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明細書 :多波長光照射装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年3月5日(2020.3.5)
発明の名称または考案の名称 多波長光照射装置
国際特許分類 G01J   3/10        (2006.01)
G01N  21/01        (2006.01)
G01N  21/03        (2006.01)
FI G01J 3/10
G01N 21/01 D
G01N 21/03 Z
国際予備審査の請求
全頁数 24
出願番号 特願2019-511287 (P2019-511287)
国際出願番号 PCT/JP2018/014454
国際公開番号 WO2018/186448
国際出願日 平成30年4月4日(2018.4.4)
国際公開日 平成30年10月11日(2018.10.11)
優先権出願番号 2017074637
優先日 平成29年4月4日(2017.4.4)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】広瀬 侑
出願人 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000648、【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G020
2G057
2G059
Fターム 2G020AA04
2G020CB26
2G020CB32
2G020CC02
2G020CD03
2G057AB01
2G057AC01
2G057BA03
2G057DA04
2G057DB02
2G057DB03
2G057EA06
2G059AA05
2G059BB14
2G059DD13
2G059DD17
2G059EE11
2G059HH02
2G059JJ05
2G059JJ17
2G059JJ25
2G059LL04
要約 低コストにて、小型の多波長光照射装置。多波長光照射装置(1)は、連続光(Lc)を放射する光源(11)と、連続光(Lc)を互いに波長の異なる多数の単色光(Lm)に分光して出射する分光部(2)と、分光部(2)から出射した各単色光(Lm)を個別に入射端(21)から導入して出射端(22)から単色照射光として出射する多数の光導波路(2)と、各光導波路(2)の出射端(22)にそれぞれ対向して多数の試料を配置する試料配置部(3)と、を有する。互いに波長の異なる多数の単色照射光のそれぞれを、多数の試料のそれぞれに対して、同時に照射することができるよう構成されている。
特許請求の範囲 【請求項1】
連続光を放射する光源と、
上記連続光を互いに波長の異なる多数の単色光に分光して出射する分光部と、
上記分光部から出射した各単色光を個別に入射端から導入して出射端から単色照射光として出射する多数の光導波路と、
上記各光導波路の上記出射端にそれぞれ対向して多数の試料を配置する試料配置部と、を有し、
互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、上記試料配置部に配置された多数の試料のそれぞれに対して、同時に照射することができるよう構成された、多波長光照射装置。
【請求項2】
上記単色照射光は、半値幅が20nm以下である、請求項1に記載の多波長光照射装置。
【請求項3】
多数の上記単色照射光は、ピーク波長の間隔が、20nm以下である、請求項1又は2に記載の多波長光照射装置。
【請求項4】
上記光源は、可視光域の少なくとも一部を含む連続光を放射するよう構成されており、多数の上記単色照射光のうちの少なくとも一部は、可視光域の単色光である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項5】
上記光源は、可視光域の全体を含む連続光を放射するよう構成されている、請求項4に記載の多波長光照射装置。
【請求項6】
上記試料配置部は、上記各光導波路の上記出射端にそれぞれ対向して配された多数のウェルを備え、互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、多数の上記ウェルのそれぞれに配置された試料に対して、同時に照射することができるよう構成された、請求項1~5のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項7】
上記光導波路の上記出射端と上記ウェルとの間に、上記単色照射光の光強度を調整する調整フィルタが、介設されている、請求項6に記載の多波長光照射装置。
【請求項8】
多数の上記光導波路における上記出射端の近傍を保持すると共に上記出射端と上記ウェルとの位置決めを行う位置決め部材をさらに有する、請求項6又は7に記載の多波長光照射装置。
【請求項9】
上記位置決め部材は、複数の上記出射端から出射した複数の上記単色照射光同士が、互いに混ざらないようにするための遮光部を備えている、請求項8に記載の多波長光照射装置。
【請求項10】
上記試料配置部は、上記各ウェルに照射された上記単色照射光が他の上記ウェルへ漏れないよう構成されている、請求項6~9のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項11】
上記試料配置部は、上記ウェル内の試料の温度を調整するための温調部を備えている、請求項6~10のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項12】
上記単色照射光の光強度は、0.1~150μmols-1-2である、請求項1~11のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項13】
