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明細書 :細胞周期停止剤および抗腫瘍剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-063209 (P2020-063209A)
公開日 令和2年4月23日(2020.4.23)
発明の名称または考案の名称 細胞周期停止剤および抗腫瘍剤
国際特許分類 A61K  31/122       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A23L  33/10        (2016.01)
FI A61K 31/122
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00 105
A23L 33/10
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2018-195698 (P2018-195698)
出願日 平成30年10月17日(2018.10.17)
発明者または考案者 【氏名】加藤 順也
出願人 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 4B018
4C206
Fターム 4B018MD07
4B018MD08
4B018ME08
4B018ME14
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB25
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA06
4C206NA14
4C206ZA66
4C206ZA81
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZB27
要約 【課題】新たな細胞周期停止剤、および、当該細胞周期停止剤を用いた抗腫瘍剤を提供する。
【解決手段】下記一般式1によって示される化合物、または、その塩を含有する、細胞周期をM期の前中期にて停止させるための細胞周期停止剤を用いる:
【化1】
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(一般式1中、R~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される(このうち、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有していてもよい))。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式1によって示される化合物、または、その塩を含有する、細胞周期をM期の前中期にて停止させるための細胞周期停止剤:
【化1】
JP2020063209A_000006t.gif

(一般式1中、上記R~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される(このうち、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有していてもよい))。
【請求項2】
上記一般式1によって示される化合物は、下記一般式2によって示される化合物である、請求項1に記載の細胞周期停止剤。
【化2】
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【請求項3】
請求項1または2に記載の細胞周期停止剤を含有する、抗腫瘍剤。
【請求項4】
経口剤である、請求項3に記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
白血病、膵臓癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、乳癌または腎臓癌用である、請求項3または4に記載の抗腫瘍剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞周期停止剤および抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本人の3人に1人は、癌によって死亡している。それ故に、癌の治療法の開発が求められている。癌の治療法としては、外科的手術、化学療法および放射線療法などが存在するが、近年、分子標的薬による癌治療が注目されている。
【0003】
癌は、癌関連遺伝子の変異(癌遺伝子を活性化させる変異、および/または、癌抑制遺伝子を不活性化させる変異)によって発症する。分子標的薬は、変異した癌関連遺伝子産物に特異的に作用することによって、癌細胞選択的に増殖阻害または細胞死を誘導させる。
【0004】
現在までに開発された分子標的薬としては、(a)メラノーマの治療に用いられ、Rafを標的とする、PLX4031およびVemurafenib、並びに、(b)慢性骨髄性白血病の治療に用いられ、チロシンキナーゼを標的とする、Gleevecなどを挙げることができる。しかしながら、これらの分子標的薬は、薬を投与している間は病気を抑えるものの、薬の投与を止めると病気が再発するという問題点を有している。
【0005】
また、癌の治療薬として、細胞周期を停止させる物質も用いられている。例えば、細胞周期をM期にて停止させる癌の治療薬として、vinorelbin、vinblastine、vincristine、docetaxel、paclitaxelおよびeribulin mesvlateを挙げることができる。これらの治療薬は、微小管に作用することによって薬効を発揮する。しかしながら、微小管は抹消神経の機能に大きく関与しているため、これらの治療薬は、末梢神経に副作用(手足のしびれ、または痛み)が出るという問題点を有している。
【0006】
従来の癌の治療薬には上述した問題点が存在するため、新たな治療薬の開発が、強く求められている。
【0007】
ところで、in vitroにおける試験では、細胞周期の移行を停止させ得る物質が、現在までに数多く見出されている。例えば、PGV-1(Pentagamavunon-1)では、in vitroの試験にて、乳癌細胞であるT47DのG期からM期への細胞周期の移行を停止させ、当該細胞にてアポトーシスを引き起こすことが確認されている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】Muhammad Da'i et. al., “PENTAGAMAVUNON-1 MENGHAMBAT SIKLUS SEL T47D TERINDUKSI CASPASE INHIBITOR Z-VAD-Fmk PADA FACE G2-M”, Journal Farmasi Indnesia, Vol.5, No.4, p.180-187, Juli 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、細胞周期の移行を停止させる物質の多くは、作用機序、および/または、in vivoにおける効果が不明であるため、臨床に利用できないという問題点を有している。
【0010】
例えば、M期は、前期(prophase)、前中期(prometaphase)、中期(metaphase)、後期(anaphase)および終期(telophase)に分割することができる。M期の中期以降に作用する薬剤は、副作用が生じる危険性が高くなる場合があるとされる。それ故に、M期の中期以前の特定の期間において機能を発揮する物質を見出すことが求められている。
【0011】
また、in vitroにて細胞周期の移行を停止させる物質が、必ずしも、in vivoにて細胞周期の移行を停止させるわけではない。in vitroの環境と、in vivoの環境とは大きく異なる。例えば、in vivoでは物質が疾患部位に到達する前に、分解または体外へ排出される等の原因のために、in vitroにて細胞周期の移行を停止させる物質が、in vivoにて細胞周期の移行を停止できないことがある。それ故に、in vivoにおいて治療効果を発揮する物質を見出すことが求められている。
【0012】
本発明の一態様は、新たな細胞周期停止剤、および、当該細胞周期停止剤を用いた抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、細胞周期をM期の前中期にて停止させる物質を見出すと共に、当該物質がin vivoにおいて癌の治療効果を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
[1]上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る細胞周期停止剤は、下記一般式1によって示される化合物、または、その塩を含有する、細胞周期をM期の前中期にて停止させるための細胞周期停止剤である:
【0015】
【化1】
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【0016】
(一般式1中、R~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される(このうち、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有していてもよい))。
[2]本発明の一態様に係る細胞周期停止剤では、上記一般式1によって示される化合物は、下記一般式2によって示される化合物であることが好ましい。
【0017】
【化2】
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【0018】
[3]上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る抗腫瘍剤は、本発明の一態様に係る細胞周期停止剤を含有する。
[4]本発明の一態様に係る抗腫瘍剤では、投与剤型は、経口剤であることが好ましい。
[5]本発明の一態様に係る抗腫瘍剤は、白血病、膵臓癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、乳癌または腎臓癌用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、細胞周期をM期の前中期にて停止させることができるという効果を奏する。このため、例えば、抗腫瘍剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例において、PGV-1およびクルクミンの抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図2】実施例において、PGV-1およびクルクミンの抗腫瘍活性およびGI50を示すグラフである。
【図3】実施例において、PGV-1の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図4】(A)は、実施例において生存している細胞数を示すグラフであり、(B)は、実施例において死滅している細胞数を示すグラフである。
【図5】(A)および(B)は、実施例において、細胞周期の各期間に属する、PGV-1にて処置されたK562細胞の割合を示す試験データである。
【図6】(A)~(C)は、実施例において、細胞周期をM期の前中期にて停止している細胞を示す試験データである。
【図7】(A)~(E)は、実施例において、in-vivoにおけるPGV-1の抗腫瘍活性を示す試験データである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A~B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。

