TOP > 国内特許検索 > 非接触測定システム > 明細書

明細書 :非接触測定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-012740 (P2020-012740A)
公開日 令和2年1月23日(2020.1.23)
発明の名称または考案の名称 非接触測定システム
国際特許分類 G01N  27/22        (2006.01)
G01R  27/26        (2006.01)
FI G01N 27/22 Z
G01N 27/22 B
G01R 27/26 C
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2018-135373 (P2018-135373)
出願日 平成30年7月18日(2018.7.18)
発明者または考案者 【氏名】岩田 史郎
【氏名】今若 直人
【氏名】野村 健一
【氏名】堀井 美徳
【氏名】牛島 洋史
【氏名】鍛冶 良作
出願人 【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G028
2G060
Fターム 2G028AA01
2G028BC04
2G028CG07
2G028DH04
2G028DH11
2G028FK01
2G028FK09
2G028HN09
2G028HN14
2G028LR03
2G028LR04
2G060AA05
2G060AE17
2G060AF03
2G060AF10
2G060AG11
2G060AG15
2G060FA01
2G060HC13
2G060HC15
2G060HD01
2G060HD02
2G060KA06
要約 【課題】測定の目的、測定対象物の観測パラメータに応じた適切な測定周波数を設定することにより高感度および高精度な測定が可能な非接触測定システムを提供する。
【解決手段】測定対象物を収容した被測定物用容器300と、前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサ100と、静電容量型センサと接続され、前記静電容量型センサに所定の測定周波数で交流電圧を印加することにより静電容量値を測定する測定装置200とを備えた非接触測定システムであって、前記測定対象物の観測パラメータの値の領域に応じて前記測定周波数を設定する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象物を収容した被測定物用容器と、
前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサと、
前記静電容量型センサと接続され、前記静電容量型センサに所定の測定周波数で交流電圧を印加することにより静電容量値を測定する測定装置とを備えた非接触測定システムであって、
前記測定装置は、前記測定対象物の観測パラメータの値の領域に応じて前記測定周波数を設定することを特徴とする非接触測定システム。
【請求項2】
測定対象物を収容した被測定物用容器と、
前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサと、
前記静電容量型センサと接続され、前記静電容量型センサに所定の測定周波数で交流電圧を印加することにより静電容量値を測定する測定装置とを備えた非接触測定システムであって、
前記測定装置は、前記測定周波数を掃引させながら前記測定を行うことを特徴とする非接触測定システム。
【請求項3】
前記静電容量型センサの検出空間に干渉しない位置において、前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器に近接して配置された補助電極をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の非接触測定システム。
【請求項4】
前記補助電極は浮遊電極であることを特徴とする請求項3に記載の非接触測定システム。
【請求項5】
前記補助電極は接地電極であることを特徴とする請求項3に記載の非接触測定システム。
【請求項6】
前記測定装置は、前記測定結果に基づいて前記測定対象物の定性的評価を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の非接触測定システム。
【請求項7】
前記測定装置は、前記測定結果に基づいて前記測定対象物の定量的評価を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の非接触測定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触測定システムに関し、詳しくは、液体またはゲルを含む物質を測定対象として、その導電性の有無や導電率を測定する非接触測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体状の食品や薬品を製造する場合、物質の溶液濃度が所望の値から外れることはたとえば異物混入や調合比の変調などの製造工程における異変を意味するため、その溶液濃度の変化が品質を表していると言え、その溶液濃度は厳密に管理される必要があることが知られている。
【0003】
このような溶液濃度の管理手法としては、例えば金属からなる一対のプローブを溶液に浸漬させ、プローブ間に流れる電流を測定して、導電率を検出することにより溶液濃度を測定する測定装置が知られている。この測定装置では、金属製のプローブを直接液体に浸漬させているので、測定対象の液体によっては、プローブが腐食し、精確な測定ができなくなるおそれがある。
【0004】
こうした問題に対し、金属製のプローブを樹脂によって完全にコーティングした導電率測定装置が提案されている(特許文献1参照)。この提案された導電率測定装置によれば、金属製のプローブ部分が測定対象の液体に直接触れないので、プローブ腐食の問題を回避することができる。
【0005】
また、特許文献2には、二本一対の測定電極が2組設けられ、2組の測定電極による導電率信号とから補正係数を演算し、補正係数によってセル定数の変化を較正した導電率信号を表示する測定装置が開示されている。この構成によれば、測定電極の汚れによる測定誤差を低減し、高精度に測定することができる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平11-304856号公報
【特許文献2】特開平07-055744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した構成では、いずれも結局は測定対象の液体に測定装置のセンサ部分を接触させなければならず、センサの浸漬による測定対象物の汚損の問題は依然として解消していない。
【0008】
そこで本発明者らは、かかる問題を鋭意検討した結果、静電容量型センサを用いて測定対象に非接触で測定することにより、かかる測定対象物の汚損の問題を解消する非接触測定システムを提案するに至った。さらに本発明者らは、この非接触測定システムにおいて、静電容量型センサの静電容量値を測定する交流電圧の測定周波数に依存して、測定した結果得られる静電容量値もしくは規定となる静電容量値からの差分(以下、差分と表記する)が測定対象物の観測パラメータの変動に対応している領域が異なることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明の課題は、測定の目的、測定対象物の観測パラメータに応じた適切な測定周波数を設定することにより高感度および高精度な測定が可能な非接触測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、一実施形態に記載された非接触測定システムは、測定対象物を収容した被測定物用容器と、前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサと、前記静電容量型センサと接続され、前記静電容量型センサに所定の測定周波数で交流電圧を印加することにより静電容量値を測定する測定装置とを備えた非接触測定システムであって、前記測定装置は、前記測定対象物の観測パラメータの値の領域に応じて前記測定周波数を設定することを特徴とする。
【0011】
他の一実施形態に記載された非接触測定システムは、測定対象物を収容した被測定物用容器と、前記測定対象物とは接触せずに前記被測定物容器の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサと、前記静電容量型センサと接続され、前記静電容量型センサに所定の測定周波数で交流電圧を印加することにより静電容量値を測定する測定装置とを備えた非接触測定システムであって、前記測定装置は、前記測定周波数を掃引させながら前記測定を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の非接触測定システムの構成例を示す図である。
【図2】静電容量型センサ部の概略構成を示す図である。
【図3】本実施形態の非接触測定システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】異なる3つの測定周波数においてKCl溶液の濃度変化に対する静電容量値(差分)の変化を表す図である。
【図5】補助電極400として接地接続された電極を用いた場合の非接触測定システムの等価回路を示す図である。
【図6】異なる各濃度のKCl溶液において、周波数の変化に対する規定静電容量値からの差分の変化の様子を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。

