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明細書 :電気的刺激付与および筋収縮検出可能なデバイスおよび計測システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-122598 (P2019-122598A)
公開日 令和元年7月25日(2019.7.25)
発明の名称または考案の名称 電気的刺激付与および筋収縮検出可能なデバイスおよび計測システム
国際特許分類 A61N   1/04        (2006.01)
A61N   1/08        (2006.01)
FI A61N 1/04
A61N 1/08
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2018-005528 (P2018-005528)
出願日 平成30年1月17日(2018.1.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 1.発行日:平成29年12月11日 刊行物:国際学会Bio4Apps(International conference on BioSensors, BioElectronics, BioMedical Devices,BioMEMS/NEMS&Applications)2017 Bio4Apps Progaram Committee 公開者:竹下俊弘、吉田学、大内篤、檜顕成、内田広夫、小林健 内容:生体信号を検知するための起毛電極を含むウェアについて 2.発表日:平成29年12月12日(開催期間 平成29年12月11日~13日) 集会名:International conference on BioSensors, BioElectronics,BioMedical Devices,BioMEMS/NEMS&Applications 2017 (Bio4Apps 2017) 開催場所:東京大学 弥生講堂(東京都文京区) 内容:講演番号 Oral Session TA2 「Multi-lead ECG measuring wear fabricated by printed electronics and electrostatic flocking technology」の口頭発表資料 3.発行日:平成29年12月11日 刊行物:国際学会Bio4Apps(International conference on BioSensors, BioElectronics,BioMedical Devices,BioMEMS/NEMS&Applications)2017 Bio4Apps Progaram Committee 公開者:竹井裕介、後藤慎太郎、高松誠一、小林健 内容:極薄シリコンピエゾ抵抗膜素子を用いたフレキシブルな圧力センサについて 4.発表日:平成29年12月11日(開催期間 平成29年12月11日~13日) 集会名:International conference on BioSensors,BioElectronics,BioMedical Devices,BioMEMS/NEMS&Applications 2017(Bio4Apps 2017) 開催場所:東京大学 弥生講堂(東京都文京区) 内容:講演番号 Oral Session MM1 「Frexi
発明者または考案者 【氏名】竹井 裕介
【氏名】吉田 学
【氏名】小林 健
【氏名】竹下 俊弘
出願人 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
審査請求 未請求
テーマコード 4C053
Fターム 4C053BB03
4C053BB22
要約 【課題】筋肉の電気刺激とその刺激による筋肉の活動状況の検出を並行して行うことが可能な、新規で有用なデバイスおよび計測システムを提供する。
【解決手段】電気的刺激による筋収縮を検出可能なデバイス10であって、伸縮性を有するシート体11と、そのシート体上に設けられた少なくとも2つの電極12であって、可撓性の樹脂層14とその表面に少なくとも外側に延びる複数の導電性繊維15とを有する、少なくとも2つの電極と、上記シート体上に設けられ、上記少なくとも2つの電極の間に配置される歪検出素子13と、を備え、被検者の測定部に上記少なくとも2つの電極および上記歪検出素子を当接させ、上記少なくとも2つの電極間に電気信号を供給して測定部に刺激を与えることによって上記歪検出素子により前記刺激に対する測定部の歪みを検出可能である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
電気的刺激による筋収縮を検出可能なデバイスであって、
伸縮性を有するシート体と、
前記シート体上に設けられた少なくとも2つの電極であって、可撓性の樹脂層とその表面に少なくとも外側に延びる複数の導電性繊維とを有する、該少なくとも2つの電極と、
前記シート体上に設けられ、前記少なくとも2つの電極の間に配置される歪検出素子と、を備え、
被検者の測定部に前記少なくとも2つの電極および前記歪検出素子を当接させ、該少なくとも2つの電極間に電気信号を供給して該測定部に刺激を与えることによって、前記歪検出素子により前記刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、前記デバイス。
【請求項2】
前記歪検出素子は、前記歪みを検出する歪検出膜を有し、該歪検出膜は、前記歪みに応じて電気抵抗値が変化するピエゾ抵抗膜である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記歪検出素子は、前記歪みを検出する歪検出膜を有し、該歪検出膜は、前記歪みに応じて圧電効果により起電力が生じる、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の配列方向に対して垂直な方向に沿って複数配置されてなる、請求項2または3記載のデバイス。
【請求項5】
前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の配列方向に沿って複数配置されてなる、請求項2または3記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも2つの電極は、それぞれ帯状であり、その長手方向が前記少なくとも2つの電極の配列方向に対して垂直であり、
前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の長手方向に沿って複数配置されてなり、
それによって、被験者の腕部または脚部を囲むように、あるいは腹筋または背筋の筋肉束に対して垂直に該電極を装着可能である、請求項2~5のうちいずれか一項記載のデバイス。
【請求項7】
前記電極は、前記歪検出素子とそれを囲むように設けた複数の導電性繊維を有してなり、
前記電極は、少なくとも3つが一方向に配列され、該少なくとも3つの電極のうちの2つの電極の前記複数の導電性繊維に電気信号を供給して前記測定部に刺激を与え、該2つの電極の間の他の電極の歪検出素子により該刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、請求項1~5のうちいずれか一項記載のデバイス。
【請求項8】
前記一方向に対して垂直な方向に配列された前記電極をさらに有する、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2つの電極は、前記歪検出素子を囲むように配置される、請求項1~8のうちいずれか一項記載のデバイス。
【請求項10】
前記歪検出素子は平面視四角形であり、2つの前記電極は平面視コ状であり、
前記2つの電極は、コ状の開口部を互いに相対してその開口部内に前記歪検出素子が配置される、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
前記歪検出素子は平面視四角形であり、
前記歪検出素子の四隅のそれぞれに隣接し、該隅の形状に沿ったかぎ形の辺を有する4つの前記電極が配置される、請求項9記載のデバイス。
【請求項12】
平面視において、前記電極は十字状であり、前記歪検出素子は四角形であり、
複数の前記歪検出素子がマトリックス状に配置され、前記電極が、互いに隣接する4つの前記歪検出素子の間に配置される、請求項1~8のうちいずれか一項記載のデバイス。
【請求項13】
前記電極は、前記歪検出素子とそれを覆うように設けた複数の導電性繊維を有してなり、
前記電極は、少なくとも3つが一方向に配列され、該少なくとも3つの電極のうちの2つの電極の前記複数の導電性繊維に電気信号を供給して前記測定部に刺激を与え、該2つ電極の間の他の電極の歪検出素子により該刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、請求項1~6のうちいずれか一項記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1~13のうちのいずれか一項記載のデバイスと、
前記電極に電気信号を供給し、被検者の測定部に刺激を与えることが可能な電気信号供給部と、
前記歪検出素子の歪みを検出する検出部と、
前記電気信号供給部を制御する制御部と、
前記検出部からの歪みを表す信号を解析する解析部と、
を備える、計測システム。
【請求項15】
前記電気信号供給部と前記電極との間に、前記電気信号供給部と前記電極との接続を前記制御部からの第1の切換信号により切り換える第1の切換手段と、
前記歪検出素子と前記検出部との間に、前記歪検出素子と前記検出部との接続を前記制御部からの第2の切換信号により切り換える第2の切換手段と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の切換手段および前記第2の切換手段を制御して、測定に用いる前記複数の電極および歪検出素子を選択的に切り換える、請求項14記載の計測システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に装着可能なデバイスおよび計測システムに係り、具体的には、生体に電気的な刺激を与えそれに応じた筋収縮を検出可能なデバイスおよび計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、筋肉を電気的に刺激するデバイスが筋肉トレーニングに活用されている(例えば、特許文献1参照。)。電極を皮膚に接触させて、複数の電極間に電圧パルスを印加することで、筋肉が刺激され、筋肉の収縮が生じて、運動を行ったのと同様の効果が得られるというものである。
【0003】
筋肉は電気的な刺激に応じて活動するが、この活動状況を検知する方法としてこれまでは、筋肉の収縮によって生じる電気的な信号、いわゆる筋電を検知するのが一般的であった。
【0004】
しかし、筋電は数mV(ミリボルト)の電気信号に対して、筋肉を収縮させるために必要な電気刺激は数百V(ボルト)であり、最大で5桁も電圧の大きさが異なり、かつ両方とも皮膚表面の電位を計測する必要があるため、同時に計測することは非常に困難であった。
【0005】
このような状況において、筋肉の活動状況を知るために、筋肉が収縮する際に発生する圧力波が注目されている。この圧力波は、筋音図、あるいは筋音(Mechanomyogram(MMG)と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2016/135996号
【0007】

