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明細書 :電極拡張型静電容量式センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-095356 (P2019-095356A)
公開日 令和元年6月20日(2019.6.20)
発明の名称または考案の名称 電極拡張型静電容量式センサ
国際特許分類 G01V   3/08        (2006.01)
FI G01V 3/08 D
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-226313 (P2017-226313)
出願日 平成29年11月24日(2017.11.24)
発明者または考案者 【氏名】岩田 史郎
【氏名】今若 直人
【氏名】野村 健一
【氏名】堀井 美徳
【氏名】牛島 洋史
【氏名】鍛冶 良作
出願人 【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G105
Fターム 2G105AA01
2G105BB04
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH01
2G105HH04
要約 【課題】従来よりも検出領域の設計自由度を向上させた電極拡張型静電容量式センサを提供すること。
【解決手段】本発明に係る静電容量式センサは、被検出対象の接近に応じて静電容量値が変化する静電容量式センサであって、静電容量を形成する静電容量式センサ部と、グラウンドに接地接続されておらず、導電性を有する拡張電極と、を備え、前記拡張電極は、前記静電容量式センサ部の初期検出領域内に少なくとも一部が存在するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
被検出対象の接近に応じて静電容量値が変化する静電容量式センサであって、
静電容量を形成する静電容量式センサ部と、
グラウンドに接地接続されておらず、導電性を有する拡張電極と、
を備え、
前記拡張電極は、前記静電容量式センサ部の初期検出領域内に少なくとも一部が存在するように配置されていることを特徴とする静電容量式センサ。
【請求項2】
前記静電容量式センサ部は、
基材と、
前記基材の第1の表面に形成された第1の印刷電極と、
前記基材の前記第1の表面とは反対側の第2の表面に形成され、前記第1の印刷電極とは面積が異なる第2の印刷電極と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式センサ。
【請求項3】
前記静電容量式センサ部の静電容量値、インピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス及びサセプタンスを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つのパラメータを測定する測定部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量式センサ。
【請求項4】
前記静電容量式センサは、前記静電容量式センサ部に直列又は並列接続されたコイルをさらに含み、
前記パラメータのグループは、前記静電容量式センサ部と前記コイルとで構成するLC共振回路における共振周波数をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の静電容量式センサ。
【請求項5】
前記静電容量式センサは、前記パラメータの測定値が設定検出閾値範囲を超えた場合に、前記被検出対象を検出するように構成され、
前記設定検出閾値範囲は、前記被検出対象が検出されていない状態であって前記拡張電極の少なくとも一部が前記初期検出領域内に設けられている状態で測定した前記静電容量式センサ部の測定値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から求まる(μ±3σ)を基準に設定された範囲であることを特徴とする請求項3又は4に記載の静電容量式センサ。
【請求項6】
前記初期検出領域は、前記拡張電極が設けられていない状態において、前記静電容量式センサ部に向かって前記被検出対象を接近させたときに、前記パラメータの測定値が所定の初期検出閾値範囲を超える領域であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の静電容量式センサ。
【請求項7】
前記所定の初期検出閾値範囲は、前記被検出対象が検出されていない状態であって前記拡張電極が前記初期検出領域内に設けられていない状態で測定した前記パラメータの測定値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から求まる(μ±3σ)を基準に設定された範囲であることを特徴とする請求項6に記載の静電容量式センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、従来よりも検出領域の設定自由度を向上させた電極拡張型静電容量式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
空間内の導電物質の存否又は導電物質の動きの情報を検出する近接センサ、パック内の内容物の有無を検出する内包センサ、温度又は湿度を検出する温湿度センサとして、静電容量式センサが利用されている。
【0003】
このような静電容量式センサとして、基材の片面のみに互いの櫛歯が対向するように2つの櫛歯型の検出電極を配置した静電容量式センサが知られている。また、基材の片面のみに検出電極を配置した場合には、製造バラツキが生じるため、これを防止するために、薄膜基材の両面に検出電極を配置した静電容量式センサも知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
図1(a)は、特許文献1に示されるような、両面に検出電極を配置した従来の静電容量式センサを示し、図1(b)はその断面図を示す。図1(a)及び(b)には、基材11と、基材11の第1の表面に形成された第1の電極12と、基材11の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の電極13と、第1の表面において引き出されて第1の電極12に電圧を印加する第1の引き出し配線14と、第2の表面において引き出されて第2の電極13に電圧を印加する第2の引き出し配線15と、を備えた静電容量式センサ10が示されている。
【0005】
第1の電極12、第2の電極13、第1の引き出し配線14及び第2の引き出し配線15は、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて基材11上に形成されている。基材11としては、例えば、薄膜フィルムを用いることができる。例えば第1の電極12をシグナル電極とし、第2の電極13をグラウンド電極とした場合、グラウンド電極として機能する第2の電極13の方がシグナル電極として機能する第1の電極12よりも面積が大きくなるように構成されている。
【0006】
図1に示されるような従来の静電容量式センサ10では、第1及び第2の電極12及び13は、それぞれ、第1及び第2の引き出し配線14及び15を介して所定の周波数及び所定の振幅の交流電圧が印加されている。それにより、第1及び第2の電極12及び13間の電流及び電圧を測定し、当該測定値に基づいて静電容量式センサ10の静電容量値を算出している。
【0007】
静電容量式センサ10では、第1及び第2の電極12及び13の一方から他方に向かう電気力線を利用して検出領域を定めている。静電容量式センサ10の検出領域内に物体が入ると、当該物体により電気力線の一部が吸収されて静電容量式センサ10の静電容量値が減少する。静電容量値の減少量は、物体が静電容量式センサ10に近づくほど増加する。このように、静電容量式センサ10の静電容量値の変化を検出することにより、物体の存否や動き情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2016-19588号公報
【特許文献2】特開2014-137240号公報
【0009】

