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明細書 :電源制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年5月14日(2020.5.14)
発明の名称または考案の名称 電源制御装置
国際特許分類 H02M   7/48        (2007.01)
H02M   3/28        (2006.01)
H02J  50/10        (2016.01)
H01F  38/14        (2006.01)
FI H02M 7/48 P
H02M 3/28 Q
H02J 50/10
H01F 38/14
国際予備審査の請求
全頁数 19
出願番号 特願2019-512413 (P2019-512413)
国際出願番号 PCT/JP2018/012352
国際公開番号 WO2018/190117
国際出願日 平成30年3月27日(2018.3.27)
国際公開日 平成30年10月18日(2018.10.18)
優先権出願番号 2017077372
優先日 平成29年4月10日(2017.4.10)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】末次 正
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査請求 未請求
テーマコード 5H730
5H770
Fターム 5H730BB61
5H730CC01
5H730DD04
5H730ZZ16
5H770BA20
5H770CA02
5H770DA11
5H770DA17
5H770QA25
5H770QA27
5H770QA35
要約 電圧値のピーク近傍をできるだけ平らにすると共に、接触及び非接触による給電を可能とする超小型のスイッチング回路を用いた電源制御装置を提供する。
交流電力を直流電力に変換する整流ダイオード3と、前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路4と、前記インバータ回路4に接続される一次側トランス5と、前記一次側トランス5と磁気結合する二次側高周波トランス6と、前記二次側高周波トランス6で電圧変換された交流電力を直流電力に変換する整流器8とを備え、インバータ回路4が複数のスイッチング素子を有し、当該複数のスイッチング素子が直列接続して入力電圧を分割し、各スイッチング素子が高調波共振回路を有し、当該各スイッチング素子おけるそれぞれの電圧ピーク値を制御する制御手段を有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、
前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、
前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、
前記一次側トランスと磁気結合する二次側トランスと、
前記二次側トランスで電圧変換された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備え、
前記インバータ回路が複数のスイッチング素子を有し、当該複数のスイッチング素子が直列接続して入力電圧を分割し、各スイッチング素子が高調波共振回路を有し、当該各スイッチング素子おけるそれぞれの電圧ピーク値を制御する制御手段を有することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源制御装置において、
外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルを備え、
前記第2変換手段が、前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換することを特徴とする電源制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源制御装置において、
前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されていることを特徴とする電源制御装置。
【請求項4】
交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、
前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、
前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、
前記一次側トランスと磁気結合する二次側高周波トランスと、
外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルと、
前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源制御装置において、
前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されていることを特徴とする電源制御装置。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波数でスイッチング動作して電力変換を行う電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における情報処理端末等の小型化に伴い、直流電力を供給するACアダプタの小型が望まれているが、ACアダプタの小型化が追い付かず比較的大型のものがほとんどである。また、電力供給のためにはケーブルやコネクタ等が必須であり、これらは機械的に脆く、劣化するのが早いといった問題があることから、非接触で給電する技術の開発が進んでいる。しかし、非接触給電における周波数は高周波数であるため、スイッチング周波数が高い共振型電源を用いる必要があり、トランジスタに耐圧が高いデバイスを用いる必要
がある。
【0003】
高周波のスイッチングを高効率に実現する技術として、図14に示すようなE級インバータが知られている。図14(A)はE級インバータの回路図、図14(B)は電圧波形を示す。E級インバータは、ソフトスイッチングによりスイッチングの瞬間にトランジスタに掛かる電圧及び電流をなくすことで、スイッチング損失を低減し、高効率を実現するものである。しかしながら、図14(B)に示すように、この回路では電圧値のピークが高くなるため、耐圧性が高いトランジスタを用いる必要がある。
【0004】
そこで、高調波成分をスイッチ電流に注入することで、電圧値のピークを下げる技術が開示されている(図15を参照)。図15(A)に示す回路は、Φ級インバータ(VHFコンバータ)として知られており、VHF帯(30MHz-300MHz)のスイッチング周波数で動作する。この回路は、図15(B)に示すように、電圧波形を凹んだ形にしてピーク電圧を下げることで、耐圧が低いトランジスタを用いることを可能とし、このスイッチング回路を用いてACアダプタの小型化を実現するものである。しかしながら、この図15に示す技術は、共振を利用しているため、ピーク電圧の調整が難しく、ピーク値を最適化するのに困難性を有する場合がある。また、少しでもピークがずれてしまうと、電圧値が高く不安定な状態となり、素子に大きな負荷が掛かってしまう。
【0005】
上記のような高周波で動作するスイッチング回路の技術を踏まえて、非特許文献1に示す技術が発明者により開示されている。非特許文献1に示す技術は、複数のスイッチを直列接続することで電圧を分割し、1つのトランジスタあたりにかかる電圧を下げることで、耐圧性が極めて低いトランジスタを用いたスイッチング回路の実現を可能にする技術であり、上記図15のスイッチング回路を用いたACアダプタよりもさらに小型化すること
を可能とするものである。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Tadashi Suetsugu, Shotaro Kuga, and Xiuqin Wei, "A Method for Dividing Voltage Stress of High Voltage Class E Inverter," 2015 IEEE International Telecommunications Energy Conference (INTELEC), pp. 437-440, 2015/Oct/20, DOI:10.1109/INTLEC.2015.7572438
