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明細書 :肌状態測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-154804 (P2019-154804A)
公開日 令和元年9月19日(2019.9.19)
発明の名称または考案の名称 肌状態測定装置
国際特許分類 A61B   5/00        (2006.01)
FI A61B 5/00 M
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-045675 (P2018-045675)
出願日 平成30年3月13日(2018.3.13)
発明者または考案者 【氏名】岩田 史郎
【氏名】今若 直人
出願人 【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C117
Fターム 4C117XA02
4C117XB13
4C117XD05
4C117XE20
4C117XE27
4C117XG06
4C117XP03
要約 【課題】簡易な構成で静電容量型センサの肌に対する押圧力も併せて測定することにより肌水分量を含む複数の肌に関する物理情報を取得する肌状態測定装置を提供する。
【解決手段】被測定対象物である肌が押し当てられたときに圧力に応じた撓み量が生じる可撓性のセンサ保持部13と、前記センサ保持部13に設けられ、押し当てられた前記肌と容量結合する第1の電極部と、前記センサ保持部13に設けられ、前記センサ保持部13の撓み量に応じて抵抗値が変化する第2の電極部と、前記センサ保持部13に接続され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とに印加する電圧を制御して前記肌を押し当てたときの静電容量値と圧力値を取得する測定手段と、取得した前記静電容量値と圧力値の経時的な組み合わせである測定データに基づいて肌の物理情報を取得する情報取得手段とを備えたことを特徴とする肌状態測定装置1である。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
被測定対象物である肌が押し当てられたときに圧力に応じた撓み量が生じる可撓性のセンサ保持部と、
前記センサ保持部に設けられ、押し当てられた前記肌と容量結合する第1の電極部と、
前記センサ保持部に設けられ、前記センサ保持部の撓み量に応じて抵抗値が変化する第2の電極部と、
前記センサ保持部に接続され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とに印加する電圧を制御して前記肌を押し当てたときの静電容量値と圧力値を取得する測定手段と、
取得した前記静電容量値と圧力値の経時的な組み合わせである測定データに基づいて肌の物理情報を取得する情報取得手段とを備えたことを特徴とする肌状態測定装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、飽和した時の前記静電容量値に基づいて肌水分量を取得し、前記圧力値の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得することを特徴とする請求項1に記載の肌状態測定装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記静電容量値の最大値に基づいて肌水分階級を取得し、前記圧力値の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得することを特徴とする請求項1に記載の肌状態測定装置。
【請求項4】
被測定対象物である肌が押し当てられたときに圧力に応じた撓み量が生じる可撓性のセンサ保持部と、
前記センサ保持部に設けられ、押し当てられた前記肌と容量結合する第1の電極部と、
前記センサ保持部に設けられ、前記センサ保持部の撓み量に応じて抵抗値が変化する第2の電極部と、
前記センサ保持部に接続され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とに印加する電圧を制御して前記肌を押し当てたときの静電容量値と撓み量を取得する測定手段と、
取得した前記静電容量値と撓み量の経時的な組み合わせである測定データに基づいて肌の物理情報を取得する情報取得手段とを備えたことを特徴とする肌状態測定装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、飽和した時の前記静電容量値に基づいて肌水分量を取得し、前記撓み量の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得することを特徴とする請求項3に記載の肌状態測定装置。
【請求項6】
前記情報取得手段は、前記静電容量値の最大値に基づいて肌水分階級を取得し、前記撓み量の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得することを特徴とする請求項3に記載の肌状態測定装置。
【請求項7】
前記測定手段と前記情報取得手段とを収容するケースをさらに備え、前記センサ保持部は前記ケースに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする1から6のいずれかに記載の肌状態測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は肌状態測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肌状態のひとつである肌の水分量を測定する装置として肌水分量測定装置が用いられている。肌水分量測定装置は、静電容量型センサを用いたものがよく知られている。静電容量型センサを用いた肌水分量測定装置は、絶縁物であるガラスで覆われた電極対を肌にあてがい、肌の角質層を誘電体としたコンデンサを形成することによってコンデンサの静電容量値の変化を測定している。コンデンサの静電容量値は、誘電体である肌の水分量によって変化するので、静電容量値を測定することによって肌の水分量を測定することができる。
【0003】
このような肌状態測定装置においては、肌の水分量を測定するために電極対を肌にあてがう際の肌に対する密着度合いが測定の安定性に非常に重要な要素となることが知られている。例えば特許文献1の肌水分量測定装置では、電極対を保持したセンサ保持部が装置の内側に凹み、肌に対して押し当てる押圧力が最適な値となったことを知らせる手段により、最適圧力で安定した測定を可能としている。また、特許文献2の肌水分量測定装置では、特許文献1と同様に肌に対して押し当てる押圧力が最適な値になったことを判断するが、最適圧力となってから一定時間後に肌水分量計算値を出力することにより、安定した状態で測定した肌水分量を出力することを可能としている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2003-169787号公報
【特許文献2】特開2003-169788号公報
【0005】

