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明細書 :揮発性有機化合物除去装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6021057号 (P6021057)
公開番号 特開2014-042866 (P2014-042866A)
登録日 平成28年10月14日(2016.10.14)
発行日 平成28年11月2日(2016.11.2)
公開日 平成26年3月13日(2014.3.13)
発明の名称または考案の名称 揮発性有機化合物除去装置
国際特許分類 B01D  53/18        (2006.01)
B01D  53/44        (2006.01)
B01D  53/75        (2006.01)
B01D  53/78        (2006.01)
FI B01D 53/18 110
B01D 53/18 140
B01D 53/44 120
B01D 53/75
B01D 53/78
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2012-185360 (P2012-185360)
出願日 平成24年8月24日(2012.8.24)
審査請求日 平成27年5月19日(2015.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
【識別番号】598000242
【氏名又は名称】和光合成樹脂株式会社
発明者または考案者 【氏名】長縄 弘親
【氏名】柳瀬 信之
【氏名】永野 哲志
【氏名】今村 浩二
個別代理人の代理人 【識別番号】100117042、【弁理士】、【氏名又は名称】森脇 正志
【識別番号】100167988、【弁理士】、【氏名又は名称】河原 哲郎
審査官 【審査官】福永 千尋
参考文献・文献 米国特許出願公開第2005/0145108(US,A1)
特開平11-221434(JP,A)
特開2010-036136(JP,A)
特開昭50-074262(JP,A)
特開昭51-151680(JP,A)
特開昭51-045378(JP,A)
特開昭62-241528(JP,A)
特開2003-001042(JP,A)
登録実用新案第3125905(JP,U)
特開昭60-150817(JP,A)
特開2006-343061(JP,A)
特開2005-016498(JP,A)
特開2012-091098(JP,A)
特開昭49-032272(JP,A)
特開昭58-061820(JP,A)
特開平04-256413(JP,A)
調査した分野 B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/73
B01D 53/77-53/79
特許請求の範囲 【請求項1】
揮発性有機化合物を含むガスを下方から上方へ流す流路を構成する除去塔と、
前記流路内に設けられた多数の気泡を発生させるための細孔を具備するノズルと貫通孔を有するプレートと出口部と、
前記ガスを吸着するための第1乃至第3の液層と、第1および第2の空気層とを具備し、
前記第1及び第3の液層はいずれも水又は水溶性の液体からなり、
前記第2の液層は前記第1の液層よりも比重の小さい有機溶媒からなり、
前記第1及び第2の液層はいずれも前記除去塔の底部に配置され、
前記第3の液層は前記貫通孔を有するプレートの直上に配置され、
前記第3の液層の直上に前記第2の空気層を備え、
前記出口部は、前記第2の空気層の上部に配置され、
前記ノズルは前記第1の液層中に設けられ、
前記貫通孔を有するプレートは前記第2の液層の上方に前記第1の空気層を介して設けられ、
前記ノズルで生成された気泡により前記ノズルの上方で前記第1及び第2の液層が前記気泡と共に攪拌された混合液層が生成されるように構成されていることを特徴とする揮発性有機化合物除去装置。
【請求項2】
前記第3の液層の直上の前記第2の空気層と前記出口部との間に、
第3のフィルターが設けられ、
前記第3のフィルターの上層に第4の液層が設けられ
前記第4の液層は、水又は水溶性の液体で構成される
ことを特徴とする請求項1記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の有機化合物除去装置を構成する除去塔を複数具備し、これらの除去塔を直列に接続したことを特徴とする有機化合物除去装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記除去塔の内壁と隙間無く接する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項5】
前記第2の液層に蒸留装置が接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項6】
前記ノズルは、多数の細孔を具備するフィルター板を含む
とを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項7】
前記ノズルは、ブフナロート型のフィルター装置である請求項記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項8】