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高効率なスイッチング動作を実現するためには、電圧値のピーク近傍をできるだけ平らにすることが望ましいが、非特許文献1に示す技術では、比較的鋭いピークになってしまい、高効率という観点では十分な技術ではないという課題を有する。また非特許文献1に示す技術は、高周波による超小型のスイッチング電源を実現できるものの、非接触による給電技術には対応していない。
【0008】
本発明は、電圧値のピーク近傍をできるだけ平らにすると共に、接触及び非接触による給電を可能とする超小型のスイッチング回路を用いた電源制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源制御装置は、交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、前記一次側トランスと磁気結合する二次側トランスと、前記二次側トランスで電圧変換された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備え、前記インバータ回路が複数のスイッチング素子を有し、当該複数のスイッチング素子が直列接続して入力電圧を分割し、各スイッチング素子が高調波共振回路を有し、当該各スイッチング素子おけるそれぞれの電圧ピーク値を制御する制御手段を有するものである。
【0010】
このように、本発明に係る電源制御装置においては、交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、前記一次側トランスと磁気結合する二次側トランスと、前記二次側トランスで電圧変換された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備え、前記インバータ回路が複数のスイッチング素子を有し、当該複数のスイッチング素子が直列接続して入力電圧を分割し、各スイッチング素子が高調波共振回路を有し、当該各スイッチング素子おけるそれぞれの電圧ピーク値を制御する制御手段を有するため、入力電圧を分圧することで各素子の耐圧性が低い場合であっても高周波数でのスイッチング動作を可能にすると共に、高調波成分を利用して電圧ピーク値を制御することで各素子ごとの波形を制御してピーク値を下げつつ、エネルギー効率を向上させるように電圧波形を容易に制御することができるという効果を奏する。
【0011】
本発明に係る電源制御装置は、外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルを備え、前記第2変換手段が、前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換するものである。
【0012】
このように、本発明に係る電源制御装置においては、外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルを備え、第2変換手段が、前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換するため、二次側コイルにより、インバータからの高周波数下での給電と外部からの非接触での給電との双方を実現することができるという効果を奏する。
【0013】
本発明に係る電源制御装置は、前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されているものである。
【0014】
このように、本発明に係る電源制御装置においては、前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されているため、一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルを薄膜状に形成することが可能となり、装置全体を例えばカード状のような薄型に形成することができ、携帯性を格段に向上させることができるという効果を奏する。
【0015】
本発明に係る電源制御装置は、交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、前記一次側トランスと磁気結合する二次側高周波トランスと、外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルと、前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備えるものである。
【0016】
このように、本発明に係る電源制御装置においては、交流電力を直流電力に変換する第1変換手段と、前記直流電力に対して高周波数下で動作するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続される一次側トランスと、前記一次側トランスと磁気結合する二次側高周波トランスと、外部から非接触で給電する非接触電源と磁気結合する二次側コイルと、前記二次側高周波トランスで電圧変換された交流電力、及び/又は前記二次側コイルで誘導された交流電力を直流電力に変換する第2変換手段とを備えるため、二次側コイルにより、インバータからの高周波数下での給電と外部からの非接触での給電との双方を実現することができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る電源制御装置は、前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されているものである。
【0018】
このように、本発明に係る電源制御装置においては、前記一次側トランス、前記二次側高周波トランス及び前記二次側コイルのそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、前記一次側トランスと前記二次側高周波トランスとが隣接して積層され、前記二次側高周波トランスと前記二次側コイルとが磁気シールドを介して積層されているため、一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルを薄膜状に形成することが可能となり、装置全体を例えばカード状のような薄型に形成することができ、携帯性を格段に向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る電源制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る電源制御装置における一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルの構造を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係る電源制御装置における一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルの積層構造を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る電源制御装置の回路図である。
【図5】図4の回路図において、2つの波形が異なるスイッチを同時にオン/オフさせた場合のスイッチ電圧の波形を示す図である。
【図6】図4の回路図において、2つの波形が異なるスイッチを異なるタイミングでオン/オフさせた場合のスイッチ電圧の波形を示す図である。
【図7】シミュレーションで利用した第1の回路図である。
【図8】シミュレーション結果を示す第1の図である。
【図9】シミュレーションで利用した第2の回路図である。
【図10】シミュレーションに用いた従来の回路を示す図である。
【図11】従来の回路を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】本発明に係る回路を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】本発明に係る回路を用いた場合の実験結果を示す図である。
【図14】従来知られているE級インバータを示す図である。
【図15】従来知られているΦ級インバータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。