多数の上記光導波路は、上記入射端が一直線状に一列に配列し、上記出射端が複数列に配列するように配設されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
【請求項14】
上記光導波路は、光ファイバーによって構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の多波長光照射装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の単色照射光のそれぞれを、多数の試料に対して同時に照射することができるよう構成された、多波長光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光照射によって生物の生理現象を制御するオプトジェネティクス(光遺伝学)と呼ばれる研究がなされている。この研究の中で、光に対する生物の生理応答の波長依存性を調べる研究が行われる。すなわち、様々な波長の光を生物に照射して、それに対する生理応答を定量する解析手法(作用スペクトル解析)がある。作用スペクトル解析に用いる光照射装置としては、例えば、下記非特許文献1にも紹介されているような、基礎生物学研究所の大型スペクトログラフがある。すなわち、この大型スペクトログラフは、白色光源の白色光を、互いに異なる多数の単色光に分光して、各単色光を生物等の試料に同時に照射することができる。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】渡辺正勝著 2001年、「作用スペクトルの測定法と大型スペクトログラフ」(「細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ16 植物の光センシング」pp.171-175)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記大型スペクトログラフは、約10m規模の大型設備であり、サイズ的にもコスト的にも、各研究室に容易に導入できるものではない。また、例えば生物の細胞等、ごく微細、少量の試料にて解析を行うには、必ずしも適切な装置であるとは言えない。
また、LED(発光ダイオード)を用いて、多数の単色光をそれぞれ試料に照射する手法も考えられるが、波長分解能の観点で限界があり、上述の作用スペクトル解析において詳細な研究を充分に行うことが困難である。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低コストにて、小型の多波長光照射装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、連続光を放射する光源と、
上記連続光を互いに波長の異なる多数の単色光に分光して出射する分光部と、
上記分光部から出射した各単色光を個別に入射端から導入して出射端から単色照射光として出射する多数の光導波路と、
上記各光導波路の上記出射端にそれぞれ対向して多数の試料を配置する試料配置部と、を有し、
互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、上記試料配置部に配置された多数の試料のそれぞれに対して、同時に照射することができるよう構成された、多波長光照射装置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記多波長光照射装置は、上記光源と、上記分光部と、上記多数の光導波路と、上記試料配置部とを有する。これにより、分光部にて分光された多数の単色光を、多数の光導波路によって、それぞれ試料配置部に配置された多数の試料へ個別に導いて、単色照射光として照射することができる。そのため、特に大型の設備を用いることなく、多数の単色照射光のそれぞれを多数の試料に同時に照射する装置を、低コストにて実現することができる。
また、光源として連続光を放射するものを用い、その連続光を分光部にて分光するため、単色照射光の光強度を維持しつつその波長分解能を高くしやすい。
【0008】
以上のように、上記態様によれば、低コストにて、小型の多波長光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1における、多波長光照射装置の平面説明図。
【図2】実施形態1における、多波長光照射装置の側面説明図。
【図3】実施形態1における、多数の光ファイバーの入射端の斜視説明図。
【図4】実施形態1における、試料配置部の斜視図。
【図5】実施形態1における、試料配置部の平面図。
【図6】実施形態1における、図5のVI-VI線矢視断面相当の、試料配置部周辺の断面図。
【図7】実施形態1における、試料配置部のウェル周辺の断面図。
【図8】実施形態1における、複数の単色照射光の波長特性の線図。
【図9】実施形態2における、温調部を備えた試料配置部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記多波長光照射装置は、上述のように、互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、多数の試料に対して、同時に照射することができるよう構成されている。ここで、「多数の上記単色照射光」等における多数とは、特に限定されるものではないが、例えば、5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上を意味する。また、本明細書において、「単色光」、「単色照射光」は、完全な単一波長の光を意味するものではないが、充分に狭い波長幅の光を意味する。