【0022】
〔1.細胞周期停止剤〕
本実施の形態の細胞周期停止剤は、下記一般式1によって示される化合物、または、その塩を含有する、細胞周期をM期の前中期にて停止させるための細胞周期停止剤である:

【0023】
【化3】
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【0024】
(一般式1中、R~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される)。

【0025】
本実施の形態の細胞周期停止剤は、(i)細胞周期をM期の前中期にて停止させることができるのみならず、(ii)低濃度にて薬理効果を発揮することができる、(iii)様々な細胞(例えば、様々な癌細胞)に対して薬理効果を発揮することができる、(iv)投与対象(例えば、生体)への投与を停止した後も、長期にわたって薬理効果を持続させることができる、および、(v)投与対象(例えば、生体)における副作用を抑えることができる、という利点がある。

【0026】
上記炭化水素基は、鎖状のものであっても、分枝を有しているものであっても、環を有しているものであってもよい。また、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。このような炭化水素基には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基など)、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などが含まれる。

【0027】
~R10の選択肢に含まれる、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有し得る。つまり、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基は、官能基内の一部が、他の官能基または他の原子(例えば、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子など)と置換され得る。このような、さらなる置換を有している官能基の例としては、ヘテロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、アリールチオ基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、アリールスルフォニルオキシ基およびアルキルスルフォニルオキシ基が挙げられる。

【0028】
一般式1によって示される化合物、または、その塩の親水性を向上させれば、これらを対象へ投与し易くなり、薬効が得られ易くなる。当該観点から、一般式1中、R~R10の少なくとも1つがヒドロキシ基であることが好ましく、一般式1中、R~R10の少なくとも2つがヒドロキシ基であることがより好ましく、Rおよび/またはRがヒドロキシ基であることが最も好ましい。

