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明細書 :光変調素子及び光変調方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2021-005085 (P2021-005085A)
公開日 令和3年1月14日(2021.1.14)
発明の名称または考案の名称 光変調素子及び光変調方法
国際特許分類 G02F   1/03        (2006.01)
FI G02F 1/03 505
請求項の数または発明の数 18
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2020-109950 (P2020-109950)
出願日 令和2年6月25日(2020.6.25)
優先権出願番号 2019116939
優先日 令和元年6月25日(2019.6.25)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】徳永 英司
【氏名】羽山 大介
【氏名】瀬戸 啓介
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001519、【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2K102
Fターム 2K102AA22
2K102BA02
2K102BA07
2K102BB04
2K102BB05
2K102BC04
2K102CA00
2K102DB08
2K102DD10
2K102EA02
2K102EA14
2K102EA21
2K102EB20
2K102EB22
要約 【課題】バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質の界面において発現するポッケルス効果を利用して、効率的に光を変調する。
【解決手段】光変調素子10は、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質に対して光が照射された際に、当該物質の界面において発現するポッケルス効果を利用することにより、照射された光を変調させ、当該光に対する変調光を得る。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質に対して光が照射された際に、前記物質の界面において発現するポッケルス効果を利用することにより、照射された前記光を変調させ、前記光に対する変調光を得る、
光変調素子。
【請求項2】
前記界面において全反射されるような角度で前記界面に対して前記光が照射され、前記光に対する変調光を得る、
請求項1に記載の光変調素子。
【請求項3】
液体が充填されている第1部分と、
固体、気体、又は前記第1部分に充填されている液体とは異なる液体によって形成されている第2部分と、
電場を印加する電場印加手段と、を備え、
前記電場印加手段によって前記第1部分と前記第2部分との間の界面に電場が印加されているときに、前記第1部分又は前記第2部分から、前記界面において全反射されるような角度で前記界面に対して光が照射され、該光の照射によって前記界面において発現するポッケルス効果によって変調された、前記光に対する変調光を得る、
請求項2に記載の光変調素子。
【請求項4】
前記第1部分又は前記第2部分から、前記界面において全反射されるように前記界面に対して光が照射されることにより、照射された前記光に対して前記電場に応じた位相変化が引き起こされる、
請求項3に記載の光変調素子。
【請求項5】
前記第1部分に充填されている前記液体は、水、極性有機溶媒、又はイオン液体である、
請求項3又は請求項4に記載の光変調素子。
【請求項6】
前記第2部分は、ガラス、金属、半導体、ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ又はグラフェンを含む)、ダイアモンド電極、ポリマー、有機導電性材料、酸化物、窒化物、単原子層材料、遷移金属カルコゲナイド、トポロジカル絶縁体、フォトニック結晶、イオン伝導体、又はメタマテリアルによって形成されている、
請求項3~請求項5の何れか1項に記載の光変調素子。
【請求項7】
前記第2部分は、変調される光に対して透明な酸化物透明電極によって形成されている、
請求項3~請求項6の何れか1項に記載の光変調素子。
【請求項8】
前記電場印加手段によって印加される前記電場を制御することにより、前記変調光の強度、偏光、進行方向、及び発散角の少なくとも1つが制御される、
請求項3~請求項7の何れか1項に記載の光変調素子。
【請求項9】
前記電場印加手段による前記電場の印加によって、電気二重層又は空間電荷層が前記界面に形成される、
請求項3~請求項8の何れか1項に記載の光変調素子。
【請求項10】
前記界面に対して光を照射する光照射手段と、
前記光に対する変調光を受光する受光手段と、
を更に備える、請求項3~請求項9の何れか1項に記載の光変調素子。
【請求項11】
バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質に対して光が照射された際に、前記物質の界面において発現するポッケルス効果を利用することにより、照射された前記光を変調させ、前記光に対する変調光を得る、
光変調方法。
【請求項12】
前記界面において全反射されるような角度で前記界面に対して光が照射され、前記光に対する変調光を得る、
請求項11に記載の光変調方法。
【請求項13】
液体が充填されている第1部分と、固体、気体、又は前記第1部分に充填されている液体とは異なる液体によって形成されている第2部分と、の間の界面に電場が印加されているときに、前記第1部分又は前記第2部分から、前記界面において全反射されるような角度で前記界面に対して光を照射し、該光の照射によって前記界面において発現するポッケルス効果によって変調された、前記光に対する変調光を得る、