【非特許文献1】K.Nomura,R.kaji,S.iwata,外8名,“A flexible proximity sensor formed by duplex screen/screen-offset printing and its application to non-contact detection of human breathing”,Scientific Reports 6,19947 (2016).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、静電容量式センサでは、2つの検出電極の一方から他方に向かう電気力線を利用して検出領域を定めているため、その検出領域は2つの検出電極の形状、配置や印加電圧に応じて変化する。しかし、このような電極形状、電極配置、印加電圧は設定自由度が低く、そのため検出領域の設定自由度も制限されていた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも検出領域の設定自由度を向上させた静電容量式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る静電容量式センサは、被検出対象の接近に応じて静電容量値が変化する静電容量式センサであって、静電容量を形成する静電容量式センサ部と、グラウンドに接地接続されておらず、導電性を有する拡張電極と、を備え、前記拡張電極は、前記静電容量式センサ部の初期検出領域内に少なくとも一部が存在するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも検出領域の設定自由度を向上させた静電容量式センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の静電容量式センサを例示する図である。
【図2】本発明の実施例1に係る静電容量式センサを例示する図である。
【図3】本発明に係る静電容量式センサの原理を説明するための図である。
【図4】本発明に係る静電容量式センサの原理を説明するための図である。
【図5】本発明に係る静電容量式センサの原理を説明するための図である。
【図6】本発明に係る静電容量式センサの原理を説明するための図である。
【図7】本発明の実施例2に係る静電容量式センサを例示する図である。
【図8】静電容量式センサの導体接近試験結果を例示する図である。
【図9】図8に示す導体接近試験の試験条件を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1に係る電極拡張型静電容量式センサを示す。図2(a)は本発明の実施例1に係る静電容量式センサの側面概略図であり、図2(b)は本発明の実施例1に係る静電容量式センサの上面概略図である。図2(a)には、静電容量を形成する静電容量式センサ部110と、拡張電極120と、を備えた電極拡張型静電容量式センサ100が示されている。電極拡張型静電容量式センサ100は、被検出対象の接近に応じて静電容量値が変化する。

【0016】
静電容量式センサ部110は、例えば、基材の片面に互いの櫛歯が対向するように形成された2つの櫛歯型電極や、基材の両面に互いに対向するように形成されたそれぞれ面積が異なる非対称な2つの平板電極で構成することができる。基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどで構成された薄膜フィルムを用いることができる。また、静電容量式センサ部110で使用される検出電極は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成され、スクリーン印刷法などの印刷法、あるいは蒸着法やスパッタリング法など、種々の方法を用いて形成することができる。

