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明細書 :MAGE-A4由来ペプチドを認識する抗原結合性タンパク質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年5月21日(2020.5.21)
発明の名称または考案の名称 MAGE-A4由来ペプチドを認識する抗原結合性タンパク質
国際特許分類 C12N  15/13        (2006.01)
C12N  15/12        (2006.01)
C12N  15/62        (2006.01)
C12N  15/63        (2006.01)
C07K  16/30        (2006.01)
C07K  19/00        (2006.01)
C07K  16/28        (2006.01)
C07K  14/725       (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
A61K  35/17        (2015.01)
FI C12N 15/13 ZNA
C12N 15/12
C12N 15/62 Z
C12N 15/63 Z
C07K 16/30
C07K 19/00
C07K 16/28
C07K 14/725
C12N 5/10
C12N 1/21
C12N 1/19
C12N 1/15
A61P 35/00
A61P 35/02
A61K 35/17 Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 38
出願番号 特願2019-523909 (P2019-523909)
公序良俗違反の表示 1.TWEEN
2.Triton
国際出願番号 PCT/JP2018/021561
国際公開番号 WO2018/225732
国際出願日 平成30年6月5日(2018.6.5)
国際公開日 平成30年12月13日(2018.12.13)
優先権出願番号 2017111157
優先日 平成29年6月5日(2017.6.5)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】珠玖 洋
【氏名】赤堀 泰
【氏名】加藤 裕也
【氏名】宮原 慶裕
出願人 【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100108280、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 洋平
審査請求 未請求
テーマコード 4B065
4C087
4H045
Fターム 4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
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4B065CA46
4C087AA01
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4C087BB64
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4C087MA16
4C087MA22
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4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA51
4H045FA72
4H045FA74
要約 【課題】 がん特異的な細胞内抗原を用いたCAR輸注療法に使用できるCAR-T細胞を提供すること。
【解決手段】 MAGE-A4由来ペプチドとHLA-A2複合体を認識する抗体を備えたがん治療用CAR-T細胞であって、前記抗体は、配列番号36のVHのアミノ酸配列と、配列番号38のVLのアミノ酸配列を有するがん治療用CAR-T細胞によって解決される。このとき、前記抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を備えることが好ましい。
【選択図】 図20
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(A)または(B)のポリペプチドを含み、HLA-A2-MAGE-A4複合体を抗原として認識する抗原結合性タンパク質:
(A)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列とを含むポリペプチド;
(B)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列とを含むポリペプチド。
【請求項2】
VHとVLとの間に、以下の(C)または(D)のポリペプチドを含む請求項1に記載の抗原結合性タンパク質:
(C)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(D)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のものであって、配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗原結合性タンパク質。
【請求項4】
抗原結合性タンパク質が、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvまたは一本鎖Fv(scFv)である請求項1~3のいずれか一つに記載の抗原結合性タンパク質。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載の抗原結合性タンパク質をコードする核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸を含むベクター。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一つに記載の抗原結合性タンパク質とシグナル伝達タンパク質の細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体。
【請求項8】
シグナル伝達タンパク質がCD3zeta(CD3ζ)鎖または共刺激分子CD(GITR)のいずれかである請求項7に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項9】
更にCD28の細胞内ドメインまたはGITRの細胞内ドメインのいずれかを含む請求項8に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一つに記載のキメラ抗原受容体をコードする核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸を含むベクター。
【請求項12】
請求項7~9のいずれか一つに記載のキメラ抗原受容体を発現する細胞。
【請求項13】
請求項12に記載の細胞を有効成分として含有する医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、MAGE-A4由来ペプチドを認識する抗原結合性タンパク質等に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、悪性腫瘍は死亡原因の30%を超え、先進国の第一位の死因である。医療の進歩により完治するがんも存在するものの、治療困難ながんも多く存在している。がんの新規治療法を開発する事は、緊急の課題である。がんの治療法としては、手術、化学療法、放射線療法が三大治療法であり、主としてこれらを組み合わせて治療を行っている。
近年、免疫療法と呼ばれる第四のがん治療法が進展し、その非侵襲性と効果の高さが注目されている。免疫療法は、主としてワクチン療法、抗体療法、細胞輸注療法の3つに大別される。細胞輸注療法には、がん特異的に反応する細胞傷害性T細胞由来のT細胞受容体(T cell receptor : TCR)の遺伝子を患者のリンパ球に体外で導入した後に輸注するT細胞受容体遺伝子導入リンパ球輸注療法と、抗原認識部位としてのscFvと細胞内シグナル伝達分子としてのCD3ζを結合させたキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor : CAR )を患者末梢血リンパ球に導入して輸注する治療法がある。これらの治療法は、抗原特異性を持つリンパ球を受容体遺伝子導入という方法により短期間に大量に作製できるため多様ながん種の患者に対する特異的T細胞治療を可能とする。
【0003】
TCR遺伝子輸注療法は、ペプチドMHC複合体(peptide-MHC complex : pMHC)を認識してがんを殺すシステムであるため、安全で効果的な治療法であり、世界で開発が進んでいる。しかし、それに使用できるキラーT細胞クローンを単離することが極めて困難であるという問題がある。
一方、CAR輸注療法の利点として次の3点が挙げられる。(1)単鎖抗体(scFv)とT細胞受容体(TCR)や副刺激分子のシグナル伝達ドメインからなるCARを導入したT細胞は、本来のT細胞とは異なり、MHC非依存性にがん抗原を認識し破壊できることから、広範囲の患者に適応可能となる長所を持つ、(2)CD8陽性T細胞だけでなく、CD4陽性T細胞や非T細胞にも機能を与え得る、(3)抗体の反応性を受け継ぐためTCRと比較して、親和性が高い。実際、CAR治療法は、抗CD19抗体を使用したCAR治療法として白血病及びリンパ腫の患者に対して極めて高い臨床効果が報告されている(非特許文献1:文献については、末尾にまとめて示す)。CD19分子はB細胞にも発現されるが、B細胞の消失は免疫グロブリンの補充等で対処可能である。一般的には、がん細胞でのみ発現する抗原を用いることが理想的である。しかし、そのような細胞表面抗原は、現状では見あたらないという課題がある。
【0004】
一方、細胞内に存在する分子には、がん精巣抗原や、neoantigen等のがん特異的なものが報告されている。しかし、がん特異的な細胞内抗原を用いたCAR輸注療法については、知られていなかった。
このような状況に鑑み、本発明者は、MHCと細胞内抗原由来ペプチドとの複合体を認識する抗体を単離し、その抗体を用いて、CAR免疫療法に応用する方法を考えた。ペプチドMHC複合体を特異的に認識する抗体は、限られた数の成功例しか報告されていない(非特許文献2)。ペプチドMHC複合体を特異的に認識する抗体を取得し、がん細胞を特異的に殺傷するCAR-T細胞を作製することができれば、画期的な治療法と成り得る。ペプチドMHC複合体を認識するCARは、体内にCAR-T細胞を輸注すると同時にCAR-T細胞が特異的に認識するペプチドを投与することで、抗原提示細胞によるCAR-T細胞の増殖が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を特異的に認識する抗原結合性タンパク質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
MHCに提示される抗原としてMAGE-A4分子を用いた。MAGE-A4は、悪性黒色腫を含む固形がんで発現しており(非特許文献3)、NY-ESO-1と同様にCTA(cancer testis antigen)である。これらの分子は、精巣と胎盤以外の正常組織でのタンパク発現が認められない。MAGA-A4は細胞内で発現した後、プロテアソームでの分解を受ける。その一部は10アミノ酸のMAGE-A4ペプチドとなり、小胞体にてHLA-A*0201、beta-2 microglobulinと会合して、がん特異的な抗原として細胞表面に提示される。HLA-A*0201上に提示されるペプチドとして、p230-239(GVYDGREHTV:配列番号1)を選択した(非特許文献4)。
A2-MAGE-A4を特異的に認識するCARをヒトリンパ球に遺伝子導入し、ターゲットのがんに特異的な反応を示すCAR-T細胞を作製し、それをヒトの細胞輸注療法に応用する方法を確立した。すなわち、(1)MAGE-A4由来ペプチドとHLA-A2複合体を認識する親和性の高い複数個の抗体を単離し、(2)単離した抗体の特異性を調べ、(3)特異性の高い抗体を選別し、(4)これを使用したCAR-T細胞を作製し、そのCAR-T細胞がターゲットのがん細胞特異的によって活性化され、細胞傷害活性を引き起こすことを確認した。CAR-T細胞を輸注したヒト腫瘍移植マウスによるin vivoがん治療モデルにおいて、マウス体内でCAR-T細胞が特異的に増殖し、腫瘍への浸潤が観察された。こうして、基本的には本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明に係る抗原結合性タンパク質は、以下の(A)または(B)のポリペプチドを含み、HLA-A2-MAGE-A4複合体を抗原として認識するもの、すなわち(A)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列とを含むポリペプチド、または(B)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列とを含むポリペプチドであることを特徴とする。このとき、VHとVLとの間に、以下の(C)または(D)のポリペプチド、すなわち(C)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または(D)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むことが好ましい。また、配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチドであることが好ましい。上記抗原結合性タンパク質が、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvまたは一本鎖Fv(scFv)であることが好ましい。なお、本明細書中において、抗原結合性タンパク質には、抗体そのもの、または抗体誘導体などが含まれる。
【0008】
本発明において、相同性は、2個(または3個以上)のアミノ酸配列または塩基配列を比較することにより決定される関係を意味する。相同性は、アミノ酸配列若しくは塩基配列の間のアライメントによって、又は一続きの部分的な配列間の相関性の程度を意味する。具体的には、配列の同一性と保持性(配列中の特定アミノ酸又は配列中の物理化学特性を維持する置換)によって決定される。相同性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアライメントできる方法であることが好ましい。相同性を決定するためには、インターネットを介して利用可能なプログラム、例えばBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)<https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi>を用いて求められる。配列番号32、36、37、38のアミノ酸配列と90%以上(より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上)の相同性を示し、かつHLA-A2-MAGE-A4複合体を抗原として認識するポリペプチドであることが好ましい。
また、別の発明に係る核酸は、第1の発明に記載の抗原結合性タンパク質をコードする。
別の発明に係るベクターは、上記核酸を含む。ここで、核酸とは、DNAまたはRNAが含まれる。また、核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれでもよい。ベクターには、プラスミドベクター、ウイルスベクターなどが含まれる。
別の発明に係るキメラ抗原受容体は、上記抗原結合性タンパク質とシグナル伝達タンパク質の細胞内ドメインを含む。このとき、シグナル伝達タンパク質は、CD3zeta(CD3ζ)鎖または共刺激分子CD(GITR)のいずれかであることが好ましい。また、更にCD28の細胞内ドメインまたはGITRの細胞内ドメインのいずれかを含むことが好ましい。
また、別の発明に係る核酸は、上記キメラ抗原受容体をコードする。別の発明に係るベクターは、この核酸を含む。
別の発明に係る細胞は、上記キメラ抗原受容体を発現するものである。また、別の発明に係る医薬組成物は、この細胞を有効成分として含有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を特異的に認識する抗原結合性タンパク質、抗原結合性タンパク質をコードする核酸、この核酸を含むベクター、抗原結合性タンパク質を含むキメラ抗原受容体、キメラ抗原受容体をコードする核酸、この核酸を含むベクター、キメラ抗原受容体を発現する細胞及びこの細胞を含む医薬組成物が提供される。MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を特異的に認識する抗原結合性タンパク質は、細胞医療、遺伝子治療の分野で使用できる。また、MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を発現する腫瘍細胞の検出、腫瘍の治療及びその研究・試験に極めて有用である。また、本発明のCAR-T細胞は、副作用が非常に少ないので、非常に有効ながん治療法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】MAGE#17 scFVの配列イメージを表す図である。
【図2】CARの構築方法を説明するための遺伝子配列イメージを表す図である。
【図3】(A)、(B)共にピックアップしたクローンについて、複数の抗原に対する反応性をELISAを用いて確認した結果を示す棒グラフである。
【図4】MAGE#17について、KD値を測定した結果を示すグラフである。(A)は時間経過に対する検出感度の動的変化を測定したグラフを、(B)はグラフから読み取ったデータに基づきKD値を計算した結果を示す表をそれぞれ意味する。
【図5】MAGE-A4p230、CMV、DMSOをパルスしたT2細胞に対し、抗体MAGE#17、#86、#209、#345及び#672を反応させたときのシフト量をFACSで調べた結果を示すグラフ(A)及び棒グラフ(B)である。
【図6】アラニン置換したペプチドをパルスしたときのT2細胞表面上のHLA量をFACSで測定した結果を示すグラフである。
【図7】アラニン置換したペプチドをT2細胞にパルスし、MAGE#17を反応させ、抗体認識に関与するアミノ酸を調べた結果を示すグラフである。
【図8】リスクペプチドをT2細胞にパルスし、T2細胞表面上のHLA量をFACSで測定した結果を示すグラフである。
【図9】リスクペプチドをT2細胞にパルスし、MAGE#17を反応させ、リスクペプチドとの反応性を調べた結果を示すグラフである。
【図10】PBMCに導入したCAR(mRNA)が発現しているか否かをテトラマー染色で調べた結果を示す図である。
【図11】mRNAを導入したCAR-T細胞がターゲット細胞を特異的に認識し、IFNγ生産を増大させることを示すグラフである。
【図12】PBMCに導入したCAR遺伝子(レトロウイルス)が発現しているか否かをテトラマー染色で調べた結果を示す図である。
【図13】レトロウイルスを導入したCAR-T細胞がターゲット細胞を特異的に認識し、IFNγ生産を増大させることを示すグラフである。
【図14】MAGE#17 CARを導入したT細胞が、MAGE-A4ペプチドをパルスしたT2細胞との共培養によって活性化したことを示すグラフである。
【図15】MAGE#17 CARを導入したT細胞が、A2陽性MAGE-A4陽性細胞との共培養によって活性化したことを示すグラフである。
【図16】MAGE-A4ロングペプチドを取り込んだ抗原提示細胞とCAR-Tとを共培養することで、CAR-Tのインターフェロン産生が増大したことを示すグラフである。
【図17】MAGE-A4ペプチドをパルスしたT2細胞が、MAGE-A4特異的な細胞傷害活性を持つことを示すグラフである。
【図18】ターゲット細胞において、A2陽性MAGE陽性細胞に特異的な細胞傷害活性を持つことを示すグラフである。
【図19】輸注したCAR-T細胞のCAR陽性率をテトラマー染色で調べた結果を示す図である。
【図20】(A)A2陽性MAGE-A4陽性腫瘍(NW-MEL-38)に対するCAR-T細胞の効果、または(B)A2陽性MAGE-A4陰性腫瘍(HCT116)に対するCAR-T細胞の効果を確認した結果を示すグラフである。
【図21】CAR zGの遺伝子配列イメージを表す図である。
【図22】A2陽性MAGE-A4陽性腫瘍(NW-MEL-38)に対して、細胞内ドメイン(ICD)が異なるCAR-T細胞を投与したときの効果を確認した結果を示すグラフである。(A)腫瘍径、(B)体重をそれぞれ示す。グラフ中の矢印は、左側が放射線全身照射(TBI)の処置日(3日目)、右側がリンパ球投与日(4日目)をそれぞれ示す。
【図23】CAR非導入CD8陽性T細胞(NGMC:コントロール)、zG型CAR導入CD8陽性T細胞(zG)及び28z型CAR導入CD8陽性T細胞(28z)のCAR陽性率をテトラマー染色で調べた結果を示す図である。
【図24】CAR-T細胞がターゲット細胞を特異的に認識し、IFNγ生産を増大させるか否かを調べた結果を示すグラフである。
【図25】CAR-T細胞がターゲット細胞を特異的に認識し、IFNγ生産を増大させるか否かを調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
本明細書中において、「抗体」、「抗原結合性フラグメント」とは、免疫系における抗原結合性タンパク質を意味する。抗原結合性領域を有する抗体は、ジスルフィド結合により相互に連結された2つの重鎖(H鎖)及び2つの軽鎖(L鎖)を含む糖タンパク質である。各重鎖には、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域(CH)が含まれる。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3の3つのドメインから構成される。各軽鎖には、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(CL)が含まれる。VLは、CLドメインから構成される。VH及びVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)という超可変性を有する領域及びフレームワーク領域(FR)というある程度保存されている領域に細分できる。VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の順に、3つのCDR及び4つのFRが、それぞれ配列されている。抗原との結合には、CDR3が重要であることが知られている。VH及びVLは、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。

