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Specification :(In Japanese)樹状細胞の成熟抑制剤及び成熟抑制方法、並びに医薬組成物

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-063198A
Date of publication of application Apr 23, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)樹状細胞の成熟抑制剤及び成熟抑制方法、並びに医薬組成物
IPC (International Patent Classification) A61K  39/395       (2006.01)
A61P  19/02        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
C12N   5/0784      (2010.01)
C07K  16/28        (2006.01)
C07K  16/18        (2006.01)
C07K  14/705       (2006.01)
C07K  14/78        (2006.01)
C07K  19/00        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
FI (File Index) A61K 39/395 ZNAD
A61K 39/395 N
A61P 19/02
A61P 29/00 101
A61P 43/00 111
C12N 5/0784
C07K 16/28
C07K 16/18
C07K 14/705
C07K 14/78
C07K 19/00
C12Q 1/02
G01N 33/50 Z
G01N 33/15 Z
Number of claims or invention 11
Filing form OL
Total pages 33
Application Number P2018-194614
Date of filing Oct 15, 2018
Article of public order and morality (In Japanese)1.TWEEN
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】岩倉 洋一郎
【氏名】矢部 力朗
Applicant (In Japanese)【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 2G045
4B063
4B065
4C085
4H045
F-term 2G045AA25
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ79
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4B065AA90X
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4C085AA13
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
Abstract (In Japanese)【課題】樹状細胞の成熟を抑制することが可能な新規な樹状細胞の成熟抑制剤、その成熟抑制剤を用いた樹状細胞の成熟抑制方法、その成熟抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物、樹状細胞の成熟抑制剤のスクリーニング方法、及び樹状細胞が仲介する疾患の治療成分のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟を抑制する。樹状細胞の成熟抑制剤としては、例えば、TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメインに結合することにより、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害する分子;コラーゲンタンパク質に結合することにより、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害する分子;等が挙げられる。
【選択図】図5A
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟を抑制する樹状細胞の成熟抑制剤。
【請求項2】
TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメイン又はコラーゲンタンパク質に結合する請求項1に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【請求項3】
TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメイン若しくはコラーゲンタンパク質に結合する抗体又はその機能的断片である請求項2に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【請求項4】
TARM1タンパク質若しくはコラーゲンタンパク質又はそれらの機能的等価物である請求項2に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【請求項5】
下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチド、又は該ポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質である請求項4に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列において、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列において、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
【請求項6】
コラーゲンポリペプチド、コラーゲン様ドメインを含むポリペプチド、又はコラーゲンポリペプチド若しくはコラーゲン様ドメインを含むポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質である請求項4に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹状細胞の成熟抑制剤を未成熟樹状細胞に接触させることを含む樹状細胞の成熟抑制方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹状細胞の成熟抑制剤を有効成分として含有し、樹状細胞が仲介する疾患の治療に用いられる医薬組成物。
【請求項9】
関節リウマチの治療に用いられる請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
被験物質の存在下及び非存在下において、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、
前記被験物質の存在下における前記結合活性が前記被験物質の非存在下における前記結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞の成熟抑制剤の候補として選択する工程と、
を含むスクリーニング方法。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
【請求項11】
被験物質の存在下及び非存在下において、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、
前記被験物質の存在下における前記結合活性が前記被験物質の非存在下における前記結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞が仲介する疾患の治療成分の候補として選択する工程と、
を含むスクリーニング方法。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、樹状細胞の成熟抑制剤及び成熟抑制方法、医薬組成物、並びに樹状細胞の成熟抑制剤又は樹状細胞が仲介する疾患の治療成分のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞やマクロファージ等の抗原提示細胞は、様々な共刺激受容体を発現している。共刺激受容体は、MHCクラスI分子及びMHCクラスII分子とT細胞受容体との相互作用と協同的にT細胞に活性化シグナルを伝達し、獲得免疫応答を活性化する。また、共刺激受容体は、T細胞の不応答を誘導する抑制シグナルも伝達する。この正及び負のシグナルは、受容体とリガンドとの相互作用によって精緻にコントロールされている。このため、抗原提示細胞の受容体-リガンド軸によって適切なシグナルが伝達されることは、T細胞を介した免疫応答の制御にとって極めて重要である。例えば、関節リウマチ等の自己免疫疾患には、共刺激シグナルの低下が密接に関係している。
【0003】
白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)ファミリーには、数多くの免疫グロブリン様受容体が含まれる。一部の免疫グロブリン様受容体は、樹状細胞やマクロファージ等の骨髄系細胞に発現しており、免疫細胞への共刺激を仲介している。過去の幾つかの報告では、LILRファミリーの遺伝子が自己免疫疾患に密接に関与していることが示唆されている。
【0004】
最近になり、LILRファミリーの白血球受容体複合体の領域にコードされる免疫グロブリン様受容体として、TARM1(T cell-interacting, activating receptor on myeloid cells-1)が同定された(非特許文献1参照)。TARM1は、2つの細胞外免疫グロブリン様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び典型的なシグナルモチーフを持たない短い細胞質ドメインから構成され、ITAM(Immunoreceptor tyrosine-based activation motif)を有するアダプター分子であるFcRγ鎖と特異的に会合する。アミノ酸配列解析の結果、TARM1は、ヒト単球由来樹状細胞やマウス破骨細胞の共刺激を仲介するOSCAR(Osteoclast-associated receptor)との相同性が高いことが判明している。TARM1は、Toll様受容体(TLR)リガンドの存在下、抗TARM1モノクローナル抗体で架橋することにより、マクロファージ及び好中球からのTNF-α及びIL-6の産生を促進する。また、TARM1遺伝子の発現は、LPS(lipopolysaccharide)等の炎症刺激により亢進する。
【0005】
特許文献1には、樹状細胞にTARM(TARM1等)が発現していること、炎症刺激によりTARMの発現が亢進すること、TARMを介して樹状細胞とT細胞とが接着すること、抗TARM抗体により樹状細胞とT細胞との接着が抑制されること、抗TARM抗体がコラーゲン誘導性関節炎(CIA)に対する治療効果を有すること等が記載されている。しかし、TARM1と樹状細胞の成熟との関係については従来知られていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2007/037430号
【0007】

