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明細書 :竜巻発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-165640 (P2020-165640A)
公開日 令和2年10月8日(2020.10.8)
発明の名称または考案の名称 竜巻発生装置
国際特許分類 F24F   7/06        (2006.01)
F24F  13/26        (2006.01)
F24F   9/00        (2006.01)
FI F24F 7/06 101Z
F24F 13/26
F24F 9/00 A
F24F 9/00 L
F24F 9/00 E
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 36
出願番号 特願2020-053041 (P2020-053041)
出願日 令和2年3月24日(2020.3.24)
優先権出願番号 2019061003
優先日 平成31年3月27日(2019.3.27)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】森西 洋平
【氏名】玉野 真司
【氏名】山田 格
【氏名】池田 大
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001128、【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 3L058
Fターム 3L058BH04
要約 【課題】従来よりも安定的に持続する竜巻を人工的に発生させる。
【解決手段】竜巻発生装置は、吸引口(41)が形成されたガイド面(40)を一方側に有するガイド部材(41、42)と、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において前記吸引口(41)の周りを回転することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかるように流すフィン(43)と、前記吸引口(41c)を通して、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を吸引することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側に竜巻を発生させる吸引ダクト(41a)と、を備える。
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
吸引口(41c)が形成されたガイド面(40)を一方側に有するガイド部材(41、42)と、
前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において前記吸引口(41)の周りを回転することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかるように流すフィン(43)と、
前記吸引口(41c)を通して、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を吸引することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側に竜巻を発生させる吸引ダクト(41a)と、を備えた竜巻発生装置。
【請求項2】
前記ガイド部材(41、42)が前記フィン(43)と同じ向きに回転することを特徴とする請求項1に記載の竜巻発生装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の重心の位置は、前記ガイド部材(41、42)の回転軸(S)にあることを特徴とする請求項1または2に記載の竜巻発生装置。
【請求項4】
前記ガイド部材(41、42)の回転数は、200rpmより大きいことを特徴とする請求項3に記載の竜巻発生装置。
【請求項5】
前記フィン(43)の長手方向は、前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかる方向に伸びることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項6】
前記竜巻は、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において、前記吸引ダクト(41a)によって吸い込まれる流体の流れの下流側から上流側に発達していくことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項7】
前記竜巻は、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において、前記吸引ダクト(41a)によって吸い込まれる流体の流れの上流側の端部から流体を吸引することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項8】
前記ガイド面(40)の面積は、前記吸引口(41c)の流路断面積の25倍以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項9】
前記吸引口から吸い込まれる流体から力を受けて回転するファンブレード(45)を備え、
前記フィンは、前記ファンブレードの回転によって発生する力を受けて回転することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項10】
吸引口(41)が形成されたガイド面(40)を一方側に有すると共に、回転することで前記一方側にある流体を前記ガイド面(40)で引き摺って前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかるように流すガイド部材(41、42)と、
