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明細書 :静電容量型センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-072031 (P2018-072031A)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 静電容量型センサ
国際特許分類 G01D   5/241       (2006.01)
H01H  36/00        (2006.01)
FI G01D 5/24 A
H01H 36/00 J
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2016-208825 (P2016-208825)
出願日 平成28年10月25日(2016.10.25)
発明者または考案者 【氏名】岩田 史郎
【氏名】今若 直人
【氏名】大峠 忍
【氏名】野村 健一
【氏名】牛島 洋史
【氏名】鍛冶 良作
出願人 【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2F077
5G046
Fターム 2F077AA25
2F077HH03
2F077HH15
2F077WW03
5G046AA03
5G046AB01
5G046AC24
5G046AC26
5G046AD02
要約 【課題】本発明は、上下引き出し印刷電極に起因した誤検出を防止するための静電容量型センサを提供する。
【解決手段】本発明に係る静電容量型センサは、基材と、前記基材の上部表面に形成された上部印刷電極と、前記基材の前記上部表面とは反対側の下部表面に形成され、前記上部印刷電極よりも面積が大きい下部印刷電極と、前記上部印刷電極に電圧を印加する上部引き出し印刷配線と、前記下部印刷電極に電圧を印加する下部引き出し印刷配線と、を備えた静電容量型センサであって、前記上部引き出し印刷配線及び前記下部引き出し印刷配線は、同じ方向に引き出されていることを特徴とする。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
基材と、
前記基材の上部表面に形成された上部印刷電極と、
前記基材の前記上部表面とは反対側の下部表面に形成され、前記上部印刷電極よりも面積が大きい下部印刷電極と、
前記上部印刷電極に電圧を印加する上部引き出し印刷配線と、
前記下部印刷電極に電圧を印加する下部引き出し印刷配線と、
を備えた静電容量型センサであって、
前記上部引き出し印刷配線及び前記下部引き出し印刷配線は、同じ方向に引き出されていることを特徴とする静電容量型センサ。
【請求項2】
前記下部引き出し印刷配線は、前記上部引き出し印刷配線よりも配線幅が大きいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量型センサ。
【請求項3】
(前記上部引き出し印刷配線の幅)/(前記下部引き出し印刷配線の幅)が、0.5以上1未満であることを特徴とする請求項2に記載の静電容量型センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型センサに関し、より詳細には、上下引き出し印刷電極に起因した誤検出を防止するための静電容量型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
空間内の導電物質の存否又は導電物質の動きの情報を検出する近接センサ、パック内の内容物の有無を検出する内包センサ、温度又は湿度を検出する温湿度センサとして、静電容量型センサが利用されている。このような静電容量型センサにおいては、製造コストを低減するために、製造プロセスに印刷技術を適用したものが実現されている。また、基材の片面のみに検出電極層等の積層構造を印刷した場合には、製造バラツキが生じるため、これを防止するために、薄膜基材の両面に薄膜電極を配置した静電容量型センサも現れている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図1(a)は、特許文献1に示されるような、両面に薄膜電極を配置した従来の静電容量型センサを示し、図1(b)はその断面図を示す。図1(a)及び(b)には、基材11と、基材11の上部表面に形成された上部印刷電極12と、基材11の上部表面とは反対側の下部表面に形成された下部印刷電極13と、上部表面において引き出されて上部印刷電極12に電圧を印加する上部引き出し印刷配線14と、下部表面において上部引き出し印刷配線14とは反対方向に引き出されて下部印刷電極13に電圧を印加する下部引き出し印刷配線15と、を備えた静電容量型センサ10が示されている。上部印刷電極12、下部印刷電極13、上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15は、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて基材11上に形成されている。上部印刷電極12及び下部印刷電極13は、下部印刷電極13の方が上部印刷電極12よりも面積が大きくなるように構成されている。
【0004】
図1に示されるような従来の静電容量型センサ10では、上部印刷電極12及び下部印刷電極13は、それぞれ、上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15を介して所定の周波数及び所定の振幅の交流電圧が印加されている。それにより、上部印刷電極12及び下部印刷電極13間の電流及び電圧を測定し、当該測定値に基づいて静電容量型センサ10の静電容量値を算出している。静電容量型センサ10では、上部印刷電極12及び下部印刷電極13の一方から他方に向かう電気力線を利用して検出範囲を定めている。静電容量型センサ10の検出範囲内に物体が入ると、当該物体により電気力線の一部が吸収されて静電容量型センサ10の静電容量値が減少する。静電容量値の減少量は、物体が静電容量型センサ10に近づくほど増加する。このように、静電容量型センサ10の静電容量値の変化を検出することにより、物体の存否や動き情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2016-19588号公報
