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明細書 :炭素繊維人工藻場および複数種類の炭素繊維人工藻を組み合わせてなる炭素繊維人工藻場システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3331372号 (P3331372)
公開番号 特開2001-136861 (P2001-136861A)
登録日 平成14年7月26日(2002.7.26)
発行日 平成14年10月7日(2002.10.7)
公開日 平成13年5月22日(2001.5.22)
発明の名称または考案の名称 炭素繊維人工藻場および複数種類の炭素繊維人工藻を組み合わせてなる炭素繊維人工藻場システム
国際特許分類 A01K 61/00      
FI A01K 61/00 317
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願平11-327248 (P1999-327248)
出願日 平成11年11月17日(1999.11.17)
審査請求日 平成11年11月17日(1999.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012615
【氏名又は名称】群馬工業高等専門学校長
発明者または考案者 【氏名】小島 昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】長井 啓子
参考文献・文献 特開 平10-155388(JP,A)
特開 昭60-43323(JP,A)
特開 昭63-74432(JP,A)
特開 平8-280295(JP,A)
調査した分野 A01K 61/00
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、
前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻を具えることを特徴とする、炭素繊維人工藻場。

【請求項2】
炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、
前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻を具えることを特徴とする、炭素繊維人工藻場。

【請求項3】
炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、
前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に筒状に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした枡目状の芯材の長手方向および周方向に沿う複数箇所にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにした筒状人工藻を具えることを特徴とする、炭素繊維人工藻場。

【請求項4】
炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、
前記人工藻として、棚状の剛性材料で形成して水底の所定位置に位置決めした囲いを前記水底固定具とした請求項1記載の房状人工藻を具えるとともに、
前記囲いに、紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻および、3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻帯のうち少なくとも一方を張り渡して具えることを特徴とする、棚状炭素繊維人工藻場。

【請求項5】
前記芯材を炭素繊維編織品で形成したことを特徴とする、請求項1から4までの何れか記載の炭素繊維人工藻場。

【請求項6】
炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場を複数種類組み合わせてなる人工藻場システムにおいて、
前記人工藻場として、
水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻を具える房状人工藻場と、
水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻を具えるムカデ状人工藻場と、
水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に筒状に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした枡目状の芯材の長手方向および周方向に沿う複数箇所にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにした筒状人工藻を具える筒状人工藻場と、
棚状の剛性材料で形成して水底の所定位置に位置決めした囲いに、紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻および、3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻のうち少なくとも一方を張り渡して具える棚状炭素繊維人工藻場と、
のうち二種類以上の人工藻場を組み合わせてなることを特徴とする、炭素繊維人工藻場システム。

【請求項7】
前記芯材を炭素繊維編織品で形成したことを特徴とする、請求項6記載の炭素繊維人工藻場システム。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚類等の水中生物の生育環境を提供する人工物に関し、特には、炭素繊維を主材料とした人工藻によって、水中生物の集合場、隠れ場、産卵場、餌場、育成場などを形成した炭素繊維人工藻場および、炭素繊維を主材料とした人工藻を複数種類組み合わせた人工藻場システムに関するものである。かかる炭素繊維人工藻場および炭素繊維人工藻場システムは、淡水、海水いずれの水環境に限られずに、既存の魚等の再生産を促進するので、水中生物に係わる漁業、水産業、養殖業などに広く利用することができる。

【0002】
【従来の技術】魚類等の水中生物の生育環境を提供する人工物としては従来、人工藻や、人工漁礁、人工増殖礁、人工着卵材などが知られており、従来の人工藻およびそれを複数有する人工藻場の材料には通常、ポリプロピレンなどの合成樹脂成形品が用いられている。比重が1以下であるポリプロピレンを用いた人工藻は、水底に固定すると自然に立ち上がる。また海用の人工藻場の中には、潮流に耐えるようポリプロピレン製葉状物の幅が広くなった人工海草を用いているものもある。しかしながら、このような構造をもつポリプロピレン製人工海草は、水のわずかな流れや乱れ程度ではほとんど揺動しない。またポリプロピレンでは炭素繊維フィラメントのような極細繊維を作ることは困難である。

【0003】
また従来の人工魚礁には、コンクリート製、鋼製、プラスチック製など様々な物が使用されている。これらはいずれも大型の構築物で、海中に設置して魚類の増殖を目指すものである。また、沈没船にも同様の効果が見られることから、廃船処理の一法として沈没船を人工魚礁に利用する試みもある。特に昨今はFRP製漁船が多用されていることから、その処分法として炭化後、海中に沈め、人工魚礁として利用する試みもある。

【0004】
そして人工増殖礁も、従来から多数製作されている。人工増殖礁は、対象生物として回遊性魚類から、磯根資源としての貝類、ウニ、エビ、ナマコあるいはそれらの隠れ場や餌さ場となる海藻にいたるまで幅広く利用されている。人工増殖礁は、素材としては鋼類が主体であり、構造物全体として藻場機能を示すものである。

【0005】
人工着卵材としては、種々の製品が製造されている。それらは主として合成樹脂成形品であり、ポリプロピレンやビニロンを主原料とする製品が多い。ビニロンからなる人工着卵材(着卵藻)としては、クラレ株式会社が販売している「きんらん(商品名)」がある。この着卵藻は、親水性のグリーン色糸からなり、形態が自由に変えられることから、設置場所の制限が少ない。また、水中では柔軟になることから魚体を痛めることもないなどの特徴を持っており、琵琶湖でのニゴロブナやモロコの産卵、孵化、初期保育に効果が見られている。また、群馬県赤城山大沼では、公魚の着卵材としてきんらんが利用されている。

【0006】
上述したように、人工藻場や人工魚礁として従来使用されてきた素材は、合成樹脂からなるフィルム、繊維、帯および網などであった。その他、コンクリート構造物、鉄鋼製品、廃棄された船などもあった。また人工着卵材は、天然物であるシュロの木の表皮、ビニロンなどが主であった。しかしながら上述の如き各種素材からなる人工物は、微生物膜が急速に付着する機能や、二次的な微生物、小生物群が大量、且つ急速に集合する機能、そして稚い水中生物および成長した水中生物を含めた食物連鎖ができる機能や、産卵床となる機能などを保持していなかった。

