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明細書 :粒子捕捉装置及び粒子捕捉方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年3月19日(2020.3.19)
発明の名称または考案の名称 粒子捕捉装置及び粒子捕捉方法
国際特許分類 C12M   1/34        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
G01N   1/10        (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
FI C12M 1/34 A
G01N 37/00 101
G01N 1/10 A
G01N 33/48 M
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 27
出願番号 特願2019-518882 (P2019-518882)
国際出願番号 PCT/JP2018/019203
国際公開番号 WO2018/212309
国際出願日 平成30年5月17日(2018.5.17)
国際公開日 平成30年11月22日(2018.11.22)
優先権出願番号 2017098247
優先日 平成29年5月17日(2017.5.17)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】許 岩
出願人 【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
個別代理人の代理人 【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
【識別番号】100159385、【弁理士】、【氏名又は名称】甲斐 伸二
【識別番号】100163407、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 裕輔
【識別番号】100166936、【弁理士】、【氏名又は名称】稲本 潔
審査請求 未請求
テーマコード 2G045
2G052
4B029
Fターム 2G045BB03
2G045CB01
2G045HA14
2G052AA28
2G052AB16
2G052AD09
2G052AD29
2G052AD49
2G052BA22
2G052DA09
2G052DA22
2G052EA08
2G052GA32
2G052HA12
2G052HC32
2G052JA04
2G052JA07
2G052JA08
4B029AA08
4B029AA09
4B029BB11
4B029BB13
4B029CC08
4B029DG06
4B029DG08
4B029FA01
4B029GB05
4B029GB09
要約 本発明の粒子捕捉装置は、導入流路と、前記導入通路の下流側に設けられた扁平流路と、前記扁平流路の下流側に設けられた矩形流路と、前記矩形流路の少なくとも第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口と、を備え、前記導入流路は、前記扁平流路の流路断面よりも広い流路断面を有し、前記扁平流路は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、前記矩形流路は、矩形の流路断面を有し、かつ、第1内壁面と第2内壁面とが対向し、第3内壁面と第4内壁面とが対向するように設けられ、前記導入流路、前記扁平流路、前記矩形流路及び前記粒子捕捉用開口は、前記導入流路を流れる捕捉対象粒子を含む液体の一部が、前記扁平流路に流入し、前記扁平流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記液体と共に前記矩形流路に流入し、前記矩形流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記粒子捕捉用開口の内部に侵入し捕捉されるように設けられていることを特徴とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
導入流路と、
前記導入通路の下流側に設けられた扁平流路と、
前記扁平流路の下流側に設けられた矩形流路と、
前記矩形流路の少なくとも第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口と、を備え、
前記導入流路は、前記扁平流路の流路断面よりも広い流路断面を有し、
前記扁平流路は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、
前記矩形流路は、矩形の流路断面を有し、かつ、第1内壁面と第2内壁面とが対向し、第3内壁面と第4内壁面とが対向するように設けられ、
前記導入流路、前記扁平流路、前記矩形流路及び前記粒子捕捉用開口は、前記導入流路を流れる捕捉対象粒子を含む液体の一部が、前記扁平流路に流入し、前記扁平流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記液体と共に前記矩形流路に流入し、前記矩形流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記粒子捕捉用開口の内部に侵入し捕捉されるように設けられていることを特徴とする粒子捕捉装置。
【請求項2】
前記扁平流路と前記導入流路との間に設けられた細胞捕捉室をさらに備える請求項1に記載の粒子捕捉装置。
【請求項3】
排出側流路と、補助流路と、連通流路とをさらに備え、
前記排出側流路は、前記矩形流路の下流側に設けられており、
前記補助流路は、前記矩形流路と実質的に平行に延びる流路であり、前記補助流路の一端は前記排出側流路に接続しており、
前記連通流路は、前記粒子捕捉用開口と前記補助流路とを連通するように設けられ、かつ、前記捕捉対象粒子が通過することができない流路断面を有する請求項1又は2に記載の粒子捕捉装置。
【請求項4】
前記粒子捕捉用開口は、第1内壁面及び第2内壁面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項5】
前記矩形流路の第1内壁面と第2内壁面との間の幅は、前記捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上2.3倍以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項6】
前記矩形流路の第3内壁面と第4内壁面との間の幅は、前記捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上5倍以下である請求項1~5のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項7】
前記粒子捕捉用開口は、前記捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上3倍以下の大きさを有する請求項1~6のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項8】
前記粒子捕捉用開口は、捕捉対象粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項9】
前記扁平流路は、前記捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上2.3倍以下の厚さを有する請求項1~8のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項10】
前記扁平流路の厚さは、第1内壁面と第2内壁面との間の幅又は第3内壁面と第4内壁面との間の幅と実質的に同じであり、
前記扁平流路は、前記扁平流路の上面及び下面のうちどちらか一方が第1又は第3内壁面と実質的に一致し、前記上面及び前記下面のうち他方が第2又は第4内壁面と実質的に一致するように設けられた請求項1~9のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項11】
第1基板と第2基板とを備え、
前記矩形流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板により覆われる構造を有する請求項1~10のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項12】
前記粒子捕捉用開口の内部に捕捉された前記捕捉対象粒子を含む請求項1~11のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項13】
前記捕捉対象粒子は、小胞、細胞小器官、細胞外小胞、ウィルス、リポソーム、金属粒子、有機粒子、無機粒子、大気汚染微粒子、又は花粉である請求項1~12のいずれか1つに記載の粒子捕捉装置。
【請求項14】
捕捉対象粒子を含む液体を導入流路に流すステップと、
前記捕捉対象粒子を含む液体が前記導入流路から扁平流路に流入するステップと、
前記捕捉対象粒子を含む液体が前記扁平流路から矩形流路に流入するステップと、
前記捕捉対象粒子が、前記矩形流路の第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口に侵入し捕捉されるステップと、を備え、
前記導入流路は、前記扁平流路の流路断面の流路断面よりも広い流路断面を有し、
前記扁平流路は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、
前記矩形流路は、第1内壁面と第2内壁面とが対向し、第3内壁面と第4内壁面とが対向するように設けられていることを特徴とする粒子捕捉方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子捕捉装置及び粒子捕捉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析化学、触媒化学、生化学、光デバイス、エネルギーやバイオ、医療などの分野では、液相においてナノ粒子を利用する場合が多い。
例えば、細胞は、さまざまな大きさの脂質二重膜に覆われた細胞外小胞顆粒を分泌している。細胞外小胞顆粒は、大きさの違いにより分類されており、エクソソーム(大きさ:50~200 nm)やマイクロベシクル(大きさ:200~1000 nm)などがある。その中でも、エクソソームは、様々なタンパク質や、mRNA、microRNAが含まれており、癌の転移においても重要な役割を果たすことが近年明らかになってきた。このため、エクソソームは各種疾患の非侵襲性のバイオマーカー・治療ツールとなると期待されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、ウィルス感染症は、人や動物に甚大な健康被害を与える。感染症の早期診断、その治療方針の決定などには、感染したウィルスを同定する必要がある。ウィルスの大きさは20nm~300nm程度であり、一般的には遠心分離法を用いて回収及び濃縮が行われる(例えば、特許文献2参照)。
また、流路内に設けた突起部により溶液中の粒子を捕捉するマイクロチップが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2017-40595号公報
【特許文献2】特開2011-45358号公報
【特許文献3】特開2002-233792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナノ粒子を時空的に精密制御することが、ナノ粒子の特性の最大限発揮と新規機能の発見を左右する重要な課題となっている。液相においてナノ粒子は活発なブラウン運動を行うため、液相におけるナノ粒子の時空制御は極めて難しい。また、細胞外小胞顆粒やウィルスなどのナノ粒子の定量的な解析には、煩雑な単離操作、低検出率、高価な実験設備が必要である等の多くの課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、捕捉対象粒子を粒子捕捉用開口の内部に閉じ込めることができ、捕捉対象粒子を個別に観察、解析などすることができる粒子捕捉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、導入流路と、前記導入通路の下流側に設けられた扁平流路と、前記扁平流路の下流側に設けられた矩形流路と、前記矩形流路の少なくとも第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口と、を備え、前記導入流路は、前記扁平流路の流路断面よりも広い流路断面を有し、前記扁平流路は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、前記矩形流路は、矩形の流路断面を有し、かつ、第1内壁面と第2内壁面とが対向し、第3内壁面と第4内壁面とが対向するように設けられ、前記導入流路、前記扁平流路、前記矩形流路及び前記粒子捕捉用開口は、前記導入流路を流れる捕捉対象粒子を含む液体の一部が、前記扁平流路に流入し、前記扁平流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記液体と共に前記矩形流路に流入し、前記矩形流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記粒子捕捉用開口の内部に侵入し捕捉されるように設けられていることを特徴とする粒子捕捉装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の粒子捕捉装置は、導入流路と、前記導入通路の下流側に設けられた扁平流路と、前記扁平流路の下流側に設けられた矩形流路と、前記矩形流路の少なくとも第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口と、を備えるため、捕捉対象粒子を含む液体を導入流路、扁平流路及び矩形流路に流すことができ、矩形流路を流れる捕捉対象粒子を粒子捕捉用開口の内部に侵入させ捕捉することができる。このため、捕捉対象粒子を含む微量の液体を導入流路、扁平流路及び矩形流路に流すだけで捕捉対象粒子を捕捉することが可能になり、簡単に低コストで(1チップで)捕捉対象粒子を分離し捕捉することができる。
【0007】
扁平流路が導入流路と矩形流路との間に設けられる。捕捉対象粒子は、導入流路から扁平流路に流入することができるが、扁平流路の厚さより大きな粒子は導入流路から扁平流路に流入することをできない。従って、扁平流路により液体中の粒子をフィルタリング処理することができる。また、扁平流路は扁平な流路断面を有するため、導入流路を流れてきた粒子の1つが扁平流路に詰まったとしても、扁平流路が閉塞されることはない。従って、扁平流路を設けることにより、導入流路から矩形流路に向かう液体の流れが遮断されることを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の粒子捕捉装置により粒子捕捉用開口に捕捉し閉じ込めた捕捉対象粒子を個別に観察、解析などすることができる。また、超遠心分離や沈殿試薬処理などを必要としないため、変性していない(生の状態の)捕捉対象粒子の観察、解析などを低コストですることが可能になる。また、複数の捕捉対象粒子を長時間安定なアレイ化することが可能になる。さらに、ごく少量(例えば、数pL)の液体に含まれる捕捉対象粒子を粒子捕捉用開口に捕捉し、観察・解析することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の粒子捕捉装置の概略上面図である。
【図2】図1の破線Aで囲んだ範囲における粒子捕捉装置の概略拡大図である。
【図3】(a)は図2の破線B-Bにおける粒子捕捉装置の概略断面図であり、(b)は図2の一点鎖線C-Cにおける粒子捕捉装置の概略断面図であり、(c)は図2の一点鎖線D-Dにおける粒子捕捉装置の概略断面図である。
【図4】(a)は導入流路の概略図であり、(b)は扁平流路の概略図であり、(c)は矩形流路の断面図であり、(d)は矩形流路及び粒子捕捉用開口の概略図である。
【図5】(a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の粒子捕捉装置に含まれる矩形流路及び粒子捕捉用開口の概略図である。
【図6】(a)~(f)は、それぞれ本発明の一実施形態の粒子捕捉装置の概略断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の粒子捕捉装置の概略上面図である。
【図8】本発明の一実施形態の粒子捕捉装置の概略上面図である。
【図9】(a)は図8の破線E-Eにおける粒子捕捉装置の概略断面図であり、(b)は図8の破線F-Fにおける粒子捕捉装置の概略断面図であり、(c)は破線G-Gにおける粒子捕捉装置の概略断面図である。
【図10】実験で作製した粒子捕捉装置の写真及びSEM画像である。
【図11】(a)(b)はそれぞれ第1基板に形成した矩形流路及び粒子捕捉用開口のSEM画像である。
【図12】(a)~(f)はそれぞれ第1基板に形成した矩形流路及び粒子捕捉用開口のSEM画像である。
【図13】第1基板に形成した矩形流路、粒子捕捉用開口、補助流路及び連通流路のSEM画像及びその拡大画像である。
【図14】第1基板に形成した矩形流路及び粒子捕捉用開口のSEM画像である。
【図15】粒子捕捉用開口に捕捉した蛍光PS粒子の蛍光顕微鏡画像である。
【図16】時間安定性の評価実験の結果を示す蛍光顕微鏡画像である。
【図17】混合粒子捕捉実験の結果を示すグラフである。
【図18】粒子トラップ率測定実験の結果を示すグラフである。
【図19】エクソソーム捕捉実験で用いた培養上清に含まれるエクソソームの粒子径分布である。
【図20】粒子捕捉用開口に捕捉したエクソソームを有する粒子捕捉装置の明視野像、蛍光像、マージドイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粒子捕捉装置は、導入流路と、前記導入通路の下流側に設けられた扁平流路と、前記扁平流路の下流側に設けられた矩形流路と、前記矩形流路の少なくとも第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口と、を備え、前記導入流路は、前記扁平流路の流路断面よりも広い流路断面を有し、前記扁平流路は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、前記矩形流路は、矩形の流路断面を有し、かつ、第1内壁面と第2内壁面とが対向し、第3内壁面と第4内壁面とが対向するように設けられ、前記導入流路、前記扁平流路、前記矩形流路及び前記粒子捕捉用開口は、前記導入流路を流れる捕捉対象粒子を含む液体の一部が、前記扁平流路に流入し、前記扁平流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記液体と共に前記矩形流路に流入し、前記矩形流路を流れた前記捕捉対象粒子が前記粒子捕捉用開口の内部に侵入し捕捉されるように設けられていることを特徴とする。