【0021】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る電源制御装置について、図1ないし図3を用いて説明する。本実施形態に係る電源制御装置は、高周波数でのスイッチング動作を実現しつつ、外部からの非接触給電を可能とするものである。

【0022】
図1は、本実施形態に係る電源制御装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る電源制御装置1は、交流電源2から供給される交流電力を直流電力に変換する整流ダイオード3と、ソフトスイッチングにより高周波数において高効率に電力変換するインバータ回路4と、インバータ回路4に接続される一次側トランス5と、一次側トランス5に磁気結合する二次側高周波トランス6と、この二次側高周波トランス6に並列に接続され、外部から給電する送電デバイス10と磁気結合する二次側コイル7と、二次側高周波トランス6で電圧変換された交流電力、及び/又は二次側コイル7で誘導された交流電力を直流電力に変換し、負荷9に対して供給する整流器8とを備える。

【0023】
インバータ回路4は、高周波数(数十MHz~数百MHz)において高効率を実現することができるインバータ回路であり、例えば図14、図15又は非特許文献1に示すようなインバータ回路を用いることができる。このインバータ回路4で変換された交流電力は一次側トランス5と二次側高周波トランス6で電圧変換され、変換後の交流電力を整流器8で直流電力に変換し、適正な電力が負荷に供給される。また、二次側コイル7は、外部の送電デバイス10と磁気結合することで、高周波数(数十MHz~数百MHz)の交流電力を発生し、整流器8で直流電力に変換し、適正な電力が負荷9に供給される。

【0024】
つまり、電源制御装置1は、交流電源2から供給される電力を変換するACアダプタとしての機能と、外部の送電デバイス10からの電力を非接触で給電する非接触給電の機能とを備える。また、整流器8は、ACアダプタとして機能する場合であっても、非接触給電として機能する場合であっても、共通の構成として利用することができ、装置の小型化を実現している。

