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Specification :(In Japanese)超音波診断装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-065799A
Date of publication of application Apr 30, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)超音波診断装置
IPC (International Patent Classification) A61B   8/14        (2006.01)
FI (File Index) A61B 8/14
Number of claims or invention 8
Filing form OL
Total pages 18
Application Number P2018-201075
Date of filing Oct 25, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】秋山 いわき
Applicant (In Japanese)【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
Representative (In Japanese)【識別番号】100145403、【弁理士】、【氏名又は名称】山尾 憲人
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4C601
F-term 4C601DD18
4C601DD20
4C601DD22
4C601EE11
4C601FF13
4C601GB03
4C601JB35
4C601JB41
Abstract (In Japanese)【課題】生体等の被検体の熱物性情報を取得し、生体組織の病理学的な診断を可能とする超音波診断装置を得る。
【解決手段】超音波診断装置は、被検体で反射された超音波のエコー信号に基づいて被検体の断層画像を生成する。超音波診断装置は、被検体に超音波を照射するとともにエコー信号を受信する第1プローブと、被検体に加温のための超音波を照射する第2プローブと、受信したエコー信号に基づいて被検体の断層画像を生成する制御部と、生成された被検体の断層画像を表示する表示部と、を備える。制御部は、第2プローブによる超音波の照射による前記被検体の加温前に取得したエコー信号と、加温後に取得したエコー信号と、に基づいて、被検体の熱物性情報を取得し、熱物性情報に基づいて被検体の組織性状を判定する。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
被検体で反射された超音波のエコー信号に基づいて前記被検体の断層画像を生成する超音波診断装置であって、
前記被検体に超音波を照射するとともに前記エコー信号を受信する第1プローブと、
前記被検体に加温のための超音波を照射する第2プローブと、
受信した前記エコー信号に基づいて前記被検体の断層画像を生成する制御部と、
生成された前記被検体の断層画像を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記第2プローブによる超音波の照射による前記被検体の加温前に取得したエコー信号と、加温後に取得したエコー信号と、に基づいて、前記被検体の熱物性情報を取得し、前記熱物性情報に基づいて前記被検体の組織性状を判定する、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記第2プローブによる超音波の照射位置と、超音波の照射時間と、を指定する操作部を更に備え、
前記制御部は、前記操作部による指定に基づいて、前記第2プローブを用いて、前記被検体に加温のための超音波を照射する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記被検体の熱物性情報は、前記第2プローブによる加温後における前記被検体の中を伝播する超音波の音速と、加温前における前記被検体の中を伝播する超音波の音速と、の差を示す情報を含む、請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記差が正のときは、前記被検体が非脂肪組織であると判定し、前記差が負のときは、前記被検体が脂肪組織であると判定する、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記被検体の組織性状の判定結果を前記断層画像に重畳表示した画像を生成する、請求項1~4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された所定の時間だけ前記第2プローブによる超音波の照射を行う、請求項1~5のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被検体の温度が、前記第2プローブによる加温前の前記被検体の温度より予め設定された所定値以上高くなった場合、その旨を前記表示部に表示し、および/または、前記第2プローブによる加温を終了させる、請求項1~6のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2プローブによる加温後における前記被検体の中を伝播する超音波の音速と、加温前における前記被検体の中を伝播する超音波の音速と、の差に基づいて、前記被検体の温度が前記第2プローブによる加温前の前記被検体の温度より予め設定された所定値以上高くなったか否かを判定する、請求項7に記載の超音波診断装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体で反射された超音波のエコー信号に基づいて前記被検体の断層画像を生成する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織の物理的特性を得ることによって、生体情報をin vivoで得ようとする組織性状診断(tissue characterization)の手法が知られている。これにより、重大な異変に至る前の組織や細胞レベルでの変化を検出し、疾病の早期発見が可能となる。
【0003】
また、臓器の境界等の生体内部の境界で反射された超音波のエコー信号に基づいて前記被検体の断層画像を生成する超音波診断装置が知られている。超音波診断装置による診断は、組織性状診断の一例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の超音波診断装置では、生体内部の境界を可視化するに過ぎず、生体組織の病理学的な診断情報を詳細に分析することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、生体等の被検体の熱物性情報を取得し、生体組織の病理学的な診断を可能とする超音波診断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、被検体で反射された超音波のエコー信号に基づいて被検体の断層画像を生成する超音波診断装置を提供する。超音波診断装置は、被検体に超音波を照射するとともにエコー信号を受信する第1プローブと、被検体に加温のための超音波を照射する第2プローブと、受信したエコー信号に基づいて被検体の断層画像を生成する制御部と、生成された被検体の断層画像を表示する表示部と、を備える。制御部は、第2プローブによる超音波の照射による前記被検体の加温前に取得したエコー信号と、加温後に取得したエコー信号と、に基づいて、被検体の熱物性情報を取得し、熱物性情報に基づいて被検体の組織性状を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、生体等の被検体の熱物性情報を取得し、生体組織の病理学的な診断を可能とする超音波診断装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2a】第1プローブおよび第2プローブの圧電素子の配列構成の一例を示す図である。
【図2b】第1プローブおよび第2プローブの圧電素子の配列構成の他の例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る超音波診断装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4a】表示部に表示された肝臓のBモード画像の一例を示す図である。
【図4b】図4aに示されたBモード画像を模式的に示す図である。
【図5】図3に示した組織性状診断ステップの詳細な流れを示すフローチャートである。
【図6】パルスエコー法を説明するための模式図である。
【図7】加温前と加温後のエコー信号を表すエコーデータを示す模式図である。
【図8】脂肪組織と非脂肪組織内を伝播する超音波の音速の温度依存性を示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態2に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図10】音速の温度係数の計測環境を示す図である。
【図11a】TMMファントムの音速の温度依存性についての測定結果を示すグラフである。
【図11b】豚の筋組織の音速の温度依存性についての測定結果を示すグラフである。
【図11c】豚の脂肪組織の音速の温度依存性についての測定結果を示すグラフである。
【図11d】牛の肝臓の音速の温度依存性についての測定結果を示すグラフである。
【図12】温度変化を導出するための実験環境を示す図である。
【図13】豚の筋組織と豚の脂肪組織についてのエコーシフト時間を示すグラフである。
【図14】TMMファントムの温度変化の時間依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、図面に示された各距離または寸法の比率等は、現実のものとは相違する。