【0007】
ところで本願発明者は、魚類等の水中生物の生育環境を提供する人工物、特に人工藻の素材として、炭素繊維が特に適していることを見いだし、先に特開平8-266184号公報にて開示した。人工藻の素材として炭素繊維が特に適している理由は、炭素繊維は主素材が炭素であること、そしてそれが極細繊維であることから、微生物が急速に付着するので、微生物膜を早期に形成し、また炭素繊維は、高弾性率であることから、嵩高い形状を保持できるので、長期にわたって活性を持続し、小生物や稚魚のすみ家となりやすい、といった点による。

【0008】
そして本願発明者は、かかる炭素繊維を主材料とした人工藻につきさらに研究を進めた結果、鮒、ヨシノボリ、公魚などの産卵は、低密度の房状人工藻に代表される「けば立った」人工藻に多いことなど、人工藻の形態に応じて魚類等に対する機能が異なることを見いだした。

【0009】
【発明が解決しようとする課題】それゆえ本発明は、かかる知見に基づき、炭素繊維を主材料とした人工藻を用いて、微生物膜が急速に付着して、二次的な微生物、小生物群が大量、且つ急速に集合し、稚い水中生物および成長した水中生物を含んだ食物連鎖ができ、産卵床となり、これらによって連続した世代の交代を可能にする人工藻場および人工藻場システムを提供することを目的とし、さらに、耐久性があり、形態の多様性がとれ、環境負荷がなく、汚濁汚染物質の溶けだしや拡散がなく、生物体に対し無害である人工藻場および人工藻場システムを提供することを目的とする。

【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】この発明は、上記課題を有利に解決した人工藻場および人工藻場システムを提供するものであり、請求項1記載のこの発明の炭素繊維人工藻場は、炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻を具えることを特徴とするものである。

【0011】
炭素繊維を主材料としたこの房状人工藻を具える房状人工藻場は、本願発明者の試験によれば、
(1) 微生物膜の迅速形成により微生物集団が付着しやすい。
(2) ミジンコなどの微生物体が増殖する。
(3) 鮒や公魚などの餌場となる。
(4) 産卵床となる。
といった機能を持つことが確認された。

【0012】
すなわち、この房状人工藻にあっては、炭素繊維ストランドを固定する箇所の間隔を5cmから40cmまでと比較的大きくとって各箇所で炭素繊維ストランドを房状に膨らませることから、炭素繊維フィラメントが嵩高に分散しているので、その房状に膨らませた炭素繊維(以下「房部」という)の中に稚魚が隠れたり、潜ったりしながら、プランクトンを捕食し、敵となる大型魚類から身を守る。さらに、炭素繊維フィラメントが分散した箇所に多数の魚卵が生みつけられ、産卵床としても優れた機能を発揮する。そして各房部の房密度が低いほど、着卵率は高くなる。

【0013】
従ってこの房状人工藻は、紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材(炭素繊維編織ロープやポリエステル製ロープ等)に一端部を固定した炭素繊維の各房部の、太さ、構成ストランド本数、ストランド長さ、房部の間隔などによって機能が多少異なるものとなる。さらに芯材の材質、編み方などによっても区分される。

【0014】
この房状人工藻における1つの固定箇所(房部)当たりの炭素繊維ストランドの本数は、12K のストランドの場合で2~20本が好ましい。そのうちストランドの本数が2~8本の場合は低密度の房となり、それ以上の本数の場合は高密度の房となる。ストランドの本数が少ない房部の方が、水中で大きく広がり嵩高となって隙間が多くなり、微生物の付着も産卵も多くなる。それに対し高密度の房部では、内部の隙間が少ないことなどから、嵩高さがあまり認められない。なお、「1K」は、炭素繊維フィラメント1000本を表す。

【0015】
また、この房状人工藻における房部の長さは、15~40cmが好ましい。長さが短いと揺らぎが少なく、人工藻の効果は少ない。一方、長すぎると相互に絡みあったりして、これもゆらぎが低下する。

【0016】
さらにこの房状人工藻における房部の間隔は、10~40cmが好ましい。この間隔が短いと相互の揺らぎが損なわれる。一方、長すぎると全体としての炭素繊維の密度が低くなり、人工藻の効果が低下する。

【0017】
また請求項2記載のこの発明の炭素繊維人工藻場は、炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻を具えることを特徴とするものである。

【0018】
炭素繊維を主材料としたこのムカデ状人工藻を有するムカデ状人工藻場では、3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材(炭素繊維編織物やポリエステル製織物等)に一端部を固定された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドから分散した多数本の炭素繊維フィラメントが水中で独特の大きな揺らぎを生ずる。帯状の芯材の幅が狭すぎると、芯材がねじれて炭素繊維が相互に絡みあいやすくなり、芯材の幅が広過ぎると炭素繊維の密度が低くなってこの人工藻の効果が低下する。

【0019】
また、2cmから10cmまでの間隔の複数箇所にその炭素繊維ストランドを固定するので房状と比較して概ね繊維密度が高くなることが特徴である。この間隔が短すぎると、相互の揺らぎに障害があらわれる。一方、長すぎると、全体としての炭素繊維の密度が低くなり、この人工藻の効果が低下する。

【0020】
かかるムカデ状人工藻場は、本願発明者の試験によれば、
(1) 炭素繊維の末端は水中で大きく揺らぎ、同時に繊維密度が高いいため、小生物やミジンコなどの集積場となる。
(2) 稚魚の餌場および隠れ場となる。
(3) 先端部分が産卵床となる。
(4) 芯材が織物状で房状人工藻の芯材より幅が広く、ブラックバスなどが炭素繊維の根元側から稚魚をねらいやすいので、餌場として特に好まれる。といった機能を持つことが確認された。