【0025】
図2は、本実施形態に係る電源制御装置における一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルの構造を示す模式図である。これらのトランス及びコイルは薄型の多層構造となっており、インダクタ等の電子部品を配置するのではなく、3次元実装技術を利用して配線やビアでインダクタを形成することができる。図2に示すように、一次側トランス5、二次側高周波トランス6及び二次側コイル7がこの順に積層されている。一次側トランス5と二次側高周波トランス6とは磁気結合が可能な状態で形成され、一次側トランス5及び二次側高周波トランス6と、二次側コイル7とは、間に磁気シールド11を介することで磁気結合が不可能な状態で形成されている。

【0026】
交流電源2から供給される交流電力に対してACアダプタとして機能する場合は、一次側トランス5と二次側高周波トランス6とが磁気結合することで電圧変換が行われる。これに対して、外部の送電デバイス10から供給される電力を給電する場合は、外部の送電デバイス10に二次側コイル7が形成されている側の面を近づけることで、送電デバイス10のコイルと二次側コイル7とが磁気結合し、負荷9側に電力が供給される。このとき、送電デバイス10と電源制御装置1は非接触の状態で給電が行われる。二次側高調波トランス6に発生する電流と、二次側コイル7に発生する電流とは、共通の整流器8で直流に変換されて負荷9に供給される。

【0027】
図3は、本実施形態に係る電源制御装置における一次側トランス、二次側高周波トランス及び二次側コイルの積層構造を示す図である。一次側トランス5と二次側高周波トランス6とが絶縁層12を介して積層されており、一次側トランス5、二次側高周波トランス6及び絶縁層12を覆うように磁気シールド11が配設される。磁気シールド11の下層には二次側コイル7が積層されており、磁気シールド11及び二次側コイル7が筐体13に収納された状態となる。筐体13は平板状に薄く形成することが可能であり、例えば、カード状にすることが可能である。

【0028】
このように、本実施形態に係る電源制御装置においては、高周波数でACアダプタとして機能しつつ、外部からの非接触での給電を実現することが可能となる。また、
一次側トランス5、二次側高周波トランス6及び二次側コイル7のそれぞれが、各層の面内に渦状に巻回されて形成され、一次側トランス5と二次側高周波トランス6とが隣接して積層され、二次側高周波トランス6と二次側コイル7とが磁気シールド11を介して積層されているため、各層を薄膜状に形成することが可能となり、装置全体を例えばカード状のような薄型に形成することができ、携帯性を格段に向上させることができる。

【0029】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る電源制御装置について、図4ないし図6を用いて説明する。本実施形態に係る電源制御装置は、非特許文献1に示す分割型のインバータを用いたものである。また、各トランジスタごとに高調波共振回路を配設することで、図15に示すようなピーク値の制御を行うものである。

【0030】
図4は、本実施形態に係る電源制御装置の回路図である。ここでは、トランジスタ41a,41bが直列に2つ連続して接続され、それぞれがスイッチ40a,40bを構成する場合の回路を示している。また、各スイッチ40a,41bは、高調波共振回路42a,42bを有している。高調波共振回路42a,42bは、高調波成分をスイッチ電流に注入することで、スイッチ電圧のピーク値を図15に示すような凹んだ波形にする。すなわち、トランジスタ41a,41を複数直列に接続することで電圧を分割して、1つのトランジスタ当たりに印加される電圧を下げることで、耐圧性が低いトランジスタ41a,41bであってもスイッチ40a,40bのスイッチング動作を可能にすると共に、高調波共振回路42a,42bによりスイッチ電圧のピーク値が下げることで、より低い耐圧性のトランジスタ41a,41bであってもスイッチング動作することが可能となる。