請求項12に記載の光変調方法。
【請求項14】
前記界面における金属反射によって、前記光に対する変調光を得る、
請求項1に記載の光変調素子。
【請求項15】
金属である第1部分と、
半導体である第2部分と、
電場を印加する電場印加手段と、を備え、
前記電場印加手段によって前記第1部分と前記第2部分との間の界面に電場が印加されているときに、前記第1部分又は前記第2部分から前記界面に対して光が照射され、該光の照射によって前記界面において発現するポッケルス効果によって変調された、前記光に対する変調光を得る、
請求項14に記載の光変調素子。
【請求項16】
前記第1部分と前記第2部分との間に配置された絶縁体を更に含む、
請求項15に記載の光変調素子。
【請求項17】
前記界面における金属反射によって、前記光に対する変調光を得る、
請求項11に記載の光変調方法。
【請求項18】
金属である第1部分と、半導体である第2部分との間の界面に電場が印加されているときに、前記第1部分又は前記第2部分から、前記界面に対して光を照射し、該光の照射によって前記界面において発現するポッケルス効果によって変調された、前記光に対する変調光を得る、
請求項17に記載の光変調方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明の技術は、光変調素子及び光変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈折率可変物質の一例であるLiNbO3に信号を与えることにより、入射光について、導光部材とLiNbO3との界面で全反射しない範囲内で屈折率変化を生じせしめ、光路を切り替える技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術で用いられているLiNbO3は、ポッケルス効果を示すことが知られている(特許文献1の段落[0040])。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2003-202537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を変調させる光変調素子として、上記特許文献1に開示されているLiNbO3が用いられる場合がある。例えば、光変調素子としてのLiNbO3に光が入射された場合には、LiNbO3において発現するポッケルス効果によって、入射された光が変調される。
【0005】
しかし、LiNbO3を光変調素子として利用するためには、センチメートルオーダーの大きさのLiNbO3が必要とされるため、大量のLiNbO3が必要となる。このため、少量のLiNbO3を光変調素子として用いたとしても、効率的に光を変調することができない、という課題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質の界面において発現するポッケルス効果を利用して、効率的に光を変調することができる、光変調素子及び光変調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一態様は、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質に対して光が照射された際に、前記物質の界面において発現するポッケルス効果を利用することにより、照射された前記光を変調させ、前記光に対する変調光を得る、光変調素子である。
【0008】
本開示の第二態様は、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質に対して光が照射された際に、前記物質の界面において発現するポッケルス効果を利用することにより、照射された前記光を変調させ、前記光に対する変調光を得る、光変調方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質の界面において発現するポッケルス効果を利用して、効率的に光を変調することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。
【図3】実施例の実験装置の概略構成を示す図である。
【図4】実施例の実験装置の詳細構成を示す図である。
【図5】実施例における光の入射角を説明するための説明図である。
【図6】実施例における従来法の概略構成を示す図である。
【図7】実施例における従来法の概略構成を示す図である。
【図8】実施例におけるITO層の複素屈折率のグラフと空間電荷層の複素屈折率グラフである。
【図9】実施例における、従来法の実験結果(交流電圧の周波数F=20Hz)と計算結果(交流電圧の周波数F=1Hz)とを示す図である。
【図10】実施例における、新規法の実験結果(交流電圧の周波数F=223Hz)と計算結果(交流電圧の周波数F=1Hz)とを示す図である。
【図11】実施例における、新規法の実験結果(交流電圧の周波数F=223Hz)と計算結果(交流電圧の周波数F=1Hz)とを示す図である。
【図12】実施例における、新規法の実験結果(交流電圧の周波数F=30Hz)を示す図である。
【図13】実施例における、新規法の計算結果(交流電圧の周波数F=1Hz)を示す図である。
【図14】ITO側におけるポッケルス効果を説明するための図である。
【図15】金属-半導体接合のエネルギーバンド図である。
【図16】第2実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。
【図17】実施例の実験装置の詳細構成を示す図である。
【図18】実施例の光変調素子の詳細構成を示す図である。
【図19】実験結果を示す図である。
【図20】金属-絶縁体-半導体接合のエネルギーバンド図である。
【図21】第3実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。

