動させる情報提示処理手段とを備え、
前記入力情報取得手段では、前記入力情報として、前記出力情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、前記出力情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とが取得され、
前記情報提示処理手段では、前記伝達影響情報から、前記対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定し、前記出力情報の種類に応じて当該出力情報を提示するタイミングを調整しながら、前記負荷の少ない前記感覚を通じて前記出力情報を前記情報伝達手段から前記対象者に伝達させることを特徴とする情報提示システム。
【請求項2】
所定の入力情報に基づいて生成された出力情報を対象者に提示する情報提示システムにおいて、
前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、前記対象者の幾つかの感覚を通じて当該対象者に前記出力情報を伝達可能に作動する情報伝達手段と、前記入力情報に基づき前記出力情報を生成し、当該出力情報に従って前記情報伝達手段を作動させる情報提示処理手段とを備え、
前記入力情報取得手段では、前記入力情報として、前記出力情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、前記出力情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とが取得され、
前記情報提示処理手段は、前記要素情報から前記提示内容を特定する提示内容特定部と、前記伝達影響情報から、前記対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定する負荷状態推定部と、前記提示内容特定部での特定及び前記負荷状態推定部での推定に基づき前記提示内容を調整する伝達情報調整部とを備え、
前記伝達情報調整部は、前記調整後の前記出力情報を前記負荷の少ない感覚を通じて前記対象者に伝達するように、前記情報伝達手段を作動させることを特徴とする情報提示システム。
【請求項3】
前記提示内容特定部では、予め記憶されたデータベースにより、前記提示内容として、前記出力情報の種類と、その提示タイミングと、情報伝達すべき前記各感覚の優先順位とが、前記要素情報に対応して特定されることを特徴とする請求項2記載の情報提示システム。
【請求項4】
前記負荷状態推定部では、予め記憶されたデータベースにより、前記負荷として、視覚上の視覚的負荷と、聴覚上の聴覚的負荷と、触覚上の触覚的負荷とが、前記伝達影響情報に対応して推定されることを特徴とする請求項2記載の情報提示システム。
【請求項5】
前記伝達情報調整部では、前記各感覚における前記負荷の程度と、これら各負荷の状態を総合して前記対象者に伝達する前記感覚の優先度との関係が予め記憶されており、当該優先度及び前記提示内容から前記出力情報を提示すべき前記感覚を特定し、当該感覚を通じて情報伝達されるように前記情報伝達手段を作動させることを特徴とする請求項2記載の情報提示システム。
【請求項6】
前記情報提示処理手段は、前記対象者への情報伝達における達成度を判定し、当該達成度に応じた処理を行う達成度判定処理部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の情報提示システム。
【請求項7】
所定の入力情報に基づき、自動車の運転に際する注意喚起情報を含む各種の運転支援情報を生成して運転者に提示する情報提示システムにおいて、
前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、前記運転者の幾つかの感覚を通じて当該運転者に前記運転支援情報を伝達可能に作動する情報伝達手段と、前記入力情報に基づき前記出力情報を生成し、当該出力情報に従って前記情報伝達手段を作動させる情報提示処理手段とを備え、
前記入力情報取得手段では、前記入力情報として、前記運転支援情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、前記運転支援情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とを含んで取得され、
前記情報提示処理手段では、前記伝達影響情報から、前記運転者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定し、前記運転支援情報の種類に応じて当該運転支援情報を提示するタイミングを調整しながら、前記負荷の少ない前記感覚を通じて前記運転支援情報を前記情報伝達手段から前記運転者に伝達させることを特徴とする情報提示システム。
【請求項8】
所定の入力情報に基づき、対象者の幾つかの感覚を通じて当該対象者に所定の出力情報を提示するための処理を行う情報提示処理装置において、
前記対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定する負荷状態推定部と、当該負荷の推定に基づき、前記出力情報を提示する前記感覚を選択する伝達情報調整部とを備え、
前記負荷状態推定部では、前記対象者への前記出力情報の伝達に影響を与える前記入力情報に基づいて前記負荷の状態が推定され、
前記伝達情報調整部では、前記負荷の少ない前記感覚を通じて前記出力情報が前記対象者に伝達されるように、前記出力情報の提示に用いる前記感覚が選択されることを特徴とする情報提示処理装置。
【請求項9】
所定の入力情報に基づき、対象者の幾つかの感覚を通じて当該対象者に所定の出力情報を提示するための処理を行う情報提示処理装置のプログラムにおいて、
前記対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定する負荷状態推定部と、当該負荷の推定に基づき、前記出力情報を提示する前記感覚を選択する伝達情報調整部としてコンピュータを機能させ、
前記負荷状態推定部では、前記対象者への前記出力情報の伝達に影響を与える前記入力情報に基づいて前記負荷の状態が推定され、