【非特許文献1】Peter Clarys et.al., “Influence of probe application pressure on in vitro and in vivo capacitance (Corneometer CM 825) and conductance (Skicon 200 EX) measurements”, Skin Research and Technology 2011; 17: 445-450.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの技術はいずれも、肌水分量を正確に測定するためには、最適な一定の圧力で肌に押し当てた状態で測定する必要がある、との前提にたっている。また非特許文献1には、静電容量型センサで肌の水分量を測定する場合に、肌への押し付け圧の強さによって検出値が変化するという報告がなされている。このように従来の肌水分量の測定においては、正確な測定のためには肌への押し付け圧の強さが一定であることが必要であると考えられてきた。
【0007】
しかしながら、静電容量型センサの肌への押し付け圧と検出値との関係を本発明者らが鋭意検討したところ、肌の水分量を測定する際に、静電容量型センサを肌へ押し付ける押圧力を一定にすることは必ずしも必要ではなく、むしろ静電容量値の測定と併せて静電容量型センサの肌に対する押圧力も測定することにより、肌の水分量以外にも、肌の柔らかさや肌の凹凸状態などの肌状態を推定できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明は上記知見に鑑みなされたものであって、本発明の課題は、簡易な構成で静電容量型センサの肌に対する押圧力も併せて測定することにより肌水分量を含む複数の肌に関する物理情報を取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、一実施形態に記載された発明は、被測定対象物である肌が押し当てられたときに圧力に応じた撓み量が生じる可撓性のセンサ保持部と、前記センサ保持部に設けられ、押し当てられた前記肌と容量結合する第1の電極部と、前記センサ保持部に設けられ、前記センサ保持部の撓み量に応じて抵抗値が変化する第2の電極部と、前記センサ保持部に接続され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とに印加する電圧を制御して前記肌を押し当てたときの静電容量値と圧力値を取得する測定手段と、取得した前記静電容量値と圧力値の経時的な組み合わせである測定データに基づいて肌の物理情報を取得する情報取得手段とを備えたことを特徴とする肌状態測定装置である。
【0010】
一実施形態を参照した第1の態様に記載された発明は、前記情報取得手段は、飽和した時の前記静電容量値に基づいて肌水分量を取得し、前記圧力値の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得する。
【0011】
一実施形態を参照した第2の態様に記載された発明は、前記情報取得手段は、前記静電容量値の最大値に基づいて肌水分階級を取得し、前記圧力値の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得する。
【0012】
他の一実施形態に記載された発明は、被測定対象物である肌が押し当てられたときに圧力に応じた撓み量が生じる可撓性のセンサ保持部と、前記センサ保持部に設けられ、押し当てられた前記肌と容量結合する第1の電極部と、前記センサ保持部に設けられ、前記センサ保持部の撓み量に応じて抵抗値が変化する第2の電極部と、前記センサ保持部に接続され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とに印加する電圧を制御して前記肌を押し当てたときの静電容量値と撓み量を取得する測定手段と、取得した前記静電容量値と撓み量の経時的な組み合わせである測定データに基づいて肌の物理情報を取得する情報取得手段とを備えたことを特徴とする肌状態測定装置である。
【0013】
他の一実施形態を参照した第1の態様に記載された発明は、前記情報取得手段は、飽和した時の前記静電容量値に基づいて肌水分量を取得し、前記撓み量の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得する。
【0014】
他の一実施形態を参照した第2の態様に記載された発明は、前記情報取得手段は、前記静電容量値の最大値に基づいて肌水分階級を取得し、前記撓み量の変化に対する前記静電容量値の変化の挙動に応じて肌の荒れ状態を取得する。
【0015】
上記実施形態を参照した他の態様に記載された発明は、前記測定手段と前記情報取得手段とを収容するケースをさらに備え、前記センサ保持部は前記ケースに着脱可能に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の肌状態測定装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】肌状態測定装置による測定状態を示す模式図である。
【図3】本実施形態の肌状態測定装置の他の一例を示す外観斜視図である。
【図4】本実施形態の肌状態測定装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図5】測定データの一例を示す図である。
【図6】異なる肌状態を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。