【0012】
(光変調素子)

【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。

【0014】
本実施形態に係る光変調素子10は、液体が充填されている第1部分の一例である液体層12と、固体によって形成されている第2部分の一例である酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)14(以下、単に「ITO層14」と称する。)と、ガラス基板16とを備える。液体層12には、液体の一例である水が充填されている。本実施形態のITO層14は、変調される光に対して透明な酸化物透明電極である。

【0015】
また、光変調素子10は、ITO層14とガラス基板16との間の界面に対して光L1を照射する光照射手段の一例である光照射装置18と、界面において反射された光L2を受光する受光手段の一例としての受光装置20と、電場を印加する電場印加手段の一例である電場印加装置24A及び電極24Bと、を備えている。図1に示されるように、透明な容器C内に水が充填されており、液体層12が形成されている。また、図1に示されるように、ITO層14と、ガラス基板16と、電極24Bとは、水が充填された容器C内に配置される。

【0016】
ポッケルス効果は、誘電体結晶において電場をかけると複屈折性を示す現象として知られている。ポッケルス効果が発現するための必要条件は、対象となる材料の巨視的な反転対称性が破れていることである。この条件を満たす結晶であるLiNbO3は、光通信の光変調素子として利用されている。

【0017】
しかし、LiNbO3を光変調素子として利用するためには、センチメートルオーダーの大きさのLiNbO3が必要とされる。LiNbO3は高価であるため、光変調素子にLiNbO3を利用する場合には、光変調素子を作成するためのコストが高くなる、という課題がある。

【0018】
この点、水と透明電極との間の界面における電気二重層においては、反転対称性が破れることにより、ポッケルス効果が発現することが知られている。そこで、本実施形態では、液体層12と透明電極の一例であるITO層14との間の界面における電気二重層において発現するポッケルス効果を利用することにより、光を変調させる。

【0019】
水と透明電極との間の電気二重層において発現するポッケルス効果は、LiNbO3よりも一桁大きいポッケルス係数を有することが知られているため、効率的な光変調が期待される。

【0020】
しかし、電気二重層内の水は、ナノメーターオーダーの大きさであるため、ポッケルス効果の発現による光の位相変化は小さい。そのため、水と透明電極との間の電気二重層において発現するポッケルス効果を単に利用するのみでは、効率的な光変調を実現することができない、という課題がある。

【0021】
そこで、本実施形態の光変調素子10は、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質の一例である水に対して光が照射された際に、水の界面において発現するポッケルス効果を利用する。具体的には、本実施形態の光変調素子10は、水の界面において発現するポッケルス効果を利用して光を変調させ、変調光を得る。

【0022】
本実施形態の光変調素子10は、図2に示されるように、液体層12とITO層14との間の界面に対して電場が印加されているときに、液体層12とITO層14との間の界面において光が全反射されるような角度で、当該界面に対して光L1を照射する。このとき、図2に示されるように、液体層12とITO層14との間の界面には、電場の印加によって電気二重層Eと空間電荷層Sとが形成される。電気二重層Eと空間電荷層Sとの存在により、ポッケルス効果が発現される。そして、光変調素子10は、界面において全反射した光L2を反対側の端面において受光する。これにより、入射された光の効率的な変調が実現される。

【0023】
以下、具体的に説明する。

【0024】
電場印加装置24A及び電極24Bは、液体層12、ITO層14、及びガラス基板16に対し、電場を印加する。これにより、液体層12とITO層14との間の界面に対して電場が印加される。このとき、図2に示されるように、液体層12とITO層14との間の界面には、電場の印加によって電気二重層Eと空間電荷層Sとが形成される。

【0025】
次に、光照射装置18は、電場印加装置24A及び電極24Bにより液体層12とITO層14との間の界面に対して電場が印加されているときに、図2に示されるように、ITO層14が存在する方向から、液体層12とITO層14との間の界面において光が全反射されるような角度で当該界面に対して光L1を照射する。

【0026】
このとき、光照射装置18による光の照射によって、液体層12とITO層14との間の界面においてポッケルス効果が発現する。これにより、入射された光が変調され、入射された光に対する変調光L2’が得られる。

【0027】
光照射装置18は、入射された光に対する変調光を受光する。ITO層14が存在する方向から、液体層12とITO層14との間の界面において全反射されるように当該界面に対して光が照射されることにより、照射された光に対して電場に比例した位相変化が引き起こされる。

【0028】
以上のように、本実施形態の光変調素子10は、液体層12とITO層14と電場印加装置24A及び電極24Bとを備え、電場印加装置24A及び電極24Bによって液体層12とITO層14との間の界面に電場が印加されているときに、ITO層14が存在する方向から、界面において全反射されるような角度で界面に対して光を照射し、該光の照射によって界面において発現するポッケルス効果によって変調された、光に対する変調光を得る。これにより、バルクの性質としてはポッケルス効果を示さない物質の界面において発現するポッケルス効果を利用して、効率的に光を変調することができる。具体的には、液体の界面において発現するポッケルス効果を利用して効率的に光を変調することができる。特に、水と透明電極との間の電気二重層において発現するポッケルス効果は、LiNbO3よりも一桁大きいポッケルス係数を有するため、効率的に光が変調される。