【0010】
[1.実施形態1]
[1-1.構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波診断装置100の構成を示す図である。超音波診断装置100は、プローブ筐体1、第1信号生成部2、第2信号生成部3、受信部4、制御部5、記憶部6、表示部7および操作部8を備える。

【0011】
プローブ筐体1は、患者等の被検体の生体に超音波を照射するとともに反射波(エコー)を受信して電気信号に変換する診断用の第1プローブ11と、生体に超音波を照射して生体を加温するための第2プローブ12とを備える。プローブ筐体1は、その内部に、第1プローブ11と第2プローブ12とが所定の位置関係で配列されるように支持する。

【0012】
第1プローブ11は、第1信号生成部2から供給される電気信号に基づいて超音波パルスを放射し、生体内で反射された反射波を受信して電気信号に変換する。例えば、第1プローブ11は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電素子を含み、第1信号生成部2から供給される電気信号が圧電素子を振動させて超音波を発生させる。また、圧電素子は、生体内で反射された反射波による振動を電気信号に変換することができる。第1プローブ11の共振周波数は、2MHz~20MHz、例えば5.2MHz、例えば10MHzである。第1プローブ11は、トランスデューサとも呼ばれる。

【0013】
例えば、第1プローブ11は、複数の圧電素子11a(図2a参照)を1次元的または2次元的に配列してなるアレイ型プローブである。第1プローブ11は、各圧電素子11a(各チャネル)からパルス状の超音波を走査して放射する。

【0014】
第1プローブ11は、過剰な振動を生じさせないように圧電素子11aを支持するバッキング材13(図2a参照)、および、超音波を所望の位置に集束させるための音響レンズ(図示せず)、音響インピーダンスを調整する音響整合層(図示せず)等を含んでもよい。

【0015】
第2プローブ12は、第2信号生成部3から供給される電気信号に基づいて超音波を放射し、生体を加温する。超音波によって生体を加温する技術の一例は、HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)として知られている。例えば、第2プローブ12は、圧電素子12a(図2a参照)を含み、第2信号生成部3から供給される電気信号が圧電素子を振動させて超音波を発生させる。第2プローブ12の共振周波数は、2MHz~20MHz、例えば3.2MHz、例えば10MHzである。第2プローブ12は、トランスデューサとも呼ばれる。

【0016】
第2プローブ12は、第1プローブ11と同様に、複数の圧電素子を1次元的または2次元的に配列してなるアレイ型プローブであってもよい。例えば、第2プローブ12の複数の圧電素子は、同時に超音波を発生して生体を加温する。

【0017】
図2aは、第1プローブ11および第2プローブ12の圧電素子の配列構成の一例を示す図である。プローブ筐体1の遠位端1aは、診断時、患者の皮膚等の診断対象の生体表面に接触する。第1プローブ11および第2プローブ12の各圧電素子から放射される超音波は、遠位方向(図2aに示した矢印の方向)に、あるいはプローブ筐体1の遠位端1aから放射状に、放射される。

【0018】
図2aに示した例では、第1プローブ11の圧電素子アレイを構成する圧電素子11aの間に、第2プローブ12の圧電素子12aが配置されている。すなわち、圧電素子12aの両側に、圧電素子11aが4つずつ配置されている。圧電素子11a間、および、圧電素子12aと圧電素子11aとの間には、樹脂等の絶縁材料が挿入されている。圧電素子11aおよび圧電素子12aは、バッキング材13に支持されている。なお、圧電素子の数は例示したものに限定されない。

