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明細書 :二液相分離装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-176126 (P2018-176126A)
公開日 平成30年11月15日(2018.11.15)
発明の名称または考案の名称 二液相分離装置
国際特許分類 B01D  17/032       (2006.01)
FI B01D 17/032 502B
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2017-083525 (P2017-083525)
出願日 平成29年4月20日(2017.4.20)
新規性喪失の例外の表示 新規性喪失の例外適用申請有り
発明者または考案者 【氏名】田中 伸幸
【氏名】今 肇
【氏名】久保 真治
【氏名】直井 登貴夫
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
【識別番号】712003270
【氏名又は名称】大日機械工業株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】110001922、【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】二液相分離された各相の溶液の払出しにあたって、ポンプなど強制的払出機構が不要であり、払出時に各種能動制御が不要な、二液相分離装置を提供すること。
【解決手段】上部に上相溶液払出管が取り付けられ、底部に下相溶液払出管が取り付けられ、外部から供給される二液相混合溶液を貯留するための溶液静置タンクと、上相溶液払出管からオーバーフローによって払出される上相溶液を、貯留するための上相溶液タンクと、下相溶液払出管から重力によって払出される下相溶液を、貯留するための下相溶液タンクと、下相溶液払出管の途中に流体的に接続された、溶液静置タンクの垂直方向に上下移動可能な山なり管を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
上部に上相溶液払出管が取り付けられ、底部に下相溶液払出管が取り付けられ、外部から供給される二液相混合溶液を貯留するための溶液静置タンクと、前記上相溶液払出管からオーバーフローによって払出される上相溶液を貯留するための上相溶液タンクと、前記下相溶液払出管から重力によって払出される下相溶液を貯留するための下相溶液タンクと、前記下相溶液払出管の途中に流体的に接続された前記溶液静置タンクの垂直方向に上下移動可能な山なり管、を備えていることを特徴とする二液相分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二液相分離装置において、前記山なり管は、管全体が垂直面に対して傾斜自在に構成され、前記山なり管全体の垂直面からの傾斜角度を変えることによって、前記山なり管の最上部を垂直方向に上下移動させられるように構成されていることを特徴とする二液相分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二液相分離装置において、前記山なり管は、左右対象の平行管から成るコの字状をなし、それぞれの前記平行管の少なくとも一部分は伸縮自在な蛇腹管から構成され、前記山なり管全体を垂直方向に引き上げることによって、前記山なり管の最上部を垂直方向に上下移動させられるように構成されていることを特徴とする二液相分離装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、軽液相と重液相のように、二液に分離する性質を持つ溶液を容器内に静置し、容器内で二相分離された液体を、ポンプなどの強制的溶液払出機構を用いずに、それぞれの相の液体を他の容器に払出すことができる二液相分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1に示された、ISプロセスを用いた水素製造システムでは、ブンゼン反応の結果として、軽液相の硫酸(H2SO4)と重液相のヨウ化水素(HI)が得られる。これらの液は二相分離器において硫酸(H2SO4)とヨウ化水素(HI)に分離させられ、それぞれポンプによって別の系統に送られている。すなわち、容器内で二相分離された液体を、強制的溶液払出機構を用いて、他の容器に排出させている。
【0003】
一方、特許文献1に示された有機廃液の分離方法では、ポンプのような強制的溶液払出機構を使用せずに、外部の系に払出す機構を採用している。ここでは、メインタンク内に有機廃液を含む高レベル放射性廃液を流し込んで有機廃液を高レベル放射性廃液の液面上に相分離させた後、このメインタンク内に純水を注入して高レベル放射性廃液の液位を上昇させてその有機廃液を分離ピット内にオーバーフローさせ、その後、この分離ピット内に分離された有機廃液を排出ラインからメインタンク外へオーバーフローさせて排出するようにしている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10-288697号公報
【0005】