【0029】
本実施形態の光変調素子10は、ITO層14と液体層12との間の界面において光が全反射するように、ガラス基板16側からITO層14へ大きな入射角で光を入射させる。この場合、ITO層14内に入射された光は、液体層12である水との界面において全反射による100%の反射率によって反射される。更に、ITO層14内に入射された光は、ITO層14とガラス基板16との界面において90%近い反射率によって反射される。これにより、ITO層14内に入射された光は、ITO層14と液体層12との間の界面、及び、ITO層14とガラス基板16との界面を境界とする共振器内で往復することになる。更に、ITO層14がわずかな吸収を持っていることから、実効的に光路長が長くなる共振器モードで、反射スペクトルに鋭い吸収dip(スペクトルのグラフにおける凹み)ができる(例えば、後述する図12及び図13)。従って、後述するように、液体‐ITO界面層での屈折率変化(入射された光の位相変化)によるdip(共振器モード)のわずかな波長シフトでも、大きな相対反射率変化となり、入射された光が変調される。

【0030】
ここで、ITO層14と液体層12との間の界面で入射された光が全反射するとき、エバネッセント光が水の電気二重層E内に染み出す。これにより、入射された光に対し、水のポッケルス効果による屈折率変化(位相変化)が引き起こされる。具体的には、エバネッセント光が電気二重層E内に染み出すことにより、屈折率変化が起こる界面での境界条件を満たすような位相変化が起こる。

【0031】
<実施例>

【0032】
次に、上記第1実施形態の光変調素子に対応する実験結果を、実施例として説明する。

【0033】
[実験装置の構成]

【0034】
図3は、本実施例の実験装置の概略構成を示す図である。図3に示されるように、本実施例の実験装置は、NaCl水溶液が充填されている容器30と、容器30内に配置された透明導電性電極32と、電界印加装置としての交流電圧信号生成器34Aと、電極34Bと、交流電圧信号生成器34Aから発生される交流電圧を計測するオシロスコープ36と、ロックインアンプ38とを備えている。

【0035】
本実施例では、TCO基板(Transparent Conductive Oxide)及びITO基板(Indium Tin Oxide)のそれぞれを透明導電性電極32として用いた場合の実験を行った。

【0036】
本実施例のITO基板は、ガラス基板とITO薄膜とから構成されている。ガラス基板は、厚さ1.1[mm]のソーダ石灰ガラスである。ITO薄膜は、SnO2がドープされたIn2O3であり、厚さ330[nm]である。ITO基板の抵抗値は5Ω/sqである。なお、ITO薄膜の抵抗率及びキャリア密度は、それぞれ1.2×10-4[Ω・cm]、及び1.0×1021[cm-3]である。

【0037】
また、本実施例のTCO基板は、ガラス基板とITO薄膜とSnO2とから構成されている。ガラス基板は厚さ1.1[mm]であり、ITO薄膜は厚さ300[nm]であり、SnO2は厚さ100[nm]である。また、TCO基板の抵抗値は5Ω/sqである。

【0038】
なお、ITO基板とTCO基板とは、原材料からダイヤモンドカッターを用いて約15[mm]×50[mm]の矩形板を切り出し、その板の側面を最初に#500,1000,2000のサンドペーパーを用いて研磨した後に、最後に#10000,30000の砥粒で研磨した。

【0039】
本実施例の機器配置では、図4(A)に示されるように、透明導電性電極32として用いるITO/TCO電極板を、厚さ1.28[mm]のガラススライド(図示省略)をスペーサーとして、36×12×0.3[mm3]の電極34Bである白金Pt板と平行に対向させた。

【0040】
図4(B)に、図4(A)の機器配置の図をD方向から見た図を示す。図4(B)に示されるように、電気信号の発生器である交流電圧信号生成器34Aからの電圧の印加のために、透明導電性電極32であるITO/TCO電極板と電極34Bとを電気的に接続した。なお、図4(B)に示されるように、透明導電性電極32であるITO/TCO電極板の一端から約15[mm]の部分を、約23×20×21[mm3]の容器30に充填された0.1MのNaCl水溶液に浸漬させた。

【0041】
また、図3に示されるように、本実施例の実験装置の光学系は、光源50(Laser-Driven Light Source)と、レンズ52(SQF50)と、レンズ54(SQF50)と、ピンホール56(Pinhole)と、対物レンズ58(The objective lens x10)と、偏光子60(Polarizer)とを備える。また、図3に示されるように、本実施例の実験装置の光学系は、透明導電性電極32によって反射された光を受光するレンズ62と、ファイバー64と、ポリクロメータ66とを備えている。ポリクロメータ66によって受光された反射光は、ロックインアンプ38によって電気信号へ変換される。

【0042】
なお、本実施例の実験方法は、参考文献1に記載の方法に従った。

【0043】
参考文献1:Kanemaru, H. et al. "Giant Pockels effect of polar organic solvents and water in the electric double layer on a transparent electrode.", RSC Adv. 7, 45682-45690 (2017).