前記吸引口(41c)を通して、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を吸引することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側に竜巻を発生させる吸引ダクト(41a)と、を備えた竜巻発生装置。
【請求項11】
前記吸引口から吸い込まれる流体から力を受けて回転するファンブレード(45)を備え、
前記ガイド部材は、前記ファンブレードの回転によって発生する力を受けて回転することを特徴とする請求項10に記載の竜巻発生装置。
【請求項12】
前記ガイド(40)面の前記一方側に地衡流が発生することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
【請求項13】
前記吸引ダクトは、前記ガイド部材(41、42)の回転軸(S)を中心として回転し、または、前記回転軸に対して偏心して回転する、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の竜巻発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、竜巻発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工的に竜巻を発生させる装置として、特許文献1に記載のような換気装置が知られている。特許文献1に記載の換気装置は、吸引力を得るための遠心排気筒と、遠心排気筒の下部に連設される円筒とを有する。
【0003】
遠心排気筒および円筒がモータ軸を中心に回転すると、遠心排気筒内の空気が円周方向へ排出され、遠心排気筒の底板の中心部に形成された開放部より円筒内の空気が遠心排気筒内に吸引される。このとき、円筒内に設けられた板状羽根の回転により、円筒内の空気に回転が与えられる。この結果、円筒の内部及びその下部の空気に渦が形成される。この渦流は下方に引き伸ばされて渦管を形成する力学的な煙突効果で人工竜巻が発生する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平5-296511号公報
【特許文献2】国際公開第2017/221976号公報
【特許文献3】特開2008-36579号公報
【特許文献4】特開平8-280621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本願の発明者の検討によれば、特許文献1に記載の装置は、回転する円筒内の粗さを用いて円筒内に旋回流を生成しているに過ぎず、このような装置は、本願発明者の実験によれば、持続しない弱い竜巻しか発生させることができない。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、従来よりも安定的に持続する竜巻を人工的に発生させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、吸引口(41c)が形成されたガイド面(40)を一方側に有するガイド部材(41、42)と、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において前記吸引口(41)の周りを回転することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかるように流すフィン(43)と、前記吸引口(41c)を通して、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を吸引することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側に竜巻を発生させる吸引ダクト(41a)と、を備えた竜巻発生装置である。
【0008】
このように、ガイド部材の一方側にある流体が、フィンの回転によって、ガイド面に沿って吸引口から遠ざかるように流される。このとき、エントレインメントが発生する。すなわち、吸引口から遠ざかった分の空気を補うように、ガイド面に近付く流れが発生する。その結果、流体が回転系の流体力学におけるテイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流体の流れ場、すなわち、当該回転軸方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。この流れ場が、竜巻の発生、発達、安定化を促進する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記ガイド部材(41、42)が前記フィン(43)と同じ向きに回転することを特徴とする。このように、ガイド部材がフィンと同じ向きに回転することで、ガイド面に沿って吸引口から遠ざかるように流される流れが強くなる。したがって、エントレインメントがより強化される。その結果、竜巻の安定性が向上する。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記ガイド部材の重心の位置は、前記ガイド部材(41、42)の回転軸(S)にあることを特徴とする。このようになっていることで、ガイド部材の回転時におけるガイド部材の重心の移動量が低減される。したがって、竜巻発生装置の安定的な作動が実現し、ひいては、ガイド部材の回転数を高くすることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記ガイド部材(41、42)の回転数は、200rpmより大きいことを特徴とする。このような高速な回転により、竜巻が更に安定化する。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記フィン(43)の長手方向は、前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかる方向に伸びることを特徴とする。