【0011】
また、「同時に照射することができるよう構成され」とは、必ずしも照射の開始時点及び終了時点を、完全に一致させることができることを必要とするものではなく、例えば0.1秒程度のずれが生じる場合であってもよい。もちろん、敢えて照射時間をずらすような使用方法をも可能とするものであってもよい。

【0012】
また、上記出射端に対向して配置される試料は、光ファイバーの出射端の軸方向に対して試料の表面が直交するように対向配置される場合に限られるものではない。つまり、出射端から出射した単色照射光が試料に照射される態様であれば、特に対向配置の状態は限定されるものではない。例えば、光ファイバーの出射端の軸方向が、試料の表面に対して斜めになっていてもよい。

【0013】
また、上記光導波路としては、光ファイバーによって構成することが好ましいが、例えば、可撓性を有するシート状の光導波路を用いることも可能である。ただし、上記光導波路を光ファイバーによって構成することにより、容易かつ確実に、多波長光照射装置を得ることができる。また、多波長光照射装置の一層の小型化を実現することができる。

【0014】
上記試料配置部は、上記各光導波路の上記出射端にそれぞれ対向して配された多数のウェルを備え、上記多波長光照射装置は、互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、多数の上記ウェルのそれぞれに配置された試料に対して、同時に照射することができるよう構成されている。この場合には、多数の試料を、容易に精度よく配列することができ、より高精度の解析を容易に行うことができる。

【0015】
なお、これにより、上記多波長光照射装置は、次のような態様とすることができる。
すなわち、連続光を放射する光源と、
上記連続光を互いに波長の異なる多数の単色光に分光して出射する分光部と、
上記分光部から出射した各単色光を個別に入射端から導入して出射端から単色照射光として出射する多数の光ファイバーと、
上記各光ファイバーの上記出射端にそれぞれ対向して配された多数のウェルを備えた試料配置部と、を有し、
互いに波長の異なる多数の上記単色照射光のそれぞれを、多数の上記ウェルのそれぞれに配置された試料に対して、同時に照射することができるよう構成された、多波長光照射装置とすることができる。

【0016】
上記単色照射光は、半値幅が20nm以下であることが好ましい。この場合には、波長純度、波長分解能を高くすることができ、細かく波長分解された多数の単色照射光を高純度にて得ることができる。これにより、上記多波長光照射装置を用いて、例えば、上述の作用スペクトル解析を、より効果的に行うことができる。
より好ましくは、上記単色照射光の半値幅を10nm以下とし、さらに好ましくは、上記単色照射光の半値幅を5nm以下とする。

【0017】
また、多数の上記単色照射光は、ピーク波長の間隔が、20nm以下であることが好ましい。この場合には、細かく波長分解された多数の単色照射光を効率的に得ることができる。これにより、上記多波長光照射装置を用いて、例えば、上述の作用スペクトル解析を、より効果的に行うことができる。
より好ましくは、上記単色照射光のピーク波長の間隔を10nm以下とし、さらに好ましくは、上記単色照射光のピーク波長の間隔を5nm以下とする。

【0018】
また、上記光源は、可視光域の少なくとも一部を含む連続光を放射するよう構成されており、多数の上記単色照射光のうちの少なくとも一部は、可視光域の単色光であることが好ましい。この場合には、例えば、上述のオプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析等に、多波長光照射装置を好適に用いることができる。

【0019】
また、上記光源は、可視光域の全体を含む連続光を放射するよう構成されているものとすることができる。この場合には、例えば、上述のオプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析等に、多波長光照射装置を一層好適に用いることができる。

【0020】
また、上記光導波路の出射端と上記ウェルとの間に、上記単色照射光の光強度を調整する調整フィルタが、介設されていることが好ましい。この場合には、多数の試料に照射する単色照射光の光強度を調整することができる。これにより、光強度自体、若しくは単に時間当たりのエネルギー等、波長以外の光照射の条件を、試料間において揃えるなどの調整を行うことができる。