【0044】
具体的には、本実施例では、上記参考文献1に従い、電極34Bを接地させた後、透明導電性電極32に対し、1~5V(ピーク振幅)の交流電圧を周波数F=20~223Hzで印加した。また、実験を再現するための計算はすべて2V,1Hzの条件で行った。また、偏光子60を用いて、光源50であるXeランプから出力された平行プローブ光ビームをs偏光又はp偏光とした。そして、容器30内の0.1[M]のNaCl水溶液中の透明導電性電極32に、s偏光又はp偏光となった入射光を様々な入射角で入射させた。

【0045】
図5に、本実施例における入射角を説明するための説明図を示す。本実施例の入射角は、図5に示されるθにより定義される。図5に示されるように、光源50であるXeランプからの白色光ビームL1を、可能な限り透明導電性電極32の側面に入射させた。この際、白色光ビームL1が焦点で反射されるように、ビームをコリメートするのではなく集光させた。

【0046】
なお、図3に示されるように、反射した光は、ポリクロメータ66を通して分光させた。そして、分光させた光は、128個のアバランシェフォトダイオードを光検出器とするロックインアンプ38により、交流電圧信号生成器34Aによって印加される交流電圧の周波数Fに同期した強度スペクトル変化を検出した。なお、測定はすべて室温で行った。

【0047】
図6に、入射される光が垂直入射である場合を説明するための説明図を示す。また、図7に、入射される光が垂直入射であり、かつ電場が印加された場合を説明するための説明図を示す。図6及び図7に示される光の入射方法(以下、単に「従来法」と称する。)は、本実施例の方法(以下、単に「新規法」と称する。)と比較するために実施したものである。なお、図6及び図7に示される従来法は、説明を簡単にするため、図1及び図2に示す本実施形態に対応する新規法と同様の装置構成をとっており、入射される光L1の入射角のみが新規法と異なっている。

【0048】
[新規法と従来法についての計算]

【0049】
次に、新規法と従来法とについての計算結果を示す。本実施例では、多層誘電体構造の光透過率を計算するために、転送行列法を採用した。転送行列法では、電気二重層Eと空間電荷層Sとの両方が、空間的に一定の屈折率を有するものとして近似される。

【0050】
上記図1及び上記図6に示されるように、電場が印加されていない場合には、液体層12とITO層14とガラス基板16との3つの誘電体層が存在することになる。

【0051】
一方、上記図2及び上記図7に示されるように、電場が印加されると、液体層12、ITO層14、及びガラス基板16に加えて、電気二重層Eと空間電荷層Sとが界面に形成されて、5つの誘電体層が存在することになる。

【0052】
このため、各層において用いる屈折率は、液体層12の屈折率nw=1.33、ITO層14の複素屈折率nITO=n+ik(例えば、上記参考文献1の図3を参照)、ガラス基板16の屈折率nglass=1.52を用いた。また、ITO層14の厚さdITO=300[nm]、空間電荷層Sの厚さdSCL=30nm、電気二重層Eの厚さdEDL=2[nm]とした。

【0053】
ここで、コンパクト層と拡散層とを含む電気二重層Eの厚さdEDLは、0.1[M]のイオン強度に対するデバイ-ヒュッケル長さ(例えば、以下の参考文献2を参照)から推定した。

【0054】
参考文献2:E Tokunaga, Y Nosaka, M Hirabayashi, T Kobayashi, "Pockels effect of water in the electric double layer at the interface between water and transparent electrode." Surface science, 601(3), p.735-741 (2007).

【0055】
また、空間電荷層Sの厚さdSCLは、電圧を増加させるための信号の飽和挙動から推定した。また、空間電荷層Sの複素屈折率を表すΔnとΔkとについては、上記参考文献1の図6の関数形状を使用した。また、TCO基板は、300[nm]のITO薄膜の上に100[nm]のSnO2をコートしたものだが、400[nm]のITOと見なして計算をした。

【0056】
なお、図8に、ITO層14の複素屈折率n+ikに関するグラフと、空間電荷層Sの複素屈折率を表すΔnとΔkに関するグラフとを示す。

【0057】
[実験結果と計算結果]

【0058】
図9に、従来法の実験結果(A)と計算結果(B)を示す。図8に示されている従来法の実験結果(A)及び計算結果(B)は、透明導電性電極32が330[nm]のITO基板であり、かつ入射角θ=0°である場合の結果である。図中のグラフにおける縦軸(ΔT/T)は透過スペクトルの変化を表し、横軸は波長を表す。また、図9に示されている実験結果(A)は、2[V],20[Hz]の交流電圧を印加した場合を表し、計算結果(B)は、2[V],1[Hz]の交流電圧を印加した場合を表す。なお、計算結果(B)のTはs偏光の透過スペクトルを表し、Tはp偏光の透過スペクトルを表す。