【非特許文献1】V. Radjabova et al., J. Immunol., 195, 3149-3159, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、樹状細胞の成熟を抑制することが可能な新規な樹状細胞の成熟抑制剤、その成熟抑制剤を用いた樹状細胞の成熟抑制方法、その成熟抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物、樹状細胞の成熟抑制剤のスクリーニング方法、及び樹状細胞が仲介する疾患の治療成分のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟を抑制する樹状細胞の成熟抑制剤。
【0010】
<2> TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメイン又はコラーゲンタンパク質に結合する<1>に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【0011】
<3> TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメイン若しくはコラーゲンタンパク質に結合する抗体又はその機能的断片である<2>に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【0012】
<4> TARM1タンパク質若しくはコラーゲンタンパク質又はそれらの機能的等価物である<2>に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【0013】
<5> 下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチド、又は該ポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質である<4>に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列において、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列において、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
【0014】
<6> コラーゲンポリペプチド、コラーゲン様ドメインを含むポリペプチド、又はコラーゲンポリペプチド若しくはコラーゲン様ドメインを含むポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質である<4>に記載の樹状細胞の成熟抑制剤。
【0015】
<7> <1>~<6>のいずれか1項に記載の樹状細胞の成熟抑制剤を未成熟樹状細胞に接触させることを含む樹状細胞の成熟抑制方法。
【0016】
<8> <1>~<6>のいずれか1項に記載の樹状細胞の成熟抑制剤を有効成分として含有し、樹状細胞が仲介する疾患の治療に用いられる医薬組成物。
【0017】
<9> 関節リウマチの治療に用いられる<8>に記載の医薬組成物。
【0018】
<10> 被験物質の存在下及び非存在下において、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、
前記被験物質の存在下における前記結合活性が前記被験物質の非存在下における前記結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞の成熟抑制剤の候補として選択する工程と、
を含むスクリーニング方法。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
【0019】
<11> 被験物質の存在下及び非存在下において、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、
前記被験物質の存在下における前記結合活性が前記被験物質の非存在下における前記結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞が仲介する疾患の治療成分の候補として選択する工程と、
を含むスクリーニング方法。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)前記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、樹状細胞の成熟を抑制することが可能な新規な樹状細胞の成熟抑制剤、その成熟抑制剤を用いた樹状細胞の成熟抑制方法、その成熟抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物、樹状細胞の成熟抑制剤のスクリーニング方法、及び樹状細胞が仲介する疾患の治療成分のスクリーニング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】Il1rn-/-マウスの関節におけるTarm1遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【図1B】HTLV-I Tgマウスの関節におけるTarm1遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【図1C】Il1rn-/-マウスの関節におけるTarm1遺伝子及び炎症性サイトカイン遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を示す図である。
【図1D】HTLV-I Tgマウスの関節におけるTarm1遺伝子及び炎症性サイトカイン遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を示す図である。
【図1E】II型コラーゲンとCFAとを混合したエマルションをTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスに免疫したときの関節炎の発症率を示す図である(p<0.05(χ2検定)。
【図1F】II型コラーゲンとCFAとを混合したエマルションをTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスに免疫したときの関節炎の重症度を示す図である(p<0.05(マン・ホイットニーのU検定))。
【図1G】免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける関節の状態を示す図である。
【図1H】免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける関節炎部分の組織をサフラニンOで染色した結果を示す図である。
【図1I】免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける関節炎部分の組織をヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色した結果を示す図である。
【図1J】免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊を含む組織病理学スコアを示す図である(p<0.05(マン・ホイットニーのU検定))。
【図1K】免疫後42日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、免疫細胞(CD11c、I-A/I-ECD11c、CD44CD4、CD19)のポピュレーションをフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(p<0.05;**p<0.01(スチューデントの両側t検定))。
【図1L】Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、II型コラーゲンに特異的なIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3の抗体価をELISAにより測定した結果を示す図である(**p<0.01(スチューデントの両側t検定))。
【図2A】CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスから採取した所属リンパ節(dLN)の細胞をII型コラーゲンにより再刺激した後、[3H]チミジン取り込みを測定した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【図2B】所属リンパ節の細胞をin vitroで66時間、種々の濃度のII型コラーゲンにより再刺激した後の培養上清に含まれるTNFの量をELISAにより測定した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【図2C】所属リンパ節の細胞をin vitroで66時間、種々の濃度のII型コラーゲンにより再刺激した後の培養上清に含まれるINF-γの量をELISAにより測定した結果を示す図である(p<0.05;***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図2D】所属リンパ節の細胞をin vitroで66時間、種々の濃度のII型コラーゲンにより再刺激した後の培養上清に含まれるIL-17の量をELISAにより測定した結果を示す図である(***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図2E】CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、所属リンパ節におけるI-A/I-ECD11c細胞のポピュレーションをフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(**p<0.01(スチューデントの両側t検定))。
【図2F】CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、所属リンパ節のCD11c細胞におけるI-A/I-Eの発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図2G】CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスの所属リンパ節から樹状細胞及びT細胞を単離し、II型コラーゲンの存在下で共培養したときのT細胞の増殖を[3H]チミジン取り込みにより確認した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【図3A】GM-CSF誘導性樹状細胞(GM-DCs)、M-CSF誘導性骨髄由来マクロファージ(BMMs)、破骨細胞(OCs)、T細胞(Thy1.2細胞)、及びB細胞(B220細胞)におけるTarm1遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにより分析した結果を示す図である。
【図3B】Tarm1egfp/+マウス及びWTマウスについて、通常型樹状細胞(cDCs;CD11bCD11c及びCD24CD11c)及び形質細胞様樹状細胞(pDCs;B220CD11c)におけるTarm1遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図3C】CIA誘導後7日目のTarm1egfp/+マウス及びWTマウスについて、炎症性樹状細胞(iDCs;Ly6CLy6GMHC IIhiCD11bCD11c)におけるTarm1遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図3D】GM-DCsにおけるTarm1遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図3E】Flt3L誘導性樹状細胞(FL-DCs)におけるTarm1遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図3F】GM-DCsを炎症性サイトカイン(TNF、IL-1β)で処理した後、Tarm1遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにより分析した結果を示す図である。
【図3G】GM-DCsを病原体関連分子パターン(LPS、CpG、poly(I:C))で処理した後、Tarm1遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにより分析した結果を示す図である。
【図3H】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、GM-CSF処理から所定日数経過後に、CD11c細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図3I】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、GM-CSF処理から所定日数経過後に、I-A/I-EhiCD11c細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図3J】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、GM-CSF処理から所定日数経過後に、樹状細胞活性化マーカー(I-A/I-E、CD86、CD80)の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図3K】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについてDNAマイクロアレイにより遺伝子発現を解析したときの、発現量の差異が2倍超である遺伝子のヒートマップを示す図である。
【図3L】OT-II Tgマウス由来のCFSE標識CD4 T細胞を、所定濃度のOVAの存在下、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsと共培養し、培養3日目にCFSE強度をフローサイトメトリーにより測定した結果を示す図である(**p<0.01;***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図4A】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsとTarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図4B】トリプシン処理又は未処理のGM-DCsとTarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図4C】プレートに固定化されたI型コラーゲン、II型コラーゲン、又はBSAに対するTarm1-Fcの結合性を固相結合アッセイにより確認した結果を示す図である。
【図4D】EDTAの存在下又は非存在下で、プレートに固定化されたII型コラーゲンに対するTarm1-Fcの結合性を固相結合アッセイにより確認した結果を示す図である。
【図4E】GM-DCsの細胞表面におけるI型コラーゲン及びII型コラーゲンの発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図4F】コラーゲン処理又は未処理のGM-DCsについて、Tarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。
【図4G】GM-DCsの全細胞溶解液(WCL)についてTarm1-Fc又はIgG Fcを用いて免疫沈降を行い、沈殿物について抗II型コラーゲン抗体を用いてイムノブロッティングを行った結果を示す図である。
【図4H】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsをII型コラーゲンで刺激し、樹状細胞活性化マーカー(CD86、I-A/I-E)の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001(スチューデントの両側t検定))。
【図4I】Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsをII型コラーゲンで刺激し、培養上清中のサイトカイン(TNF、IL-6、IL-10)の濃度をサイトメトリックビーズを用いたフローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である(**p<0.01(スチューデントの両側t検定))。
【図5A】CIAを誘導したDBA/1Jマウスの左足首関節及び右足首関節の関節腔にTarm1-Fc及びIgG Fcを投与したときの関節炎の重症度を示す図である(p<0.05;**p<0.01(マン・ホイットニーのU検定))。
【図5B】CIAを誘導したDBA/1Jマウスの左足首関節及び右足首関節の関節腔にTarm1-Fc及びIgG Fcを投与したときの足の状態を示す図である。
【図5C】Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスの足首関節の組織をヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色した染色像を示す図である。
【図5D】Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスにおける滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊を含む組織病理学スコアを示す図である(p<0.05(マン・ホイットニーのU検定))。
【図5E】Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスの関節におけるサイトカイン(TNF、IL-6、IL-1β、IL-10、IL-17a)遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を示す図である(p<0.05(スチューデントの両側t検定))。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<樹状細胞の成熟抑制剤>
本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟を抑制するものである。

【0023】
TARM1タンパク質は、樹状細胞の細胞膜に発現しているタンパク質であり、炎症刺激により発現が増強することが知られている。TARM1タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列情報及びTARM1タンパク質のアミノ酸配列情報は、米国生物工学情報センター(NCBI)のGenBankデータベースから入手可能である。一例として、ヒトTARM1の塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号1、2に示し、マウスTARM1の塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号3、4に示す。

【0024】
本発明者らは、樹状細胞の細胞膜に発現しているTARM1タンパク質が、同じく樹状細胞の細胞膜に発現しているII型コラーゲンタンパク質に結合すること(すなわち、II型コラーゲンタンパク質がTARM1タンパク質のリガンドであること)、II型コラーゲンタンパク質が樹状細胞の成熟をTARM1依存的に制御していること、TARM1タンパク質の細胞外ドメインとIgGのFc領域との融合タンパク質(TARM1-Fc)を用いてTARM1タンパク質とII型コラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟が抑制されること等を見出した。