【0021】
また、多数の上記光導波路における上記出射端の近傍を保持すると共に上記出射端と上記ウェルとの位置決めを行う位置決め部材をさらに有することが好ましい。この場合には、各単色照射光を、試料配置部の多数のウェルにおける各試料に対して、正確に照射することを容易にすることができる。

【0022】
また、上記位置決め部材は、複数の上記出射端から出射した複数の上記単色照射光同士が、互いに混ざらないようにするための遮光部を備えていることが好ましい。この場合には、一つのウェルに配置された試料に対して、確実に、一つの単色照射光を照射することができる。

【0023】
また、上記試料配置部は、上記各ウェルに照射された上記単色照射光が他の上記ウェルへ漏れないよう構成されていることが好ましい。この場合には、各ウェルに照射された単色照射光が、異なるウェルに配置された試料に影響を与えることを確実に防ぐことができる。

【0024】
また、多数の上記光導波路は、上記入射端が一直線状に一列に配列し、上記出射端が複数列に配列するように配設されていることが好ましい。この場合には、上記分光部において分光された各単色光を、容易に各光導波路に入射させることができると共に、単色照射光が、複数列の配列となって出射するようにすることができる。これにより、試料配置部の多数のウェルを、複数列に配置することができる。

【0025】
また、上記試料配置部は、上記ウェル内の試料の温度を調整するための温調部を備えていることが好ましい。この場合には、試料の温度を調整しながら、単色照射光の照射を行うことができる。

【0026】
また、上記単色照射光の光強度は、0.1~150μmols-1-2(すなわち、0.1~150μEs-1-2)であることが好ましい。この場合には、充分な光強度にて、各試料に単色照射光を照射することができる。

【0027】
(実施形態1)
多波長光照射装置の実施形態につき、図1~図8を参照して、説明する。
本実施形態の多波長光照射装置1は、図1、図2に示すごとく、光源11と、分光部12と、多数の光ファイバー2と、試料配置部3と、を有する。

【0028】
光源11は、連続光Lcを放射する。分光部12は、連続光Lcを互いに波長の異なる多数の単色光Lmに分光して出射する。光ファイバー2は、分光部12から出射した各単色光Lmを個別に入射端21から導入して出射端22から単色照射光Liとして出射する。

【0029】
試料配置部3は、図4~図7に示すごとく、各光ファイバー2の出射端22にそれぞれ対向して配された多数のウェル31を備えている。
多波長光照射装置1は、互いに波長の異なる多数の単色照射光Liのそれぞれを、多数のウェル31のそれぞれに配置された試料sに対して、同時に照射することができるよう構成されている。

【0030】
光源11は、可視光域の少なくとも一部を含む連続光Lcを放射する。特に、本実施形態においては、可視光域の全体を含む連続光Lcを放射する。この連続光Lcとしては、例えば、300~800nmの波長域にわたる連続スペクトルとすることができる。また、光源11としては、キセノンランプを用いている。ただし、光源11としては、キセノンランプに限られるものではなく、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ等を用いることもできる。

【0031】
分光部12は、図示を省略するが、例えば、回折格子、コリメートミラー等を用いて構成することができる。そして、連続光Lcは、分光部12において分光され、分光部12から、多数の単色光Lmが、図1、図3に示すごとく、一直線状に広がるように出射する。そして、各単色光Lmは、一直線状に並んで配置された多数の光ファイバー2の入射端21へ向かう。本実施形態においては、分光部12は、互いに波長の異なる96種類の単色光Lmに分光して、出射する。すなわち、例えば、波長300nmの単色光Lmから、波長800nmの単色光Lmまで、少しずつ波長がずれた96種類の単色光Lmが、出射端22から出射する。

【0032】
これに対応して、光ファイバー2は、96本配置されており、96本の光ファイバー2の入射端21が、分光部12に対向して、一直線状に配置されている。
図1、図2に示すごとく、多波長光照射装置1は、光源11と分光部12とを一つの筐体内に配設した本体部10を備えている。この本体部10に、96本の光ファイバー2が入射端21側において接続されている。

