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明細書 :静電容量型センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-056570 (P2019-056570A)
公開日 平成31年4月11日(2019.4.11)
発明の名称または考案の名称 静電容量型センサ
国際特許分類 G01P  13/00        (2006.01)
H01H  36/00        (2006.01)
G01D   5/24        (2006.01)
FI G01P 13/00 A
H01H 36/00 V
G01D 5/24 D
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2017-179511 (P2017-179511)
出願日 平成29年9月19日(2017.9.19)
発明者または考案者 【氏名】岩田 史郎
【氏名】今若 直人
【氏名】野村 健一
【氏名】堀井 美徳
【氏名】鍛冶 良作
【氏名】山本 典孝
【氏名】牛島 洋史
出願人 【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2F034
2F077
5G046
Fターム 2F034AA19
2F034BA10
2F034BA16
2F077HH02
2F077HH15
2F077TT07
2F077TT82
5G046AA02
5G046AB01
5G046AC23
5G046AD02
5G046AD23
5G046AE21
要約 【課題】本発明は、物体の接近や生体信号について、より遠方から、より精度良く検出するために、従来よりも検出感度を向上させた静電容量型センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る静電容量型センサは、高周波電源、静電容量形成部、抵抗及びコイルが直列又は並列接続されており、静電容量型センサのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部と、測定部が測定したパラメータの測定値の所定期間内の変化量に基づいて、検出対象となる動作がなされたか否かを判定する処理部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する静電容量型センサ部であって、
静電容量形成部と、
抵抗と、
コイルと、
を含む、静電容量型センサ部と、
所定の周波数で、前記静電容量形成部、前記抵抗及び前記コイルに交流電圧を印加する高周波電源と、
を備えた静電容量型センサであって、
前記高周波電源と、前記静電容量形成部と、前記抵抗と、前記コイルとが並列接続されることにより共振回路を構成し、
前記静電容量型センサは、前記静電容量型センサのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記パラメータの測定値の変化量に基づいて、前記検出対象となる動作がなされたか否かを判定する処理部と、
をさらに備えたことを特徴とする静電容量型センサ。
【請求項2】
検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する静電容量型センサ部であって、
静電容量形成部と、
抵抗と、
コイルと、
を含む、静電容量型センサ部と、
所定の周波数で、前記静電容量形成部、前記抵抗及び前記コイルに交流電圧を印加する高周波電源と、
を備えた静電容量型センサであって、
前記高周波電源と、前記静電容量形成部と、前記抵抗と、前記コイルとが直列接続されることにより共振回路を構成し、
前記静電容量型センサは、前記静電容量型センサのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記パラメータの測定値の変化量に基づいて、前記検出対象となる動作がなされたか否かを判定する処理部と、
をさらに備えたことを特徴とする静電容量型センサ。
【請求項3】
前記処理部は、
前記測定部が測定した前記パラメータの測定値のいずれかの前記変化量の絶対値が、予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定し、
前記変化量の絶対値が前記所定の閾値を超えている場合に前記検出対象の動作がなされたと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量型センサ。
【請求項4】
前記処理部は、
前記測定部が測定した前記パラメータの測定値を高速フーリエ変換して、当該算出結果に基づいて検出対象となる動作がなされたか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量型センサ。
【請求項5】
前記静電容量形成部は、
基材の第1の表面に形成された第1の印刷電極と、
前記基材の前記第1の表面とは反対側の第2の表面に形成され、前記第1の印刷電極とは面積が異なる第2の印刷電極と、を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項6】
前記抵抗は、前記基材の前記第1の表面に形成された印刷抵抗であることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型センサ。
【請求項7】
前記コイルは、前記基材の前記第1の表面に形成された印刷コイルであることを特徴とする請求項5又は6に記載の静電容量型センサ。
【請求項8】
前記パラメータのグループは、前記静電容量型センサ部の共振周波数をさらに含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電容量型センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、従来よりも検出感度を向上させた静電容量型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
空間内の導電物質の存否又は導電物質の動きの情報を検出する近接センサ、パック内の内容物の有無を検出する内包センサ、温度又は湿度を検出する温湿度センサとして、静電容量型センサが利用されている。このような静電容量型センサにおいては、製造コストを低減するために、製造プロセスに印刷技術を適用したものが実現されている。また、基材の片面のみに検出電極層等の積層構造を印刷した場合には、製造バラツキが生じるため、これを防止するために、薄膜基材の両面に薄膜電極を配置した静電容量型センサも現れている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図1(a)は、特許文献1に示されるような、両面に薄膜電極を配置した従来の静電容量型センサを示し、図1(b)はその断面図を示す。図1(a)及び(b)には、基材11と、基材11の第1の表面に形成された第1の印刷電極12と、基材11の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の印刷電極13と、第1の表面において引き出されて第1の印刷電極12に電圧を印加する第1の引き出し印刷配線14と、第2の表面において引き出されて第2の印刷電極13に電圧を印加する第2の引き出し印刷配線15と、を備えた静電容量型センサ10が示されている。