【非特許文献1】R. Aoki, Y. Takei, N. Minh-Dung, T. Takahata, K. Matsumoto, I. Shimoyama, Proc. MEMS2016, pp.356-358
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、筋肉の電気刺激とその刺激による筋肉の活動状況の検出を並行して行うことが可能な、新規で有用なデバイスおよび計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、電気的刺激による筋収縮を検出可能なデバイスであって、伸縮性を有するシート体と、上記シート体上に設けられた少なくとも2つの電極であって、可撓性の樹脂層とその表面に少なくとも外側に延びる複数の導電性繊維とを有する、上記少なくとも2つの電極と、上記シート体上に設けられ、前記少なくとも2つの電極の間に配置される歪検出素子と、を備え、被検者の測定部に上記少なくとも2つの電極および上記歪検出素子を当接させ、その少なくとも2つの電極間に電気信号を供給して上記測定部に刺激を与えることによって、上記歪検出素子により上記刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、上記デバイスが提供される。
【0010】
上記態様によれば、少なくとも2つの電極に供給された電気信号により測定部の筋肉に電気刺激を与えるとともに、その刺激による測定部に生じる歪みを歪検出素子によって検出することで筋肉の活動状況の検出を行うことが可能なデバイスが提供できる。上記態様のデバイスは、少なくとも2つの電極の間に歪検出素子が配置されているので、電気刺激により収縮した測定部の歪み(歪みの変化を含む。)を歪検出素子によって検出することで筋肉の筋音を効率よく検出できる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、上記態様のデバイスと、上記電極に電気信号を供給し、被検者の測定部に刺激を与えることが可能な電気信号供給部と、上記歪検出素子の歪みを検出する検出部と、上記前記電気信号供給部を制御する制御部と、上記検出部からの歪みを表す信号を解析する解析部と、を備える、計測システムが提供される。
【0012】
上記態様によれば、電気信号供給部によりデバイスの少なくとも2つの電極に電気信号を測定部に供給して筋肉に電気刺激を与えるとともに、その刺激による測定部に生じる歪みに対応する歪検出素子の歪み(歪みの変化を含む。)を検出部によって検出することで筋肉の活動状況の検出を行うことが可能な計測システムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るデバイスの(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るデバイスの歪検出素子の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るデバイスの変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るデバイスの他の変形例の(a)平面図、使用状態を示す(b)概略図および(c)断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の作製工程図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るデバイスの歪検出素子の作製工程図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る計測システムの概要構成を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る計測システムの変形例の概要構成を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の接触抵抗の測定例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係るデバイスの実施例を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係るデバイスを用いた実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。なお、複数の図面間において共通する要素については同じ符号を付し、その要素の詳細な説明の繰り返しを省略する。

【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るデバイスの(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。図1(a)および(b)を参照するに、デバイス10は、伸縮性を有するシート体11と、シート体11の表面に設けられた2つの電極12および歪検出素子13とを含む。2つの電極12はそれぞれその表面に複数の導電性繊維15を有する。歪検出素子13は、2つの電極12の間に配置される。デバイス10は、図1(b)に示すように、2つの電極12の導電性繊維15および歪検出素子13を被験者の測定部MOの皮膚に接触させ、2つの電極12間に、電気信号、例えばパルス状の電圧を印加して電気的刺激を測定部MOに与える。この電気的刺激により、測定部MOの筋肉全体の動きや筋繊維の振動や筋繊維自体の拡大および縮小等が発生し、それによって生じる圧力波(いわゆる、筋音)を受けた歪検出素子13は歪みとして検出する。圧力波により皮膚が変形するので皮膚歪みとも称する。なお、電極12および歪検出素子13の配線部の図示は省略している。