【0033】
多数の光ファイバー2の出射端22側には、試料配置部3が設けてある。試料配置部3は、本体部10とは別体の筐体内に配設されている。すなわち、本実施形態においては、多波長光照射装置1は、光源11と分光部12とを備えた本体部10と、試料配置部3を備えた試料部30と、両者を繋ぐ多数の光ファイバー2とからなる。

【0034】
多数の光ファイバー2は、上述のように、入射端21が一直線状に一列に配列している。その一方で、多数の光ファイバー2は、出射端22が複数列に配列するように配設されている。図6に示すように出射端22が対向する試料配置部3における多数のウェル31は、図5に示すごとく、複数列に配列している。この配列に対応して、多数の光ファイバー2は、出射端22が複数列に配列するようにしてある。

【0035】
試料配置部3は、図5に示すごとく、横に12個並んだウェル31の列が、縦に8列並ぶ配列を備える。試料配置部3は、図4~図6に示すごとく、トレー状の部材からなり、そこに、多数の凹部が、ウェル31として形成されている。図4~図7に示すごとく、多数のウェル31は、同じ大きさの同じ形状としてあり、各ウェル31の形状は、略円柱形状である。

【0036】
試料配置部3は、各ウェル31に照射された単色照射光Liが他のウェル31へ漏れないよう構成されている。具体的には、試料配置部3は黒色の樹脂成形体によって構成されている。そして、単色照射光Liが、ウェル31間において、透過しないよう構成されている。

【0037】
図6、図7に示すごとく、各ウェル31に対して、その開口側(上方)から、光ファイバー2の出射端22が対向している。試料配置部3には、位置決め部材4が取り付けられている。位置決め部材4は、多数の光ファイバー2における出射端22の近傍を保持すると共に出射端22とウェル31との位置決めを行う。

【0038】
位置決め部材4は、試料配置部3の上側に配置されて固定されている。位置決め部材4は、試料配置部3における多数のウェル31に対応して、光ファイバー2を挿通させて保持する挿通保持部41を有する。挿通保持部41は、ゴム等の弾性部材によって構成されており、光ファイバー2の出射端22の近傍における外周面に密着している。また、挿通保持部41は、位置決め部材4の本体部に設けた開口孔42の内周面に密着している。

【0039】
このようにして、位置決め部材4によって、各光ファイバー2の出射端22が、試料配置部3の各ウェル31に対して、その広がり方向(水平方向)と開口方向(鉛直方向)において、位置決めされている。なお、位置決め部材4に対して、光ファイバー2は着脱可能に保持されている。これにより、多数の光ファイバー2を、試料配置部3の多数のウェル31に対して、並べ替えることができるよう構成されている。また、光ファイバー2の出射端22の近傍の一部における外周には、ステンレス鋼からなる金属管23が設けてある。光ファイバー2は、出射端22側が金属管23から突出しており、この突出した部分が、挿通保持部41に保持されている。

【0040】
また、光ファイバー2の出射端22とウェル31との間に、単色照射光Liの光強度を調整する調整フィルタ51が、介設されている。調整フィルタ51は、例えば、ND(Neutral Density)フィルタであり、波長に影響を与えることなく、透過光の光強度を所定割合減少させるフィルタである。

【0041】
調整フィルタ51は、フィルタ取付板52における開口部521に取り付けられている。フィルタ取付板52は、試料配置部3の多数のウェル31に対応して多数の開口部521を形成してなる。フィルタ取付板52は、試料配置部3と位置決め部材4との間に挟持された状態で配設されている。

【0042】
調整フィルタ51は、フィルタ取付板52の開口部521を塞ぐように貼り付けられる。また、調整フィルタ51は、フィルタ取付板52に着脱可能に取り付けられている。また、調整フィルタ51は、各開口部521ごとに、個別に取り付けることができるよう構成されている。すなわち、多数の光ファイバー2の出射端22ごとに、調整フィルタ51を配置することができるよう構成されている。