【0014】
図1は、本実施形態の非接触測定システムの構成例を示す図であり、図2は、静電容量型センサ部の概略構成を示す図である。本実施形態の非接触測定システムは、静電容量型センサ部100と、この静電容量型センサ部100に電気的に接続された測定装置200と、測定対象物の液体などが収容される被測定物用容器300と、補助電極400とを備えて構成されている。

【0015】
本実施形態の非接触測定システムでは、被測定物用容器300内に測定対象物が収容された状態で、被測定物用容器300の近傍に接触状態または非接触状態で配置された静電容量型センサ100に対して、測定装置200により交流電圧を印加して非接触測定システム全体の静電容量値を測定することができる。本実施形態の非接触測定システムでは、この印加する交流電圧の周波数(測定周波数)を測定の目的、測定対象物に応じて適宜変更することにより、測定感度および測定精度の高い測定が可能となる。

【0016】
測定対象物としては、液体またはゲルを含む物質であればよく、例えば、食品・薬品や化学反応性溶液、高温溶液、乳濁/懸濁溶液などが挙げられる。測定対象物は被測定物用容器300内に収容される。

【0017】
静電容量型センサ部100は、被測定物用容器300の近傍に接触状態または非接触状態で配置された状態で被測定物用容器300内に導電性の物質が収容された場合に、収容された物質との間で静電容量を形成することができる公知の静電容量型センサを用いることができ、例えば、基材の片面に互いの櫛歯が対向するように形成された2つの櫛歯型電極や、基材の両面に互いに対向するように形成され、それぞれ面積が異なる非対称な2つの平板電極で構成された相互容量型の静電容量型センサとすることができる。