【0031】
また、本実施形態に係る電源制御装置は、図4の回路において各スイッチ40a,40bのスイッチング動作を個々に制御することで、使用状態や使用環境に応じたスイッチング電圧の波形制御を行うことが可能となる。

【0032】
図5は、図4の回路図において、2つの波形が異なるスイッチを同時にオン/オフさせた場合のスイッチ電圧の波形を示す図である。図5(A)はスイッチ40aの電圧波形、図5(B)はスイッチ40bの電圧波形、図5(C)はそれらを合成した出力波形を示している。なお、ここでは、各スイッチ40a,40bごとに高調波共振回路42a,42bのパラメータを調整することでスイッチ電圧の波形を形成している。スイッチ40aの波形は、図5(A)に示すように、2つのピークのうち右側のピークが大きくなるような波形に調整されており、スイッチ40bの波形は、図5(B)に示すように、2つのピークのうち左側のピークが大きくなるような波形に調整されている。これらの波形が合成されることで、図5(C)に示すように、略台形状の波形を形成することが可能となる。このような電圧波形を合成することで、電圧のピーク値を抑えて耐圧性が低いトランジスタ41a,41bの使用を可能としつつ、エネルギー効率を上げることができる。

【0033】
また、前述したように、高調波共振回路42a,42bによるピーク値の安定化には困難性を有する場合があるが、本実施形態のように、複数のスイッチ40a,40bの電圧波形を合成する場合は、仮にいずれかのスイッチにおいてピーク値のずれが生じた場合であっても、他のスイッチとの関係で比較的安定した電圧波形を形成することが可能となる。

【0034】
図6は、図4の回路図において、2つの波形が異なるスイッチを異なるタイミングでオン/オフさせた場合のスイッチ電圧の波形を示す図である。図6(A)はスイッチ40aの電圧波形、図6(B)はスイッチ40bの電圧波形、図6(C)はそれらを合成した出力波形を示している。なお、ここでも、各スイッチ40a,40bごとに高調波共振回路42a,42bのパラメータを調整することでスイッチ電圧の波形を形成している。スイッチ40aの波形は、図6(A)に示すように、1つのピーク値を有する波形に調整されており、スイッチ40bの波形は、図6(B)に示すように、2つのピークがほぼ同じになるような波形に調整されている。これらの波形が合成されることで、図6(C)に示すように、略台形状の波形を形成することが可能となる。このような電圧波形を合成することで、電圧のピーク値を抑えて耐圧性が低いトランジスタ41a,41bの使用を可能としつつ、エネルギー効率を上げることができる。

【0035】
また、図6の場合も図5の場合と同様に、仮にいずれかのスイッチにおいてピーク値のずれが生じた場合であっても、他のスイッチとの関係で比較的安定した電圧波形を形成することが可能となる。

【0036】
さらに、図5及び図6に示したように、本実施形態においては電圧波形を比較的容易に制御することが可能であることから、負荷のインピーダンスに応じて、フィードバック機能により最適な電圧波形に制御することができる。そうすることで、負荷変動によるピーク電圧の変動を抑えることが可能となる。

【0037】
このように、本実施形態に係る電源制御装置においては、複数のスイッチング素子が高調波共振回路を有し、各スイッチング素子おけるそれぞれの電圧ピーク値を制御するため、高調波成分を利用して電圧ピーク値を下げ、耐圧性が低い素子であっても高周波数でのスイッチング動作を実現することができる。