【0019】
図2bは、第1プローブ11および第2プローブ12の圧電素子の配列構成の他の例を示す図である。図2aに示したようなバッキング材13に支持された圧電素子アレイを構成する1つまたは複数の圧電素子は、図2bに示すように、第1プローブ11の円筒形状の圧電素子11bと第2プローブ12の円柱形状の圧電素子12bが同軸に配置された構造を有してもよい。第1プローブ11および第2プローブ12の各圧電素子11b、12bから放射される超音波は、軸方向(図2bに示した矢印の方向)に、あるいは各圧電素子11b、12bから放射状に、放射される。

【0020】
図2aおよび図2bに示した例の他にも、第1プローブ11および第2プローブ12の圧電素子は、プローブ筐体1内において異なる方向に超音波を放射するように配置されてもよい。この場合、プローブ筐体1内にミラー等の光学素子が配置され、第1プローブ11の圧電素子と、第2プローブ12の圧電素子と、光学素子とは、プローブ筐体1から外部に超音波を出射する際には、同一の方向に超音波を進行させるように配置される。

【0021】
なお、超音波診断装置100は、第1プローブ11および第2プローブ12のように異なるプローブを備えるものに限定されない。例えば、1つのプローブが、超音波を照射してエコーを受信する診断機能と、生体の加温を行う加温機能と、を併せ持ってもよい。この場合、第1信号生成部2からの電気信号と、第2信号生成部3からの電気信号とは、切替器(図示せず)等によって切り替えられてプローブに供給される。

【0022】
図1に戻り、第1信号生成部2は、第1プローブ11に供給する電気信号を生成する回路またはモジュールである。第1信号生成部2は、第1プローブ11に供給するパルス信号を生成する。第1信号生成部2は、電気信号を発生させる信号発生器を含む。第1信号生成部2は、発生した電気信号を増幅させるパワーアンプを含んでもよい。

【0023】
第2信号生成部3は、第2プローブ12に供給する電気信号を生成する回路またはモジュールである。第2信号生成部3は、電気信号を発生させる信号発生器を含む。第2信号生成部3は、発生した電気信号を増幅させるパワーアンプを含んでもよい。

【0024】
受信部4は、第1プローブ11から供給された電気信号を受信してデジタル信号に変換する回路またはモジュールである。受信部4は、例えば第1プローブ11から供給された電気信号を増幅するプリアンプと、増幅されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを備える。受信部4は、デジタル信号が示すデータ(以下、「エコーデータ」という。)を制御部5に対して出力する。

【0025】
制御部5は、例えば、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサで構成される。制御部5は、主記憶装置またはフレームメモリとして、高速動作可能なSRAMおよびDRAM等の記憶媒体を含んでもよい。制御部5は、記憶部6に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、画像生成部51、走査制御部52、加温制御部53等の各種の制御を実現する。制御部5は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現するFPGA、ASIC、DSP等のハードウェア回路で構成されてもよい。

【0026】
記憶部6は、種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部6は、例えば、フラッシュメモリ、SSDなどの半導体メモリ装置、ハードディスク等の磁気記憶装置、その他の記憶デバイス単独でまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。

【0027】
表示部7は、超音波診断装置100の診断結果である超音波画像等の情報を表示する表示装置である。表示部7は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ等により構成される。また、超音波診断装置100は、表示部7の他に、スピーカ、プリンタ等の出力装置を備えてもよい。

【0028】
操作部8は、ユーザから受け付けた入力指示や操作の内容を電気信号に変換して制御部5に伝達する入力用インタフェースである。操作部8は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、ダイヤル、フットスイッチ、スライドスイッチ、音声入力のためのマイク、ジェスチャ入力のためのセンサ等を含む。例えば、ユーザは、操作部8を用いて、第2プローブ12による超音波の照射位置と、超音波の照射時間と、を指定する。

【0029】
[1-2.動作]
[1-2-1.全体のフロー]
図3は、超音波診断装置100の動作の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された各処理は、超音波診断装置100の制御部5による制御に基づいて実行される。本フローチャートに示す動作は、例えば所定の周期で繰り返し開始される。

【0030】
まず、医師等のユーザが、プローブ筐体1の遠位端1a(図2a参照)を患者の皮膚等の診断対象の生体表面に接触させる。走査制御部52として機能する制御部5は、第1信号生成部2を制御して第1プローブ11に対してパルス信号を供給させ、第1プローブ11からパルス状の超音波を放射する(S1)。第1信号生成部2は、第1プローブ11のアレイ状の圧電素子11a(図2a参照)に対してパルス信号を順次供給し、第1プローブ11からパルス状の超音波を走査して放射する。