【0016】
シート体11は、伸縮性を有する電気的に絶縁性の材料であれば特に制限はなく、例えば、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維による織物、ウレタンなどの熱硬化性樹脂系のエラストマーによるシート、ブチルゴムなどの合成ゴムによるシート、シリコーンなどの合成高分子化合物によるシートなどを用いることができる。

【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の断面図である。図2を図1と合わせて参照するに、電極12は、シート体11の表面に樹脂層14と、一方の先端が樹脂層14中に挿入されて保持され、他の部分が樹脂層14から外側に露出して互いに接触する複数の導電性繊維15とからなる。

【0018】
樹脂層14は、シート体11の表面に導電性繊維15を上述した形態を形成する接着剤による層であり、可撓性を有し、例えば、シリル化ウレタン系の弾性接着剤、アクリルエマルジョンなどのエマルジョン系接着剤などを用いることができる。樹脂層14は導電性材料でもよく、絶縁材料でもよい。樹脂層14はシート体11に対して接着性の高い材料が好ましく、その材料選択の幅が広い点で、導電性材料よりも絶縁材料が好ましい。

【0019】
導電性繊維15は、例えば、カーボンナノファイバー、金属繊維、導電性高分子を被着した化学繊維、金属めっき膜を形成した金属繊維あるいは化学繊維を用いることができる。金属めっき膜の金属材料としては、銅、銀、金等の導電性の高い金属が用いることができる。導電性繊維15は、その線径及び繊維長を適宜選択することができる。導電性繊維15は、電極12の導電率や電極12の変形に対する追従性および身体に接触させる場合の柔軟性や快適性等を考慮し、例えば導電性繊維15の線径を20μm以下、繊維長を0.1mm以上0.5mm以下とする針状体となる短繊維であることが好ましい。導電性繊維15は、電極12に必要とされる伸縮や変形に対して安定して電極として機能するよう、その線径や繊維長に合せて単位面積当たりの本数や樹脂層14の表面に対する角度が設定され、さらに、導電性繊維15が延びる方向は電極12の表面の面内方向成分が等方性あるいは所定の異方性を有するように設定される。

【0020】
電極12は、その表面の導電性繊維15が表面から外側に延びているので、被験者の測定部との接触が良好であり、電極12を測定部に押しつける圧力を低減しても十分小さい接触抵抗を実現できる。さらに、電極12は、樹脂層14が可撓性を有するので被験者の測定部が窪んだり凹んだりしている場合でもその形状に追従可能であり、この点でも電極12と測定部との接触抵抗を低減できる。また、電極12は、被験者に動きがある場合に電極12が接触する測定部の位置がずれたときでも、良好な接触状態を確保できる。また、電極12は、測定部との密着性を確保するための粘着性シートを使用していないので、粘着性の劣化もなく、測定部に粘着成分が付着することもない。

【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係るデバイスの歪検出素子の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。図3(a)および(b)を参照するに、歪検出素子13は、フレキシブル基板18と、その上に、歪検出膜19と、歪検出膜19上の両端に形成された電極20と、電極20と電気的に接続するための導電性ペースト21および電極22と、これらを覆う保護層23を含む。

【0022】
歪検出膜19は、例えば、歪みにより抵抗値が変化するピエゾ抵抗効果を示す材料を用いることができる。ピエゾ抵抗効果を示す材料として、半導体材料であることが好ましく、例えば、p型シリコン層にn型ドーパントであるP(リン)またはAs(ヒ素)をイオン注入したシリコンピエゾ抵抗膜を用いることが好ましい。このようなピエゾ抵抗効果を示す半導体材料では、歪みに対する電気抵抗の変化率、いわゆるゲージ率が、金属材料により形成した歪ゲージよりも数十倍高く、さらに時間分解能に優れているので金属材料により形成した歪ゲージよりよりも高い周波数の歪み変化を検出できる。また、シリコンピエゾ抵抗膜は、薄膜、例えば厚さ5μmなので、可撓性に優れ、被験者の測定部の形状およびその変化に応じて良好な接触状態を確保できる。

【0023】
なお、歪検出膜19としてn型ドーパントを注入したp型シリコン層であるドープトシリコン層を用いる場合、その下地層として、図3(b)に示すように、シリコン層25を用いることができる。歪検出膜19にピエゾ抵抗効果を示す材料を用いた場合、歪検出素子13には、ホイートストンブリッジ(不図示)が接続され、歪みによる抵抗変化を検出する。

【0024】
歪検出膜19として、圧電効果を示す材料、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や窒化アルミニウム(AlN)を用いてもよい。圧電効果を示す材料は、外部からの応力により起電力を生じるので、その起電力により結果的に歪みを検出可能である。

【0025】
フレキシブル基板18は、可撓性を有する材料からなる。フレキシブル基板18は、例えば、プラスチック基板、紙、布、ガラス、シリコン薄膜などを用いることができる。プラスチック基板としては、例えば、極性基のついたポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドなどを用いることができる。ガラスおよびシリコン薄膜は厚さが50μm以下であることが、可撓性が良好である点で好ましい。

【0026】
電極20,22は、導電性材料からなり、例えば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等の金属または合金や塗布した導電性ペーストを用いることができる。

【0027】
導電性ペースト21は、上述した金属の粉末を含むペーストであり、硬化あるいは乾燥後に伸縮性(ストレッチャブル性)を有する材料、例えば、ストレッチャブル導電性接着剤を用いてもよい。

【0028】
保護層23は、絶縁材料からなり、可撓性を有することが好ましい。保護層23は、例えば、ウレタンなどの熱硬化性樹脂系のエラストマー、ブチルゴムなどの合成ゴム、シリコーンなどの合成高分子化合物を用いることができる。