前記伝達情報調整部では、前記負荷の少ない前記感覚を通じて前記出力情報が前記対象者に伝達されるように、前記出力情報の提示に用いる前記感覚が選択されることを特徴とする情報提示処理装置のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の対象者に対し、当該対象者の種々の感覚を通じて各種情報を効果的に伝達するための情報提示システム、情報提示処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の自動車社会では、交通事故削減件数の限界が大きな課題となっており、その対策として、近年、完全自動運転の実現を視野に入れた高度知能化運転技術が注目されている。これまでは、限定的な環境での自動運転の実現のみならず、運転者の認知、判断、操作を支援する多種多様な技術が実装され、当該技術が実装された運転者支援システムに対しては、交通事故の削減や運転者の負担軽減が期待されている。ところが、自動車事故原因の7割以上が、運転者の危険状態の認識不足であると言われており、前記運転者支援システムでは、様々な支援がなされているにも関わらず、交通事故が発生してしまう要因として、運転者の注意容量の限界が考えられる。例えば、交通量が多く、標識や歩行者等の視覚的認知に基づく情報が多い状況では、運転者の視覚的な注意量が他の感覚に対して増加する。このような状況で、映像等を用いた注意喚起等の視覚的支援がなされると、運転者の視覚的認知負荷が更に高まり、運転者のパフォーマンスが低下してしまう。しかも、個人差はあるものの、注意容量が限界を超えると、運転者への支援が看過されてしまう虞もある。
【0003】
特許文献1には、車両の注意喚起装置が開示されている。この注意喚起装置では、車両の走行状態から運転者の注意力レベルを推定し、車両の異常挙動が検出されると、聴覚、視覚、触覚による注意喚起情報を運転者に提示するようになっている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2016-162015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の注意喚起装置にあっては、運転者の状態や周囲の環境等、情報伝達に影響する各種状況を考慮することなく、注意力レベルが低下して車両の異常挙動が検出したときに、一律の注意喚起がなされる。従って、運転者の状況や周囲の環境等により、注意喚起する時点で運転手の負荷が高い感覚が存在している場合に、当該感覚に対しても注意喚起情報が与えられてしまう。その結果、折角の注意喚起を有効に運転者に効果的に伝達できず、運転支援として必ずしも十分とは言えない。すなわち、例えば、周囲の自動車や歩行者の密度が高い場合や、夜間や雨中の運転等の視界の悪い場合等においては、運転者の視覚認知に対する負荷が高く、この場合、ディスプレイ表示等の視覚を通じた注意喚起は、運転者への伝達効果が低くなる。また、例えば、車内外の音量が高い場合や、運転者が聴取する音源の位置や音の種類が多いような場合等においては、運転者の聴覚認知に対する負荷が高く、この場合に、車内スピーカの音の発生等の聴覚を通じた注意喚起は、運転者への伝達効果が低くなる。これら場合のように、負荷が高い感覚に対して更に情報が提示されると、運転者の心理的負担が大きくなり、逆に、運転者の注意意識が更に散漫になり得る。
【0006】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、自動車の運転者等の対象者の各種の感覚上の負荷の状態に応じ、当該対象者に適切に情報伝達することができる情報提示システム、情報提示処理装置及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、所定の入力情報に基づいて生成された出力情報を対象者に提示する情報提示システムにおいて、前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、前記対象者の幾つかの感覚を通じて当該対象者に前記出力情報を伝達可能に作動する情報伝達手段と、前記入力情報に基づき前記出力情報を生成し、当該出力情報に従って前記情報伝達手段を作動させる情報提示処理手段とを備え、前記入力情報取得手段では、前記入力情報として、前記出力情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、前記出力情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とが取得され、前記情報提示処理手段では、前記伝達影響情報から、前記対象者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を前記感覚毎に推定し、前記出力情報の種類に応じて当該出力情報を提示するタイミングを調整しながら、前記負荷の少ない前記感覚を通じて前記出力情報を前記情報伝達手段から前記対象者に伝達させる、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、入力情報として、出力情報の伝達に影響を与える伝達影響情報が取得され、この伝達影響情報から、対象者の感覚上の負荷の状態が感覚毎に推定され、その結果を利用して出力情報の提示が調整される。換言すれば、対象者が情報を受領する時点において、当該対象者において情報吸収容量に余裕のある感覚が特定され、当該感覚を通じて出力情報が対象者に提示されることになり、当該出力情報が対象者に適切に伝わり易くなる。また、出力情報の種類に応じて提示タイミングを決めることで、出力情報を効果的に対象者に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る情報提示システムの全体構成を表したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0011】
図1には、本実施形態に係る情報提示システムの全体構成を表したブロック図が示されている。この図において、前記情報提示システム10は、所定の入力情報に基づき、自動車の運転に際する注意喚起情報を含む各種の運転支援情報(出力情報)を生成して運転者(対象者)に提示するシステムである。

