TOP > 国内特許検索 > 分析用シート > 明細書

明細書 :分析用シート

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-051873 (P2020-051873A)
公開日 令和2年4月2日(2020.4.2)
発明の名称または考案の名称 分析用シート
国際特許分類 G01N   1/28        (2006.01)
FI G01N 1/28 U
G01N 1/28 J
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2018-180966 (P2018-180966)
出願日 平成30年9月26日(2018.9.26)
発明者または考案者 【氏名】瀬藤 光利
【氏名】山崎 文義
【氏名】中嶋 裕子
出願人 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100131705、【弁理士】、【氏名又は名称】新山 雄一
【識別番号】100190621、【弁理士】、【氏名又は名称】崎間 伸洋
審査請求 未請求
テーマコード 2G052
Fターム 2G052AA28
2G052AA33
2G052AA35
2G052AA37
2G052DA05
2G052DA21
2G052FA00
2G052GA11
2G052GA15
2G052GA24
2G052GA31
2G052JA04
2G052JA08
2G052JA15
2G052JA16
要約 【課題】組織切片等のハンドリングに好適な分析用シートを提供すること。
【解決手段】プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む分析用シート。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む分析用シート。
【請求項2】
不織布、不織紙、樹脂及び金属よりなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の分析用シート。
【請求項3】
前記樹脂が、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む、請求項2に記載の分析用シート。
【請求項4】
組織切片ハンドリング用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の分析用シート。
【請求項5】
イメージング分析用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の分析用シート。
【請求項6】
プロトン供与性基を含む樹脂、電子受容性基を含む樹脂、プロトン供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含み、ポジティブモード用である、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析用シート。
【請求項7】
プロトン受容性基を含む樹脂、電子供与性基を含む樹脂、プロトン受容物質及び電子供与物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含み、ネガティブモード用である、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析用シート。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、組織切片等のハンドリングに好適な分析用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
凍結生体組織薄切片の作製(切り出し)作業は、ミクロトームを用い作業者が行っている。固形試料には主として生体試料をパラフィン包埋したものが用いられ、これを切断し薄切片を作製する。この薄切片作製工程において、切断中及び切断工程終了後の薄切片のハンドリングが重要かつ困難な作業となっていることが知られている。
例えば、特許文献1には、薄切片支持用粘着性プラスチックフィルムを使用した生物組織薄切片作製方法が開示されている。
【0003】
また、上記凍結生体組織薄切片を分析に供するまでのハンドリングについても、往々にして作業者の技術等の習熟度を要し、仮に作業者の習熟度が高かったとしても、上記薄切片の物理化学的性質、分析環境等に起因して分析データの精度、再現性及び定量性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-37434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであって、組織切片等の被分析物のハンドリングに好適な分析用シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、SET(Sheet Enhanced Technology)に基づき、プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む分析用シート(iDS:Ion Donor Sheet)を凍結生体組織薄切片に貼り合せてハンドリングすることにより、少なくとも作業者の習熟度による影響を排除して、分析データの精度、再現性及び定量性を向上し得ることを見出した。本発明は、この知見に基づき完成するに至ったものである。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0007】
(1)プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む分析用シート。
(2)不織布、不織紙、樹脂及び金属よりなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、(1)に記載の分析用シート。
(3)前記樹脂が、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む、(2)に記載の分析用シート。
(4)組織切片ハンドリング用である、(1)~(3)のいずれか1項に記載の分析用シート。
(5)イメージング用である、(1)~(4)のいずれか1項に記載の分析用シート。
(6)プロトン供与性基を含む樹脂、電子受容性基を含む樹脂、プロトン供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含み、ポジティブモード用である、(1)~(5)のいずれか1項に記載の分析用シート。
(7)プロトン受容性基を含む樹脂、電子供与性基を含む樹脂、プロトン受容物質及び電子供与物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含み、ネガティブモード用である、(1)~(5)のいずれか1項に記載の分析用シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分析用シートは、組織切片等の被分析物のハンドリングに好適であり、少なくとも作業者の習熟度による影響を排除して、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ラット脳の凍結切片のイメージング質量顕微鏡解析結果を示す図である。
【図2】ラット脳の凍結切片のイメージング質量顕微鏡解析結果を示す図である。
【図3】ポジティブイオンモードにてレーザー強度35(%)の場合の測定結果(マススペクトル)を示す図である。
【図4】比較例としてラット脳の凍結切片を貼り付けずに、レーザー強度35にてマススペクトルを測定した結果を示す図である。
【図5】ポジティブイオンモードにてレーザー強度40の場合の測定結果を示す図である。
【図6】ポジティブイオンモードにてレーザー強度45の場合の測定結果を示す図である。
【図7】ポジティブイオンモードにてレーザー強度50の場合の測定結果を示す図である。
【図8】ネガティブイオンモードにてレーザー強度30の場合の測定結果を示す図である。
【図9】シートNo.585を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図10】シートGA5905を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図11】シートNo.500を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図12】シートNo.5035Kを用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図13】シートNo.5919MLWを用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図14】シートVR-5300を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図15】シートGR-5331を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図16】シートNo.585を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図17】シートGA5905を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図18】シートNo.500を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図19】シートNo.5035Kを用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図20】シートNo.5919MLWを用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図21】シートVR-5300を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【図22】シートGR-5331を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
また、本明細書において、「~」は特に断りがなければ以上から以下を表す。