【0025】
また、本発明者らは、TARM1タンパク質がI型コラーゲンタンパク質に結合すること(すなわち、I型コラーゲンタンパク質がTARM1タンパク質のリガンドであること)も見出した。樹状細胞は、I型コラーゲンタンパク質に結合すると成熟が促進することが知られている(U. Brand et al., Eur. J. Immunol., 28, 1673-1680, 1998)。したがって、TARM1タンパク質とI型コラーゲンタンパク質との結合を阻害することにより、樹状細胞の成熟を抑制することができる。

【0026】
本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤によれば、樹状細胞の成熟を抑制することにより、樹状細胞が仲介する免疫反応を抑制することが可能である。したがって、本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、例えば、樹状細胞が仲介する疾患の治療成分として使用することができる。実際、本発明者らは、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおいて、TARM1-Fcが治療効果を有することを確認している。なお、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルは、自己免疫疾患の1つである関節リウマチのモデルである。

【0027】
本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害する作用を有するものであれば特に制限されない。樹状細胞の成熟抑制剤としては、例えば、TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメインに結合することにより、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害する分子;コラーゲンタンパク質に結合することにより、TARM1タンパク質とコラーゲンタンパク質との結合を阻害する分子;等が挙げられる。

【0028】
本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメイン若しくはコラーゲンタンパク質に結合する抗体又はその機能的断片であってもよい。

【0029】
TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメインに結合する抗体としては、TARM1タンパク質のコラーゲン結合ドメインの一部又は全部をエピトープとして認識するものが挙げられる。後述するように、TARM1タンパク質の2つの免疫グロブリン様ドメインはコラーゲンタンパク質への結合能を有するため、TARM1タンパク質に結合する抗体としては、例えば、少なくとも一方の免疫グロブリン様ドメインの一部又は全部をエピトープとして認識するものを用いることができる。

【0030】
コラーゲンタンパク質に結合する抗体としては、I型コラーゲンタンパク質又はII型コラーゲンタンパク質の少なくとも一部をエピトープとして認識するものが挙げられる。

【0031】
抗体のアイソタイプは特に制限されず、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE等のいずれであってもよい。また、抗体は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれであってもよい。モノクローナル抗体としては、非ヒト動物への免疫により得られるモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体等が挙げられる。

【0032】
抗体の機能的断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv等が挙げられる。

【0033】
また、本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、抗体以外に、低分子化合物、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、核酸等であってもよい。

【0034】
上述したとおり、TARM1タンパク質はコラーゲンタンパク質に結合するため、TARM1タンパク質又はその機能的等価体を樹状細胞の成熟抑制剤として使用することもできる。TARM1タンパク質の機能的等価体としては、例えば、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチド、又は該ポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質が挙げられる。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。

【0035】
上記(a)のポリペプチドは、配列番号2に示すヒトTARM1タンパク質のアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むものである。N末端から27番目~120番目の領域、及びN末端から124番目~219番目の領域は、ヒトTARM1タンパク質の2つの免疫グロブリン様ドメインに対応する。ヒトTARM1タンパク質の少なくとも1つの免疫グロブリン様ドメインを含む上記(a)のポリペプチドは、コラーゲンタンパク質への結合能を有する。

【0036】
なお、TARM1タンパク質と相同性の高いOSCARタンパク質もまた2つの免疫グロブリン様ドメインを有しており、各免疫グロブリン様ドメインがコラーゲンタンパク質への結合能を有することが知られている(A. D. Barrow et al., J. Clin. Invest., 121, 3505-3516, 2011; L. Zhou et al., Blood, 127, 529-537, 2016; J. Haywood et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 113, 1038-1043, 2016)。

【0037】
上記(b)のポリペプチドは、配列番号4に示すマウスTARM1タンパク質のアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むものである。N末端から27番目~120番目の領域、及びN末端から124番目~218番目の領域は、マウスTARM1タンパク質の2つの免疫グロブリン様ドメインに対応する。マウスTARM1タンパク質の少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む上記(b)のポリペプチドは、コラーゲンタンパク質への結合能を有する。

【0038】
上記(c)のポリペプチドは、上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するものである。置換、欠失、又は付加されるアミノ酸残基の数は、コラーゲンタンパク質への結合能が維持される限り特に制限されない。置換、欠失、又は付加されるアミノ酸残基の数は、例えば、1~30個であってもよく、1~25個であってもよく、1~20個であってもよく、1~15個であってもよい。

【0039】
任意のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換する場合、通常、置換前後でアミノ酸側鎖の性質が保存されていることが好ましい。アミノ酸側鎖の性質によってアミノ酸を分類する場合、例えば、親水性アミノ酸(D、E、K、R、H、S、T、N、Q);疎水性アミノ酸(A、G、V、I、L、F、Y、W、M、C、P);酸性アミノ酸(D、E);塩基性アミノ酸(K、R、H);脂肪族側鎖を有するアミノ酸(A、G、V、I、L);芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(F、Y、W);硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(M、C);等に分類することができる(括弧内のアルファベットはアミノ酸の一文字表記を示す)。

【0040】
上記(d)のポリペプチドは、上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するものである。上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列との配列同一性は、92%以上であってもよく、95%以上であってもよく、98%以上であってもよく、99%以上であってもよい。

【0041】
なお、「配列同一性」とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントした場合の配列間の一致性を意味し、例えば、BLASTプログラム(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Blast/cgi)を使用して算出することができる。

【0042】
また、上述したとおり、コラーゲンタンパク質はTARM1タンパク質に結合するため、コラーゲンタンパク質又はその機能的等価体を樹状細胞の成熟抑制剤として使用することもできる。コラーゲンタンパク質の機能的等価体としては、例えば、コラーゲンポリペプチド、コラーゲン様ドメインを含むポリペプチド、又はコラーゲンポリペプチド若しくはコラーゲン様ドメインを含むポリペプチドとIgGのFc領域との融合タンパク質が挙げられる。

【0043】
<樹状細胞の成熟抑制方法>
本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤は、上述した本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤を未成熟樹状細胞に接触させることを含む。樹状細胞の成熟抑制剤については上述したとおりであるため、詳細な説明を省略する。

【0044】
樹状細胞の成熟抑制剤を未成熟樹状細胞に接触させる方法は特に制限されず、例えば、樹状細胞の成熟抑制剤を含有する培地で未成熟樹状細胞を培養する方法が挙げられる。

【0045】
なお、樹状細胞が未成熟樹状細胞であるか成熟樹状細胞であるかは、例えば、樹状細胞の成熟化マーカーであるCD40、CD80、CD83、CD86、I-A/I-E等の発現をフローサイトメトリーにより解析することによって判定することができる。

【0046】
<医薬組成物>
本実施形態に係る医薬組成物は、上述した本実施形態に係る樹状細胞の成熟抑制剤を有効成分として含有する。樹状細胞の成熟抑制剤については上述したとおりであるため、詳細な説明を省略する。

【0047】
本実施形態に係る医薬組成物は、樹状細胞の成熟を抑制することができるため、樹状細胞が仲介する疾患の治療に好適に用いることができる。すなわち、樹状細胞が仲介する疾患の患者に本実施形態に係る医薬組成物を投与することにより、当該疾患を治療することができる。樹状細胞が仲介する疾患としては、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、炎症性疾患等を挙げることができる。自己免疫疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、結合組織病、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、バセドウ病、I型糖尿病等が挙げられる。アレルギー性疾患としては、気道過敏症(喘息)、アトピー性皮膚炎等が挙げられる。炎症性疾患としては、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、乾癬性関節炎、腎炎等が挙げられる。

【0048】
なお、「治療」には、疾患の症状を消失又は軽減させることのほか、症状の進行の度合いを抑制することも含まれる。

【0049】
本実施形態に係る医薬組成物は、樹状細胞の成熟抑制剤以外の成分を含有していてもよい。例えば、医薬組成物は、製剤素材として慣用の有機又は無機の担体を含有していてもよい。この担体は、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等として、液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤等として配合される。また、自己免疫疾患治療剤は、防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を含有していてもよい。

【0050】
医薬組成物の剤形は特に制限されない。医薬組成物の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、フィルム剤等の経口剤;注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の非経口剤;などが挙げられる。