【0021】
このムカデ状人工藻では、1つの固定箇所当たりの炭素繊維ストランドの本数は12K のストランドを5~15本とすることが好ましい。一箇所当たりストランドの本数が少ない方が、炭素繊維フィラメントの隙間が多くなって水中で大きく揺らぎ、微生物の付着も、産卵も多くなる。それに対しストランドの本数が多くなると、内部の隙間が少ないことなどから、揺らぎがあまり認められない。

【0022】
また、このムカデ状人工藻では、各固定箇所からなびかせる炭素繊維ストランド(これも便宜上、以下「房部」と呼ぶ)の長さは、15~40cmが好ましい。長さが短いと、揺らぎが少なく、人工藻の効果が少なくなる。一方、長すぎると、相互に絡みあったりして、これも揺らぎが低下する。

【0023】
さらに請求項3記載のこの発明の炭素繊維人工藻場は、炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、前記人工藻として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に筒状に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした枡目状の芯材の長手方向および周方向に沿う複数箇所にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにした筒状人工藻を具えることを特徴とするものである。

【0024】
炭素繊維を主材料としたこの筒状人工藻を有する筒状人工藻場は、なびかせた炭素繊維が、微生物や小生物の集合場や産卵床としての機能を示す。また、筒状に立ち上げさせた枡目状の芯材は、小生物や稚魚は進入可能であるが成魚は進入できない大きさの枡目にすることができ、このためその筒状の芯材の内部は、稚魚の餌場や隠れ場となり、成魚にとっては隠された空間となる。

【0025】
ここにおける芯材は、炭素繊維編織ロープやポリエステル製ロープ等を枡目状かつ筒状に繋げて形成しても良く、その場合は芯材自体の炭素繊維ストランドが分散して産卵場等になる。そして芯材の枡目を一つおきに埋めるように複数本の炭素繊維ストランドを上下方向に張り渡しても良く、その場合は芯材の内部がその張り渡した炭素繊維ストランドで隠れるとともに炭素繊維ストランドを張り渡さなかった枡目が筒状の芯材の内外をつなぐ出入り口となって、稚魚のさらに良い餌場や隠れ場となる。この筒状人工藻は、筒状の芯材の直径や長さ、芯材を構成する炭素繊維ストランドの網組組織などによって機能の調節が可能である。また、芯材に固定する炭素繊維ストランドの各固定箇所での本数を増やすことによって房状人工藻と同様の機能も付与することができる。

【0026】
かかる筒状人工藻は、本願発明者の試験によれば、
(1) 小生物の育成場となる。
(2) 稚魚の餌場となる。
(3) 稚魚の隠れ場となる。
といった機能を持つことが確認された。

【0027】
すなわち、実際に設置した筒状人工藻は、筒状の芯材の内部および周囲でモエビや小魚などの小生物の密度は高くなった。また、筒状の芯材の内部は、外界から隔離されるので稚魚の初期生育効果が高く、外敵からの稚魚の隠れ場としての機能を有効に果たした。

【0028】
この筒状人工藻における芯材の筒の直径は、8~30cmが好ましい。小さ過ぎると稚魚の成長を妨げ、大き過ぎると成魚が侵入しやすくなるからである。また芯材の筒の長さは、12~50cmが好ましい。短過ぎると稚魚の成長を妨げ、長過ぎると成魚が侵入しやすくなるからである。同様の理由で、稚魚の出入り口となる部分である枡目の大きさは1~3cmが好ましく、枡目の数も全周で3~5箇所であることが好ましい。

【0029】
そして請求項4記載のこの発明の炭素繊維人工藻場は、炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場において、前記人工藻として、棚状の剛性材料で形成して水底の所定位置に位置決めした囲いを前記水底固定具とした請求項1記載の房状人工藻を具えるとともに、前記囲いに、紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻および、3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻帯のうち少なくとも一方を張り渡して具えることを特徴とするものである。

【0030】
炭素繊維を主材料としたこの棚状人工藻場は、塩化ビニルで被覆した鉄パイプ等の剛性材料を棚状に組み、その棚状の剛性材料で囲いを作り、その囲いに上述した房状人工藻やムカデ状人工藻を張り渡したものであり、棚状の剛性材料に張り渡した人工藻の設置間隔や位置を正確に決めることが可能であるので、藻場の構造を精密に制御することが可能となるのが特徴である。

【0031】
かかる棚状人工藻は、本願発明者の試験によれば、
(1) 微生物、小生物、稚魚の育成場となる。
(2) 外敵からの隠れ場となる。
といった機能を持つことが確認された。すなわち、実際に水中に設置したこの棚状人工藻は、囲いの内部に稚魚や生育魚などの隠れ場を提供し、ブラックバスなどからの保護作用を示した。

【0032】
この棚状人工藻の囲いは、高さが1m以上でたてよこの巾40cmが以上であることが好ましく、その囲いの外側には、目の大きさ1cm以上の網を具えていることが好ましい。

【0033】
一方、請求項6記載のこの発明の炭素繊維人工藻場システムは、炭素繊維を主材料とした人工藻を具える人工藻場を複数種類組み合わせてなる人工藻場システムにおいて、前記人工藻場として、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻を具える房状人工藻場と、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻を具えるムカデ状人工藻場と、水底固定具によって水底の所定位置に位置決めするとともに浮体によって水中に筒状に立ち上げさせかつ水面下の水中にその浮体を維持する長さにした枡目状の芯材の長手方向および周方向に沿う複数箇所にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにした筒状人工藻を具える筒状人工藻場と、棚状の剛性材料で形成して水底の所定位置に位置決めした囲いに、紐状または3cm未満の巾の帯状の芯材の長手方向に沿う5cmから40cmまでの間隔の複数箇所の片側または両側に弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散して房状に膨らむようにした房状人工藻および、3cmから8cmまでの巾の帯状の芯材の長手方向に沿う2cmから10cmまでの間隔の複数箇所の両側にそれぞれ弾性率100GPa~400GPaの炭素繊維フィラメントからなり水溶性のサイジング剤が塗布された合計60K から180Kまでの1本または複数本の炭素繊維ストランドの一端部を固定して水中で前記各箇所の炭素繊維ストランドが多数本の炭素繊維フィラメントに分散してなびくようにしたムカデ状人工藻のうち少なくとも一方を張り渡して具える棚状炭素繊維人工藻場と、のうち二種類以上の人工藻場を組み合わせてなることを特徴としている。