【0004】
第1の印刷電極12、第2の印刷電極13、第1の引き出し印刷配線14及び第2の引き出し印刷配線15は、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて基材11上に形成されている。基材11としては、例えば、薄膜フィルムを用いることができる。例えば第1の印刷電極12をシグナル電極とし、第2の印刷電極13をグラウンド電極とした場合、グラウンド電極として機能する第2の印刷電極13の方がシグナル電極として機能する第1の印刷電極12よりも面積が大きくなるように構成されている。
【0005】
図1に示されるような従来の静電容量型センサ10では、第1の印刷電極12及び第2の印刷電極13は、それぞれ、第1の引き出し印刷配線14及び第2の引き出し印刷配線15を介して所定の周波数及び所定の振幅の交流電圧が印加されている。それにより、第1の印刷電極12及び第2の印刷電極13間の電流及び電圧を測定し、当該測定値に基づいて静電容量型センサ10のインピーダンスZ、レジスタンスR、リアクタンスX、アドミタンスY、コンダクタンスG、サセプタンスB、静電容量値などを算出している。
【0006】
静電容量型センサ10では、第1の印刷電極12及び第2の印刷電極13の一方から他方に向かう電気力線を利用して検出範囲を定めている。静電容量型センサ10の検出範囲内に物体が入ると、当該物体により電気力線の一部が吸収されて静電容量型センサ10の静電容量値が減少する。静電容量値の減少量は、物体が静電容量型センサ10に近づくほど増加する。このように、静電容量型センサ10の静電容量値の変化を検出することにより、物体の存否や動き情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2016-19588号公報
【特許文献2】特開2014-137240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図1に示されるような従来の静電容量型センサ10では、物体の接近や人の呼吸による胸部の動き等は検出できるものの、心拍等のより細かい人体の動きを検出できるほどの検出感度を有していなかった。また、物体の接近や生体信号についても、より遠方から、より精度良く検出することが求められている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも検出感度を向上させた静電容量型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る静電容量型センサは、検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する静電容量型センサ部であって、静電容量形成部と、抵抗と、コイルと、を含む、静電容量型センサ部と、所定の周波数で、前記静電容量形成部、前記抵抗及び前記コイルに交流電圧を印加する高周波電源と、を備えた静電容量型センサであって、前記高周波電源と、前記静電容量形成部と、前記抵抗と、前記コイルとが並列接続されることにより共振回路を構成し、前記静電容量型センサは、前記静電容量型センサのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部と、前記測定部が測定した前記パラメータの測定値の変化量に基づいて、前記検出対象となる動作がなされたか否かを判定する処理部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の実施形態に係る静電容量型センサは、検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する静電容量型センサ部であって、静電容量形成部と、抵抗と、コイルと、を含む、静電容量型センサ部と、所定の周波数で、前記静電容量形成部、前記抵抗及び前記コイルに交流電圧を印加する高周波電源と、を備えた静電容量型センサであって、前記高周波電源と、前記静電容量形成部と、前記抵抗と、前記コイルとが直列接続されることにより共振回路を構成し、前記静電容量型センサは、前記静電容量型センサのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部と、前記測定部が測定した前記パラメータの測定値の変化量に基づいて、前記検出対象となる動作がなされたか否かを判定する処理部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来よりも検出感度を向上させた静電容量型センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の静電容量型センサを示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係る静電容量型センサを示す図である。
【図3】呼吸の吸い込み時と吐き出し時における静電容量型センサ100の共振周波数の変化を例示する図である。
【図4】本発明の実施例2に係る静電容量型センサを示す図である。
【図5】本発明の実施例3に係る静電容量型センサを示す図である。
【図6】周期的呼吸信号の検出試験結果を例示する図である。
【図7】本実施例3に係る静電容量型センサにおけるZ、R及びXの周波数特性を示す図である。
【図8】本実施例3に係る静電容量型センサにおけるZ、R及びXの周波数特性を示す図である。
【図9】本発明の実施例4に係る静電容量型センサを示す図である。
【図10】本実施例4に係る静電容量型センサにおけるY、G及びBの周波数特性を示す図である。
【図11】本実施例4に係る静電容量型センサにおけるY、G及びBの周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1に係る静電容量型センサを示す。図2には、高周波電源110と、静電容量型センサ部120と、測定部130と、処理部140と、を備えた静電容量型センサ100が示されている。静電容量型センサ部120は、静電容量形成部121と、抵抗122と、コイル123と、を備える。静電容量型センサ100は、検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する。