【特許文献2】特開2014-137240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2は、図1に示される従来の静電容量型センサにおける電界強度分布(電圧印加条件:周波数200kHz、振幅1V)を示す。図2では、電界強度30V/mの面を立体表示している。静電容量型センサの感度域は、電界強度分布と等価とみなすことができる。図2(a)に示される従来の静電容量型センサでは、x-z平面において、電界強度がz軸に関して対称且つ上部印刷電極12及び下部印刷電極13近傍に分布している。一方で、図2(b)に示される従来の静電容量型センサでは、y-z平面において、上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15の引き出し方向であるy軸方向に沿って、上部印刷電極12及び下部印刷電極13近傍に収まらずに上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15にわたって電界強度がなだらかに分布している。また、図2(c)に示される電界強度30V/mの面の立体表示では、上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15が互いに反対方向に引き出されて形成されているため、y軸方向全体に沿って電界強度が分布している。上部印刷電極12及び下部印刷電極13を円盤形状とし、上部印刷電極12の半径を0.5mm、下部印刷電極13の半径を9mm、上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15の幅を0.5mmとし、基材11の厚みを0.1mm、比誘電率を3.06としているが、これに限定されない。
【0007】
このように、電界が広がって分布するため、従来の静電容量型センサは指向性(空間分解能)が低く、本来の検出範囲である上部印刷電極12及び下部印刷電極13近傍だけでなく上部引き出し印刷配線14及び下部引き出し印刷配線15近傍も検出範囲となってしまうことから、これに起因して誤検出が生じやすいという問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上下引き出し印刷電極に起因した誤検出を防止するための静電容量型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る静電容量型センサは、基材と、前記基材の上部表面に形成された上部印刷電極と、前記基材の前記上部表面とは反対側の下部表面に形成され、前記上部印刷電極よりも面積が大きい下部印刷電極と、前記上部印刷電極に電圧を印加する上部引き出し印刷配線と、前記下部印刷電極に電圧を印加する下部引き出し印刷配線と、を備えた静電容量型センサであって、前記上部引き出し印刷配線及び前記下部引き出し印刷配線は、同じ方向に引き出されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の実施形態に係る静電容量型センサでは、前記下部引き出し印刷配線は、前記上部引き出し印刷配線よりも配線幅が大きいことを特徴とする。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態に係る静電容量型センサでは、(前記上部引き出し印刷配線の幅)/(前記下部引き出し印刷配線の幅)が、0.5以上1未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上下引き出し印刷電極の方向依存性に起因する誤検出を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】両面に薄膜電極を配置した従来の静電容量型センサを示す図である。
【図2】従来の静電容量型センサにおける電界強度分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係る、両面に薄膜電極を配置した静電容量型センサを示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る静電容量型センサにおける電界強度分布を示す図である。
【図5】引き出し印刷配線の幅を変えた場合の本発明に係る静電容量型センサにおける電界強度分布を示す図である。
【図6】誤検出距離と(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)との関係を示す図である。
【図7】誤検出距離及びセンサ検出距離を例示的に示した図である。
【図8】センサ検出距離と(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施例1>
図3は、本発明の実施例1に係る静電容量型センサを示す。図3には、基材111と、基材111の上部表面に形成された上部印刷電極112と、基材111の上部表面とは反対側の下部表面に形成された下部印刷電極113と、上部印刷電極112に電圧を印加する上部引き出し印刷配線114と、下部印刷電極113に電圧を印加する下部引き出し印刷配線115と、を備えた静電容量型センサ110が示されている。上部印刷電極112、下部印刷電極113、上部引き出し印刷配線114及び下部引き出し印刷配線115は、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて基材111上に形成されている。基材111としては、例えば、薄膜フィルムを用いることができる。