【0029】
上記の図1~図3を参照して述べたように、本実施形態に係るデバイス10は、伸縮性を有するシート体11と、その上に設けられた、可撓性の樹脂層14に形成された複数の導電性繊維15を有する電極と、フレキシブル基板18上に形成された薄膜の歪検出膜19を有する歪検出素子13とを含んでいる。このようにデバイス10は柔軟な素材で構成されているので、衣服やパッチなどに装着可能であり、ウェアラブル・デバイスとして使用可能である。また、デバイス10は、2つの電極12に供給された電気信号により測定部MOの筋肉に電気刺激を与えるとともに、その刺激による測定部MOに生じる歪みを歪検出素子13によって検出することで筋肉の活動状況の検出を行うことが可能である。また、デバイス10は、2つの電極12の間に歪検出素子13が配置されているので、電気刺激により収縮した測定部MOの歪みを歪検出素子13によって検出することで筋肉の筋音を効率よく検出できる。

【0030】
なお、電極12に電気信号を供給する電気信号配線部(不図示)とその入力端をシート体11上に設けることができる。電気信号配線部は、シート体11の面上において、電極12と入力端とを結ぶ方向に対してその横方向に繰り返し蛇行する配線膜を有する。デバイス10を被検者の測定部に装着した際に電気信号配線部に引張応力が印加されても構造的に伸長することができる。

【0031】
また、歪検出素子13から歪み対応する信号を出力する歪検出配線部(不図示)とその出力端をシート体11上に設けることができる。歪検出配線部は、シート体11の面上において、歪検出素子13の電極22と出力端とを結ぶ方向に対してその横方向に繰り返し蛇行する配線膜を有する。デバイス10を被検者の測定部に装着した際に歪検出配線部に引張応力が印加されても構造的に伸長することができる。

【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係るデバイスの変形例を示す平面図である。図4(a)~(c)を参照するに、デバイス40,41,42は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた2つの電極12と、2つの電極12の間に配置される複数の歪検出素子13とを含む。

【0033】
図4(a)に示すデバイス40は、3つの歪検出素子13を有しており、その歪検出素子13が2つの電極12の配列方向に対して垂直に配列されている。これにより、3つの歪検出素子13を多数の筋繊維に対して垂直に配置されるようにデバイス40を装着することで、筋肉全体の動きを検出することができる。なお、歪検出素子13は、2つでもよく、4つ以上でもよい。

【0034】
図4(b)に示すデバイス41は、3つの歪検出素子13を有しており、その歪検出素子13が2つの電極12の配列方向に沿って配列されている。これにより、3つの歪検出素子13を筋繊維の長さ方向に沿って配置されるようにデバイス41を装着することで、筋繊維の部分的な拡大・縮小を検出することができる。なお、歪検出素子13は、2つでもよく、4つ以上でもよい。

【0035】
図4(c)に示すデバイス42は、9つの歪検出素子13を有しており、その歪検出素子13が2つの電極12の配列方向に沿って配列されるとともにそれに対して垂直な方向にも配列され、すなわち、3行3列のマトリックス状に配置されている。これにより、デバイス40とデバイス41の作用および効果を同時に得ることができる。なお、歪検出素子13は、行および列の数は2つでもよく、4つ以上でもよく、互いに異なってもよい。

【0036】
図5は、本発明の一実施形態に係るデバイスの他の変形例の(a)平面図、使用状態を示す(b)概略図および(c)断面図である。図5(a)を参照するに、デバイス50は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた2つの電極52と、2つの電極52の間に配置される歪検出素子13とを含む。2つの電極52は、それぞれ帯状であり、その長手方向が電極52の配列方向に対して垂直である。歪検出素子13は、電極52の長手方向に沿って複数配置されている。なお、電極52は、図2に示した電極12と同様の構成を有する。

【0037】
図5(b)を参照するに、デバイス50は、被験者の上腕部UAを囲むようにして、2つの電極52および歪検出素子13が上腕部UAの皮膚に接触するように装着する。この際、デバイス50の2つの電極52のそれぞれが上腕部UAの筋肉の長手方向に対して垂直になるように装着する。これにより、図5(c)に示すように、上腕部UAの上腕骨HUの周囲の筋肉MS、例えば、上腕筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋等の複数の筋肉を帯状の電極52により同時に電気的刺激を与えることができ、それらの筋肉MSの収縮、筋音等を上腕部UAを囲むように配置した多数の歪検出素子13によって検出できる。なお、デバイス50は、シート体11の端部を互いに固定して装着してもよく、デバイス50を覆うサポータ(不図示)等を使用して圧力をかけてもよい。

【0038】
なお、デバイス50は、上腕部UAの他に、前腕部や脚部を囲むように装着してもよく、さらに腹筋または背筋の筋肉束に対して帯状の電極52が垂直になるように装着して、帯状の電極52に沿って配置された歪検出素子13によって幅広い筋肉束の部分的な収縮を個別に測定できる。

【0039】
図6は、本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。図6(a)および(b)を参照するに、デバイス60は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた3つの電極62~64を含む。電極62~64は、それぞれ、歪検出素子13と、歪検出素子13を囲むように設けた複数の導電性繊維15を有する。電極62~64の導電性繊維15および歪検出素子13を被検者の測定部MOに接触させる。電極62~64は、3つが一方向に配列されおり、3つの電極62~64のうち、両側の2つ電極62,64の導電性繊維15に電気信号を供給して測定部MOに刺激を与え、電極63の歪検出素子13により刺激に対する測定部MOの歪みおよび歪みの変化を検出できる。

【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。図7を参照するに、デバイス70は、シート体11と、シート体11の表面に設けられたマトリックス状に配置された電極72i,j(但し、iおよびjはそれぞれ行、列を示す添字(自然数)であり、i=1~3およびj=1~4である。)を含む。電極72i,jは、それぞれ、図6に示した電極62~64と同様の構造を有する。

