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明細書 :触媒充填方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-176125 (P2018-176125A)
公開日 平成30年11月15日(2018.11.15)
発明の名称または考案の名称 触媒充填方法
国際特許分類 B01J   8/02        (2006.01)
B01J   8/06        (2006.01)
B01J   4/00        (2006.01)
FI B01J 8/02 A
B01J 8/06 301
B01J 4/00 105D
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2017-083523 (P2017-083523)
出願日 平成29年4月20日(2017.4.20)
新規性喪失の例外の表示 新規性喪失の例外適用申請有り
発明者または考案者 【氏名】野口 弘喜
【氏名】今 肇
【氏名】久保 真治
【氏名】直井 登貴夫
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
【識別番号】712003270
【氏名又は名称】大日機械工業株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】110001922、【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G068
4G070
Fターム 4G068AA01
4G068AB23
4G068AC07
4G068AD39
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB03
4G070CA03
4G070CA07
4G070CB15
4G070DA13
4G070DA30
要約 【課題】例えば、水素製造システムにおいて使用される硫酸分解反応器への触媒充填に際して、触媒が破損せず、触媒充填後にも触媒の残渣が反応器内に残る恐れのない、新たな触媒充填方法を提供すること。
【解決手段】外管と内管から形成される流路と、前記流路内に充填された触媒を有し、前記流路を介して、前記流路の一端から他端に向けてプロセスガス又は液体は通過させることで、前記プロセスガス又は液体を処理する反応器に、前記触媒を充填する方法であって、前記触媒を不活性ガス流に載せて、前記反応器外部から前記内管を介して前記流路内に充填する。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
外管と内管から形成される流路と、前記流路内に充填された触媒を有し、前記流路を介して、前記流路の一端から他端に向けてプロセスガス又は液体は通過させることで、前記プロセスガス又は液体を処理する反応器に、前記触媒を充填する方法であって、前記触媒を不活性ガス流に載せて、前記反応器外部から前記内管を介して前記流路内に充填することを特徴とする触媒充填方法。
【請求項2】
反応器のハウジングを形成する、一端が開放され他端が閉塞された外管と、前記外管内に設けられた、両端が開放された内管を備え、前記内管の一方の開放端が前記外管の一方の開放端近くに設置され、前記内管の他方の開放端が前記外管の閉塞された他端近くまで延びており、前記外管と前記内管の間にプロセスガス又は液体の流路が形成され、前記流路が前記外管の開放端近くに、プロセスガス又は液体は通過させるが、粒状触媒は通過させない機構が設けられている反応器に、触媒を充填する方法であって、前記粒状触媒を不活性ガス流に載せて、前記反応器外部から前記内管の一方の開放端を介して前記流路内に充填することを特徴とする触媒充填方法。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒充填方法において、前記内管内に前記内管よりも長い管である樹脂内管を設け、触媒を前記樹脂内管の内部を通して前記外管に充填することを特徴とする触媒充填方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の触媒充填方法において、前記触媒充填用不活性ガスが窒素であることを特徴とする触媒充填方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高温ガス炉から得られる高熱を利用し、IS(ヨウ素硫黄)プロセスを用いて水を熱分解し、水素を製造するシステムで採用されている硫酸分解反応器など、様々な容器へ触媒を効率的に充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ISプロセスは、図1に示されるような高温ガス炉を熱源とする水素製造システムにおいて、効率的な水素製造方法として期待されている。熱化学法であるISプロセスは、ブンゼン反応(硫酸とヨウ化水素の生成反応)、硫酸の熱分解反応、ヨウ化水素の熱分解反応の3化学反応工程により構成され、二酸化炭素を発生することなく、高温ガス炉で発生する高温ガスを利用して、原料である水を分解して水素を製造する。
【0003】
ここで、ブンゼン反応の化学反応式は、図2に模式的に示すように、具体的には以下のように表される。
SO2 + I2+ 2H2O → 2HI + H2SO4
ブンゼン反応工程においては、二酸化硫黄(SO2)ガスをヨウ素(I2)と水(2H2O)の混合物中に導入することで、共に強酸性を示す、軽液相(硫酸)及び重液相(ポリヨウ化水素酸)に液-液の二相分離する生成溶液が得られる。
【0004】
軽液相のH2SO4及び重液相の2HIは、それぞれ別々の系統によって、次の反応をもたらされ、それぞれ酸素及び水素を生成する。
H2SO4 → H2O + SO2 + 0.5O2
2HI → H2 + I2
ISプロセスは、水以外のヨウ素、硫黄の反応物質がプロセス内で繰り返し使用する閉サイクルであるため、環境に優しく、非常に効率的に水素を生成できるプロセスとして注目されている。
【0005】
そのような水素製造システムの一例を、図3を参照して説明する。まず、図の中央に示されたブンゼン反応器にて、水(2H2O)、ヨウ素(I2)と二酸化硫黄(SO2)が反応し、硫酸(H2SO4)とヨウ化水素(HI)が生成される。その結果得られる硫酸とヨウ化水素の混合物は、二相分離器に送られ、ここで硫酸(H2SO4)が主成分である軽液相とヨウ化水素(HI)が主成分である重液相に分離させられ、それぞれ別の系統に送られる。