【0018】
静電容量型センサ部100で用いる基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどの材料で構成された薄膜フィルムとすることができる。また、静電容量型センサ部100で使用される検出電極は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成することができ、これらの材料を用いてスクリーン印刷法などの印刷法、あるいは蒸着法やスパッタリング法など、種々の方法でセンサを形成することができる。

【0019】
静電容量型センサ部100は、2つの電極の一方から他方に向かう電気力線で示される電界を利用して検出範囲を定めている。静電容量型センサ部100の検出範囲内に導電性を有する物体が入ると、当該物体により電気力線の一部が吸収されて静電容量型センサ部100の静電容量値が減少する。

【0020】
また、本実施形態に係る非接触測定システムでは、静電容量型センサ部100として、特許文献3に記載されるような静電容量型センサを用いた。具体的には、図2に示されるように、静電容量型センサ部100は、基材101と、基材101の第1の表面に形成された第1の電極1021と、基材101の第1の表面とは反対側の第2の表面に形成された第2の電極1022と、第1の表面において引き出されて第1の電極1021に電圧を印加する第1の引き出し配線1031と、第2の表面において引き出されて第2の電極1022に電圧を印加する第2の引き出し配線1032と、を含む。

【0021】
本実施形態に係る静電容量型センサ部100では、第1の電極1021及び第2の電極1022は、それぞれ、第1の引き出し配線1031及び第2の引き出し配線1032を介して、測定部200に接続されている。

【0022】
第1の電極1021及び第2の電極1022並びに第1の引き出し配線1031及び第2の引き出し配線1032は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫、カーボンなどの導電材料で構成することができ、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて形成することができる。

【0023】
例えば第1の電極1021をシグナル電極とし、第2の電極1022をグラウンド電極として、被測定物用容器300がシグナル電極である第1の電極1021側にある場合、グラウンド電極として機能する第2の電極1022の方が第1の電極1021よりも面積が大きくなるように構成されている。

【0024】
測定装置200は、静電容量型センサ部100に対して所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加して、静電容量型センサ部100を含む非接触測定システム全体の静電容量値を測定する。

【0025】
本実施形態では、静電容量型センサ部100を被測定物用容器300の近傍に接触状態または非接触状態で配置する。具体的には、静電容量型センサ部100を被測定物用容器300に接触しないが近傍の位置に単に置くだけでもよいし、静電容量型センサ部100を被測定物用容器300に対して、例えば、貼付、スクリーン印刷法などの印刷法、あるいは蒸着法やスパッタリング法などにより、被測定物用容器300の被測定物が接する面とは反対側の表面上に静電容量型センサ部100を設けてもよい。

【0026】
図3は本実施形態の非接触測定システムの構成例を示す機能ブロック図である。測定装置200は、図3に示すように、所定の周波数で所定の振幅の交流電圧を印加する高周波電源201と、静電容量型センサ部100を含む非接触測定システム全体の静電容量値を測定する測定部202と、高周波電源201と測定部202と記憶部204とを適宜制御する制御部203と、測定した静電容量値などを記憶する記憶部204とを備えて構成される。測定装置200の高周波電源201と測定部202は、静電容量型センサ部100に接続される。

【0027】
高周波電源201は、制御部203に制御されて、接続された静電容量型センサ部100と測定部202とに所定の振幅の交流電圧を所定の周波数(測定周波数)で印加する。本実施形態の非接触測定システムでは、高周波電源201において印加する測定周波数によって、測定した結果得られる静電容量値(差分)が測定対象物の観測パラメータの変動に対応している領域(感度閾ともいう)が異なるので、この特性を活用して高感度かつ高精度の測定を行う設定を可能としている。

【0028】
図4は異なる3つの測定周波数において複数の濃度のKCl溶液の静電容量値(差分)を測定した結果を表す図である。例えば、図4によれば、測定周波数を10kHz、100kHz、1000kHzとした場合のそれぞれにおいて複数の濃度のKCl溶液(すなわち観測パラメータを変動させて)の静電容量値(差分)を測定しているが、その測定結果である静電容量値(差分)の変動が大きい領域は、測定周波数によって異なっていることが判る。具体的には、10kHzでは0.0001mMから0.01mMの付近において、100kHzでは0.001mMから0.5mMの付近において、1000kHzでは0.1mMから1mMの付近において、静電容量値(差分)が測定対象物の観測パラメータの変動によく対応しているといえる。