【0031】
第1プローブ11から放射された超音波は、生体の皮膚、血管および臓器の境界等の音響インピーダンスの不連続面で反射され、エコー信号となる。第1プローブ11は、エコー信号を受信して電気信号に変換し、受信部4に対して出力する。受信部4は、第1プローブ11から供給された電気信号を受信してデジタル信号に変換し、デジタル信号が示すエコーデータを制御部5に対して出力する。制御部5は、受信部4から出力されたエコーデータを受信する(S2)。

【0032】
次に、画像生成部51として機能する制御部5は、受信したエコーデータに基づいて、周知の技術により、反射点の位置をエコー強度に応じた輝度で表示するBモード画像を生成する(S3)。これにより、生体の断層画像が得られる。

【0033】
制御部5は、生成されたBモード画像を表示部7に表示する。図4aは、表示部7に表示された肝臓のBモード画像の一例を示す図である。図4bは、図4aに示されたBモード画像を模式的に示す図である。図4bに示すように、図4aから、ユーザは、プローブ筐体1の遠位端1aを当てた皮膚層の下にある輝度の小さい脂肪層と、脂肪層の下の輝度の大きい筋肉層と、筋肉層の下の肝臓と、を識別することができる。

【0034】
ユーザは、表示部7に表示されたBモード画像を見ながら、操作部8を用いて、組織性状診断を行いたい部位を選択し、制御部5に対して、組織性状診断を行うように指示する。例えば、ユーザは、図4bに点Pで示した部位の組織性状診断を行う場合、表示部7の点Pの部分をタッチして、タッチパネルとしての操作部8によって、制御部5に選択部位Pに対して組織性状診断を行うことを指示する。あるいは、ユーザは、操作部8としてのキーボードを用いて、組織性状診断を行う部位の座標を入力してもよい。

【0035】
制御部5は、操作部8からの組織性状診断を行う旨の指示の入力を検知する(S5)。組織性状診断を行う旨の指示の入力がない場合(S5でNo)、図3のフローチャートに示された動作は終了する。本フローチャートに示す動作は、例えば所定の周期で繰り返し開始されるため、超音波診断装置100は、組織性状診断を行う旨の指示の入力がない限り、プローブ筐体1の接触位置に応じてBモード画像を表示する周知の超音波診断装置の動作を行うことになる。

【0036】
ステップS5において組織性状診断を行う旨の指示の入力があった場合(S5でYes)、組織性状診断部54として機能する制御部5は、選択部位Pについて組織性状診断を行う(S6)。組織性状診断ステップS6の詳細については後述する。

【0037】
次に、制御部5は、組織性状診断の結果をBモード画像に重畳させて表示部7に表示する(S7)。例えば、制御部5は、組織性状診断ステップS6において選択部位Pが脂肪であるという診断結果を得た場合、Bモード画像に「選択部位は脂肪組織である」旨の文字画像を重畳表示し、選択部位Pが肝臓実質であるという診断結果を得た場合、Bモード画像に「選択部位は非脂肪組織である」、「選択部位は肝臓実質である」、または「異常なし」等の文字画像を重畳表示する。あるいは、制御部5は、組織性状診断の結果に応じて、Bモード画像上の選択部位P付近の画素を着色してもよい。例えば、脂肪は黄色で表示され、病変は赤で表示される。また、制御部5は、組織性状診断の結果に応じて、Bモード画像上の選択部位Pを示す画素の輝度を変更してもよい。

【0038】
[1-2-2.組織性状診断動作]
図5は、図3に示した組織性状診断ステップS6の詳細な流れを示すフローチャートである。まず、組織性状診断部54として機能する制御部5は、第1プローブ11から選択部位Pの方向に放射された超音波のエコーデータ(加温前エコーデータ)を取得する(S61)。取得された加温前エコーデータは、例えば記憶部6に格納される。あるいは、加温前エコーデータは、ステップS2(図3参照)において取得されて記憶部6に格納されていてもよい。この場合、ステップS61を省略できる。

【0039】
次に、加温制御部53として機能する制御部5は、第2信号生成部3を制御して第2プローブ12に対して電気信号を供給させる。これにより、第2プローブ12から超音波が放射され、生体内の選択部位Pが加温される(S62)。

【0040】
第2プローブ12によって放射される超音波の強度、放射時間は、生体の安全性を損なわないように設定される。超音波の照射を受ける生体の安全性について、例えば、世界超音波医学生物学連合(WFUMB、World Federation for Ultrasound in Medicine and Biology)のガイドラインには、生体に1.5℃未満の温度上昇が生じても臨床上問題ないと記載されている。また、WFUMBのガイドラインには、4.0℃を超える温度上昇が5分を超える時間継続した場合、胚や胎児に対して危険があると記載されている。

