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明細書 :積層造形物の解析方法及び積層造形物の解析装置、並びに積層造形物の製造方法及び積層造形物の製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年8月27日(2020.8.27)
発明の名称または考案の名称 積層造形物の解析方法及び積層造形物の解析装置、並びに積層造形物の製造方法及び積層造形物の製造装置
国際特許分類 B22F   3/16        (2006.01)
B22F   3/105       (2006.01)
B33Y  50/00        (2015.01)
B33Y  30/00        (2015.01)
B33Y  10/00        (2015.01)
B29C  64/386       (2017.01)
B29C  64/295       (2017.01)
B29C  64/153       (2017.01)
FI B22F 3/16
B22F 3/105
B33Y 50/00
B33Y 30/00
B33Y 10/00
B29C 64/386
B29C 64/295
B29C 64/153
国際予備審査の請求
全頁数 29
出願番号 特願2019-541019 (P2019-541019)
国際出願番号 PCT/JP2018/033185
国際公開番号 WO2019/049981
国際出願日 平成30年9月7日(2018.9.7)
国際公開日 平成31年3月14日(2019.3.14)
優先権出願番号 2017173123
優先日 平成29年9月8日(2017.9.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】柴原 正和
【氏名】生島 一樹
【氏名】河原 充
【氏名】竹内 梨乃
【氏名】橋詰 光
出願人 【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
個別代理人の代理人 【識別番号】110001195、【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4F213
4K018
Fターム 4F213AC04
4F213AM23
4F213WA25
4F213WB01
4F213WK03
4F213WL03
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4F213WL22
4F213WL67
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4F213WL87
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
要約 変位・応力算出部(220)は、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析を実行することによって残留応力及び変形を算出するように構成される。温度増分の大きさは、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい値に設定される。加熱は、互いに隣接しない複数のブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って複数のブロック毎に行なわれる。各ブロックに対する加熱は、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する面熱源により行なわれる。
特許請求の範囲 【請求項1】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより解析するための解析方法であって、
有限要素法(FEM)を用いた前記積層造形物の熱弾塑性解析を実行するためのデータを入力するステップと、
前記積層造形物の造形に伴ない前記積層造形物に生じる温度分布の時系列データに従って前記熱弾塑性解析を実行することによって、前記積層造形物に生じる残留応力及び変形を算出するステップとを含み、
前記残留応力及び変形を算出するステップにおいて、前記時系列データに従う温度増分が与えられた場合に、動的陽解法FEMを用いて所定の静的平衡条件に達するまで前記積層造形物の変位及び応力の計算が行なわれ、前記変位が前記静的平衡条件に達すると、前記温度増分が再度与えられて前記変位及び応力の計算が再度行なわれ、
前記温度増分の大きさは、静的陰解法FEMを用いた前記積層造形物の熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい値に設定され、
前記積層造形物に対する加熱は、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間面熱源により行なわれる、積層造形物の解析方法。
【請求項2】
前記積層造形物に対する加熱は、複数のブロックに分割された前記積層造形物の最上位層に対してブロック毎に行なわれ、
前記複数のブロックの各々に対する加熱は、前記瞬間面熱源により行なわれる、請求項1に記載の積層造形物の解析方法。
【請求項3】
前記積層造形物に対する加熱は、互いに隣接しない少なくとも2つのブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って行なわれる、請求項2に記載の積層造形物の解析方法。
【請求項4】
前記瞬間面熱源の入熱量は、移動熱源により加熱が行なわれる場合と前記積層造形物の収縮量が同等になるように、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層造形物の解析方法。
【請求項5】
前記材料は金属であり、
前記温度増分の大きさは、少なくとも100度以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層造形物の解析方法。
【請求項6】
前記温度増分の大きさは、前記積層造形物を構成する金属の力学的溶融温度に基づいて決定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層造形物の解析方法。
【請求項7】
溶融した材料を表層で凝固させることにより生成される積層造形物に生じる残留応力及び変形を解析する解析装置であって、
有限要素法(FEM)を用いた前記積層造形物の熱弾塑性解析を実行するためのデータを入力するように構成された入力部と、
前記積層造形物の造形に伴ない前記積層造形物に生じる温度分布の時系列データに従って前記熱弾塑性解析を実行することによって、前記積層造形物に生じる残留応力及び変形を算出するように構成された算出部とを備え、
前記算出部は、前記時系列データに従う温度増分が与えられた場合に、動的陽解法FEMを用いて所定の静的平衡条件に達するまで前記積層造形物の変位及び応力の計算を行ない、前記変位が前記静的平衡条件に達すると、前記温度増分が再度与えられて前記変位及び応力の計算を再度行ない、
前記温度増分の大きさは、静的陰解法FEMを用いた前記積層造形物の熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい値に設定され、
前記積層造形物に対する加熱は、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間面熱源により行なわれる、積層造形物の解析装置。
【請求項8】
前記積層造形物に対する加熱は、複数のブロックに分割された前記積層造形物の最上位層に対してブロック毎に行なわれ、
前記複数のブロックの各々に対する加熱は、前記瞬間面熱源により行なわれる、請求項7に記載の積層造形物の解析装置。
【請求項9】
前記積層造形物に対する加熱は、互いに隣接しない少なくとも2つのブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って行なわれる、請求項8に記載の積層造形物の解析装置。
【請求項10】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造方法であって、
請求項1に記載の解析方法を用いた解析結果に基づいて、前記積層造形物の最上位層を加熱する際の加熱パターンを決定するステップと、
前記加熱パターンに従って、前記積層造形物に対する加熱を行なうステップとを含む、積層造形物の製造方法。
【請求項11】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物に対する加熱は、複数のブロックに分割された前記積層造形物の最上位層に対してブロック毎に行なわれ、
最周縁部のブロックを加熱するステップと、
前記最周縁部のブロックの加熱後に、前記最周縁部のブロックの内周側のブロックを加熱するステップとを含む、積層造形物の製造方法。
【請求項12】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造装置であって、
前記積層造形物の最上位層を加熱するように構成された加熱装置と、
前記加熱装置を制御するように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、
請求項1に記載の解析方法を用いた解析結果に基づいて、前記積層造形物の最上位層を加熱する際の加熱パターンを決定し、
前記加熱パターンに従って前記積層造形物に対する加熱を行なうように前記加熱装置を制御する、積層造形物の製造装置。
【請求項13】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造装置であって、
前記積層造形物の最上位層を加熱するように構成された加熱装置と、
複数のブロックに分割された前記最上位層に対して、前記加熱装置を制御することによってブロック毎に加熱するように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加熱装置を制御することによって、最周縁部のブロックの加熱後に、前記最周縁部のブロックの内周側のブロックを加熱するように構成される、積層造形物の製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形物の解析方法及び積層造形物の解析装置、並びに積層造形物の製造方法及び積層造形物の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物が近年注目されている。たとえば、金属粉末にレーザーや電子ビーム等を照射して金属粉末を溶融・凝固させることにより所望の形態の物体を造形する、所謂金属3Dプリンタが知られている。特許第2620353号には、金属等の粉末層の所定箇所にレーザービームを照射して該当箇所の粉末を焼結させることで焼結層を形成し、そのような焼結層を順次形成していくことによって三次元形状の積層造形物を生成する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
その他にも、樹脂粉末を用いる積層造形や、溶融した樹脂やアーク放電により溶融させた金属を堆積させていく積層造形等も知られている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第2620353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば金属3Dプリンタを用いた積層造形では、金属粉末にレーザーや電子ビーム等を照射して金属粉末を溶融・凝固させながら物体を生成するので、生成された積層造形物に極めて大きな残留応力及び変形が発生し得る。このような残留応力及び変形により、生成された積層造形物の寸法精度の悪化や割れ等の問題が生じる。