【0043】
そして、出射端22から出射する各単色照射光Liの光強度を、各調整フィルタ51によって個別に調整する。つまり、調整フィルタ51を透過する前において、光強度の高い単色照射光Liに対しては、減光率の大きい調整フィルタ51を配置し、光強度の低い単色照射光Liに対しては、減光率の小さい調整フィルタ51を配置する。場合によっては、出射端22に対して調整フィルタ51を対向配置させない光ファイバー2があってもよい。

【0044】
このようにして、調整フィルタ51(若しくは開口部521)を透過(若しくは通過)した後の単色照射光Li、すなわち、試料sに照射される単色照射光Liの光強度を調整する。ここで、単色照射光Liの光強度とは、単位時間あたりの光子数を意味する。また、単色照射光Liの光強度は、特に示さない限り、試料sに照射される光強度を意味する。すなわち、特に示さない限り、単色照射光Liが調整フィルタ51を透過する場合、透過後の光強度を、単色照射光Liの光強度というものとする。

【0045】
試料sに照射される単色照射光Liの光強度を調整することにより、多数のウェル31内の試料sに対して照射される単色照射光Liが、光強度自体において同等となるようにしてもよいし、単位時間あたりのエネルギーなど、他の指標において同等となるようにしてもよい。これは、多波長光照射装置1を用いて行う実験の趣旨に応じて決められる。

【0046】
また、位置決め部材4は、複数の出射端22から出射した複数の単色照射光Li同士が、互いに混ざらないようにするための遮光部43を備えている。すなわち、光ファイバー2の出射端22の外周側に、遮光部43が設けてある。遮光部43によって囲まれた空間に、光ファイバー2の出射端22が配置される。遮光部43の下端は、フィルタ取付板52の上面に当接される。なお、フィルタ取付板52の下面は、試料配置部3における隔壁32の上端に当接している。また、試料配置部3と同様に、遮光部43を含めた位置決め部材4、及び、フィルタ取付板52は、黒色の部材にて構成され、単色照射光Liが透過しないよう構成されている。

【0047】
かかる構成によって、光ファイバー2の出射端22から出射した単色照射光Liが、隣接する出射端22から出射した単色照射光Liと混ざらないようにしてある。したがって、各出射端22から出射した単色照射光Liは、当該出射端22が対向するウェル31にのみ照射され、他のウェル31には漏れないようにしてある。

【0048】
図8は、多数の単色照射光Liのうちの一部の波長特性を示す線図である。ここでは、96個の単色照射光Liのうち、3個の単色照射光Li(k)、Li(k+1)、Li(k+2)の波長特性のみを示す。同図において、符号Li(k)、Li(k+1)、Li(k+2)をそれぞれ付した各曲線が、それぞれの単色照射光Li(k)、Li(k+1)、Li(k+2)の波長特性を示す。ただし、これらの曲線は、説明のための概略図である。ここで、Li(k)とは、分光された96個の単色照射光Liのうち、最も短波長のものからk番目の単色照射光Liを意味する。kは、1~94の自然数である。また、図8のグラフは、横軸が波長を示し、縦軸が光強度を示す。縦軸の光強度は、単色照射光Liの光強度のピークを100%として、その百分率にて示している。

【0049】
図8に示すごとく、各単色照射光Liは、半値幅aが20nm以下である。また、多数の単色照射光Liは、ピーク波長の間隔bが、20nm以下である。本実施形態においては、半値幅aは、5nm以下、より具体的には約2nmであり、ピーク波長の間隔bは、10nm以下、より具体的には約5nmである。
また、各単色照射光Liの最大波長幅cは、例えば30nm以下であることが好ましく、本実施形態においては、約4nmである。
複数の単色照射光Liは、同じ波長を含まないように、最大波長幅cとピーク波長の間隔bとが、b>cとなるように設定されている。
また、試料sに照射される単色照射光Liの光強度は、0.1~150μmols-1-2である。複数の単色照射光Liの光強度は、互いに略同等である。すなわち、単色照射光Liの光強度は、上記の範囲内における所定値に適宜設定し、複数の単色照射光Liの間で、光強度が互いに略同等となるようにする。