【0059】
また、図10に、新規法の実験結果(A)と計算結果(B)を示す。図10に示されている新規法の実験結果(A)及び計算結果(B)は、透明導電性電極32が330[nm]のITO基板であり、かつ入射角θ=87°であり、かつs偏光の光を入射させた場合の結果である。図中のグラフにおける縦軸(ΔT/T)は透過スペクトルの変化を表し、縦軸(ΔR/R)は屈折率の変化を表し、横軸は波長を表す。また、図10に示されている実験結果(A)は、交流電圧を1~5[V]で変化させて印加した場合を表し、計算結果(B)は、2[V],1[Hz]の交流電圧を印加した場合を表す。なお、計算結果(B)のRはs偏光の反射スペクトルを表し、Rはp偏光の反射スペクトルを表す。

【0060】
図9に示される従来法では、可視光領域で透過スペクトルの変化ΔT/Tの大きさは1/1000のオーダーである。一方、図10に示されるように、新規法では、最大ΔT/T=0.2の大きさの信号が得られていることがわかる。このため、新規法は従来法に比べ、約200倍の信号強度増強に成功していることがわかる。この結果は、図10(B)に示される計算においても定量的に再現されている。

【0061】
次に、図11に、400[nm]のTCO基板を用いた場合の、新規法による実験結果(A)と計算結果(B)とを示す。図11に示されるように、この条件において、今回の最大信号である透過スペクトルの変化ΔT/T=0.5が得られた。

【0062】
図10と図11とを比較すると、TCO基板とITO基板との膜厚の違いによって、反射スペクトルにおける極大値又は極小値が現れる波長が異なっていることがわかる。このため、透明導電性電極32の膜厚を制御することにより、大きなΔT/Tを示す光の波長を調節することができることがわかる。

【0063】
図12に、入射される光を界面において全反射させた場合における、s偏光及びp偏光の透過スペクトルT(なお、計算上は全反射スペクトルである。)の実験結果と透過スペクトルの変化ΔT/Tの実験結果を示す。また、図13にs偏光及びp偏光の透過率変化スペクトルR(なお、計算上は反射率変化スペクトルである。)の計算結果と透過率変化スペクトルの変化ΔR/Rの計算結果を示す。

【0064】
入射された光は、ITO基板における空間電荷層Sを伝搬光として通過する。また、入射された光は、電気二重層Eをエバネッセント光として通過する。このため、厳密には、入射された光は、空間電荷層Sと電気二重層Eとの両方の層の屈折率変化の影響を受ける。そこで、本実施例の結果である図12及び図13では、実験系のインピーダンスに従って、印加される電圧の各周波数における、電気二重層E及び空間電荷層Sへの電圧分配を見積もった。

【0065】
実験系のインピーダンスに基づく場合、周波数が1[Hz]であり、電圧振幅が2[V]の電圧印加がなされた場合、1[V]のうちの0.85[V]が電気二重層Eへ分配され、0.15[V]が空間電荷層Sへ分配される。また同様に、実験系のインピーダンスに基づく場合、周波数が20[Hz]である電圧が印加された場合には、0.81[V]が電気二重層Eへ分配され、0.16[V]が空間電荷層Sへ分配される。また、周波数が225[Hz]である電圧が印加された場合には、0.33[V]が電気二重層Eへ分配され、0.07[V]が空間電荷層Sへ分配される。

【0066】
本実施例では、簡単のため、かつ実験配置によって同じ屈折率変化でも信号が変化することを確認することができるように、計算では全て2[V]が印加され、かつ電圧の周波数が1[Hz]のときの電気二重層E及び空間電荷層Sの厚さと屈折率変化とを仮定した。

【0067】
なお、電気二重層Eの厚さは2[nm]であり、空間電荷層Sの厚さは30[nm]であるとした。また、屈折率変化は、電気二重層E内でΔn=-0.1であり、空間電荷層S内でΔn=-0.0031であるとした。

【0068】
なお、図12に示す実験結果においては、空気中からの87°入射はガラス基板中で88°入射に相当し、入射光が平行光でなく集光光であり角度広がりがあることから、図13に示す計算結果では87°,88°,89°入射の平均をとって計算を行った。計算で仮定した屈折率変化は上述したものと同様である。図12の実験結果と図13の計算結果とを比較すると、スペクトル変化における極大値又は極小値が表れる波長がほぼ一致していることがわかる。

【0069】
<第2実施形態に係る光変調素子>

【0070】
次に、第2実施形態に係る光変調素子について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。第2実施形態の光変調素子は、液体層12に替えて金属を備える点が第1実施形態と異なる。

【0071】
第1実施形態の光変調素子10は、n型半導体である透明電極のITOの屈折率が水溶液より大きい点と全反射による共振器効果とを利用して、ITOと電解質水溶液との間の界面のポッケルス効果を増幅させる。