【0006】
そのため、積層造形の前に、積層造形物に生じる残留応力及び変形を予め検討することが必要となる場合がある。しかしながら、実物を用いた実験による検討は、残留応力の計測が困難であったり、コスト面の問題が生じたりし得る。
【0007】
そこで、積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより事前に解析可能とすることが望まれている。積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより解析して予測することができれば、積層造形物に生じる応力や変形等の諸因子の影響の検討が容易になり、また、製品の試作回数を削減してコストを低減することが可能となる。
【0008】
このような残留応力及び変形のコンピュータによる解析には、有限要素法(FEM(Finite Element Method))を用いた熱弾塑性解析が有用である。しかしながら、このような熱弾塑性解析において一般的に用いられている静的陰解法FEMでは、各計算ステップにおいて系全体の剛性方程式(多元連立一次方程式)を逐次解く必要があるので、特に大規模な造形解析に静的陰解法FEMを適用することは、計算時間の観点から現実的には難しい。
【0009】
それゆえに、本開示の目的は、積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより解析するための解析方法及び解析装置において、計算時間を大幅に削減することである。
【0010】
また、本開示の別の目的は、積層造形物に生じる残留応力及び変形を抑制可能な積層造形物の製造方法及び製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の積層造形物の解析方法は、溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより解析するための解析方法であって、FEMを用いた積層造形物の熱弾塑性解析を実行するためのデータを入力するステップと、積層造形物の造形に伴ない積層造形物に生じる温度分布の時系列データに従って熱弾塑性解析を実行することによって、積層造形物に生じる残留応力及び変形を算出するステップとを含む。上記の残留応力及び変形を算出するステップにおいて、時系列データに従う温度増分が与えられた場合に、動的陽解法FEMを用いて所定の静的平衡条件に達するまで積層造形物の変位及び応力の計算が行なわれ、変位が静的平衡条件に達すると、温度増分が再度与えられて変位及び応力の計算が再度行なわれる。ここで、温度増分の大きさは、静的陰解法FEMを用いた積層造形物の熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい値に設定される。積層造形物に対する加熱は、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間面熱源により行なわれる。
【0012】
また、本開示の積層造形物の解析装置は、溶融した材料を表層で凝固させることにより生成される積層造形物に生じる残留応力及び変形を解析する解析装置であって、入力部と、算出部とを備える。入力部は、FEMを用いた積層造形物の熱弾塑性解析を実行するためのデータを入力するように構成される。算出部は、積層造形物の造形に伴ない積層造形物に生じる温度分布の時系列データに従って熱弾塑性解析を実行することによって、積層造形物に生じる残留応力及び変形を算出するように構成される。算出部は、時系列データに従う温度増分が与えられた場合に、動的陽解法FEMを用いて所定の静的平衡条件に達するまで積層造形物の変位及び応力の計算を行ない、変位が静的平衡条件に達すると、温度増分が再度与えられて変位及び応力の計算を再度行なう。ここで、温度増分の大きさは、静的陰解法FEMを用いた積層造形物の熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい値に設定される。積層造形物に対する加熱は、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間面熱源により行なわれる。
【0013】
上記の積層造形物の解析方法及び解析装置においては、時系列データに従う温度増分が与えられた場合に、動的陽解法FEMを用いて所定の静的平衡条件に達するまで積層造形物の変位及び応力の計算が行なわれ、変位が静的平衡条件に達すると、温度増分が再度与えられて変位及び応力の計算が再度行なわれる(理想化陽解法FEM)。このような理想化陽解法FEMによれば、大きな温度増分を与えても解が収束するので、この解析方法及び解析装置においては、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい温度増分が与えられる(大温度増分)。これにより、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。また、この解析方法及び解析装置においては、積層造形物に対する加熱は、入熱量を調整したうえで瞬間面熱源により行なわれるので、この点でも計算時間を短縮することができる(瞬間熱源モデル)。したがって、本開示の積層造形物の解析方法及び解析装置によれば、計算時間を大幅に削減することができる。
【0014】
好ましくは、積層造形物に対する加熱は、複数のブロックに分割された積層造形物の最上位層に対してブロック毎に行なわれる。各ブロックに対する加熱は、上記の瞬間面熱源により行なわれる。
【0015】
さらに好ましくは、積層造形物に対する加熱は、互いに隣接しない少なくとも2つのブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って行なわれる。
【0016】
これにより、複数のブロック毎に加熱が行なわれるので、計算時間をさらに短縮することができる(同時加熱パターン)。
【0017】
好ましくは、瞬間面熱源の入熱量は、移動熱源により加熱が行なわれる場合と積層造形物の収縮量が同等になるように、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整される。
【0018】
好ましくは、材料は金属であり、温度増分の大きさは、少なくとも100度以上である。
【0019】
好ましくは、温度増分の大きさは、積層造形物を構成する金属の力学的溶融温度に基づいて決定される。
【0020】
また、本開示の積層造形物の製造方法は、溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造方法であって、上述の解析方法を用いた解析結果に基づいて、積層造形物の最上位層を加熱する際の加熱パターンを決定するステップと、その加熱パターンに従って、積層造形物に対する加熱を行なうステップとを含む。
【0021】
また、本開示の積層造形物の製造装置は、溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造装置であって、積層造形物の最上位層を加熱するように構成された加熱装置と、加熱装置を制御するように構成された制御装置とを備える。制御装置は、上述の解析方法を用いた解析結果に基づいて、積層造形物の最上位層を加熱する際の加熱パターンを決定し、その加熱パターンに従って積層造形物に対する加熱を行なうように加熱装置を制御する。
【0022】
上記の製造方法及び製造装置によれば、上述の解析方法を用いた解析結果により、残留応力及び変形が抑制される加熱パターンを決定し、その加熱パターンに従って積層造形物を製造することができる。
【0023】
また、さらに、本開示の積層造形物の製造方法は、溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造方法である。積層造形物に対する加熱は、複数のブロックに分割された積層造形物の最上位層に対してブロック毎に行なわれる。そして、製造方法は、最周縁部のブロックを加熱するステップと、最周縁部のブロックの加熱後に、最周縁部のブロックの内周側のブロックを加熱するステップとを含む。
【0024】
また、本開示の積層造形物の製造装置は、溶融した材料を凝固させつつ堆積していくことにより生成される積層造形物の製造装置であって、積層造形物の最上位層を加熱するように構成された加熱装置と、複数のブロックに分割された最上位層に対して、加熱装置を制御することによってブロック毎に加熱するように構成された制御装置とを備える。制御装置は、加熱装置を制御することによって、最周縁部のブロックの加熱後に、最周縁部のブロックの内周側のブロックを加熱するように構成される。
【0025】
上記の製造方法及び製造装置によれば、積層造形物の最周縁部に生じる残留応力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の積層造形物の解析方法及び解析装置によれば、計算時間を大幅に削減することができる。
【0027】
また、本開示の積層造形物の製造方法及び製造装置によれば、積層造形物に生じる残留応力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本開示の実施の形態に従う解析方法によって解析される積層造形物の一例である金属積層造形物の解析モデルを示した図である。
【図2】解析モデルの要素を示した図である。
【図3】金属3Dプリンタによる金属積層造形物の生成方法の一例を示した図である。
【図4】レーザー溶融法により表層の造形が行なわれる様子を示した図である。
【図5】理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析を概念的に説明する図である。
【図6】図1に示す解析モデルの平面図である。
【図7】比較例として、移動熱源により各ブロックの加熱が行なわれる様子を示した図である。
【図8】瞬間面熱源により各ブロックの加熱が行なわれる様子を示した図である。
【図9】本実施の形態に従う解析装置のハードウェア構成の要部を示すブロック図である。
【図10】図9に示す解析装置の構成を機能的に示す機能ブロック図である。
【図11】図9に示す解析装置により実行されるFEM熱弾塑性解析の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】温度増分を変化させたときの解析対象の収縮量を示した図である。
【図13】瞬間熱源モデルを用いた場合の解析対象の収縮量を示した図である。
【図14】変形例における解析装置により実行されるFEM熱弾塑性解析の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図15】積層造形物の製造装置の一例として示される金属3Dプリンタの構成を概略的に示す図である。
【図16】複数のブロックの加熱順序の一例を説明する第1の図である。
【図17】複数のブロックの加熱順序の一例を説明する第2の図である。
【図18】積層造形物に生じる残留応力の解析結果の一例を示す第1の図である。
【図19】積層造形物に生じる残留応力の解析結果の一例を示す第2の図である。
【図20】コントローラにより実行される処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