【0012】
この情報提示システム10は、各種の入力情報を取得する入力情報取得手段11と、運転者の各種の感覚を通じて運転支援情報を伝達可能に作動する情報伝達手段12と、入力情報取得手段11からの入力情報に基づき運転支援情報を生成し、当該運転支援情報に応じて情報伝達手段12を作動させる情報提示処理手段として機能する情報提示処理装置13とを有している。

【0013】
前記入力情報取得手段11では、入力情報として、運転支援情報の提示内容を特定するための要素からなる要素情報と、運転支援情報の伝達に影響を与える伝達影響情報とが取得される。

【0014】
この入力情報取得手段11は、運転者の運転環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部15と、運転者の状態に関する運転者情報を取得する運転者情報取得部16と、運転者の運転行動に関する行動情報を取得する行動情報取得部17と、外部から運転者に伝達される外部情報を取得する外部情報取得部18とにより構成される。

【0015】
前記環境情報取得部15は、自動車の周囲に存在する人や物等の物体の存在及び位置関係を表す車両周辺情報を検出可能な測域センサ等のセンサ類と、外部で生成された地図情報や渋滞情報等の道路交通情報等を受信可能な受信機器類と、自動車の車内の音量や音源数を検出可能に複数箇所に配置されたマイク類と、自動車に付与される振動や遠心力等を検出可能な加速度センサや振動センサ等のセンサ類とを含む。これらにより取得、検出された環境情報は、その種類に応じ、前記要素情報や前記伝達影響情報として利用される。

【0016】
前記運転者情報取得部16は、運転者の状態を検知可能なカメラやセンサ等及びその周辺機器からなり、当該検知結果から、公知の手法により、運転者の顔の向きの特定や、運転者の目の動きによる眠気判定や、心拍数、脳波等のバイタルデータに基づく運転者の精神的負担の推定等を行えるようになっている。ここで取得された運転者情報は、主として、前記要素情報として利用される。

【0017】
前記行動情報取得部17は、運転者によるウインカー操作や、運転者によるハンドル操作による操舵角や、ブレーキやアクセルの操作による運転時の速度変化等を各種の車載センサで検知することにより、運転者の運転行動の状態を推定可能になっている。ここで取得された行動情報は、主として、前記要素情報として利用される。

【0018】
前記外部情報取得部18は、スマートフォン等の端末からなり、所定のタイミングで外部情報を受信可能となっている。ここで取得された外部情報は、主として、前記要素情報として利用される。

【0019】
前記情報伝達手段12は、運転者の視覚を通じて運転支援情報を伝達する視覚伝達装置20と、運転者の聴覚を通じて運転支援情報を伝達する聴覚伝達装置21と、運転者の触覚を通じて運転支援情報を伝達する触覚伝達装置22とからなる。