【0029】
上述した(i)~(v)の効果を更に高めるという観点からは、(a)R、R、RおよびRが同じ官能基(例えば、炭素数1~5の炭化水素基)であること、または、Rおよび/またはRがヒドロキシ基であることが好ましく、(b)R、R、RおよびRが同じ官能基(例えば、炭素数1~5の炭化水素基)であり、かつ、Rおよび/またはRがヒドロキシ基であることがより好ましく、(c)R、R、RおよびRが同じ官能基(例えば、炭素数1~5の炭化水素基)であり、Rおよび/またはRがヒドロキシ基であり、かつ、R、R、RおよびR10が水素原子であることが最も好ましい。

【0030】
より具体的に、上記一般式1によって示される化合物は、下記一般式2によって示される化合物であってもよい。なお、下記一般式2によって示される化合物は、PGV-1(Pentagamavunon-1)である。

【0031】
【化4】
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【0032】
本実施の形態の細胞周期停止剤は、下記一般式1によって示される化合物の塩を含有していてもよい。当該塩は、対象(例えば、生体、培養細胞など)に投与することが生理学的に許容され得る塩であれば、特に限定されない。このような塩の例としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機塩基塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩など)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、蟻酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩など)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)が挙げられる。

【0033】
一般式1によって示される化合物、および、その塩は、公知の手法(例えば、Food Chem. 2010, 119, 1435-1442 (F. Dai and B. Zhou) “Antioxidant capacity of curcumin-directed analogues: Structure-activity relationship and influence of microenvironment”(文献A)を参照)によって得ることができる。

【0034】
本実施の形態の細胞周期停止剤に含有されている一般式1によって示される化合物、または、その塩の量は、特に限定されず、例えば、細胞周期停止剤を100重量%とした場合に、0.001重量%~100重量%であってもよく、0.01重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~95重量%であってもよく、0.1重量%~90重量%であってもよく、0.1重量%~80重量%であってもよく、0.1重量%~70重量%であってもよく、0.1重量%~60重量%であってもよく、0.1重量%~50重量%であってもよく、0.1重量%~40重量%であってもよく、0.1重量%~30重量%であってもよく、0.1重量%~20重量%であってもよく、0.1重量%~10重量%であってもよい。

【0035】
本実施の形態の細胞周期停止剤は、一般式1によって示される化合物、または、その塩以外の成分を含有していてもよい。当該成分としては、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、高分子量重合体、賦形剤、担体、希釈剤、溶媒、可溶化剤、安定剤、充填剤、結合剤、界面活性剤、および、安定化剤などを挙げることができる。

【0036】
上記緩衝剤の例としては、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、炭酸、炭酸塩、酒石酸、酒石酸塩、ε-アミノカプロン酸、および、トロメタモールなどが挙げられる。上記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。上記ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、および、ホウ酸カリウムなどが挙げられる。上記クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、および、クエン酸三ナトリウムなどが挙げられる。上記酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、および、酢酸カリウムなどが挙げられる。上記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、および、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。上記酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、および、酒石酸カリウムなどが挙げられる。

【0037】
pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、および、水酸化カリウムなどが挙げられる。

【0038】
上記等張化剤の例としては、イオン性等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムなど)、および、非イオン性等張化剤(グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、および、マンニトールなど)が挙げられる。

【0039】
上記防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、および、クロロブタノールなどが挙げられる。

【0040】
上記抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、および、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。

【0041】
上記高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、および、アテロコラーゲンなどが挙げられる。

【0042】
本実施の形態の細胞周期停止剤に含有されている一般式1によって示される化合物、または、その塩以外の成分の量は、特に限定されず、例えば、細胞周期停止剤を100重量%とした場合に、0重量%~99.999重量%であってもよく、0重量%~99.99重量%であってもよく、0重量%~99.9重量%であってもよく、5重量%~99.9重量%であってもよく、10重量%~99.9重量%であってもよく、20重量%~99.9重量%であってもよく、30重量%~99.9重量%であってもよく、40重量%~99.9重量%であってもよく、50重量%~99.9重量%であってもよく、60重量%~99.9重量%であってもよく、70重量%~99.9重量%であってもよく、80重量%~99.9重量%であってもよく、90重量%~99.9重量%であってもよい。