【0011】
前記矩形流路の第1内壁面と第2内壁面との間の幅は、捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上2.3倍以下であることが好ましい。このことにより、矩形流路を流れる捕捉対象粒子を効率よく粒子捕捉用開口の内部に侵入させ捕捉することができる。このことは、本発明の発明者が行った実験により実証された。
本発明の粒子捕捉装置に含まれる矩形流路の第3内壁面と第4内壁面との間の幅は、捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上5倍以下であることが好ましい。このことにより、捕捉対象粒子を一列に並べて矩形流路を流すことができ、捕捉対象粒子が粒子捕捉用開口に侵入する確率を高くすることができる。
本発明の粒子捕捉装置に含まれる粒子捕捉用開口は、捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上3倍以下の大きさを有することが好ましい。このことにより、矩形流路を流れてきた捕捉対象粒子が粒子捕捉用開口の内部に侵入することができ、かつ、粒子捕捉用開口に侵入した捕捉対象粒子が粒子捕捉用開口から脱離することを抑制することができる。

【0012】
本発明の粒子捕捉装置は補助流路と連通流路とを備えることが好ましい。補助流路は、矩形流路と実質的に平行に延びる流路であり、連通流路は、粒子捕捉用開口と補助流路とを連通するように設けられる。このことにより、矩形流路を流れる液体が粒子捕捉用開口に流入し、連通流路を流れて補助流路に流入することができるため、捕捉対象粒子が粒子捕捉用開口に侵入しやすくなる。また、連通流路は、捕捉対象粒子が通過することができない流路断面を有する。例えば、連通流路は、捕捉対象粒子の平均粒径よりも小さい幅を有することができる。このことにより、矩形流路から粒子捕捉用開口に侵入した粒子が補助流路に流入することを防止することができ、粒子捕捉用開口に粒子を捕捉することができる。
さらに、補助流路から粒子捕捉用開口に向かって液体を流すことにより、粒子捕捉用開口に捕捉した捕捉対象粒子を回収することが可能になる。
本発明の粒子捕捉装置は矩形流路の上流側に設けられた導入流路を備えることが好ましい。このことにより、捕捉対象粒子を含む液体を導入流路を介して矩形流路に供給することができる。