【0020】
前記視覚伝達装置20は、運転者が視認可能となる所定の文字や画像からなる視覚情報を表示する画像表示装置からなる。この画像表示装置としては、特に限定されるものではないが、自動車のフロントウインドウの下側に視覚情報を提示可能なヘッドアップディスプレイ等を例示できる。例えば、運転支援情報が注意喚起情報である場合には、自動車の前後左右における周囲を8方向に分割し、どの方向における注意喚起なのかを運転者が視認するためのマーク等を表示可能となっている。

【0021】
前記聴覚伝達装置21は、運転者が聴取可能となる所定の音からなる聴覚情報を発する音発生装置からなる。この音発生装置としては、特に限定されるものではないが、運転者の周囲8方向からそれぞれ独立して所定音を発生するスピーカを例示でき、例えば、運転支援情報が注意喚起情報である場合、どの方向における注意喚起なのかを運転者が識別可能に車内の複数箇所に配置される。

【0022】
前記触覚伝達装置22は、運転者に触覚情報として所定の振動を付与する振動発生装置からなる。この振動発生装置は、特に限定されるものではないが、運転者が着座するシート内の8か所にそれぞれ独立して振動可能に配置され、例えば、運転支援情報が注意喚起情報である場合、前記8か所に対応する8方向のどの方向における注意喚起なのかを運転者が感知可能に設けられる。

【0023】
なお、前記情報伝達手段12としては、各種の感覚を通じて各種の運転支援情報を伝達できる限りにおいて、他の様々なヒューマンインターフェースを適用可能である。

【0024】
前記情報提示処理装置13は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等を有するコンピュータからなり、当該コンピュータを以下の各部として機能させるためのプログラムがインストールされている。

【0025】
この情報提示処理装置13は、前記伝達影響情報から、運転者の各感覚における情報吸収能力の容量に対応する負荷の状態を感覚毎に推定し、運転支援情報の種類に応じて当該運転支援情報を提示するタイミングを調整しながら、負荷の少ない感覚を通じて運転支援情報を所定の情報伝達手段12から運転者に伝達させるようになっている。

【0026】
すなわち、情報提示処理装置13は、前記要素情報から運転支援情報の提示内容を特定する提示内容特定部24と、前記伝達影響情報から運転者の感覚毎の負荷の状態を推定する負荷状態推定部25と、提示内容特定部24での特定及び負荷状態推定部25での推定に基づき、提示内容特定部24で特定された提示内容を調整する伝達情報調整部26と、運転者への情報伝達における達成度を判定し、当該達成度に応じた処理を行う達成度判定処理部27とを備えている。

【0027】
前記提示内容特定部24では、先ず、入力情報のうち要素情報により、何等かの情報提示の必要性の有無が判断される。そして、当該情報提示が必要であると判断された場合には、予め記憶されたデータベースに基づき、各種の要素情報の中から、提示内容として、運転支援情報の種類と、その提示タイミングと、情報伝達すべき3種の感覚である視覚、聴覚、触覚の優先順位とが特定される。

【0028】
例えば、運転者情報取得部16により、運転者の居眠り状態である旨の運転者情報が、前記要素情報として検知された場合においては、次のように提示内容が特定される。すなわち、前記データベースから、運転支援情報として、運転者に居眠り状態を解除するための警報となる注意喚起情報が選択されるとともに、情報提示タイミングとして、今すぐに情報提示することが選択され、更に、情報提示する感覚の優先順位を聴覚、触覚の順とし、視覚による情報提示は行わない旨特定される。

【0029】
また、例えば、環境情報取得部15により、ある程度先の進行ルートの所定地点で交通渋滞や通行止め等が存在する旨の環境情報が、前記要素情報として取得された場合においては、次のように提示内容が特定される。すなわち、前記データベースから、運転支援情報として、運転者に迂回ルートを提案するルート提案情報が選択されるとともに、情報提示タイミングとして、次の交差点までの所定の時間内に情報提示することが選択され、更に、情報提示する感覚の優先順位を視覚、聴覚の順とし、触覚による情報提示は行わない旨特定される。

【0030】
前記負荷状態推定部25では、予め記憶されたデータベースを用いて、運転者の感覚上の負荷として、視覚上の負荷である視覚的負荷と、聴覚上の負荷である聴覚的負荷と、触覚上の負荷である触覚的負荷とが推定される。これら各負荷は、前記データベースにより、入力情報のうち伝達影響情報によって把握される後述の各パラメータに応じ、低い状態から高い状態までの複数段階や数値等で特定される。