【0017】
また、図2(b)に示されるように、電極拡張型静電容量式センサ100は、静電容量式センサ部110と、所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加する高周波電源101と、電極拡張型静電容量式センサ100の静電容量値を測定する例えばLCRメータなどの測定部102と、電極拡張型静電容量式センサ100における各種処理を実行する制御部103と、後述する初期検出閾値範囲及び設定検出閾値範囲を記憶する記憶部104と、を備える。

【0018】
拡張電極120は、後述する静電容量式センサ部110の初期検出領域内に、浮遊電極として設置される。拡張電極120は、静電容量式センサ部110と接続されておらず、また接地されていない。拡張電極120は、例えば、電解質を含有した導電性を有する溶液や金属材料等の導電性を有する材料で構成されている。拡張電極120は、例えば、平板型、棒型、星型、円盤型、曲面型等、その大きさ及び形状を含めて種々の形態を採ることができる。また、拡張電極120として電解質を含有した導電性を有する溶液を利用する場合には、使用する電解質としては、例えば塩化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸などとすることができ、好ましい濃度範囲は、電解質の種類によって異なるが、例えば10μM以上とすることができる。

【0019】
拡張電極120は、拡張電極120の少なくとも一部が静電容量式センサ部110の初期検出領域内に存在するように配置されている。それにより、静電容量式センサ部110が形成する電気力線の一部が拡張電極120に吸収され、拡張電極120自体からも電気力線が発せられる。拡張電極120の形態および配置位置により、電極拡張型静電容量式センサ100の検出領域を拡縮することが可能となる。

【0020】
静電容量式センサ部110の「初期検出領域」とは、拡張電極120が静電容量式センサ部110の近傍に設けられていない状態で静電容量式センサ部110に向かって被検出対象を遠方から接近させたときに、その測定された静電容量値が初期検出閾値範囲を超える領域をいう。ここで、「初期検出閾値範囲」とは、例えば、被検出対象が検出されていない状態(未検出状態)であって拡張電極120が初期検出領域内に設けられていない状態で、LCRメータを用いて静電容量式センサ部110の静電容量値の測定を行い、得られた静電容量値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から求まる(μ±3σ)を基準に設定した範囲とすることができる(例えば、非特許文献1参照)。

【0021】
さらに、本実施例1に係る電極拡張型静電容量式センサ100では、拡張電極120を初期検出領域内に設置した状態で、設定検出閾値範囲を設定する。ここで、「設定検出閾値範囲」とは、例えば、被検出対象が検出されていない状態(未検出状態)であって拡張電極120の少なくとも一部が初期検出領域内に設けられている状態で、LCRメータを用いて静電容量式センサ部110の静電容量値の測定を行い、得られた静電容量値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から求まる(μ±3σ)を基準に設定した範囲とすることができる(例えば、非特許文献1参照)。

【0022】
本実施例1に係る電極拡張型静電容量式センサ100において、制御部103は、測定した静電容量値が設定検出閾値範囲を超えた場合に、被検出対象を検出することができる。

【0023】
図3乃至図6を用いて、本発明に係る電極拡張型静電容量式センサの原理について説明する。図3(b)に示すように、静電容量式センサ部110から離れた位置に導電体をグラウンドに接地接続した上で配置し、その後に接地接続を解除して浮遊状態としても、図3(a)に示すように、静電容量値を示す信号は応答しない。このとき、当該導電体は、初期検出領域外にある状態といえる。この状態において、制御部103は、LCRメータから静電容量式センサ部110の静電容量値の測定値を取得し、得られた静電容量値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から(μ±3σ)を求めることにより、(μ±3σ)を基準として初期検出閾値範囲を設定し、記憶部104に記憶する。

【0024】
図4(b)に示すように、当該導電体を初期検出領域外に配置して接地解除した状態で、浮遊状態の当該導電体の上端に向かって被検出対象を遠方から接近させても、図4(a)に示すように、信号は応答せず、初期検出閾値範囲を超えない。

【0025】
一方、図5(b)に示すように、静電容量式センサ部110の近傍に導電体をグラウンドに接地接続した上で配置し、その後に接地接続を解除して浮遊状態とすると、図5(a)に示すように、信号が応答してその静電容量値は初期検出閾値範囲を超えて増加する。このとき、当該導電体は、初期検出領域内にある状態である。この状態において、制御部103は、LCRメータから静電容量式センサ部110の静電容量値の測定値を取得し、得られた静電容量値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から(μ±3σ)を求めることにより、(μ±3σ)を基準として設定検出閾値範囲を設定し、記憶部104に記憶する。