【0029】
図4に示す例では、それぞれの測定周波数について測定結果である静電容量値(差分)に変動がある領域を検出領域とすることができる。検出領域においては、検出上限と検出下限とにおける応答量の差である最大応答量が大きく、変動の傾きが大きいものが感度が高いと言える。

【0030】
1つの態様では、制御部203は、高周波電源201における測定周波数を、測定対象物の観測パラメータの値領域に応じて設定する。測定対象物の観測パラメータの値領域とは、例えば、測定対象の濃度を観測パラメータとする場合に、濃度の値が存在すると推定される領域である。したがって、測定対象物の観測パラメータの値領域において、検出領域を有する測定周波数を用いることができる。さらには、測定対象物の観測パラメータの値領域において感度の高い検出領域を採用することが高感度および高精度な測定を実現する上で好ましい。

【0031】
別の態様では、制御部203は、高周波電源201における測定周波数を、掃引させることができる。掃引させることによって、観測パラメータの値が推定できない場合に、より広い領域で測定を行うことができる。

【0032】
図1に戻って、被測定物用容器300は、静電容量型センサ部100の近傍に接触状態または非接触状態で配置されたときに、静電容量型センサ部100と離間するように被測定物を保持する手段であり、例えば、透明スチロールケースやガラス、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンなどの導電性を有しない材料で構成することができる。本実施形態では、被測定物用容器300としてプール型の構成を例示しているが、例えば、被測定物を流入可能に構成された導管型等、その形状や大きさを含めて種々の形態を採ることができる。

【0033】
補助電極400は、被測定物容器300に隣接して配置される電極であり、静電容量型センサ部100の検出空間に干渉しないように静電容量型センサ部100とは十分離間して配置される。補助電極400は、接地接続された接地電極として構成してもよいし、接地接続されない浮遊電極として構成してもよい。補助電極400は必須の構成ではないが、測定装置200における測定の安定性、感度の向上を図ることができる点で有効であり、その構成も浮遊電極として構成するよりも接地電極として構成する方がこれらの効果を発揮するうえでより好ましい。

【0034】
図5は、補助電極400として接地電極を用いた場合の非接触測定システムの等価回路を示す図である。本実施形態の非接触測定システムは、高周波電源201に対し、静電容量型センサ部100において形成される静電容量Cmと、静電容量型センサ部100の2つの電極のそれぞれと測定対象物との間に形成される静電容量C1、C2と、導電性を有する測定対象物の抵抗値Rと、測定対象物と接地接続された補助電極400との間に形成される静電容量C3とが接続された構成となっている。

【0035】
図5に示すように、本実施形態の非接触測定システムの等価回路は、高周波電源201に測定対象物の形成するCR成分が接続された構成であるので、高周波電源201の周波数に対して測定対象物の物性による依存特性をもつと考えられる。本発明者らは、この依存特性が測定対象物の溶液濃度にあることを見出し、測定対象物の濃度を高感度かつ高精度に測定する以下の測定手法を提案している。

【0036】
本実施形態の非接触測定システムは、測定装置200における測定周波数を変えると観測パラメータである濃度についての感度閾が変化する特性を利用して、測定の目的、測定対象物やその濃度に応じた適切な周波数を設定することにより、高感度かつ高精度な測定が可能となる。本実施形態の非接触測定システムの測定手法について以下に説明する。

【0037】
(第1の測定手法)
まず、上記非接触測定システムにおける第1の測定手法について説明する。この測定手法は、測定対象物の濃度変化や異物混入などの定性的な評価を行うことを目的として測定対象物の濃度域に応じた適切な周波数に固定して測定を行う手法である。

【0038】
この測定手法では、測定対象物の測定の前に、被測定物用容器300に既知の所定濃度の溶液を収容した状態で静電容量値の測定を行う(予備測定)。予備測定において、制御部203は、高周波電源201における測定周波数を固定した状態で、測定部202により既知の濃度の溶液を測定対象物として測定して取得した静電容量値を記憶部204に記憶しておく。既知の所定濃度の溶液は基準濃度とされ、その時の静電容量値と共に、記憶部204に記憶される。