【0018】
図1は本実施形態の肌状態測定装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は本実施形態の肌状態測定装置による測定状態を示す模式図であり、図3は本実施形態の肌状態測定装置の他の一例を示す外観斜視図である。本実施形態の肌状態測定装置1は、図1に示すように、センサ部10と、コネクタ部20と、本体部30とを備えている。センサ部10はコネクタ部20を介して本体部30に取り付けられている。

【0019】
センサ部10は、静電容量型センサ11と、ひずみゲージセンサ12と、これらのセンサ11、12を保持する平板状の保持部材13とにより構成されている。保持部材13は、図2に示すように、静電容量型センサ11が設けられている部分に被測定対象物である肌を押し当ると押圧力に応じて撓むように構成されている。保持部材13は、例えば、ガラスエポキシ、紙フェノール、紙エポキシなどのプリント基板材料や、PETフィルム、PENフィルム、PIフィルムなどの可撓性の材料を用いることができる。なお、本実施形態の肌状態測定装置ではひずみゲージセンサ12で保持部材13が撓んだ量を検出しているため、本明細書においては、「撓み量」と「歪み量」とを同じ物理量を表す用語として記載している。

【0020】
静電容量型センサ11は、図1に示すように、保持部材13の同じ面において互いに対向するよう形成された、くし形の電極対である。静電容量型センサ11は、この形態に限定されず、面積が異なる電極対を保持部材13の表裏面において互いに対向させて設けた形態であってもよく、公知の静電容量型センサを用いることができる。静電容量型センサ11を構成する電極材料は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫などの導電性材料を用いることができる。

【0021】
ひずみゲージセンサ12は、センサ部10が被測定対象物に押し当てられた時に、保持部材13の撓む量に応じて抵抗値が変化するように形成された電極として構成することができる。ひずみゲージセンサ12を構成する電極材料は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、錫などの導電性材料を用いることができる。ひずみゲージセンサ12で直接測定できるのは保持部材13の撓み量に応じた抵抗値の変化量であるが、保持部材13はかかった圧力に応じて撓む構成であるので、撓み量(歪み量)に応じた抵抗値の変化量を測定することによってセンサ部10に対する圧力を検出することができるといえる。すなわち、撓み量(歪み量)を測定することによって間接的に押圧力を測定することができるといえる。

【0022】
静電容量型センサ11は、保持部材13に対して、肌との接触面側に検出面が形成されるように設ける必要があるが、ひずみゲージセンサ12は、保持部材13の撓み量を検出できれば良いので、肌との接触面側に限らず、肌との接触面の裏側に設けてもよい。裏側に設ける場合は、図3に示すように、ひずみゲージセンサ12と静電容量型センサ11とが保持部材13の表裏の別々の面に設けられた構成となる。なお、ひずみゲージセンサ12の設け方については、保持部材13の表面に限らず、保持部材13を多層に構成して中間層に設けてもよい。

【0023】
コネクタ部20は、センサ部10を本体部30に固定する導電性接着剤などであってもよいし、センサ部10を本体部30に着脱可能に取り付ける構成であってもよい。例えば、本体部30の入り口に設けた板バネでセンサ部10を挟み込む構成により着脱可能に取り付ける構成とすることができる。この場合、コネクタ部20としては、例えば日本モレックス社製504281などのフレキシブルプリント回路基板用コネクタを用いることができる。

【0024】
本体部30は、センサ部10に設けられた静電容量型センサ11およびひずみゲージセンサ12を制御するための電源および電子回路部分を有するとともに、電源および電子回路部分を保護するためのケース部分を有している。本体部30のケース部分は、必要に応じて設けられ、電源および電子回路部分を保護したり、肌状態測定装置を把持したりする際に持ち手とすることができるものであればその形状等は特に限定されない。