【0026】
図6(b)に示すように、当該導電体を初期検出領域内に配置して接地解除した状態で、浮遊状態の当該導電体の上端に向かって被検出対象を遠方から接近させる動作と離脱する動作を繰り返すと、図6(a)に示すように、接近時には静電容量値が設定検出閾値範囲を超え、離脱時には静電容量値が設定検出閾値範囲内に収まっていることから、被検出対象を検出できており、配置された浮遊状態の当該導電体は初期検出領域を拡縮する拡張電極として作用していることがわかる。

【0027】
本発明に係る電極拡張型静電容量式センサは、例えば被検出対象の存在/不在を検知する用途や、被検出対象との近接距離を計測する用途、被検出対象との距離が一定であれば被検出対象の大きさや比誘電率などの物理特性を測定する用途で使用することができる。例えば、被検出対象との近接距離を計測する用途のような厳密な検出が必要とされる場合、装置起動時に被検出対象ごとに閾値補正(初期キャリブレーション)を行うことにより、設定検出閾値範囲を被検出対象ごとに調整することが好ましい。また、被検出対象の存在/不在を検知する用途のように厳密な検出を必要としない場合、例えば人体のある程度の個体差を包含する形で設定検出閾値範囲を(μ±3σ)を基準に調整することが好ましい。

【0028】
本実施例1に係る電極拡張型静電容量式センサ100によると、拡張電極として作用する導電性物質の大小、形状等を変更することにより検出領域を自由に制御することが可能になる。また、拡張電極を静電容量式センサ部の初期検出領域内に配置するだけで検出領域の拡縮が可能であるため、ケーブルフリーで且つ設置及び設計自由度が高い静電容量式センサを実現することが可能となる。

【0029】
(実施例2)
図7は、本発明の実施例2に係る静電容量式センサを示す。図7(a)は本発明の実施例2に係る静電容量式センサの側面概略図であり、図7(b)は本発明の実施例1に係る静電容量式センサの上面概略図である。図7(a)には、静電容量式センサ部210と、拡張電極220と、を備えた電極拡張型静電容量式センサ200が示されている。

【0030】
図7(a)に示されるように、静電容量式センサ部210は、基材211と、基材211の第1の表面に形成された第1の印刷電極2121と、基材211の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の印刷電極2122と、第1の表面において引き出されて第1の印刷電極2121に電圧を印加する第1の引き出し印刷配線2131と、第2の表面において引き出されて第2の印刷電極2122に電圧を印加する第2の引き出し印刷配線2132と、を含む。

【0031】
また、図7(b)に示されるように、電極拡張型静電容量式センサ200は、静電容量式センサ部210と、所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加する高周波電源201と、電極拡張型静電容量式センサ200の静電容量値を測定する例えばLCRメータなどの測定部202と、電極拡張型静電容量式センサ200における各種処理を実行する制御部203と、初期検出閾値範囲及び設定検出閾値範囲を記憶する記憶部204と、を備える。第1及び第2の印刷電極2121及び2122は、第1及び第2の引き出し印刷配線2131及び2132を介して、高周波電源201と、測定部202と、に接続されている。

【0032】
第1の印刷電極2121、第2の印刷電極2122、第1の引き出し印刷配線2131及び第2の引き出し印刷配線2132とは、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成することができ、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて形成することができる。

【0033】
例えば第1の印刷電極2121をシグナル電極とし、第2の印刷電極2122をグラウンド電極として、被検出対象がシグナル電極である第1の印刷電極2121側にある場合、グラウンド電極として機能する第2の印刷電極2122の方が第1の印刷電極2121よりも面積が大きくなるように構成されている。

【0034】
拡張電極220は、実施例1で上述したように、静電容量式センサ部210の初期検出領域内に少なくとも一部が存在するように、静電容量式センサ部210の周囲に設けられた透明スチロールケースなどの任意の支持体(不図示)上に配置されている。

【0035】
本実施例2に係る電極拡張型静電容量式センサ200でも実施例1と同様にして、拡張電極220を静電容量式センサ部210の初期検出領域内に配置した状態で測定した静電容量値の平均値(μ)と標本標準偏差(σ)から(μ±3σ)を求めることにより(μ±3σ)を基準として設定検出閾値範囲を設定した。