【0013】
前記扁平流路は捕捉対象粒子の平均粒径の1.04倍以上2.3倍以下の厚さを有することが好ましい。このような構成にすると、捕捉対象粒子は、導入流路から扁平流路に流入することができるが、扁平流路の厚さより大きな粒子は導入流路から扁平流路に流入することをできない。従って、扁平流路により液体中の粒子をフィルタリング処理することができる。また、扁平流路は扁平な流路断面を有するため、導入流路を流れてきた粒子の1つが扁平流路に詰まったとしても、扁平流路が閉塞されることはない。従って、扁平流路を設けることにより、導入流路から矩形流路に向かう液体の流れが遮断されることを抑制することができる。
前記扁平流路の厚さは、第1内壁面と第2内壁面との間の幅又は第3内壁面と第4内壁面との間の幅と実質的に同じであることが好ましく、前記扁平流路は、扁平流路の上面及び下面のうちどちらか一方が第1又は第3内壁面と実質的に一致し、上面及び下面のうち他方が第2又は第4内壁面と実質的に一致するように設けられることが好ましい。このことにより、扁平流路を流れる捕捉対象粒子が液体と共に容易に矩形流路に流入することができる。
本発明の粒子捕捉装置は矩形流路と導入流路との間に設けられた細胞捕捉室をさらに備えることが好ましい。この細胞捕捉室に細胞を捕捉し、捕捉した細胞から細胞外小胞を分泌させることができる。この細胞外小胞を扁平流路及び矩形流路に流入させることができ、粒子捕捉用開口で細胞外小胞を捕捉することができる。

【0014】
本発明の粒子捕捉装置は第1基板と第2基板とを備えることが好ましく、矩形流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板により覆われる構造を有することが好ましい。このことにより、粒子捕捉用開口、矩形流路、扁平流路、導入流路などを第1基板と第2基板との間に形成することができる。
本発明の粒子捕捉装置は粒子捕捉用開口の内部に捕捉された捕捉対象粒子を含むことが好ましい。
前記捕捉対象粒子は、小胞、細胞小器官、細胞外小胞、ウィルス、リポソーム、金属粒子、有機粒子、無機粒子、大気汚染微粒子、又は花粉であることが好ましい。

【0015】
また、本発明は、導入流路と、扁平流路と、矩形断面を有する矩形流路と、前記矩形流路の第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口とを備え、前記導入流路及び前記扁平流路は、前記導入流路を流れる捕捉対象粒子を含む液体の一部が前記扁平流路に流入するように設けられ、前記矩形流路は、前記扁平流路を流れる前記捕捉対象粒子を含む液体の一部が前記矩形流路に流入するように設けられ、前記粒子捕捉用開口は、前記矩形流路を流れる捕捉対象粒子が前記粒子捕捉用開口に侵入し捕捉されるように設けられたことを特徴とする粒子捕捉装置も提供する。

【0016】
本発明は、捕捉対象粒子を含む液体を導入流路に流すステップと、前記捕捉対象粒子を含む液体が前記導入流路から扁平流路に流入するステップと、前記捕捉対象粒子を含む液体が前記扁平流路から矩形流路に流入するステップと、前記捕捉対象粒子が前記矩形流路の第1内壁面に設けられた粒子捕捉用開口に侵入し捕捉されるステップとを備えることを特徴とする粒子捕捉方法も提供する。本発明の粒子捕捉方法によれば、流路が閉塞されることを抑制して、簡単に低コストで捕捉対象粒子を分離し捕捉することができる。

【0017】
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。

【0018】
図1~9は、本実施形態の粒子捕捉装置に関する図面である。図面の説明は上述の通りである。
本実施形態の粒子捕捉装置25は、導入流路10と、導入通路10の下流側に設けられた扁平流路12と、扁平流路12の下流側に設けられた矩形流路4と、矩形流路4の少なくとも内壁面8aに設けられた粒子捕捉用開口5と、を備え、導入流路10は、扁平流路12の流路断面よりも広い流路断面を有し、扁平流路12は、横幅の広い扁平な流路断面を有し、矩形流路4は、矩形の流路断面を有し、かつ、内壁面8aと内壁面8bとが対向し、内壁面8cと第4内壁面8dとが対向するように設けられ、導入流路10、扁平流路12、矩形流路4及び粒子捕捉用開口5は、導入流路10を流れる捕捉対象粒子6を含む液体の一部が、扁平流路12に流入し、扁平流路12を流れた捕捉対象粒子6が前記液体と共に矩形流路4に流入し、矩形流路4を流れた捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5の内部に侵入し捕捉されるように設けられていることを特徴とする。

【0019】
本実施形態の粒子捕捉方法は、捕捉対象粒子6を含む液体を導入流路10に流すステップと、捕捉対象粒子6を含む液体が導入流路10から扁平流路12に流入するステップと、捕捉対象粒子6を含む液体が扁平流路12から矩形流路4に流入するステップと、捕捉対象粒子6が矩形流路4の第1内壁面8aに設けられた粒子捕捉用開口5に侵入し捕捉されるステップとを備えることを特徴とする。
以下、本実施形態の粒子捕捉装置25及び粒子捕捉方法について説明する。

【0020】
粒子捕捉装置25は、粒子捕捉用開口5の内部に捕捉対象粒子6を捕捉する装置である。また、粒子捕捉装置25は、粒子分離装置であってもよく、流路構造体であってもよい。また、粒子捕捉装置25は、細胞外小胞捕捉装置、ウィルス捕捉装置、花粉捕捉装置であってもよい。
捕捉対象粒子6は、粒子捕捉装置25が捕捉対象とするある粒径範囲を有する粒子である。捕捉対象粒子6の平均粒径は、この粒径範囲の平均値である。例えば、捕捉対象とする粒子が90nm以上110nm以下の粒径範囲の粒子である場合、捕捉対象粒子6の平均粒径は100nmとなる。また、粒子捕捉装置25は、粒径範囲の異なる複数の捕捉対象粒子6を有してもよい。
捕捉対象粒子6は、例えば、小胞、細胞小器官、細胞外小胞(エクソソーム、マイクロベジクルなど)、ウィルス、リポソーム、金属粒子、有機粒子、無機粒子、大気汚染微粒子(浮遊粒子状物質、PM2.5など)、花粉などである。
また、細胞外小胞(捕捉対象粒子6)を含む液体20は、例えば、血清、血漿、尿、培養上清、唾液、羊水、悪性腹水、脳脊髄液(CSF)、胃腸液(GI)、炎症性液、リンパ液、肺胞洗浄液などである。
捕捉対象粒子6の平均粒径は、例えば、5nm以上100μm以下であり、好ましくは50nm以上2μm以下であり、より好ましくは80nm以上1μm以下である。

【0021】
粒子捕捉装置25は、矩形流路4、粒子捕捉用開口5などを設けることができれば、その構造は限定されないが、例えば、第1基板2と第2基板3とを重ねた構造を有することができる。この場合、矩形流路4、粒子捕捉用開口5などとなる溝を第1基板2に形成し、第1基板2の溝を形成した表面上に第2基板3を接着することができる。このことにより、第1基板2と第2基板3との間に矩形流路4、粒子捕捉用開口5などを形成することができる。

【0022】
第1基板2の材料および第2基板3の材料は、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。第1基板2の材料および第2基板3の材料は、透光性を有することが好ましい。このことにより、粒子捕捉装置25により捕捉した粒子を光学的に観察、解析することが可能になる。
第1基板2または第2基板3は、例えば、ガラス基板(石英ガラス基板など)、半導体基板(シリコン基板など)、セラミックス基板などである。特に第1基板2および第2基板3にガラス基板を用いることが好ましい。ガラスの表面には通常水酸基(-OH)が存在するため、矩形流路4などの内表面を親水性にすることができる。このため、水、緩衝溶液又は水溶液(液体20)を毛管現象により矩形流路4などに流すことができる。また、ガラス基板は透光性を有するため、粒子捕捉用開口5の内部に閉じ込めた捕捉対象粒子6を光学的に観察することができる。また、捕捉対象粒子6に光学的処理を施すことも可能である。