【0012】
本明細書において「HLA」とは、Human Leukocyte Antigen(ヒト白血球型抗原)であり、ヒト主要組織適合遺伝子複合体(MHC)を意味し、免疫細胞への抗原提示に必要とされる細胞表面分子をコードする遺伝子の複合体を意味する。HLAはクラスIおよびクラスIIに分類できる。クラスI HLAは、α鎖とβ2-ミクログロブリンから構成される。クラスI HLAは、殆ど全ての有核細胞に発現され、CD8陽性T細胞への抗原提示において機能する。クラスI HLAは、さらにHLA-A、HLA-BおよびHLA-Cに分類できる。
本明細書において「キメラ抗原受容体(CAR)」とは、抗原に結合する細胞外ドメイン、この細胞外ドメインとは異なるポリペプチドに由来する膜貫通ドメイン及び少なくとも1つの細胞内ドメインを含む融合タンパク質を意味する。CARは、「キメラ受容体」、「T-body」、「キメラ免疫受容体(CIR)」とも呼ばれることがある。「抗原に結合する細胞外ドメイン」は、ある抗原に結合する任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味し、「細胞内ドメイン」は、細胞内で生物学的プロセスを活性化又は阻害するすシグナルを伝達するドメインとして機能することが知られている任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味する。
本明細書において「抗原結合性タンパク質」は、抗原に結合し、抗原に対する特異性を抗体に付与する抗体の一部又は全部のタンパク質の断片を意味する。

【0013】
次に、本発明を具体的に説明する。
(1)本発明の抗原結合性フラグメント及びこれらをコードする核酸
抗MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2(HLA-A2-MAGE-A4)複合体抗体は、HLA-A2拘束性のMAGE-A4由来ペプチドであるP230-239(配列番号1)と、HLA-A2との複合体を特異的に認識・結合する抗体である。本発明の抗体は、特異性が高く、HLA-A2以外のペプチドとHLA-A2の複合体及びP230-239ペプチドとHLA-A2以外のHLAの複合体とは結合しない(または結合活性が極めて低い)。このため、本発明の抗原結合性フラグメントは、HLA-A2-MAGE-A4複合体を特異的に検出又は標的とできる。
本発明の抗原結合性フラグメントは、(A)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列とを含むポリペプチド、または(B)配列番号36のVH(重鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列と、配列番号38のVL(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列とを含むポリペプチドを含む。また、VHとVLとの間に、(C)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または(D)配列番号37のsc(一本鎖)のアミノ酸配列と90%以上の相同性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。

【0014】
抗原結合性フラグメントには、抗原に特異的に結合する1又は2以上のフラグメントが含まれる。抗体の抗原結合領域を含む抗体のフラグメントは完全長抗体と同様に抗原を特異的に認識する。抗原結合性フラグメントに含まれる抗体またはその断片の例として、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv又は一本鎖Fv(scFv)が例示される。Fabは、VL、VH、CL及びCH1ドメインから構成される一価の抗体フラグメントである。Fab'は、VL、VH、CL、CH1ドメイン及びヒンジ部から構成される一価の抗体フラグメントである。F(ab')2は、ヒンジ部のジスルフィド結合により結合した2つのFab断片を含む二価の抗体フラグメントである。Fvは、抗体の単腕のVL及びVHから構成される一価の抗体フラグメントである。Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは、別々の遺伝子によりコードされており、遺伝子組換技術によりこれらのドメインをリンカーで連結して1分子のタンパク質であるscFvを作製できる。scFvはVH及びVLの間にリンカー(single chain:sc)を含む。このscは、VH及びVLを連結し、scFv抗体の抗原結合能を安定化するために当業界で通常に利用されるペプチドである(例えば、Huston et al., Methods in Enzymology, 203:46-88(1991), Whitlow et al., Protein Eng., 6:989(1993))。scは、一般にグリシン及びセリンを含み、その長さは15~18アミノ酸である。

【0015】
本発明の一態様として、抗原結合性フラグメントの組合せを含む。このような分子は、Fab3、Diabody、Triabody、Tetrabody、Minibody、Bis-scFv、(scFv)2-Fc、intact-IgGが例示される(Holliger et al., Nature Biotechnology, 23(9), p.1126-36(2005))。
抗原結合性フラグメントは、その特性に実質的な影響を及ぼさない限り、1つまたは数個のアミノ酸が改変でき得る。例えば、定常領域やFR領域において、アミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され得る。この改変は、部位特異的変異導入法(点突然変異導入及びカセット式変異導入等)、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、及びPCR法等の周知の方法を組み合わせて、容易に実施できる。
本発明は、前記抗原結合性フラグメントをコードする核酸を含む。また、本発明の核酸は、配列表の配列番号31,33~35に示される塩基配列を含む。これらの核酸は、コードするアミノ酸配列を変更させることなく、宿主細胞に適したコドン(至適コドン)に改変できる。至適コドンに改変することで、宿主細胞内におけるポリペプチドの発現効率を向上させ得る。
本発明の抗原結合性フラグメントは、公知の遺伝子工学的手法又は化学合成等の方法を用いて製造できる。遺伝子工学的手法としては、本発明の核酸を含有するクローニングベクター又は発現ベクターを作製し、このベクターを宿主細胞に導入し、宿主細胞を培養して核酸を発現させ、得られたポリペプチドを回収・精製することによって製造できる。本発明の核酸が複数の核酸分子からなる場合は、各核酸分子を含む複数ベクターの組合せを宿主細胞に導入する、又は複数の核酸を含む1つのベクターを宿主細胞に導入できる。ポリペプチドを製造する際に、ペプチドタグを連結させ、このペプチドタグを使用して回収・精製できる。