【0051】
医薬組成物の投与量は、投与対象(年齢、性別、体重等)、投与経路、対象疾患、症状などに応じて適宜決定される。通常、成人(体重60kg)あたり、1~5000mg/日、好ましくは5~2000mg/日、より好ましくは50~2000mg/日を、1回又は数回に分けて投与することができる。ただし、実際の投与量は、臨床医師の判断により大幅に変動することもあり、上記の投与量から逸脱することもある。

【0052】
<スクリーニング方法>
本実施形態に係るスクリーニング方法の第1の態様は、被験物質の存在下及び非存在下において、下記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、被験物質の存在下における結合活性が被験物質の非存在下における結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞の成熟抑制剤の候補として選択する工程と、を含む。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~219番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列のうち、N末端から27番目~120番目又は124番目~218番目のアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド。
(c)上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。
(d)上記(a)又は(b)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、コラーゲンタンパク質への結合能を有するポリペプチド。

【0053】
また、本実施形態に係るスクリーニング方法の第2の態様は、被験物質の存在下及び非存在下において、上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性を測定する工程と、被験物質の存在下における結合活性が被験物質の非存在下における結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞が仲介する疾患の治療成分の候補として選択する工程と、を含む。

【0054】
上記(a)~(d)のポリペプチドについては上述したとおりであるため、詳細な説明を省略する。

【0055】
上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドとコラーゲンタンパク質との結合活性は、公知の方法に従って測定することができる。例えば、コラーゲンタンパク質を固相化したプレートに上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドを添加し、所定時間経過後、結合していないポリペプチドを洗浄等により取り除き、結合したポリペプチドの量を測定することにより、結合活性を測定することができる。上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドを添加する場合、該ポリペプチドは、酵素、放射性同位体、蛍光色素等の標識物質を用いて適宜標識することができる。

【0056】
そして、被験物質の存在下における結合活性が被験物質の非存在下における結合活性よりも低い場合に、該被験物質を樹状細胞の成熟抑制剤の候補、又は樹状細胞が仲介する疾患の治療成分の候補として選択する。一例としては、被験物質の存在下における結合活性が被験物質の非存在下における結合活性に対して50%以下である場合に、該被験物質を樹状細胞の成熟抑制剤の候補、又は樹状細胞が仲介する疾患の治療成分の候補として選択することができる。