【0023】
矩形流路4や粒子捕捉用開口5などとなる溝は、第1基板2をエッチング処理することにより形成することができる。例えば、第1基板2の表面上にレジストを塗布した後、電子ビームによりレジストの一部を除去しレジストにパターンを形成する。この後、レジストをマスクとしてエッチングを行い第1基板2の一部を除去し溝を形成する。このようなエッチング処理を数回繰り返すことにより、所望の流路や開口が形成されるような溝を第1基板2に形成することができる。また、導入流路10又は排出側流路16となる溝は、フォトリソグラフィとエッチング技術により第1基板2又は第2基板3に形成することができる。この後、第1基板2と第2基板3とを接着して所望の流路が形成された粒子捕捉装置25を製造することができる。
第1基板2と第2基板3とは、熱接合により接着されてもよく、融着されてもよい。また、第1基板2と第2基板3とにプラズマ処理を施し、第1基板2のプラズマ処理された表面と第2基板3のプラズマ処理された表面とを接触させることにより第1基板2と第2基板3とを接着してもよい。
なお、第1基板2と第2基板3の両方に溝を形成して第1基板2と第2基板3との間に流路や開口を形成してもよい。

【0024】
粒子捕捉装置25は、導入流路10を有することができる。導入流路10は、捕捉対象粒子6を含む液体20を矩形流路4に供給するための流路である。導入流路10は、矩形流路4の流路断面又は扁平流路12の流路断面よりも広い流路断面を有する。導入流路10を流れる液体20は、捕捉対象粒子6の他、様々な粒径の粒子を含むことができる。また、液体20は、KClなどの電解質を含むことができる。
導入流路10は、注入口18aから流入した液体20が導入流路10を流れ排出口19aから排出されるように設けることができる。また、導入流路10は、導入流路10を流れる液体20の一部が扁平流路12に流入するように設けることができる。このように導入流路10を設けることにより、液体20中の粒子のうち扁平流路12の厚さよりも大きい粒径の粒子は、扁平流路12に流入せずに排出口19aに向かって流れ、扁平流路12の厚さよりも小さい粒径の粒子は、扁平流路12に流入することができる。従って、扁平流路12の流入口において液体20と共に扁平流路12に流入する粒子をフィルタリングすることができる。
導入流路10は、第1基板2に設けられてもよく、第2基板3に設けられてもよいが、第2基板3に設けることが好ましい。例えば、導入流路10は、図1、図2、図3(a)に示した粒子捕捉装置25のように設けることができる。

【0025】
導入流路10の流路断面は、矩形断面であってもよく、円形断面であってもよい。
導入流路10は、注入口18aから流入する液体20に含まれる粒子のうち最大径を有する粒子の粒径の10倍以上の大きさの流路断面を有することができる。このことにより、導入流路10に粒子が詰まり、導入流路10の流れが遮断されることを抑制することができる。例えば、液体20に粒径が1000nm以下の様々な粒子が含まれている場合、導入流路10は10μm以上の大きさを有することができる。
導入流路10の大きさとは、導入流路10の流路断面が矩形である場合、流路断面の各辺の大きさであり、導入流路10の流路断面が円形である場合、流路断面の直径である。
液体20に含まれる粒子のうち最大径を有する粒子の粒径は、液体20を注入口18aに注入する前に行うフィルタリング処理に用いるフィルターのろ過精度の粒子径とすることができる。例えば、液体20を0.45μmフィルターでフィルタリング処理した場合、液体20に含まれる粒子のうち最大径を有する粒子の粒径は、450nmとすることができる。
導入流路10では、全体として液体20及び液体20に含まれる粒子は液体20の流れ方向に動いているが、粒子は三次元的な動きをする。例えば、図4(a)に示したように、導入流路10では、粒子は上下左右前後方向に流れることが可能である。

【0026】
導入流路10は、注入口18aに供給された液体20が毛管現象により導入流路10を流れるように設けることができる。このことにより、ポンプなどを省略することができ、装置を簡素化することができる。例えば、捕捉対象粒子6を含む液体20を注入口18aに滴下することにより、導入流路10に液体20を流すことができる。
導入流路10は、ポンプを利用して捕捉対象粒子6を含む液体20が導入流路10を流れるように設けられてもよい。このことのより、導入流路10に安定して液体20を流すことができ、矩形流路4に安定して液体20を供給することができる。また、導入流路10にはポンプを利用して洗浄液を流すこともできる。また、導入流路10、矩形流路4などの液体を除去する場合には、導入流路10に空気などの気体を流すこともできる。

【0027】
注入口18aに注入する液体20は、注入する前にフィルタリング処理を施されたものであってもよい。このことにより、導入流路10に詰まるような大きな粒子を液体20から除去することができ、導入流路10が詰まることを抑制することができる。例えば、0.22μmフィルター、0.45μmフィルターなどのフィルターのろ液を注入口18aから導入流路10に注入することができる。また、遠心分離処理により得られた上清を注入口18aから導入流路10に注入することができる。

【0028】
導入流路10と扁平流路12との間に細胞捕捉室14を設けることができる。この細胞捕捉室14に細胞24を捕捉し、捕捉した細胞24から細胞外小胞を分泌させることができる。この細胞外小胞を扁平流路12及び矩形流路4に流入させることができ、粒子捕捉用開口5に細胞外小胞を捕捉することができる。例えば、細胞捕捉室14に捕捉した細胞にサイトカインやホルモンなどによる刺激、力学的な刺激、光学的な刺激、化学的な刺激、放射線刺激などを与えた際に細胞から分泌される細胞外小胞を粒子捕捉用開口5に捕捉し、観察、解析を行うことができる。この場合、導入流路10は、細胞捕捉室14に捕捉する細胞24よりも大きな流路断面を有する。また、細胞捕捉室14に捕捉した細胞に刺激を与えない場合における細胞から分泌される細胞外小胞を粒子捕捉用開口5に捕捉し、観察、解析を行うこともできる。
細胞捕捉室14は、例えば、図7に示した粒子捕捉装置25のように設けることができる。

【0029】
粒子捕捉装置25は、矩形流路4と導入流路10との間に設けられた扁平流路12を有することができる。扁平流路12は、導入流路10を流れた液体20が扁平流路12に流入し、扁平流路12を流れた液体20が矩形流路12に流入するように設けることができる。扁平流路12は、扁平な流路断面を有し、厚さW3が小さく、横幅の広い流路である。また、扁平流路12の厚さW3は段階的に変化していてもよい。
液体20が導入流路10から扁平流路12に流入する流入口は、扁平流路12の流路断面と同様の形状を有することができる。
扁平流路12は、例えば、図1、図2、図3(a)(b)に示した粒子捕捉装置25のように設けることができる。

【0030】
扁平流路12は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.04倍以上2.3倍以下の厚さW3を有する。このため、捕捉対象粒子6は、導入流路10から扁平流路12に流入することができるが、扁平流路12の厚さW3より大きな粒子は導入流路10から扁平流路12に流入することをできない。従って、扁平流路12により液体20中の粒子をフィルタリング処理することができる。また、扁平流路12は扁平な流路断面を有するため、導入流路10を流れてきた粒子の1つが扁平流路12に詰まったとしても、扁平流路12が閉塞されることはない。従って、扁平流路12を設けることにより、導入流路10から矩形流路4に向かう液体20の流れが遮断されることを抑制することができる。
例えば、粒子捕捉装置25により90nm以上110nm以下の粒径範囲の粒子を捕捉したい場合、捕捉対象粒子6の平均粒径は100nmとなる。この場合、扁平流路12の厚さW3は、110nm以上220nm以下とすることができる。また、粒子捕捉装置25により950nm以上1050nm以下の粒径の粒子を捕捉したい場合、捕捉対象粒子6の平均粒径は1000nmとなる。この場合、扁平流路12の厚さW3は、1100nm以上2200nm以下とすることができる。

【0031】
扁平流路12の厚さW3は、矩形流路4の幅W1又はW2と同じ厚さもしくはW1又はW2より小さい厚さとすることができる。このことにより、矩形流路4を詰まらせるような大きな粒径を有する粒子が矩形流路4に流入することを防止することができ、矩形流路4が閉塞することを抑制することができる。また、扁平流路12の厚さW3が段階的に変化し、扁平流路12に複数の矩形流路4が接続している場合、扁平流路12の厚さW3は、隣接する矩形流路4の幅W1又はW2と同じ厚さもしくはこのW1又はW2より小さい厚さとすることができる。