【0031】
前記視覚的負荷におけるパラメータとしては、特に限定されるものではないが、自動車の周囲の交通量、当該周囲の歩行者数、当該周囲の標識の数、降雨量、及び日中夜間の別等を例示できる。

【0032】
前記触覚的負荷におけるパラメータとしては、特に限定されるものではないが、運転者が聴取する音量や音源数等を例示できる。

【0033】
前記触覚的負荷におけるパラメータとしては、特に限定されるものではないが、道路による車体の振動状態や慣性力の大きさ等を例示できる。

【0034】
前記伝達情報調整部26では、提示内容特定部24で特定された提示内容について、負荷状態推定部25で推定された運転者の各感覚上の負荷の状態に基づいて、運転支援情報を提示すべき情報伝達手段12の何れかの装置20~22を決定し、当該装置20~22を作動させる指令を行うようになっている。ここでは、予め行った実験に基づくデータによりデータベースに記憶された関係、すなわち、視覚的負荷、聴覚的負荷、及び触覚的負荷のそれぞれの程度(大きさや段階)と、これら各負荷の状態を総合して運転者に伝達する感覚の優先度との関係が用いられる。


【0035】
例えば、視界の悪い雨中の夜間運転で、交通量や歩行者や標識等、運転者の視界に存在する物体が多いものの、運転者が聴取する音量が少ない静かな場合には、負荷状態推定部25により、視覚よりも、聴覚や触覚の方が情報吸収に余裕があるとされる。そこで、伝達情報調整部26では、提示内容特定部24で特定された提示内容と対比し、次の処理が行われる。例えば、提示内容特定部24では、該当する運転支援情報を提示する感覚として視覚が最優先とされ、触覚での伝達が不適切とされたときに、伝達情報調整部26では、負荷状態推定部25の推定結果から、情報提示する対象の感覚を視覚から聴覚に変更し、音による運転支援情報が聴覚伝達装置21に伝送される。

【0036】
つまり、伝達情報調整部26では、提示内容特定部27で特定された情報提示タイミングにおいて負荷状態推定部25で推定された運転者の各感覚の負荷の優先度と、提示内容特定部27で決定された情報伝達すべき各感覚の優先順位とを勘案し、当該タイミングにおいて情報提示に最適となる負荷の少ない感覚が選択され、当該感覚に対応する情報伝達手段12の各装置20~22の何れかにより情報提示が行われる。

【0037】
前記達成度判定処理部27では、情報伝達手段12から注意喚起情報等の運転支援情報が提示された後、所定の時間毎に、入力情報取得手段11からの要素情報に基づいて、既に提示された運転支援情報が効果的に伝達されたか否かが判定される。そして、注意喚起すべき危険状態が未だ回避されていない等、当該運転支援情報が効果的に運転者に伝達されていないと判定された場合には、再度、負荷状態推定部25及び伝達情報調整部26での前述の処理を経て情報提示が再度行われる。なお、同一の運転支援情報が運転者の同一の感覚に繰り返し提示されるような場合には、伝達情報調整部26で、情報伝達の強度を前段階よりも更に強くしても良い。一方、注意喚起すべき危険状態が回避された等、運転支援情報が効果的に運転者に伝達されたと判定された場合には、以降、同一の運転支援情報の提示が行われない。