【0034】
すなわち、炭素繊維を主材料とした人工藻は、その形態によってそれぞれ上述の如き特色を持っている。従って、その人工藻の集合体である人工藻場は、個々の人工藻を効果的に配置することによって、その機能がより強化される。この場合に、目的によっては、単一の形態の人工藻を集めて人工藻場をつくっても良いが、複数種類の形態の人工藻を組み合わせて人工藻場システムを構成し、それらの形態の特徴を発揮するように配置すれば、各人工藻の機能をより集合強化する事が出き、それにより、微生物膜が急速に付着して、二次的な微生物、小生物群が大量且つ急速に集合し、稚い水中生物および成長した水中生物を含んだ食物連鎖ができ、産卵床となり、既存の魚等の水中生物の再生産が促進されるので、連続した世代の交代を可能にする人工藻場システムを実現することができる。

【0035】
例えば、藻場システムの周辺部に房状人工藻場を配置して、微生物を早期に形成し、固着、吸着、増殖機能、産卵促進、着卵率向上をねらい、その内側に、孵化した稚魚の生育するに適した初期保育効果をもつムカデ状人工藻場を設置し、さらにその内側には、稚魚や小魚などの外敵となる大型の魚類から隠れ場となり遮蔽し保護できる筒状人工藻場を、そして最も奥となる中心部には、棚状人工藻場を設置すると好ましい。かかる組合せおよび配置で人工藻場を持つ人工藻場システムによれば、上述の如く、微生物膜が急速に付着して、二次的な微生物、小生物群が大量且つ急速に集合し、稚い水中生物および成長した水中生物を含んだ食物連鎖ができ、産卵床となり、これらによって連続した世代の交代を可能にする人工藻場システムを構成することができる。

【0036】
そして上記例の構成以外にも、地形、環境、地質、水量、目的などに応じて人工藻場の組合せや配置を異ならせることができ、その際には、各人工藻の特徴を活用した藻場システムを構築することができる。

【0037】
なお、この発明における人工藻の固定方法は、棚状人工藻場へ固定する場合を除き、底置き立ち上げ方式とする。この方式は、炭素繊維人工藻の芯材の一端を重りや水底に打ち込んだアンカー等で水底に固定し、他端に浮体(フロート)を付けたり、その芯材自体を軽量の浮体とするなどの方法を採るとともに、その芯材を、水面下の水中に上記浮体を維持する長さにして、炭素繊維人工藻を水中に浮遊させて立ち上げるようにしたものである。

【0038】
これに対し、水表面に浮体を浮かべて、そこから炭素繊維人工藻を吊り下げる方式は、水面の波や風の影響を常に受け、定点固定が大規模になる。また、冬季に水面が氷結した場合には、結氷、流氷、風の影響などにより、定点固定は実際上不可能となる。さらに氷結時には、浮体が氷に押し上げられ浮上し、人工藻が所期した深さから引き上げられてしまうなどの問題点が山積している。

【0039】
また、底置き方式のみで炭素繊維人工藻を水底に設置した場合には、人工藻が湖底のヘドロなどの堆積物中に埋没し、房状の炭素繊維フィラメントがユラギ効果を発揮できない。

【0040】
上記の底置き立ち上げ方式は、人工藻を設置する水環境の深さ、流れ、対象とする魚類の種類、季節などに応じて調節可能である。炭素繊維の比重は、1.7 g/cm3 であるので、浮体の大きさや浮力を適宜に決めることで、炭素繊維人工藻を水面付近に配置することも、また希望する深さにまで沈めることもできる。例えば、魚によっては水面付近を、あるいは水面から数m下を、あるいは湖底付近を主な生育環境とするものがいるので、それに応じて設置すればよい。

【0041】
また、この発明は、微生物膜を早期に形成する機能や生物膜を増殖する機能をもつ炭素材料を用い、しかも、個々の炭素繊維フィラメントが極めて細いため、全体として表面積が極めて大きい炭素繊維ストランドを使用することによって、上述した、微生物膜が急速に付着して、二次的な微生物、小生物群が大量且つ急速に集合し、稚い水中生物および成長した水中生物を含んだ食物連鎖ができ、産卵床となる、という機能や、耐久性があり、形態の多様性がとれ、環境負荷がなく、汚濁汚染物質の溶けだしや拡散がなく、生物体に対し無害であるといった機能を発揮する。

【0042】
この発明の人工藻場システムで使用する炭素繊維のフィラメントは、直径7μm、引張り強度3GPa 、弾性率 235GPa のものが最適であるが、直径15μmのものも使用でき、本願発明者の予備的な研究によれば、引張り強度が1GPa 以上、弾性率が100 ~400GPaであれば本発明の目的に充分合致する。すなわち、かかる大きな弾性率が、水中で嵩高な構造を形成して、その構造を長期間持続させるとともに、水中で炭素繊維に水草のような動きをさせることになり、これが房のユラギ効果による付着微生物集団の活性の持続と小生物、稚魚などの生活空間の確保に役立つのである。なお、上記のような炭素繊維フィラメントは、例えば直径7μmのものはアクリル繊維を1200℃程度で蒸し焼きにして製造し、また直径15μmのものはピッチを糸状にして焼いて製造するなど、公知の方法で製造することができる。

【0043】
炭素繊維ストランドには、炭素繊維フィラメントを纏めるサイジング剤が塗布されているのが一般的であるが、この発明では、水中で炭素繊維フィラメントが分散することが必要である。すなわち、水中への設置の時点でサイジング剤がなく、炭素繊維フィラメントが自由に分散できることが必要である。そのためこの発明では、水溶性のサイジング剤が塗布された炭素繊維ストランドを使用する。これによりサイジング剤の除去を不要とすることができる。