【0011】
≪分析用シート≫
本発明の分析用シートは、プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む。上記物質1種を単独で含んでいても、2種以上を組み合わせて含んでいても良い。
本発明の分析用シートは、上記少なくとも1種の物質を含むことにより、被分析物のイオン化、散乱光(例えば、ラマン散乱光)等を促進し、各種分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得る。

【0012】
本発明の分析用シートを適用し得る被分析物としては特に制限はなく、低分子化合物から高分子化合物までのいかなる物質であってもよいし、それらを含む組成物ないし組織切片であってもよい。上記組織切片は凍結生体組織薄切片が好ましい。
本発明の分析用シートを適用し得る分析としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、組織染色、質量分析、ラマン分光分析等が挙げられ、レーザー又は光を用いない分析(例えば、組織染色、二次イオン(SI)質量分析等)であってもよいが、レーザー又は光を用いて被分析物のイオン化、散乱光発生等を行うことを含む分析(例えば、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析、ラマン分光分析、表面ないし局在プラズモン分析、赤外線分析、蛍光分析等)が好ましい。
本発明の分析用シートは、シート形状であることにより、分析領域内(例えば、分析領域内の微小スポット)を走査して面情報を得る等のイメージング分析に好適に適用し得る。

【0013】
本明細書において、「プロトン供与物質」は、ブレンステッド・ローリーによる酸であってもよい。
「プロトン受容物質」は、ブレンステッド・ローリーによる塩基であってもよい。
「電子供与物質」は、ルイスによる塩基であってもよい。
「電子受容物質」は、ルイスによる酸であってもよい。

【0014】
レーザーによる被分析物のイオン化、散乱光等の促進の観点から、上記物質は波長260nm以上380nm以下に極大吸収を有することが好ましく、波長265nm以上370nm以下に極大吸収を有することがより好ましく、波長320nm以上360nm以下に極大吸収を有することが更に好ましく、波長330nm以上355nm以下に極大吸収を有することが特に好ましく、波長335nm以上350nm以下に極大吸収を有することが最も好ましい。

【0015】
プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の上記物質は、プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される2種以上を兼ねる物質であってもよい。
上記プロトン供与物質又は電子受容物質としては、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を含んでいてもよい炭素原子数4以上30以下の芳香族性有機酸化合物が好ましい。上記芳香族性有機酸化合物としては、ケイ皮酸化合物、安息香酸化合物、ピコリン酸化合物、ニコチン酸化合物等が挙げられる。

【0016】
上記ケイ皮酸化合物としては、2以上の置換基(例えば、水酸基、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基、アミノ基等)を有するケイ皮酸化合物が好ましく、具体的には、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、シナピン酸(SA;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸)、フェルラ酸(4-ヒドロキシ-3-メトキシケイ皮酸)、p-クマル酸(trans-4-ヒドロキシケイ皮酸)等が挙げられる。
上記安息香酸化合物としては、1以上(好ましくは2以上)の置換基(例えば、水酸基、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基、アミノ基等)を有する安息香酸化合物が好ましく、具体的には、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)、3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸(AHBA)等が挙げられる。
上記ピコリン酸化合物としては、1以上の置換基(例えば、水酸基、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基、アミノ基等)を有するピコリン酸化合物が好ましく、具体的には、ピコリン酸、3-ヒドロキシピコリン酸、3-アミノピコリン酸(APA)等が挙げられる。