【0043】
〔2.抗腫瘍剤〕
本実施の形態の抗腫瘍剤は、上述した細胞周期停止剤を含有するものである。このため、本実施の形態の抗腫瘍剤は、上述した細胞周期停止剤と同様の(i)~(v)の利点がある。なお、細胞周期停止剤の具体的な構成については既に説明したので、以下では、その説明を省略する。

【0044】
本明細書において「腫瘍」とは、良性腫瘍、良性悪性境界病変および悪性腫瘍を包含する概念である。また、癌腫および肉腫のいずれもが、「腫瘍」の範囲に含まれる。腫瘍の具体例としては、脳腫瘍(例えば、膠芽腫など)、神経芽腫、網膜芽細胞腫、咽頭癌、食道癌、胃癌、大腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌など)、肝臓癌、腎臓癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、肺癌、胸腺癌、中皮腫、乳癌、子宮癌(例えば、子宮頸癌、子宮体癌など)、卵巣癌、膣癌、外陰癌、前立腺癌、精巣腫瘍、膀胱癌、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫など)、甲状腺癌、悪性リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など)、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病など)、骨肉種、ユーイング肉腫、軟部肉腫、横紋筋肉腫などが挙げられる。上記に列挙した以外にも、「腫瘍」には、国際疾病分類第10版(ICD-10、2003年改訂)においてC00~D48に分類される疾病が含まれる。本実施の形態の抗腫瘍剤は、上述した腫瘍の治療に用いられ得る。本実施の形態の抗腫瘍剤は、上述した腫瘍の中でも、白血病、膵臓癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、乳癌または腎臓癌に対して用いられることが好ましい。

【0045】
本実施の形態の抗腫瘍剤の投与方法は、特に限定されず、例えば、経口投与、非経口投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、経口投与、舌下投与、鼻腔内投与、脳内投与、膣内投与、経皮投与、直腸内投与、吸入および局所投与を挙げることができる。本実施の形態の抗腫瘍剤の剤型は、特に限定されず、例えば、経口剤および注射剤を挙げることができる。後述する実施例にて示すように、本実施の形態の抗腫瘍剤は、特別な器具および技術を必要としない経口投与によって、高い薬理効果を発揮し得る。それ故に、患者の負担を軽減するという観点から、本実施の形態の抗腫瘍剤の投与方法は経口投与であることが好ましく、本実施の形態の抗腫瘍剤の剤型は経口剤であることが好ましい。

【0046】
本実施の形態の抗腫瘍剤の投与間隔は、特に限定されず、例えば、1日間に1回、2日間に1回、3日間に1回、4日間に1回、5日間に1回、6日間に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1箇月間に1回、2箇月間に1回、3箇月間に1回、4箇月間に1回、5箇月間に1回、6箇月間に1回、1年に1回、数年に1回であり得る。後述する実施例にて示すように、本実施の形態の抗腫瘍剤は、一度投与すれば腫瘍の再発を抑えることができ、少ない投与回数にて腫瘍を治療することができる。それ故に、患者の負担を軽減するという観点から、本実施の形態の抗腫瘍剤の投与間隔は、1箇月間に1回、2箇月間に1回、3箇月間に1回、4箇月間に1回、5箇月間に1回、6箇月間に1回、1年に1回、または、数年に1回であることが好ましい。

【0047】
本実施の形態の抗腫瘍剤に含有されている細胞周期停止剤の量は、特に限定されず、例えば、抗腫瘍剤を100重量%とした場合に、0.001重量%~100重量%であってもよく、0.01重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~95重量%であってもよく、0.1重量%~90重量%であってもよく、0.1重量%~80重量%であってもよく、0.1重量%~70重量%であってもよく、0.1重量%~60重量%であってもよく、0.1重量%~50重量%であってもよく、0.1重量%~40重量%であってもよく、0.1重量%~30重量%であってもよく、0.1重量%~20重量%であってもよく、0.1重量%~10重量%であってもよい。

【0048】
本実施の形態の抗腫瘍剤は、細胞周期停止剤以外の成分を含有していてもよい。当該成分としては、〔1.細胞周期停止剤〕の欄にて説明した「一般式1によって示される化合物、または、その塩以外の成分」を挙げることができる。当該成分の量は、特に限定されず、例えば、抗腫瘍剤を100重量%とした場合に、0重量%~99.999重量%であってもよく、0重量%~99.99重量%であってもよく、0重量%~99.9重量%であってもよく、5重量%~99.9重量%であってもよく、10重量%~99.9重量%であってもよく、20重量%~99.9重量%であってもよく、30重量%~99.9重量%であってもよく、40重量%~99.9重量%であってもよく、50重量%~99.9重量%であってもよく、60重量%~99.9重量%であってもよく、70重量%~99.9重量%であってもよく、80重量%~99.9重量%であってもよく、90重量%~99.9重量%であってもよい。