【0041】
そこで、例えば、第2プローブ12によって放射される超音波の強度(音圧)、放射時間は、選択部位Pの温度上昇が1.5℃を超えないように設定される。例えば、設定値は記憶部6に記憶され、制御部5が記憶された設定値を用いて第2信号生成部3を制御する。あるいは、第2信号生成部の信号発生器が、予め設定された時間だけ持続するパルス信号を生成してもよい。

【0042】
具体的には、第2プローブ12によって放射される超音波の音圧は、2.0MPa以下、例えば1.0MPaに設定される。また、第2プローブ12によって放射される超音波の放射時間は、10秒以下、好ましくは1秒以下、例えば100msや50msに設定される。

【0043】
加温の後、制御部5は、第1プローブ11から選択部位Pの方向に放射された超音波のエコーデータ(加温後エコーデータ)を取得する(S63)。取得された加温後エコーデータは、例えば記憶部6に格納される。

【0044】
次に、制御部5は、加温前エコーデータと加温後エコーデータとに基づいて、第1プローブ11から選択部位Pの方向に放射された超音波の加温前後の音速変化率を算出する(S64)。

【0045】
加温前後の音速変化率は、例えばパルスエコー法に基づいて算出される。パルスエコー法では、図6に示すような境界S1およびS2で超音波が反射される場合において、境界S1とS2との間の領域Rにある生体が加温されたときは、加温前後の音速変化率は、以下のように算出できる。

【0046】
図6では、第1プローブ11の圧電素子11aから放射された超音波の一部は境界S1で反射されてエコー信号r1となり、境界S1を透過した超音波の一部は境界S2で反射されてエコー信号r2となっている。エコー信号r1およびr2は、第1プローブ11の圧電素子11aに受信される。

【0047】
図7は、加温前(a)と加温後(b)のエコー信号r1およびr2を表すエコーデータを示す模式図である。加温前、図6の境界S1で反射されたエコー信号r1が第1プローブ11に到達した時刻と、境界S2で反射されたエコー信号r2が第1プローブ11に到達した時刻との差はΔtである。領域Rにある生体が加温された後、エコー信号r1が第1プローブ11に到達した時刻と、エコー信号r2が到達した時刻との差はΔt-Δτとなっている。

【0048】
第1プローブ11の圧電素子11aから距離xの点を進行する超音波の加温前の音速をc(x)[m/s]、加温後の音速をc(x)+Δc(x)[m/s]とする。Δc(x)がc(x)に比べて十分に小さい場合、次の近似式(1)が成り立つ。

【0049】
【数1】
JP2020065799A_000003t.gif

【0050】
したがって、領域R(x1<x<x2)における加温前後の音速の時間変化率Δc(x)/c(x)は、次式(2)で表される。

【0051】
【数2】
JP2020065799A_000004t.gif

【0052】
式(2)の右辺Δτ/Δtは、時間シフトΔτの時間変化率を表している。Δτ/Δtは、具体的には、次のように測定される。すなわち、測定領域で反射されたエコー信号に対応する遅れ時間tを設定する。次に、エコー信号に時間ゲートを設けて信号を切り出し、遅れ時間tを順次変更させながら時間シフトΔτを計測する。Δτ/Δtは、このような計測結果の傾きから推定することができる。時間シフトΔτは微小であるため、時間シフトΔτの時間変化率は、例えば、エコー信号の波形について相互相関法を用いて導出される。あるいは、相互相関法と自己相関法とを組み合わせて時間シフトΔτの時間変化率を算出してもよい。

【0053】
次に、組織性状診断部54として機能する制御部5は、ステップS64で算出された音速変化率に基づいて、選択部位Pの組織性状を診断し、診断結果データを生成する。(S65)。

【0054】
図8は、脂肪組織と非脂肪組織内に伝播する超音波の音速の温度依存性を示すグラフである。図8に示すように、脂肪組織では、生体の温度Tが上昇するに連れて音速cは減少することが知られている(例えば、福喜多博著“超音波による生体内温度計測”, BME, vol.2, No.3, p.167-168, 1988参照)。すなわち、脂肪組織の温度変化に対する音速変化の割合(以下、「音速の温度係数」という。)dc/dTは負である。これを前述の加温前後の音速変化Δc(x)についてみると、脂肪組織では、Δc(x)は負となる。

【0055】
他方、生体の温度を含む30℃~45℃において、非脂肪組織内を伝播する超音波の音速は、生体の温度Tが上昇するに連れて増加することが知られている。すなわち、非脂肪組織の音速の温度係数dc/dTは正である。これを前述の加温前後の音速変化Δc(x)についてみると、非脂肪組織では、Δc(x)は正となる。

【0056】
したがって、制御部5は、ステップS64で算出された音速変化率Δτ/Δtが負である場合、選択部位Pは脂肪組織であり、正である場合、選択部位Pは非脂肪組織であると判定することができる。