このようにすることで、ガイド部材の一方側にある流体をガイド面に沿って吸引口から遠ざかるように流す効果が高まる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記竜巻は、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において、前記吸引ダクト(41a)によって吸い込まれる流体の流れの下流側から上流側に発達していくことを特徴とする。これにより、安定的に発達する竜巻が実現する。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、前記竜巻は、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側において、前記吸引ダクト(41a)によって吸い込まれる流体の流れの上流側の端部から流体を吸引することを特徴とする。これにより、安定的に発達する竜巻が実現する。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、前記ガイド面(40)の面積は、前記吸引口(41c)の流路断面積の25倍以上であることを特徴とする。このようにすることで、エントレインメントの効果を高くして、竜巻を更に安定化させることができる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、前記吸引口から吸い込まれる流体から力を受けて回転するファンブレード(45)を更に備え、前記フィンは、前記ファンブレードの回転によって発生する力を受けて回転することを特徴とする。
【0017】
このように、吸引する流体から受けた力を利用してフィンを回転させるファンブレードを設けることで、竜巻を発生させるための流体の吸引そのものに加えて、フィンの回転も、流体の吸引によって発生させることができる。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、吸引口(41)が形成されたガイド面(40)を一方側に有すると共に、回転することで前記一方側にある流体を前記ガイド面(40)で引き摺って前記ガイド面(40)に沿って前記吸引口(41c)から遠ざかるように流すガイド部材(41、42)と、前記吸引口(41c)を通して、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側にある流体を吸引することで、前記ガイド部材(41、42)の前記一方側に竜巻を発生させる吸引ダクト(41a)と、を備えた竜巻発生装置である。
【0019】
このように、ガイド部材の一方側にある流体が、ガイド面に引き摺られてガイド面に沿って吸引口から遠ざかるように流される。このとき、エントレインメントが発生する。すなわち、吸引口から遠ざかった分の空気を補うように、ガイド面に近付く流れが発生する。その結果、流体が回転系の流体力学におけるテイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流体の流れ場、すなわち、当該回転軸方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。この流れ場が、竜巻の発生、発達、安定化を促進する。
【0020】
また、請求項11に記載の発明は、前記吸引口から吸い込まれる流体から力を受けて回転するファンブレード(45)を更に備え、前記ガイド部材は、前記ファンブレードの回転によって発生する力を受けて回転することを特徴とする。
【0021】
このように、吸引する流体から受けた力を利用してガイド部材を回転させるファンブレードを設けることで、竜巻を発生させるための流体の吸引そのものに加えて、ガイド部材の回転も、流体の吸引によって発生させることができる。
【0022】
また、請求項12に記載の発明は、前記ガイド(40)面の前記一方側に地衡流が発生することを特徴とする。このような地衡流の存在により、竜巻の発生、発達、安定化が促進される。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、前記吸引ダクトは、前記ガイド部材(41、42)の回転軸(S)を中心として回転し、または、前記回転軸に対して偏心して回転することを特徴とする。
【0024】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】竜巻発生システム1の構成図である。
【図2】駆動部および回転部の正面図である。
【図3】回転軸を含み回転軸に平行な断面で駆動部および回転部を切った断面図である。
【図4】回転部の斜視図である。
【図5】回転部の底面図である。
【図6】回転部の回転によって発生する竜巻等を示す図である。
【図7】第2実施形態における回転部の回転によって発生する竜巻等を示す図である。
【図8】第3実施形態における回転部の底面図である。
【図9】第4実施形態における回転部の底面図である。
【図10】第5実施形態における回転部の底面図である。
【図11】第6実施形態における回転部の底面図である。
【図12】第7実施形態における回転部の底面図である。
【図13】第8実施形態における回転部の底面図である。
【図14】第9実施形態における回転部の底面図である。
【図15】第10実施形態において回転軸を含み回転軸に平行な断面で駆動部および回転部を切った断面図である。
【図16】第11実施形態において回転軸を含み回転軸に平行な断面で駆動部および回転部を切った断面図である。
【図17】実験例の条件を示す表1である。
【図18】実験例の条件を示す表2である。
【図19】実験例の条件を示す表3である。
【図20】実験例の条件を示す表4である。
【図21】ケース1-1における空気流れを示す写真である。