【0017】
上記プロトン受容物質又は電子供与物質としては、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、n-ブチルアミン、エチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジエチルメチルアミン、ジエチルベンゼンアミン、N,N-ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、エタノールアミン、ポリエーテルテールドトリエチルアミン、ポリエステルテールドトリエチルアミン、ニトロフェノール、アニリン、2,4-ジニトロアニリン、2-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、ピリジン、2-アミノ-4-メチル-5-ニトロピリジン、3-アミノキノリン、3-ヒドロキシピリジン、1-メチルイミダゾール、1-ブチル-3-メチルイミダゾール、1-(1-ヒドロキシプロピル)-3-メチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、1,5-ジアミノナフタレン(1,5-DAN)、6-アザ-2-チオチミン(ATT)、クマリン、6,7-ジヒドロキシクマリン、1,8-ジヒドロキシ-9[10H]-アントラセノン、9-アミノアクリジン(9AA)、カルボリン類(ノルハルマン、ハルマン、ハルミン、ハルモル、ハルマリン、ハルマロールなど)等が挙げられる。

【0018】
本発明の分析用シートが、プロトン供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含む場合、ポジティブモード用に好適である。
例えば、被分析物が、プロトンを受け取り易いないし電子を放出し易い官能基を有する物質である場合、被分析物をポジティブイオン化することができ、ポジティブモードにて分析することが好ましい。

【0019】
本発明の分析用シートが、プロトン受容物質及び電子供与物質よりなる群から選択される少なくとも1種を含む場合、ネガティブモード用に好適である。
例えば、被分析物が、リン酸化又は硫酸化されたペプチド類、オリゴヌクレオチド類、酸性オリゴ糖等のプロトンを放出し易いないし電子を受け取り易い官能基を有する物質である場合、被分析物をネガティブイオン化することができ、ネガティブモードにて分析することが好ましい。
本発明の分析用シートが、散乱光の促進の観点から、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む場合、ラマン分光分析、表面ないし局在プラズモン分析、赤外線分析又は蛍光分析に好適に適用し得る。

【0020】
本発明の分析用シートにおける上記少なくとも1種の物質の含有量としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、上記少なくとも1種の物質の含有量(複数種含有される場合にはその合計の含有量)が、上記分析用シートの全質量に対して、例えば1~90質量%が挙げられ、3~85質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましく、10~70質量%が更に好ましい。

【0021】
本発明の分析用シートは、組織切片等の被分析物のハンドリング性の観点から、不織布、不織紙、樹脂及び金属よりなる群から選択される少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
本発明の分析用シートが不織布ないし不織紙を更に含む場合、上記不織布ないし不織紙を更に含む市販のシートを用いてもよい。
上記市販のシートとしては、不織布ないし不織紙を含むテープNo.5035K(日東電工社製)等が挙げられる。

【0022】
上記樹脂としては、プラスチックではないことが好ましい。
上記樹脂としては、アクリル系樹脂、特殊ゴム系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
本発明の分析用シートが樹脂を含む場合、プロトン供与物質、プロトン受容物質、電子供与物質及び電子受容物質よりなる群から選択される少なくとも1種の上記物質として、上記樹脂が、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含むことが好ましい。

【0023】
本発明の分析用シートが樹脂を含み、上記樹脂が、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む場合、上記樹脂を含む市販のシートを用いてもよい。
上記市販のシートとしては、アクリル系樹脂を含むテープ(例えば、No.585、No.500、GA5905、No.5919MLW)、特殊ゴム系樹脂を含むテープ(例えば、VR-5300)、GR-5331(いずれも日東電工社製)等が挙げられる。

【0024】
上記金属としては、シート形状であっても粒子形状であってもよく、上記イオン化、散乱光(例えば、ラマン散乱光)等を促進に伴う帯電をアースする観点から、導電性金属であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、及びそれらの合金等が挙げられる。
上記金属としては、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)等の金属ナノ粒子も挙げられ、SALDI、GALDI、DIOS質量分析に好適に適用し得る。
本発明の分析用シートは、組織切片等の被分析物のハンドリング性の観点から、粘着剤を含んでいてもいなくてもよく、表面に粘着剤層を有していてもいなくてもよい。