【0030】
図1は、本開示の実施の形態に従う解析方法によって解析される積層造形物の一例である金属積層造形物の解析モデルを示した図である。なお、この図1では、矩形構造の簡易的なモデルが一例として示されるが、本解析方法によって解析可能なモデルは、図1に示される構造のモデルに限定されるものではない。

【0031】
図1を参照して、この解析モデル10は、図示しない金属3Dプリンタによってベースプレート12上に積層造形される金属積層造形物(解析対象)をモデル化したものである。この例では、解析モデル10は、30mm×30mm×1.2mmの寸法を有するものとしている。解析モデル10を構成する各要素の寸法は、積層造形時に照射されるレーザー(後述)のサイズ等から、図2に示されるように0.1mm×0.1mm×0.03mmとしている。したがって、この解析モデル10の要素数は360万個であり、積層数は40層である。

【0032】
図3は、金属3Dプリンタによる金属積層造形物の生成方法の一例を示した図である。なお、この図3では、材料の金属粉末にレーザーを照射することによって金属粉末を溶融させるレーザー溶融法が示されるが、本開示の解析方法には、金属粉末に電子ビームを照射することによって金属粉末を溶融させる電子ビーム溶融法等も適用可能である。

【0033】
また、この図3では、材料の金属粉末を敷き詰めたパウダーベッドにレーザーを選択的に照射することで積層造形を行なうSLM(Selective Laser Melting)法が示されるが、本開示の解析方法には、金属粉末とレーザーとを同時に照射して積層造形を行なうLMD(Laser Metal Deposition)法等も適用可能である。

【0034】
図3を参照して、後述の工程IVにおいて生成された中間造形物24及び金属粉末22を載置するエレベータ20が、1層の厚さ分だけ降下する(工程I)。次いで、中間造形物24及び金属粉末22上に次層分の金属粉末26が供給される(工程II)。続いて、ローラーブレード28によって金属粉末26が均される(工程III)。そして、造形領域に予熱が与えられた後、トーチ30から出力されるレーザー32を熱源として金属粉末26を選択的に溶融・凝固(焼結)させることにより、表層の造形が行なわれる(工程IV)。このような一連の工程I~IVを繰り返し行なうことによって積層造形が行なわれ、所望の金属積層造形物が生成される。

【0035】
図4は、レーザー溶融法により表層の造形が行なわれる様子を示した図である。図4を参照して、凝固した中間造形物24上に新たに供給された金属粉末26に、トーチ30を移動させながらレーザー32が照射される。レーザー32が照射された金属粉末26は、溶融池34を形成しつつ下層の中間造形物24の表面を溶融させ、中間造形物24の表層に形成される熱影響部38と接合した新たな層36を形成する。

【0036】
なお、特に図示しないが、レーザー32に代えて電子ビームが照射される電子ビーム溶融法による造形も同様に行なわれる。

【0037】
再び図1を参照して、この実施の形態では、解析モデル10に対して、FEMを用いた熱弾塑性解析が行なわれる。これにより、解析モデル10による解析対象の金属積層造形物に生じる残留応力及び変形をコンピュータにより予測することができるので、積層造形物に生じる応力や変形等の諸因子の影響の検討が容易になり、また、製品の試作回数を削減してコストを低減することが可能となる。