【0015】
上部印刷電極112及び下部印刷電極113は、下部印刷電極113のほうが上部印刷電極112よりも面積が大きくなるように構成されている。また、図3に示されるように、本発明の実施例1に係る静電容量型センサ110では、上部引き出し印刷配線114と下部引き出し印刷配線115とは、上下表面に互いに対向して同じ方向に引き出されている。

【0016】
本実施例1では、上部印刷電極112及び下部印刷電極113を円盤形状とし、上部印刷電極112の半径を0.5mm、下部印刷電極113の半径を9mm、上部引き出し印刷配線114及び下部引き出し印刷配線115の幅を0.5mmとし、基材111の厚みを0.1mm、比誘電率を3.06、電圧印加条件を周波数200kHz、振幅1Vとしているが、これに限定されない。

【0017】
図4は、本発明の実施例1に係る静電容量型センサ110における電界強度分布を示す。図4では、電界強度30V/mの面を立体表示している。ここでは、静電容量型センサの感度域を例示するために、立体表示する電界強度を便宜的に30V/mとした。図4(b)に示されるように、本発明の実施例1に係る静電容量型センサ110では、中央から上部引き出し印刷配線114及び下部引き出し印刷配線115が引き出されているy軸に沿って図2に示される電界強度分布よりも電界強度分布が縮小しているため、従来の静電容量型センサよりも検出領域の指向性が向上している。

【0018】
一方で、図4(a)に示される電界強度分布と図2(a)に示される電界強度分布とを比較しても同様の電界強度分布となっている。また、図4(c)に示される電界強度分布は、図2(c)に示される電界強度分布と比較して上部引き出し印刷配線114及び下部引き出し印刷配線115が形成されているy軸方向のみ電界強度分布が縮小している。従って、本発明の実施例1に係る静電容量型センサ110と従来の静電容量型センサとでは、実効的な検出感度は変わっていない。

【0019】
本発明の実施例1に係る静電容量型センサによると、検出感度を変えずに検出領域の指向性(空間分解能)を向上することができるため、検出感度を保ったまま上下引き出し印刷電極の方向依存性に起因する誤検出を抑制することが可能となる。

【0020】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る静電容量型センサを説明する。本発明の実施例2に係る静電容量型センサでは、下部引き出し印刷配線115の配線幅を上部引き出し印刷配線114の配線幅よりも大きくすることにより、さらに誤検出を抑制することができる。

【0021】
図5は、引き出し印刷配線の幅を変えた場合の本発明に係る静電容量型センサにおける電界強度分布(電圧印加条件:周波数200kHz、振幅1V)を示す。図5では、電界強度30V/mの面を立体表示している。図5でも同様に、立体表示する電界強度を便宜的に30V/mとしている。図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(e)、及び図5(f)は、それぞれ、上部引き出し印刷配線114の幅が0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.5mm、0.5mm、0.5mmであり、下部引き出し印刷配線115の幅が0.5mm、0.5mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mmであり、基材111の厚みが0.1mm、比誘電率が3.06である場合を示す。ここで、図5で用いた静電容量型センサでは、上部印刷電極112及び下部印刷電極113を円盤形状とし、上部印刷電極112の半径を0.5mm、下部印刷電極13の半径を9mmとしている。

【0022】
図5に示されるように、下部引き出し印刷配線115の幅が上部引き出し印刷配線114よりも大きくなると、上下引き出し印刷配線幅が両方とも0.5mmの場合と比較して引き出し印刷配線が形成されている部分の電界強度分布が縮小しているため、誤検出をさらに抑制できることが理解される。

【0023】
図6は、引き出し配線部分におけるz方向の検出距離(以下、誤検出距離)と(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)との関係を示す。図6では、上部引き出し印刷配線114の幅がそれぞれ0.3mm、0.5mm、0.7mmであり、基材111の厚みが0.1mm、比誘電率が3.06である場合を示している。また、図7には、誤検出距離が例示的に図示されている。図7に示されるように、本実施例では、センサ中心から12mmの位置の引き出し配線部分におけるz方向の検出距離を誤検出距離としている。

【0024】
図6に示されるように、上部引き出し印刷配線114の幅が0.3mm、0.5mm、0.7mmのいずれの場合であっても、(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)が1の場合よりも、(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)が1未満の場合の方が誤検出距離が小さくなっている。従って、上部引き出し印刷配線114の幅に関わらず、下部引き出し印刷配線115の配線幅を上部引き出し印刷配線114の配線幅よりも大きくした方が、上下の引き出し印刷配線の幅が同じ場合よりも誤検出を抑制できることがわかる。

【0025】
図8は、センサ部分におけるz方向の検出距離(以下、センサ検出距離)と(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)との関係を示す。図8では、上部引き出し印刷配線114の幅がそれぞれ0.3mm、0.5mm、0.7mmであり、基材111の厚みが0.1mm、比誘電率が3.06である場合を示している。また、図7には、センサ検出距離が例示的に図示されている。

【0026】
図8に示されるように、上部引き出し印刷配線114の幅が0.3mm、0.5mm、0.7mmのいずれであっても、(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)が0.5程度までは、(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)が1の場合と同程度のセンサ検出距離を保っている。従って、(上部引き出し印刷配線の幅/下部引き出し印刷配線の幅)を0.5以上とすることにより、上部引き出し印刷配線114の幅に関わらず、センサの検出感度を変えずに、誤検出を抑制できることがわかる。

【0027】
以上のように、本発明によると、上下引き出し印刷電極に起因した誤検出を防止するための静電容量型センサを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
静電容量型センサ 10、110
基材 11、111
上部印刷電極 12、112
下部印刷電極 13、113
上部引き出し印刷配線 14、114
下部引き出し印刷配線 15、115
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
7