前記フィルター板はISO4793規格に準拠したガラスフィルターである請求項又は記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項9】
前記フィルター板の細孔径は40~50[μm]である請求項記載の揮発性有機化合物除去装置。
【請求項10】
多数の気泡を発生させるための細孔を具備するノズルを介して水又は水溶性の液体からなる第1の液層及び有機溶媒からなる第2の液層に揮発性有機化合物を含むガスを通過させる工程と、
前記ガスの気泡と前記第1の液層と前記第2の液層との混合液層を形成する工程と、
前記第2の液層から間隔をあけて配置され、液体を直上に保持可能なフィルターを介して水又は水溶性の液体からなる第3の液層に前記第1及び第2の液層を通過させたガスを通過させる工程と
前記第3の液層を通過直後に、前記第3の液層に通過させたガスを空気層を介して排出する工程とを含む
ことを特徴とする揮発性有機化合物の除去方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds、以下、「VOC」という。)は、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーや排気ガス等に含まれるトルエン、イソプロピルアルコール、キシレンや酢酸エチルなどの物質であり、大気汚染や人体への悪影響が懸念されている。
【0003】
特許文献1には、気液接触構造を採用した水溶性VOCガスの処理装置が開示されている。特許文献2には、エマルション状態にある油と水との乳濁液に排ガス中に含まれる揮発性有機化合物を溶解ないしは捕捉させることにより排ガス中に含まれるVOCを除去する方法が開示されている。
【0004】
その他の方式として、例えば、微生物を用いてVOCを分解するもの、活性炭等の充填材でVOCを吸着するもの、燃焼によりVOCを分解するもの等が知られている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2011-136281号公報
【特許文献2】特開2010-36136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の揮発性有機化合物除去装置は、VOCの除去効率が悪く、構造も複雑であった。そのため、VOCの十分な量を除去するためには装置を大型化せざるを得ず、導入コスト及び運用コストを抑えて構造が簡単でメンテナンスも容易な、小型かつ高効率のVOC除去装置が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でVOCを十分に除去できる揮発性有機化合物除去装置を提供することを主な技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る揮発性有機化合物除去装置のある局面は、揮発性有機化合物を含むガスを下方から上方へ流す流路を構成する除去塔と、前記流路内に設けられたノズル及び貫通孔を有するプレートと、前記ガスを吸着するための第1乃至第3の液層と、空気層とを具備し、
前記第1及び第3の液層はいずれも水又は水溶性の液体からなり、前記第2の液層は前記第1の液層よりも比重の小さい有機溶媒からなり、前記第1及び第2の液層はいずれも前記除去塔の底部に配置され、前記第3の液層は前記貫通孔を有するプレートの直上に配置され、前記ノズルは前記第1の液層中に設けられ、前記貫通孔を有するプレートは前記第2の液層の上方に前記空気層を介して設けられる。
なお、本明細書において「ノズル」が「第1の液層中に設けられ」ているとは、ノズル2が液層中に浸漬している場合に限らず、ノズル2の噴出口が第1の液層と液密に接している場合を含むものと解する。
【0009】
本発明に係る揮発性有機化合物除去方法のある局面は、液体を直上に保持可能なフィルタを介して水又は水溶性の液体及び有機溶媒からなる液体からなる第1及び第2の液層に揮発性有機化合物を含むガスを通過させる工程と、前記第2の液層から間隔をあけて配置され、液体を直上に保持可能なフィルタを介して主に水又は有機溶媒からなる第3の液層に前記通過させたガスを通過させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る揮発性有機化合物除去装置は、非常に簡単な構造でVOCを効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の揮発性有機化合物除去装置
【図2】第2の実施形態の揮発性有機化合物除去装置
【図3】第3の実施形態の揮発性有機化合物除去装置
【図4】第3の実施形態の揮発性有機化合物除去装置の変形例
【図5】第3の実施形態の揮発性有機化合物除去装置
【図6】装置の稼動日数とトルエンの除去率との関係
【図7】第4の実施形態の揮発性有機化合物除去装置を示す断面図
【図8】メッシュプレートの一例を示す図
【図9】ノズル2の他の構成例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について図面を参照して詳述する。各図における符号が同じ構成は、同一のものであることを示している。本実施形態の記載は本発明の技術的思想を理解するために合目的的に解釈され、実施形態の記載に限定解釈されるべきものではない。また、各実施形態はそれぞれを適宜組み合わせて実施してもよい。