【0038】
しかしながら、このような熱弾塑性解析において一般的に用いられている静的陰解法FEMでは、各計算ステップにおいて系全体の剛性方程式(多元連立一次方程式)を逐次解く必要があるので、図1に示されるような大規模な金属積層造形物の造形解析に静的陰解法FEMを適用することは、計算時間の観点から現実的には難しい。

【0039】
そこで、本実施の形態に従う解析方法では、静的陰解法FEMのように各計算ステップにおいて連立方程式を解く必要がなく、大規模な構造物の残留応力及び変形を解析可能な「理想化陽解法FEM」を用いて、解析モデル10に対する熱弾塑性解析が行なわれる。そして、この理想化陽解法FEMによれば、温度増分(計算時の温度ステップであり、冷却過程では負値をとる。)を大きくしても解が収束するので、本実施の形態に従う解析方法では、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさ(一般的には15度や30度の温度増分とされる。)よりも大きい温度増分の大きさ(たとえば100度以上)を与えることができる(大温度増分)。これにより、解析に要する計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。

【0040】
また、本実施の形態に従う解析方法では、解析モデル10に対する加熱のモデルは、レーザー32を所定の速度で移動させながら加熱する移動熱源により加熱する場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間面熱源により加熱を行なうものとする(瞬間熱源モデル)。

【0041】
さらに、解析モデル10に対する加熱のモデルは、互いに隣接しない少なくとも2つのブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って複数のブロック毎にランダムな順序で加熱を行なうものとしてもよい(同時加熱パターン)。なお、「同時」とは、実質的に同時であればよく、必ずしも完全に同時でなくてもよい。また、加熱の順序は、必ずしもランダムである必要はなく、規則的なものであってもよい。本実施の形態に従う解析方法では、このような同時加熱パターンに従って加熱が行なわれ、各ブロックにおいて瞬間熱源モデルを用いた瞬間面熱源により加熱が行なわれる。これにより、解析に要する計算時間を大幅に短縮することができる。

【0042】
このように、本実施の形態に従う解析方法によれば、上記のような「大温度増分」及び「瞬間熱源モデル」を採用し、さらに「同時加熱パターン」も採用することにより、解析に要する計算時間を大幅に削減することができる。

【0043】
以下では、まず、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析について簡単に説明を行なうとともに、本実施の形態の特徴である「大温度増分」、「同時加熱パターン」、及び「瞬間熱源モデル」について詳しく説明する。

【0044】
<理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析>
図5は、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析を概念的に説明する図である。図5を参照して、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析は、以下のように進められる。

【0045】
理想化陽解法FEMで用いられる平衡方程式は、時刻tにおける節点変位ベクトルを{u}tとすると、次式(1)によって示される。

【0046】
【数1】
JP2019049981A1_000003t.gif

【0047】
ここで、[M]は質量マトリックス、[C]は減衰マトリックス、[K]は剛性マトリックス、{F}tは荷重ベクトルを示す。なお、質量マトリックス[M]及び減衰マトリックス[C]は、節点集中型の対角マトリックスに調整されたものである。

【0048】
熱弾塑性解析では、解析対象(本実施の形態では解析モデル10)の温度分布の時系列データが入力データとして与えられるところ、理想化陽解法FEMでは、後述の熱伝導解析によって温度分布の時系列データが算出され、この温度分布の時系列データに基づく温度増分により生じる荷重が式(1)の荷重ベクトルとして与えられる(図5の荷重ステップ(1))。

【0049】
そして、この荷重ステップ(温度ステップ)について、上記の式(1)を解くことによって、この荷重ステップ(温度ステップ)における変位が求められる(曲線k1)。具体的には、動的陽解法FEMを用いて、仮想的な時間ステップ毎に式(1)を解くことで変位が求められ、変位が静的平衡状態に達するまで、すなわち、式(1)において慣性項及び減衰項の影響が無視できる程度に小さくなり、静的陰解法FEMにおいて得られる解と同等の値に変位が収束するまで、変位の計算が繰り返し行なわれる(図5の(2))。

【0050】
変位が静的平衡状態に達すると(図5の(3))、荷重ステップ(温度ステップ)が進められる(図5の(4))。そして、この荷重ステップ(温度ステップ)における変位が求められ(曲線k2)、動的陽解法FEMを用いて、変位が静的平衡状態に達するまで繰り返し計算が行なわれる(図5の(5))。

【0051】
この理想化陽解法FEMによれば、仮想的な時間ステップに分割して解析を進めることから計算ステップ数自体は増加するけれども、静的陰解法FEMのようにステップ毎に連立方程式を解く必要がない。したがって、各計算ステップにおける計算量は、静的陰解法FEMに比べてはるかに少ない。また、各荷重ステップ(温度ステップ)において静的平衡条件を満たすように収束計算が行なわれるので、単に動的陽解法FEMを用いた手法よりも解析精度は良い。

【0052】
<大温度増分の説明>
上記の理想化陽解法FEMによれば、温度ステップ(荷重ステップ)を大きくしても解が収束する。そこで、本実施の形態に従う解析方法では、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析において用いられる温度ステップよりも大きい温度ステップが与えられる(大温度増分)。一般的には、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析では、温度ステップを大きくすると解が収束せず、15度や30度程度の小さい温度ステップ(温度増分)に抑える必要があるところ、本実施の形態に従う解析方法では、100度以上の温度ステップ(温度増分)に対応する荷重ステップが与えられる。これにより、解析に要する計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。

【0053】
<同時加熱パターン及び瞬間熱源モデルの説明>
図6は、図1に示した解析モデル10の平面図である。図6を参照して、この実施の形態では、解析モデル10の最上位層(上面)が複数のブロックに分割され、互いに隣接しない4つのブロックを同時に加熱することで、計算時間の短縮が図られる。

【0054】
具体的には、この例では、解析モデル10の最上位層(レーザーによる加熱面)が4つの領域A1-A4に分割され、各領域A1-A4が9つのブロックB1-B9にさらに分割される。そして、まず、各領域A1-A4のブロックB1が同時に加熱されるものとする。次いで、各領域A1-A4のブロックB2が同時に加熱されるものとし、その後、各領域A1-A4のブロックBiが同時に順次加熱されるものとする。すなわち、この例では、4つのブロックBiが同時に加熱されるものとされる。

