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明細書 :気泡形成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年6月18日(2020.6.18)
発明の名称または考案の名称 気泡形成装置
国際特許分類 B01F   3/04        (2006.01)
B01F   5/00        (2006.01)
FI B01F 3/04 Z
B01F 3/04 A
B01F 5/00 D
国際予備審査の請求
全頁数 24
出願番号 特願2019-523436 (P2019-523436)
国際出願番号 PCT/JP2018/019795
国際公開番号 WO2018/225510
国際出願日 平成30年5月23日(2018.5.23)
国際公開日 平成30年12月13日(2018.12.13)
優先権出願番号 2017112245
優先日 平成29年6月7日(2017.6.7)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】五島 崇
【氏名】高倉 蓮
【氏名】深谷 天
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100146916、【弁理士】、【氏名又は名称】廣石 雅紀
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
審査請求 未請求
テーマコード 4G035
Fターム 4G035AB06
4G035AB08
4G035AC01
4G035AE02
4G035AE13
要約 吐出部(100)は、液体とその液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体(FL)を吐出する。吐出部(100)によって吐出される気液混合流体(FL)は、両端が開口した管状をなす気泡微細化用管状体(200)に導入される。吐出部(100)から気液混合流体(FL)が吐出される圧力によって、気泡微細化用管状体(200)の内圧が、気泡が液体に溶解する程度に高められ、高められた内圧による気泡の液体への溶解が、気液混合流体(FL)が気泡微細化用管状体(200)を流れる期間にわたって進行する。これにより、気液混合流体(FL)に含まれる気泡が、気泡微細化用管状体(200)において微細化される。
特許請求の範囲 【請求項1】
液体と前記液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体を形成すると共に、形成した前記気液混合流体を吐出する吐出部と、
両端が開口した管状をなしており、前記吐出部によって吐出される前記気液混合流体が一端から導入されると共に、導入された前記気液混合流体を他端へ案内する気泡微細化用管状体と、を備え、
前記吐出部から前記気液混合流体が吐出される圧力によって、前記気泡微細化用管状体の内圧が、前記気泡が前記液体に溶解する程度に高められ、高められた前記内圧による前記気泡の前記液体への溶解が、前記気液混合流体が前記気泡微細化用管状体を流れる期間にわたって進行することにより、前記気液混合流体に含まれる前記気泡が、前記気泡微細化用管状体において微細化される、
気泡形成装置。
【請求項2】
前記気泡微細化用管状体が、
前記気泡微細化用管状体における前記気液混合流体が流れる部分の断面積をX、前記気液混合流体の流路に沿う前記気泡微細化用管状体の経路長をYとしたとき、Y/Xで定義される長尺度が250[1/mm]以上である形状をなしている、
請求項1に記載の気泡形成装置。
【請求項3】
前記気泡微細化用管状体が、
前記気泡微細化用管状体の内部において、前記気液混合流体にディーン渦を形成させる遠心力が前記気液混合流体に作用するように、湾曲した形状をなしている、
請求項1又は2に記載の気泡形成装置。
【請求項4】
前記気泡微細化用管状体が、コイル状に複数回巻かれた形状をなしている、
請求項3に記載の気泡形成装置。
【請求項5】
前記吐出部が、大気圧より高く0.3MPa以下の値に前記内圧が高められる条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入することにより、前記気泡微細化用管状体において、前記気泡の平均直径が、1/5以下に微細化される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項6】
前記気泡微細化用管状体を複数本備え、
前記吐出部から吐出される前記気液混合流体が、複数本の前記気泡微細化用管状体を並列に流れるように、前記吐出部に複数本の前記気泡微細化用管状体が接続されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項7】
前記吐出部が、
前記気液混合流体を構成する前記液体と、前記気液混合流体の前記気泡を構成する気体との流量を、各々独立に調整することができる構成を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項8】
前記気泡微細化用管状体を介して前記気液混合流体の温度を調整する温度調整手段、
をさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項9】
液体と前記液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体を形成する事前工程と、
前記事前工程において形成された前記気液混合流体を、両端が開口した管状をなす気泡微細化用管状体に通す気泡微細化工程と、を含み、
前記気泡微細化工程では、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入する圧力によって、前記気泡微細化用管状体の内圧を、前記気泡が前記液体に溶解する程度に高め、高められた前記内圧による前記気泡の前記液体への溶解を、前記気液混合流体が前記気泡微細化用管状体を流れる期間にわたって進行させることにより、前記気液混合流体に含まれる前記気泡を、前記気泡微細化用管状体において微細化させる、
気泡形成方法。
【請求項10】
前記気泡微細化工程では、
大気圧より高く0.3MPa以下の値に前記内圧が高められる条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入することにより、前記気泡微細化用管状体において、前記気泡の平均直径を、1/5以下に微細化させる、
請求項9に記載の気泡形成方法。
【請求項11】
前記気泡微細化工程では、
前記気泡微細化用管状体の内部に、レイノルズ数が3000以上の、前記気液混合流体の流れが形成される条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入する、
請求項9又は10に記載の気泡形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡形成装置及び気泡形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、タンクを用いて、液体中に気泡が分散した気液混合流体を得る気泡形成装置が開示されている。この装置では、まず、気体と液体とをタンク内で加圧することにより、タンク内で気体を液体に溶解させる。次に、タンク内の圧力を大気圧へと高めることにより、液体に溶解していた気体を液体中に気泡として出現させる。