【0057】
なお、後述のように、超音波診断装置100は、選択部位Pが脂肪組織と非脂肪組織のいずれであるかを決定するのみならず、組織の音速の温度係数dc/dT、超音波減衰定数α、音速c、体積熱容量Cv等に基づいて、選択部位Pの組織性状を診断することができる。

【0058】
[1-3.組織性状診断の原理]
超音波照射による生体組織の温度上昇率は、次の生体熱輸送方程式(3)で表される。

【0059】
【数3】
JP2020065799A_000005t.gif
ここで、T[℃]は温度、κ[m2/s]は組織の熱拡散率、ε[s]は血液灌流率、qv[W/m3]は熱発生率、Cv[J/m3/℃]は単位体積当たりの熱容量である。血液灌流率εは、血液循環による冷却の時定数であり、単位堆積の生体組織に流入する血液流量を表す。

【0060】
生体の軟部組織においては、熱拡散率κは0.10~0.15[mm2/s]、血液灌流率εは10~2000[s]の範囲内にある。初期温度が一様であり、温度上昇が微小であれば、式(3)の右辺第1項の熱拡散項を無視できる。短時間の加温であれば、式(3)の右辺第2項の血液循環項を無視できる。さらに、熱発生率qvは、生体組織の超音波減衰定数(attenuation constant)α[dB/m]と超音波強度I[W/m2]とを用いて、qv=2αIと表すことができる。これらのことから次式(4)を得る。

【0061】
【数4】
JP2020065799A_000006t.gif

【0062】
超音波照射による音速の時間変化率dc/dtは、式(4)を用いることによって、次式(5)で表される。
【数5】
JP2020065799A_000007t.gif

【0063】
また、式(2)から次式(6)が得られる。
【数6】
JP2020065799A_000008t.gif

【0064】
Δc(x)は、次式(7)で表される。
【数7】
JP2020065799A_000009t.gif
ここで、Δthは、超音波による組織の加温時間である。

【0065】
式(6)に式(7)と式(5)とを代入すると、次式(8)が得られる。
【数8】
JP2020065799A_000010t.gif

【0066】
以上により、音速変化率Δc(x)/c(x)はエコーシフト時間の時間変化率Δτ/Δtに等しく、音速の温度係数dc/dT、超音波減衰定数α、音速c(x)、体積熱容量Cv、超音波強度Iおよび加温時間Δthの関数となる。よって、超音波照射による音速変化率、すなわちエコーシフト時間の時間変化率を測定し、その変化率から組織性状を診断することが可能である。

【0067】
[1-4.効果等]
以上のように、超音波診断装置100は、患者等の被検体に超音波を照射するとともにエコー信号を受信する第1プローブ11と、被検体に加温のための超音波を照射する第2プローブ12と、受信したエコー信号に基づいて被検体の断層画像であるBモード画像を生成する制御部5と、生成された被検体の断層画像を表示する表示部7と、を備える。制御部5は、第2プローブ12による超音波の照射による被検体の加温前に取得したエコー信号と、加温後に取得したエコー信号と、に基づいて、被検体の熱物性情報を取得し、熱物性情報に基づいて被検体の組織性状を判定する。

【0068】
従来の超音波診断装置では、生体内部の境界を可視化するに過ぎず、生体組織の病理学的な診断情報を詳細に分析することは困難であったが、超音波診断装置100は、生体内部の境界間にある部位についての熱物性情報を取得し、生体組織の病理学的な診断を行うことができる。

【0069】
被検体の熱物性情報は、第2プローブ12による加温後における被検体の中を伝播する超音波の音速と、加温前における被検体の中を伝播する超音波の音速と、の差Δc(x)を示す情報を含む。

【0070】
加温前後の音速差Δc(x)は、超音波パルスエコー法によって測定することができる。また、生体組織の組成および病理学的状態によって、音速の温度係数dc/dTが異なる。したがって、超音波診断装置100は、加温前後の音速差Δc(x)または音速の温度係数dc/dTを測定することによって、生体組織の病理学的な診断を行うことができる。

【0071】
特に、制御部5は、加温前後の音速差Δc(x)が正のときは、被検体が非脂肪組織であると判定し、負のときは、被検体が脂肪組織であると判定する。

【0072】
制御部5は、被検体の組織性状の判定結果を断層画像に重畳表示した画像を生成する。

【0073】
超音波診断装置100は、このような重畳画像を表示部7に表示することにより、医師等のユーザに対して、被検体の組織性状の判定結果を知らせることができる。

【0074】
[2.実施形態2]
[2-1.構成および動作]
図9は、本発明の実施形態2に係る超音波診断装置200の構成を示す図である。実施形態1の構成および作用に加えて、実施形態2に係る超音波診断装置200の制御部5は、温度上昇制限部55としても機能することができる。