【0041】
デバイス70は、左右両側にある、電極72i,1と電極72i,4(i=1~3)との間にパルス状の電気信号を供給することで、電極72i,2および72i,3(i=1~3)が有する歪検出素子13により主に列方向に沿った筋繊維の拡大・縮小を検出することができる。また、デバイス70は、上下にある、電極721,jと電極723,j(j=1~4)との間にパルス状の電気信号を供給することで、電極722,j(j=1~4)が有する歪検出素子13により主に行方向に沿った筋繊維の拡大・縮小による歪みを検出することができる。さらに、パルス状の電気信号を供給する電極72i,jを上記の2方向を交互に切り換えたり、互いに斜め方向の電極72i,jに供給したりすることで、より複雑な筋繊維の拡大・縮小や筋肉全体の動きを歪検出素子13により検出できる。

【0042】
図8は、本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。図8(a)を参照するに、デバイス80は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた2つの電極82と、2つの電極82の間に配置される歪検出素子13とを含む。2つの電極82は、歪検出素子13を囲むように配置される。このように電極82を配置することで、パルス状の電気信号を電極82間に供給して、スポット状の範囲の測定部の筋肉の部分の動きを歪検出素子13により検出できる。

【0043】
図8(b)を参照するに、デバイス81は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた4つの電極821~824と、4つの電極821~824に囲まれた歪検出素子13とを含む。歪検出素子13は、平面視四角形であり、電極821~824は歪検出素子13の四隅のそれぞれに隣接し、その隅の形状に沿ったかぎ形の辺を有する。デバイス81は、4つの電極821~824のうちの少なくとも2つにパルス状の電気信号を供給して、測定部の筋肉の部分の動きを歪検出素子13により微視的に検出できる。

【0044】
図9は、本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の平面図である。図9を参照するに、デバイス90は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた複数の電極92と、歪検出素子13とを含む。平面視において、電極92は十字状であり、歪検出素子13は四角形である。複数の歪検出素子13がマトリックス状に配置され、電極92が互いに隣接する4つの歪検出素子13の間あるいは中央に配置される。これにより、デバイス90は、電極92と歪検出素子13とを密に配置することができ、筋音の音源定位、つまり、複数の筋肉組織が束なった生体部位の中で収縮した筋肉を筋音によって特定が可能となる。

【0045】
図10は、本発明の一実施形態に係るデバイスのその他の変形例の(a)平面図および(b)使用状態を示す断面図である。図10(a)および(b)を参照するに、デバイス100は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた3つの電極102~104を含む。電極102~104は、歪検出素子13と、歪検出素子13を覆うように設けた複数の導電性繊維15を有する。歪検出素子13は、図2に示した樹脂層14とその上の導電性繊維15に覆われているが、樹脂層14が可撓性を有するので、樹脂層14に保持された複数の導電性繊維15が被験者の測定部の皮膚の歪の変化に対して追従できるので、被験者の測定部の歪みおよび歪みの変化が樹脂層14および導電性繊維15を介して歪検出素子13に反映される。それによって、歪検出素子13は被験者の測定部MOの歪み変化を検出できる。

【0046】
デバイス100は、電極102~104は、3つが一方向に配列されおり、複数の導電性繊維15を被検者の測定部MOに接触させる。3つの電極102~104のうち、両側の2つ電極102,104の導電性繊維15に電気信号を供給して測定部MOに刺激を与える。電極103の歪検出素子13により刺激に対する測定部MOの歪み変化を検出できる。

【0047】
図11は、本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の作製工程図である。以下、図11の(a)~(c)の工程図を参照しつつ電極の作製方法を説明する。

【0048】
図11(a)の工程では、シート体11の上に樹脂層14を形成するために、電極12を形成する領域に接着剤14aを塗布する。例えば、電極の形状の開口部110aを有するマスク110を用いて、スキージ111により接着剤14aを開口部110aに塗布する。接着剤14aのパターニングにおいては、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、ディスペンシング法、スプレーコート法、インクジェット法などを用いることができる。樹脂層14の厚さは、導電性繊維15を植設可能な厚さ、例えば、10~1000μmが好ましい。

【0049】
次いで、図11(b)の工程では、マスク110を取り除き、静電スプレー法により導電性繊維15を接着剤14aを形成した面に吹き付ける。具体的には、シート体11をアースした電極112に置き、静電スプレーガン113に電圧を印加した状態で、静電スプレーガン113から帯電した導電性繊維15をシート体11および接着剤14aの上に噴射する。導電性繊維15は、電気力線FLに沿って接着剤14aの層に入射する。この際、導電性繊維15は、静電スプレーガン113の噴射による運動エネルギーと、静電スプレーガン113と電極112との電位差による静電力により、その一端が接着剤14aの層に植設される。静電スプレー法の他に、スプレーコート法や静電植毛法などの公知の方法を用いてもよい。

【0050】
次いで、図11(c)の工程では、接着剤14aを硬化させて樹脂層14を形成する。シート体11の表面に直接噴射された導電性繊維15をバキュームクリーナ114で吸引して除去する。弱粘着ローラーなどを用いて除去してもよい。これによって、複数の導電性繊維15を有する電極12が形成される。

【0051】
なお、電極12からの配線部(不図示)を先の図11(b)の工程でシート体11の表面に電極12と同様にして形成し、配線部を覆う絶縁膜(不図示)を形成してもよい。絶縁膜は、絶縁シートや、絶縁ペーストを用いることができる。

【0052】
図12は、本発明の一実施形態に係るデバイスの歪検出素子の作製工程図である。図12の(a)~(e)は、それぞれ左側が平面図、右側が断面図である。以下、図12の(a)~(e)の工程図を参照しつつ歪検出素子の作製方法を説明する。

【0053】
図12(a)の工程では、シリコン基板121上にシリコン酸化膜122を形成し、さらにその上にシリコン層25aを形成する。厚さは、例えば、シリコン基板121が500μm、シリコン酸化膜122が2μm、シリコン層25aが5μmである。シリコン酸化膜122およびシリコン層25aは公知の方法を用いて形成することができる。さらに、シリコン層25aの表面にドープトシリコン層123aを形成する。ドープトシリコン層123aは、例えば、イオン注入法によりp型シリコン層にn型ドーパントである、例えばP(リン)を注入して形成する。さらに、ドープトシリコン層123aを、シリコンピエゾ抵抗膜となる部分の周囲をシリコン酸化膜122の表面に達するまでエッチングする。これによりシリコンピエゾ抵抗膜123が形成され、さらに、シリコンピエゾ抵抗膜123の両端に、電極20を形成する。これにより、電極20を有するシリコンピエゾ抵抗膜123が形成される。これは、図3で示した歪検出膜19とその上に形成された電極20に対応する。シリコンピエゾ抵抗膜123は、例えば、2つの電極20を結ぶ方向の長さが5mm、幅が1mm、厚さが5μmである。