【0055】
各領域における各ブロックの加熱の順序については、ランダムな順番で加熱される。上記では、B1→B2→・・・の順序で加熱されるものとしたが、各ブロックの加熱の順序はこれに限定されるものではない。

【0056】
また、領域やブロックの分割方法も、上記のものに限定されるものではない。上記では、一例として各領域が3×3のブロックに分割されるものとしたが、各領域をブロックに分割しなくてもよいし、各領域をたとえば5×5や20×20等のブロックに分割してもよい。そして、これらの場合についても、各領域において各ブロックがランダムな順番で加熱されるものとする。

【0057】
なお、上述のように、「同時」とは、実質的に同時であればよく、必ずしも完全に同時でなくてもよい。また、加熱の順番は、必ずしもランダムである必要はなく、規則的なものであってもよい。

【0058】
なお、加熱方法に依存した残留応力が残らないように、同時に加熱されるブロックは、互いに隣接しないように決定される。図6に示される例では、同時に加熱される4つのブロックが互いに隣接しないように、各領域A1-A4においてブロックB1-B9の加熱順が決定されている。

【0059】
さらに、この例では、各ブロックの加熱方法については、移動熱源により加熱が行なわれる場合の入熱量に対して調整された入熱量を有する面熱源により行なわれる。

【0060】
図7は、比較例として、移動熱源モデルにより各ブロックの加熱が行なわれる様子を示した図であり、図8は、瞬間熱源モデル(面熱源)により各ブロックの加熱が行なわれる様子を示した図である。図7を参照して、移動熱源は、実際の加熱方法に沿うものであるが、熱源(トーチ30及びレーザー32)を移動させながら数要素ずつ加熱するので、計算時間が長くなる。これに対して、図8を参照して、瞬間熱源モデルでは、ブロックの最上位層の全要素が面熱源40により同時に加熱されるものとする。これにより、計算時間を大幅に短縮することができる。なお、面熱源40は、移動熱源の移動速度を無限大にしたものといえる。

【0061】
なお、瞬間熱源モデル(面熱源)では、加熱される全要素の各々が、隣接する要素の熱を同時に受けるので、瞬間熱源モデルにおいて移動熱源と同じ入熱量(J)を与えると、相乗効果により、移動熱源の場合に比べて造形物の収縮量が大きくなる傾向がある。そこで、この実施の形態に従う解析方法では、以下の補正係数η0を用いて、移動熱源を用いる場合(実際の加熱に相当)の入熱量に対する入熱量の調整が行なわれる。

【0062】
η0=(瞬間面熱源の入熱量)/(移動熱源の入熱量) …(2)
このように、本実施の形態に従う解析方法では、同時加熱パターンにより複数のブロック毎に加熱が行なわれるものとし、さらに、各ブロックにおいては、移動熱源ではなく瞬間熱源モデル(面熱源)が採用される。上述の大温度増分とともにこのような加熱モデルを採用することによって、解析に要する計算時間を大幅に短縮することができる。

【0063】
<解析システムの説明>
図9は、本実施の形態に従う解析装置のハードウェア構成の要部を示すブロック図である。図9を参照して、解析装置100は、入力部110と、インターフェース(I/F)部120と、CPU(Central Processing Unit)130と、RAM(Random Access Memory)140と、ROM(Read Only Memory)150と、出力部160とを含む。

【0064】
CPU130は、ROM150に格納された各種プログラムを実行することにより、本実施の形態に従う解析方法を実現する。RAM140は、CPU130によってワークエリアとして利用される。ROM150は、本実施の形態に従う解析方法の手順が示されたフローチャート(後述)の各ステップを含むプログラムを記録する。入力部110は、キーボードやマウス、記録媒体、通信装置等、外部からデータを読込むための手段である。出力部160は、ディスプレイや、記録媒体、通信装置等、CPU130による演算結果を出力するための手段である。

【0065】
図10は、図9に示した解析装置100の構成を機能的に示す機能ブロック図である。図10を参照して、解析装置100は、温度分布算出部210と、変位・応力算出部220と、簡略計算設定部230と、上述の入力部110及び出力部160とを備える。

【0066】
入力部110からは、温度分布算出部210において行なわれるFEM熱伝導解析(後述)に必要な各種データが入力される。一例として、解析対象(本実施の形態では解析モデル10)の形状・寸法・FEM要素情報、熱源モデル、材料定数(比熱、密度、熱伝導係数等)の温度依存性、物体表面特性(熱伝達係数)の温度依存性、境界条件、解析条件(時間増分、初期温度、パス間温度、要素の種類等)等のデータが入力される。

【0067】
さらに、入力部110からは、変位・応力算出部220において行なわれるFEM熱弾塑性解析に必要な各種データが入力される。一例として、上記データに加えて、材料定数(ヤング率、降伏応力、ポアソン比、線膨張係数、加工硬化係数等)の温度依存性、各種モデルの選択(硬化則、降伏条件、クリープ、相変態、幾何学的線形/非線形等)、力学的境界条件、幾何学的境界条件、解析条件(要素の種類等)等のデータが入力される。

【0068】
温度分布算出部210は、入力部110から入力される各種データを用いて、FEM熱伝導解析を実行することにより解析対象(解析モデル10)の温度分布の時系列データを算出する。なお、このFEM熱伝導解析には、公知の各種のFEMによる熱伝導解析手法を用いることができる。

【0069】
変位・応力算出部220は、入力部110から入力される各種データを受けるとともに、温度分布算出部210によって算出された解析対象(解析モデル10)の温度分布の時系列データを温度分布算出部210から受ける。また、変位・応力算出部220は、簡略計算設定部230において設定される温度増分ΔT、入熱パターン、及び熱源モデルの各設定を簡略計算設定部230から受ける。

【0070】
簡略計算設定部230は、変位・応力算出部220において実行される、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算を簡略化するための各種設定を行なう。

【0071】
具体的には、簡略計算設定部230は、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算における温度増分ΔTを設定する。温度増分ΔTの大きさは、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算において用いられる温度増分の大きさ(一般的に15度や30度)よりも大きい値に設定され、この実施の形態では、簡略計算設定部230は、100度以上の所定の温度増分ΔTを設定する。

【0072】
なお、温度増分ΔTの大きさは、金属積層造形物を構成する金属の力学的溶融温度に基づいて決定されてもよい。たとえば、金属積層造形物を構成する金属が鉄の場合、鉄の力学的溶融温度は、750度-800度程度であるところ、このような力学的溶融温度に基づいて、温度増分ΔTの大きさを数百度レベルに設定してもよい。