【0032】
図1~3、図6(a)のように、粒子捕捉用開口5が矩形流路4の第1基板2側の内壁面8a(第1基板2の設けられた溝の底面)に設けられている場合、扁平流路12の厚さは、矩形流路4の第1基板2側の内壁面8a(第1基板2の設けられた溝の底面)と矩形流路4の第2基板3側の内壁面8bとの間の幅と実質的に同じにすることができる。また、この場合、扁平流路12の上面(第2基板3側の面)は、矩形流路4の第2基板3側の内壁面8bと実質的に一致するように設けることができ、扁平流路12の下面(第1基板2側の面)は、矩形流路4の第1基板2側の内壁面8a(第1基板2の設けられた溝の底面)と実質的に一致するように設けることができる。

【0033】
図5(b)、図6(b)~図6(f)のように、粒子捕捉用開口5が矩形流路4の側面(内壁面8a、第1基板2の設けられた溝の側面)に設けられている場合、扁平流路12の厚さは、矩形流路4の第1基板2側の内壁面8d(第1基板2の設けられた溝の底面)と矩形流路4の第2基板3側の内壁面8cとの間の幅と実質的に同じにすることができる。また、この場合、扁平流路12の上面(第2基板3側の面)は、矩形流路4の第2基板3側の内壁面8cと実質的に一致するように設けることができ、扁平流路12の下面(第1基板2側の面)は、矩形流路4の第1基板2側の内壁面8d(第1基板2の設けられた溝の底面)と実質的に一致するように設けることができる。
扁平流路12では、扁平流路12の上側内壁面(上面)及び下側内壁面(下面)により捕捉対象粒子6の動きが制限され、捕捉対象粒子6の流れは、二次元的な流れになる。例えば、扁平流路12では図4(b)に示したように捕捉対象粒子6が流れる。
また、粒子捕捉装置25は、図8のように、複数の扁平流路12を有することもできる。この場合、それぞれの扁平流路12に矩形流路4が接続することができ、扁平流路12の厚さW3は、接続した矩形流路4の幅W1又はW2と同じ厚さもしくはこのW1又はW2より小さい厚さとすることができる。

【0034】
粒子捕捉装置25は、矩形断面を有する矩形流路4を備える。また、矩形流路4は、扁平流路12を流れた捕捉対象粒子6が液体20と共に矩形流路4に流入するように設けることができる。矩形流路4は、正方形又は長方形の流路断面を有する。矩形流路4には、流路断面の角部が丸くなっているものも含まれる。また、矩形流路4は、内壁面8aと内壁面8bとが対向し、内壁面8cと内壁面8dとが対向するように設けられる。
粒子捕捉装置25は、複数の矩形流路4を備えることができる。このことにより、より多くの捕捉対象粒子6を捕捉することが可能になる。例えば、図1~3に示した粒子捕捉装置25は、4本の矩形流路4を備える。

【0035】
粒子捕捉装置25は、矩形流路4の内壁面8aに設けられた粒子捕捉用開口5を備える。このような粒子捕捉用開口5を設けることにより、矩形流路4を流れてきた捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に侵入することが可能になる。粒子捕捉用開口5は、ウェル型であってもよい。
粒子捕捉用開口5は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.04倍以上3倍以下の大きさを有することができる。このことにより、矩形流路4を流れてきた捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5の内部に侵入することができ、かつ、粒子捕捉用開口5に侵入した捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5から脱離することを抑制することができる。従って、捕捉対象粒子6を粒子捕捉用開口5の内部に捕捉することができる。また、粒子捕捉用開口5は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.1倍以上2.2倍以下の大きさを有することもできる。
粒子捕捉用開口5の深さD1は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1よりも大きくすることができる。また、粒子捕捉用開口5の深さD1は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1倍以上2.2倍以下とすることができる。
例えば、捕捉対象粒子6の平均粒径S1が100nmである場合、粒子捕捉用開口5の大きさは110nm以上300nm以下とすることができ、粒子捕捉用開口5の深さD1は100nm以上とすることができる。また、捕捉対象粒子6の平均粒径が1000nmである場合、粒子捕捉用開口5の大きさは1100nm以上3000nm以下とすることができ、粒子捕捉用開口5の深さD1は1000nm以上とすることができる。
粒子捕捉用開口5が方形開口の場合、粒子捕捉用開口5の大きさは開口5の少なくとも1つの辺の長さW4又はW5である。粒子捕捉用開口5が円形開口の場合、粒子捕捉用開口5の大きさは開口5の直径又は長径W6である。また、開口5の幅W4、W5の両方が捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.1倍以上3倍以下であってもよい。

【0036】
矩形流路4の内壁面8aと内壁面8bとの間の幅W1は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.04倍以上2.3倍以下である。このことにより、矩形流路4を流れる捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に侵入する確率を高くすることができる。このことは、後述する実験により実証された。また、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅W1がこの範囲より大きくなると、矩形流路4を流れる捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に侵入する確率が低くなることがわかった。上記範囲において、侵入確率が高くなる理由は不明であるが、捕捉対象粒子6の粒径と、矩形流路4の幅とが近いために高くなると考えられる。
また、W1をこのような範囲とすることにより、捕捉対象粒子6の粒径範囲よりも小さい粒径を有する粒子が粒子捕捉用開口5に侵入する確率を小さくすることができる。
例えば、捕捉対象粒子6の平均粒径S1が100nmである場合、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅W1は、110nm以上220nm以下とすることができる。また、捕捉対象粒子6の平均粒径S1が1000nmである場合、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅W1は、1100nm以上2200nm以下とすることができる。

【0037】
矩形流路4の内壁面8cと内壁面8dとの間の幅W2は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1.04倍以上5倍以下とすることができる。このことにより、捕捉対象粒子6を一列に並べて矩形流路4を流すことができ、捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に侵入する確率を高くすることができる。例えば、捕捉対象粒子6の平均粒径S1が100nmである場合、内壁面8cと内壁面8dとの間の幅W2は、110nm以上500nm以下とすることができる。また、捕捉対象粒子6の平均粒径S1が1000nmである場合、内壁面8cと内壁面8dとの間の幅W2は、1100nm以上5000nm以下とすることができる。

【0038】
以上のような幅となるように矩形流路4を設けることにより、例えば、図4(c)のように、捕捉対象粒子6を一列に並べて液体20と共に矩形流路4に流すことができる。矩形流路4を流れる捕捉対象粒子6は、例えば、図4(d)のように、粒子捕捉用開口5に侵入し捕捉される。

【0039】
複数の粒子捕捉用開口5が矩形流路4に沿って適当な間隔で設けられてもよい。このことにより、多数の捕捉対象粒子6を捕捉することが可能になる。また、1つの矩形流路4に設けられた隣接する2つの粒子捕捉用開口5の間隔が一定となるように複数の粒子捕捉用開口5を設けることができる。このことにより、開口5に捕捉した粒子6を配列することができ、捕捉した粒子6の観察、解析などが容易になる。例えば、図1~3に示した粒子捕捉装置25では、1つの矩形流路4に14個の粒子捕捉用開口5が設けられている。また、1つの矩形流路4に設けられる複数の粒子捕捉用開口5は、実質的に同じ大きさを有することができる。

【0040】
粒子捕捉用開口5を設ける内壁面8aは、第1基板2に設けた溝の底面であってもよく、第1基板2に設けた溝の側面であってもよい。粒子捕捉用開口5を第1基板2に設けた溝の底面に設ける場合、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅は、第1基板2に設けた溝の底面と、第2基板3側の内壁面との間の幅となる。粒子捕捉用開口5を第1基板2に設けた溝の側面に設ける場合、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅は、第1基板2に設けた溝の両側面の間の幅となる。
また、粒子捕捉用開口5は、方形の開口であってもよく円形の開口であってもよい。図1~3、図4(d)に示した粒子捕捉装置25では、開口5は第1基板2の溝の底面に設けた方形の開口である。図5(a)では、開口5は第1基板2の溝の底面に設けた円形の開口である。また、図5(b)、図6(b)では、開口5は第1基板2の溝の側面に設けた方形の開口である。
なお、流路幅がナノサイズ又はマイクロサイズになると重力よりも表面張力が大きくなるため、開口5を矩形流路4の側面に設けても粒子6は開口5に侵入する。