【0015】
静電容量形成部121は、例えば、基材の片面に互いの櫛歯が対向するように形成された2つの櫛歯型電極や、基材の両面に互いに対向するように形成されたそれぞれ面積が異なる2つの平板電極で構成することができる。また、抵抗122及びコイル123は、それぞれ、例えば、表面実装された小さなチップ抵抗及びチップコイルや、基板表面に印刷された印刷抵抗及び印刷コイルとすることができる。

【0016】
図2に示されるように、本実施例1では、静電容量形成部121は、高周波電源110と、抵抗122と、コイル123とに並列接続されている。静電容量型センサ100では、静電容量型センサ部120において、コイル123と、静電容量形成部121と、抵抗122とを、それぞれ、LCR共振回路のL、C及びRに対応する構成要素として用いて並列接続することにより、LCR並列共振回路を構成している。

【0017】
静電容量形成部121、抵抗122、コイル123は別々の基板上に形成されたものを導線でつないでもよいし、一部、あるいは全てを同一の基材上に形成しても構わない。その場合、基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどで構成された薄膜フィルムを用いることができる。また、その場合は、静電容量形成部121、抵抗122及びコイル123は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成され、スクリーン印刷法などの印刷法、あるいは蒸着法やスパッタリング法など、種々の方法を用いて形成することができる。

【0018】
高周波電源110は、静電容量型センサ部120の静電容量形成部121と、抵抗122と、コイル123とに所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加する。

【0019】
測定部130は、例えば、静電容量型センサ部120のインピーダンスZ、レジスタンスR、リアクタンスX、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定することができる。測定部130としては、例えばLCRメータなどを用いることができる。実施例1のようなLCR並列共振回路の場合、測定部130は、インピーダンスZ、レジスタンスR及びリアクタンスXのうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。

【0020】
処理部140は、測定部130から、測定部130で測定された各パラメータの測定値が時系列的に入力され、各パラメータの時系列データを記憶する。処理部140は、後述するように、記憶した時系列データに基づいて物体の近接や生体信号の検出を判断することができる。