【0025】
本実施形態の肌状態測定装置では、センサ部10の静電容量型センサ11とひずみゲージセンサ12とはそれぞれ、本体部30内に設けられた電源および電子回路部分に接続されている。本体部30内の電源および電子回路部分により、静電容量型センサ11とひずみゲージセンサ12とに印加される電圧が制御されて静電容量と歪み量(撓み量)の測定値が取得される。測定をするときは、被測定対象である肌に対してセンサ部10を押し当てて測定を行う。センサ部10を肌に押し当てると、静電容量型センサ11を介して肌の水分量が測定されるとともに、図2に示すように押し当て圧力に応じてセンサ部10が撓むことによって、ひずみゲージセンサ12を介して押し当て圧力が測定される。

【0026】
ところで静電容量型センサ11では、物体に押し当てて測定を行うが、前述のように押し当てるときの圧力が異なると静電容量型センサ11における測定値も異なることが知られている(非特許文献1)。つまり、同じ水分量の肌であっても、その柔らかさや表面の凹凸状態によって、異なる押圧力における静電容量型センサ11の測定値は異なる。本実施形態の肌状態測定装置1によれば、静電容量型センサ11によって肌の水分量を測定する際の押圧力をひずみゲージセンサ12によって同時に時系列的に測定することができるので、押圧力に応じた静電容量型センサ11の測定値とその変化傾向を評価することができる。

【0027】
図4は、本実施形態の肌状態測定装置の電気回路構成を示すブロック図である。図4には、本実施形態の肌状態測定装置1として、センサ部10の静電容量型センサ11に接続された第1の信号変換部31と、センサ部10のひずみゲージセンサ12に接続された第2の信号変換部32と、第1の信号変換部31および第2の信号変換部32に接続された信号処理部34と、信号処理部34に接続された電源33、記憶部35、表示部36および通信部37とが示されている。なお、上述した本体部30内に設けられた電源および電子回路部分に相当するのが、第1の信号変換部31と、第2の信号変換部32と、電源33と、信号処理部34と、記憶部35、表示部36と、通信部37である。

【0028】
第1の信号変換部31は、静電容量型センサ11と信号処理部34とに接続されている。第1の信号変換部31は、信号処理部34に制御されており、信号処理部34を介して静電容量型センサ11に対して電圧を制御して印加し、そのときの静電容量値を測定する。第1の信号変換部31は測定した静電容量値のデータ信号を信号処理部34に送る。例えば第1の信号変換部31は、静電容量型センサ11に対して、抵抗成分となる構成要素とインダクタンスとなる構成要素とを並列に接続し、所定の周波数と所定の振幅の交流電圧を静電容量型センサ11に印加し、印加した所定の交流電圧の変化に対する電流値の変化に基づいて静電容量値を示す値として測定することができる。例えば、第1の信号変換部31における静電容量値を示す値を検出する手段として具体的には、オンセミコンダクター社の静電容量検出IC(LC717A)などを用いることができる。

【0029】
第2の信号変換部32は、ひずみゲージセンサ12と信号処理部34とに接続されている。第2の信号変換部32は、信号処理部34に制御されており、信号処理部34を介してひずみゲージセンサ12に対して電圧を制御して印加し、そのときの抵抗値を測定する。第2の信号変換部32は測定した抵抗値のデータ信号を信号処理部34に送る。例えば第2の信号変換部32は、ひずみゲージセンサ12に対して、所定の電圧をひずみゲージセンサ12に印加し、印加した所定の電圧に対する電流値の変化に基づいて抵抗値の変化量を測定することができる。例えば、第2の信号変換部32における抵抗値を測定する手段として具体的には、ひずみゲージブリッジとオペアンプ(Avia Semiconductor社HX711)を有する信号検出機構を用いることができる。

【0030】
信号処理部34は、第1の信号変換部31から静電容量値を示す値を時系列的に受け取るとともに第2の信号変換部32から抵抗値の変化を時系列的に受け取る。信号処理部34は、受け取った静電容量値を示す値と抵抗値との組を時系列データとして蓄積し、蓄積した時系列データを用いて記憶部35のデータテーブルから対応するデータを抽出して測定データの生成を行う。