【0057】
なお、被験物質としては、低分子化合物、タンパク質、ポリペプチド、多糖類、核酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。被験物質は、新規な物質であっても公知の物質であってもよい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0059】
<材料及び方法>
(マウス)
CD57BL/6Jマウス、BALBc/Aマウス、及びDBA/1Jマウスは、日本エスエルシー(株)又は日本クレア(株)から購入した。Tarm1ヘテロ欠損マウス(Tarm1egfp/+マウス)及びTarm1ホモ欠損マウス(Tarm1egfp/egfpマウス)は、C57BL/6JマウスのTarm1遺伝子のエクソン1をeGFP遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子と相同組換えすることにより作製した。Tarm1egfp/egfpマウスは予想されるメンデル比で産まれ、明確な異常を示さなかった。OT-II TCRトランスジェニックマウス(OT-II Tgマウス)は、東京理科大学生命医科学研究所のH.Kishimoto氏より供与を受けた。
【実施例】
【0060】
全てのマウスは、東京理科大学生命医科学研究所のクリーンルーム内でSPF条件下にて飼育した。実験には、週齢(6~12週齢)及び性別を揃えたマウスを使用した。動物実験は学内委員会の承認を受けており、動物実験の倫理ガイドライン及び遺伝子操作実験の安全性ガイドラインに従って実施した。
【実施例】
【0061】
(コラーゲン誘導性関節炎(CIA))
CIAは既報に従って、以下のように誘導した(D. D. Brand et al., Nature protocols, 2, 1269-1275, 2007; J. J. Inglis et al., Nature protocols, 3, 612-618, 2008)。不完全フロイントアジュバント(IFA;ThermoFisher Scientific)に結核菌(M. tuberculosis)(H37Ra;Difco)の加熱死菌を加えることにより、完全フロイントアジュバント(CFA;1mg/mL)を調製した。4mg/mL II型コラーゲン(SIGMA-ALDRICH)とCFAとを1:1(体積比)で混合することにより、エマルションを調製した。そして、マウス(8~10週齢)の尾の付け根付近の3箇所に計200μLのエマルションを皮内投与した。初回免疫から14日経過後、同量のエマルションをブースター投与した。各足の腫脹は以下のようにスコア化して評価した。0:変化なし、1:腫脹又は発赤が指関節に認められた、2:軽度の腫脹が足首関節に認められた、3:重度の腫脹が足全体に認められた。四足分のスコアを合計したため、スコアの最大値は12である。
【実施例】
【0062】
自己免疫性関節炎に対するTarm1-Fcの治療効果を確認する際には、CIA(軽度のスコア)を誘導したDBA/1Jマウスの左又は右足首関節の関節腔に、Tarm1-Fc(足首関節あたり1μg)又はIgG Fc(足首関節あたり1μg)を投与した。0日目に、2mg/mL II型コラーゲン及び1.65mg/mL CFAとからなるエマルション100μLを雌のDBA1/Jマウス(6~8週齢)に投与して免疫した(M. A. Murayama et al., Nature communications, 6, 8483, 2015)。さらに21日目に、同量のエマルションをブースター投与した。関節炎の進行は以下のようにスコア化して評価した。0:変化無し、1:紅斑及び軽度の腫脹が足根関節に認められた、2:紅斑及び軽度の腫脹が足根関節から足指に広がっていた、3:紅斑及び中等度の腫脹が中足骨関節から広がっていた、4:紅斑及び重度の腫脹が足首、足、足指に広がっていたか、又は足に強直があった。四足分のスコアを合計したため、スコアの最大値は16である。
【実施例】
【0063】
(組織病理学)
マウスを麻酔下で安楽死させて足を切断し、10% 中性ホルマリンで固定化した後、10% EDTAで脱灰した。パラフィン包埋切片の作製及び免疫組織染色は、東京大学医科学研究所に委託して実施した。簡単には以下のとおりである。連続組織切片(5μm)をヘマトキシリン・エオジン(HE)及びサフラニンOで染色し、以下のようにスコア化して評価した(J. J. Inglis et al., Nature protocols, 3, 612-618, 2008)。0:炎症サインが認められなかった、1:滑膜表層の過形成を伴い、軟骨破壊を伴わない軽度の炎症が認められた、2:滑膜下内層においてグレード1の変化及び肉芽腫性病変が認められた、3:グレード2の変化、並びにパンヌス形成及び軟骨/骨破壊が認められた。足首関節の関節炎インデックスは、距骨、並びに脛骨及び踵骨を含む骨のグレードから推定した。
【実施例】
【0064】
(抗体価)
ニワトリII型コラーゲンに特異的なIgGの抗体価はELISAにより測定した。血清は免疫から42日後に回収した。ニワトリII型コラーゲン(20μg/mL)を96ウェルプレートにコートし、段階的に希釈した血清を添加して室温で1時間インキュベートした。PBS/0.05% Tween20で洗浄した後、アルカリホスファターゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体(Zymed)を添加して室温で1時間インキュベートした。次いで、基質となるホスファターゼであるSIGMA104(SIGMA-ALDRICH)を添加し、マクロプレートリーダー(MTP-300;Hitachi)を用いて波長415nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0065】
(フローサイトメトリー)
フローサイトメトリーは、既報に従って実施した(R. Yabe et al., FEBS Journal, 277, pp.4010-4026, 2010)。簡単には以下のとおりである。細胞を2.4G2抗体によりブロッキングした後、蛍光標識抗体により4℃で30分間処理することにより、細胞を染色した。その後、フローサイトメーター(FACSCantoII又はFACSVerse;Becton Dickinson)を用いて細胞を分析し、FlowJo(Tree Star)を用いてデータを解析した。死細胞は、7AAD(SIGMA-ALDRICH)及びPI(SIGMA-ALDRICH)を用いて染色した。
【実施例】
【0066】
樹状細胞サブセットの染色に際しては、200U/mL VIII型コラゲナーゼ(SIGMA-ALDRICH)を用いてリンパ節を酵素分解した。
【実施例】
【0067】
セルソーティングに際しては、単細胞懸濁液をビオチン化抗体とともにインキュベートした後、抗ビオチンビーズ(Miltenyi Biotec)とともにインキュベートした。そして、磁気セルソーティングシステム(autoMACS;Miltenyi Biotec)を用いて、ネガティブセレクションモードにて、ラベルされた細胞を単離した。陰性細胞は蛍光標識抗体にて染色し、CD11c細胞及びCD4CD3細胞はフローサイトメーター(FACSAria II(Becton Dickinson)又はMoFlo XDP(Beckman Coulter))を用いて高度に精製した。
【実施例】
【0068】
Tarm1リガンドのスクリーニングに際しては、細胞を2.4G2抗体によりブロッキングした後、Tarm1-Fcとともに氷上で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、PE標識抗ヒトIgG-Fc抗体(HP6017;BioLegend)とともにさらにインキュベートした。
【実施例】
【0069】
サイトメトリー解析に使用した抗体を下記表1に示す。
【実施例】
【0070】
【表1】
JP2020063198A_000003t.gif
【実施例】
【0071】
(増殖応答アッセイ)
初回免疫後10日目に安楽死させたマウスから鼡径部のリンパ節を採取した。所属リンパ節から単細胞懸濁液を調製し、所定濃度の熱変性ニワトリII型コラーゲンの存在下、96ウェルプレートで培養した(2×105個/ウェル)。66時間インキュベートした後、細胞を[3H]チミジン(0.25μCi/mL;PerkinElmer)で6時間処理することによりラベルした。細胞をMicro 96 cell harvester(Skatron)により回収し、[3H]放射活性をMicro Beta Systems(Pharmacia Biotech)により測定した。培養上清は刺激から66時間後に回収した。
【実施例】
【0072】
(サイトカイン産生の測定)
サイトカイン産生は、Mouse TNF ELISA MAX(BioLegend)、Duo set IFN-γ(R&D systems)、Duo set IL-17(R&D systems)、Cytometric Bead Array (CBA) mouse TNF Flex Set(BD Biosciences)、CBA mouse IL-6 Flex Set(BD Biosciences)、及びCBA mouse IL-10 Flex Set(BD Biosciences)を用いて測定した。
【実施例】
【0073】
(逆転写及び定量PCR)
組織及び細胞からRNAを抽出し、それぞれSepasol-RNA I Super(Nacalai Tesque)及びGenElute mammalian total RNA miniprep kit(SIGMA-ALDRICH)を用いて精製した。得られたRNAは、high capacity cDNA reverse transcription kit(Applied Biosystems)を用いて逆転写した。定量PCR分析に際しては、下記表2に示すプライマーセットとともに、SYBR Premix Ex Taq I kit(TaKaRa)又はSYBR Premix Ex Taq II kit(TaKaRa)を使用した。
【実施例】
【0074】
【表2】
JP2020063198A_000004t.gif
【実施例】
【0075】
(骨髄由来樹状細胞の調製)
C57BL/6Jマウスの脛骨及び大腿骨から骨髄を取り出し、溶血バッファー(140mM NH4Cl,17mM Tris-HCl,pH7.2)により赤血球を破壊することにより、骨髄細胞を回収した。
【実施例】
【0076】
GM-CSF誘導性樹状細胞(GM-DCs)の調製に際しては、10% FBS、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.1% 2-メルカプトエタノール、及び組換えマウスGM-CSF(2~20ng/mL;Peprotech)を含有するRPMI1640培地中、骨髄細胞を2×105個/mLの細胞密度で培養した。培養3日目に、同量の培地をウェルにさらに添加した。培養6日目及び8日目に、接着性の弱い細胞を回収し、GM-CSF(1~10ng/mL)を含有する新しい培地で培養した。そして、非接着性の細胞をGM-DCsとして使用した。
【実施例】
【0077】
Flt3L誘導性樹状細胞(FL-DCs)の調製に際しては、10% FBS、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.1% 2-メルカプトエタノール、及び組換えマウスFlt3L(100ng/mL;Peprotech)を含有するRPMI1640培地中、骨髄細胞を2×106個/mLの細胞密度で培養した。そして、2.5mM EDTA/PBSでピペッティングすることにより接着性細胞を回収し、FL-DCsとして使用した。
【実施例】
【0078】
M-CSF誘導性骨髄由来マクロファージ(BMM)の調製に際しては、10% FBS、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.1% 2-メルカプトエタノール、及び組換えヒトM-CSF(20ng/mL;R&D systems)を含有するRPMI1640培地中、骨髄細胞を2×106個/mLの細胞密度で培養した。培養3日目に、半量の培地をウェルにさらに添加した。そして、2.5mM EDTA/PBSで剥離することにより接着性細胞を回収し、BMMとして使用した。
【実施例】
【0079】
(GM-DCsへの刺激)