【0021】
以下、人の呼吸を検出対象の動作とした場合を例に、本発明に係る静電容量型センサ100の検出原理を説明する。

【0022】
静電容量型センサ100の検出範囲内で被験者が呼吸すると、その呼吸により被験者の胸等が動いて静電容量型センサ100と被験者との間の距離が周期的に変化し、静電容量型センサ100の静電容量値も周期的に変化する。それに伴い、静電容量型センサ100が構成するLCR並列共振回路(静電容量型センサ部120)の共振周波数にも変化が生じる。

【0023】
図3は、呼吸の吸い込み状態と吐き出し状態における静電容量型センサ部120のリアクタンスXの周波数特性を例示する。図3には、吸い込み状態におけるリアクタンスXの波形1と、吐き出し状態におけるリアクタンスXの波形2と、が示されている。図3では、説明の簡潔化の目的で、リアクタンスXのみを例にその周波数特性を示しているが、インピーダンスZ、レジスタンスR、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスB等の他のパラメータにおいても同様のことがいえる。ここで、図3中の横軸の周波数は、高周波電源110の印加電圧の周波数に対応している。

【0024】
図3に示されるように、吸い込み状態から吐き出し状態へ移行すると、静電容量型センサ100の静電容量値の変化により静電容量型センサ部120の共振周波数が変化し、それに伴い、リアクタンスXの波形が波形1から波形2へシフトしている。当該波形のシフトにより、吸い込み状態又は吐き出し状態の共振周波数近傍の周波数においてリアクタンスXが大きく変化していることがわかる。

【0025】
本発明では、吸い込み状態から吐き出し状態へ移行した場合における静電容量値の変化量を測定するのではなく、静電容量型センサ部120が構成するLCR共振回路の共振周波数の変化に伴って大きく変化したリアクタンスXの変化量ΔX等の各パラメータの変化量を測定することにより、より高感度の検出を実現することができる。

【0026】
次に、上記と同様に人の呼吸の検出を例に、本実施例1に係る静電容量型センサ100における処理について説明する。

【0027】
静電容量型センサ100の検出範囲内で被験者が呼吸すると、静電容量型センサ100の静電容量値の変化に伴い、静電容量型センサ部120の共振周波数も変化する。本実施例1では、測定部130は、高周波電源110の印加電圧の周波数における、静電容量型センサ部120のインピーダンスZ、レジスタンスR及びリアクタンスXを測定し、各パラメータの測定値を処理部140に時系列的に出力する。本実施例では、例示の目的で、測定部130がZ、R及びXの3つのパラメータを測定した場合について説明するが、これに限定されず、測定部130は、Z、R、X、Y、G及びBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定してその測定値を出力するように構成することができる。

【0028】
処理部140は、測定部130から出力されたZ、R及びXの各パラメータの測定値を時系列データとして記憶し、各パラメータの時系列データの変化量ΔZ、ΔR及びΔXを求め、当該求めた変化量ΔZ、ΔR及びΔXに基づいて、呼吸がなされたか否かを判定することができる。ここで求める各パラメータの時系列データの変化量は、例えば、微小な期間内における各パラメータの時系列データの最小値から最大値への変化量や、各パラメータの時系列データにおける予め設定した所定の基準値(例えば呼吸を止めている状態等の所定の状態における予め測定した時系列データの平均値や標準偏差)からの変化量とすることができる。

【0029】
例えば、処理部140は、時系列データの変化量の絶対値|ΔZ|、|ΔR|及び|ΔX|のいずれかが所定の閾値を超えているか否かを判定し、いずれかのパラメータの変化量の絶対値が所定の閾値を越えている場合、呼吸が行われたと判断することができる。

【0030】
あるいは、処理部140は、測定部130から出力された各パラメータの測定値を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して、周波数成分毎に各パラメータの変化量を算出して、その算出結果に基づいて、吸い込みや吐き出しなどの特定の生体信号の種類を区別しながらその検出を判断してもよい。例えば、処理部140は、その算出結果に係る各パラメータの周波数成分毎の変化量の絶対値が所定の閾値を超えているかどうかを判定し、当該変化量の絶対値が所定の閾値を超えている場合に、当該周波数成分に対応する動作がなされたことを判定することができる。