【0072】
このとき、電解質水溶液側の電気二重層だけではなく、ITO側においても電場に比例する屈折率変化が発生し、大きなポッケルス効果が生じる。

【0073】
図14に、ITO側におけるポッケルス効果を説明するための図を示す。図14には、n型半導体であるITOのエネルギーバンド図の変化の様子が示されている。なお、図中のEはエネルギーを表し、Ecは伝導帯を表し、Evは価電子帯を表す。図14の各エネルギーバンド図の右端は、ITOと電解質水溶液との間の界面部分に相当する。また、図14中の2つのエネルギーバンド図のうちの左側のエネルギーバンド図は、界面に電場が印加される前のエネルギーバンド図を表す。また、図14中の2つのエネルギーバンド図のうちの右側のエネルギーバンド図は、界面に電場が印加されているときのエネルギーバンド図を表す。

【0074】
図14に示されるように、界面に電場が印加されると、エネルギーバンド図中の空間電荷層においてエネルギーバンドが湾曲しBand Population effectが起こる。Band Population effectは、以下の参考文献に開示されている。

【0075】
参考文献:R. Glosser and B. O. Seraphin, 'Band-Population Effects in the Electroreflectance Spectrum of InSb', Phys. Rev. 187, 1021-Published 15 November 1969

【0076】
このBand Population effectが生じることにより、可視域の光の屈折率が変化する。これにより、空間電荷層において大きなポッケルス効果が生じる。

【0077】
このBand Populationの効果を起こすには、n型半導体であるITOと接する界面は電解質水溶液ではなく金属であってもよい。その場合には、界面は金属-半導体接合となる。

【0078】
図15に、金属-半導体接合のエネルギーバンド図を示す。図中のEはフェルミ準位を表す。また、図中のMは金属部分を表し、Sは半導体部分を表す。図15は、半導体がn型で、金属の仕事関数が半導体の仕事関数の場合よりも大きい場合であり、金属と半導体との間の接触はショットキーコンタクトとなる。したがって、特に半導体側がプラス、金属側がマイナスとなるような極性の電場が印加されたときは、電流を流さずに界面に照射された光を変調できる。この光変調は、金属反射を利用するものである。

【0079】
そのため、第2実施形態の光変調素子は、金属と半導体とを備え、金属と半導体との間の界面に電場が印加されているときに当該界面に対して光を照射し、照射された光を変調する。

【0080】
図16は、第2実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。

【0081】
第2実施形態に係る光変調素子210は、第1部分の一例である金属212と、第2部分の一例であるITO層14とを備える。ITO層14は、変調される光に対して透明な酸化物透明電極であり半導体である。

【0082】
第2実施形態に係る光変調素子210は、図16に示されるように、金属212とITO層14との間の界面に対して電場が印加されているときに、金属212とITO層14との間の界面に対して光L1を照射する。

【0083】
具体的には、図16に示されるように、金属212とITO層14との間の界面には、電場印加装置24Aによって電場が印加される。そして、光変調素子210は、界面において全反射した光L2を反対側の端面において受光する。これにより、入射された光の効率的な変調が実現される。

【0084】
なお、第2実施形態に係る光変調素子210の他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。

【0085】
以上のように、第2実施形態の光変調素子210は、金属と半導体とを備え、電場印加装置24Aによって金属と半導体との間の界面に電場が印加されているときに、界面に対して光が照射され、該光の照射によって界面において発現するポッケルス効果によって変調される。これにより、入力光に対する変調光を得る。このため、ポッケルス効果を利用して効率的に光を変調することができる。また、固体と固体との間において発現するポッケルス効果を利用して光変調を行うことができるため、広範囲なものに適用可能である。

【0086】
<実施例>

【0087】
次に、上記第2実施形態の光変調素子に対応する実験結果を、実施例として説明する。

【0088】
[実験装置の構成]

【0089】
図17は、本実施例の実験装置の概略構成を示す図である。図17に示されるように、本実施例の実験装置の光学系は、光源であるキセノンランプ70(Xe lamp)と、レンズ72(SQF50)と、レンズ74(SQF50)と、ピンホール76(Pinhole)と、対物レンズ78(The objective lens x10)と、偏光子80(Polarizer)とを備える。また、図17に示されるように、本実施例の実験装置の光学系は、実験対象の光変調素子90によって反射された光を受光するレンズ92と、ファイバー94とを備えている。ファイバー94から出力される反射光は、マルチチャネルロックインアンプ96によって電気信号へ変換される。また、本実施例の実験装置は、電界印加装置としての交流電圧信号生成器98を備える。交流電圧信号生成器98は、実験対象の光変調素子90に対して電圧を印加する。また、交流電圧信号生成器98は、マルチチャネルロックインアンプ96に対して交流電圧の周波数Fを供給する。