大腸菌O111:B4のLPS(100ng/mL;SIGMA-ALDRICH)、CpG(1μM;Eurofins Genomics)、poly(I:C)(100μg/mL;InvivoGen)、TNF(10ng/mL;Peprotech)、IL-1β(10ng/mL;Peprotech)、又はII型コラーゲン(1μg/mL、10μg/mL、又は100μg/mL;SIGMA-ALDRICH)の存在下、GM-DCsを37℃で所定時間培養した。
【実施例】
【0080】
(DNAマイクロアレイ)
DNAマイクロアレイ分析は化学物質評価研究機構に委託して実施した。簡単には以下のとおりである。2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を用いてRNAの分解度及び品質を確認した。RNAを逆転写してcDNAを得た後、Low Input Quick Amp Labeling Kit(Agilent)を用いて、転写物であるCy3ラベル化cRNAを得た。得られたサンプルは、オーブン内でSurePrint G3 Mouse GE Microarray(Ver.2.0)にハイブリダイズさせ、DNA Microarray Scanner(Agilent Technologies)を用いてマイクロアレイをスキャンした。
【実施例】
【0081】
Tarm1egfp/egfpマウスのGM-DCsにおいて発現が1/2以下に下方制御されている遺伝子について、PANTHER Overrepresentation Testにより遺伝子オントロジー解析を行い、ボンフェローニ補正によって修正した。
【実施例】
【0082】
(GM-DCs及びT細胞の共培養)
OT-II Tgマウスの脾臓及びリンパ節から単離した細胞を2.4G2抗体でブロッキングした後、ビオチン化抗CD11c抗体(BioLegend)、ビオチン化抗CD11b抗体(BioLegend)、又はビオチン化抗B220抗体(BioLegend)で処理し、抗ビオチンビーズ(Miltenyi Biotec)で処理した。ラベル化された細胞は、磁気セルソーティングシステム(autoMACS;Miltenyi Biotec)を用いて取り除いた。陰性画分をさらに抗CD4ビーズ(Miltenyi Biotec)で処理し、磁気セルソーティングシステムを用いてラベル化された細胞(CD4 T細胞)を回収した。CD4 T細胞を5μM CFSE(Invitrogen)とともに37℃で5分間インキュベートした。そして、OVA(1μg/mL、10μg/mL、又は100μg/mL)の存在下、CFSEラベル化CD4 T細胞(2×105個/ウェル)をGM-DCs(2×104個/ウェル)とともに37℃で3日間共培養した。細胞増殖はフローサイトメトリーにより解析した。
【実施例】
【0083】
(Fc融合タンパク質)
IgG Fc融合タンパク質は既報に従って合成した(R. Yabe et al., FEBS Journal, 277, 4010-4026, 2010)。Lipofectamine LTX(Invitrogen)を用いてプラスミドを293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトから24時間後、2% 低IgG FBS(Invitrogen)を含有するOPTI-MEM培地(Invitrogen)へと培地を交換した。そして、Protein A Sepharose担体を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより、培地中に分泌された融合タンパク質を精製した。
【実施例】
【0084】
(トリプシン消化及びコラゲナーゼ消化)
トリプシン-EDTA溶液(0.05%又は0.02%;SIGMA-ALDRICH)又は200U/mL コラゲナーゼ(Wako chemicals)を用いて、細胞を37℃で30分間処理した。
【実施例】
【0085】
(固相結合アッセイ)
Maxisorp 96ウェルプレート(ThermoFisher SCIENTIFIC)にI型コラーゲン、II型コラーゲン、又はBSA(0~10μg/mL)をコートし、洗浄バッファー(0.05% Tween20及び2mM CaCl2を含有するTBS)により洗浄した後、ブロッキングバッファー(0.05% Tween20及び5% BSAを含有するTBS)によりブロッキングを行った。IgG Fc融合タンパク質(5μg/mL)を含有する結合バッファー(0.05% Tween20、2mM CaCl2、及び0.5% BSAを含有するTBS)は、室温で2時間インキュベートした。HRP標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Fcγフラグメント特異的;5000倍希釈;Jackson ImmunoResearch)は、室温で1時間インキュベートした。そして、各ウェルに発色試薬としてSureBlue TMB Microwell Peroxidase Substrate(SeraCare)を添加した後、1N HClにより反応を停止させた。発色は、iMarkマクロプレートリーダー(BIO-RAD)を用いて波長450nmにてモニターした。
【実施例】
【0086】
(Tarm1-Fcによる免疫沈降及びウェスタンブロッティング)
1% NP-40及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(哺乳動物細胞/組織抽出物用)(Nacalai tesque)を含有するTBSにより細胞を溶解した。細胞溶解液をプレクリアした後、Tarm1-Fc又はIgG Fcを固定化したProtein A Sepharose担体とともに4℃で一晩インキュベートした。次いで、洗浄を行った後、スラリーをSDSサンプルバッファーとともに95℃で5分間加熱した。加熱後のサンプルを遠心分離し、上清をSDS-PAGEに供した後、PVDF膜にエレクトロブロッティングを行った。次いで、PVDF膜を4% BlockAce(DS Pharma Biomedical Co.)でブロッキングした後、ビオチン化抗II型コラーゲン抗体(A2-10、F10-21、D8-6、D1-2G;Chondrex)とともにインキュベートし、さらにHRP標識ストレプトアビジン(BioLegend)とともにインキュベートした。その後、PVDF膜をECL Prime Western Blotting Detection System(GE Healthcare)とともにインキュベートし、デジタルイメージャー(LAS4000システム;Fuji Film Life Science)を用いて化学発光を検出した。
【実施例】
【0087】
(統計処理)
統計処理には、スチューデントの両側t検定、χ2検定、及びマン・ホイットニーのU検定を使用し、P値が0.05未満である場合を統計学的に有意であると判定した(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。データは平均値±SDで示した。
【実施例】
【0088】
<試験例1>
従来、遺伝子発現解析により、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)ファミリーの免疫グロブリン様遺伝子が関節炎の進行に関与していることが示唆されている(N. Fujikado et al., Arthritis research & therapy, 8, R100, 2006)。そこで、まず、IL-1受容体アンタゴニスト遺伝子(Il1rn)欠損マウス(Il1rn-/-マウス)及びヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)トランスジェニックマウス(HTLV-I Tgマウス)(R. Horai et al., The Journal of experimental medicine, 191, 313-320, 2000; Y. Iwakura et al., Science, 253, 1026-1028, 1991)の関節におけるTarm1遺伝子の発現について確認した。Il1rn-/-マウス及びHTLV-I Tgマウスはいずれも、関節リウマチに類似した関節炎を自然発症する。
【実施例】
【0089】
Il1rn-/-マウス及びHTLV-I Tgマウスについて、関節におけるTarm1遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を図1A及び図1Bに示す(Il1rn-/-マウス;n=3、HTLV-I Tgマウス;n=4)。コントロールとして、WTマウスにおけるTarm1遺伝子の発現も併せて分析した(n=4)。図1A及び図1Bに示すとおり、関節炎を発症しているIl1rn-/-マウス及びHTLV-I Tgマウスにおいては、WTマウスと比較して、Tarm1遺伝子の発現が有意に亢進していた。
【実施例】
【0090】
次いで、Tarm1遺伝子の発現及び炎症性サイトカイン(TNF、IL-6、IL-1β)遺伝子の発現の相関性について検討した。Il1rn-/-マウス及びHTLV-I Tgマウスについて、関節におけるTarm1遺伝子及び炎症性サイトカイン遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した結果を図1C及び図1Dに示す(Il1rn-/-マウス;n=3、HTLV-I Tgマウス;n=3)。コントロールとして、WTマウスにおけるTarm1遺伝子及び炎症性サイトカイン遺伝子の発現も併せて分析した(n=3)。図1C及び図1Dに示すとおり、Tarm1遺伝子の発現は、炎症性サイトカイン遺伝子の発現とよく相関していた。
【実施例】
【0091】
次いで、Tarm1ホモ欠損マウス(Tarm1egfp/egfpマウス)のコラーゲン誘導性関節炎(CIA)への感受性について検討した。
【実施例】
【0092】
II型コラーゲンと完全フロイントアジュバント(CFA)とを混合したエマルションをTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスに免疫したときの関節炎の発症率及び重症度を図1E及び図1Fに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=22、WTマウス;n=19)。図1E及び図1Fは、2回の独立した実験を組み合わせたものである。図1Fでは、スコアの合計値をマウスの総数で除算した。また、免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける関節の状態(代表例)を図1Gに示す。図1E~図1Gに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、WTマウスと比較して、関節炎の発症率及び重症度が顕著に低下していた。
【実施例】
【0093】
免疫後50日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスにおける関節炎部分の組織像(代表例)を図1H及び図1Iに示す。図1Hは、後足の切片(5μm)をサフラニンOで染色したものであり、図1Iは、後足の切片(5μm)をヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色したものである。また、滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊を含む組織病理学スコアを図1Jに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=7、WTマウス;n=8)。図1H~図1Jに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、WTマウスと比較して、滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊が顕著に減少していた。
【実施例】
【0094】
次いで、免疫後42日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、免疫細胞(CD11c、I-A/I-ECD11c、CD44CD4、CD19)のポピュレーションをフローサイトメトリーにより解析した。Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスの鼡径部のリンパ節における免疫細胞のポピュレーションを図1Kに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=14、WTマウス;n=11)。図1Kに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、WTマウスと比較して、鼡径部のリンパ節における免疫細胞のポピュレーションが有意に減少していた。この結果は、炎症及び骨破壊が抑制されていることと整合している。