【非特許文献1】「高温ガス炉熱利用技術の研究開発の現状と今後の課題について」のPDF資料の9ページ(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/10/07/1352385_06.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術において、非特許文献1に示されているように、二液に分離する性質を持つ溶液を静置し、二液に分離する機能を有する分離装置において、上部払出管への下相溶液の混入および下部払出管への上相溶液の混入を防止するためには、上相液厚さ(界面位置)の検知と、これに応じた強制的溶液払出機構(ポンプなど)が必要となり、分離装置が複雑な構造となっている。
【0007】
一方、特許文献1に示されているようなオーバーフローを用いた払出しによる方法では、上相溶液の密度と下相溶液の密度が変動した際に、上相液厚さ(界面位置)も上下に変動するため、上部払出管への下相溶液の流出および下部払出管への上相溶液の流出が生じてしまうという課題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、二液相分離された各相の溶液の払出しにあたって、ポンプなど溶液を強制的に外部に払出すための能動機構が不要であり、払出時に各種能動制御が不要な、二液相分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの観点に係る二液相分離装置は、上部に上相溶液払出管が取り付けられ、底部に下相溶液払出管が取り付けられ、外部から供給される二液相混合溶液を貯留するための溶液静置タンクと、上相溶液払出管からオーバーフローによって払出される上相溶液を貯留するための上相溶液タンクと、下相溶液払出管から重力によって払出される下相溶液を貯留するための下相溶液タンクと、下相溶液払出管の途中に流体的に接続された、溶液静置タンクの垂直方向に上下移動可能な山なり管を備えている。
【0010】
より具体的には、山なり管は、管全体が垂直面に対して傾斜自在に構成され、管全体の垂直面からの傾斜角度を変えることによって、山なり管の最上部を垂直方向に上下移動させられるように構成されている。
【0011】
また、別の観点に係る山なり管は、例えば、左右対象の平行管から成るコの字状をなし、それぞれの平行管の少なくとも一部は伸縮自在な蛇腹管から構成され、山なり管全体を垂直方向に動かすことによって、山なり管の最上部を上下移動させられるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
二液に分離する性質を持つ溶液を貯槽し、上部払出管より上相溶液をオーバーフローさせ、下部払出管より下相溶液を流出させる構成のため、ポンプなど強制的払出機構が不要である。
【0013】
また、山なり管の最上部高さを調整することにより、上相液厚さ(界面位置)を適切に調整でき、各溶液の払出にポンプなど能動的制御が不要になる。特に、上相溶液の密度と下相溶液の密度が変動しても、界面位置を適切に調整することができる。また、界面位置を適切に調整出来ることにより、適切な上相液厚さが保持され、上部払出管への下相溶液の流出および下部払出管への上相溶液の流出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】溶液界面位置可変機構付き二液相分離装置の全体構成を示す概略図。
【図2】山なり管の一例の構成及び動作を説明するための模式図。
【図3】山なり管の他の例の構成及び動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る二液相分離装置の全体構成を図1に示す。図1において、符号10は外部から供給される二液相混合溶液を貯留するための溶液静置タンクを示す。溶液静置タンク10の上部には上相溶液払出管12が取り付けられ、底部には下相溶液払出管14が取り付けられている。符号20は、前記上相溶液払出管12からオーバーフローによって払出される上相溶液を貯留するための上相溶液タンクを示し、符号30は、下相溶液払出管14から重力によって払出される下相溶液を貯留するための下相溶液タンクを示している。

【0016】
下相溶液払出管14の途中には、垂直方向(高さ方向)に移動可能な山なり管40が接続されており、この山なり管の最上部は溶液静置タンクの気相部と均圧管により接続されている。このような構成にすることで、山なり管40の最上部位置を調整するだけで、下相溶液払出流量が調整され、その結果、溶液静置タンク10の二液相間の界面位置を制御することができる。山なり管40の最上部は、手動またはサーボモータなどを備えた昇降手段(図示せず)によって、垂直方向(高さ方向)に駆動させられるようになっている。サーボモータは上相溶液と下相溶液の界面位置を示す信号によって制御される。界面位置信号は、例えば、溶液静置タンク側面の観測窓(図示せず)を通してテレビカメラ等で撮影した画像信号を処理して容易に得ることができる。

【0017】
この構成は、上相溶液の密度と下相溶液の密度が変動しても、界面位置を適切に調整することができる。また、界面位置を適切に調整出来ることにより、適切な上相液厚さが保持され、上部溶液払出管12への下相溶液の流出および下相溶液払出管14への上相溶液の流出を防止できる。

【0018】
二液相混合溶液は、二液相混合溶液フィード管から溶液静置タンク10に供給される。二液相混合溶液の溶液静置タンク10への供給は、界面に大きな乱れが生じない程度の流速(流量)で行うことが好ましい。比較的大きな流量の二液相混合溶液を供給したい場合には、溶液静置タンク10として容量の大きなタンクを用いて、界面の乱れをできるだけ小さく抑えるようにすることが好ましい。

【0019】
次に、図2及び図3を参照して、山なり管40の構造および動作について説明する。図2は、2個の蛇腹管を有する山なり管40の一例を示している。具体的には、図2の山なり管40は、例えば、左右対象の平行管41、42と最上部管43から成るコの字状をなし、それぞれの平行管41、42の少なくとも一部分には伸縮自在な蛇腹管45が設けられている。このような構成によって、山なり管40全体を垂直方向に引き上げることができ、山なり管の最上部管43をより高い位置に移動させることができる。

【0020】
山なり管40の別の構成例を図3に示す。図3の山なり管40は、例えば、左右対象の平行管41,42と最上部管43から成るコの字状をなし、山なり管全体が垂直面に対して傾斜自在に構成されている。破線で示す状態から実線で示す状態に傾斜角度θを変えることによって、山なり管40の最上部管43を垂直方向により高い位置に移動させることができる。

【0021】
上述の実施例では、山なり管40としてコの字状の管を用いたが、山なり管は頂部を有し、溶液静置タンク10の界面位置に合わせて垂直方向に移動可能な構造を持つものであれば良い。したがって、例えば、台形や逆U字形の管など様々な形状の管を使用できる。

【0022】
以上説明したようにして、山なり管40の最上部を上下方向に移動させることにより、外部ポンプのような強制的溶液払出機構を使用せずに、溶液静置タンク10の二液相間の界面位置を自在に調整し、上相溶液および下相溶液のそれぞれを相互に混入することなく他の容器に払出すことができる。
【符号の説明】
【0023】
10…溶液静置タンク
12…上相溶液払出管
14…下相溶液払出管
16…二液相混合溶液供給管
20…上相溶液タンク
30…下相溶液タンク
40…山なり管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2