【0031】
呼吸が行われたか否かを判断するための基準となる上記所定の閾値は、予め実験により吸い込み状態又は吐き出し状態における各パラメータの出力の平均値又は標準偏差を求め、それに基づいて適切に設定することができる。あるいは、上記所定の閾値は、物体の検出用や生体信号の取得用など用途別に適宜設定してもよい。

【0032】
また、処理部140は、測定部130から出力された各パラメータの測定値を例えば移動平均処理や微分処理することによってノイズ処理してもよい。

【0033】
ここで、各パラメータの変化量は、高周波電源110の印加電圧の周波数によって異なるが、高周波電源110の印加電圧の周波数は、例えばそのパラメータの種類、検出対象、静電容量型センサの静電容量値、インダクタンス及び抵抗値、並びにこれらの組み合わせなどに応じて適宜設定することができる。例えば、高周波電源110の印加電圧の周波数は、吸い込み状態又は吐き出し状態の共振周波数近傍に設定すれば、従来よりも検出感度を向上することができるが、これに限定されず、様々な周波数において従来よりも検出感度を向上することができる。

【0034】
本発明に係る静電容量型センサにおいて、最適なパラメータ及び周波数を用いて検出する場合には、使用する静電容量型センサの静電容量値、インダクタンス、抵抗値及び検出対象を決定した後に、吸い込み状態及び吐き出し状態の各パラメータの周波数特性を事前に測定して、その測定値が最大となるパラメータ及び周波数を事前に記憶しておき、当該記憶したパラメータ及び周波数を用いて検出すればよい。

【0035】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2に係る静電容量型センサを示す。図4に示される静電容量型センサ200は、高周波電源210と、静電容量型センサ部220と、測定部230と、処理部240と、を備える。

【0036】
静電容量型センサ部220は、静電容量形成部221と、抵抗222と、コイル223と、を備える。高周波電源210、静電容量形成部221、抵抗222及びコイル223は、直列接続されている。本発明の実施例2に係る静電容量型センサ部220は、この直列接続されている点を除き、実施例1における静電容量型センサ部120と同様の構成を有する。

【0037】
本実施例2に係る静電容量型センサ200では、静電容量型センサ部220において、コイル223と、静電容量形成部221と、抵抗222とを、それぞれ、LCR共振回路のL、C及びRに対応する構成要素として用いて直列接続することにより、LCR直列共振回路を構成している。

【0038】
実施例2に係る静電容量型センサ200における検出原理及び処理は、実施例1と同様である。ただし、実施例1に係る静電容量型センサ100はLCR並列共振回路であるためインピーダンスZは共振点で極大値となるのに対し、実施例2に係る静電容量型センサ200はLCR直列共振回路であるためインピーダンスZは共振点で極小値となる。そのため、測定部230は、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBのうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。

【0039】
また、実施例2に係る静電容量型センサ200は、動作時に静電容量型センサ部に電流を流す用途の場合に用いることが好ましい。

【0040】
実施例2のようなLCR直列共振回路で構成された静電容量型センサ200によっても、従来よりも高感度な静電容量型センサを実現することができる。

【0041】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例3に係る静電容量型センサを示す。図5には、高周波電源310と、静電容量型センサ部320と、測定部330と、処理部340と、を備えた静電容量型センサ300が示されている。静電容量型センサ300は、検出対象となる動作がなされたか否かに応じて静電容量値が変化する。