【0025】
シートの厚みとしては特に制限はないが、例えば、1μm~1mmが挙げられ、5μm~700μmが好ましく、10μm~500μmがより好ましく、30μm~300μmが更に好ましく、40μm~200μmが特に好ましい。
シートの幅、長さについては特に制限はない。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
<実施例1>
2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を含むセロハンシートと、DHBを含まないセロハンシートとを準備し、それぞれをITOスライドガラスに導電性両面テープを用いて接着した。
テープ部分に厚さ10μmのラット脳の凍結切片を貼り付けた。
これをイメージング質量顕微鏡(商品名iMScope;島津製作所社製)を用いて正(ポジティブ)イオンモードにて解析した。結果を図1及び2に示す。
【実施例】
【0028】
図1a)は上記得られたラット脳の凍結切片の電子顕微鏡写真を示す図である。また、図2は、図1a)に対応するイメージング質量分析画像であって、m/z:798.5のピークの強度をAU(任意強度)で表してイメージングした画像である。
図1a)中、ROI(Region Of Interest)矩形1は、DHB(+)切片(+)の領域を示し、
ROI矩形2は、DHB(-)切片(+)の領域を示し、
ROI矩形3は、DHB(+)切片(-)の領域を示し、
ROI矩形4は、DHB(-)切片(-)の領域を示す。
図1b)における1は、ROI矩形1におけるMSスペクトルを示し、2は、ROI矩形2におけるMSスペクトルを示し、3は、ROI矩形3におけるMSスペクトルを示し、4は、ROI矩形4におけるMSスペクトルを示す。
図1b)の1及び2の比較から、DHBを含むシートを用いることにより生体分子のイオン化が促進されていることが分かる。
特に、図1b)の1及び3の比較から、DHBを含むシートを用いることにより、ラット脳切片におけるm/z:798.5の生体分子(リン脂質の一種)由来のピークが検出されたことが分かる。
【実施例】
【0029】
また、図2から、m/z:798.5の生体分子(リン脂質の一種)の切片中における分布の濃淡が分かる。
【実施例】
【0030】
<実施例2>ポジティブイオンモード
厚さ10μmのラット脳の凍結切片を貼り付けた各種シート(No.585、GA5905、No.500、No.5035K、No.5919MLW、VR-5300、GR-5331(いずれも日東電工社製))をそれぞれITOスライドガラスに接着してイメージング質量顕微鏡(商品名iMScope;島津製作所社製)を用いてポジティブイオンモードにてm/z650~900の範囲のマススペクトルを測定した。分析条件は、以下の通りであり、下記(1)~(4)のように各種レーザー強度にて測定した。
【実施例】
【0031】
(レーザー照射条件)
レーザー照射回数:200ショット
レーザー繰り返し周波数:1000Hz
照射径:最小
(質量分析条件)
サンプル電圧:3.5kV
検出器電圧:2.1kV
MS段階:1
積算回数:1回/ピクセル
【実施例】
【0032】
また、比較例としてDHBを含むマトリックスを用いてMALDI法によっても厚さ10μmのラット脳のマススペクトルを測定した。
【実施例】
【0033】
(1)レーザー強度35の場合
図3は、レーザー強度35(%)の場合の測定結果を示す図であり、a)はシートVR-5300を、b)はシートGR-5331をそれぞれ用いた場合、c)は比較例としてMALDI法による場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0034】
図3a)~c)に示した結果から明らかなように、MALDI法による比較例はベースラインに数多のノイズピークが観測されるのに対し、シートVR-5300を用いた実施例、シートGR-5331を用いた実施例はいずれも、ノイズピークがほとんどみられず、S/N比が向上していることが分かる。また、MALDI法による比較例における生体分子由来と思われるm/z:772.5付近、798.5付近のピークとは、異なる多くの生体分子由来と思われるピークが、シートVR-5300を用いた実施例、シートGR-5331を用いた実施例において検出された。それらピークは上記各種シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0035】
比較例として、ラット脳の凍結切片を貼り付けていない各種シート(No.585、GA5905、No.500、No.5035K、No.5919MLW、VR-5300、GR-5331)をそれぞれITOスライドガラスに接着したこと以外は上記と同様にポジティブイオンモードにてマススペクトルを測定した。
図4は、比較例としてラット脳の凍結切片を貼り付けずに、レーザー強度35(%)にてマススペクトルを測定した結果を示す図であり、a)はシートNo.585を、b)はシートGA5905を、c)はシートNo.500を、d)はシートNo.5035Kを、e)はシートNo.5919MLWを、f)はシートVR-5300を、g)はシートGR-5331をそれぞれ用いた場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0036】
図4a)~g)に示した結果から明らかなように、図3a)及びb)に示した実施例の結果とは異なり、ラット脳の凍結切片を貼り付けない各種シート(No.585、GA5905、No.500、No.5035K、No.5919MLW、VR-5300、GR-5331)では全くピークが観察されないことが分かる。
なお、図4g)に観られるm/z:707付近、810.6付近のピークはスパイクノイズと考えられる。
【実施例】
【0037】
(2)レーザー強度40の場合
図5は、レーザー強度40(%)の場合の測定結果を示す図であり、a)はシートNo.500を、b)はシートNo.5919MLWを、c)はシートGR-5331をそれぞれ用いた場合、d)は比較例としてMALDI法による場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0038】
図5a)~d)に示した結果から明らかなように、MALDI法による比較例はベースラインに数多のノイズピークが観測されるのに対し、シートNo.500を用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例、シートGR-5331を用いた実施例はいずれも、ノイズピークがほとんどみられず、S/N比が向上していることが分かる。また、MALDI法による比較例における生体分子由来と思われるm/z:772.5付近、798.5付近のピークとは、異なる多くの生体分子由来と思われるピークが、シートNo.500を用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例、シートGR-5331を用いた実施例において検出された。それらピークは上記各種シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0039】