【0090】
図17に示されるように、実験対象の光変調素子90の近傍には電極91が配置されている。この電極91と光変調素子90との間には、交流電圧信号生成器98によって電圧が印加される。

【0091】
図18に、実験対象の光変調素子90の構成を示す。図18に示されるように、光変調素子90は、半導体の一例であるITO90A(ガラス基板上)と、金属の一例である銀部分90Bとによって構成されている。

【0092】
なお、銀部分90Bは、ITO90Aに対して銀を蒸着させることにより形成した。銀部分90Bの厚さは100[nm]程度である。蒸着条件は以下の通りである。

【0093】
蒸着条件:気圧1.8×10-2[Pa],電流1.5A,蒸着時間1分間

【0094】
このようにして生成された光変調素子90に対して、図17に示されるように、21[Hz]、1[V]の電圧を印加し、ITO90A側から白色光を入射させた。なお、入射角を75°である。

【0095】
図19に、実験結果を示す。図19のグラフの縦軸(ΔR/R)は屈折率変化による相対反射率変化を表し、横軸は波長を表す。図19に示されるように、屈折率の変化が発生しており光変調素子90に入射された光が変調されていることがわかる。

【0096】
なお、光変調素子90における銀部分90BとITO90Aとの間の接触形態は、オーミックコンタクトであるため、反射率変化ΔR/Rの信号は比較的小さいが、金属及び半導体の組み合わせを最適化することにより、より強い変調が可能となることが予想される。更に、後述する第3実施形態のように、金属と半導体との間に絶縁体を配置することにより、より強い光変調が得られる可能性がある。

【0097】
<第3実施形態に係る光変調素子>

【0098】
次に、第3実施形態に係る光変調素子について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。第3実施形態の光変調素子は、金属と半導体との間に絶縁体を備える点が第2実施形態と異なる。

【0099】
図20に、金属-絶縁体-半導体接合のエネルギーバンド図を示す。図中のMは金属部分を表し、Sは半導体部分を表し、Iは絶縁体部分を表す。この場合、界面に電流が流れたとしてもトンネル電流であり微小である。そのため、界面に大きな電場を印加することも可能であり、より効果的に光変調を行うことができる。図20に示したのは、半導体がn型であり、金属の仕事関数が半導体の仕事関数よりも大きい場合である。

【0100】
そのため、第3実施形態の光変調素子は、金属と半導体との間に絶縁体を更に備え、金属と半導体との間の界面に電場が印加されているときに当該界面に対して光を照射し、照射された光を変調する。なお、絶縁体の一例としては、例えば、酸化物が用いられる。

【0101】
図21は、第3実施形態に係る光変調素子の概略構成を示す図である。

【0102】
第3実施形態に係る光変調素子310は、第1部分の一例である金属212と、第2部分の一例であるITO層14と、金属212とITO層14との間に配置された絶縁体311とを備える。

【0103】
なお、第3実施形態に係る光変調素子310の他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。

【0104】
以上のように、第3実施形態の光変調素子310は、金属と半導体との間に配置された絶縁体を更に含む。これにより、界面により大きな電場を印加することも可能であるため、より効果的に光変調を行うことができる。

【0105】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。

【0106】
例えば、上記実施形態では、第2部分が固体(具体的には、ITO基板)によって形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2部分は、第1部分の液体と異なる液体であってもよい。本実施形態の光変調素子は、液体の界面におけるポッケルス効果を利用するものであるため、異なる種類の液体の界面を利用して、光を変調するようにしてもよい。

【0107】
また、上記実施形態では、第2部分がITO基板によって形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2部分は、ガラス、金属、半導体、ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ又はグラフェンを含む)、ダイアモンド電極、ポリマー、有機導電性材料、酸化物、窒化物、単原子層材料、遷移金属カルコゲナイド、トポロジカル絶縁体、フォトニック結晶、イオン伝導体、又はメタマテリアルによって形成されていてもよい。

【0108】
また、上記実施形態では、液体が水である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、極性有機溶媒又はイオン液体であってもよい。

【0109】
また、上記実施形態では、印加される電場を制御することにより、入射される光の位相変化を起こさせ変調光を得る場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、印加される電場を制御することにより、変調光の強度、偏光、進行方向、及び発散角の少なくとも1つを制御するようにしてもよい。

【0110】
また、上記実施形態では、ITO層14の方向から光を入射させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ITO層14とは反対側の液体層12の方向から光を入射させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 光変調素子
12 液体層
14 ITO層
16 ガラス基板
18 光照射装置
20 受光装置
24A 電場印加装置
24B 電極
C 容器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20