【0031】
記憶部35には、静電容量値を示す値と肌水分量とを紐づけた第1のデータテーブルと、抵抗値と圧力(歪み量)とを紐づけた第2のデータテーブルとを格納している。信号処理部34は、まず、第2のデータテーブルから時系列データの抵抗値に対応する圧力(歪み量)を抽出し、時系列的に対応する静電容量値と組み合わせて、測定データを生成する。この測定データは、センサ11、12から得られた値に基づいて生成されるものであって、静電容量値(または静電容量値を示すデータ)と圧力(または圧力を示すデータや撓み量)との相関を示すデータである。

【0032】
さらに信号処理部34は、測定データにおいて静電容量値の一番大きい値に対応した肌水分量を第1のデータテーブルから抽出することにより肌水分量の検出値を得る。信号処理部34は、記憶部35に肌水分量ごとの肌水分階級を決定するための肌水分階級決定テーブルを格納しておき、検出した肌水分量に対応する肌水分階級を決定することができる。この場合、記憶部35に格納された第1のデータテーブルの代わりにまたは第1のデータテーブルとともに静電容量値を対応する肌水分階級に変換するためのデータテーブルが格納されていてもよい。

【0033】
肌水分階級とは、肌水分量を複数の階級に分類して表現したものであって、例えば、肌水分量が大きい場合は「うるおい肌」、肌水分量が小さい場合は「乾燥肌」、肌水分量が中間的な場合は「普通肌」などに分類される。

【0034】
信号処理部34は、好ましくは、静電容量値が圧力(歪み量)の変化に対して飽和した場合に、その時の静電容量値に対応する肌水分量を第1のデータテーブルから抽出することにより、肌水分量の検出値を得る構成とすることができる。

【0035】
また、信号処理部34は、圧力(歪み量)に応じた静電容量値の変化傾向などから、肌の荒れ方や柔らかさなどの物理情報を取得することができる。圧力に応じた静電容量値の変化傾向は肌状態によって異なる。例えば、固い肌状態の場合、肌と静電容量型センサ11との接触不良から、圧力(歪み量)が低いうちは静電容量型センサ11と肌との間の容量結合の形成が不完全であるので、柔らかい肌状態の場合に比べて静電容量値が低くなることがわかっている。よって、圧力(歪み量)に応じた静電容量値の変化傾向を取得することで、肌の柔らかさに関する情報を取得することができる。圧力(歪み量)に応じた静電容量値の変化のどのような挙動がどのような肌状態を示しているのかを取得するための基準は、あらかじめ記憶部35に格納しておくことができる。信号処理部34は、記憶部35に格納された基準に基づいて肌水分量以外の肌の物理情報を取得することができる。

【0036】
記憶部35に格納された基準としては、圧力値(歪み量)の変化に対する静電容量値の変化の挙動から肌水分量以外の肌状態を取得することができるように、測定データの傾き、静電容量値が飽和となるときの圧力(歪み量)の値と飽和となった静電容量値(肌水分量)の組み合わせなどを用いることができる。

【0037】
表示部36は、液晶画面などの各種表示手段である。信号処理部34は、得られた測定データから取得されたデータを表示データとして加工して、表示部36に表示させることができる。

【0038】
通信部37は、外部機器とデータの通信を行う手段である。信号処理部34は、得られた測定データを通信部37を介して外部機器に出力することができる。例えば、外部機器としてスマートフォンなどを利用することができ、信号処理部34は得られた測定データを、通信部37を介してスマートフォンに送信する。スマートフォンでは、送信されたデータをアプリなどで管理することにより、日々の肌状態を管理することもできる。

【0039】
図5は、測定データの一例を示す図であり、図6は、異なる肌状態を測定した結果を示す図である。ここで、本実施形態の肌状態測定装置1における測定結果について説明する。

【0040】
図5において、(a)はひずみゲージセンサを静電容量型センサの裏側の面に配置した構成において取得した測定データであり、(b)はひずみゲージセンサを静電容量型センサと同じ面に配置した構成において取得した測定データである。測定データとは、時間ごとの抵抗値を用いて第2のデータテーブルから圧力(歪み量)のデータを抽出し、抽出された圧力(歪み量)のデータを、時間ごとの測定された静電容量値と対応させたものである。