【0003】
特許文献2には、多孔質部材を用いて、液体中に気泡が分散した気液混合流体を得る気泡形成装置が開示されている。この装置は、多孔質部材を通して気体を液体中に噴出させることにより、液体中に気泡が分散した気液混合流体を形成し、形成した気液混合流体を管状の放出部を通して外部に放出する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平11-207162号公報
【特許文献2】特開2003-265939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の気泡形成装置は、圧力調整弁を用いて、タンクの加圧と大気圧への解放とを交互に繰り返し、タンク内の圧力が大気圧へと高められる際に、タンクから気液混合流体を放出する。このため、タンクを加圧する期間は、気液混合流体の放出が中断され、気液混合流体を連続的に得ることができない。
【0006】
特許文献2の気泡形成装置は、上記放出部から気液混合流体を連続的に放出することができるが、気液混合流体に含まれる気泡の微細化に関して改善の余地がある。特許文献2は、上記放出部の具体的な構成について何ら開示しておらず、上記放出部が気泡を微細化する作用を実質的に奏しているとは言い難い。
【0007】
本発明の目的は、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体を、連続的に得ることができる気泡形成装置及び気泡形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る気泡形成装置は、
液体と前記液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体を形成すると共に、形成した前記気液混合流体を吐出する吐出部と、
両端が開口した管状をなしており、前記吐出部によって吐出される前記気液混合流体が一端から導入されると共に、導入された前記気液混合流体を他端へ案内する気泡微細化用管状体と、を備え、
前記吐出部から前記気液混合流体が吐出される圧力によって、前記気泡微細化用管状体の内圧が、前記気泡が前記液体に溶解する程度に高められ、高められた前記内圧による前記気泡の前記液体への溶解が、前記気液混合流体が前記気泡微細化用管状体を流れる期間にわたって進行することにより、前記気液混合流体に含まれる前記気泡が、前記気泡微細化用管状体において微細化される。
【0009】
前記気泡微細化用管状体が、
前記気泡微細化用管状体における前記気液混合流体が流れる部分の断面積をX、前記気液混合流体の流路に沿う前記気泡微細化用管状体の経路長をYとしたとき、Y/Xで定義される長尺度が250[1/mm]以上である形状をなしていてもよい。
【0010】
前記気泡微細化用管状体が、
前記気泡微細化用管状体の内部において、前記気液混合流体にディーン渦を形成させる遠心力が前記気液混合流体に作用するように、湾曲した形状をなしていてもよい。
【0011】
前記気泡微細化用管状体が、コイル状に複数回巻かれた形状をなしていてもよい。
【0012】
前記吐出部が、大気圧より高く0.3MPa以下の値に前記内圧が高められる条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入することにより、前記気泡微細化用管状体において、前記気泡の平均直径が、1/5以下に微細化されるように構成されていてもよい。
【0013】
前記気泡微細化用管状体を複数本備え、
前記吐出部から吐出される前記気液混合流体が、複数本の前記気泡微細化用管状体を並列に流れるように、前記吐出部に複数本の前記気泡微細化用管状体が接続されていてもよい。
【0014】
前記吐出部が、
前記気液混合流体を構成する前記液体と、前記気液混合流体の前記気泡を構成する気体との流量を、各々独立に調整することができる構成を有していてもよい。
【0015】
前記気泡微細化用管状体を介して前記気液混合流体の温度を調整する温度調整手段、
をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明に係る気泡形成方法は、
液体と前記液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体を形成する事前工程と、
前記事前工程において形成された前記気液混合流体を、両端が開口した管状をなす気泡微細化用管状体に通す気泡微細化工程と、を含み、
前記気泡微細化工程では、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入する圧力によって、前記気泡微細化用管状体の内圧を、前記気泡が前記液体に溶解する程度に高め、高められた前記内圧による前記気泡の前記液体への溶解を、前記気液混合流体が前記気泡微細化用管状体を流れる期間にわたって進行させることにより、前記気液混合流体に含まれる前記気泡を、前記気泡微細化用管状体において微細化させる。
【0017】
前記気泡微細化工程では、
大気圧より高く0.3MPa以下の値に前記内圧が高められる条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入することにより、前記気泡微細化用管状体において、前記気泡の平均直径を、1/5以下に微細化させてもよい。
【0018】
前記気泡微細化工程では、
前記気泡微細化用管状体の内部に、レイノルズ数が3000以上の、前記気液混合流体の流れが形成される条件で、前記気液混合流体を前記気泡微細化用管状体に導入してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、気液混合流体が気泡微細化用管状体に導入されてから、気泡微細化用管状体から導出されるまでの期間に、気泡微細化用管状体において、気泡の液体への溶解が進行する。このため、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体を、連続的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【図2】実施形態1に係る気泡微細化用管状体の経路長方向に平行な断面図。
【図3】実施形態1に係る気泡微細化用管状体の経路長方向に垂直な断面図。
【図4】実施形態2に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【図5】実施形態3に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【図6】実施例1で得た気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【図7】実施例2で得た気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【図8】実施例3で得た気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【図9】実施例4で得た気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、実施形態に係る気泡形成装置について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。