【0049】
本実施の形態の抗腫瘍剤、または、上述した細胞周期停止剤を対象へ投与する場合、一服の抗腫瘍剤または細胞周期停止剤に含有されている一般式1によって示される化合物、または、その塩の量の下限値は、0.001mg、0.002mg、0.005mg、0.007mg、0.01mg、0.02mg、0.05mg、0.07mg、0.1mg、0.2mg、0.5mg、0.7mg、1mg、2mg、5mg、7mgまたは10mgであり得、上限値は、1mg、2mg、5mg、7mg、10mg、20mg、50mg、70mg、100mg、1g、2g、5g、7gまたは10gであり得る。

【0050】
本実施の形態の抗腫瘍剤、または、上述した細胞周期停止剤が投与される対象は、特に限定されず、例えば、ヒトおよび非ヒト動物を挙げることができる。非ヒト動物としては、偶蹄類(例えば、ウシ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、奇蹄類(ウマなど)、齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、リスなど)、ウサギ目(ウサギなど)、食肉類(イヌ、ネコ、フェレットなど)を挙げることができる。本実施の形態の抗腫瘍剤、または、上述した細胞周期停止剤が投与される対象は、ヒトまたは非ヒト動物から採取された、細胞または組織であってもよい。

【0051】
〔3.その他〕
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
<1>一般式1によって示される化合物、または、その塩を含有する細胞周期停止剤を対象へ投与する工程を有する、細胞周期をM期の前中期にて停止させる方法。
<2>上記一般式1中のR~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される(このうち、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有していてもよい)、<1>に記載の方法。
<3>上記一般式1によって示される化合物は、一般式2によって示される化合物である、<1>または<2>に記載の方法。
<4>一般式1によって示される化合物、または、その塩を含む細胞周期停止剤を含有する抗腫瘍剤を対象へ投与する工程を有する、腫瘍の治療方法。
<5>上記工程では、抗腫瘍剤を対象へ経口投与する、<4>に記載の方法。
<6>上記腫瘍は、白血病、膵臓癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、乳癌または腎臓癌である、<4>または<5>に記載の方法。

【0052】
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
<7>細胞周期をM期の前中期にて停止させるための細胞周期停止剤の製造のための、一般式1によって示される化合物、または、その塩の使用。
<8>上記一般式1中のR~R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基およびアリール基から選択される(このうち、水素原子およびハロゲン原子を除く官能基は、さらなる置換を有していてもよい)、<7>に記載の使用。
<9>上記一般式1によって示される化合物は、一般式2によって示される化合物である、<7>または<8>に記載の使用。
<10>抗腫瘍剤の製造のための、一般式1によって示される化合物、または、その塩の使用。
<11>上記抗腫瘍剤は、投与剤型が経口剤である、<10>に記載の使用。
<12>上記抗腫瘍剤は、白血病、膵臓癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、乳癌または腎臓癌に用いられるものである、<10>または<11>に記載の使用。