【0044】
この発明の人工藻場および人工藻場システムは、好ましくは、請求項5および7に記載したように、芯材を炭素繊維編織品で形成する。炭素繊維編織品は、炭素繊維ストランドに編む、織る、接着するなどの基本的操作を加えることによって、二次元的、三次元的な形態を構築することができる。従って、芯材を炭素繊維編織品で形成すれば、耐久性があり、形態の多様性がとれ、環境負荷がなく、汚濁汚染物質の溶けだしや拡散がなく、生物体に対し無害であるといった機能を最大限に発揮することができる。但し、芯材の全部あるいは一部に、目的に応じて炭素繊維以外の他の繊維や他の素材などを組合わせても良く、このようにすれば、編織作業の経済性を向上させたり、形状のさらなる多様性を計ったりすることができる。

【0045】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の人工藻場の第1実施例を構成する第1の房状人工藻場に用いられるA型~C型の三種類の房状人工藻と一種類のモール状人工藻とを示すものであり、図1(a)はA型の房状人工藻、図1(b)はB型の房状人工藻、図1(c)はC型の房状人工藻、図1(d)はモール状人工藻をそれぞれ示す正面図である。ここで、図中符号1は房状人工藻、2は房部、3は芯材、4はモール状人工藻をそれぞれ示す。

【0046】
A型の房状人工藻1は、以下の如く構成されている。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×8本(合計96K )
長さ 20cm
間隔 20cm
配置位置 芯材の両側に交互に出す
芯材3 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×16本(合計192K)
太さ(直径) 6mm
材質 炭素繊維製紐状編織物
組織 編み織り

【0047】
B型の房状人工藻1は、B-aとB-bの二種類あり、以下の如く構成されている(図ではB-aのみ示す)。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×16本(合計192K)
長さ B-aは20cm,B-bは35cm
間隔 B-aは20cm,B-bは30cm
配置位置 B-aは芯材の片側のみ,B-bは両側に出す
芯材3 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×16本(合計192K)
太さ(直径) 6mm
材質 炭素繊維製紐状編織物
組織 編み織り
但し、上記のA型とB型の何れも、房部2は、炭素繊維の本数が、炭素繊維ストランド(6K ~24K)×1本~16本(合計6K~384K)まで製作可能であり、長さおよび間隔がそれぞれ5cm~50cmまで任意に設定可能である。また芯材3は、ポリエステル繊維の編み織りあるいは、それと炭素繊維との複合も可能である。

【0048】
C型の房状人工藻1は、以下の如く構成されている。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×16本(合計192K)
長さ 30cm
間隔 30cm
配置位置 芯材の両側に出す
芯材3 太さ(直径) 6mm
材質 クレモナ製ロ-プ(紐状編織物)
組織 編み織り
但し、房部2は、炭素繊維の本数を、炭素繊維ストランド(6K ~24K)×1本~16本(合計6K~384K)まで製作可能であり、長さおよび間隔をそれぞれ、5cm~50cmまで任意に設定可能である。また芯材3は、太さ3mm~6mmまで製作可能であり、炭素繊維あるいはイカ釣糸とすることも可能である。

【0049】
モール状人工藻4は、以下の如く構成されている。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(3K)×1本(合計3K)
長さ 15cm(両側で24cm)
間隔密度 15本/芯材1cm
配置位置 芯材の両側に出す
芯材3 太さ(直径) 3mm
材質 ポリエステル製紐状編織物
組織 編み織り
但し、房部2は、長さを、片側1.5cm ~12cm(芯材の両側で3cm~24cm)、間隔密度を、3Kのストランドで15本~24本/芯材1cm、6Kのストランドで8本/芯材1cm、12K のストランドで4本/芯材1cm程度とすることが可能であり、また芯材3は、ナイロンで製作することも可能である。なお、上記のA型~C型の房状人工藻1もモール状人工藻4も何れも、芯材3の下端部を図示しない水底固定具で水底の所定位置に位置決めされるとともに、芯材3の上端部を図示しない浮体で引かれて水中で立ち上がるようにされるものである。

【0050】
図2は、この発明の人工藻場の第2実施例を構成する第2の房状人工藻場に用いられる房状人工藻1を示す正面図であり、この実施例における房状人工藻1は、絡み織りを基本として構成されている。絡み織りは、経糸、緯糸ともポリエステル糸を使用し、シャットル織機により所定巾のテープ状の織物を織りながら、緯糸として炭素繊維ストランドを1~数本ずつ所定間隔で織り込んで芯材としたものである。炭素繊維ストランドが連続して織り込まれているため途中箇所を切断して引き出し、切り放しの状態で使用するが、織り込まれている片側で炭素繊維ストランドは連続したままとなるので、炭素繊維の脱落が生じにくい。引き出す炭素繊維ストランドの間隔は自由に設定でき、またその長さも20cmと40cmを基準としているが、任意に調整できる。この第1実施例用のものとしては、以下の〔表1〕に示す仕様のD型~I型の六種類の房状人工藻1を製作した。

【0051】
【表1】
JP0003331372B2_000002t.gif【0052】これらD型~I型の房状人工藻1は、以下の如く構成されている。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×1~3本
長さ 20cm, 40cm
配置位置 芯材の片側だけに出す
芯材3 材質 ポリエステル製テープ状(帯状)織物
巾 5mm
但し、房部2は、炭素繊維ストランドを、好ましくは12K とするが、3K~48Kの範囲で選択でき、長さを、10cm~50cm程度の間で任意設定できる。また芯材3は、ポリエステルテープ以外のヒートカット可能な繊維で製作することも可能であり、その幅を、5mm~150cm 程度の間で任意に設定することができる。なお、このE型~J型の何れも、芯材3の下端部を水底固定具5で水底6の所定位置に位置決めされるとともに芯材3の上端部を浮体7で引かれて水面8下の水中で立ち上がるようにされるものである。