【0022】
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る気泡形成装置400は、液体とその液体中に分散した気泡とを含む気液混合流体FLを吐出する吐出部100と、吐出部100によって吐出される気液混合流体FLが通される気泡微細化用管状体200とを備える。

【0023】
気泡微細化用管状体200は、両端が開口した管状をなしている。吐出部100によって吐出される気液混合流体FLは、気泡微細化用管状体200の一端201から導入される。気泡微細化用管状体200は、一端201から導入された気液混合流体FLを、他端202へ案内し、他端202から連続的に放出させる。

【0024】
また、気泡微細化用管状体200は、一端201から他端202までの間に、コイル状に複数回巻かれた形状をなすコイル状部203を有する。コイル状部203の意義については後述する。

【0025】
吐出部100は、気泡微細化用管状体200の一端201と連通した気密かつ液密な容器よりなる気液混合室10と、気液混合室10内に配置された多孔質部材20と、多孔質部材20を通して気液混合室10内に気体を供給する気体ポンプ30と、気液混合室10に液体を供給する液体ポンプ40とを有する。

【0026】
液体ポンプ40は、配管51によって気液混合室10と接続されている。液体ポンプ40は、液体源LSから液体を取り込み、取り込んだ液体を、配管51を通して気液混合室10に吐出する。これにより、気液混合室10が液体で満たされる。

【0027】
一方、気体ポンプ30は、配管52によって多孔質部材20と接続されている。気体ポンプ30は、気体源GSから気体を取り込み、取り込んだ気体を、配管52及び多孔質部材20を通して、気液混合室10内に吐出する。