【0053】
また、本発明の細胞周期停止剤および抗腫瘍剤は、食品(例えば、健康食品、サプリメント、菓子など)として製造されてもよい。
【実施例】
【0054】
〔PGV-1の合成〕
文献Aに記載の方法に準拠して、Cyclopentanoneと3,5-Dimethoxy-4-hydroxybenzaldehydeとを結合させることによって、PGV-1を合成した。
【実施例】
【0055】
〔試験1〕
PGV-1の、抗腫瘍活性を検討した。具体的な手法は、既報[Larasati YA, Kato J et al. (2018) "Curcumin targets multiple enzymes involved in the ROS metabolic pathway to suppress tumor cell growth," Scientific Reports, Vol.8, Article number 2039.(文献B)]に記載の実験方法に準拠した。概要は以下の通りである。
1.慢性骨髄性白血病細胞株であるK562細胞を、実験に用いた。上記細胞は、RPMI-1640培地にグルタミン:2mM、ペニシリン:100U/mL、ストレプトマイシン:100μg/mLおよびFBS:10%を添加した培地で維持されていたものである。
2.K562細胞を、3×10の細胞密度で35mmディッシュに播種した。
3.K562細胞を、PGV-1(濃度:0.05μM、0.1μM、0.2μM、0.4μM、0.8μM、1μM、2μM、5μM、10μM)またはクルクミン(濃度:50μM)で処置した。すなわち、PGV-1またはクルクミンを培地に加えて、4日間培養した。ネガティブコントロールでは、PGV-1およびクルクミンを培地に加えること無く、4日間培養した。
4.1日ごとに、トリパンブルー染色によって生存している細胞数を計測した。
【実施例】
【0056】
(結果)
図1に試験1の結果を示す。同図から判るように、0.8μM以上の濃度のPGV-1は、クルクミン(図中の「Cur」に対応)と同等またはそれ以上にK562細胞の増殖を抑制していた。つまり、0.8μM以上のPGV-1は、顕著な抗腫瘍活性を示した。また、クルクミンと比較して、PGV-1は、低濃度にて顕著な抗腫瘍活性を示した。
【実施例】
【0057】
〔試験2〕
〔試験1〕と同様の方法を用い、様々な濃度のPGV-1またはクルクミンにてK562細胞を処置し、4日後に生存している細胞数を計測した。当該データに基づいて、GI50の値を算出した。
【実施例】
【0058】
(結果)
図2に試験の結果を示す。PGV-1のGI50の値は0.463μMであり、クルクミンのGI50の値は30μMであった。このことは、PGV-1抗腫瘍活性は、クルクミンの抗腫瘍活性の略65倍(=30/0.463)高いことを示している。
【実施例】
【0059】
〔試験3〕
〔試験1〕と同様の方法を用い、様々な濃度のPGV-1にて、様々な細胞を処置し、4日後に生存している細胞数を計測した。使用した細胞は、膠芽腫細胞株(U-87)、乳癌細胞株(MCF-7)子宮頸癌細胞株(HeLa)、ヒト胎児腎臓由来細胞株(293T)、子宮癌細胞株(AN3 CA)および膵臓癌細胞株(MIA PaCa-2、PANC-1)であった。
【実施例】
【0060】
(結果)
図3から判るように、PGV-1は、様々な細胞に対して、抗腫瘍活性を示した。この結果から、本発明の一実施形態に係る抗腫瘍剤が、広範な腫瘍に対して適用できることが示唆される。
【実施例】
【0061】
〔試験4〕
PGV-1の抗腫瘍活性が、PGV-1を除去した後、どの程度持続するのかを検討した。具体的な手法は、文献Bに記載の実験方法に準拠した。概要は以下の通りである。
1.試験1の手順1~3に従って、PGV-1(濃度:0.8μMおよび1μM)またはクルクミン(50μM)を含有する培地中でK562細胞を培養した。ネガティブコントロールでは、DMSOを含有する培地、または、PGV-1およびクルクミンを加えない培地中でK562細胞を培養した。
2.培養開始から2日後に、K562細胞をPBSにて洗浄して、PGV-1、クルクミンおよびDMSOを除去し、その後、PGV-1、クルクミンおよびDMSOが添加されていない新鮮な培地中で、当該K562細胞の培養を続けた。
3.実験中1日ごとに、トリパンブルー染色によって死滅している細胞を染色し、当該染色結果に基づいて、生存している細胞数、および死滅している細胞数を計測した。
【実施例】
【0062】
(結果)
図4(A)は、生存している細胞数を示すグラフであり、図4(B)は、死滅している細胞数を示すグラフである。図4(A)から判るように、PGV-1を培地から除去した後も、PGV-1の抗腫瘍活性が継続した。この事実は、PGV-1が、腫瘍の再発を防止し得ることを示唆している。また、図4(B)から判るように、PGV-1は、細胞死を誘導した。
【実施例】
【0063】
〔試験5〕
PGV-1について、細胞周期停止能を検討した。具体的な手法は、文献Bに記載の実験方法に準拠した。概要は以下の通りである。