【0041】
図5(a)に示された測定データは、歪み量がマイナス方向に大きくなるに伴って静電容量値が増加している。歪み量がマイナス方向に大きくなることは、センサ部10のひずみゲージセンサ12に対して圧縮応力が与えられている(圧縮応力が増大している)ことを示している。この例では、ひずみゲージセンサ12は、保持部材13に対して静電容量型センサ11が設けられた面の裏側の面に設けられている(図3と同様の構成)。肌状態を測定する場合には、保持部材13において静電容量型センサ11が設けられた面から肌が押し当てられるため、裏側の面に設けられたひずみゲージセンサ12には圧縮応力がかかる。

【0042】
図5(b)に示された測定データは、歪み量がプラス方向に大きくなるに伴って静電容量値が増加している。歪み量がプラス方向に大きくなることは、センサ部10のひずみゲージセンサ12に対して引張応力が与えられている(引張応力が増大している)ことを示している。この例では、ひずみゲージセンサ12は、保持部材13に対して静電容量型センサ11が設けられた面と同じ側の面に設けられている(図1と同様の構成)。肌状態を測定する場合には、保持部材13において静電容量型センサ11が設けられた面から肌が押し当てられるため、同じ側の面に設けられたひずみゲージセンサ12には引張応力がかかる。

【0043】
図5(a)、(b)の2つの測定データともに共通して、ひずみゲージセンサ12を介して測定した応力の絶対値(歪み量)が増加するに伴って静電容量値も増加し、ある値になると、静電容量値が飽和するということが示されている。本実施形態の肌状態測定装置1の信号処理部34は、図5に示す飽和した静電容量値から第1のデータテーブルを使用して肌の水分量を抽出することができる。静電容量値が飽和しない場合でも、肌水分階級に変換するためのデータテーブルを用いて肌水分階級を抽出することができる。

【0044】
図6は、異なる肌状態を測定した結果を示す図である。図6において、黒丸で示されたデータは、肌水分量が高く荒れていない肌(試料a)の測定データであり、白丸で示されたデータは、肌水分量が低く荒れている肌(試料b)の測定データである。図6に示す測定データは、図1と同様の構成の肌状態測定装置により測定したものであり、歪み量の値の増加(引張応力の増加)に伴って静電容量値が増加している。

【0045】
試料aと試料bとでは、試料aの静電容量値の飽和値の方が高い値を示しており、試料aの方が試料bに比べて高い肌水分量(肌水分階級)を示しているといえる。

【0046】
肌表面が荒れている場合、センサ部に強く肌を押し当てないと静電容量値は飽和に達しない。記憶部35は、静電容量値が飽和したときの歪み量を肌の荒れ状態あるいは肌荒れ階級の基準として格納しておくことができる。例えば、静電容量値が飽和したときの歪み量が35[任意単位]以下の範囲であれば「荒れていない肌」であり、静電容量値が飽和したときの歪み量が35[任意単位]より大きい範囲であれば「荒れた肌」であるという肌の荒れ状態あるいは肌荒れ階級の基準を格納しておくことができる。この基準に基づくと図6の測定データでは、試料aは35[任意単位]より低い歪み量で静電容量値の飽和が起きていることから「荒れていない肌」という肌荒れ階級が取得でき、試料bは35[任意単位]より大きい歪み量で静電容量値の飽和が起きていることから「荒れた肌」という肌荒れ階級が取得できる。この結果は事実に合致しているといえる。

【0047】
このように本実施形態の肌状態測定装置によれば、簡易な構成で静電容量型センサの肌に対する押圧力も併せて測定することにより肌水分量を含む複数の肌に関する物理情報を取得することができる。

【0048】
以上の実施形態では、センサ部10はコネクタ部20を介して本体部30に接続されている場合を例に挙げて説明したが、コネクタ部20は必須の構成ではなく、センサ部10と本体部30はコネクタ部20を介さずに接続されていてもよい。この場合は、例えばセンサ部10のセンサ11、12と本体部30の電源および電子回路部分とが同じ可撓性の基板上に設けられ、直接接続された構成とすることができる。さらに本体部30の電源および電子回路部分を覆うケースを設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 センサ部
11 静電容量型センサ
12 ひずみゲージセンサ
13 保持部材
20 コネクタ部
30 本体部
31 第1の信号変換部
32 第2の信号変換部
33 電源
34 信号処理部
35 記憶部
36 表示部
37 通信部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5