【0038】
以上の構成の情報提示システム10による運転者支援について、支援事例を挙げながら以下に説明する。

【0039】
第1の支援事例としては、車線変更時に注意喚起を行う運転支援情報の提示が挙げられる。当該事例においては、運転者が、車線変更を行う際に変更先の目的車線の後方車両に気付かずに目的車線に進入しようとウインカーを操作した場合等が該当する。このとき、後方車両の存在及び位置関係に係る環境情報とウインカー操作に係る行動情報とが、前記要素情報として入力情報取得手段11で取得される。そして、提示内容特定部24では、注意喚起情報の種類として、危険対象物となる他の車両がウインカー操作方向の後方に存在する旨の警告情報が特定される。また、ここでは、当該注意喚起情報を直ぐのタイミングに伝達すべきと判断されるとともに、この注意喚起情報については、運転者に情報伝達する感覚の優先順位として視覚、聴覚、触覚の順とされる。ところが、前記伝達影響情報から、現時点の状況として、豪雨の下の夜間走行で、且つ、他の車両密度が高いような場合には、負荷状態推定部25で視覚と聴覚の負荷が高いと判断される。そこで、伝達情報調整部26では、提示内容特定部24で特定された注意喚起情報の提示の優先順を変更し、現時点の状況に応じて最も効果的に運転者に伝達され得る触覚が選択される。そして、触覚伝達装置22により、目的車線の後方車両の位置に対応するシートの部分を振動させることで、運転者に他の車両の存在を気付かせ易くする。

【0040】
第2の支援事例としては、運転者の脇見運転時に注意喚起を行う運転支援情報の提示が挙げられる。当該事例においては、運転者の顔の向きから検知される運転者の脇見運転状態に係る運転者情報が、前記要素情報として入力情報取得手段11で取得される。そして、提示内容特定部24では、注意喚起情報の種類として、運転者に対して脇見運転を止め、前方に注意を向ける旨の警告情報が特定される。また、ここでは、当該注意喚起情報を直ぐのタイミングに伝達すべきと判断されるとともに、この注意喚起情報については、運転者に情報伝達する感覚の優先順位として聴覚、触覚の順とされ、視覚での伝達は行わないとされる。ところが、前記伝達影響情報から、現時点の状況として、交通量は少ないものの車内に音楽が鳴り響いているような場合には、負荷状態推定部25で聴覚の負荷が高いと判断される。そこで、伝達情報調整部26では、提示内容特定部24で特定された感覚の中から聴覚の選択が除外され、現時点の状況に応じて最も効果的に運転者に伝達され得る触覚が選択される。そして、シートに設けられた触覚伝達装置22の全ての部分を振動させることで、運転者に脇見運転を止めさせるように注意喚起する。

【0041】
第3の支援事例としては、渋滞情報に基づく迂回ルートを提案する運転支援情報の提示が挙げられる。当該事例においては、渋滞情報等を含む環境情報が、前記要素情報として入力情報取得手段11で取得される。そして、提示内容特定部24では、探索した迂回ルートが運転支援情報として特定され、迂回すべき地点が迫っている等の状況に応じて当該情報の提示タイミングが特定される。また、この場合、視覚での情報提示は、聴覚に比べて運転者が理解する時間が長いとされることから、運転者に情報伝達する感覚の優先順位として聴覚、視覚の順とされ、情報の性質上、触覚での伝達は除外される。ここで、前記伝達影響情報から、提示タイミング時の状況として、交通量が少なく、車内の環境音も静かであるような場合には、負荷状態推定部25で全ての感覚の負荷が高くないと判断される。そこで、伝達情報調整部26では、提示内容特定部24で特定された前述の感覚の中から、直ぐに運転者に伝達可能となる聴覚が、現状で最も効果的に運転者に伝達され得る感覚として選択される。そして、聴覚伝達装置21から発生する音声により迂回ルートが提案される。

【0042】
以上、本実施形態によれば、運転時の注意喚起を行う運転支援情報を提示する場合に、情報提示タイミングでの環境等の状況に応じて運転者の注意容量の状態を推定し、当該注意容量が少ない感覚を選択して、運転者に対して注意喚起情報を効果的に伝達することができ、注意容量限界を超えた感覚に対する無駄な情報伝達を抑制することができる。

【0043】
なお、前述した各種の入力情報や運転支援情報については、例示的な説明であり、これら情報の内容については、特に限定されるものではない。

【0044】
また、前記実施形態では、自動車の運転者を対象者として、注意喚起情報を含む各種の運転支援情報を提示する場合を図示説明したが、本発明はこれに限らず、様々な出力情報を所定の対象者に提示するシステム全般に適用可能である。

【0045】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 情報提示システム
11 入力情報取得手段
12 情報伝達手段
13 情報提示処理装置(情報提示処理手段)
24 提示内容特定部
25 負荷状態推定部
26 伝達情報調整部
27 達成度判定処理部
図面
【図1】
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