1.試験1の手順1~3に従って、PGV-1(濃度:0.8μM)またはクルクミン(50μM)を含有する培地中でK562細胞を培養した。ネガティブコントロールでは、PGV-1およびクルクミンを加えない培地中でK562細胞を培養した。
2.培養開始から0時間後、24時間後、48時間後および72時間後において、それぞれの培地から細胞を回収し、細胞周期の中の各期間に属する細胞の割合を測定した。測定には、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson製)を使用した。
【実施例】
【0064】
(結果)
図5(A)および図5(B)に、試験5の結果を示す。同図から判るように、PGV-1にて処置されたK562細胞は、24時間後に、細胞周期の中のG2/Mの期間に属する細胞の割合が高くなった。また、PGV-1にて処置されたK562細胞は、48時間および72時間後に、細胞周期の中のsubG1の期間に属する細胞の割合が高くなった。これらの試験結果は、PGV-1がK562細胞の細胞周期をG2/Mの期間にて停止させ、当該細胞周期が停止したK562細胞が時間の経過とともに細胞死を生じていることを示唆している。
【実施例】
【0065】
〔試験6〕
PGV-1にて処置されたK562細胞が、細胞周期の何れの期間にて停止するか、更に詳細に検討した。具体的な手法は、文献Bに記載の実験方法に準拠した。概要は以下の通りである。
1.試験1の手順1~3に従って、PGV-1(濃度:0.8μM)またはクルクミン(50μM)を含有する培地中でK562細胞を培養した。ネガティブコントロールでは、PGV-1およびクルクミンを加えない培地中でK562細胞を培養した。
2.培養開始から24時間後において、それぞれの培地から細胞を回収した。回収した細胞を顕微鏡観察すると共に、当該細胞の細胞核を染色して顕微鏡観察した。また、顕微鏡観察された細胞の形態に基づいて、顕微鏡観察された全細胞に対する、M期にある細胞の割合を、「Mitotic index」として算出し、顕微鏡観察されたM期にある全細胞に対する、前中期(prometaphase)にある全細胞の割合を、「Prometaphase cells」として算出した。
【実施例】
【0066】
(結果)
図6(A)~図6(C)に試験結果を示す。図6(A)から判るように、PGV-1で処理した場合は、クルクミンで処理した場合よりも、核膜が消失している細胞が多く観察された。このことは、PGV-1で処理した場合は、クルクミンで処理した場合よりも、M期にある細胞が多くなっていることを示している。また、図6(B)から判るように、PGV-1で処理した場合は、クルクミンで処理した場合よりも、略4.5倍、M期にある細胞が多くなっていた。さらに、図6(C)から判るように、M期の前中期(Prometaphase)に限定すると、PGV-1とクルクミンとの差がより顕著に表れた。これらの結果から、PGV-1は、細胞周期をM期の前中期にて特異的に停止させることが明らかになった。
【実施例】
【0067】
〔試験7〕
in vivoにおけるPGV-1の抗腫瘍活性および副作用について検討した。具体的な手法は、以下の通りである。
【実施例】
【0068】
動物実験の方法については、文献Bに記載の方法に準拠して実施した。概要については以下の通りである(図7(A)を参照)。
1.ヌードマウスに、K562細胞(2.5×10cells)を皮下注射した。
2.皮下注射を行った日を0日目とし、0日目から20日目まで2日おきに、PBS(20g)、PBSに溶かした0.4mgのPGV-1(0.4mg/20g)、PBSに溶かした0.4mgのクルクミン(0.4mg/20g)を経口投与した。
3.20日目時点での目視による腫瘍のサイズ、ヌードマウスから切除された腫瘍の重量、2日ごとの体重の変化、2日ごとの腫瘍の体積を測定した。
【実施例】
【0069】
(結果)
図7(B)~図7(E)に試験結果を示す。図7(B)から判るように、PGV-1を投与した場合、PBSまたはクルクミンを投与した場合よりも、ヌードマウスの体表上に目視で確認できる腫瘍のサイズが著しく小さかった。図7(C)から判るように、PGV-1を投与した場合、PBSまたはクルクミンを投与した場合よりも、ヌードマウスから切除された腫瘍の重量が著しく小さかった。図7(D)から判るように、PGV-1を投与した場合、ヌードマウスの体重に変化が無かった。図7(E)から判るように、PGV-1を投与した場合、PBSまたはクルクミンを投与した場合よりも、ヌードマウスから切除された腫瘍の体積が著しく小さかった。
【実施例】
【0070】
これらの試験結果は、PGV-1が、経口投与によっても薬理効果を発揮し得ること、クルクミンよりも著しく抗腫瘍効果が高いこと、および、副作用が極めて小さいことを示している。特に、図7(D)に示すように、ヌードマウスの体重に変化が無かったことは、PGV-1の副作用が極めて小さいことを示している。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、細胞周期停止剤および抗腫瘍剤に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6