【0073】
また、簡略計算設定部230は、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算における入熱パターンを設定する。具体的には、簡略計算設定部230は、図6で説明したように、解析モデル10の最上位層(レーザーによる加熱面)を複数の領域A1-A4に分割するとともに各領域を複数のブロックB1-B9に分割し、互いに隣接しない4つのブロックBiが同時に加熱されるとともに4つのブロックBi毎に順次加熱されるように入熱パターンを設定する。

【0074】
さらに、簡略計算設定部230は、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算における熱源モデルを設定する。具体的には、簡略計算設定部230は、上記の各ブロックに対して加熱を行なう熱源モデルとして、移動熱源により加熱が行なわれる場合(実際の加熱に相当)の入熱量に対して上記の式(2)に示した補正係数η0を用いて調整された入熱量を有する瞬間熱源モデル(面熱源)を設定する。

【0075】
そして、変位・応力算出部220は、入力部110から受ける各種データ、及び温度分布算出部210から受ける解析対象(解析モデル10)の温度分布の時系列データを用いて、簡略計算設定部230において設定される温度増分ΔT、入熱パターン、及び熱源モデルの各設定に従ってFEM熱弾塑性解析を実行することにより、解析対象(解析モデル10)に生じる残留応力及び変位の時系列データを算出する。

【0076】
出力部160には、変位・応力算出部220によって算出された残留応力及び変位の時系列データが出力される。出力部160は、算出された残留応力及び変位の時系列データを表示するディスプレイであってもよいし、所定のフォーマットに従って上記データを記録媒体に書込む書込手段や、所定のフォーマットに従って上記データを外部へ送信する通信装置等であってもよい。

【0077】
図11は、図9に示した解析装置100により実行されるFEM熱弾塑性解析の処理手順を説明するためのフローチャートである。図11を参照して、解析装置100は、FEM熱伝導解析を実行することにより、解析対象(解析モデル10)の温度分布の時系列データを算出する(ステップS10)。次いで、解析装置100は、カウンタiに初期値1を設定する(ステップS20)。このカウンタiは、入熱パターンに従って加熱するブロックの選定に用いられる。

【0078】
続いて、解析装置100は、各領域A1-A4(図6)の第iブロックに瞬間面熱源から熱を付与したものとして、温度場を更新(温度増分ΔT)する(ステップS30)。上述のように、温度増分ΔTは、大温度増分設定であり、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算において用いられる温度増分(15度や30度程度)よりも大きい値(100度以上の所定値)である。

【0079】
次いで、解析装置100は、入力部110から読込まれた各種データを用いて、上記の式(1)で示される平衡方程式の質量マトリックス[M]及び減衰マトリックス[C]を算出する(ステップS40)。

【0080】
そして、解析装置100は、温度増分ΔTにより生じる荷重を式(1)の荷重ベクトルとして与え、動的陽解法FEMを用いて式(1)を解くことで各節点の変位を算出する(ステップS50)。変位が算出されると、解析装置100は、入力部110から読込まれた各種データを用いて、算出された変位から応力を算出する(ステップS60)。

【0081】
次いで、解析装置100は、算出された変位が静的平衡状態に達したか否かを判定する(ステップS70)。変位が静的平衡状態に達していなければ(ステップS70においてNO)、解析装置100は、ステップS50へ処理を戻し、仮想的な時間ステップを進めて動的陽解法FEMにより各節点の変位を再度算出する。

【0082】
ステップS70において変位が静的平衡状態に達したと判定されると(ステップS70においてYES)、解析装置100は、全ての温度ステップにおいて計算済か否かを判定する(ステップS80)。未計算の温度ステップがあると判定されると(ステップS80においてNO)、解析装置100は、ステップS30へ処理を戻し、温度ステップを進めて(温度増分ΔTにより)温度場を更新する。

【0083】
ステップS80において全ての温度ステップにおいて計算済みであると判定されると(ステップS80においてYES)、解析装置100は、全てのブロックに熱を付与したか否かを判定する(ステップS90)。未入熱のブロックがあると判定されると(ステップS90においてNO)、解析装置100は、カウンタiをカウントアップして(ステップS100)、ステップS30へ処理を戻す。これにより、解析装置100は、入熱ブロックを移してステップS30~S80の一連の処理を再度実行する。そして、ステップS90において全てのブロックに熱を付与したと判定されると(ステップS90においてYES)、エンドへと処理が移行され、一連の熱弾塑性解析が終了する。

【0084】
図12は、温度増分ΔTを変化させたときの解析対象(解析モデル10)の収縮量を示した図である。この図12では、一例として、図1に示した座標系において、あるX座標におけるY方向の収縮量を示したものである。

【0085】
図12を参照して、変化させた温度増分ΔTの大きさには、ΔT1<ΔT2<ΔT3<ΔT4の関係があり、最小の温度増分ΔT1においても100度以上の温度増分を与えている。温度増分ΔTを大きくすると、収縮量が増大するとともにばらつき、計算精度の悪化がみられるものの、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析計算において用いられる温度増分(15度や30度)よりも大きい値の温度増分ΔTを与えることができ、計算時間の短縮を図ることができる。

【0086】
図13は、瞬間熱源モデル(面熱源)を用いた場合の解析対象(解析モデル10)の収縮量を示した図である。図13において、縦軸は、X方向の収縮量(中央値)を示し、横軸は、移動熱源の入熱量に対する面熱源の入熱量の比である等価入熱比ηを示す。すなわち、このグラフは、実際の熱源に相当する移動熱源の入熱量を基準として、面熱源の入熱量を変化させたときの収縮量を示したものである。

【0087】
図13を参照して、この例では、等価入熱比ηがη0の場合に、面熱源による収縮量が移動熱源による収縮量と同等になる。したがって、この実施の形態に従う解析方法では、面熱源により各ブロックの加熱を行なうにあたり、上記の式(2)に示した補正係数としてこのη0を用いて、移動熱源を用いる場合(実際の加熱に相当)の入熱量に対して調整された入熱量を有する瞬間熱源モデル(面熱源)が用いられる。