【0028】
多孔質部材20は、気液混合室10内で液体に浸っている。多孔質部材20は、多数の微細な通気孔が形成された多孔質構造を有しており、気体ポンプ30から供給される気体を多孔質構造において気泡化させて液体中に放出する。これにより、気液混合室10において、液体中に気泡が分散した気液混合流体FLが形成される。

【0029】
なお、多孔質部材20は、具体的には、多孔質膜によって構成されている。但し、多孔質部材20は多孔質膜に限られず、例えば、金属又はセラミックスの焼結体を多孔質部材20として用いてもよい。

【0030】
また、吐出部100は、気液混合流体FLを構成する液体と、気液混合流体FLの気泡を構成する気体との流量を、各々独立に調整することができる構成を有する。具体的には、配管51には、弁61が設けられており、弁61によって液体の流量を調整することができる。また、配管52にも、弁62が設けられており、弁62によって気体の流量を調整することができる。

【0031】
また、配管51には、配管51の内圧を計測する圧力計71が設けられている。配管52には、配管52の内圧を計測する圧力計72が設けられている。ユーザは、圧力計71の計測結果によって液体の流量を確認することができ、圧力計72の計測結果によって気体の流量を確認することができる。

【0032】
また、気液混合室10にも、気液混合室10の内圧を計測する圧力計73が設けられている。ユーザは、吐出部100から気泡微細化用管状体200に気液混合流体FLが吐出される圧力を、圧力計73の計測結果によって確認することができる。ユーザは、その圧力計73が示す圧力を、弁61及び62を用いて所望の値に調整することができる。

【0033】
以下、気泡形成装置400の作用について説明する。

【0034】
気体ポンプ30が気体を吐出する圧力と、液体ポンプ40が液体を吐出する圧力とによって、気液混合室10の内圧が上昇する。この結果、気液混合室10から気泡微細化用管状体200に、気液混合流体FLが流れ込む。気泡微細化用管状体200は、一端201から導入される気液混合流体FLを、コイル状部203を経由させて、他端202へ案内し、他端202から放出させる。

【0035】
気泡微細化用管状体200の内部には、気液混合流体FLの流れを絞る絞り部は設けられていない。気泡微細化用管状体200における気液混合流体FLが流れる部分の断面積は、一端201から他端202にわたって一定である。

【0036】
しかし、気泡微細化用管状体200は、充分に細く長い形状を有していると共に、コイル状部203も有している。このため、気泡微細化用管状体200において圧力損失が生じる。この結果、気泡微細化用管状体200の内圧が上昇する。

【0037】
具体的には、吐出部100が気液混合流体FLを吐出する圧力、即ち気液混合室10の内圧によって、気泡微細化用管状体200の内圧が、気泡が液体に溶解する程度に高められる。このため、その高められた内圧による気泡の液体への溶解が、気液混合流体FLが気泡微細化用管状体200を流れる期間にわたって進行する。これにより、気液混合流体FLに含まれる気泡が、気泡微細化用管状体200において微細化される。

【0038】
気泡微細化用管状体200の内圧が、気泡が液体に溶解する程度に高められるようにするための一手段として、気泡微細化用管状体200は、気泡微細化用管状体200における気液混合流体FLが流れる部分の断面積をX、気液混合流体FLの流路に沿う気泡微細化用管状体200の経路長をYとしたとき、Y/Xで定義される長尺度が250[1/mm]以上である形状をなしている。

【0039】
具体的には、気泡微細化用管状体200の内径は5[mm]以下であり、気泡微細化用管状体200の経路長は、5[m]以上である。なお、気泡微細化用管状体200における圧力損失を一層確実なものとするために、長尺度Y/Xは、500[1/mm]以上であることが好ましく、750[1/mm]以上であることがより好ましい。

【0040】
また、気泡微細化用管状体200の内圧が、気泡が液体に溶解する程度に高められるようにするためのもう一つの手段として、本実施形態では、コイル状部203における気泡微細化用管状体200の巻き数を、5以上としている。なお、気泡微細化用管状体200における圧力損失を一層確実なものとするために、コイル状部203の巻き数は、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。