【0042】
静電容量型センサ部320は、基材324と、静電容量形成部321と、基材324の第1の表面に形成された抵抗322と、基材324の第1の表面に形成されたコイル323と、を備える。静電容量形成部321は、基材324の第1の表面に形成された第1の印刷電極3211と、基材324の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の印刷電極3212と、第1の表面において引き出されて第1の印刷電極3211に電圧を印加する第1の引き出し印刷配線3213と、第2の表面において引き出されて第2の印刷電極3212に電圧を印加する第2の引き出し印刷配線3214と、を含む。

【0043】
図5に示されるように、第1及び第2の印刷電極3211及び3212は、第1及び第2の引き出し配線3213及び3214を介して、高周波電源310と、抵抗322と、コイル323とに接続されている。第2の表面に形成された第2の引き出し印刷配線3214は、例えばビアを介して、第1の表面に形成された抵抗322及びコイル323の端部と接続することができる。このような構成により、本実施例3に係る静電容量型センサ300では、高周波電源310と、第1及び第2の印刷電極3211及び3212と、抵抗322と、コイル323とが並列接続されている。

【0044】
第1及び第2の印刷電極3211及び3212により、コンデンサが構成される。本実施例3に係る静電容量型センサ300では、静電容量型センサ部320において、コイル323と、第1及び第2の印刷電極3211及び3212と、抵抗322とを、それぞれ、LCR共振回路のL、C及びRに対応する構成要素として用いて並列接続することにより、LCR並列共振回路を構成している。

【0045】
また、抵抗322及びコイル323は、それぞれ、例えば、表面実装された小さなチップ抵抗及びチップコイルや、基板表面に印刷された印刷抵抗及び印刷コイルとすることができる。

【0046】
静電容量形成部321を構成する第1の印刷電極3211、第2の印刷電極3212、第1の引き出し印刷配線3213及び第2の引き出し印刷配線3214と、抵抗322と、コイル323とは、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成することができ、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて形成することができる。

【0047】
例えば第1の印刷電極3211をシグナル電極とし、第2の印刷電極3212をグラウンド電極として、検出対象がシグナル電極である第1の印刷電極3211側にある場合、グラウンド電極として機能する第2の印刷電極3212の方が第1の印刷電極3211よりも面積が大きくなるように構成されている。

【0048】
高周波電源310は、静電容量型センサ部320の第1及び第2の印刷電極3211及び3212と、抵抗322と、コイル323とに所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加する。

【0049】
測定部330は、例えば、静電容量型センサ部320のインピーダンスZ、レジスタンスR、リアクタンスX、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つを測定することができる。測定部330としては、例えばLCRメータなどを用いることができる。

【0050】
処理部340は、測定部330から、測定部330で測定された各パラメータの測定値が時系列的に入力され、各パラメータの時系列データを記憶する。処理部340は、記憶した時系列データに基づいて物体の近接や生体信号の検出を判断することができる。

【0051】
実施例3に係る静電容量型センサ300における検出原理及び処理は、実施例1と同様である。

【0052】
図6に、周期的呼吸信号の検出試験結果を例示する。図6において、試験結果1は図1に示す従来の静電容量型センサに高周波電源を接続しただけの構成における周期的呼吸信号の検出試験結果を示し、試験結果2は本実施例3に係る静電容量型センサ300における周期的呼吸信号の検出試験結果を示す。図6では、静電容量形成部321の第1の印刷電極のサイズを12[mmφ]、第2の印刷電極のサイズを18[mmφ]、抵抗322の抵抗値を1[MΩ]、コイル323のインダクタンスを100[mH]、周波数を共振周波数付近に固定して、Xを計測した。

【0053】
なお、図6では、試験結果1ならびに試験結果2の差異を分かりやすくするため、縦軸を対数表示しているが、実際に計測されたXの値は負の値であった。負の値は対数表示できないため、図6では、実際に計測された数値にそれぞれ一定量の足し算を行い、グラフとして視認しやすい領域にオフセットされた数値を試験結果1ならびに試験結果2として表示した。