【0054】
次いで、図12(b)の工程では、シリコン基板121の底面からシリコン酸化膜122までをパターンエッチングにより除去する。これにより、シリコンピエゾ抵抗膜123とそれを支持する部分を残す。

【0055】
次いで、図12(c)の工程では、コレット124によりシリコンピエゾ抵抗膜123を吸引して保持し、さらに支持する部分から分離する。

【0056】
次いで、図12(d)の工程では、シリコンピエゾ抵抗膜123を電極22が形成されたフレキシブル基板18、例えばポリイミド板に接着剤26により接着する。

【0057】
次いで、図12(e)の工程では、導電性ペースト(あるいは導電性接着剤)21を用いてシリコンピエゾ抵抗膜123の電極20とフレキシブル基板18の電極22とを接続する。さらに、シリコンピエゾ抵抗膜123と、導電性ペースト21と、フレキシブル基板18の電極22の一部あるいは全部を覆うように保護層23を形成する。以上により、シリコンピエゾ抵抗膜の歪検出素子13が作製される。なお、図12(e)の左側は保護層23を省略して示している。

【0058】
なお、圧電特性を示す材料を歪検出膜とする歪検出素子を作製する場合は、図12(a)の工程において、シリコン層上に、例えばゾルゲル法によりPZT層を形成すればよく、有機金属気相成長法によりAlN層を形成すればよい。

【0059】
図13は、本発明の一実施形態に係る計測システムの概要構成を示す図である。図13を参照するに、計測システム130は、デバイス10と、デバイス10の電極12に接続され、電極12に電気信号を供給して被検者の測定部MOに刺激を与える電気信号供給部131と、歪検出素子13に接続され、歪検出素子13の歪みを検出する歪み信号検出部132と、電気信号供給部131および歪み信号検出部132に接続され、電気信号供給部131を制御する制御部133と、電気信号供給部131および歪み信号検出部132に接続される信号解析部134を含む。

【0060】
電気信号供給部131は、様々な波形、電圧、信号幅および周波数の電気信号、例えば、電圧数百ボルト、パルス時間幅数百μs(μ秒)の単発あるいは繰り返しのパルス波を供給することが可能であり、そのパルスが2つの電極12間に印加される。パルス波は、極性がプラス側だけの信号でもよく、マイナス側だけの信号でもよく、プラスおよびマイナス側の両方の信号でもよい。電気信号は、方形波でもよく、正弦波でもよく、スパイク状でもよい。電気信号供給部131は、例えば、ファンクション・ジェネレータ、パルス・ジェネレータ等の電気信号発生機を用いることができる。電気信号供給部131は、電気信号をモニターするための信号を信号解析部134に出力する。

【0061】
歪み信号検出部132は、歪検出素子13からの歪みに対応する信号を検出する。歪検出素子13が、ピエゾ抵抗効果を示す歪検出膜19を用いている場合は、歪み信号検出部132はホイートストンブリッジ(不図示)を含み、ホイートストンブリッジの4つの抵抗素子のうちの一つを歪検出膜19として、歪検出膜19の抵抗変化から歪みを検出する。歪検出素子13が、圧電特性を示す歪検出膜19を用いている場合は、歪み信号検出部132は歪検出膜19が発生する起電力から歪みを検出する。歪み信号検出部132は検出した歪みを歪み信号(電気信号)として信号解析部134に出力する。なお、歪み信号検出部132は、歪み信号を増幅する増幅器(アンプ)を備えてもよい。なお、図13では、歪検出素子13から歪み信号検出部132の信号線が1本に省略して示されているが、図3で示したように、歪検出素子13の電極は2つあるので信号線は2本となる。

【0062】
制御部133は、電気信号供給部131に刺激のための電気信号の電圧、パルス幅、出力タイミング等を制御信号を出力する。制御部133は、歪み信号検出部132が歪検出素子13からの歪みに対応する信号を検出するタイミングを制御してもよい。制御部133は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)を用いることができる。

【0063】
信号解析部134は、歪み信号検出部132からの歪み信号を受け、歪みの変化を解析することができる。信号解析部134は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、オシロスコープ、スペクトルアナライザ等を用いることができる。PCは制御部133のPCを用いてもよい。さらに信号解析部134と制御部133とを接続して、信号解析部134は、その解析結果に応じて、測定部MOのトレーニング効果や治療効果を高めるために、あるいは測定部MOの分析をより進めるために、刺激のための電気信号の電圧、パルス幅、出力タイミング等の変更・更新情報を制御部133に送信してもよい。制御部133はこれに応じて刺激のための電気信号の制御を行うことができる。

【0064】
デバイス10は、先の図1に示したデバイス10である。デバイス10の代わりに先に示した変形例のデバイス41~42,50,60,70,80,90,100のいずれかを用いることができる。さらに、これらのデバイスを組み合わせて用いてもよい。

【0065】
本実施形態によれば、計測システム130は、電気信号供給部131によりデバイス10の電極12に刺激のための電気信号を供給し、歪検出素子13で検出した歪み(筋音)を、歪み信号検出部132により歪み信号として信号解析部134に送り、信号解析部134で刺激のための電気信号とそれに応じた測定部MOの筋肉全体の動きや筋繊維の振動や筋繊維自体の拡大および縮小等を解析できる。