【0041】
上述した構成により、気泡微細化用管状体200の内圧を、例えば、大気圧より高く0.3MPa以下の値に高めることができ、気泡微細化用管状体200において、気泡の平均直径を、1/5以下、より好ましくは1/10以下に微細化することができる。例えば、気液混合室10における気泡の平均直径が10[μm]以下の場合、気泡微細化用管状体200の他端202から、平均直径が2[μm]以下、より好ましくは1[μm]以下の気泡を含む気液混合流体FLを得ることができる。また、気液混合室10における気泡の平均直径が1[μm]以下の場合、気泡微細化用管状体200の他端202から、平均直径が200[nm]以下、より好ましくは100[nm]以下の気泡を含む気液混合流体FLを得ることができる。

【0042】
また、気泡微細化用管状体200に気液混合流体FLが通されたとき、気泡微細化用管状体200の内部には渦が生じる。以下、これについて具体的に説明する。

【0043】
図2に示すように、気泡微細化用管状体200の内部には、気泡微細化用管状体200の経路長方向に平行な断面内で、乱流渦(Turbulent vortex)TVが生じる。この乱流渦TVは、吐出部100が、気泡微細化用管状体200の内部における気液混合流体FLの流れのレイノルズ数(Reynolds number)が3000以上となる条件で、気液混合流体FLを気泡微細化用管状体200に導入することで実現されたものである。この乱流渦TVによって、気泡微細化用管状体200における気泡の微細化が促進される。

【0044】
図3に示すように、気泡微細化用管状体200の経路長方向に垂直な断面内には、ディーン渦(Dean vortex)DVも形成される。このディーン渦DVは、上述したコイル状部203で気液混合流体FLに作用する遠心力によって形成される。図3には、気液混合流体FLに遠心力が作用する向きを矢印で示した。このディーン渦DVによっても、気泡微細化用管状体200における気泡の微細化が促進される。このように、上述したコイル状部203は、気泡微細化用管状体200に圧力損失を生じさせる役割のみならず、ディーン渦DVを形成する役割も果たしている。

【0045】
以上説明した本実施形態に係る気泡形成装置400によれば、次の効果が得られる。

【0046】
気液混合流体FLが気泡微細化用管状体200に導入されてから、気泡微細化用管状体200から導出されるまでの期間に、気泡微細化用管状体200において、気泡の液体への溶解が進行する。このため、気液混合流体FLを気泡微細化用管状体200に連続的に導入することにより、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを、連続的に得ることができる。

【0047】
特許文献1に開示される従来技術では、タンク内での加圧により気体を液体に一旦完全に溶解させてから、所望サイズの気泡が出現するように、タンク内の圧力を大気圧へと高めていた。これに対して、本実施形態によれば、気体を液体に一旦完全に溶解させる工程を経る必要がなく、気泡を直接的に所望サイズへと微細化することができる。また、気泡を所望サイズへと微細化するために、気液混合流体FLを、気泡微細化用管状体200に一回通せば足りる。このため、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを、効率的に得ることができる。

【0048】
また、気体を液体に一旦完全に溶解させる工程を経る必要がないため、気泡形成装置400内において生じる最大圧力を、従来技術に比べて低減できる。具体的には、気泡微細化用管状体200の内圧は、0.3MPa以下の値、好ましくは0.2MPa以下の値に高めれば充分である。このように、気泡形成装置400内で生じる圧力を従来よりも低減できるため、気泡形成装置400の重厚化を抑えることができ、かつ気泡形成装置400に故障が生じにくい。

【0049】
なお、気泡微細化用管状体200内で乱流渦TV及びディーン渦DVが生じるようにしたので、それら乱流渦TV及びディーン渦DVを生じさせない場合に比べると、気泡形成装置400の内圧が低くても、気泡を所望サイズへと微細化することができる。つまり、乱流渦TV及びディーン渦DVを生じさせることは、気泡微細化用管状体200の内圧を低減することに寄与している。

【0050】
特許文献1に開示される従来技術では、タンク内における液体と気体の挙動がランダムであるため、タンク内の圧力が大気圧へと高められたときに得られる気液混合流体の、気泡と液体の割合を制御することが困難であった。これに対して、本実施形態では、気泡微細化用管状体200の形状が定まっているため、気泡微細化用管状体200を通過する前の気液混合流体FLにおける気泡と液体の割合と、気泡微細化用管状体200を通過した後の気液混合流体FLにおける気泡と液体の割合とが、無相関となりにくい。