【0053】
図3は、この発明の人工藻場の第3実施例の構成するムカデ状人工藻場に用いられるa,b二種類のムカデ状人工藻9を示す正面図であり、このムカデ状人工藻は、芯材2を形成する、ポリエステルと綿とを交織した帯状材料とポリオレフィン樹脂フィルムとの間に、炭素繊維ストランドを挟み込んで、房部3を形成したものである。芯材2と房部3の接着は、上記帯状材料と樹脂フィルムとで炭素繊維ストランドを挟んで120 ℃から150 ℃に加熱することによりポリエステルを溶かして上記帯状材料と樹脂フィルムとを互いに溶着させ、炭素繊維ストランドをそれらに一体化させるものである。

【0054】
ムカデ状人工藻9は、以下の如く構成されている。
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K)
長さ a:片側15cm(直径35cm)
b:片側13cm(直径29cm)
繊維密度 a:50本/芯材50cm
b:30本/芯材50cm
配置位置 芯材の両側に出す
芯材3 巾 a:5cm
b:3cm
材質 ポリエステルと綿との交織織物
長さ 50cm
但し、炭素繊維の本数、長さ、繊維密度、芯材の巾などは、先に述べた範囲内で任意に変更することができる。なお、このムカデ状人工藻9も何れも、芯材3の下端部を図示しない水底固定具で水底の所定位置に位置決めされるとともに、芯材3の上端部を図示しない浮体で引かれて水中で立ち上がるようにされるものである。

【0055】
図4は、この発明の人工藻場の第4実施例を構成する第3の房状人工藻場に用いられるJ型の房状人工藻1を示す正面図であり、このJ型の房状人工藻1は、水溶性ビニロンでフィラメントを纏めた炭素繊維ストランドからなる紐状編織物の芯材2の一端部をポリエステル製上部芯材10に織り込み、その芯材2の側部から炭素繊維ストランドを引き出したものである。この房状人工藻1を水中にいれると、引き出した炭素繊維ストランドの水溶性ビニロンが溶けて、図4に示すように、各房部3の炭素繊維フィラメントが水中に分散する仕組になっている。

【0056】
このJ型の房状人工藻1は、以下の如く構成されている。
上部芯材 長さ 3m
房部2 炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×2本,4本
長さ 25cm,38cm(二種類)
間隔 5cm
向き 芯材の両側に交互に出すかあるいは片側だけに出す
このJ型の房状人工藻1は、芯材3の下端部を図示しない水底固定具で水底の所定位置に位置決めされるものであり、水中にいれると、炭素繊維フィラメントが分散して嵩高な構造を構築し、その構造を長期間保持する。炭素繊維フィラメントの分散が良好であることから、ミジンコなどの微生物の固着は著しく大である。また、稚魚が餌をついばみ、生育環境として優れている。そして、分散が著しいことから、産卵床として優れた性質を示す。

【0057】
図5は、この発明の人工藻場の第5実施例を構成する筒状人工藻場に用いられるA型,B型の二種類の房状人工藻と一種類の他のモール状人工藻とを示すものであり、図5(a)はA型の筒状人工藻、図5(b)はB型の筒状人工藻、図5(c)は上記他のモール状人工藻をそれぞれ示す斜視図である。

【0058】
A型の筒状人工藻11は、上部に発泡スチロール製の直径10cmの円盤状浮体(フロート)7を持ち、この浮体7の下方に枡目状(井桁状)に編んだ炭素繊維編織品からなる筒状の芯材3を配置したものであり、芯材3を構成する炭素繊維編織品は、たて糸(筒状の芯材3が立ち上がった状態では横方向である周方向に延在する)はナイロンモノフィラメント(210 デニール)、よこ糸(筒状の芯材3が立ち上がった状態では縦方向である長手方向に延在する)は炭素繊維ストランド(12K) をそれぞれ使用して織り上げたものである。図示例の炭素繊維編織品は、全長120cm で、上下方向に20cm間隔で枡目状に炭素繊維ストランドを配置してあり、上下端部に強化用の筒状の織物部分12を有している。炭素繊維編織品の、ナイロンモノフィラメントに一端部を固定して水中でなびくようにした炭素繊維ストランドの房部2の長さは18cm、房部2の数は炭素繊維ストランド(12K) 100 本としている。

【0059】
すなわち、A型の筒状人工藻11は、以下の如く構成されている。
浮体7 直径 10cm
房部2 本数 100 本
長さ 18cm
芯材3 たて糸 ナイロンモノフィラメント(210 デニール)
よこ糸 炭素繊維ストランド(12K)
織り方 バスケット織り(ななこ織り) ボーダー植え
織物部分12 たて糸 ナイロン 東レ 840 デニール 144 本
ナイロン ユニプラス 210 デニール 288 本
よこ糸 炭素繊維 東レ 840 デニール
長さ(高さ) 8cm
全体 長さ 1段(120cm)
但し、任意長さを製作可能である。

【0060】
また、B型の筒状人工藻11は、上部に発泡スチロール製の直径10cmの円盤状浮体(フロート)7を持ち、この浮体7の下方に枡目状(井桁状)に編んだナイロンテグス製ネット(1辺約5cm)を筒状にした芯材3を配置してあり、その芯材3の上下端部に強化用の筒状の織物部分12を有している。芯材3のナイロンテグスが交わる交点には長さ18cmの炭素繊維ストランド(12K)を各箇所に2本ずつ、芯材3の周方向および長手方向に平均に分布させて60箇所に吊り下げた。これらA型およびB型の筒状人工藻11も、図5(a),(b)に示すように、芯材3の下端部を水底固定具5で水底の所定位置に位置決めされるものである。これら筒状人工藻11を用いた人工藻場は、稚魚の隠れ場、大型魚からの逃げ場となる。しかしながら、微生物の付着は少なく、産卵状況も少なかった。

【0061】
なお、図5(c)に示すモール状の人工藻4は、ナイロンテグスに炭素繊維ストランドを織り込んで芯材3を形成し、その炭素繊維ストランドを左右に引き出してフィラメントを分散させたものであり、ムカデの様な独特の動きを示した。芯材3から左右にのびたムカデの足のような房部2の長さは、芯材3の片側で20cm、両側では40cmである。