【0016】
本発明のベクターは、適当な宿主内で核酸を発現するように、適当な制御配列と機能的に連結している。このような制御配列としては、核酸を転写させるプロモーター、転写を制御するオペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、エンハンサー、ポリアデニル化配列及び転写・翻訳の終了を制御する配列等が含まれる。ベクターには、公知の各種配列(例えば、制限酵素切断部位、薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子(選択遺伝子)、シグナル配列、リーダー配列等)を使用できる。各種配列は、発現させるポリペプチドの種類、宿主細胞、培地等の条件に応じて、適宜選択して使用できる。
ベクターとしては、宿主ゲノムに組み込まれるベクター・組み込まれないベクター、細胞質に存在して自律的に複製するエピソーマルベクターなどが使用できる。そのようなベクターとしては、例えばレトロウイルスベクター(オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクターを含む)、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)ベクター、HSVベクターなどのウイルスベクターが例示できる。ウイルスベクターとしては、感染した細胞中でウイルスが自己複製できないように複製能を欠損させたものが好ましく使用できる。また、リポソーム及び陽イオン脂質などの縮合剤との併用により、非ウイルスベクターも使用できる。更に、リン酸カルシウム形質移入、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、パーティクルボンバードメントにより細胞に核酸を導入できる。

【0017】
宿主細胞としては、公知の細胞を使用できる。例えば、大腸菌(E.coli)等の原核細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、ヒト由来細胞などの哺乳動物細胞、酵母、昆虫細胞等の真核細胞を挙げられる。
宿主細胞で発現された本発明の抗原結合性フラグメントは、宿主細胞の培地、宿主細胞の抽出物及び/又は溶解物から精製できる。精製方法は公知の方法を適宜に組み合わせて行える。例えば、遠心分離、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンセファロースでのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン樹脂クロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム等)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿及びアフィニティクロマトグラフィーなどを適宜に使用できる。

【0018】
(2)本発明の組成物
本発明は、前記(1)記載の本発明の抗体又は抗原結合性フラグメントを含む組成物、ならびに本発明の抗体又は抗原結合性フラグメントをコードする核酸を含む組成物を提供する。
本発明の抗体又は抗原結合性フラグメントは、MAGE-A4由来ペプチドとHLA-A2との複合体に対するプローブとして使用できる。MAGE-A4はがん細胞の内部に発現し、HLAによって提示されることが明らかとなっており、T細胞は抗原認識に基づいて、当該がん細胞を攻撃する。そこで、本発明の抗原結合性フラグメントは、がん細胞に対するプローブ、すなわち検出用組成物又は診断用組成物として使用できる。
そのような検出方法としては、公知の検出方法、例えばELISA、蛍光抗体アッセイ、放射性免疫アッセイ、放射性免疫沈降法、ドットブロットアッセイ、阻害または競合アッセイ、サンドイッチアッセイ、ラテックスビーズ凝集アッセイなどが例示できる。
診断や検出の対象とするサンプルは、生物学的サンプル(例えば、疾患部位の組織、細胞、血液、血清、血漿、リンパ液、尿などの体液)が含まれる。これらのサンプルは、必要に応じて予備精製、均質化、遠心分離、又は希釈を行った後に、適切な緩衝液中で、本発明の抗原結合性フラグメントを接触させ、抗原・抗体複合体を検出する。この場合、本発明の抗原結合性フラグメントを標識してもよく、標識二次抗体を使用してもよい。標識としては、酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、放射性同位元素(例えば32P、35S、3H、125Iなど)、蛍光性物質(例えばローダミン、フルオレサミン、ダンシルクロリド、それらの誘導体など)、タグペプチドなどを使用できる。

【0019】
本発明の抗原結合性フラグメントは、医薬を標的に送達するために使用することができる。医薬と連結させた本発明の抗体又は抗原結合性フラグメントは、WT1ペプチドとHLA-A24との複合体を特異的に認識し、医薬組成物を標的に送達するために、サイトカイン(IL2、TNF、IFN-γなど)、それらの受容体タンパク質、細胞毒(リシン、ジフテリア、ゲロニンなど)、放射性核種(90Y、131I、225Ac、213Bi、223Ra及び227Thなど)、細胞(T細胞、NK細胞など)又は低分子化合物(カリケアミシン、ドキソルビシンなど)が例示される。
本発明の医薬組成物の有効成分の有効量は、目的、腫瘍の種類、部位及び大きさ等の投与対象の病状、患者の条件及び投与経路などに応じて適宜に決められる。医薬組成物として使用する際には、有効成分に加えて、公知の薬学上許容し得る各種成分(例えば、担体、賦形剤、緩衝剤、安定化剤、等)を添加できる。医薬組成物は、条件に応じて、錠剤、液剤、粉末、ゲル、噴霧剤、或いはマイクロカプセル、コロイド状分配系(リポソーム、マイクロエマルジョン等)及びマクロエマルジョン等の薬剤形態をとり得る。医薬組成物の投与方法としては、静脈内、腹腔内、脳内、脊髄内、筋肉内、眼内、動脈内、胆管内、病変内経路による注入、注射、持続放出型システム製剤による方法が挙げられる。医薬組成物は、輸液により連続的に、または注射により投与できる。
本発明の医薬組成物は、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)などの造血器腫瘍や胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、中皮腫等の固形癌の治療、各腫瘍・固形癌の診断・検出のために使用される。特に、MAGE-A4陽性、HLA-A2陽性の造血器腫瘍・固形癌の治療・診断・検出に有用である。

【0020】
(3)本発明のキメラ抗原受容体
本発明は、前記(1)記載の抗原結合性フラグメントとシグナル伝達タンパク質の細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む。CARは、HLA-A2-MAGE-A4由来ペプチド複合体を特異的に認識・結合して、CARを発現する細胞にシグナル伝達できる。CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含む。細胞外ドメインには、本発明の抗原結合性フラグメントが含まれる。細胞外ドメインとHLA-A2-MAGE-A4複合体が特異的に結合すると、CARの細胞内ドメインを介して、細胞内にシグナルが伝達され、CARを発現している細胞を刺激する。刺激を受けた細胞は、サイトカイン等を産生し、複合体を発現している標的細胞に対し細胞傷害性を発揮し、又は他の免疫細胞の細胞傷害性を誘導できる。
CARの細胞内ドメインとして、同一分子内に存在する細胞外ドメインがMAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体と相互作用(結合)したときに、細胞内にシグナル伝達できるものが使用できる。そのようなシグナル伝達タンパク質としては、膜タンパク質、シグナル受容体、サイトカイン受容体から選択されるタンパク質が例示される。CARの細胞内ドメインは、CD3zeta(CD3ζ)、FCRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dに由来する一次細胞質シグナル伝達配列を含む細胞内ドメインが例示される。また、CD2、CD4、CD5、CD8α、CD8β、CD28、CD137(「4-1BB」ともいう)、CD134、ICOS、GITR及びCD154に由来する二次細胞質シグナル(共刺激シグナル)伝達配列を含む細胞内ドメインが例示される。さらに、IL-2受容体、IL-21受容体に由来する三次細胞質シグナル伝達配列を含む細胞内ドメインが例示される。

【0021】
CARの膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のα鎖、β鎖、CD3ζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137(「4-1BB」ともいう)、ICOS、CD154、GITRの膜貫通ドメインを使用できる。また、人為的に設計した配列でもよい。
本発明は、CARをコードする核酸を含む。CARをコードする核酸は、適当なプロモーターの制御下に発現されるように別の核酸と連結できる。プロモーターとしては構成的に発現を促進するもの、薬剤等(例えば、テトラサイクリン又はドキソルビシン)により誘導されるもの等のいずれも用いることができる。例えば、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、Xistプロモーター、β-アクチンプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター等の哺乳類由来プロモーター、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター、各種レトロウイルスのLTRプロモーター等のウイルス由来プロモーターを使用することができる。効率的な核酸の転写を達成するために、プロモーター又は転写開始部位と協同する他の調節要素(例えば、エンハンサー配列又はターミネーター配列)を含む核酸を連結してもよい。また、更に核酸の発現を確認するためのマーカーとなりうる遺伝子(例えば薬剤耐性遺伝子、レポーター酵素をコードする遺伝子、又は蛍光タンパク質をコードする遺伝子等)を組み込んでもよい。

【0022】
CARをコードする核酸は、前記のベクターを用いて細胞に導入できる。さらに、CARをコードする核酸は、医薬用組成物の有効成分として使用できる。CARをコードする核酸を含む医薬用組成物は前記(2)の記載に基づき、製造及び使用できる。
本発明の別の態様において、CARを発現する細胞が含まれる。当該細胞は、本発明のCARをコードする核酸を細胞に導入する工程により調製できる。CARを発現する細胞は、CARを介してHLA-A2-MAGE-A4複合体と結合することにより、細胞内にシグナルが伝達され活性化される。細胞の活性化は、宿主細胞の種類や細胞内ドメインにより異なるが、サイトカインの放出、細胞増殖率の向上、細胞表面分子の変化等を指標として確認できる。例えば、活性化された細胞からの細胞傷害性のサイトカイン(腫瘍壊死因子、リンホトキシンなど)の放出は、複合体を発現する腫瘍細胞の破壊をもたらす。また、サイトカイン放出や細胞表面分子の変化により、他の免疫細胞、例えば、B細胞、樹状細胞、NK細胞、マクロファージ等を刺激する。従って、CAR発現細胞は養子免疫療法、特にMAGE-A4陽性、HLA-A2陽性の腫瘍又は癌に対する養子免疫療法において有用である。