【0051】
そして、気泡微細化用管状体200の通過前の気液混合流体FLにおける気泡と液体の割合は、弁61及び62を用いて独立に調整できるので、気泡微細化用管状体200の通過後の気液混合流体FLにおける気泡と液体の割合も独立に調整できる。

【0052】
[実施形態2]
上記実施形態1では、気液混合流体FLを積極的に温度調整しなかったが、気泡形成装置400は、気泡微細化用管状体200を介して気液混合流体FLの温度を調整する温度調整手段をさらに備えてもよい。以下、その具体例について説明する。

【0053】
図4に示すように、本実施形態に係る気泡形成装置500は、気泡微細化用管状体200を介して気液混合流体FLの温度を調整する温度調整手段としての温度調整装置300を備える。温度調整装置300は、温度調整用液体が貯められる恒温液槽310と、恒温液槽310内の温度調整用液体を予め定められた温度に保つ温度調整器320とを有する。温度調整用液体には、例えば水を用いることができる。

【0054】
本実施形態では、気泡微細化用管状体200のコイル状部203が、熱伝導の良好な金属、具体的には、銅よりなり、恒温液槽310内の温度調整用液体に浸っている。このため、コイル状部203を介して気液混合流体FLの温度を調整することができる。コイル状部203は、表面積が大きいため、気液混合流体FLの温度調整が容易である。

【0055】
本実施形態によれば、所望の温度に調整された気液混合流体FLを得ることができる。また、気液混合流体FLの温度によって、気泡微細化用管状体200内における気泡の液体への溶解度を調整することもできる。気液混合流体FLの温度が低い程、気泡が液体に溶けやすく、気液混合流体FLの温度が高い程、気泡が液体に溶けにくい。

【0056】
[実施形態3]
上記実施形態1では、1本の気泡微細化用管状体200を用いて気泡を微細化したが、気泡形成装置400は、気泡微細化用管状体200を複数本備えてもよい。以下、その具体例について説明する。

【0057】
図5に示すように、本実施形態に係る気泡形成装置600は、2本の気泡微細化用管状体210及び220を備える。吐出部100から吐出される気液混合流体FLが、2本の気泡微細化用管状体210及び220を並列に流れるように、吐出部100の気液混合室10に、2本の気泡微細化用管状体210及び220が接続されている。

【0058】
本実施形態によれば、気泡微細化用管状体210及び220において、気泡の微細化を並列に行うことができるので、気泡の微細化を効率的に行うことができる。

【0059】
[実施例1]
図1に示した気泡形成装置400を用い、気泡微細化用管状体200によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを得た。気液混合流体FLを構成する気体には、空気を用い、液体には、蒸留水を用いた。

【0060】
また、気泡微細化用管状体200には、内径が4[mm]で経路長が10[m]の金属管を用いた。この金属管の上記長尺度Y/Xは、796[1/mm]である。また、コイル状部203の直径は約20[cm]であり、コイル状部203の巻き数は15とした。

【0061】
まず、気液混合室10において、空気よりなる気泡が蒸留水に分散されてなる気液混合流体FLを形成した。気液混合室10における気液混合流体FLに含まれる気泡の平均直径は、1[μm]であった。

【0062】
次に、その気液混合流体FLを、気泡微細化用管状体200の内圧が0.2[MPa]に高められ、かつ気液混合流体FLの流れのレイノルズ数が3000以上となる条件で、気泡微細化用管状体200に導入させた。すると、気泡微細化用管状体200の他端202から、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLが連続的に放出された。

【0063】
図6に、気泡微細化用管状体200から放出された気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。グラフAは、度数分布を示し、グラフBは、累積度数分布を示す。気液混合流体FLに含まれる気泡の平均直径は、100nm以下であった。即ち、気泡微細化用管状体200にて、気泡の平均直径が1/10以下に微細化されたことが確認された。

【0064】
[実施例2]
気液混合流体FLを構成する気体に酸素を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを得た。