【0006】
軽液は、軽液精製塔にてヨウ化水素、ヨウ素を取り除かれ、硫酸水溶液が生成される。硫酸水溶液は、硫酸分解反応工程の硫酸濃縮塔で濃縮され、硫酸分解器に送られる。硫酸分解器において、硫酸蒸発によって気化され、三酸化硫黄を含む混合気体が生成され、触媒にて二酸化硫黄(SO2)、酸素(O2)に分解される。その後、SO2ガス分離器により未分解硫酸を回収され、前述のブンゼン反応器に送られる。
【0007】
一方、重液は、重液精製塔で硫黄分を取り除かれ、ポリヨウ化水素酸(HI、I2、H2O)が生成される。ポリヨウ化水素酸は、電気透析器にてヨウ化水素成分が濃縮され、ヨウ化水素(HI)蒸留塔で気化される。その後、ヨウ化水素(HI)分解器において、水素(H2)、ヨウ素(I2)などから成る混合気体に熱分解される。これらのガスは、水素分離塔を介して最終的に水素(H2)として取り出される。
【0008】
上述の硫酸分解反応系において用いられるバイヨネット型硫酸分解器においては、 硫酸分解反応に必要な触媒を硫酸分解器組立時に先端部分に設置する必要がある。従来は、 粒状触媒を充填したポリエチレン中空円筒容器をセラミックス内管の先端部に取り付け、外管を被せて組み立て、その後、ポリエチレンを燃焼除去し、最終的に触媒のみを所定位置に残置させている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2005-289733号公報
【特許文献2】特開2006-16238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の硫酸分解器は、セラミックス製であるため溶接のできない特殊な容器であり、上述のような特殊な方法で、触媒を充填している。しかし、上述した従来の触媒充填方法では、外管を被せる工程で、触媒が摩擦で粉化し、さらに、ポリエチレン燃焼後にその残査が反応器内に残ってしまうため、触媒性能への影響が無視できなかった。
【0011】
従って、本発明の目的は、例えば、水素製造システムにおいて使用される硫酸分解器などのように、プロセスガスの通路が単純ではない特殊容器への触媒充填に際して、触媒が破損せず、触媒充填により生じるポリエチレン等の残渣が反応器内に残る恐れのない、新たな触媒充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明では、まず外管の取り付けを含め、硫酸分解器の触媒を除く基本構造物を完全に組立てた後に触媒を充填するようにして、外管取り付け時の触媒破損をなくすと同時に、ポリエチレン容器などに触媒を入れて設置する方法をやめて、圧縮ガスを用いて触媒粒子を所定位置まで圧送する充填方法を採用する。
【0013】
具体的には、本発明に係る触媒充填方法は、外管と内管から形成される流路と、前記流路内に充填された触媒を有し、前記流路を介して、前記流路の一端から他端に向けてプロセスガス又は液体は通過させることで、前記プロセスガス又は液体を処理する反応器に、前記触媒を充填する方法であって、前記触媒を不活性ガス流に載せて、前記反応器外部から前記内管を介して前記流路内に充填することを特徴とする。
【0014】
本発明の別の観点によれば、本発明は、反応器のハウジングを形成する、一端が開放され他端が閉塞された外管と、前記外管内に設けられた、両端が開放された内管を備え、前記内管の一方の開放端が前記外管の一方の開放端近くに設置され、前記内管の他方の開放端が前記外管の閉塞された他端近くまで延びており、前記外管と前記内管の間にプロセスガス又は液体の流路が形成され、前記流路が前記外管の開放端近くに、プロセスガス又は液体は通過させるが、粒状触媒は通過させない機構が設けられている反応器に、触媒を充填する方法であって、前記粒状触媒を不活性ガス流に載せて、前記反応器外部から前記内管の一方の開放端を介して前記流路内に充填することを特徴とする。
【0015】
IS(ヨウ素硫黄)プロセスを用いて水を熱分解し、水素を製造するシステムで使用する硫酸分解器への触媒充填方法であって、前記硫酸分解器が、ハウジングを形成する一端が閉塞された外管と、前記外管内に設けられた、両端が解放された内管を備え、前記外管と前記内管により形成される環状流路はプロセスガスを通過させるが粒状触媒を通過させないよう構成され、前記外管の一端から導入されたプロセス溶液(硫酸)をガス化し、前記環状流路に装填された粒状触媒によって、前記プロセスガス(硫酸)を処理し、内管の一端から内側の流路に入り、他端から排出されるようになっており、前記粒状触媒を不活性ガス流に載せて、前記内管の前記一端から前記外管と前記内管により形成される環状流路に充填することを特徴としている。
【0016】
さらに別の観点によれば、本発明の触媒充填方法が適用される反応器は、内管内にさらに内管よりも長い樹脂製の内管を設け、触媒を前記樹脂内管の内部を通して、前記外管と前記内管により形成される環状流路に充填するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外管取り付け後に触媒を装填するので、触媒装荷時の触媒の損傷による粉化が生じず、さらに触媒をポリエチレン容器に入れて装填する必要もないので、燃焼工程が不要で、ポリエチレン容器燃焼時の残渣も発生しない。
【0018】
さらに、この方法は燃焼工程を必要としないため、一定量の触媒を迅速に装荷できるので、 多管化(多数の硫酸分解器の並列設置)時の触媒充填工程を、大幅に短縮簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】高温ガス炉を利用した水素製造システムの概略構成図。
【図2】ISプロセスの概略説明図。
【図3】ISプロセスを用いた水素製造装置の概略構成図。
【図4】従来の触媒充填方法と本発明に係る触媒充填方法の説明図。
【図5】粒状触媒の状態を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図4を参照し、本発明の構成並びに作用効果について、具体的に説明する。
従来方法については、すでに説明した通りであるので、ここでは図4に示された本発明による触媒の充填方法についてのみ説明する。