【0066】
図14は、本発明の一実施形態に係る計測システムの変形例の概要構成を示す図である。図14を参照するに、計測システム140は、デバイス145が先の図7のデバイス70あるいは図9のデバイス90のような多数の電極および歪検出素子を含むものであり、ここでは、図7の電極72i,jにおいて一行の電極が6個の場合の例を用いて説明する。電極1421~1426は、それぞれ、歪検出素子131~136を有している。

【0067】
計測システム140は、電気信号供給部131と電極1421~1426との間に、電気信号供給部131から供給される刺激のための電気信号の供給先を切り換えるための電極切換部141を含む。電極切換部141は制御部133と接続されており、制御部133から電極1421~1426の切換制御信号を受けて、2つあるいは3つ以上の電極1421~1426を選択的に接続する。

【0068】
計測システム140は、歪検出素子131~136と歪み信号検出部132との間に、歪検出素子131~136からの歪みに対応した信号の供給先を切り換えるための歪検出素子切換部143を含む。歪検出素子切換部143は制御部133と接続されており、制御部133から歪検出素子131~136の切換制御信号を受けて、1つあるいは2つ以上の歪検出素子131~136を選択的に接続する。

【0069】
制御部133は、電極1421~1426の切換制御信号および歪検出素子131~136の切換制御信号を生成する。これにより、計測システム140が被検者の測定部MOの位置を選択的に、あるいは走査しながら、電気信号による刺激に対する測定部MOの歪み変化を検出できる。なお、計測システム140が図9に示すデバイス90を含む場合も同様にして測定が可能であり、本明細書に記載の他のデバイスにも適用できる。

【0070】
図15は、本発明の一実施形態に係るデバイスの電極の接触抵抗の測定例を示す図である。図15(a)を参照するに、デバイス150は、ポリエステル布をシート体11として、その表面に電極12を形成してあり、電極12の表面の導電性繊維と皮膚との接触抵抗を測定することを目的として図1の歪検出素子13を省略したものである。

【0071】
電極12は、導電性繊維として、銀メッキを表面に形成した化学繊維を切断して0.5mm~3mmの長さにしたものを用いた。電極12は、それぞれ長さ(2つの電極を結ぶ方向)が70mm、幅が70mmであり、2つの電極は25mm離隔している。

【0072】
図15(b)を参照するに、デバイス150の電極を皮膚ファントムに種々の圧力で接触させ、その際の2つの電極間の電気抵抗、すなわち、電極-皮膚—電極間の電気抵抗を圧力に対して測定したグラフを示す。圧力をかけない状態では、4.8MΩに対して圧力を増加させるにつれて抵抗値は低下した。これにより、電極12と皮膚との間の接触抵抗が低減されていることが分かる。比較例として電極12を導電性ゲルにより皮膚ファントムに密着させて測定した電気抵抗値は1MΩであり、これは、デバイス150の20hPaの圧力をかけた場合に相当する。20hPaの圧力は、フォームや姿勢を良くするために適度に身体全体や脚部を圧迫するスポーツウェアの通常の圧力である。これらのことから、デバイス150の電極12は、刺激の電気信号を印加するために実用に適していることが明らかである。

【0073】
図16は、本発明の一実施形態に係るデバイスの実施例を示す図である。図16を参照するに、デバイス160は、シート体11と、シート体11の表面に設けられた2つの電極12および歪検出素子13とを含む。シート体11が伸縮性を有するポリエステル布であり、長さ(2つの電極を結ぶ方向)が120mm、幅が60mmである。電極12は、図15の測定例と同様の電極を用い、長さ、幅とも50mmである。歪検出素子13は、長さ5mm、幅1mm、厚さ5μmのシリコンピエゾ抵抗膜を用いた。また、歪検出素子13の歪みに対応する信号を取り出すための電極22を歪検出素子の電極から約10mm離隔して設けた。

【0074】
図17は、本発明の一実施形態に係るデバイスを用いた実施例を示す図である。本実施例では、図16に示したデバイス160を用いて、電極への電気信号を、市販の筋肉電気刺激(EMS)装置(東レインターナショナル社トレリート(登録商標)EM300)を用いて供給し、歪検出素子13の歪みをホイートストンブリッジを用いて検出し、増幅器によって増幅してオシロスコープにより刺激のための電気信号波形と歪波形を取得した。図17(a)~(c)は、それぞれ、左側に刺激のための電気信号波形を示し、右側には、刺激のための電気信号波形と歪検出素子からの皮膚歪み(ΔL/L)の変化を表す波形を、両方のタイミングの通りに示している。なお、Lはシリコンピエゾ抵抗膜の電極間の距離である。デバイス160は、被検者の右腕の上腕部にその長手方向に離隔して電極が配置され、歪検出素子は上腕二頭筋上の皮膚に接触するように装着した。デバイス160の上からサポータを装着して皮膚への圧力を設定した。

【0075】
図17(a)を参照するに、プラス側337V、マイナス側316Vの時間幅それぞれ0.1msの電気信号(周波数5Hz)を電極に印加すると、40ms後に筋肉の収縮が始まること、上腕二頭筋による皮膚歪み(ΔL/L)の変化量が1.33×10-3生じることが分かる。

【0076】
図17(b)を参照するに、プラス側415V、マイナス側378Vの幅それぞれ0.1msの電気信号(周波数5Hz)を電極に印加すると、33ms後に筋肉の収縮が始まること、上腕二頭筋による皮膚歪み(ΔL/L)の変化量が3.64×10-3生じることが分かる。このことおよび先の図17(a)の結果から、印加する電気信号の電圧を高くすると、筋肉の収縮が早く始まり、かつ皮膚歪み(ΔL/L)が増加するので筋肉の収縮量が増加していることが分かる。

【0077】
図17(c)を参照するに、図17(a)と同じ電圧および時間幅の刺激のための電気信号を80Hzで電極に印加すると、皮膚歪み(ΔL/L)がほぼ2.0×10-3付近でほぼ一定となり変化量が0.3×10-3となってかなり減少することが分かる。また、皮膚歪み(ΔL/L)の変化の周波数は60Hzとなり電気信号の80Hzに追従しないことが分かる。これらのことより、80Hzの電気信号により上腕二頭筋が収縮したままになっていることが分かる。