【0038】
また、各スイッチ素子ごとに電圧ピーク値やオン/オフのタイミングを個別に調整することで、より効率的なスイッチング動作を実現することが可能になる。
【実施例】
【0039】
本発明に係る電源制御装置について、ACアダプタとして機能した場合、及び非接触給電を行った場合のそれぞれでシミュレーションを行った。図7は、シミュレーションで利用した回路図である。図7(A)はACアダプタとして機能した場合(ACアダプタモード)における回路図、図7(B)は非接触給電を行った場合(非接触給電モード)における回路図である。ここでは、スイッチング素子は1つとし、高周波数におけるACアダプタモードでの給電、及び外部の送電デバイスによる非接触給電の両立の可否についてシミュレーションした。
【実施例】
【0040】
図8は、シミュレーション結果を示す図である。図8(A)はACアダプタモードのシミュレーション結果、図8(B)は非接触給電モードのシミュレーション結果を示している。それぞれの結果の上の波形は、整流ダイオードの電圧値の波形(図7のa点)を示し、下の波形は出力電圧の波形(図7のb点)を示している。これらの波形から明らかなように、ACアダプタモードと非接触給電モードとのいずれのモードにおいても、電源からの電圧が適正に変換され、共通の整流器により適正に整流されていることがわかる。
【実施例】
【0041】
以上のシミュレーション結果から、本発明に係る電源制御装置は、高周波数でのスイッチング動作によりACアダプタとして機能し、また、外部の送電デバイスからの非接触による給電を共通の整流器で実現できることが明らかとなった。
【実施例】
【0042】
本発明に係る電源制御装置について、分割型のインバータを用いた場合のピーク電圧の制御についてシミュレーション及び実験を行った。図9は、シミュレーション及び実験で利用した回路図である。ここでは、トランジスタを4つ直列に接続し、それぞれがスイッチを構成している。また、各スイッチは、高調波共振回路を有している。
【実施例】
【0043】
ここで、まず従来の回路図を用いてピーク電圧を制御するシミュレーションを行った。従来の回路図として、図10に示す回路(参考文献:US 7,889,519 B2のFIG.2Aを参照)を用い、そのシミュレーション結果を図11に示す。図11(A)がスイッチの電圧値(V)の波形であり、図11(B)が出力(V)の波形である。
【実施例】
【0044】
図11(A)において、鋭いピーク電圧が低減されているが、波形が歪になっており(本来のピーク値を中心に左右対称になっていないため)、最大限の効果を得ることができない。これはシミュレーションにおいて、文献に示すように素子値の調整を行ったところ、この素子値の調整が非常に難しく、図11(A)に示すような波形しか得られなかったためである。つまり、図10の回路の設計方法はcut-and-errorしかないため、素子の調整等が極めて難しく、使いにくいものとなっている。出力については、図11(B)に示すように綺麗な波形が出力されている。
【実施例】
【0045】
これに対して、図12は、図9に示す回路を用いた場合のシミュレーション結果を示す図、図13は、図9に示す回路を用いた場合の実験結果を示す図である。図12(A)及び図13(A)が、スイッチの電圧値(VS1~VS4)を合成した場合の波形であり、図12(B)及び図13(B)が、出力(V)の波形である。
【実施例】
【0046】
図12(A)に示すように、図9の回路におけるそれぞれのスイッチの電圧(VS1~VS4)を合成すると図11(A)に示す波形と同様の波形を得ることができると共に、図12(B)に示すように図11(B)と同様の出力が得られている。これは、トランジスタを複数直列に接続することで電圧を分割し、1つのトランジスタ当たりに印加される電圧を下げることで、耐圧性が低いトランジスタであっても、それぞれのスイッチのスイッチング動作を可能にすると共に、高調波共振回路によりスイッチ電圧のピーク値が下がることで、より低い耐圧性のトランジスタであってもスイッチング動作することが可能であることが明らかである。
【実施例】
【0047】
また、図13に示すように、実際に試作した回路を用いて実験を行った場合も、得られた波形から上記と同様のことが明らかである。
【符号の説明】
【0048】
1 電源制御装置
2 交流電源
3 整流ダイオード
4 インバータ回路
5 一次側トランス
6 二次側高周波トランス
7 二次側コイル
8 整流器
9 負荷
10 送電デバイス
11 磁気シールド
12 絶縁層
13 筐体
40a,40b スイッチ
41a,41b トランジスタ
42a,42b 高調波共振回路

図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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