【0088】
以上のように、この実施の形態においては、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析が行なわれる。そして、静的陰解法FEMを用いた熱弾塑性解析において用いられる温度増分の大きさよりも大きい温度増分が与えられる(大温度増分)。これにより、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。また、この実施の形態によれば、互いに隣接しない複数のブロックを同時に加熱する加熱パターンに従って複数のブロック毎に行なわれるので、計算時間を短縮することができる(同時加熱パターン)。さらに、この実施の形態によれば、各ブロックに対する加熱は、入熱量を調整したうえで面熱源により行なわれるので、この点でも計算時間を短縮することができる(瞬間熱源モデル)。したがって、本開示の実施の形態に従う解析方法及び解析装置によれば、計算時間を大幅に削減することができる。

【0089】
[変形例]
上記の実施の形態では、理想化陽解法FEMを用いた熱弾塑性解析において、上記の「大温度増分」及び「瞬間熱源モデル」を採用し、さらに「同時加熱パターン」も採用することにより、解析に要する計算時間を削減するものとした。この変形例では、理想化陽解法FEMの計算手法自体の改善がさらに図られる。これにより、解析に要する計算時間をさらに削減することが可能となる。

【0090】
理想化陽解法FEMは、動的陽解法FEMを基に熱弾塑性解析に対して計算効率を高めた手法であり、熱弾塑性解析において一般的に用いられている静的陰解法FEMと同等の解析精度を有し、かつ、高速・省メモリで解析可能な手法である。しかしながら、理想化陽解法FEMでは、その計算過程において、時間ステップ毎に全体の静的不平衡力ベクトル、すなわち残差力ベクトルを算出する必要がある。この計算は、以下に示される式(2)の全要素の積分計算が必要となることから、理想化陽解法FEMにおける計算時間の大半を占める。

【0091】
【数2】
JP2019049981A1_000004t.gif

【0092】
ここで、{R}は全体残差力ベクトル、{F}は荷重ベクトル、[B]は要素eの変位-ひずみ関係マトリックス、{σ}は要素eの応力ベクトルを示す。また、Neは解析モデルの要素数を示す。この式(2)の積分計算は、線形弾性解析においては、以下の式(3)で表される。

【0093】
【数3】
JP2019049981A1_000005t.gif

【0094】
ここで、[K]は要素eの剛性マトリックス、{u}は要素eの変位ベクトルを示す。この式(3)では、式(2)の積分計算がマトリックスとベクトルとの積で表されることから、式(3)により残差力ベクトルを算出する際の計算量は、式(2)による計算量に比べて圧倒的に少なくなる。そのため、理想化陽解法FEMにおいて、残差力ベクトルの算出に式(3)用いることで、大幅に計算量を削減し、高速化を達成できると考えられる。

【0095】
しかしながら、式(3)は線形弾性体を仮定した計算式であるので、非線形の熱弾塑性解析にそのまま使用することはできない。そこで、本変形例では、後述のフローチャートに示される方法によって、理想化陽解法FEMによる非線形熱弾塑性解析においても式(3)を採用可能としている。

【0096】
概略的には、まず、通常の理想化陽解法FEMと同様に、動的陽解法FEMに基づき、N回の時間ステップの計算を行なって変位が算出される。このとき、各時間ステップにおける残差力は式(3)を用いて算出され、計算時間の削減が図られる。N回の時間ステップの計算が完了した後、式(2)を用いて非線形の残差力ベクトルが算出され、これが荷重(外力)として設定される。その後、残差力ベクトルを荷重ベクトルとしたN回の時間ステップの計算が行なわれ、再度変位が算出される。このような計算過程を全体の収束が得られるまで繰り返すことによって、非線形の残差力の計算(式(2))の回数を大幅に削減しつつ、式(2)を用いた場合と同等の解析結果を得ることができる。

【0097】
図14は、本変形例における解析装置100により実行されるFEM熱弾塑性解析の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、上記の実施の形態で説明した図11に対応するものである。

【0098】
図14を参照して、解析装置100は、ステップS110~S130の処理を実行する。このステップS110~S130において実行される処理は、それぞれ図11に示したステップS10~S30において実行される処理と同じであるので、ここでは説明を繰り返さない。

【0099】
ステップS130において温度場が更新されると、解析装置100は、入力部110(図9)から読込まれた各種データを用いて、剛性マトリックス[K]、質量マトリックス[M]、及び減衰マトリックス[C]を算出する(ステップS140)。また、解析装置100は、時間ステップのカウンタtに初期値1を設定する(ステップS150)。

【0100】
次いで、解析装置100は、温度増分ΔTにより生じる荷重を式(3)の荷重ベクトル{F}として与え、動的陽解法FEMに基づき、式(3)を用いて残差力ベクトル{R}を算出する(ステップS160)。そして、解析装置100は、カウンタtがN(Nは所定の自然数)を超えたか否かを判定する(ステップS170)。カウンタtがN以下であれば(ステップS170においてNO)、カウンタtがカウントアップされ(ステップS180)、ステップS160へ処理が戻される。

【0101】
ステップS170においてカウンタtがNを超えたと判定されると(ステップS170においてYES)、解析装置100は、各節点の変位及び応力を算出する(ステップS190)。さらに、解析装置100は、上記の式(2)によって非線形の残差力ベクトル{R}を算出する(ステップS200)。

【0102】
次いで、解析装置100は、解が収束したか否かを判定する(ステップS210)。たとえば、算出された変位が静的平衡状態に達した判定されると、解が収束したものと判定される。解が収束していない場合には(ステップS210においてNO)、解析装置100は、ステップS200において算出された残差力ベクトル{R}によって荷重ベクトル{F}を更新し(ステップS220)、ステップS150へ処理を戻す。

【0103】
ステップS210において解が収束したと判定されると(ステップS210においてYES)、解析装置100は、ステップS230へ処理を移行する。ステップS230~S250において実行される処理は、それぞれ図11に示したステップS80~S100において実行される処理と同じであるので、説明を繰り返さない。

【0104】
この変形例によれば、理想化陽解法FEMの計算時間の大半を占める残差力の積分計算の回数を削減できるので、解析に要する計算時間をさらに削減することができる。

【0105】
[実施の形態2]
上記の実施の形態に従う解析方法を用いた解析結果に基づいて、この実施の形態2では、積層造形物の製造方法が示される。

【0106】
本発明者らは、上記の解析方法を用いて、様々な製造条件を与えて、積層造形物に生じる残留応力及び変形の解析を行なった。その結果、本発明者らは、造形物の表層を加熱する際に、最周縁部のブロックを加熱してからその内周側(たとえば、最周縁部のブロックの一列或いは二列内側)のブロックを加熱すると、残留応力による欠陥(割れや変形等)が最も生じやすい最周縁部の残留応力が低下するとの知見を得た。このような加熱パターンにより最周縁部の残留応力を低減できる理由は、最周縁部のブロックの内周側のブロックが溶融・凝固に伴なって収縮することにより、最周縁部のブロックに生じていた引っ張り方向の残留応力が緩和されるためと考えられる。