【0075】
温度上昇制限部55として機能する制御部5は、例えば、超音波の照射によって生体に1.5℃以上の温度上昇が生じた場合、表示部7にその旨を表示する。あるいは、表示部7には生体温度の上昇値が常に表示されており、制御部5は、超音波の照射によって生体に1.5℃以上の温度上昇が生じた場合、表示部7に警告画像を表示させてもよい。これにより、ユーザは、生体に1.5℃以上の温度上昇が生じており、患者等に危険が生じ得ることを知ることができる。

【0076】
制御部5は、超音波の照射によって生体に1.5℃以上の温度上昇が生じた場合、表示部7に警告画像を表示する代わりに、スピーカ(図示せず)から警告音を鳴らし、プローブ筐体1に備えられたバイブレータによってプローブ筐体1を振動させ、および/または、第2プローブ12からの超音波の照射を強制的に終了させてもよい。

【0077】
上記の警告動作や強制終了動作が行われるのは、超音波の照射によって生体に1.5℃以上の温度上昇が生じた場合に限られない。上記の警告動作や強制終了動作は、患者等の超音波の被照射者に危険が生じ得る場合に行われる。例えば、上記の警告動作や強制終了動作は、超音波の照射が所定の時間、例えば10秒以上行われた場合、4.0℃を超える温度上昇が5分を超える時間継続した場合等に行われてもよい。

【0078】
[2-2.温度変化の判断方法]
以下、超音波照射による温度変化の推定方法について説明する。まず、超音波照射による加温後の音速と加温前の音速との差Δc(x)を式(1)を用いて導出する。導出されたΔc(x)と、音速の温度係数dc/dTと、を用いて、温度変化ΔTは、次式(9)で表される。

【0079】
【数9】
JP2020065799A_000011t.gif

【0080】
したがって、パルスエコーの測定結果から、温度変化ΔTを決定することができる。

【0081】
[2-3.温度変化の測定例]
発明者は以下に示すような実験を行い、温度変化ΔTを実際に求めることができることを実証した。

【0082】
[2-3-1.音速の温度係数の測定]
軟部組織を模擬したTMM(Tissue Mimicking Material)ファントム、豚の筋組織、豚の脂肪組織および牛の肝臓につき、音速の温度係数dc/dTを計測した。TMMファントムは、IEC60601-2-37規格に基づいて作製された。

【0083】
図10は、音速の温度係数dc/dTの計測環境を示す図である。恒温槽201の中に、アクリルブロック202と、アクリルブロック202の上に設けられた1つ以上のアクリル板203とを準備した。アクリル板203の中央にあるくぼみに、20mm×22mm×5mmの大きさの試料210を配置した。アクリル板203および試料210の上にアルミニウムブロック204を設置した。アルミニウムブロック204の上面に圧電素子205(B5K10I、JAPAN PROBE、直径10mm、共振周波数5.2MHz)を取り付けた。圧電素子205にパルサ206(OLYMPUS、5072PR)と、オシロスコープ207(YOKOGAWA ELECTRIC、DL850E)とを接続した。試料210に、図示しない2本の熱電対(CHINO Type K、φ=0.5mm)を取り付けた。熱電対にもオシロスコープ207を接続した。

【0084】
恒温槽201の内部温度を40℃に保ち、試料210の温度を変化させながら、圧電素子205から超音波を放射し、圧電素子205が受信したエコー信号をオシロスコープ207によって観察および記録した。その際、オシロスコープ207のサンプリング周波数を100MHz、量子化ビット数を12bitに設定した。オシロスコープ207を用いたエコー信号の測定結果から、試料210内を超音波が伝播するのに要した時間tsdを算出した。試料210の厚さをdとすると、試料210内を伝播する超音波の音速cは2d/tsdで表される。また、熱電対からの信号をオシロスコープ207で観察および記録し、試料210内部の温度を測定した。

【0085】
図11a~11dは、TMMファントム、豚の筋組織、豚の脂肪組織および牛の肝臓の音速の温度依存性についての測定結果をそれぞれ示すグラフである。図11a~11dには、測定値を黒丸で、直線近似による近似線を一点鎖線で示している。近似線の傾きが音速の温度係数dc/dTとなる。求められたTMMファントム、豚の筋組織、豚の脂肪組織および牛の肝臓の音速の温度係数dc/dTを次の表1に示す。

【0086】
【表1】
JP2020065799A_000012t.gif

【0087】
[2-3-1.温度変化の測定]
図10のような実験環境では、熱電対によって組織の温度Tを測定することができる。しかしながら、超音波診断装置200を用いて患者の診断を行う場合、生体組織に熱電対を設置することはできない。そこで、超音波診断装置200は、音速の温度係数dc/dTと超音波のエコーシフトの時間変化率Δτ/Δtとを用いて、選択部位Pの温度変化ΔTを推定する。