【0078】
以上の実施例から、図16に示したデバイス160は、電極12による刺激のための電気信号の測定部への印加と、測定部の歪みの検出を並行して行うことができることがわかった。また、サポータの程度の圧力により電極12が測定部に十分に接触して電気信号を印加可能であること、上腕部のように立体的な形状の測定部の歪みが検出できることが分かった。このことから、デバイス160はウェアラブルであり、衣服やパッチなどに装着しても測定が可能であることが分かった。

【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【0080】
なお、以上の説明に関してさらに以下の付記を開示する。
(付記1)電気的刺激による筋収縮を検出可能なデバイスであって、
伸縮性を有するシート体と、
前記シート体上に設けられた少なくとも2つの電極であって、可撓性の樹脂層とその表面に少なくとも外側に延びる複数の導電性繊維とを有する、該少なくとも2つの電極と、
前記シート体上に設けられ、前記少なくとも2つの電極の間に配置される歪検出素子と、を備え、
被検者の測定部に前記少なくとも2つの電極および前記歪検出素子を当接させ、該少なくとも2つの電極間に電気信号を供給して該測定部に刺激を与えることによって、前記歪検出素子により前記刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、前記デバイス。
(付記2)前記歪検出素子は、前記歪みを検出する歪検出膜を有し、該歪検出膜は、前記歪みに応じて電気抵抗値が変化するピエゾ抵抗膜である、付記1記載のデバイス。
(付記3)前記歪検出素子は、前記歪みを検出する歪検出膜を有し、該歪検出膜は、前記歪みに応じて圧電効果により起電力が生じる、付記1記載のデバイス。
(付記4)前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の配列方向に対して垂直な方向に沿って複数配置されてなる、付記2または3記載のデバイス。
(付記5)前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の配列方向に沿って複数配置されてなる、付記2または3記載のデバイス。
(付記6)前記少なくとも2つの電極は、それぞれ帯状であり、その長手方向が前記少なくとも2つの電極の配列方向に対して垂直であり、
前記歪検出素子は、前記少なくとも2つの電極の長手方向に沿って複数配置されてなり、
それによって、被験者の腕部または脚部を囲むように、あるいは腹筋または背筋の筋肉束に対して垂直に該電極を装着可能である、付記2~5のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記7)前記電極は、前記歪検出素子とそれを囲むように設けた複数の導電性繊維を有してなり、
前記電極は、少なくとも3つが一方向に配列され、該少なくとも3つの電極のうちの2つの電極の前記複数の導電性繊維に電気信号を供給して前記測定部に刺激を与え、該2つの電極の間の他の電極の歪検出素子により該刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、付記1~5のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記8)前記一方向に対して垂直な方向に配列された前記電極をさらに有する、付記7記載のデバイス。
(付記9)前記少なくとも2つの電極は、前記歪検出素子を囲むように配置される、付記1~8のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記10)前記歪検出素子は平面視四角形であり、2つの前記電極は平面視コ状であり、
前記2つの電極は、コ状の開口部を互いに相対してその開口部内に前記歪検出素子が配置される、付記9記載のデバイス。
(付記11)前記歪検出素子は平面視四角形であり、
前記歪検出素子の四隅のそれぞれに隣接し、該隅の形状に沿ったかぎ形の辺を有する4つの前記電極が配置される、付記9記載のデバイス。
(付記12)平面視において、前記電極は十字状であり、前記歪検出素子は四角形であり、
複数の前記歪検出素子がマトリックス状に配置され、前記電極が、互いに隣接する4つの前記歪検出素子の間に配置される、付記1~8のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記13)前記電極は、前記歪検出素子とそれを覆うように設けた複数の導電性繊維を有してなり、
前記電極は、少なくとも3つが一方向に配列され、該少なくとも3つの電極のうちの2つの電極の前記複数の導電性繊維に電気信号を供給して前記測定部に刺激を与え、該2つ電極の間の他の電極の歪検出素子により該刺激に対する測定部の歪みを検出可能である、付記1~5のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記14)前記シート体上に設けられた、前記電極に電気信号を供給する第1の配線部およびその入力端をさらに備え、
前記第1の配線部は、前記シート体の面上において、前記電極と入力端とを結ぶ方向に対してその横方向に繰り返し蛇行する第1の配線膜を有する、付記1~13のうちいずれか一項記載のデバイス。
(付記15)前記シート体上に設けられた、前記歪検出素子の信号を伝送する第2の配線部およびその出力端をさらに備え、
前記第2の配線部は、前記シート体の面上において、前記歪検出素子と出力端とを結ぶ方向に対してその横方向に繰り返し蛇行する第2の配線膜を有する、付記1~14のうち記載のデバイス。
(付記16)付記1~15のうちのいずれか一項記載のデバイスと、
前記電極に電気信号を供給し、被検者の測定部に刺激を与えることが可能な電気信号供給部と、
前記歪検出素子の歪みを検出する検出部と、
前記電気信号供給部を制御する制御部と、
前記検出部からの歪みを表す信号を解析する解析部と、
を備える、計測システム。
(付記17)前記電気信号供給部と前記電極との間に、前記電気信号供給部と前記電極との接続を前記制御部からの第1の切換信号により切り換える第1の切換手段と、
前記歪検出素子と前記検出部との間に、前記歪検出素子と前記検出部との接続を前記制御部からの第2の切換信号により切り換える第2の切換手段と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の切換手段および前記第2の切換手段を制御して、測定に用いる前記複数の電極および歪検出素子を選択的に切り換える、付記16記載の計測システム。
【符号の説明】
【0081】
10,30,40~42,50,60,70,80,90,100,
130,145 デバイス
11 シート体
12,52,62~64,72i,j,82,821~824,92,
102~104,1421~1426 電極
13,131~136 歪検出素子
15 導電性繊維
18 フレキシブル基板
19 歪検出膜
20,22 電極
21 導電性ペースト
130,140 計測システム
131 電気信号供給部
132 歪み信号検出部
133 制御部
134 信号解析部
141 電極切換部
143 歪検出素子切換部

図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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