【0036】
本実施例2に係る電極拡張型静電容量式センサ200において、制御部203は、測定した静電容量値が設定検出閾値範囲を超えた場合に、被検出対象を検出することができる。

【0037】
図8は、静電容量式センサについての導体接近試験結果を例示する。また、図9は、当該導体接近試験の試験条件を示す。図9に示すように、本試験では、静電容量式センサを高さ17mmの台上に設置し、拡張電極を設置するための支持体として159mm角、高さ35mmの透明スチロールケースを用いてその周囲を覆い、図9に示す透明スチロールケースのセンサ直上の位置301(指先-センサ中央間距離が約18mm)と透明スチロールケースの角部分の位置302(指先-センサ中央間距離が約114mm)とに、被検出対象としての実験者の指を接近させた。基材211として厚さ0.1mmのポリエチレンナフタレートフィルムを用い、第1の印刷電極2121の直径を1mmとし、第2の印刷電極2122の直径を18mmとし、200kHz、振幅1Vの交流電圧を印加し、LCRメータを用いて静電容量値を測定した。

【0038】
図8では、それぞれ、支持体としての透明スチロールケースに、何も配置しなかった場合、ステンレス板を配置した場合、ガラス材を配置した場合、水道水を含む容器を配置した場合、及び電解質を含有する水溶液を含む容器を配置した場合において、配置した物体に触れないように上方から位置301又は302に指先を近づけることにより、静電容量値の所定の基準値からの変化量の絶対値|ΔC|を求めた。

【0039】
図8に示すように、透明スチロールケース上に何も配置しない場合、位置301での変化量の絶対値|ΔC|は位置302での変化量の絶対値|ΔC|よりも大きく、位置302では位置301に比べて検出感度が低下していることがわかる。

【0040】
また、透明スチロールケース上にガラスを配置した場合、位置302における静電容量値の変化量の絶対値|ΔC|は、拡張電極を配置しない場合の位置302における静電容量値の変化量の絶対値|ΔC|と同等の値となっており、位置302では位置301に比べて検出感度が低下していることがわかる。これは、ガラスが導電性を有しておらず、検出領域の拡大に寄与しなかったためである。

【0041】
また、透明スチロールケース上に水道水を含む容器を配置した場合、水道水は導電性が低いため、若干の|ΔC|の増大はあるものの、拡張電極を配置しない場合の位置302における静電容量値の変化量の絶対値|ΔC|とほぼ同等の値となっており、位置302では位置301に比べて検出感度が低下していることがわかる。

【0042】
一方で、透明スチロールケース上にステンレス板や電解質を含有する水溶液を含む容器を配置した場合、位置302においても位置301と同等の静電容量値の変化量の絶対値|ΔC|が得られる。従って、透明スチロールケース上にステンレス板や電解質を含有する水溶液を含む容器のような十分な導電性のある拡張電極を配置することにより、検出領域が拡大したことが理解される。

【0043】
本実施例2に係る電極拡張型静電容量式センサ200によると、製造プロセスに印刷技術を適用することにより、より安価な製造コストを実現しつつ、検出領域を自由に制御することが可能になる。

【0044】
上記実施例では、LCRメータにより静電容量式センサ部の静電容量値を測定することにより対象を検出する例を示したが、これに限定されず、例えば、静電容量式センサ部の静電容量値、インピーダンスZ、レジスタンスR、リアクタンスX、アドミタンスY、コンダクタンスG及びサセプタンスBを含むパラメータのグループのうちの少なくとも1つを測定値として当該パラメータの測定値が設定検出閾値範囲を超えたか否かを判定することにより対象を検出するように構成してもよい。また、上記実施例において、静電容量式センサは静電容量式センサ部に直列又は並列接続されたコイルをさらに含んでもよく、この場合、上記パラメータのグループは、静電容量式センサ部とコイルとで構成するLC共振回路における共振周波数をさらに含んでもよい。

【0045】
また、上記実施例2では、支持体としての透明スチロールケース上に拡張電極を配置した例を示したが、これに限定されず、例えば、金魚鉢のような容器の中に、拡張電極としての電解質を含有した溶液を充填するように構成してもよく、その他本発明の原理・概念に逸脱しないように種々の組み合わせの構成が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8