【実施例】
【0095】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、II型コラーゲンに特異的な血清IgGの抗体値をELISAにより測定した。II型コラーゲンに特異的なIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3の抗体価を図1Lに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=14、WTマウス;n=11)。図1Lに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、WTマウスと比較して、IgG2a、IgG2b、IgG3の抗体価が有意に低下していた。
【実施例】
【0096】
以上の結果から、Tarm1egfp/egfpマウスは、WTマウスと比較して、CIAに抵抗性を示すことが示唆された。
【実施例】
【0097】
<試験例2>
まず、CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、所属リンパ節(dLN)の増殖応答能を確認した。CIA誘導後10日目に、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスからリンパ節を採取し、in vitroで66時間、種々の濃度のII型コラーゲンにより再刺激した後、酸不溶性分画への[3H]チミジン取り込みを測定した。結果を図2Aに示す。図2Aに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスのdLN細胞においては、WTマウスのdLN細胞と比較して、II型コラーゲンに対する増殖応答能が低下していた。
【実施例】
【0098】
次いで、dLN細胞をin vitroで66時間、種々の濃度のII型コラーゲンにより再刺激した後の培養上清に含まれる前炎症性サイトカインの量をELISAにより測定した。培養上清に含まれる前炎症性サイトカイン(TNF、INF-γ、IL-17)の量を図2B~図2Dに示す。図2B~図2Dに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスのdLN細胞の培養上清に含まれる前炎症性サイトカインの量は、WTマウスのdLN細胞の培養上清に含まれる前炎症性サイトカインの量と比較して有意に少なかった。
【実施例】
【0099】
次いで、CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、所属リンパ節(dLN)における樹状細胞の活性化を確認した。所属リンパ節(dLN)におけるI-A/I-ECD11c細胞のポピュレーションをフローサイトメトリーにより解析した結果を図2Eに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=6、WTマウス;n=6)。図2Eに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、WTマウスと比較して、I-A/I-ECD11c細胞のポピュレーションが有意に減少していた。
【実施例】
【0100】
次いで、CIA誘導後10日目のTarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスについて、所属リンパ節(dLN)のCD11c細胞におけるI-A/I-Eの発現を確認した。所属リンパ節(dLN)のCD11c細胞におけるI-A/I-Eの発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を図2Fに示す(Tarm1egfp/egfpマウス;n=6、WTマウス;n=6)。図2Fに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウスのCD11c細胞においては、WTマウスのCD11c細胞と比較して、I-A/I-Eの発現が有意に減少していた。
【実施例】
【0101】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスから単離した樹状細胞及びT細胞を共培養したときの、II型コラーゲンに対する樹状細胞のプライミング能を確認した。CIA誘導後10日目に、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスの所属リンパ節(dLN)から樹状細胞及びT細胞を単離し、II型コラーゲンの存在下で共培養した。T細胞の増殖を[3H]チミジン取り込みにより確認した結果を図2Gに示す。図2Gに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスから単離したT細胞は、WTマウスから単離した樹状細胞と共培養することにより有意に増殖した。しかし、Tarm1egfp/egfpマウス及びWTマウスから単離したT細胞とTarm1egfp/egfpマウスから単離した樹状細胞とを共培養してもT細胞の増殖は認められなかった。
【実施例】
【0102】
以上の結果から、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、樹状細胞の機能低下によりT細胞のプライミングが減弱していることが示唆された。
【実施例】
【0103】
<試験例3>
免疫系におけるTarm1の機能について検討した。まず、GM-CSF誘導性樹状細胞(GM-DCs)、M-CSF誘導性骨髄由来マクロファージ(BMMs)、破骨細胞(OCs)、T細胞(Thy1.2細胞)、及びB細胞(B220細胞)におけるTarm1遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにより分析した。各細胞におけるTarm1遺伝子の発現量を図3Aに示す。図3Aに示すとおり、Tarm1遺伝子は、GM-DCsにおいて顕著に発現していたが、BMMsにおいては殆ど発現していなかった。
【実施例】
【0104】
次いで、Tarm1egfp/+マウスを用いて、樹状細胞サブセットにおけるTarm1遺伝子の発現を確認した。Tarm1egfp/+マウス及びWTマウスから樹状細胞を単離し、eGFP遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析することで、Tarm1遺伝子の発現を確認した。通常型樹状細胞(cDCs;CD11bCD11c及びCD24CD11c)及び形質細胞様樹状細胞(pDCs;B220CD11c)におけるTarm1遺伝子の発現を確認した結果を図3Bに示す。図3Bに示すとおり、生理的条件では、CD11b cDCにおいて選択的にTarm1遺伝子が発現していたが、CD24 cDC及びpDCではTarm1遺伝子の発現が認められなかった。
【実施例】
【0105】
次いで、II型コラーゲンと完全フロイントアジュバント(CFA)とを混合したエマルションをTarm1egfp/+マウス及びWTマウスに投与することによりCIAを誘導し、CIAの誘導後7日目に樹状細胞を単離し、eGFP遺伝子の発現をフローサイトメトリーにより解析することで、Tarm1遺伝子の発現を確認した。炎症性樹状細胞(iDCs;Ly6CLy6GMHC IIhiCD11bCD11c)におけるTarm1遺伝子の発現を図3Cに示す。図3Cに示すとおり、所属リンパ節(dLN)のiDCsにおいてTarm1遺伝子が強く発現していた。
【実施例】
【0106】
次いで、Tarm1egfp/+マウス及びWTマウスの骨髄細胞からin vitroで誘導した樹状細胞について、Tarm1遺伝子の発現を検討した。GM-DCsにおけるTarm1遺伝子の発現を確認した結果を図3Dに示し、Flt3L誘導性樹状細胞(FL-DCs)におけるTarm1遺伝子の発現を確認した結果を図3Eに示す。図3Dに示すとおり、Tarm1遺伝子は、CD11b GM-DCにおいて明確に発現しており、炎症性のサブセット(I-A/I-ECD11cCD11bLy6C)においてはより強く発現していた。一方、図3Eに示すとおり、CD11b FL-DCにおいてはTarm1遺伝子が発現していたものの、CD24 FL-DC及びB220 FL-DCにおいてはTarm1遺伝子の発現が認められなかった。
【実施例】
【0107】
次いで、GM-DCsを刺激することによりTarm1遺伝子の発現が誘導されるか否かを確認した。GM-DCsを炎症性サイトカイン(TNF、IL-1β)及び病原体関連分子パターン(LPS、CpG、poly(I:C))で処理した後、Tarm1遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにより分析した。Tarm1遺伝子の発現量を図3F及び図3Gに示す。図3F及び図3Gにおける発現量は、2つのウェルの平均値を示したものである。図3F及び図3Gに示すとおり、炎症性サイトカイン及び病原体関連分子パターンのいずれで刺激した場合にも、GM-DCsにおけるTarm1遺伝子の発現が誘導された。
【実施例】
【0108】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、GM-CSF処理から所定日数経過後に、CD11c細胞及びI-A/I-EhiCD11c細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析した。CD11c細胞の割合を図3Hに示し、I-A/I-EhiCD11c細胞の割合を図3Iに示す(n=3)。図3Hに示すとおり、CD11c細胞の割合は、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsとWTマウス由来のGM-DCsとで殆ど変わらない。しかし、図3Iに示すとおり、I-A/I-EhiCD11c細胞の割合は、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsの方がWTマウス由来のGM-DCsよりも有意に低かった。
【実施例】
【0109】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、GM-CSF処理から所定日数経過後に、樹状細胞活性化マーカー(I-A/I-E、CD86、CD80)の発現をフローサイトメトリーにより解析した。結果を図3Jに示す(n=3)。図3Jに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsにおいては、WTマウス由来のGM-DCsと比較して、樹状細胞活性化マーカーの発現が有意に減少していた。
【実施例】
【0110】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsについて、DNAマイクロアレイにより遺伝子発現を解析した。発現量の差異が2倍超である遺伝子のヒートマップを図3Kに示す。遺伝子オントロジー解析の結果、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsにおいては、炎症反応及び白血球遊走の正の制御に関連する免疫機能が低下していることが明らかになった。
【実施例】
【0111】
次いで、Tarm1遺伝子の欠損がGM-DCsの抗原提示能に与える影響について検討した。OT-II Tgマウス由来のCFSE標識CD4 T細胞を、所定濃度のOVAの存在下、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsと共培養した。そして、培養3日目にCFSE強度をフローサイトメトリーにより測定した。結果を図3Lに示す(n=3)。図3Lに示すとおり、OT-II Tgマウス由来のCFSE標識CD4 T細胞をTarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsと共培養した場合には、WTマウス由来のGM-DCsと共培養した場合と比較して、T細胞の増殖が抑えられていた。
【実施例】
【0112】
以上の結果から、Tarm1egfp/egfpマウスにおいては、GM-DCsの成熟が抑制されていることが示唆された。