【0062】
図6は、この発明の人工藻場の第6実施例を構成する棚状人工藻場を示すものであり、図6(a)はその棚状人工藻場の正面図、図6(b)はその棚状人工藻場の側面図である。ここではその実施例の棚状人工藻場13が人工藻場システムの下部を構成するとともに、房状人工藻場14が人工藻場システムの上部を構成し、それらの人工藻場はそれぞれ異なる役割を担っている。

【0063】
下部の棚状人工藻場13は、塩化ビニルで被覆された鉄パイプを繋ぎあわせて作った蚕棚状の剛性フレームを前後左右の四辺に配置し、互いに繋いで形成した囲い(高さ 200cm、巾 45cm 、奥行 50cm )15を基本構造としており、囲い15の高さ方向の中間部には横梁を配置してある。そして横方向に向く周囲8箇所の窓部には、8箇所のうち4箇所は縦方向に、残り4箇所は横方向に房状人工藻1を張り渡してあり、房状人工藻1の本数は、横方向のものを1箇所あたり4本(合計16本)、縦方向のものを1箇所あたり3本(合計12本)としている。

【0064】
上部の房状人工藻場14(高さ250cm )は、房状人工藻1を持つものであり、この房状人工藻1は、炭素繊維製紐状編織物からなる芯材3に長さ40cmの炭素繊維ストランド(12K) ×2本からなる房部2を10cm間隔で同一方向(芯材3の片側)に24本配置して先のB-a型と類似した構成としている。この人工藻場システムでは、その房状人工藻1を下部の囲い14の四角から浮体7をつけて合計4本立ち上げさせて房状人工藻場14を構成している。

【0065】
すなわち、ここにおける人工藻場システムは、以下の如く構成されている。
棚状人工藻場13 囲い 高さ 200cm、巾 45cm 、奥行 50cm
横方向房型人工藻 長さ50cmを16本
縦方向房型人工藻 長さ100cm を12本
房状人工藻場14 房状人工藻1本の長さ 250cm
房部 長さ 40cm
炭素繊維の本数 炭素繊維ストランド(12K) ×2本
房部の本数 各芯材3当たり24本
(4本の芯材全体では96本)

【0066】
以下の〔表2〕は、後述する試験で確認された各炭素繊維人工藻場の特徴を一覧で表している。この表2中、Lは優れている、Mは中程度、Sは効果は少ないことを示す。

【0067】
【表2】
JP0003331372B2_000003t.gif【0068】次に、上記各実施例の人工藻場の、藻場および産卵床としての評価試験の結果を図7および図8を参照して説明する。この評価実験は、春先に、榛名湖北岸前の試験区画20の湖底に上記各実施例の人工藻場を設置して行ったものであり、設置地点の水深は5mであった。第1の房状人工藻場21、第2の房状人工藻場22、第3の房状人工藻場23、ムカデ状人工藻場24、筒状人工藻場25および棚状人工藻場26は、図8に示すように、人工海草藻場27を加えて円環状に配置した。そして房状人工藻1、ムカデ状人工藻9および筒状人工藻11は、上述したように底置き立ち上げ方式で配置し、棚状人工藻場13は、湖底に直接設置した。

【0069】
各実施例の人工藻場の内容を以下に示す。
第1の房状人工藻場21 A,B-a,B-b,C型の房状人工藻1 各1本
モール状人工藻4 1本 (計5本)
第2の房状人工藻場22 D~I型の房状人工藻1 長さ300cm 5本
第3の房状人工藻場23 J型の房状人工藻1 6 本
ムカデ状人工藻場24 ムカデ状人工藻9 芯材巾5cm、足長さ15~20cm
全長 200cm、5本
筒状人工藻場25 筒状人工藻11 直径10cm、長さ180cm(延長したもの) 6本
房部 炭素繊維ストランド(12K) 100 本
棚状人工藻場26 下部 棚状人工藻場13(高さ200cm 、幅45cm、1個)
上部 房状人工藻場14(高さ250cm 4本)

【0070】
上記各実施例の人工藻場における人工藻の水中での動きの観察は、人工藻側近にビデオカメラ28を据え付け、湖岸29の近くの建物30内に具えたモニターテレビ31までケーブルを敷設して行った。人工藻の設置場所は、岸から30m、水深5mの湖底であった。ビデオカメラ28の位置は、円環状に配置した人工藻場の中心部で、各人工藻場から30cm離れた位置で、水面から3.5 m、湖底から1.5 mの位置であった。ビデオカメラ28は、360 度以上首を振ることができたが、上下には動かなかった。ビデオカメラ28からの直接映像を建物30内のモニターテレビ31で観察した。

【0071】
炭素繊維人工藻場を設置してから3週間後の様子は、弾性の効いたゆっくりとした動きをしていた。各炭素繊維人工藻の周りは、プランクトンが集合し、白いモヤがかかったようであった。夜になると照明用のライトにプランクトンが沢山集まった。モエビなどの小生物も見られた。比較として設置した人工海草藻場27のポリピロピレン製の人工海草(巾5cm、長さ2m)には、プランクトンが集ることはなかった。プランクトンが集合する現象は、炭素繊維人工藻の特有の現象であった。設置4週間後、プランクトンはさらに増え、モエビや小さな魚、公魚も集まりはじめた。

【0072】
設置6週間後(45日後)には、雪がふるように炭素繊維人工藻の周辺にプランクトが集まり始めた。さらに、鮒も集まり始めた。鮒がプランクトやミジンコを飲み込んでいる様子が画面から観察できた。鮒は炭素繊維人工藻の中に潜り込んだり、かきわけたりして出入りしたり、表面の付着物をつっつていた。さらに、炭素繊維人工藻をしゃぶっている様子も観察された。炭素繊維編織品とポリプロピレン製人工海草とは、明らかに違なる挙動を示した。プランクトンが集合し、それを鮒がついばんでいる様子などから、炭素繊維が藻場の機能を果たしていることが確認された。