【0041】
粒子捕捉用開口5は、1つの捕捉対象粒子6を捕捉するように設けられてもよい。この場合、粒子捕捉用開口5の深さD1は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の1倍以上1.5倍以下とすることができる。また、粒子捕捉用開口5は、複数の捕捉対象粒子6を捕捉するように設けられてもよい。この場合、粒子捕捉用開口5の深さD1は、捕捉対象粒子6の平均粒径S1の2倍以上とすることができる。例えば、図1~3に示した粒子捕捉装置25では、粒子捕捉用開口5は、1つの捕捉対象粒子6を捕捉するように設けられている。また、図6(a)に示した粒子捕捉装置25では、粒子捕捉用開口5は、2つの捕捉対象粒子6を捕捉するように設けられている。

【0042】
粒子捕捉用開口5は、矩形流路4の複数の面に設けられてもよい。例えば、図6(c)に示した粒子捕捉装置25では、矩形流路4の対向する内壁面にそれぞれ粒子捕捉用開口5が設けられている。
粒子捕捉用開口5は、複数の矩形流路4から捕捉対象粒子6が侵入するように設けられてもよい。例えば、図6(d)に示した粒子捕捉装置25では、矩形流路4aと矩形流路4bとを連通するように粒子捕捉用開口5が設けられており、粒子捕捉用開口5には、矩形流路4aを流れる捕捉対象粒子6も、矩形流路4bを流れる捕捉対象粒子6も侵入することができる。

【0043】
粒子捕捉装置25は、補助流路21と、連通流路22とを有することができる。補助流路21は、矩形流路4と実質的に平行に延びる流路とすることができる。また、補助流路21の端は、排出側流路16に接続することができる。また、連通流路22は、粒子捕捉用開口5と補助流路21とを連通するように設けることができる。このことにより、矩形流路4を流れる液体20が粒子捕捉用開口5に流入し、連通流路22を流れて補助流路21に流入し、さらに排出側流路16に流入することができるため、捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に侵入しやすくなる。また、補助流路21から粒子捕捉用開口5に向かって液体又は気体を流すことにより、粒子捕捉用開口5に捕捉した捕捉対象粒子6を回収することが可能になる。
連通流路22は、捕捉対象粒子6が通過することができない流路断面を有することができる。例えば、連通流路22は、捕捉対象粒子6の平均粒径よりも小さい幅を有することができる。このことにより、矩形流路4から粒子捕捉用開口5に侵入した粒子6が補助流路21に流入することを防止することができ、粒子捕捉用開口5に粒子6を捕捉することができる。また、粒子捕捉用開口5に侵入した粒子で、捕捉対象粒子6よりも小さい粒子を補助流路21に流すことができ、捕捉対象粒子6よりも小さい粒子が粒子捕捉用開口5に留まることを抑制することができる。従って、連通流路22を利用してフィルタリング処理を行うことができる。
例えば、図6(e)に示した粒子捕捉装置25では、粒子捕捉用開口5の底面と補助流路21とを繋ぐ連通流路22が設けられている。

【0044】
矩形流路4の内壁面8bは、内壁面8aと内壁面8bとの間の幅が変化するように設けられてもよい。この場合、幅W1は、粒子捕捉用開口5を設けた部分における内壁面8aと内壁面8bとの間の幅とすることができる。また、矩形流路4の内壁面8bは、粒子捕捉用開口5を設けた部分において内壁面8aと内壁面8bとの間の幅が狭くなり、隣接する2つの粒子捕捉用開口5の間において内壁面8aと内壁面8bとの間の幅が広くなるように設けることができる。このことにより、矩形流路4を流れる捕捉対象粒子6及び液体に、捕捉対象粒子6が粒子捕捉用開口5に入りやすくなるような流れを形成することができる。
例えば図6(f)に示した粒子捕捉装置25のように、矩形流路4を設けることができる。

【0045】
粒子捕捉装置25には、第1捕捉対象粒子6を捕捉対象とする第1矩形流路4と、第2捕捉対象粒子6を捕捉対象とする第2矩形流路4とを設けることができる。また、粒子捕捉装置25には、捕捉対象粒子6の異なる複数の矩形流路4を設けることができる。また、各矩形流路4は、対応する捕捉対象粒子6に応じた幅W1、W2を有することができる。また、各矩形流路4に設ける粒子捕捉用開口5は、対応する捕捉対象粒子6に応じた大きさを有することができる。また、各矩形流路4に対応した扁平流路12を設けることができる。各扁平流路12は、対応する捕捉対象粒子6に応じた厚さW3を有することができる。
このように粒子捕捉装置25を設けることにより、導入流路10に流す液体20に含まれる様々な粒径の粒子6を、各粒径範囲に分けて各矩形流路4の粒子捕捉用開口5に捕捉することができる。

【0046】
例えば、図8、図9に示した粒子捕捉装置25では、4つの捕捉対象粒子6a~6dを有している。捕捉対象粒子6a~6dは、それぞれ異なる粒径範囲を有する。
図8、図9に示した粒子捕捉装置25に含まれる扁平流路12a、矩形流路4a及び粒子捕捉用開口5aは、捕捉対象粒子6aに対応した幅や大きさを有している。扁平流路12b、矩形流路4b及び粒子捕捉用開口5bは、捕捉対象粒子6bに対応した幅や大きさを有している。扁平流路12c、矩形流路4c及び粒子捕捉用開口5cは、捕捉対象粒子6cに対応した幅又は大きさを有している。扁平流路12d、矩形流路4d及び粒子捕捉用開口5dは、捕捉対象粒子6dに対応した幅又は大きさを有している。図8、9では、それぞれの矩形流路4に対応する扁平流路12を設けているが、扁平流路12を1つにして、それぞれの矩形流路4に対応するように扁平流路12の厚さが段階的に変化するように扁平流路12を設けてもよい。

【0047】
粒子捕捉装置25は、排出側流路16を有することができる。排出側流路16は、矩形流路4を流れた後の液体20を排出するための流路である。また、排出側流路16は、粒子捕捉用開口5に粒子6を捕捉した後の矩形流路4に液体を流すために使用することができる。また、矩形流路4内の液体を除去する場合には、排出側流路16に空気などの気体を流すことができる。
排出側流路16は、注入口18bから流入した液体が排出側流路16を流れ排出口19bから排出されるように設けることができる。また、排出側流路16は、矩形流路4を流れた後の液体20が排出側流路16に流入するように設けることができる。
排出側流路16は、第1基板2に設けられてもよく、第2基板3に設けられてもよいが、第2基板3に設けられることが好ましい。例えば、排出側流路16は、図1、図2、図3(a)に示した粒子捕捉装置25のように設けることができる。

【0048】
導入流路10から矩形流路4に粒子6を含む液体20を供給すると、粒子6の一部が粒子捕捉用開口5に捕捉され、残りの粒子6及び液体20は、排出側流路16に流入する。この際、排出側流路16には何も流していない。導入流路10から矩形流路4への液体20の供給がなくなると、矩形流路4の流れなくなる。この後に、注入口18bから排出側流路16に洗浄用液体を供給し、洗浄用液体を排出側流路16に流し、排出口19bから排出する。このことにより、排出側流路16に流入した粒子6及び液体20を粒子捕捉装置25から排出することができる。また、排出側流路16を流れる洗浄用液体の一部が矩形流路4、扁平流路12を流れ、導入流路10に流入する。このことにより、矩形流路4及び扁平流路12に残った粒子6及び液体20を導入流路10に排出することができる。この際、粒子捕捉用開口5に捕捉された捕捉対象粒子6は、液体20と共に排出されない。また、粒子捕捉用開口5に捕捉対象粒子6よりも小さい粒径の粒子が侵入している場合、この粒子を洗浄用液体と共に導入流路10に排出することができる。また、導入流路10にも洗浄用液体を流すことにより、導入流路10に残った粒子及び液体20を粒子捕捉装置25から排出することができる。
このようにして、導入流路10に供給した粒子6を含む液体20から、捕捉対象粒子6を分離して粒子捕捉用開口5に捕捉することができる。
なお、ここでは、洗浄用液体を排出側流路16から導入流路10に向かって矩形流路4を流したが、洗浄用液体は、導入流路10から排出側流路16に向かって矩形流路4を流してもよい。