【0054】
図6に示されるように、従来の静電容量型センサによる試験結果1では、リアクタンスの変化量ΔXは約0.02kΩであるのに対し、本実施例3に係る静電容量型センサによる試験結果2では、リアクタンスの変化量ΔXは約2.5kΩであるため、従来よりも検出感度が約100倍向上していることが理解される。

【0055】
図7及び図8を用いて、本実施例3に係る静電容量型センサ300において、最適なパラメータ及び周波数を用いて検出する方法を説明する。図7は、呼吸を検出する際の本実施例3に係る静電容量型センサ300におけるZ、R及びXの周波数特性を示す。図7(a)は吸い込み時の各パラメータの周波数特性を示し、図7(b)は吐き出し時の各パラメータの周波数特性を示し、図7(c)及び図7(d)は吸い込み時と吐き出し時の各パラメータの差分の絶対値の周波数特性を示す。図7に示す周波数特性では、抵抗322の抵抗値を1[MΩ]とし、コイル323のインダクタンスを100[mH]とした。

【0056】
本実施例3に係る静電容量型センサ300では、吸い込み時と吐き出し時で、静電容量値が25.70[pF]から25.69[pF]に変化するが、それに伴って、図7(a)及び図7(b)に示すように、共振周波数も99.28[kHz]から99.30[kHz]に変化する。図7(c)及び図7(d)に示すように、Z、R及びXのうち、変化量の絶対値が6.24[kΩ]で最大となるXを用い、Xの変化量の絶対値|ΔX|が最大となる時の周波数99.30[kHz]を高周波電源310の印加電圧の周波数として使用すればよい。

【0057】
図8は、人体の近接を検出する際の本実施例3に係る静電容量型センサにおけるZ、R及びXの周波数特性を示す。図8(a)は人体の近接前の各パラメータの周波数特性を示し、図8(b)は人体の近接時の各パラメータの周波数特性を示し、図8(c)及び図8(d)は人体近接時と人体近接前の各パラメータの差分の絶対値の周波数特性を示す。図8に示す周波数特性でも同様に、抵抗323の抵抗値を1[MΩ]とし、コイル324のインダクタンスを100[mH]とした。

【0058】
本実施例3に係る静電容量型センサ300では、近接前と近接時で、静電容量値が25.88[pF]から25.69[pF]に変化し、それに伴い、図8(a)及び図8(b)に示すように、共振周波数も98.93[kHz]から99.30[kHz]に変化する。図8(c)及び図8(d)に示すように、Z、R及びXのうち、変化量の絶対値が117.92[kΩ]で最大となるXを用い、Xの変化量の絶対値|ΔX|が最大となる時の周波数99.13[kHz]を高周波電源310の印加電圧の周波数として使用すればよい。

【0059】
ただし、測定するのに最適な周波数は、計算上では上記のように求められるが、寄生容量等の影響により、実際の最適周波数がずれる場合があるため、実験系を組んだ上で上記のように求めた周波数を調整して決定することがさらに好ましい。

【0060】
(実施例4)
図9は、本発明の実施例4に係る静電容量型センサを示す。図9に示される静電容量型センサ400は、高周波電源410と、静電容量型センサ部420と、測定部430と、処理部440と、を備える。

【0061】
静電容量型センサ部420は、基材424と、静電容量形成部421と、基材424の第1の表面に形成された抵抗422と、基材424の第1の表面に形成されたコイル423と、を備える。静電容量形成部421は、基材424の第1の表面に形成された第1の印刷電極4211と、基材424の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の印刷電極4212と、第1の表面において引き出されて第1の印刷電極4211に電圧を印加する第1の引き出し印刷配線4213と、第2の表面において引き出されて第2の印刷電極4212に電圧を印加する第2の引き出し印刷配線4214と、を含む。