【0073】
また、設置6週間後には、炭素繊維人工藻に卵が大量に産みつけられている様子がビデオカメラで確認された。そこで、潜水夫によって確認および採取作業を行い、房状炭素繊維人工藻の一部を採取した。人工藻の着卵数は、長さ5cmに40個(8個/1cm)であった。他の炭素繊維人工藻にも多数産卵があった。採取した卵を水槽中で飼育したところ、1週間後には孵化し、その後は、順調に生育した。これらの魚は約1月後に専門家が鑑定し鮒であることがわかった。設置4箇月半後には大きいものでは体長5cm、小さい魚でも2cmにまで成長した。

【0074】
一方、榛名湖では初夏になると、産み付けられた卵が孵化し稚魚が多数誕生した。稚魚は、炭素繊維人工藻の中から出入りしていた。各種炭素繊維人工藻の中では、筒状やムカデ状が良好で、稚魚は、これらの炭素繊維人工藻に固着したプランクトン類をついばみ、大型魚類が近づくと藻場内に隠れ潜り込んだ。また、棚状人工藻場も同様の隠れ場として好ましい特徴を示した。筒状および棚状炭素繊維人工藻場は、稚魚の隠れ場として好ましい構造であった。夏の盛りおよび夏の終わりごろにも再度産卵が行われた。いずれの場合も数日すると孵化し、着卵はなくなった。水中に設置した炭素繊維人工藻場は、産卵床としての機能を持続していた。

【0075】
また、上記各実施例の人工藻場に加えて、図7および図9に示すように、ビデオカメラ28を設置した試験区画20に隣接した場所に、炭素繊維とナイロンでそれぞれ作った巨大な角筒状の人工藻32, 33を配置した。この人工藻は、たてよこ各辺を4mとして上方から見た形を正方形とし、高さは3.6 mとした。この角筒状人工藻の上部は水面に浮かび、底部はほぼ湖底面に達していた。この角筒状人工藻は、上記各実施例の人工藻場システムと同日に設置した。

【0076】
設置6週間後には、炭素繊維製の角筒状人工藻32に魚の産卵が見られた。角筒の上部から下部まで、内面も外面も卵がビッチリと産みつけられた。詳細に観察すると、卵は3種類以上あった。その数は、おそらく数億個以上であった。しかしながら、比較試料として用いたナイロン製の角筒状人工藻33には、卵は全く産みつけられなかった。ナイロン製の角筒の内面にも外面にもなかった。一方、角筒の周辺に生えている水草34にも産卵はなかった。従って、炭素繊維人工藻場のみ産卵が行われ、炭素繊維は魚の産卵場として好適な素材であることが実証された。

【0077】
この発明の人工藻場システムは、先の四種類の炭素繊維人工藻のうち二種類以上を、上述した棚状人工藻場13の場合のように上下方向に組み合わせて構成しても良く、また水平方向に組み合わせることで、例えば以下のような様々な態様も成立し得る。
(1) 太陽系型藻場システム
中心部から外側へ向かって、上述した棚状人工藻場、筒状人工藻場、ムカデ状人工藻場および房状人工藻場の四種類の人工藻場をその順で環状に配置したものや、それらのうちで順序を入れ換えたもの。
(2) 衛星型藻場システム
中心部から外側へ向かって、上述した棚状人工藻場、筒状人工藻場、ムカデ状人工藻場および房状人工藻場の四種類の人工藻場のうちの二種類または三種類をその順で環状に配置したものや、それらのうちで順序を入れ換えたもの。
(3) 格子状藻場システム
上述した棚状人工藻場、筒状人工藻場、ムカデ状人工藻場および房状人工藻場の四種類の人工藻場の全てまたは二種類もしくは三種類をその順で一列状に配置したものや、それらのうちで順序を入れ換えたもの。
(4) 井桁状藻場システム
上述した棚状人工藻場、筒状人工藻場、ムカデ状人工藻場および房状人工藻場の四種類の人工藻場の全てまたは二種類もしくは三種類を井桁状に組み合わせて配置したもの。
(5) 分割型藻場システム
上述した棚状人工藻場、筒状人工藻場、ムカデ状人工藻場および房状人工藻場の四種類の人工藻場の全てまたは二種類もしくは三種類を、藻場システムの中心から放射状に延びる複数本の分割線で分けた複数区画に一つずつまたは何区画かおきに複数ずつそれぞれ配置したもの。

【0078】
図10(a)および(b)は、四種類の人工藻場を水平方向に組み合わせて順次に囲むように環状に配置した、この発明の人工藻場システムの実施例としての上記太陽系型藻場システムを二種類示すものであり、これらの実施例では、周辺部に上述した房状人工藻1を有する房状人工藻場を配置して、微生物を早期に形成し、固着、吸着、増殖機能、産卵促進、着卵率向上をねらい、その内側に、孵化した稚魚の生育するに適した初期保育効果をもつ上述したムカデ状人工藻9を有するムカデ状人工藻場を設置し、さらにその内側には、稚魚や小魚などの外敵となる大型の魚類から隠れ場となり遮蔽し保護できる上述した筒状人工藻11を有する筒状人工藻場を、そして最も奥となる中心部には、上述した棚状人工藻場13を設置している。なお、図10(a)に示す実施例では、各人工藻場の外周形状を矩形としており、図10(b)に示す実施例では、各人工藻場の外周形状を概略同心円状としている。

【0079】
かかる組合せおよび配置で人工藻場を具える人工藻場システムによれば、微生物膜が急速に付着して、二次的な微生物、小生物群が大量且つ急速に集合し、稚い水中生物および成長した水中生物を含んだ食物連鎖ができ、産卵床となり、これらによって連続した世代の交代を可能にする人工藻場システムを構成することができる。

【0080】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されず、特許請求の範囲の記載の範囲内で当業者が容易に変更し得る形態も含むもである。またこの発明は、魚類以外の水中生物にも適用することができるものであることは言うまでもない。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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