【0049】
次に、粒子捕捉用開口5に捕捉した捕捉対象粒子6の観察、解析方法について説明する。ここでは、エクソソーム(捕捉対象粒子6)の脂質二重膜に存在する特定のタンパク質の解析について説明する。
まず、上記の方法のように、粒子捕捉用開口5にエクソソームを捕捉する。次に、矩形流路4に一次抗体を含む液体を流し、エクソソームの特定のタンパク質(抗原)に一次抗体を特異的に結合させる。次に、矩形流路4に洗浄用液体を流し、余分な一次抗体を除去した後、蛍光色素を結合させた二次抗体を含む液体を矩形流路4に流し、一次抗体に二次抗体を特異的に結合させる。次に、矩形流路4に洗浄用液体を流し、余分な二次抗体を除去する。
このようにして、蛍光色素を結合させたエクソソームを蛍光顕微鏡で観察することにより、エクソソームの脂質二重膜に存在する特定のタンパク質を解析することができる。
ここでは、脂質二重膜のタンパク質の解析について説明したが、脂質二重膜の内部のタンパク質やRNA、及び脂質などを解析することも可能である。
また、粒子捕捉装置25を用いると、エクソソームを1個ずつ解析することが可能である。粒子捕捉装置25を用いると、1つの細胞が分泌したエクソソームを網羅的に解析することも可能である。

【0050】
他の捕捉対象粒子6の解析方法としては次のような方法がある。矩形流路4に捕捉対象粒子6を含む液体を流し、粒子捕捉用開口5に捕捉対象粒子6を捕捉する。その後、矩形流路4に水又は緩衝溶液を流し矩形流路4の捕捉対象粒子6などを除去する。そして、矩形流路4に捕捉対象粒子6を溶解させる性質を有する液体を流し、粒子捕捉用開口5に捕捉した捕捉対象粒子6を液体に溶解させ、捕捉対象粒子6が溶解した溶液を得る。そして得られた溶液を分析することにより、捕捉対象粒子6についての情報を得ることができる。

【0051】
他の捕捉対象粒子6の解析方法としては次のような方法がある。図6(e)に示したような粒子捕捉装置25の矩形流路4に捕捉対象粒子6を含む液体を流し、粒子捕捉用開口5に捕捉対象粒子6を捕捉する。この際、矩形流路4に流した液体が粒子捕捉用開口5及び連通流路22を通って補助流路21に流入するように液体を流す。その後、矩形流路4に水又は緩衝溶液を流し、矩形流路4の捕捉対象粒子6などを除去する。そして、補助流路21に流した水又は緩衝溶液が連通流路22及び粒子捕捉用開口5を通って矩形流路4に流入するように水又は緩衝溶液を流すことにより、捕捉対象粒子6を水又は緩衝溶液と共に粒子捕捉用開口5から矩形流路4に取り出すことができ、捕捉対象粒子6を含む水又は緩衝溶液を得ることができる。そしてこの捕捉対象粒子6を含む水又は緩衝溶液を分析することにより、捕捉対象粒子6についての情報を得ることができる。

【0052】
他の捕捉対象粒子6の解析方法としては次のような方法がある。図1~3、図6(a)~(c)のようなウェル型の粒子捕捉用開口5を有する粒子捕捉装置25の矩形流路4に捕捉対象粒子6を含む液体を流し、粒子捕捉用開口5に捕捉対象粒子6を捕捉する。その後、矩形流路4に水又は緩衝溶液を流し、矩形流路4の捕捉対象粒子6などを除去する。そして、捕捉対象粒子6の運動を促進する液体を矩形流路4に流し粒子捕捉用開口5から捕捉対象粒子6を矩形流路4に取り出し捕捉対象粒子6を含む液体を得る。捕捉対象粒子6の運動を促進する液体は、捕捉対象粒子6と粒子捕捉用開口の内壁との間の静電的な相互作用に影響を与える液体(例えば1M KCl水溶液など)である。そして得られた捕捉対象粒子6を含む溶液を分析することにより、捕捉対象粒子6についての情報を得ることができる。

【0053】
粒子捕捉装置作製実験
図1~3に示したような粒子捕捉装置(1)を作製した。第1基板及び第2基板には石英ガラス板を用いた。
第1基板の表面上にレジストを塗布した後、電子ビームによりレジストの一部を除去しレジストにパターンを形成した。その後、レジストをマスクとしてエッチングを行い第1基板の一部を除去し溝を形成した。このようなエッチング処理を数回繰り返し、第1基板に扁平流路、矩形流路、粒子捕捉用開口などとなる溝を形成した。また、フォトリソグラフィとエッチング技術により、第2基板に導入流路及び排出側流路となる溝を形成した。その後、洗浄した第1基板及び第2基板を接触させて真空炉内に入れ、1060℃で熱処理することにより第1基板と第2基板とを融着させた。このようにして、第1基板と第2基板との間に導入流路、扁平流路、矩形流路、粒子捕捉用開口、排出流路などが形成された粒子捕捉装置(1)を製造した。

【0054】
図10は、作製した粒子捕捉装置(1)の写真及びSEM画像である。また、図11(a)は、粒子捕捉装置(1)の作製に用いた矩形流路及び粒子捕捉用開口を形成した第1基板のSEM画像である。粒子捕捉装置(1)では、粒子捕捉用開口を第1基板に設けた溝の底面に形成した。
扁平流路の厚さW3及び矩形流路(ナノ流路)の幅W1は、500nmとし、矩形流路の幅W2は800nmとした。また、粒子捕捉用開口(ナノウェル)の大きさW4、W5は500nmとし、粒子捕捉用開口の深さD1は330nmとした。また、矩形流路は、50本形成し、1本の矩形流路につき160個の粒子捕捉用開口を形成した。
図11(b)、図12(a)~(f)、図13、図14は、第1基板に設けた溝(矩形流路)の側面に粒子捕捉用開口を形成した第1基板のSEM画像である。図11(b)、図12(a)~(f)、図13、図14のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置もそれぞれ作製した。これらの粒子捕捉装置は、粒子捕捉装置(1)と同様の方法で製造した。

【0055】
図11(b)、図12(a)、図14のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置は、図6(a)の粒子捕捉装置25のように矩形流路の一方の側面に粒子捕捉用開口を設けている。図12(b)~(e)のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置は、図6(c)の粒子捕捉装置25のように、矩形流路の両側面に粒子捕捉用開口を設けている。図12(f)のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置は、図6(f)の粒子捕捉装置25のように、矩形流路の幅が変化するように矩形流路を形成している。
図13のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置は、図6(e)の粒子捕捉装置25のように、補助流路と連通流路を備えている。この粒子捕捉装置では、長さ400μm、幅960nm、深さ350nmの矩形流路を10μm間隔で36本形成している。また、各矩形流路と平行に、幅510nm、深さ350nmの補助流路を36本形成している。各矩形流路には、680nm×680nmの粒子捕捉用開口を5μm間隔で110個形成している。また粒子捕捉用開口と補助流路とを繋ぐ幅350nmの連通流路(ネック構造)を形成している。
また、図14のSEM画像のような第1基板を備えた粒子捕捉装置(2)をエクソソーム捕捉実験で用いた。

【0056】
ナノ粒子捕捉実験
作製した粒子捕捉装置(1)の導入流路の注入口に、平均粒径が250nmの蛍光ポリスチレン粒子(以下、PS粒子という)を含む水(濃度:6.0×109個/ml)を滴下し、毛管現象により導入流路、扁平流路、矩形流路にPS粒子及び水を流した。その後、矩形流路に水を流し、矩形流路に残ったPS粒子を粒子捕捉装置から排出した。その後、粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子を蛍光顕微鏡により観察した。図15は、観察された蛍光顕微鏡像であり、白い点が粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子である。図15からわかるように、PS粒子を含む水を矩形流路に流すことにより、PS粒子を粒子捕捉用開口に捕捉できることがわかった。