【0062】
図9に示されるように、高周波電源410、静電容量形成部421、抵抗422及びコイル423は、直列接続されている。本実施例4に係る静電容量型センサ400では、静電容量型センサ部420において、コイル423と、第1及び第2の印刷電極4211及び4212と、抵抗422とを、それぞれ、LCR共振回路のL、C及びRに対応する構成要素として用いて直列接続することにより、LCR直列共振回路を構成している。本実施例4に係る静電容量型センサ部420は、この直列接続されている点を除き、実施例3における静電容量型センサ部320と同様の構成を有する。ただし、実施例4に係る静電容量型センサ400はLCR直列共振回路であるため、測定部430は、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。

【0063】
図10及び図11を用いて、本実施例4に係る静電容量型センサ400において、最適なパラメータ及び周波数を用いて検出する方法を説明する。図10は、呼吸を検出する際の本実施例4に係る静電容量型センサ400におけるY、G及びBの周波数特性を示す。図10(a)は吸い込み時の各パラメータの周波数特性を示し、図10(b)は吐き出し時の各パラメータの周波数特性を示し、図10(c)及び図10(d)は吸い込み時と吐出し時の各パラメータの差分の絶対値の周波数特性を示す。図10に示す周波数特性では、抵抗422の抵抗値を1[kΩ]とし、コイル423のインダクタンスを100[mH]とした。

【0064】
本実施例4に係る静電容量型センサ400では、吸い込み時と吐き出し時で、静電容量値が25.70[pF]から25.69[pF]に変化し、それに伴い、図10(a)及び図10(b)に示すように、共振周波数も99.28[kHz]から99.30[kHz]に変化する。図10(c)及び図10(d)に示すように、Y、G及びBのうち、変化量の絶対値が0.024[mS]で最大となるBを用い、Bの変化量の絶対値|ΔB|が最大となる時の周波数99.28[kHz]を高周波電源410の印加電圧の周波数として使用すればよい。

【0065】
図11は、人体の近接を検出する際の本実施例4に係る静電容量型センサ400におけるY、G及びBの周波数特性を示す。図11(a)は人体の近接前の各パラメータの周波数特性を示し、図11(b)は人体の近接時の各パラメータの周波数特性を示し、図11(c)及び図11(d)は人体近接時と人体近接前の各パラメータの差分の絶対値の周波数特性を示す。図11に示す周波数特性でも同様に、抵抗422の抵抗値を1[kΩ]とし、コイル423のインダクタンスを100[mH]とした。

【0066】
本実施例4に係る静電容量型センサ400では、近接前と近接時で、静電容量値が25.88[pF]から25.69[pF]に変化し、それに伴い、図11(a)及び図11(b)に示すように、共振周波数も98.93[kHz]から99.30[kHz]に変化する。図11(c)及び図11(d)に示すように、Y、G及びBのうち、変化量の絶対値が0.436[mS]で最大となるBを用い、Bの変化量の絶対値|ΔB|が最大となる時の周波数99.12[kHz]を高周波電源410の印加電圧の周波数として使用すればよい。

【0067】
ただし、測定するのに最適な周波数は、計算上では上記のように求められるが、寄生容量等の影響により、実際の最適周波数がずれる場合があるため、実験系を組んだ上で上記のように求めた周波数を調整して決定することがさらに好ましい。

【0068】
実施例4のようなLCR直列共振回路で構成された静電容量型センサ400によっても、従来よりも高感度な静電容量型センサを実現することができる。

【0069】
上記実施例では、本発明について呼吸の検出及び人体の近接を例に説明したが、本発明に係る原理は、心拍等の他の生体信号や任意の物体の近接等を検出対象の動作とした場合にも適用可能である。

【0070】
また、上記実施例では、静電容量型センサ部のインピーダンスZ、レジスタンスR、リアクタンスX、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定することとしたが、当該パラメータのグループは、静電容量型センサ部の共振周波数をさらに含んでもよい。この場合、静電容量型センサ部の静電容量値の変化による当該共振周波数の変化量の絶対値が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、検出対象となる動作がなされたと判定するように構成してもよい。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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