【0023】
CARをコードする核酸を細胞に導入する工程は、生体外(ex vivo)又は生体内(in vivo)で実施される。核酸を導入する細胞は、哺乳動物、例えばヒト由来の細胞又はサル、マウス、ラット、ブタ、ウシ、イヌ等の非ヒト哺乳動物由来の細胞が使用できる。細胞の種類としては、例えば、血液(末梢血、臍帯血など)、骨髄などの体液、組織又は器官より採取、単離、精製、誘導された細胞を使用できる。PBMC、免疫細胞[樹状細胞、B細胞、造血幹細胞、マクロファージ、単球又はNK細胞、血球系細胞(好中球、好塩基球、単球)]、造血幹細胞、臍帯血単核球、線維芽細胞、前駆脂肪細胞、肝細胞、血球細胞、皮膚角化細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、各種がん細胞株又は神経幹細胞を使用できる。本発明においては、特にT細胞、T細胞の前駆細胞(造血幹細胞、リンパ球前駆細胞等)、多能性幹細胞又はこれらを含有する細胞集団の使用が好ましい。T細胞には、CD8陽性T細胞、又はCD4陽性T細胞、制御性T細胞、細胞傷害性T細胞、腫瘍浸潤リンパ球が含まれる。T細胞及びT細胞の前駆細胞を含有する細胞集団には、PBMCが含まれる。本発明で使用する細胞は生体より採取されたもの、それを拡大培養したもの又は細胞株として樹立されたもののいずれでもよい。核酸を導入した細胞又は当該細胞より分化させた細胞を生体に移植することが望まれる場合には、その生体自身又は同種の生体から採取された細胞に核酸を導入することが好ましい。

【0024】
本発明のCARを発現する細胞は、対象に投与する前に適切な培地及び/又は刺激分子を使用して培養及び/又は刺激を行ってもよい。刺激分子にはサイトカイン類、適当なタンパク質、その他の成分が含まれる。サイトカイン類としては、例えばIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IFN-γ等が例示され、好適にはIL-2が例示される。IL-2の培地中の濃度としては、特に限定はないが、例えば、0.01~1×105U/mL、より好適には1~1×104U/mLである。また、適当なタンパク質としては、例えばCD3リガンド、CD28リガンド、抗IL-4抗体が例示される。また、この他、レクチン等のリンパ球刺激因子を添加することもできる。更に、培地中に血清や血漿を添加してもよい。これらの培地中への添加量は特に限定はないが、0~20容量%が例示され、培養段階に応じて使用する血清や血漿の量を変更できる。血清又は血漿濃度を段階的に減らして使用できる。血清又は血漿の由来としては、自己(培養する細胞と由来が同じであることを意味する)もしくは非自己(培養する細胞と由来が異なることを意味する)のいずれでも良いが、好適には安全性の観点から自己由来のものが使用される。
細胞の培養に使用される細胞培養用器材としては、特に限定はないが、例えば、シャーレ、フラスコ、バッグ、大型培養槽、バイオリアクター等を使用することができる。なお、バッグとしては、細胞培養用CO2ガス透過性バッグを使用することができる。また、工業的に大量の細胞集団を製造する場合には、大型培養槽を使用することができる。また、培養は開放系、閉鎖系のいずれでも実施することができるが、好適には得られる細胞集団の安全性の観点から閉鎖系で培養を行うことが好ましい。

【0025】
本発明には、CARを発現する細胞を有効成分として含有する医薬組成物が含まれる。本発明の医薬用組成物は、非経口的に投与する。非経口的な投与方法として、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、及び皮下投与などの方法が包含される。抗腫瘍作用を高めるため、髄膜腫又は近傍組織、例えば皮下に投与できる。投与量は、対象の状態、体重、年齢等応じて適宜選択される。通常、細胞数として、体重60kgに対し、1回当り、107~109細胞程度、好ましくは5×107~5×108細胞が投与される。医薬組成物は、1回又は複数回に渡って投与できる。医薬組成物は、非経口投与に適した形態、例えば注射又は注入剤とできる。医薬組成物は、適宜、薬理学的に許容できる賦形剤を含んでいてもよい。医薬組成物は、細胞を安定に維持するために、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、培地等を含んでもよい。培地としては、特に限定するものではないが、RPMI、AIM-V、X-VIVO10などの培地が一般的に挙げられる。

【0026】
<試験方法>
1.ヒト抗体ファージライブラリを用いた抗体スクリーニング
(1)pMHCビーズの作製
pMHCとしてのA2-MAGE-A4 20μgと、Streptavidinを結合させた磁気ビーズ200mgとを混合し、0.05%Tween/PBS(-)溶液にて4℃で通夜反応させた。これに3μLの2mMビオチン/PBS(-)を加え、1時間反応させた。これを0.05%Tween/PBS(-)溶液にて2回洗浄した後、0.05%Tween/PBS(-)溶液400μLに懸濁した。これを抗原ビーズとした。
(2)ヒト抗体ライブラリ
数十人の健常人由来の扁桃腺、臍帯血、末梢血、骨髄をもとにVHとVLをPCRにて増幅し、これをphagemidベクターpUC119上で組み合わせて 3.4×1012のレパトアのscFvとなるように調製し、M13 phageのcp3上にデイスプレイしたものをヒト抗体ライブラリとした。

【0027】
(3)ヒト抗体ライブラリを用いたスクリーニング、抗体の単離、cp3-培養上清の調整
反応液として3.4×1012cfuのヒト抗体ライブラリ溶液、 Streptavidin(Pierce) 100μg、A2-CMV tetramer 30μg、A2-Foxp69 tetramer 30μg、A2-IDOp41 tetramer 30μg、A2-IDOp195 tetramer 30μg、Gamma guard 20μg、2%BSA solution 100μL、10%TritonX100 65μL、1%TritonX100 / PBS 1000μLを作製し、室温で1時間回転混和した後、A2-MAGE-A4 tetramer を結合させた磁性ビーズ液100μlを混ぜて1時間回転混和した。その後、マグネットトラッパー(東洋紡)にて磁性ビーズをトラップしながら1%TritonX100/PBSにて5回洗浄したのちPBSにて1回洗浄した。これを培養したXL1-blueに加え、37℃にて1時間感染させた後、遠心して600μLの2×YTAG培地(200μg/mLアンピシリン、1% glucose / 2×YT)で懸濁し、YTAG寒天培地(200μg/mLアンピシリン、2% glucose / 普通寒天培地(日水))に蒔き、37℃で15時間培養した。コロニーを30mLの2×YTAG培地で回収し、そのうち200μLを20mLの2×YTAG培地に加え、30μLのヘルパーphage VCSMを加えた。37℃で30分感染させたのち、37℃で90分培養した。培養液に80mLの2×YTAG培地、50μg/mLカナマイシン60μL、1MIPTG 50μLを加え、28℃で20時間培養した。これを遠心して得られた上清に25mLのPEG溶液(20% PEG#600、2.5M NaCl)を入れて混和し、遠心して沈殿を回収し、これを1mL PBSにて懸濁したのち、フィルター滅菌した。以上の操作を2回繰り返し、2回目終了後、回収された大腸菌をYTAG寒天培地に蒔いた。30℃にて培養し、得られたコロニーをLB培地で30℃通夜培養、一部を使用してminiprep DNA kit(QIAGEN)にてDNAを抽出し、配列決定を行った。また、培養50μLを1.5mLの2×YTAI(0.5mMのIPTGを入れた2×YT培地)と混ぜ、30℃通夜培養したのち、遠心して上清をとった。これをcp3上清とした。これを用いてELISAを行った。

【0028】
2.Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)
(1)使用したMHC-ペプチド複合体(モノマー)
MAGE-A4 p230、MAGE-A4 p286、MAGE-A3 p195、CMV、MelanA、GP3、HTLV-1、NY-ESO-1 p157、NY-ESO-1 p159、Foxp3 p69、Foxp3 p127、Foxp3 p390 、IDO p41 、IDO p41、IDO p195及びIDOp199の各ペプチドがHLA-A*0201と結合したものを用いた。
(2)pMHCの固相化
PBS 50μLに懸濁した500ng neutraavidin(PIERCE社製)をMaxisop loose(Nunc)に入れ、4℃にて通夜振盪した。溶液を捨てた後、200μLの2%BSA/PBSを入れ、通夜静置し、ブロッキングを行った。溶液を捨てた後、HLA-A2-MAGE-A4 モノマー300ng/50μl PBSを入れ、4℃にて通夜振盪した。その後、PBSにて洗浄した。
陰性コントロールであるHLA-A2-CMV の固相化も同様にして行った。
(3)ELISA反応測定
固相化した抗原プレートに100μlのcp3培養上清を入れ、室温にて1時間振盪したのち、プレートをPBSにて洗浄し、0.05%Tween20/PBSにて2000倍希釈した抗cp3ウサギ抗体100μlを入れ、室温にて1時間振盪した。PBSにて洗浄後、0.05%Tween20/PBSにて4000倍希釈したHRP標識抗ウサギIgG(MBL社製) 100μlを入れ、室温にて1時間振盪した。PBSにて洗浄後、0.01%H2O2、 0.1M Na2PO4、 0.1M citric acid(pH5.1)にて懸濁させたOPD(WAKO社製)を反応させ、発色を確認したのち、2N H2SO4を添加して反応を停止させ、SpectraMaxM2(モレキュラーデバイス社製)にて490nmの波長にて吸光度を測定した。

【0029】
3.抗体の精製
(1)精製用ベクターへの乗せ換え
scFv-FLAG/Hisの形態とするため、His/FLAG発現ベクターに乗せ換えた。FLAG tagはFACSでの検出用に、His-tagはカラムでの精製用に、それぞれ用いた。
(2)形質転換
単離した抗体クローンDNAをSalI(タカラバイオ社製)にて消化後、T4 DNA ligaseにて連結反応を行ったのち、コンピテントセルDH5α( TOYOBO社製)にて形質転換を行い、これをLBGA プレートに蒔いた。30℃にて通夜培養し、得られたコロニーを2×YTAGにて培養した後、一部を2×YTAIにて培養、遠心して上清を調整した。
(3)scFv-FLAG/His発現の確認
抗原プレートに培養上清100μlを入れ、室温にて1時間振盪した後、PBSにて洗浄した。His-tagの発現確認の場合は、0.05%Tween20/PBSにて4000倍希釈したanti-His HRP標識抗体を反応させて室温にて1時間振盪した。FLAG-tagの発現確認の場合は、Anti-FLAG(DDDK)抗体、HRP標識抗体の順に反応させた。
抗原プレートをPBSにて洗浄した後、0.01% H2O2、 0.1M Na2HPO4、 0.1M citric acid (pH5.1)にて懸濁したOPD(WAKO社製)を反応させ、発色を確認した後、2N H2SO4を添加して反応を停止させ、SpectraMaxM2(モレキュラーデバイス社製)にて490nmの波長にて吸光度を測定した。