(3)レーザー強度45の場合
図6は、レーザー強度45(%)の場合の測定結果を示す図であり、a)はシートNo.585を、b)はシートNo.5035Kを、c)はシートNo.5919MLWをそれぞれ用いた場合、d)は比較例としてMALDI法による場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0040】
図6a)~d)に示した結果から明らかなように、MALDI法による比較例はベースラインに数多のノイズピークが観測されるのに対し、シートNo.585を用いた実施例、シートNo.5035Kを用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例はいずれも、ノイズピークがほとんどみられず、S/N比が向上していることが分かる。また、MALDI法による比較例における生体分子由来と思われるm/z:772.5付近、798.5付近のピークとは、異なる多くの生体分子由来と思われるピークが、シートNo.585を用いた実施例、シートNo.5035Kを用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例において検出された。それらピークは上記各種シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0041】
(4)レーザー強度50の場合
図7は、レーザー強度50(%)の場合の測定結果を示す図であり、a)はシートNo.500を、b)はシートNo.5035Kを、c)はシートNo.5919MLWを、d)はシートVR-5300をそれぞれ用いた場合、e)は比較例としてMALDI法による場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0042】
図7a)~e)に示した結果から明らかなように、MALDI法による比較例はベースラインに数多のノイズピークが観測されるのに対し、シートNo.500を用いた実施例、シートNo.5035Kを用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例、シートVR-5300を用いた実施例はいずれも、ノイズピークがほとんどみられず、S/N比が向上していることが分かる。また、MALDI法による比較例における生体分子由来と思われるm/z:772.5付近、798.5付近のピークとは、異なる多くの生体分子由来と思われるピークが、シートNo.500を用いた実施例、シートNo.5035Kを用いた実施例、シートNo.5919MLWを用いた実施例、シートVR-5300を用いた実施例において検出された。それらピークは上記各種シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0043】
<実施例3>ネガティブイオンモード
測定モードをネガティブイオンモードに変更し、レーザー強度を30に変更すること以外は実施例2と同様にしてマススペクトルを測定した。
比較例として9-アミノアクリジン(9AA)を含むマトリックスを用いてMALDI法によってもラット脳のマススペクトルを測定した。
【実施例】
【0044】
図8は、ネガティブイオンモードにてレーザー強度30(%)の場合の測定結果を示す図であり、a)はシートNo.5919MLWを用いた場合、b)は比較例としてMALDI法による場合の測定結果を示す図である。
【実施例】
【0045】
図8a)及びb)に示した結果から明らかなように、MALDI法による比較例はベースラインに数多のノイズピークが観測されるのに対し、シートNo.5919MLWを用いた実施例は、ノイズピークがほとんどみられず、S/N比が向上していることが分かる。また、MALDI法による比較例における生体分子由来と思われるピークとは、異なる多くの生体分子由来と思われるピークが、シートNo.5919MLWを用いた実施例、シートGR-5331を用いた実施例において検出された。それらピークは上記各種シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0046】
<実施例4>DESIポジティブイオンモード
厚さ10μmのラット脳の凍結切片を貼り付けた各種シート(No.585、GA5905、No.500、No.5035K、No.5919MLW、VR-5300、GR-5331(いずれも日東電工社製))をそれぞれITOスライドガラスに接着してイメージング質量分析計(商品名Xevo G2-XS;日本ウォーターズ社製)を用いてDESIにてm/z50~1200の範囲のマススペクトルを測定した。分析条件は、以下の通りであり、下記(1)~(7)のように各種シートを用いて測定した。
【実施例】
【0047】
(条件)
ポジティブイオンモード
溶媒:98%メタノール
溶媒流速:2μL/分
インレット温度:120℃
窒素ガス圧:0.4MPa
スプレーインパクト角:80°
キャピラリー電圧:4kV
ピクセルサイズ:100μm
スキャン速度:200μm/秒
結果を図9~15におけるa)に示す。
【実施例】
【0048】
比較例として、ラット脳の凍結切片を貼り付けていない各種シート(No.585、GA5905、No.500、No.5035K、No.5919MLW、VR-5300、GR-5331)をそれぞれITOスライドガラスに接着したこと以外は上記と同様にDESIポジティブイオンモードにてマススペクトルを測定した。結果を図9~15におけるb)に示す。
【実施例】
【0049】
また、別の比較例として、シートを使用せずに、厚さ10μmのラット脳の凍結切片を直接貼り付けたこと以外は上記と同様にDESIポジティブイオンモードにてマススペクトルを測定した。結果を図9~15におけるc)に示す。
【実施例】
【0050】
(1)シートNo.585を使用
図9a)は、シートNo.585を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0051】
図9a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:546付近、826.6付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0052】
(2)シートGA5905を使用
図10a)は、シートGA5905を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0053】
図10a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:212.9付近、826.6付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0054】
(3)シートNo.500を使用
図11a)は、シートNo.500を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0055】