【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の揮発性有機化合物除去装置を示す断面図である。図中の矢印はガスGの流れる方向を示している。

【0014】
揮発性有機化合物除去装置10は、略筒状の除去塔1と除去塔1の内部にガス流を生成するためのポンプPを備える。除去塔1の形状は処理対象となるガスGを流通させる流路を構成すると共に流路内にフィルターを配置できる構成であればよい。本実施形態の揮発性有機化合物除去装置10は、1つの除去塔(A)のみから構成される。

【0015】
図1に示すように除去塔1の下部には一例としてブフナロート型のフィルター装置2(ノズル)が設けられる。このフィルター装置2は多数の細孔が設けられたフィルター板2aがブフナロート型のフィルターケース2bに支持されたものであり、他端はガス流入口1aに通じている。なお、本実施形態において「フィルター装置2」の役割は「ろ過(Filtration)」ではなく、多数の気泡を発生させることである。そのため、本明細書においてフィルター装置とは、「ノズル」の一例にすぎない。この意味において、例えば細管を束ねたような構成も本明細書の「ノズル」に含まれるものと解することができる。すなわちガスの流路の複雑さ等は問題とならない。

【0016】
フィルター板2aは例えばISO4793規格に準拠したガラスフィルターであって、細孔径(ポアサイズ)が例えば40~50[μm]程度のものを用いることができるがこれに限られるものではない。定性的には細孔が小さすぎるとガスGの流量を十分に確保できず、また、フィルターの目詰まりも発生し易くなり、一方、細孔が大きすぎるとフィルターとしての効果が低下するおそれがあるといえる。このため、必要に応じて適切な範囲に設定することが必要である。また、後述するように、ガスGがフィルター板2aを通過する際に多数の気泡が生成される必要があるため、フィルター板2aの面積は除去塔1の流路断面に対して大きいほどよい。

【0017】
除去塔1の底部には第1の液層3と第2の液層4が設けられている。液層3は水ないし水溶性の液体で構成され、液層4は有機溶媒ないし油溶性の液体で構成される。そのため、比重の関係からガスGを流さないで静置した状態では液層3が最下層になりその上層に液層4が現れる。

【0018】
フィルター装置2はフィルター板2a及びフィルターケース2bを含む全体が液層3中に浸漬されている。すなわち、液層3と液層4との境界面Kがフィルター板2aの上方になるように液量が調整されている。ただし、図9を参照して後述するように、必ずしもフィルター装置2の全体が液層3中に浸漬されている必要は無く、フィルター板2aと液層3が接していればよい。

【0019】
液層4の液面H1の上方は空気層S1であり、その上方には貫通孔を有するプレート5が設けられている。貫通孔を有するプレート5は液密であるが気密ではない、すなわちガス流通時において気体を通過させるが液体は通過させない部材で構成される。例えば、金属や樹脂からなるプレートに複数の細孔を設けてメッシュ状に加工した、「メッシュプレート」などを用いてもよい。このような貫通孔を有するプレート5を除去塔1の内壁に隙間無く設けると、気体を通過させるにも関わらず表面張力等によって液体を直上に保持可能になる。貫通孔を有するプレート5に設けられるべき細孔の開口率は特に限定されないが、細孔径が小さすぎるとガスGの流量が低下し流れが止まることもある。逆に細孔径が大きすぎると表面張力が十分に作用せず液密でなくなり、液層を保持できなくなる。そのため、処理対象や目標とする処理能力、メッシュプレートの材質や表面状態、厚みや形状などを考慮して適宜最適な範囲を選択することが必要である。但し、ガスGの流通時において空気層S1は大気圧よりも加圧されているため、ガスGの流通時に上層の液層6が保持できればよい。すなわち、このような機能が担保される限り、「プレート」は広義に解することができ、例えば、厳密には必ずしも板状とはいえない「フィルターペーパー(ろ紙)」のようなものも含む。

【0020】
貫通孔を有するプレート5の上方には再び液層6が封入される。液層6の液面H2の上方は空気層S2である。図1に示す液層6は水ないし水溶性の液体を用いた場合を示しているが、液層6は、有機溶媒ないし油溶性の液体であってもよい。この場合、液層3又は液層4と同様の成分からなる液体であっても、異なる成分からなる液体であってもよい。トルエン等の油溶性VOCの除去能力を高めるためには油溶性の液体で構成されることが好ましく、水溶性VOCの除去能力を高めるためには水ないし水溶性の液体を用いることが好ましい。ただし、液層6の沸点が低く揮発しやすい環境下で運転する場合は蒸発に注意する必要がある。

【0021】
次に、本装置の動作について説明する。ポンプPを稼動させることでVOCを含むガスGをガス流入口1aからフィルター装置2に導くと、フィルター板2aの多数の細孔を通過する際に無数の気泡が生成され、液層3と液層4が攪拌されて、主にフィルター板2aの上方に混合液層が生成される。VOCを含むガスがこの混合液層を通過する際に、水溶性VOCと油溶性VOCのそれぞれが除去される。