【0030】
(4)抗体の粗精製
前培養した菌液2mLを100mLの2×YTAIに入れ、30℃にて通夜培養した。これを遠心(8000rpm、10min、4℃)して、上清を回収し、飽和硫酸100mLを入れ、攪拌した。これを遠心(8000rpm、 20min、4℃)して、得られた沈殿をPBScomplete 10.5mLに懸濁した。これを遠心(12000rpm、1h、4℃)した後、上清にPBSにて平衡化したNi Sepharose excel(GE ヘルスケア)1mLを加え、4℃にて通夜培養した。サンプルをカラムに充填し、0.5MNaCl PBS 、20mMイミダゾール・0.5MNaCl PBSで洗浄し、250mMイミダゾール・0.5MNaCl PBSで溶出した。PBSにて透析を行い、透析終了後、アミコンウルトラ10K(ミリポア社製)にて濃縮した。サンプルの一部を用いてSDS-PAGEを行い、CBB染色をしてバンドを確認し、粗精製した抗体の蛋白濃度を判定した。
(5)AKTA Prime plus を用いたHis-tagタンパク質の精製
粗精製した抗体をAKTA Prime plus(GE ヘルスケア)によってHisTRAP カラムを用いて更に精製を行った。手順は付属のHis-tag精製プロトコルに従った。ピークが現れたフラクションを回収して、SDS-PAGEで確認した。

【0031】
4.解離定数(KD値)の測定
精製した抗体のKD値は、BiacoreX100(GEヘルスケア)を用いて測定した。リガンドの固相化にはBiotion capture kit(GEヘルスケア)を用いた。
(1)リガンドの固相化
センサーチップCAPにHLA-A2-MAGE-A4 p230 を固相化した。HBS bufferで200nMに調整し、適切なRU(resonance unit)となるよう固相化した。
(2)アナライト溶液の調整
精製した抗体をHBS EP + bufferにて12.5nM、25nM、50nM、100nM、200nMの濃度となるよう調整した。
(3)KD値の測定
センサーチップのフローセルにアナライト溶液を流し、180秒間の結合反応を測定した。次にHBS bufferに切り替えて300秒間の解離反応を測定した。測定はアナライトを低い濃度から連続して流すシングルサイクル法のプログラムを用いて行った。
全部の濃度について反応が終了したら、カーブフィッティングのプログラムを用いて結合定数を計算した。

【0032】
5.フローサイトメトリーによる解析(FACS)
(1)使用機器
フローサイトメトリーの測定には、FACS Calibur/FACS Cant /FACS CantII(BD)を用いた。
(2)使用した蛍光標識抗体
蛍光標識抗体として、表1に記載のものを用いた。

【0033】
【表1】
JP2018225732A1_000003t.gif
(3)テトラマーPE
テトラマーPE(Tetramer-PE)は、ストレプトアビジン-PEにビオチン化されたモノマーが4つ結合したものを意味しており、抗原特異的T細胞の検出に用いた。使用したテトラマーは、A2-MAGE-A4 p230テトラマーとA2-NY-ESO-1 p157テトラマーであった。

【0034】
6.HLA stability assayとscFv binding assay
(1)T2細胞(HLA-A*02+ヒトB-Tハイブリッドリンパ芽球細胞株)
T2細胞は、Transporter Associated with Antigen Processing(TAP)欠損株であり、細胞内タンパクがHLAに提示されないという特徴を持つ。
(2)T2細胞へのペプチドパルス
ヒトRPMI1640中で、終濃度10μMとなるようペプチドを加え、室温にて15分間置き、20%FCSヒトRPMI1640を、FCSが10%となるように加えた。CO2インキュベーターにて、37℃で45minインキュベートしたのち、二回洗浄を行った後、assayに用いた。
(3)HLA stability assay
ペプチドパルスを行ったT2細胞に、抗HLA-A2 Alexa Fluor488を1時間反応させ、FACSで検出することで、T細胞表面上で安定化したHLAの量を測定した。

【0035】
(4)scFv binding assay
ペプチドパルスを行ったT2細胞に、取得した抗体を1時間反応させ、抗FLAG抗体を1時間、抗マウスFITC抗体を1時間反応させ、FACSで検出した。
(5)1アミノ酸置換ペプチドとリスクペプチド
表2に示すように、MAGE-A4p230-239の10個のアミノ酸配列のうち、1箇所のアミノ酸をアラニン(A)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)で置換した1アミノ酸置換ペプチドを合成し、各ペプチドのIC50を調べた。各ペプチドはDMSOで終濃度10mMとなるように調整した。
MHC IC50はIEDB (http://tools.immuneepitope.org/processing/)により計算される理論値で、数字が低いほどHLA-A*0201とペプチドとの結合が強いことを示している。
表2には、1アミノ酸置換ペプチドのアミノ酸配列とIC50を示した。

【0036】
【表2】
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表3には、MAGE family ペプチドとMAGE#17抗体の認識に関与するアミノ酸から、BLASTサーチによって洗い出したリスクペプチドのアミノ酸配列とIC50値を示した。

【0037】
【表3】
JP2018225732A1_000005t.gif

【0038】
7.CARのコンストラクトとベクターの構築
(1)MAGE#17 28z CAR
図1には、CARのコンストラクトの配列イメージを示した。このコンストラクトには、5'側から、Leader、VH、VL、CL、CD28TM、CD28ICD(CD28の細胞内ドメイン)及びCD3zeta(CD3ζ)鎖が連結されている。このうち、VH、VLがMAGE♯17 scFvである。
(2)CARの構築
図2には、CARの構築ステップを模式的に示した。各ステップを説明すると、次の通りである。
まず、scFv-cp3を鋳型としてPCR反応により、VH-VLの5'側にEcoRI認識部位を持つLeaderを、3'側にAscI認識部位を持つCLをそれぞれ付加した。次に、このPCR産物をEcoRIとAscIで処理したフラグメントと、28z CARベクターをEcoRIとAscIで処理したフラグメントとをリガーゼで反応し、CAR 28zを得た。

【0039】
8.ヒトリンパ球調整
ヒトリンパ球は、健康なドナーから提供を受けた血液より、Ficoll-PaqueTM PLUS(17-1440-03、GE Healthcare)を用いてPBMC(Peripheral Blood Mononuclear cells)を分離することによって得た。本研究に用いたヒト末梢血等の検体の採集、解析はヘルシンキ宣言に従って行なわれ、全て三重大学医学部研究倫理委員会にて承認されたプロトコルに従い、被験者本人の書面による同意書を得て実施された。
採取した検体は、本人特定不可能な暗号化がなされ盗難防止処置を施した冷蔵庫、液体窒素タンクに保存した。被験者個人情報に関しては匿名化され、個人のプライバシー、遺伝子解析の結果が外部に漏洩されないよう厳重な注意、処置が施行された。

【0040】
9.エレクトロポレーション法による細胞へのmRNA導入
(1)mRNAの作製
作製したCARのDNAを一本鎖に切断し、linear DNA テンプレートを作製した。Wizard SV Gel and PCR Clean-UP System (Promega)のキットを用いてDNAの精製を行った。精製したサンプルをmMESSAGEmMACHINE T7 Ultra Kit(Life technologies)を用いてmRNAの作製を行った。
(2)バイオアナライザーによるチェック
バイオアナライザー(Agilent Technologies)を用いて、mRNAのpolyA付加を確認した。
(3)PBMC培養プレートの作製
Anti-CD3抗体(OKT-3 eBioscience)を終濃度5μg/mL、RetroNectin(タカラバイオ)を終濃度25μg/mLになるようにACD-A液(TERUMO)にて希釈したのち、12 well plate (Nunc)の各wellに対して400μLを入れ、CO2インキュベーターにて37℃、5-10時間静置した。

【0041】
(4)CM(caluture medium)の作製
リンパ球用培地GT-T503 50mLに対し、human IL-2(600IU)を50μL、アルブミナー(25% HSA)400μL、リンパ球ドナーのplasma 300μLを加えたものをPBMC培養の培地とした。
(5)PBMCの分離及び培養
健常人血液よりFicollを用いて分離した末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells、PBMC)を2×105個/mLとなるようにCMで懸濁し、2.5mLをプレートに入れ、CO2インキュベーターにて37℃、4日間培養した。
(6)エレクトロポレーション
分離10日後のPBMCに、作製したmRNAをエレクトロポレーションで導入した。導入後、24時間以内にassayに用いた。

【0042】
10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入(感染実験)
(1)Packaging細胞 plat-Aによるレトロウイルスの作製
Packaging細胞 plat-AにFuGENE(promega)を用いてCARの遺伝子を導入し、二日間培養したのち、上清を回収してウイルス液とした。
(2)PBMCの分離及び培養
上記9.(3)~(5)と同様の手順に従った。
(3)レトロウイルス感染用plateの作製
RetroNectinをACD-A液で希釈し、終濃度20μg/mLとなるよう調整した。これを24 well plateの各wellに対して500μL入れ、4℃にてO/Nで静置した。ウイルス液を乗せる前にACD-Aで二回洗浄した。

【0043】
(4)感染用レトロウイルスplate調整、細胞への感染
上記10.(1)作製したウイルス液を1mLずつレトロウイルス感染用plateに乗せ、2000×g 、2時間、32℃にて遠心し、ウイルスをプレートにコートした。続いてこれを1.5%アルブミナー/ PBSにて二回洗浄した。
(5)PBMCのレトロウイルス感染 CAR-T細胞の作製
上記10.(2)で培養したPBMCを回収し、4×105個/mLとなるようにCMで希釈したのち、950μlをレトロウイルス感染用plateに蒔き、1000×g 、10分間、32℃にて遠心した後、CO2インキュベーターにて37℃で培養した。
作製したCAR-T細胞はPBMCの分離から数えて12~14日目にassayに用いた。
(6)コントロール細胞の作製
上記10.(2)で培養したものの一部をコントロール細胞(遺伝子導入操作なし細胞)として使用した。

【0044】
11.in vitro実験に用いたtumor cell lineの特徴
本実施形態において、in vitro実験に用いた細胞株の特徴を表4に示した。
【表4】
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【0045】
12.IF-γ release assay
eBioscienceのkitを用いて、培養液中に含まれるIFN-γの量をELISAにて測定した。
10×Coating bufferを精製水にて10倍希釈し、Coating bufferを調整した。Coating buffer 12mLに対し、一次抗体を48μL添加し、96well平底プレートに100μL/wellずつ添加した。これを4℃にて、一晩静置した後、0.05% PBS-Tで5回洗浄した。5×Assay diluentsを精製水にて5倍希釈し、Assay diluentsを調整した。Assay diluents 200μL/wellずつ加えた。室温にて1時間ブロッキングした後、0.05% PBS-Tで5回洗浄した。IFN-γは最高濃度を1000pg/mLに調整し、これを2倍ずつ7段階で希釈し、スタンダードとした。サンプルとスタンダードをプレートに載せ、室温にて2時間反応させた後、0.05% PBS-Tで5回洗浄した。Assay diluents 12mLに対し、二次抗体を48μL添加し、100μLずつwellに加えた。室温にて1時間反応させた後、0.05% PBS-Tで5回洗浄した。Assay diluents 12mLにStreptavidin-HRPを48μL添加し、100μL/wellずつ加えた。暗所、室温にて30分間反応させた後、0.05% PBS-Tで7回洗浄した。TMB substrate solutionを100μLずつ加え、暗所、室温にて15分間反応させた後、0.18M H2SO4を50μLずつ加えて反応を止めた。直ちに、microplate reader Model 680(Bio-Rad)にて波長450nmにて計測した。