【0050】
多波長光照射装置1を使用するにあたっては、例えば、試料配置部3の多数のウェル31のそれぞれに、同じ試料sを同量配置する。そして、各試料sに対して、各光ファイバー2から、互いに波長の異なる単色照射光Liを、同時に照射する。照射する単色照射光Liの波長以外は、同じ条件としたうえで、単色照射光Liを照射できるようにしてある。

【0051】
多波長光照射装置1は、例えば、オプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析に用いることができる。この場合、例えば、試料sとして、生物の細胞を試料配置部3の各ウェル31に配置する。そして、上述のように、各ウェル31の試料sに、異なる波長の単色照射光Liをそれぞれ同時に照射して、各細胞の生体反応を観察する。これにより、光に対する細胞の生理応答の波長依存性を調べる。

【0052】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
上記多波長光照射装置1は、光源11と、分光部12と、多数の光ファイバー2と、試料配置部3とを有する。これにより、分光部12にて分光された多数の単色光Lmを、多数の光ファイバー2によって、それぞれ試料配置部3の多数のウェル31へ個別に導いて、単色照射光Liとして照射することができる。そのため、特に大型の設備を用いることなく、多数の単色照射光Liのそれぞれを多数の試料sに同時に照射する装置を、低コストにて実現することができる。
また、光源11として連続光Lcを放射するものを用い、その連続光Lcを分光部12にて分光するため、単色照射光Liの波長分解能を高くしやすい。

【0053】
また、単色照射光Liは、半値幅aが20nm以下であり、特に本実施形態においては、半値幅aが5nm以下である。これにより、波長純度、波長分解能を高くすることができ、細かく波長分解された多数の単色照射光Liを、高純度にて得ることができる。これにより、多波長光照射装置1を用いて、例えば、上述の作用スペクトル解析を、より効果的に行うことができる。

【0054】
また、多数の単色照射光Liは、ピーク波長の間隔が、20nm以下である。これにより、細かく波長分解された多数の単色照射光Liを効率的に得ることができる。これにより、多波長光照射装置1を用いて、例えば、上述の作用スペクトル解析を、より効果的に行うことができる。

【0055】
また、光源11は、可視光域の全体を含む連続光Lcを放射する。そして、多数の単色照射光Liのうちの少なくとも一部は、可視光域の単色光である。これにより、上述のオプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析に、多波長光照射装置1を好適に用いることができる。

【0056】
また、光ファイバー2の出射端22とウェル31との間に、調整フィルタ51が介設されている。それゆえ、多数の試料sに照射する単色照射光Liの光強度を調整することができる。これにより、光強度自体、もしくは単位時間あたりのエネルギー等、波長以外の光照射の条件を、試料s間において揃えるなどの調整を行うことができる。

【0057】
また、多波長光照射装置1は、位置決め部材4を有する。これにより、各単色照射光Liを、試料配置部3の多数のウェル31における各試料sに対して、正確に照射することを容易にすることができる。

【0058】
また、位置決め部材4は、遮光部43を備えている。これにより、一つのウェル31に配置された試料sに対して、確実に、一つの単色照射光Liを照射することができる。
また、試料配置部3は、各ウェル31に照射された単色照射光Liが他のウェルへ漏れないよう構成されている。これにより、各ウェル31に照射された単色照射光Liが、異なるウェル31に配置された試料に影響を与えることを確実に防ぐことができる。

【0059】
また、多数の光ファイバー2は、入射端21が一直線状に一列に配列し、出射端22が複数列に配列するように配設されている。これにより、分光部12において分光された各単色光Lmを、容易に各光ファイバー2に入射させることができると共に、単色照射光Liを、複数列の配列となるように出射することができる。これにより、試料配置部3の多数のウェル31を、図5に示すごとく、複数列に配置することができる。

【0060】
また、単色照射光Liの光強度は、0.1~150μmols-1-2である。これにより、充分な光強度にて、各試料sに単色照射光Liを照射することができる。