【0022】
この混合液層を通過したガスGは、次にその上方の空気層S1を介して貫通孔を有するプレート5に通じ、さらに上方に保持されている液層6に達する。この液層6を通過する際にも残存している水溶性VOCが除去される。その後、液層6の上方の空気層S2を通過して上方に設けられた出口部1bを通じガス排出口1cから排出される。

【0023】
ポンプPはガス流を生成するためのものであり、他の方法でガス流が得られる場合、ポンプPは不要である。或いは、図1とは異なり、ポンプPがガス流入口1a側に設けられていてもよい。液層4と貫通孔を有するプレート5との間隔は、ガスGを通過させた際に形成される液層3,4の混合液が貫通孔を有するプレート5に接触しない程度確保されていればよい。

【0024】
液層3は液層4よりも比重が大きいためフィルター板2aよりも下側は殆ど対流が起こらず、VOCガスの除去に寄与しない。そこで、フィルター装置2は、例えば図9のFに示すように、フィルター板2aの端部が除去塔の内壁と隙間無く接するような構成を採用してもよい。この場合は、フィルター板2aがガスGを流通している際に液密であるが気密ではない、すなわち気体を通過させるが液体は通過させない部材で構成される。このような構成を採用すると、液層3を構成するために必要な液体の使用量を少なくすることができる。

【0025】
フィルター板2aの細孔のパターンは均一でなくてもよい。例えば、細孔径が異なっていてもよいし細孔の数が円板状の中心部と周縁部とで異なっていてもよい。或いは同心円パターンでなく偏心していてもよい。これらを調節することで空気層S1中への泡立ちや跳ね上りを抑えることができる。

【0026】
以上のように、本実施形態の揮発性有機化合物除去装置10は、ガスGを流通させる流路を構成する除去塔の流路内に複数のフィルターと複数の液層を設けた極めて簡単な構成であるにも関わらず、特に、水溶性揮発性有機化合物と油溶性揮発性有機化合物の両方を効率的に除去できるという点において、極めて除去効率の高い揮発性有機化合物除去装置を構成することができる。
なお、第1の実施形態の一部を次のように変更してもよい。すなわち、除去対象とするガスが水溶性VOCのみである場合には、液層4を省略してもよい。このように変形してもよい理由は、油溶性VOCは液層3のような「水又は水溶性の液体」に一部溶解するが、逆に水溶性VOCは液層4のような「有機溶媒ないし油溶性の液体」に殆ど溶解しないためである。この場合、混合液層を具備しなくなるが、装置構成を大幅に簡素化することができ、運転コストも大幅に下げることができる。

【0027】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の揮発性有機化合物除去装置20を示す断面図である。第1の実施形態の揮発性有機化合物除去装置10との相違点は、液層6の上方に、空気層(S2)を介してさらにもう一つ、貫通孔を有するプレート5を設け、その上層に水溶性の液体で構成される第4の液層7を更に設けた点であり、第1の実施形態とは異なる構成の1つの除去塔(B)のみから構成される。液層7の液面H3の上方は空気層S3であり、装置上方に設けられた出口部1bを通じガス排出口1cから排出される。

【0028】
このように、1つの除去塔において、2枚のフィルター板を用いて3段の液層を直列に配置することでVOCの除去効率を更に高めることができる。より多くの貫通孔を有するプレート5を用いて更に多段の液層を構成すれば、VOCの除去効率を一層高めることができるであろう。

【0029】
なお、本実施形態で示すように液層を多段に構成する場合、有機溶媒の蒸発を抑えるために最上層に設けられる液層(本実施形態では液層7)は、水溶性の液体であることが好ましい。

【0030】
-実施例1-
先ず、以下の条件で揮発性有機化合物除去装置20を作成した。

【0031】
[除去塔(B)]
除去塔1・・・高さ1300[mm]、内径105[mm]、外径115[mm]の円筒状のポリ塩化ビニル製(PVC)パイプ
液層3・・・水1.5[L]に硫酸アルミニウム55[g]を添加した液体
液層4・・・イソパラフィンを主成分とする炭化水素系洗浄剤(シェルケミカルズジャパン株式会社製シェルゾールMC421)4.5[L]
液層6及び液層7・・・1.0[L]の水
フィルター装置2・・・厚さ6[mm]、細孔径40~50[μm]のガラス濾過板(ISO4793規格に準拠したもの)
貫通孔を有するプレート5・・・開口率0.33%、厚さ3[mm]の樹脂板。