【0046】
13.intracellular cytokine staining(ICS)
ターゲット細胞を1×105個/mL、エフェクター細胞を1×105個/mLとなるよう調整した。APC Anti human CD107aを1サンプルあたり0.5μL添加して、ターゲット細胞:エフェクター細胞=1:1で96well plate(U)にて、37℃にて 1時間共培養を行った。その後、各wellに対し、0.7μLずつgolgistop(Protein Transport Inhibitor)を添加し、37℃にて4時間培養した。各wellの細胞をV型96well plateに移し、1200rpm 5分間 4℃にて遠心を行ったのち、0.5%BSA/PBSにて2回洗浄した。APC-cy7 Anti-Human CD4及びFITC Anti-human CD8を各wellに対し、0.5μLずつ添加して、遮光にて氷上に20分間静置し、0.5%BSA/PBSにて2回洗浄を行った。細胞固定液(cytofixl cytoperm:BD)を100μL添加し、遮光条件にて氷上の20分間静置した後、perm/wash(BD)100μLを添加して遠心した。その後、perm/wash液にて、2回の洗浄を行った。各well 0.5μLずつV450 IFN-γ、PE-Cy7 TNF-αを添加した。遮光条件下、氷上にて30分間静置した後、0.5%BSA/PBSにて2回の洗浄を行った。その後、FACSCanto IIフローサイトメーター(BD)で測定を行い、FACS Diva Software(BD)にて解析を行った。

【0047】
14.APCによるロングペプチドの取り込み クロスプレゼンテーション
(1)MAGE-A4ロングペプチド
MAGE-A4ロングペプチドのアミノ酸配列は、NYKRCFPVIF GKASEGVYDG REHTVYGEPR KAETSYVKVL EHVVRVNARV RI(配列番号28)であり、分子量は6006.811であった。このロングペプチドは、A24 MAGE-A4 143-151エピトープ(NYKRCFPVI:配列番号29)、A2 MAGE-A4 230-239エピトープ(GVYDGREHTV:配列番号1)及びヘルパーエピトープ(AETSYVKVLE HVVRVNARVR I:配列番号30)を連結して設計した。
(2)CHP-ロングペプチド
CHP-ロングペプチドは、ドラックデリバリーシステムであるCHPナノゲルにMAGE-A4 ロングペプチドが包まれたものを意味する。この物質を用いることにより、細胞性免疫誘導が期待できる(非特許文献5)。
(3)CD3 negative beads selection
ヒトリンパ球を1×107個当たり2% FCS/PBS 80μLに懸濁した。ここにCD3 Micro Beads(Miltenyi Biotec)を20μL加え、よく混合した。遮光状態とし、4℃にて15分間反応させた後、10倍量の2% FCS/PBSで洗浄した。細胞を2% FCS/PBS 3mLに懸濁して細胞懸濁液とした。MACSカラムをセットしたMACS Separatorに細胞懸濁液を通した。カラムをすり抜けた分画をCD3 陰性分画とし、APCとして用いた。

【0048】
15.Cytotoxicity assay
(1)Cr release assay
標的細胞を遠心で集め、100% FCSにて1×106細胞が50μLに懸濁されている状態とした。これに、50μCi(3.7×106Bq)の51Crを添加し、CO2インキュベーターにて37℃にて1時間培養した。エフェクター細胞はETratioに応じて10% FCS・RPMI1640で細胞数を調整し、U字型96well plateに播種した。培養終了後、10% FCS・RPMI1640にて3回洗浄した。細胞を1×105個/mLとなるよう10% FCS・RPMI1640にて懸濁し、1×104個/100μL/wellとなるように、U字型96well plateに播種した。CO2インキュベーターにて37℃にて、8時間培養した。培養終了後、1200rpm、5分間、4℃の遠心を行い、読み取り用のプレートに上清を30μLずつ移し、一晩風乾により乾燥させた。51Crの量をシンチレーションカウンターMicroBeta2(パーキンエルマー)によって測定した。細胞傷害活性の計算は、下記式によって求めた。最大リリース値(maximam release)は、1% NP-40を100μL添加したときの測定値とした。
細胞傷害活性(%)=100×(測定値(cpm)-自発リリース値(cpm))/(最大リリース値(cpm)-自発リリース値(cpm))

【0049】
16.NOGマウスを用いたin vivoがん治療モデル実験
(1)使用マウス
NOGマウス(NOD/Shi-scid、IL-2RγKO Jic)は日本クレア株式会社より購入した。実験には雌のマウスを用い、7-8週齢で実験に使用した。実験動物を用いたT細胞輸注療法、遺伝子免疫療法の研究は、三重大学の組換えDNA実験審査委員会、三重大学医学部研究倫理委員会、動物実験審査委員会において承認を受けた。マウスは、三重大学生命科学研究支援センター動物実験施設において飼育した。
(2)ヒト腫瘍の移植と放射線全身照射(TBI)
前処置として、細胞輸注の前日にNOGマウスに放射線全身照射(TBI)2.5Gyを行った。この前処置により、レシピエント体内のリンパ球数を減少させ、輸注したドナーリンパ球が生着しやすい状態とした。輸注したCAR-T細胞およびヒトリンパ球は1×107個/匹とした。各細胞は、尾静脈よりNOGマウスに輸注した。体重は2-3日おきに測定した。
NOGマウスへの腫瘍の移植は、CAR-T細胞を輸注する7日前に行い、マウス右体側にNW-MEL-38(A2陽性 MAGE-A4 陽性)を2.5×106個/匹、マウス左体側にHCT116(A2陽性 MAGE-A4 陰性)を2.5×106個/匹で皮下注射した。腫瘍径は2-3日おきに測定した。

【0050】
(3)輸注細胞の作製
輸注用のCAR-T細胞は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従って作製した。
(4)眼窩採血によるマウス末梢血中のPBMC分離
マウスの眼窩から末梢血を採取し、Ficollを用いてPBMCを分離した。A2-MAGE-A4テトラマー、ヒトCD4CD8蛍光抗体を用いて染色し、FACSで輸注した細胞を確認した。
(5)TIL (tumor infiltrating lymphocytes)の確認
マウスから採取した腫瘍をすりつぶし、A2-MAGE-A4テトラマー、ヒトCD4CD8蛍光抗体を用いて染色し、FACSで輸注した細胞を確認した。
(6)免疫染色
マウスから切除したがんを液体窒素で凍らせ、クライオスタットで凍結切片を作製した。DAPI、ヒトCD4-FITC、ヒトCD8-FITCによって染色を行い、蛍光顕微鏡で観察した。

【0051】
17.zG型CAR導入CD8陽性T細胞および4-1BBz型CAR導入CD8陽性T細胞を用いたインビトロ試験
ICD部分の相違によるCAR-T細胞の効果を確認した。具体的には、CD28のもの(28z)から、GITRのもの(zG)およびCD137のもの(4-1BBz)としたものを作製し、その効果を確認した。CAR zGは、図21に示すように、ICDとしてCD28のものに代えて、GITR(グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体)を用いた。同様に、CD28のものに代えて、CD137(4-1BBz)のものを用いた。
コントロールとして、CAR非導入CD8陽性T細胞(NGMC)を使用した。

【0052】
<試験結果>
1.HLA-A2-MAGE-A4を認識する抗体の単離と評価
MAGE-A4(HLA-A2-MAGE-A4)は、メラノーマでの発現が高いことが知られている。そこで、MAGE-A4を認識する複数の抗体をヒト抗体ライブラリを使用したスクリーニングによって単離した。抗体の単離には、ファージディスプレイ法を用いた。この方法では、ファージコートタンパクcp3の一部としてscFvが提示され、抗原に対して結合性の高いクローンをELISAによって絞り込むことができる。約1500のクローンをピックアップし、scFv-CP3の状態でELISAを行った。ポジティブターゲットであるHLA-A2-MAGE-A4に反応し、ネガティブターゲットであるA2-CMVに反応しないものを選択した。選択した抗体について、結合特異性の検討を行うため、複数のペプチド-MHC複合体(pMHC)を用いてELISAを行った。HLA-A2-MAGE-A4 p230、MAGE-A4 p286、MAGE-A3 p195、CMV、MelanA、GP3、HTLV-1 p11、NY-ESO-1 p157、NY-ESO-1 p159、Foxp3 p69、Foxp3 p127、Foxp3 p390、IDO p41、IDO p41、IDO p195、IDO p199の各pMHCモノマーを固相化し、選択した抗体でELISAを行った。図3には、ELISAの結果の一例を示した。

【0053】
HLA-A2-MAGE-A4に強い結合性を示すクローンの配列を比較した結果、HLA-A2-MAGE-A4に対して特異的な反応を示す15個のクローンを得た。このうち、結合力の高いクローン5個のクローン、すなわちMAGE♯17、♯86、♯209、♯345、♯672を候補のクローンとして解析を進めた。
次に、MAGE#17抗体について、BiacoreX100によるKD値の測定を行った。BiacoreでのKD値測定は、時間経過に対する検出感度(レゾナンス、チップ上の質量変化を反映する)の動的変化を測定することによって求めた。動的変化のカーブから解離速度定数(Kd)と結合速度定数(Ka)を求め、その2つの定数の比からその結合定数を求めた。測定の結果、MAGE#17の結合定数は22nMであった(図4)。