図11a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:337.2付近、441.2付近、485.3付近、589.3付近、633.4付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0056】
(4)シートNo.5035Kを使用
図12a)は、シートNo.5035Kを用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0057】
図12a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:208付近、407.3付近、408.3付近、592.4付近、959.8付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0058】
(5)シートNo.5919MLWを使用
図13a)は、シートNo.5919MLWを用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0059】
図13a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:209.1付近、591.4付近、955.6付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0060】
(6)シートVR-5300を使用
図14a)は、シートVR-5300を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0061】
図14a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:826.6付近のピークがa)に示した実施例において検出された。このピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0062】
(7)シートGR-5331を使用
図15a)は、シートGR-5331を用いたDESIポジティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0063】
図15a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:341.2付近、437.3付近、826.6付近、872.6付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0064】
<実施例5>DESIネガティブイオンモード
測定モードをネガティブイオンモードに変更すること以外は実施例4と同様にしてDESIにてマススペクトルを測定した。
【実施例】
【0065】
(1)シートNo.585を使用
図16a)は、シートNo.585を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0066】
図16a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:346.1付近のピークがa)に示した実施例において検出された。このピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0067】
(2)シートGA5905を使用
図17a)は、シートGA5905を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0068】
図17a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:215付近、396.3付近、834.5付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0069】
(3)シートNo.500を使用
図18a)は、シートNo.500を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0070】
図18a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:215付近、396.3付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0071】
(4)シートNo.5035Kを使用
図19a)は、シートNo.5035Kを用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0072】
図19a)~c)に示した結果から明らかなように、c)に示したシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの比較例の測定結果に比べて、a)に示した実施例のピーク強度はおおよそ半分程度になったものの、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:346.1付近、834.5付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0073】
(5)シートNo.5919MLWを使用
図20a)は、シートNo.5919MLWを用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0074】
図20a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:346.1付近、834.5付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0075】
(6)シートVR-5300を使用
図21a)は、シートVR-5300を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0076】
図21a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:346.1付近、385.3付近、459.3付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
【実施例】
【0077】
(7)シートGR-5331を使用
図22a)は、シートGR-5331を用いたDESIネガティブイオンモードの測定結果を示す図であり、b)はラット脳の凍結切片を貼り付けていないシートのみの測定結果を示す図であり、c)はシートを使用していないラット脳の凍結切片のみの測定結果を示す図である。
【実施例】
【0078】
図22a)~c)に示した結果から明らかなように、b)及びc)に示した比較例では観察されない生体分子由来と思われるm/z:395.5付近、396.3付近のピークがa)に示した実施例において検出された。これらピークは上記シートが、プロトン供与性基、プロトン受容性基、電子供与性基及び電子受容性基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を含む樹脂を含むことにより増強されたピークと考えられ、分析検出データの精度、再現性及び定量性を向上し得るといえる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21