【実施例】
【0113】
<試験例4>
試験例1~試験例3の結果から、Tarm1が自己認識を通じてGM-DCsの成熟を制御している可能性が考えられる。そこで、Tarm1の細胞外ドメインをIgGのFc領域と融合したTarm1-Fcを用いて、GM-DCs上におけるTarm1のリガンドをフローサイトメトリーにより解析した。ネガティブコントロールとしては、Tarm1-Fcの代わりにIgG Fcを用いた。Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsとTarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した結果を図4Aに示す。図4Aに示すとおり、Tarm1-Fcは、WTマウス由来のGM-DCsの7AAD生細胞の一部と結合した。抗CD11c抗体及び抗I-A/I-E抗体により共染色してさらに解析したところ、Tarm1-Fcは、CD11c細胞に特異的に結合した。また、Tarm1-Fcは、CD11c細胞のうちI-A/I-Ehi群及びI-A/I-Eint群のいずれにも結合した。
【実施例】
【0114】
免疫グロブリン様メンバーは自己に対してシスに作用することが知られている(A. D.Barrow and J. Trowsdale, Immunological reviews, 224, 98-123, 2008; J. Trowsdale et al., Immunological reviews, 267, 117-136, 2015)。そこで、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsについても同様にTarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析したところ、Tarm1-Fcは、Tarm1egfp/egfpマウス由来のCD11c細胞にも結合することが確認された(図4A)。
【実施例】
【0115】
次いで、トリプシン処理又は未処理のGM-DCsとTarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した。ネガティブコントロールとしては、Tarm1-Fcの代わりにIgG Fcを用いた。結果を図4Bに示す。図4Bに示すとおり、GM-DCsをトリプシン処理した場合には、Tarm1-Fcが結合しなかった。
【実施例】
【0116】
従来、コラーゲンがOSCARの機能的リガンドであることが報告されている(A. D. Barrow et al., J. Immunol., 194, 3317-3326, 2015; A. D. Barrow et al., J. Clin. Invest., 121, 3505-3516, 2011; J. Haywood et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 113, 1038-1043, 2016; L. Zhou et al., Blood, 127, 529-537, 2016)。また、コラーゲンとOSCARとの相互作用が樹状細胞の活性化及び成熟に関与していることも報告されている(H. S, Schultz et al., J. Immunol., 194, 3169-3179, 2015)。さらに、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)や糖タンパク質VI(GPVI)等の他の免疫グロブリン様白血球受容体複合体によってコラーゲン様分子が認識されることも報告されている(R. J. Lebbink et al., The Journal of experimental medicine, 203, 1419-1425, 2006; R. J. Lebbink et al., Biology, 28, 202-210, 2009; Y. Miura et al., The Journal of biological chemistry, 277, 46197-46204, 2002)。そこで以下では、コラーゲン様分子がTarm1の内因性リガンドである可能性について検討した。
【実施例】
【0117】
まず、プレートに固定化されたI型コラーゲン、II型コラーゲン、又はBSAに対するTarm1-Fcの結合性を固相結合アッセイにより確認した。ネガティブコントロールとしては、Tarm1-Fcの代わりにIgG Fcを用いた。結果を図4Cに示す。図4Cに示すとおり、Tarm1-Fcは、I型コラーゲン及びII型コラーゲンに濃度依存的に結合したが、BSAには結合しなかった。
【実施例】
【0118】
また、EDTAの存在下又は非存在下で、プレートに固定化されたII型コラーゲンに対するTarm1-Fcの結合性を固相結合アッセイにより確認した結果を図4Dに示す(n=3)。ネガティブコントロールとしては、Tarm1-Fcの代わりにIgG Fcを用いた。図4Dに示すとおり、Tarm1-Fcは、EDTAの存在下においてもII型コラーゲンに結合した。
【実施例】
【0119】
次いで、GM-DCs上のコラーゲン様分子をフローサイトメトリーにより解析した。GM-DCsの細胞表面におけるI型コラーゲン及びII型コラーゲンの発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を図4Eに示す。図4Eに示すとおり、GM-DCs上にはII型コラーゲンが発現していたものの、I型コラーゲンは発現していなかった。
【実施例】
【0120】
次いで、コラーゲン処理又は未処理のGM-DCsについて、Tarm1-Fcとの結合をフローサイトメトリーにより解析した。ネガティブコントロールとしては、Tarm1-Fcの代わりにIgG Fcを用いた。結果を図4Fに示す。図4Fに示すとおり、GM-DCsをコラーゲン処理した場合には、Tarm1-Fcが結合しなかった。
【実施例】
【0121】
次いで、GM-DCsの全細胞溶解液(WCL)を用いて、免疫沈降及びイムノブロッティング(ウェスタンブロッティング)を行った。GM-DCsの全細胞溶解液についてTarm1-Fc又はIgG Fcを用いて免疫沈降を行い、沈殿物について抗II型コラーゲン抗体を用いてイムノブロッティングを行った。また、全細胞溶解液について抗II型コラーゲン抗体及び抗β-アクチン抗体を用いてイムノブロッティングを行った。結果を図4Gに示す。図4Gに示すとおり、Tarm1-Fcは、GM-DCs溶解液中のII型コラーゲンと結合した。
【実施例】
【0122】
次いで、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsをII型コラーゲンで刺激し、樹状細胞活性化マーカー(CD86、I-A/I-E)の発現をフローサイトメトリーにより解析した。結果を図4Hに示す(n=3)。図4Hに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsにおいては、WTマウス由来のGM-DCsと比較して、樹状細胞活性化マーカーの発現が有意に減少していた。
【実施例】
【0123】
また、Tarm1egfp/egfpマウス由来及びWTマウス由来のGM-DCsをII型コラーゲンで刺激し、培養上清中のサイトカイン(TNF、IL-6、IL-10)の濃度をサイトメトリックビーズを用いたフローサイトメトリーにより解析した結果を図4Iに示す(n=3)。図4Iに示すとおり、Tarm1egfp/egfpマウス由来のGM-DCsにおいては、WTマウス由来のGM-DCsと比較して、培養上清中のTNF及びIL-6の量が有意に減少していた。
【実施例】
【0124】
以上の結果から、II型コラーゲンがGM-DCs上におけるTarm1のリガンドであり、GM-DCsの成熟をTarm1依存的に制御していることが示唆された。
【実施例】
【0125】
<試験例5>
自己免疫性関節炎に対するTarm1-Fcの生理活性を確認するため、CIAを誘導したDBA/1Jマウスの左足首関節及び右足首関節の関節腔にTarm1-Fc及びIgG Fcを投与した。関節炎の重症度を図5Aに示す(n=12)。図5Aは、2回の独立した実験を組み合わせたものである。また、Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスにおける関節の状態(代表例)を図5Bに示す。図5A及び図5Bに示すとおり、Tarm1-Fcを投与した場合には、関節炎の重症度が顕著に低下していた。
【実施例】
【0126】
Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスの足首関節の組織をヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色した染色像(代表例)を図5Cに示す。また、滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊を含む組織病理学スコアを図5Dに示す(n=6)。図5C及び図5Dに示すとおり、Tarm1-Fcを投与した場合には、滑膜炎、パンヌス形成、及び骨破壊が顕著に減少していた。
【実施例】
【0127】
次いで、Tarm1-Fc及びIgG Fcを投与したDBA/1Jマウスの関節におけるサイトカイン(TNF、IL-6、IL-1β、IL-10、IL-17a)遺伝子の発現を定量的PCRにより分析した。結果を図5Eに示す。図5Eに示すとおり、Tarm1-Fcを投与した場合には、IL-10遺伝子の発現が有意に亢進していた。
【実施例】
【0128】
以上の結果から、Tarm1-Fcの投与によって自己免疫性関節炎の進行が抑えられることが示唆された。
Drawing
(In Japanese)【図1A】
0
(In Japanese)【図1B】
1
(In Japanese)【図1C】
2
(In Japanese)【図1D】
3
(In Japanese)【図1E】
4
(In Japanese)【図1F】
5
(In Japanese)【図1G】
6
(In Japanese)【図1H】
7
(In Japanese)【図1I】
8
(In Japanese)【図1J】
9
(In Japanese)【図1K】
10
(In Japanese)【図1L】
11
(In Japanese)【図2A】
12
(In Japanese)【図2B】
13
(In Japanese)【図2C】
14
(In Japanese)【図2D】
15
(In Japanese)【図2E】
16
(In Japanese)【図2F】
17
(In Japanese)【図2G】
18
(In Japanese)【図3A】
19
(In Japanese)【図3B】
20
(In Japanese)【図3C】
21
(In Japanese)【図3D】
22
(In Japanese)【図3E】
23
(In Japanese)【図3F】
24
(In Japanese)【図3G】
25
(In Japanese)【図3H】
26
(In Japanese)【図3I】
27
(In Japanese)【図3J】
28
(In Japanese)【図3K】
29
(In Japanese)【図3L】
30
(In Japanese)【図4A】
31
(In Japanese)【図4B】
32
(In Japanese)【図4C】
33
(In Japanese)【図4D】
34
(In Japanese)【図4E】
35
(In Japanese)【図4F】
36
(In Japanese)【図4G】
37
(In Japanese)【図4H】
38
(In Japanese)【図4I】
39
(In Japanese)【図5A】
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(In Japanese)【図5B】
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(In Japanese)【図5C】
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(In Japanese)【図5D】
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(In Japanese)【図5E】
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