【0039】
次に、被測定物用容器300に濃度が未知の測定対象物を収容した状態で測定を行う。制御部203は、高周波電源201における測定周波数を先ほどと同じ周波数に固定した状態で、測定部202により静電容量値を取得する。

【0040】
制御部203は、記憶部204に記憶されている静電容量値と取得した静電容量値との差分を算出する。算出した差分が、許容範囲内であるか否かを判定する。

【0041】
制御部203は、算出した差分が許容範囲内でないと判定した場合は、図示しない警告手段などによって警告を行う。警告は、警告音(警告音声)や警告表示(警告ランプ)を用いる態様がある。

【0042】
判定の結果の通知は、許容範囲内でない場合にのみ警告する態様でもよいが、許容範囲内である場合に、正常であることを知らせる表示を行う態様でもよい。

【0043】
制御部203において、測定を行う頻度を上げることにより、検出した差分が許容範囲を外れた場合に素早く検出できるので、検出精度の向上を図ることができる。

【0044】
この測定手法によれば、測定対象物の濃度変化や異物混入などの定性的な評価を高感度にかつ素早く行うことができる。

【0045】
(第2の測定手法)
本実施形態の非接触測定システムにおける第2の測定手法は、測定対象物の濃度の値など定量的な評価を行うことを目的として、測定対象物の濃度域に応じた適切な周波数に固定して測定を行う手法である。

【0046】
この測定手法では、測定対象物の測定の前に、2種類以上の既知の濃度の溶液について各濃度の溶液をそれぞれ被測定物用容器300に収容した状態でそれぞれ測定を行い、得られた2つ以上の静電容量値を測定に用いた溶液の濃度と組み合わせて2組以上のデータを記憶部204に記憶しておく(予備測定)。予備測定における測定周波数は、測定対象物の推定濃度に応じた検出感度を有する1つ以上の周波数を選択することができる。2種類以上の既知の濃度の溶液についての測定は、実際の測定の際に全ての種類について行ってもよいし、工場出荷時に所定の1つ以上の濃度を除く溶液について測定を行い、実際の測定の際に残りの1つ以上の濃度の溶液について測定を行なってもよい。例えば、既知の濃度の数が2種類の場合は、非接触測定システムの出荷時に1種類を測定し、実際の対象物測定の際に残りの1種類を測定するか、非接触測定システムの出荷時には測定を行わず、実際の対象物測定の際に全2種類を測定してよい。また例えば、既知の濃度の数が3種類場合は、非接触測定システムの出荷時に1種類を測定し、実際の対象物測定の際に残りの2種類を測定するか、非接触測定システムの出荷時に2種類を測定し、実際の対象物測定の際に残りの1種類を測定するか、非接触測定システムの出荷時には測定を行わず、実際の対象物測定の際に全3種類を測定してもよい。

【0047】
次に、被測定物用容器300に濃度が未知の測定対象物を収容した状態で測定を行う。制御部203は、高周波電源201における測定周波数を固定した状態で、測定部202により静電容量値を取得する。固定した状態の測定周波数は、予備測定の際に用いた1つ以上の周波数から選択することができる。この手法では、測定周波数を固定して測定を行うので素早く静電容量値を取得することが可能である。

【0048】
取得した静電容量値が、予備測定において記憶された2つ以上の静電容量値の範囲の値である場合は、取得した静電容量値に対応する濃度を内挿により求める。取得した静電容量値が、予備測定において記憶された2つ以上の静電容量値の範囲にない場合は、2つ以上の静電容量値から予想される濃度を外挿により求める。

【0049】
このように、本測定手法においては、測定対象物の濃度の値など定量的な評価を高感度にかつ素早く行うことができる。

【0050】
(第3の測定手法)
本実施形態の非接触測定システムにおける第3の測定手法は、測定対象物の濃度変化や異物混入などの定性的な評価を行うことを目的として測定周波数を固定せずに掃引して測定を行う手法である。