【0021】
図4に示された反応器は、具体的には図3に示されたISプロセスにおいて使用されるバイヨネット型硫酸分解器である。この硫酸分解器は、SiC(炭化ケイ素)で作られた、反応器のハウジングを形成する外管1と、外管1内に設けられた、両端が解放された内管2を備えている。外管1の一端は閉塞され(図面の上部)、外管1と内管2により環状流路が形成され、環状流路の一端(図面の下部)では、プロセスガス流6を通過させるが粒状触媒3を通過させないよう構成されている。外管1の他端から供給されたプロセス溶液はガス化され、外管1の上部に装填された粒状触媒3によって、前記プロセスガスを処理する。その後、処理されたプロセスガスは、内管2の他端(図面の上部)に導入され、内管2の一端(図面の下部)から排出される。

【0022】
粒状触媒3は、図5に写真で示すように、径がSiC外管1の内面と内管2の外面によって形成されて空間の幅に比べて十分に小さい粒状をなしている。粒状触媒3は、例えば外部に設置された触媒充填装置(図示せず)において、予め決められた充填量の粒状触媒3が窒素ガスなど不活性ガスである圧縮ガス流に載せられ、内管2の一端から外管1の両端部に運ばれる。

【0023】
内管2内にはさらに内管2よりも長い管である樹脂製の内管4が設けられていて、触媒は樹脂内管4の内部を通り、外管1内に運ばれ、その両端部から順に充填される。樹脂内管4は、その内面がSiC管に較べ柔らかくかつ滑らかであるため、粒状触媒に与える衝撃が小さい。また、樹脂内管4を内管2よりも長くすることで、粒状触媒3の外管への充填が容易になる。

【0024】
以上、本発明に係る触媒充填方法について、主として、IS(ヨウ素硫黄)プロセスを用いて水を熱分解し、水素を製造するシステムで使用する硫酸分解反応器への触媒充填方法を例に掲げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、粒状触媒に限らず粉状触媒であっても良いし、要は圧縮ガス流と共に触媒容器内に送り込んで充填できるものであれば良い。

【0025】
また、溶接が可能な容器であっても、プロセスガスの通路構造が複雑である場合には、本発明の適用は充填時間の短縮の観点からも極めて効果的である。本発明では一定量の触媒を圧縮ガスの利用だけで短時間で充填できるため、例えば、大型の水素製造システムなどで多数の反応器に触媒を充填する必要があるときなど、製造コストに及ぼす影響は多大である。
【符号の説明】
【0026】
1…SiC外管
2…内管
3…粒状触媒
4…樹脂内管
5…ガス流
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4