【0057】
捕捉したナノ粒子の時間安定性及び温度安定性の評価
作製した粒子捕捉装置(1)の矩形流路に水を流し続け、粒子捕捉用開口に捕捉したPS粒子が粒子捕捉用開口から脱離するか否かを調べた。具体的には、矩形流路に24時間水を流し続けた後、粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子を蛍光顕微鏡により観察した。図16の上の写真は、水を流す前の粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子の蛍光顕微鏡像であり、図16の下の写真は24時間水を流し続けた後の粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子の蛍光顕微鏡像である。この結果から、矩形流路に24時間水を流し続けてもPS粒子は、粒子捕捉用開口から脱離することはないことがわかった。また、水が流れなくても、PS粒子は、粒子捕捉用開口から脱離することはないことも他の実験でわかった。
また、粒子捕捉用開口に捕捉したPS粒子の温度安定性の評価も行った。粒子捕捉装置を100℃まで昇温してもPS粒子が粒子捕捉用開口から脱離することはなかった。
これは、PS粒子が一旦粒子捕捉用開口の内部に捕捉されると、PS粒子と粒子捕捉用開口(ナノウェル)の壁面との相互作用により、PS粒子のブラウン運動が抑制され、PS粒子が粒子捕捉用開口の内部に制限されるためと考えられる。
これらの結果から、複数のナノ粒子を1粒子精度で長時間安定的にアレイ化することができることがわかった。

【0058】
混合ナノ粒子の捕捉実験
平均粒径が250nmの赤色蛍光ポリスチレン粒子(以下、赤色PS粒子という)と、平均粒径が250nmの緑色蛍光ポリスチレン粒子(以下緑色PS粒子という)との混合比率が赤色PS粒子:緑色PS粒子=1:1、赤色PS粒子:緑色PS粒子=1:5又は赤色PS粒子:緑色PS粒子=1:10として、赤色PS粒子と緑色PS粒子とを粒子捕捉用開口に捕捉する実験をそれぞれ行った。具体的には、作製した粒子捕捉装置(1)の導入流路の注入口に、上記の混合比率で赤色PS粒子と緑色PS粒子を含む水(濃度:6.0×109個/ml)を滴下し、毛管現象により導入流路、扁平流路、矩形流路に赤色PS粒子、緑色PS粒子及び水を流した。その後、矩形流路に水を流し、矩形流路に残ったPS粒子を粒子捕捉装置から排出した。その後、粒子捕捉用開口に捕捉された赤色PS粒子及び緑色PS粒子を蛍光顕微鏡により観察し、検出された赤色PS粒子と緑色PS粒子の割合を算出した。算出された割合を図17に示す。この結果から、粒子捕捉装置に注入した水に含まれる赤色PS粒子と緑色PS粒子との混合比と、検出された赤色PS粒子と緑色PS粒子との割合がほぼ同じであることがわかった。従って、作製した粒子捕捉装置により、液体に含まれるナノ粒子の混合比を簡単に同定できることがわかった。

【0059】
ナノ粒子のトラップ率の測定
矩形流路の幅W1及び扁平流路の厚さW3を変化させた7つの粒子捕捉装置を作製して、PS粒子のトラップ率へのW1、W3の影響を調べた。作製した7つの粒子捕捉装置では、図11(b)、図12(a)、図14に示した第1基板のように、第1基板の溝の一方の側面に複数の粒子捕捉用開口を設けた。また、作製した7つの粒子捕捉装置では、W2とW3は同じであり、W1は、それぞれ260nm、380nm、470nm、580nm、680nm、800nm、900nmとした。その他の構成や製造方法は、上述の粒子捕捉装置作製実験と同じである。これらの粒子捕捉装置の矩形流路に平均粒径が250nmの蛍光ポリスチレン粒子(PS粒子)を含む水を流した後、粒子捕捉用開口に捕捉されたPS粒子を蛍光顕微鏡で観察した。そして、トラップ率=(検出されたPS粒子の数)/(粒子捕捉装置に含まれる粒子捕捉用開口の数)を算出した。算出したトラップ率を図18に示す。
矩形流路の幅W1を580nm(PS粒子の粒径の2.32倍)以上にすると、粒子捕捉用開口にPS粒子は捕捉されないことがわかった。また、矩形流路の幅W1を260nm(PS粒子の粒径の1.04倍)としても、粒子捕捉用開口にPS粒子を捕捉できることがわかった。また、矩形流路の幅W1を380nm(PS粒子の粒径の1.52倍)とすると、PS粒子のトラップ率が最も高いことがわかった。
このように、矩形流路の幅W1を変えると、トラップ率が大きく変わることがわかった。W1が小さくなると、PS粒子が矩形流路の内壁に沿って流れるため、PS粒子が粒子捕捉用開口に入りやすくなりトラップ率が大きくなると考えられる。また、W1が小さいとPS粒子が電荷を帯び、静電相互作用によりPS粒子が粒子捕捉用開口に入りやすくなることも考えられる。また、W1が小さすぎると、PS粒子が矩形流路を流れにくくなり流路抵抗が大きくなるため、トラップ率が低下すると考えられる。また、W1が大きすぎると、PS粒子が矩形流路を流れやすくなり流路抵抗が低下するため、PS粒子が粒子捕捉用開口に侵入しなくなると考えられる。

【0060】
エクソソーム捕捉実験
作製した粒子捕捉装置(2)を用いてエクソソーム捕捉実験を行った。粒子捕捉装置(2)において、矩形流路の幅は410nmであり、矩形流路の深さ(第1基板の溝の深さ)は410nmとした。また、平行に並ぶ隣接する2つの矩形流路の間隔は5μmである。また、粒子捕捉用開口(ナノウェル)の大きさは320nm×320nmであり深さは420nmである。また、隣接する2つの粒子捕捉用開口の間隔は1.3μmである。

【0061】
緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現させたヒト前立腺癌細胞(PC-3細胞)を培養液中で培養した後、培養上清を採取した。この培養上清を0.2μmフィルターでフィルタリングした。フィルタリング後の培養上清に含まれるエクソソームの粒子径分布をゼータ電位・粒径測定システムを用いて測定した。測定結果を図19に示す。培養上清には、粒子径が約100nmのエクソソームが含まれることがわかった。
次に、フィルタリング後の培養上清を作製した粒子捕捉装置(2)の注入口に滴下し、毛管現象により導入流路、扁平流路、矩形流路に培養上清を流し、粒子捕捉用開口にエクソソームを捕捉した。その後、矩形流路に水を流し、矩形流路に残った培養上清を粒子捕捉装置(2)から排出した。その後、矩形流路及び粒子捕捉用開口の明視野観察及び蛍光観察を行った。図20に矩形流路及び粒子捕捉用開口の明視野像、蛍光像、マージドイメージを示す。図20の明視野像の横に伸びる白い線が矩形流路及び粒子捕捉用開口である。図20の蛍光像の発光点(発光点を円で囲んでいる)がGFPを含むエクソソームと考えられる。また、図20のマージドイメージに示したように、エクソソームが粒子捕捉用開口に捕捉されていることが確認された。
粒子捕捉用開口に捕捉したエクソソームについて解析を行うことにより、エクソソームの表面のRNAやタンパク質、エクソソームの内部のRNAやタンパク質などについての情報を得ることができる。
本発明の粒子捕捉装置を用いると、簡単な操作でエクソソームを粒子捕捉用開口に捕捉し解析できることがわかった。
【符号の説明】
【0062】
2:第1基板 3:第2基板 4、4a、4b、4c、4d:矩形流路 5:粒子捕捉用開口 6:捕捉対象粒子 8、8a、8b、8c、8d:内壁面 10:導入流路 12、12a、12b、12c、12d:扁平流路 14:細胞捕捉室 16:排出側流路 18、18a、18b:注入口 19、19a、19b:排出口 20:液体(分散媒) 21:補助流路 22:連通流路 24:細胞 25:粒子捕捉装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19