【0065】
図7に、得られた気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。グラフCは、度数分布を示し、グラフDは、累積度数分布を示す。気液混合流体FLに含まれる気泡の平均直径は、100nm以下であった。即ち、気泡微細化用管状体200にて、気泡の平均直径が1/10以下に微細化されたことが確認された。

【0066】
[実施例3]
気液混合流体FLを構成する液体に水道水を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを得た。

【0067】
図8に、得られた気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。グラフEは、度数分布を示し、グラフFは、累積度数分布を示す。気液混合流体FLに含まれる気泡の平均直径は、100nm以下であった。即ち、気泡微細化用管状体200にて、気泡の平均直径が1/10以下に微細化されたことが確認された。

【0068】
[実施例4]
気液混合流体FLを構成する液体に水道水を用い、気体に酸素を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で、溶解によって微細化された気泡を含む気液混合流体FLを得た。

【0069】
図9に、得られた気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。グラフGは、度数分布を示し、グラフHは、累積度数分布を示す。気液混合流体FLに含まれる気泡の平均直径は、100nm以下であった。即ち、気泡微細化用管状体200にて、気泡の平均直径が1/10以下に微細化されたことが確認された。

【0070】
以上、本発明の実施形態と実施例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、以下に述べる変形も可能である。

【0071】
上記実施形態1では、気泡微細化用管状体200にコイル状部203を設けたが、コイル状部203は必須ではない。気泡微細化用管状体200の一部分が湾曲していれば、ディーン渦DVが形成され得る。また、気泡を微細化させるにあたり、ディーン渦DVの形成は必須ではない。直線状に延びる直管よりなる気泡微細化用管状体においても、圧力損失による内圧の上昇は生じ得、上昇した内圧で気泡が微細化され得る。

【0072】
図1には、理解を容易にするために、気体源GSを示したが、例えば気体が空気である場合には、気体源GSを省略できる。また、気体源GSとして、気体が圧入されたボンベを用いる場合は、そのボンベからの気体の吐出圧を利用できるため、気体ポンプ30を省略し得る。また、液体として水道水を用いる場合のように、加圧された液体が得られる場合は、液体源LSと液体ポンプ40を省略し得る。

【0073】
上記実施形態1では、気泡微細化用管状体200における気液混合流体FLが流れる部分の断面積が、一端201から他端202にわたって一定であったが、このことは必須ではない。気泡微細化用管状体200の断面積が、気泡微細化用管状体200の経路長方向の位置によって異なっていてもよい。例えば、気泡微細化用管状体200内に、気液混合流体FLの流れを絞る絞り部が設けられていてもよい。気泡微細化用管状体200の断面積が経路長方向の位置によって異なる場合、長尺度Y/Xを定義する断面積をXとは、気泡微細化用管状体200における断面積の最大値を指すものとする。

【0074】
上記実施形態3では、気泡形成装置600が2本の気泡微細化用管状体210及び220を備えたが、気泡形成装置600は3本以上の気泡微細化用管状体を備えてもよい。また、それら複数本の気泡微細化用管状体の寸法及び形状が、互いに異なっていてもよい。

【0075】
本発明は、その広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変形が可能とされる。上記実施形態及び実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示される。請求の範囲内及びそれと同等の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。

【0076】
本出願は、2017年6月7日に日本国に出願された特願2017-112245号に基づく。本明細書中に特願2017-112245号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る泡形成装置及び気泡形成方法は、微細化された気泡を含む気液混合流体の形成に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
10…気液混合室、
20…多孔質部材、
30…気体ポンプ、
40…液体ポンプ、
51,52…配管、
61,62…弁、
71,72,73…圧力計、
100…吐出部、
200,210,220…気泡微細化用管状体、
201…気泡微細化用管状体の一端、
202…気泡微細化用管状体の他端、
203…コイル状部、
300…温度調整装置(温度調整手段)、
310…恒温液槽、
320…温度調整器、
400,500,600…気泡形成装置、
LS…液体源、
GS…気体源、
FL…気液混合流体、
TV…乱流渦、
DV…ディーン渦。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
7
【図9】
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