【0032】
ここで、メッシュパターンを図8に示す。直径100[mm]の円形(破線A1の領域)内に除去塔1の軸心点Cからほぼ点対称に直径0.8[mm]の細孔Pを57箇所に設けている。

【0033】
常温大気圧下で除去塔1の上下両端部を塞いで内部を密閉しポンプP(排出量6[L/min])を稼動し、VOCを含むガスGをガス流入口1aから装置内部に流入させ、装置内部を通過させたガスをガス排出口1cから排出し、装置から排出されたガスを検知管で採取し、測定してVOCの除去率を調べた。

【0034】
VOCとして、トルエンとイソプロピルアルコールとを用いた。装置20を稼動させてから1時間後及び2時間後に、ガス流入口1a付近とガス排出口1c付近とでVOCの濃度をそれぞれ測定した。その結果は表1及び表2の通りであった。

【0035】
【表1】
JP0006021057B2_000002t.gif
【表2】
JP0006021057B2_000003t.gif

【0036】
表1及び表2の結果から、上記揮発性有機化合物除去装置20を用いると、装置を稼動させて2時間後にトルエンを91%以上、イソプロピルアルコールを98%以上除去できていることがわかる。このように、第2の実施形態の構成によると、イソプロピルアルコールなどに代表される水溶性揮発性有機化合物とトルエンなどに代表される油溶性揮発性有機化合物の両方を極めて効率よく除去できる。水溶性と比べてより除去の難しい、トルエンを91%も除去でき、その効果を25日間に亘って維持できた点は従来技術と比較して特筆すべき顕著な効果であるというべきである。

【0037】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態の揮発性有機化合物除去装置を示す断面図である。この図に示すように、本実施形態の揮発性有機化合物除去装置30は、2つ除去塔を直列に接続した実施態様を示している。なお、図3に示した装置30の2つの除去塔(B、B)は、いずれも第2の実施形態の揮発性有機化合物除去装置の除去塔と同様の構成を有する。

【0038】
-変形例-
或いは、図4に示すように、2つの除去塔を直列に接続するにあたり、それぞれの除去塔の液層構成を異ならせてもよい。図中の除去塔は第2の実施形態同様の除去塔(B)である。除去塔(B)の後段には、ブフナロート型のフィルター装置2が設けられ、このフィルター装置2の全体が第5の液層8中に浸漬された除去塔(C)が接続されている。液層8の液面H4の上方は空気層S4である。液層8は、水ないし水溶性の液体で構成されることが好ましいが、その成分は液層6又は液層7と同じであっても異なるものであってもよい。液層8の上方の空気層S4を通過して除去塔内部の上方に設けられた配管端部の出口部1dを通じガス排出口1eから排出される。

【0039】
以上の例示から理解されるように、同種又は異種の複数の除去塔を直列に接続することでVOCの除去効率を一層高めることができる。この場合、各除去塔の最上層に配置される液層は、有機溶媒の蒸発を抑えるため水ないし水溶性の液体で構成されることが好ましい。

【0040】
-実施例2-
図5は第2の実施形態の揮発性有機化合物除去装置20の除去塔1と同様の除去塔(B)と、第1の実施形態の揮発性有機化合物除去装置10の除去塔(A)とをポンプPを介して配管でこの順に直列に接続した揮発性有機化合物除去装置50を示している。この装置50を用いて装置の稼動時間と揮発性有機化合物の除去率との関係を調べた。