【0054】
2.取得した抗体のA2-MAGE-A4複合体に対する認識特異性とリスク抗原に対する検討
T2細胞は、Transporter Associated with Antigen Processing(TAP)欠損株であり、細胞内タンパクがHLAに提示されない。T2細胞にペプチドをパルスすると、T2上のHLAが安定化するので、蛍光標識された抗HLA抗体を用いることにより、HLA発現量を確認でき、そのペプチドがHLAにどの程度結合しているのかがわかる。
MAGE-A4p230、CMV、DMSOの各ペプチドをパルスしたT2細胞に、取得した抗体MAGE #17、#86、#209、#345、#672を反応させ、FACSにてシフト量を確認した。MAGE-A4 p230をパルスしたT2細胞においてのみ、取得した抗体クローンMAGE#17、#86、#209、#345、#672の全てにおいてシフト量の変化が確認された(図5)。
次に、抗体の認識に関与するアミノ酸を調べるため、MAGE-A4 p230(GVYDGREHTV:配列番号1)のアミノ酸を1個ずつ別のアミノ酸(主としてアラニン)に置換したペプチドを作製し、HLA-A*0201との結合力をIEDB( Immune Epitope Database)を用いて調べ、MHC IC50を求めた(表2)。MHC IC50はIEDBにより計算される理論値で、数字が低いほどHLA-A*0201とペプチドとの結合が強いことを示す。T2細胞にアラニン置換したペプチドをパルスし、T2細胞表面上のHLAの量をFACSで測定した(図6)。ペプチドが強くHLAに結合するほど、peptide-HLAの構造が安定化し、FACSのシフト量が増加するので、MFIの値はペプチドとHLAの結合力の指標となる。一部のペプチドを除き、MFIの値とMHC IC50値とは、相互に対応した。

【0055】
次に、T2細胞にアラニン置換したペプチドをパルスし、MAGE#17を反応させ、抗体の認識に関与するアミノ酸を調べた(図7)。1A、2A、3A、4A、5A、6A、8AでMFIの値が低下したので、この7つのアミノ酸が認識に関与していると判断した。GVYDGRxHxx のアミノ酸配列でBLASTサーチをかけ、リスクとなるペプチドを抽出した(表3)。リスクペプチドをT2細胞にパルスし、T2細胞表面上のHLAの量をFACSで測定した。図6に示す結果と同様に、MFIの値はMHC IC50の値と対応していた(図8)。
次に、リスクペプチドをT2細胞にパルスし、MAGE#17を反応させ、リスクペプチドを認識しないことを確かめた(図9)。同様のアッセイを他のクローン#86、#209、#345、#672でも実施した結果、認識に関与するアミノ酸の数が一番多かったクローンが#17であった。このため、MAGE#17を最終的な候補とした。

【0056】
MAGE#17の塩基配列(配列番号31)とペプチド配列(配列番号32)を示した。
MAGE#17の塩基配列(配列番号31):CAGGTCCAGC TGGTACAGTC TGGGGCTGAG GTGAAGAAGC CTGGGTCCTC GGTGAAGGTC TCCTGCAAGG CTTCTGGAGG CACCTTCAGC AGCTATGCTA TCAGCTGGGT GCGACAGGCC CCTGGACAAG GGCTTGAGTG GATGGGAGGG ATCATCCCTA TCTTTGGTAC AGCAAACTAC GCACAGAAGT TCCAGGGCAG AGTCACGATT ACCGCGGACA AATCCACGAG CACAGCCTAC ATGGAGCTGA GCAGCCTGAG ATCTGAGGAC ACGGCCGTGT ATTACTGTGC GAGATCCCCC CGGCGGGCAT ATCATGATGC TTTTGATATC TGGGGCCAAG GGACAATGGT CACCGTCTCT TCAGGTGGAG GCGGTTCAGG CGGAGGTGGC AGCGGCGGTG GCGGGAGTTC CTATGAGCTG ACTCAGCCAC CCTCGATGTC AGTGGCCCCA GGAAAGACGG CCAGCATTAC CTGTGGCGGA GACCATATTG GAAGTAAAAG TGTTCACTGG TACCAGCAGA AGCCAGGCCA GGCCCCTGTA CTGGTCGTCT ATGATGATAG CGACCGGCCC TCAGGGATCC CTGAGCGATT CTCTGGCTCC AACTCTGGGA ACACAGCCAC TCTGACCATC AGCGGGACCC AGGCTATGGA TGAGGCTGAC TATTACTGTC TGGCGTGGGA CAGCAGCACT GCGATCTTCG GCGGAGGGAC CAAGCTGACC GTCCTC。

【0057】
MAGE#17のアミノ酸配列(配列番号32):QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS SYAISWVRQA PGQGLEWMGG IIPIFGTANY AQKFQGRVTI TADKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARSP RRAYHDAFDI WGQGTMVTVS SGGGGSGGGG SGGGGSSYEL TQPPSMSVAP GKTASITCGG DHIGSKSVHW YQQKPGQAPV LVVYDDSDRP SGIPERFSGS NSGNTATLTI SGTQAMDEAD YYCLAWDSST AIFGGGTKLT VL。
上記各配列は、下記に示すように、VH(配列番号33)、sc(配列番号34)及びVL(配列番号35)の塩基配列、並びにVH(配列番号36)、sc(配列番号37)及びVL(配列番号38)のアミノ酸配列を結合したものとなっている。
VHの塩基配列(配列番号33):CAGGTCCAGC TGGTACAGTC TGGGGCTGAG GTGAAGAAGC CTGGGTCCTC GGTGAAGGTC TCCTGCAAGG CTTCTGGAGG CACCTTCAGC AGCTATGCTA TCAGCTGGGT GCGACAGGCC CCTGGACAAG GGCTTGAGTG GATGGGAGGG ATCATCCCTA TCTTTGGTAC AGCAAACTAC GCACAGAAGT TCCAGGGCAG AGTCACGATT ACCGCGGACA AATCCACGAG CACAGCCTAC ATGGAGCTGA GCAGCCTGAG ATCTGAGGAC ACGGCCGTGT ATTACTGTGC GAGATCCCCC CGGCGGGCAT ATCATGATGC TTTTGATATC TGGGGCCAAG GGACAATGGT CACCGTCTCT TCA。

【0058】
sc部分の塩基配列(配列番号34):GGTGGAGGCG GTTCAGGCGG AGGTGGCAGC GGCGGTGGCG GGAGTTCCTA T。
VL部分の塩基配列(配列番号35):GAGCTGACTC AGCCACCCTC GATGTCAGTG GCCCCAGGAA AGACGGCCAG CATTACCTGT GGCGGAGACC ATATTGGAAG TAAAAGTGTT CACTGGTACC AGCAGAAGCC AGGCCAGGCC CCTGTACTGG TCGTCTATGA TGATAGCGAC CGGCCCTCAG GGATCCCTGA GCGATTCTCT GGCTCCAACT CTGGGAACAC AGCCACTCTG ACCATCAGCG GGACCCAGGC TATGGATGAG GCTGACTATT ACTGTCTGGC GTGGGACAGC AGCACTGCGA TCTTCGGCGG AGGGACCAAG CTGACCGTCC TC。
VH部分のアミノ酸配列(配列番号36):QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS SYAISWVRQA PGQGLEWMGG IIPIFGTANY AQKFQGRVTI TADKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARSP RRAYHDAFDI WGQGTMVTVS S。
sc部分のアミノ酸配列(配列番号37):GGGGSGGGGS GGGGSSY。
VL部分のアミノ酸配列(配列番号38):ELTQPPSMSV APGKTASITC GGDHIGSKSV HWYQQKPGQA PVLVVYDDSD RPSGIPERFS GSNSGNTATL TISGTQAMDE ADYYCLAWDS STAIFGGGTK LTVL。

【0059】
3.MAGE#17 CARはターゲットがん細胞を特異的に認識してIFN-γの産生が増大した
抗体クローンMAGE#17の特異性が確認できたので、MAGE#17をCARのベクターへと乗せ換えた。次に、mRNAを調整しバイオアナライザーで確認したのち、エレクトロポーレーション法により、ヒト末梢血リンパ球(PBMC)にCARの遺伝子を導入した。導入したCARが正常に発現しているか否かをテトラマー染色によって確認した。その結果、CAR-T細胞のCAR陽性率はCD8で98.8%、CD4で98.5%であった(図10)。CAR-T細胞とペプチドパルスを行ったT2細胞を24時間共培養し、培養上清中に含まれるIFN-γを測定したところ、MAGE-A4をパルスしたT2細胞特異的にIFN-γの産出が増大した。コントロール細胞(遺伝子導入していない細胞)を用いて、同様の試験を行った。また、ターゲット細胞であるA2陽性MAGE-A4陽性のNW-MEL-38、LB-23では、オフターゲットであるLC-1/sq、MEL72と比較して、腫瘍特異的なIFN-γの産出が見られた(図11)。

【0060】
mRNAによるCARの発現は一過性のものであるため、恒常的なCARの発現のためにレトロウイルスによる遺伝子導入を行った。CAR導入のレトロウイルスベクターを構築し、packaging 細胞 plat-Aによりレトロウイルスを作製し、PBMCに感染させることで、CAR-T細胞を作製した。遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。CARの発現を、テトラマー染色によって確認した。その結果、CAR-T細胞のCAR陽性率はCD8で59.3%、CD4で49.5%であった(図12)。
レトロウイルスにより遺伝子導入したCAR-T細胞とペプチドパルスを行ったT2細胞を24時間共培養し、培養上清中に含まれるIFN-γを測定したところ、MAGE-A4をパルスしたT2細胞特異的にIFN-γの産出が増大した。コントロール細胞(遺伝子導入していない細胞)を用いて、同様の試験を行った。また、ターゲット細胞であるA2陽性MAGE-A4陽性のNW-MEL-38、LB-23では、オフターゲットであるLC-1/sq、MEL72と比較して、腫瘍特異的なIFN-γの産出が見られた(図13)。mRNA、レトロウイルスベクターによるCAR遺伝子の導入で、両者ともにCARが発現し、特異的に腫瘍を認識し、IFN-γを産出することが確認できた。

【0061】
4.MAGE#17 CARを遺伝子導入したCAR-T細胞は、ターゲットがん細胞を特異的に認識して細胞障害性活性を示した
CAR-T細胞は、がん細胞上に発現しているA2-MAGE-A4を抗原として認識して活性化し、細胞傷害活性を発揮して標的細胞を傷害することが期待された。T細胞の活性化の指標として知られている分子として、IFN-γ、 TNF-α、 CD107aなどがあり、これらはT細胞の活性化に伴って発現が亢進する。そこで、ペプチドパルスしたT2細胞、ターゲット細胞と共培養したMAGE#17CARの細胞内サイトカイン染色(intracellular cytokine staining : ICS)を行った。
その結果、MAGE-A4p230をパルスしたT2細胞との共培養で、IFN-γ、 TNF-α、 CD107aで染まるCAR-T細胞の割合が増加した(図14)。また、ターゲット細胞との共培養では、A2陽性MAGE-A4陽性のNW-MEL-38、LB-23との共培養において、IFN-γ、 TNF-α、 CD107aで染まるCAR-T細胞の割合が増加した(図15)。