【0088】
図12は、温度変化を導出するための実験環境を示す図である。図10と同様に、アクリルブロック202と、アクリルブロック202の上に設けられた1つ以上のアクリル板203とを準備した。アクリル板203の中央にあるくぼみに、厚さ10mmの試料220を配置した。アクリル板203および試料220の上に、厚さ55mmの寒天ブロック214を設置した。寒天ブロック214の上面に圧電素子215a、215bを取り付けた。

【0089】
圧電素子215a、215bは、図2bに示したものと同様の構造を有する。すなわち、音速測定用の圧電素子215a(B5K10I、JAPAN PROBE、直径10mm、共振周波数5.2MHz)と加温用の圧電素子215b(内径10mm、外径28mm、共振周波数3.2MHz)が同軸一体となっている。

【0090】
音速測定用の圧電素子215aには、図10と同様に、パルサ206と、オシロスコープ207とを接続した。加温用の圧電素子215bには、波形発生器209(AGILENT、33500B)と、増幅器208(NF ELECTRONIC INSTRUMENTS、NF4055)とを接続した。

【0091】
波形発生器209の出力信号(5Vpp)を増幅器208を用いて10倍に増幅し、増幅信号を加温用の圧電素子215bに印加した。これにより圧電素子215bから加温用の超音波が放射され、試料220が加温された。超音波による加温は100msの時間行われた。

【0092】
パルサ206を用いて音速測定用の圧電素子215aにインパルス電圧を印加し、超音波による加温前後のエコー信号をオシロスコープ207によって記録した。その際、オシロスコープ207のサンプリング周波数を100MHz、量子化ビット数を12bitに設定した。

【0093】
加温前後のエコー信号それぞれに矩形窓関数(時間幅1μs)をかけて切り出し、相関法を用いてエコーシフト時間Δτを算出した。エコーシフト時間Δτが上昇した付近を熱源と推定し、測定した3点のエコーシフト時間とその平均値を算出した。

【0094】
図13は、このようにして求められた豚の筋組織と豚の脂肪組織についてのエコーシフト時間Δτを示すグラフである。図13には、豚の筋組織についてのエコーシフト時間の測定データを黒丸で示している。実線は、測定データの直線近似である。また、図13には、豚の脂肪組織についてのエコーシフト時間の測定データを+印で示している。一点鎖線は、測定データの直線近似である。

【0095】
次に、式(1)のΔtを4μsとし、図13の近似線から得られたエコーシフト時間Δτとして、Δτ/Δtを算出した。算出されたΔτ/Δtは、次の表2のようになった。

【0096】
【表2】
JP2020065799A_000013t.gif

【0097】
表1と表2の結果を用いて、組織の温度変化ΔTの推定を行った。その結果を次の表3に示す。

【0098】
【表3】
JP2020065799A_000014t.gif

【0099】
なお、TMMファントムについてもエコーシフト時間Δτを求める実験を行った。そして、式(1)のΔtを7μsとして音速変化Δc(x)を求めた。得られた音速変化Δc(x)と、音速の温度係数dc/dT=1.6(表1参照)とから、温度変化ΔTを算出した。同様の処理を加温1s後まで100ms間隔で繰り返し、温度変化ΔTの時間依存性を求めた。

【0100】
図14は、このようにして得られたTMMファントムの温度変化ΔTの時間依存性を示すグラフである。図14の黒丸は、測定値を示している。図14の一点鎖線は、生体熱輸送方程式(3)を用いた有限要素法によるシミュレーション結果を示している。

【0101】
[2-4.効果等]
以上のように、実施形態2では、超音波診断装置200の制御部5は、被検体の温度が、第2プローブ12による加温前の被検体の温度より予め設定された所定値以上高くなった場合、その旨を表示部7に表示し、および/または、第2プローブ12による加温を終了させる。

【0102】
表示部7への表示により、医師等のユーザは、患者等の被検体の生体温度が所定値以上変化しており、患者等に危険が生じ得ることを知ることができる。また、このような場合に第2プローブ12による加温を終了させることにより、超音波診断装置200は、患者等に危険が生じることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 プローブ筐体
2 第1信号生成部
3 第2信号生成部
4 受信部
5 制御部
6 記憶部
7 表示部
8 操作部
11 第1プローブ
12 第2プローブ
13 バッキング材
51 画像生成部
52 走査制御部
53 加温制御部
54 組織性状診断部
55 温度上昇制限部
100 超音波診断装置
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2a】
1
(In Japanese)【図2b】
2
(In Japanese)【図3】
3
(In Japanese)【図4a】
4
(In Japanese)【図4b】
5
(In Japanese)【図5】
6
(In Japanese)【図6】
7
(In Japanese)【図7】
8
(In Japanese)【図8】
9
(In Japanese)【図9】
10
(In Japanese)【図10】
11
(In Japanese)【図11a】
12
(In Japanese)【図11b】
13
(In Japanese)【図11c】
14
(In Japanese)【図11d】
15
(In Japanese)【図12】
16
(In Japanese)【図13】
17
(In Japanese)【図14】
18