【0041】
[除去塔(B)]
除去塔1・・・高さ1300[mm]、内径105[mm]、外径115[mm]の円筒状のポリ塩化ビニル製(PVC)パイプ
液層3・・・水2.0[L]
液層4・・・イソパラフィンを主成分とする炭化水素系洗浄剤(シェルケミカルズジャパン株式会社製シェルゾールMC421)4.0[L]
液層6a・・・イソパラフィンを主成分とする炭化水素系洗浄剤(シェルケミカルズジャパン株式会社製シェルゾールMC421)1.0[L]
液層7・・・水1.0[L]
フィルター装置2・・・厚さ6[mm]、細孔径40~50[μm]のガラス濾過板(ISO4793規格に準拠したもの)
貫通孔を有するプレート5・・・開口率0.33%、厚さ3[mm]の樹脂板。
[除去塔(A)]
除去塔1・・・高さ1300[mm]、内径105[mm]、外径115[mm]の円筒状のポリ塩化ビニル製(PVC)パイプ
液層3・・・水2.0[L]
液層4・・・イソパラフィンを主成分とする炭化水素系洗浄剤(シェルケミカルズジャパン株式会社製シェルゾールMC421)3.0[L]
液層6b・・・1.0[L]の水
フィルター装置2・・・厚さ6[mm]、細孔径40~50[μm]のガラス濾過板(ISO4793規格に準拠したもの)
貫通孔を有するプレート5・・・開口率0.33%、厚さ3[mm]の樹脂板。

【0042】
ポンプPを用いて濃度400μl/l(=ppm)のトルエンを含むガスをガス流入口1aから装置内部に流入させ、装置内部を通過させたガスをガス排出口1cから外部へ排出した。そして、ガスを装置内部に流入させて1日あたり9時間稼動させた後に最初の除去塔(B)のガス排出口1c付近と、2つ目の除去塔(A)のガス排出口1e付近とでトルエンの濃度をそれぞれ測定した。その結果は表3の通りであった。

【0043】
【表3】
JP0006021057B2_000004t.gif

【0044】
図6は、装置50の稼動日数とトルエンの除去率との関係を示す図である。図6では、図5における除去塔(B)の出口部1b付近のトルエンの濃度(μl/l)を菱形(◆)で、図5のガス排出口1e付近のトルエンの濃度(μl/l)を四角形(■)で、図5の装置50のトルエンの除去率を三角形(▲)でそれぞれ表している。

【0045】
図6に示すように、上記装置50は、稼動させて10日(90時間)程まではトルエンを95%以上除去できることがわかる。そして、装置を稼動させて10日程経過するとトルエンの除去率が低下したが18日(162時間)目に95%に回復、それ以後25日(225時間)経過するまで95%以上で維持されていることがわかる。

【0046】
また、出口部1b付近のトルエンの濃度が、装置を稼動させて11日(93時間)目に急激に100μl/l以上に上昇し、14日(126時間)目以降75μl/l未満に下降している。このことから、前段の除去塔(B)は、水の液層7によってトルエンを含むガスが内部に一旦留められていることがわかる。また、ガス排出口1e付近のトルエンの濃度も同様に装置を稼動させて11日目に40μl/lまで上昇し、18日(162時間)目以降20μl/l以内に下降している。このとから、後段の除去塔(A)はトルエンを含むガスから多量のトルエンを直ぐに除去することができず、多量のトルエンを除去するためには時間を要するものと考えられる。また、後段の除去塔(A)においても前段の除去塔(B)と同様に水の液層26によってトルエンを含むガスが内部に一旦留められていると考えられる。

【0047】
除去率が11日以降に一旦下がって回復する理由は不明であり、測定条件の変動などに伴う誤差の範囲と考えられる。しかしながら、このように2段構成にすることで1段構成の場合よりもVOCの除去能力を確実に高められることがわかる。

【0048】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態の揮発性有機化合物除去装置を示す断面図である。

【0049】
揮発性有機化合物除去装置70は、第3の実施形態の揮発性有機化合物除去装置30に蒸留装置71をさらに備えるものである。蒸留装置71は、配管72を介してフィルター装置2の上方に接続されており、加熱装置(不図示)により有機溶媒を加熱することで沸点の違いにより主に液層4中のVOCを分離除去することができる。

【0050】
このように構成すると、蒸留装置71によって液層4中に取り込まれたVOCを除去することでVOCの除去能力を回復させることができる。蒸留装置71によって除去されたVOCは濃縮して装置外部で処理するようにしてもよい。また、蒸留装置の接続構成等を変更して、他の液層中のVOCを分離除去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 除去塔
1a ガス流入口
1b 出口部
1c ガス排出口
2 フィルター装置
2a フィルター板
2b フィルターケース
3 水又は水溶液(第1の液層)
4 有機溶媒(第2の液層)
5 フィルター板
6 水又は水溶液(第3の液層)
7 水又は水溶液(第4の液層)
8 水又は水溶液(第5の液層)
P ポンプ
G 揮発性有機化合物(VOC)を含むガス
S1、S2、S3、S4 空気層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8