【0061】
以上のように、上記態様によれば、低コストにて、小型の多波長光照射装置を提供することができる。

【0062】
(実施形態2)
本実施形態の多波長光照射装置1においては、図9に示すごとく、試料配置部3が、ウェル31内の試料sの温度を調整するための温調部33を備えている。
温調部33は、試料配置部3の下側に配置されている。そして、多数のウェル31内の試料sを均等に温度調節することができるよう構成されている。温調部33は、例えば、電熱ヒーター、ペルチェ素子等を備えたものとすることができる。

【0063】
その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。

【0064】
本実施形態においては、試料sの温度を調整しながら、単色照射光Liの照射を行うことができる。例えば、多波長光照射装置1を用いて、オプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析を行う場合等、すべての試料sを同じ温度条件とする必要がある場合に、有効となる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。

【0065】
(実施形態3)
本実施形態は、温調部として、所定温度に保つことができる収容空間を備えたものを用いて、試料配置部3に配置された試料の温度調整を行う形態である。
すなわち、収容空間内に、多数の試料を配置した試料配置部3を収容する。収容空間内は、外気と離隔されており、外気温の影響を抑制できる断熱構造となっている。そして、収容空間内を、ペルチェ素子等の温調手段によって、所定の温度に調整する。

【0066】
光源11や分光部12等は、収容空間の外部に配され、試料は収容空間内に配される。そのため、光ファイバー2は、収容空間の内外を貫通するように配設される。このとき、収容空間における光ファイバー2の貫通部を介して外気と収容空間内との間の熱の移動を防ぐように、貫通部においても断熱する。このような構成において、収容空間内を所定の温度に保ちつつ、光ファイバー2を介して、収容空間内の試料に光照射を行う。

【0067】
上記のような収容空間を備えた温調部として、例えば、インキュベーターを用いることができる。インキュベーターとしては、例えば、コンパクトクールインキュベーターICI1(アズワン社製)がある。

【0068】
このインキュベーターは、ペルチェ素子を用いて、収容空間内の温度を調整するクールインキュベーターである。収容空間内には小型ファンが設けられ、庫内の空気を循環させることができる、強制対流方式が採用されている。また、このインキュベーターは、PID制御にて温度調整を行うよう構成されている。これにより、高い温度調節精度にて、試料の温度調整を行うことができる。

【0069】
インキュベーターを、多波長光照射装置に利用するにあたって、上述のように光ファイバー2を収容空間の内外に貫通させる構成として、以下のような構成が考えられる。すなわち、インキュベーターの収容空間の上面に開口部を設ける。この開口部を発泡樹脂のシートと、ゴムシートとの積層体にて覆う。この積層体には、多数の光ファイバーを貫通させる穴が開いており、その穴を多数の光ファイバー2が貫通している。これにより、インキュベーターの収容空間における断熱を確保しつつ、光ファイバー2の先端部を、インキュベーターの収容空間に配置することができる。

【0070】
実際に、上記のコンパクトクールインキュベーターICI1を用いて、実施形態1において示したように、試料を配置した試料配置部3を、収容空間に配置した状態で、温度調整を行った。すなわち、この状態で、設定温度を、それぞれ、26℃又は37℃として、3時間放置し、収容空間の温度を1時間ごとに測定した。
その結果、上記いずれの温度設定においても、収容空間の温度(すなわち各試料の温度)は、設定温度±0.2℃の範囲内にて維持されていることが確認できた。
なお、試料を配置せずに、12℃又は45℃の温度設定での収容空間の温度を測定した。その結果、設定温度±0.2℃の範囲内にて、維持されていることが確認できた。

【0071】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、上記実施形態においては、多波長光照射装置1にて得る、互いに異なる波長の単色照射光Liの数を96としたものを示したが、単色照射光Liの数は、これに限られるものではない。

【0072】
また、多波長光照射装置の用途としては、必ずしも、上述のオプトジェネティクスにおける作用スペクトル解析に限られるものではない。また、単色照射光の照射対象の試料としては、生物の細胞以外にも、例えば、照射光領域に吸収を持つ化学物質等や、光照射への安定性を評価したい材料等とすることもできる。そして、これらに光照射したときの反応の、波長依存性を調べることも想定できる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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