【0107】
図15は、積層造形物の製造装置の一例として示される金属3Dプリンタの構成を概略的に示す図である。図15を参照して、この金属3Dプリンタは、ワーク部300と、コントローラ320とを備える。ワーク部300は、エレベータ20と、材料供給装置310と、ローラーブレード28と、トーチ30と、レーザー32とを含む。エレベータ20、ローラーブレード28、トーチ30、及びレーザー32は、図3,4で説明したとおりである。材料供給装置310は、中間造形物24上に金属粉末26を供給する。

【0108】
コントローラ320は、CPUと、RAMと、ROMと、各種信号を入出力するための入出力バッファとを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、コントローラ320の処理手順が記されたプログラムである。コントローラ320は、これらのプログラムに従って、ワーク部300における各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。

【0109】
コントローラ320により実行される主要な処理として、コントローラ320は、中間造形物24の最上位層を複数のブロックに分割し、ブロック毎に金属粉末26を溶融・凝固させるように熱源(トーチ30及びレーザー32)の移動を制御する。各ブロックにおいては、図7に示されるように、コントローラ320は、熱源(トーチ30及びレーザー32)を移動させながら各ブロックの表面を加熱する。

【0110】
そして、複数のブロックの加熱の順序について、コントローラ320は、複数のブロックのうちの最周縁部のブロック(以下「第1のブロック群」と称する。)を加熱してからその内周側のブロック(以下「第2のブロック群」と称する。)を加熱するように、熱源(トーチ30及びレーザー32)の移動を制御する。第2のブロック群は、第1のブロック群の一列内周側であってもよいし、複数のブロックが十分に細分化されていれば、第1のブロック群の二列以上内周側であってもよい。

【0111】
図16及び図17は、複数のブロックの加熱順序(加熱パターン)の一例を説明する図である。図16及び図17を参照して、この例では、中間造形物24の最上位層が10×10のブロックに分割されている。そして、最周縁部の第1のブロック群の加熱が完了した後に(図16)、第2のブロック群の加熱が行なわれる(図17)。なお、これらの図では、第2のブロック群の内周側の各ブロックの加熱の有無については示されていない。

【0112】
第1及び第2のブロック群の加熱順序については、第2のブロック群を除く各ブロックをランダム或いは所定の順序で加熱し、第1のブロック群の全ブロックの加熱が完了した後に、第2のブロック群を含む残余の各ブロックをランダム或いは所定の順序で加熱してもよい。或いは、第1のブロック群を纏めて順次加熱した後、第2のブロック群を纏めて順次加熱してもよい。

【0113】
図18及び図19は、積層造形物に生じる残留応力の解析結果の一例を示す図である。図18は、全ブロックの加熱終了後に生じるX方向の残留応力σx(引張方向)の分布を示し、図19は、Y方向の残留応力σy(引張方向)の分布を示す。

【0114】
図18を参照して、図16,17で示した加熱順序(加熱パターン)で加熱が行なわれることにより、枠線で囲った最周縁部において、X方向の残留応力σx(引張方向)を相対的に低下させることができることが分かる。

【0115】
また、図19を参照して、図16,17で示した加熱順序(加熱パターン)で加熱が行なわれることにより、枠線で囲った最周縁部において、Y方向の残留応力σy(引張方向)を相対的に低下させることができることが分かる。

【0116】
図20は、コントローラ320により実行される処理の手順の一例を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、第1のブロック群及び第2のブロック群の加熱順序を決定するものであり、図3に示した工程IVで実行される処理に相当するものである。

【0117】
図20を参照して、コントローラ320は、最周縁部の一列内側のブロック(第2のブロック群)以外のブロックであって加熱が未実施のもののいずれかを加熱するように、熱源(トーチ30及びレーザー32)の移動を制御する(ステップS310)。そして、当該ブロックの加熱が終了すると、コントローラ320は、最周縁部のブロック(第1のブロック群)の全ての加熱が終了したか否かを判定する(ステップS320)。

【0118】
第1のブロック群の全ブロックの加熱が終了していない場合には(ステップS320においてNO)、コントローラ320は、ステップS310へ処理を戻す。なお、ステップS310が繰り返し実行されることによるブロックの加熱順序は、ランダムであってもよいし、規則的であってもよい。

【0119】
そして、ステップS320において第1のブロック群の全ブロックの加熱が終了したものと判定されると(ステップS320においてYES)、コントローラ320は、加熱が未実施の残余のブロック(第2のブロック群を含む)のいずれかを加熱するように、熱源(トーチ30及びレーザー32)の移動を制御する(ステップS330)。そして、当該ブロックの加熱が終了すると、コントローラ320は、全てのブロックの加熱が終了したか否かを判定する(ステップS340)。

【0120】
全てのブロックの加熱が終了していない場合には(ステップS340においてNO)、コントローラ320は、ステップS330へ処理を戻す。なお、ステップS330が繰り返し実行されることによるブロックの加熱順序も、ランダムであってもよいし、規則的であってもよい。そして、ステップS340において全てのブロックの加熱が終了したものと判定されると(ステップS340においてYES)、コントローラ320は、エンドへと処理を移行する。

【0121】
以上のように、この実施の形態2によれば、積層造形物の最周縁部に生じる残留応力を抑制することができる。

【0122】
なお、上記の各実施の形態では、金属3Dプリンタを用いた積層造形について説明したが、本開示の適用範囲は、これに限定されるものではなく、樹脂粉末を用いる積層造形や、溶融した樹脂やアーク放電により溶融させた金属を堆積させていく積層造形等も含むものである。

【0123】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10 解析モデル、12 ベースプレート、20 エレベータ、22,26 金属粉末、24 中間造形物、28 ローラーブレード、30 トーチ、32 レーザー、34 溶融池、36 層、38 熱影響部、40 面熱源、100 解析装置、110 入力部、120 I/F部、130 CPU、140 RAM、150 ROM、160 出力部、210 温度分布算出部、220 変位・応力算出部、230 簡略計算設定部、300 ワーク部、310 材料供給装置、320 コントローラ、A1~A4 領域、B1~B9 ブロック。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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