【0062】
5.MAGE-A4 Long ペプチドを取り込んだ抗原提示細胞(antigen presenting cell : APC)の抗原提示によって、CAR-T細胞のIFN-γの産生が増大した
健常人の末梢血からPBMCを分離し、CD3 magnet beadsを用いて、ネガティブセレクションを行い、CD3-の分画を抗原提示細胞(antigen presenting cell : APC)として用いた。MAGE-A4p230が提示されるAPCとしてA2-APC、ネガティブコントロールのAPCとしてA24-APCを用いた。MAGE-A4 Longペプチド、CHP-MAGE-A4 Longペプチドを終濃度10μMとなるよう加え、一晩培養を行い、CAR-Tと24時間共培養した。CAR-T細胞への遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。その結果、A2-APCにMAGE-A4 Longペプチドをパルスしたものとの共培養で、培養上清中に含まれるIFN-γの値が上昇した(図16)。
MAGE-A4 LongペプチドがAPCに取り込まれ、MAGE-A4p230がMHC-class Iにクロスプレゼンテーションされ、それを認識したCAR-TのIFN-γ産生が特異的に増大することが確認された。一方、ドラッグデリバリーシステムであるCHPナノゲルに包まれたCHP-MAGEA4ロングペプチドにおいてはIFN-γの特異的な産生は見られなかった。

【0063】
6.MAGE#17 CARを遺伝子導入したCAR-T細胞はターゲットがん細胞を特異的に傷害した
51Cr release assayによりMAGE#17CARの特異的な細胞障害活性が起こるか否かを確認した。CAR-T細胞とターゲットのがん細胞の比率をET ratio(effector/ターゲット ratio)とし、クロムを取り込ませたターゲットのがん細胞とCAR-T細胞をET ratio 10:1、3:1、1:1で8時間共培養し、上澄みに含まれる51Crの放射線量の値から、細胞障害率(%lysis)を求めた。CAR-T細胞への遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。
その結果、MAGE-A4 p230 ペプチドをパルスしたT2細胞でMAGE-A4特異的な細胞障害が確認された(図17)。また、ターゲット細胞においても、A2陽性MAGE-A4陽性のNW-MEL-38に特異的な細胞障害が確認された(図18)。

【0064】
7.マウスがん治療モデル
(1)NW-MEL-38及びHCT116を用いたモデル
NOGマウスはコモンγレセプターを欠損しているので、NK細胞が存在しない。このため、ヒト細胞やヒト組織の生着性がNOD-SCIDマウスと比べて著しく高く、ヒトのがんやヒト正常組織を高率に生着させられる。また、ヒト造血幹細胞移植後に、ヒトT細胞の分化が認められることから、ヒト免疫系モデルマウスとしての需要が高まっている。NOGマウスの特徴として、T細胞及びB細胞の欠失、ナチュラルキラー(NK)細胞の欠失、樹状細胞機能の低下、マクロファージ機能の低下、補体活性の欠失、老化に伴うT細胞及びB細胞の漏出(leakiness)が認められないことが挙げられる。
NOGマウスについて、右体側にNW-MEL-38(A2陽性MAGE-A4陽性)を2.5×106個/匹、左体側にHCT116(A2陽性 MAGE-A4陰性)を2.5×106個/匹で皮下注射した。腫瘍移植後6日目に、前処置として、放射線全身照射(TBI)2.5Gyを行った。TBIにより、レシピエント体内でのリンパ球数を減少させ、輸注したドナーリンパ球が生着しやすい状態とした。7日目にMAGE#17 CAR-T細胞およびヒトリンパ球を細胞数1×107個/匹で、尾静脈より輸注した。CAR-T細胞への遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。CAR陽性率はCD8 36.3%、CD4 38.5%であった(図19)。
CAR-T細胞輸注群(n=2)、ヒトリンパ球(CAR非導入)輸注群(n=2)、 PBS群(n=2)で実験を行い、腫瘍径と体重を2-3日おきに測定した。測定は腫瘍移植後42日目まで行った。
その結果、CAR-T細胞輸注群では、マウス#1とマウス#2でNW-MEL-38(A2陽性MAGE-A4陽性)の増殖抑制が認められた。一方、HCT116(A2陽性 MAGE-A4陰性)の増殖抑制は認められなかった。マウス#1は腫瘍移植34日後に死亡した。死亡原因は腫瘍死ではなく、感染の可能性が高いと考えられた(図20)。

【0065】
(2)細胞内ドメイン(ICD)の相違による効果確認試験
次に、ICD部分の相違によるCAR-T細胞の効果を確認した。CAR zGの遺伝子配列イメージを図21に示した。CAR zGでは、ICDとして、CD28のものに代えて、GITRのものを用いた。GITRは、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体のことを意味しており、このICRを用いたCARでは、CARの発現量に対するサイトカイン産生量が高く成り得ることが知られている(WO2013051718)。CAR zGは、図2のCAR 28zにおいて、CD28 ICD部分を別のICDであるGITR ICDに変更し、CAR 28zにおけるCD3ζとICDドメインの順序を変更したものである。その他の部分は、CAR 28zと同様の配列を持ったものを用いた。
NOGマウスについて、NW-MEL-38(A2陽性MAGE-A4陽性)を2.5×106個/匹で皮下注射した。腫瘍移植後3日目に、前処置として、放射線全身照射(TBI)2.0Gyを行った。4日目に、下記に示すA群~C群(n=4)のそれぞれに細胞またはPBSと、ヒトリンパ球を細胞数4×106個/匹で、尾静脈より輸注した。CAR-T細胞への遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。A群にはPBS、B群にはMAGE#17 CAR-T細胞(28z)、C群にはCAR-T細胞(zG)を投与した。
A群~C群について、腫瘍径と体重を2-3日おきに測定した。測定は腫瘍移植後24日目まで行った。
その結果、ICHが28z及びzGのいずれのCAR-T細胞を輸注した場合にもNW-MEL-38(A2陽性MAGE-A4陽性)の増殖抑制が認められた(図22)。このように、本実施形態では、細胞内ドメインを変更した場合にも同様の効果が得られることが分かった。

【0066】
8.zG型CAR導入CD8陽性T細胞および4-1BBz型CAR導入CD8陽性T細胞の効果確認試験
(1)zG型CAR及び28z型CARを導入したレトロウイルスベクターを構築し、packaging 細胞 plat-Aによりレトロウイルスを作製し、PBMCに感染させることで、CAR-T細胞を作製した。遺伝子導入は、上記「10.レトロウイルスによる細胞への遺伝子導入」の方法に従った。CARの発現を、テトラマー染色によって確認した。その結果、zG型CAR-T細胞のCAR陽性率はCD8で99.1%、28z型CAR-T細胞のCAR陽性率はCD8で99.8%であった(図23)。
(2)レトロウイルスにより遺伝子導入したCAR-T細胞(4×104個)とペプチドパルスを行ったT2細胞、及び各種細胞株NW-MEL-38、SK-MEL-37、HCT116(それぞれ2×105個)を18時間共培養し、培養上清中に含まれるIFN-γを測定した。図24に示すように、zG型CARおよび28z型CARを導入したCAR-T細胞では、MAGE-A4をパルスしたT2細胞とNW-MEL-38細胞及びSK-MEL-37細胞に特異的にIFN-γの産出が増大した。
コントロール細胞(遺伝子導入していない細胞)を用いて、同様の試験を行った。ターゲット細胞であるA2陽性MAGE-A4陰性のHCT116ではIFN-γの産出が見られなかった。なお、エフェクターのみ(Effector-only)および標的のみ(Target-only)では、IFN-γの産出は見られなかった。
このように、zG型CAR導入CD8陽性T細胞はin vitro系において、IFN-γの産出を誘導した。この結果は、in vivo系の結果を上手く説明できるものであった。
(3)次に、上記(1)および(2)と同様の試験を4-1BBz型CAR導入CD8陽性T細胞の特性について調べた。図25に示すように、4-1BBz型CARを導入したCAR-T細胞では、MAGE-A4をパルスしたT2細胞に特異的にIFN-γの産出が増大した。
コントロールペプチドで刺激したT2細胞では、IFN-γの産出が見られなかった。なお、エフェクターのみ(Effector-only)および標的のみ(Target-only)では、IFN-γの産出は見られなかった。
このように、ICDを4-1BBz型に変更した場合にも同様の効果が認められた。このin vitro系のデータは、in vivo系の結果を容易に説明できるものである。
こうして、ICDを変更した場合にも、zG型と同様の効果が認められた。

【0067】
このように、本実施形態によれば、MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を特異的に認識する抗原結合性タンパク質、抗原結合性タンパク質をコードする核酸、この核酸を含むベクター、抗原結合性タンパク質を含むキメラ抗原受容体、キメラ抗原受容体をコードする核酸、この核酸を含むベクター、キメラ抗原受容体を発現する細胞及びこの細胞を含む医薬組成物が提供された。
MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を特異的に認識する抗原結合性タンパク質は、細胞医療、遺伝子治療の分野で使用できる。また、MAGE-A4由来ペプチド/HLA-A2複合体を発現する腫瘍細胞の検出、腫瘍の治療及びその研究・試験に極めて有用である。本発明のCAR-T細胞は、副作用が非常に少ないので、非常に有効ながん治療法を提供できた。
【先行技術文献】
【0068】

【非特許文献1】Brentjens RJ, et al: Safety and persistence of adoptively transferred autologous CD19-targeted T cells in patients with relapsed or chemotherapy refractory B- leukemias. Blood 2011,118:4817-4828.
【非特許文献2】Dao T, Yan S, Veomett N, Pankov D, Zhou L, Korontsvit T, et al: Targeting the intracellular WT1 oncogene product with a therapeutic human antibody. Sci Transl Med 2013; 5 : 176ra133.
【非特許文献3】Van Der Bruggen P, Zhang Y, Chaux P, Stroobant V, Panichelli C, Schultz ES, Chapiro J, Van Den Eynde BJ, Brasseur F, Boon T. Tumor-specific shared antigenic peptides recognized by human T cells. Immunological Reviews 2002. Vol. 188: 51-64.
【非特許文献4】Duffour MT, Chaux P, Lurquin C, Cornelis G, Boon T, van der Bruggen P. A MAGE-A4 peptide presented by HLA-A2 is recognized by cytolytic T Lymphocytes. Eur. J. Immunol 1999. 29: 3329-3337.
【非特許文献5】Muraoka D, Harada N,Hayashi T, Tahara Y, Momose F, Sawada S, Mukai SA, Akiyoshi K, Shiku H. Nanogel-based immunologically stealth vaccine targets macrophages in the medulla of lymph node and induces potent antitumor immunity. ACS Nano.Sep 23,2014;8(9):9209-18.
【非特許文献6】Hillig RC, Coulie PG, Stroobant V, Saenger W, Ziegler A, Huelsmeyer M. High-resolution Structure of HLA-A*0201 in Complex with a Tumour-specific Antigenic Peptide Encoded by the MAGE-A4 Gene. J. Mol. Biol. 2001,310,1167-1176.
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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