【0051】
この測定手法では、測定対象物の測定の前に、被測定物用容器300に既知の濃度の溶液を収容した状態で静電容量値の測定を行う(予備測定)。予備測定において、制御部203は、高周波電源201における測定周波数を掃引させながら、測定部202により既知の濃度の溶液を測定対象物として測定して取得した静電容量値を記憶部204に記憶しておく。既知の濃度の溶液は基準濃度とされ、その時の静電容量値は測定周波数に対応付けられて基準の静電容量値変化モデル(周波数特性)として記憶部204に記憶される。

【0052】
次に、被測定物用容器300に測定対象物を収容した状態で測定を行う。制御部203は、高周波電源201における測定周波数を掃引させながら、測定部202により静電容量値を取得する。取得した静電容量値は測定周波数に対応付けて測定した静電容量値変化モデルとして記憶部204に記憶する。この手法では周波数を掃引させて静電容量値を取得するので、より高精度な値を取得できる。

【0053】
制御部203は、予備測定において記憶された基準の静電容量値変化モデルと測定した静電容量値変化モデルとをフィッティングして、両者が一致するか否かを判定する。一致するか否かはある程度の誤差を考慮して判定される。

【0054】
両者が一致する場合は、濃度変化がなかった、または異物混入がなかったと判定できる。一方で、両者が一致しない場合は、濃度変化が発生した、または異物混入があったと判定できる。

【0055】
判定の結果、第1の測定手法と同様に、図示しない警告手段などによって、必要に応じて警告等をすることができる。

【0056】
このように、本測定手法においては、測定対象物の濃度変化や異物混入などの定性的な評価を高感度かつ高精度に行うことができる。

【0057】
(第4の測定手法)
本実施形態の非接触測定システムにおける第4の測定手法は、測定対象物の濃度の値など定量的な評価を行うことを目的として測定周波数を固定せずに掃引させて測定を行う手法である。

【0058】
この測定手法では、測定対象物の測定の前に、1つの基準となる既知の濃度の溶液および複数の既知の異なる濃度の溶液についてそれぞれの濃度の溶液を被測定物用容器300に収容した状態で測定を行い、測定に用いた溶液の濃度ごとに、取得した静電容量値の基準の静電容量値からの差分をその測定周波数に対応付けて基準の静電容量値差分変化モデル(周波数特性)として記憶部204に記憶しておく(予備測定)。複数の種類の既知の濃度の溶液についての測定は、実際の測定の際に全ての種類について行ってもよいし、工場出荷時に所定の1つ以上を除く濃度の溶液について行い、実際の測定の際に残りの1つ以上の濃度の溶液について行ってもよい。

【0059】
次に、被測定物用容器300に測定対象物を収容した状態で測定を行う。制御部203は、高周波電源201における測定周波数を掃引させながら、測定部202により静電容量値を取得する。

【0060】
取得した静電容量値を周波数に対応付けてプロットし、予備測定において記憶された基準の静電容量値変化モデルにフィッティングする。フィッティングの結果、一番フィットするモデルがどの濃度の溶液を測定したものかに基づいて測定対象物の濃度を推定することができる。

【0061】
図6は、各濃度のKCl溶液の周波数変化に対する静電容量値の差分の変化のモデル(周波数特性)を表す図である。例えば、図6に示すように、測定対象物としてKCl溶液を用いた場合、周波数変化に対する静電容量値の差分の変化は、図6に示すように各濃度ごとに変化の形状が異なる。図6の例では、基準とする溶液としてKClを含有する前の蒸留水を用い、KClを含有する前の蒸留水での静電容量値との差分を周波数変化に対して示している。したがって、制御部203は、測定して得られた測定対象物であるKCl溶液の周波数変化に対する静電容量値の差分の変化の形状がどのモデルに近いかに基づいて測定対象物であるKCl溶液の濃度を推定することができる。この手法によれば、より多くの測定点において静電容量値を測定することになるので、より精度が高い測定をすることができるといえる。

【0062】
このように、本測定手法においては、測定対象物の濃度の値など定量的な評価を高感度かつ高精度に行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
100 静電容量型センサ部
200 測定装置
201 高周波電源
202 測定部
203 制御部
204 記憶部
300 被測定物用容器
400 補助電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5