【図22】ケース1-2における空気流れを示す写真である。
【図23】ケース1-3における空気流れを示す写真である。
【図24】ケース1-4における空気流れを示す写真である。
【図25】ケース1-5における空気流れを示す写真である。
【図26】ケース1-6における空気流れを示す写真である。
【図27】ケース1-7における空気流れを示す写真である。
【図28】ケース1-8における空気流れを示す写真である。
【図29】ケース2-1における空気流れを示す写真である。
【図30】ケース2-2における空気流れを示す写真である。
【図31】ケース2-3における空気流れを示す写真である。
【図32】ケース2-3における空気流れを示す写真である。
【図33】ケース2-4における空気流れを示す写真である。
【図34】ケース2-5における空気流れを示す写真である。
【図35】ケース2-6における空気流れを示す写真である。
【図36】ケース3-1における空気流れを示す写真である。
【図37】ケース3-2における空気流れを示す写真である。
【図38】ケース3-3における空気流れを示す写真である。
【図39】ケース3-4における空気流れを示す写真である。
【図40】ケース3-5における空気流れを示す写真である。
【図41】ケース3-6における空気流れを示す写真である。
【図42】ケース3-7における空気流れを示す写真である。
【図43】ケース3-8における空気流れを示す写真である。
【図44】ケース3-9における空気流れを示す写真である。
【図45】ケース3-10における空気流れを示す写真である。
【図46】ケース3-11における空気流れを示す写真である。
【図47】ケース4-1における空気流れを示す写真である。
【図48】ケース4-2における空気流れを示す写真である。
【図49】ケース4-3における空気流れを示す写真である。
【図50】ケース4-4における空気流れを示す写真である。
【図51】ケース4-5における空気流れを示す写真である。
【図52】タフトの正面図である。
【図53】タフトをガイド面近くに配置している状態の写真である。
【図54】図53の状態におけるタフトの糸の姿勢を示す図である。
【図55】タフトをガイド面と床面から等距離の位置に配置している状態の写真である。
【図56】図55の状態におけるタフトの糸の姿勢を示す図である。
【図57】タフトを床面近くに配置している状態の写真である。
【図58】図57の状態におけるタフトの糸の姿勢を示す図である。
【図59】N=150rpm、フィンなしの場合の速度分布を示す図である。
【図60】N=150rpm、フィンありの場合の速度分布を示す図である。
【図61】N=200rpm、フィンなしの場合の速度分布を示す図である。
【図62】N=200rpm、フィンありの場合の速度分布を示す図である。
【図63】N=250rpm、フィンなしの場合の速度分布を示す図である。
【図64】N=250rpm、フィンありの場合の速度分布を示す図である。
【図65】N=300rpm、フィンなしの場合の速度分布を示す図である。
【図66】N=300rpm、フィンありの場合の速度分布を示す図である。
【図67】スワール数Sおよびスケール比H/dに対するVθmax/Vaxの依存性を示すグラフである。
【図68】回転部の回転によって発生する竜巻等を示す図である。
【図69】第11実施形態における駆動部、回転部の斜視図である。
【図70】回転軸Sを含む断面で駆動部、回転部を切った断面図である。
【図71】回転部の平面図である。
【図72】回転部の斜視図である。
【図73】第11実施形態における空気流れを示す写真である。
【図74】第11実施形態における実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る竜巻発生システム1は、吸引装置11、遠心分離機12、配管13、エアフロメータ14、および竜巻発生装置15を有している。

【0027】
吸引装置11は、遠心分離機12を介して流体である空気を吸入する装置である。遠心分離機12は、吸入した空気中の粉塵を空気から分離する装置である。遠心分離機12における空気の排出側端が吸引装置11に接続され、空気の吸入側端部が配管13に接続される。配管13は、空気を通す流路を形成する管であり、その一端が遠心分離機12に接続され、他端が竜巻発生装置15に接続される。エアフロメータ14は、配管13を流れる空気の流量を測定および表示する装置である。

【0028】
竜巻発生装置15は、フレーム51、固定ダクト52、駆動部53、回転部54を有している。フレーム51は、地上に設置されて台座として機能する。固定ダクト52は、空気を通す流路を形成する管であり、フレーム51に固定されている。固定ダクト52の一端は、配管13の竜巻発生装置15側端部に接続されている。固定ダクト52の他端は、駆動部53に接続されている。

【0029】
図2、図3に示すように、駆動部53は、ボディ31、ステー32、円筒歯車33、ベアリング34を有している。ボディ31は、フレーム51に固定されると共に、内部に空気の流路31aが形成される部材である。この流路31aは、一端において固定ダクト52の駆動部53側端内の流路に連通し、他端は、円筒歯車33内の流路に連通する。ステー32は、ボディ31の下側端に固定される略円筒形状の部材である。

【0030】
円筒歯車33は、ボディ31とステー32の間に配置される、円筒形状の部材である。円筒歯車33は、外周に外歯が形成されていることで、歯車として機能する。この外歯は、伝達歯車36と噛み合う。また、円筒歯車33の内部は、空気の流路33aとなる。流路33aの一端は、ボディ31の流路31aに連通し、他端はダクト部材41に連通する。

【0031】
ベアリング34は、ボールベアリングである。ベアリング34は、ステー32のボディ31側端に保持されると共に、円筒歯車33をステー32に対して回転可能に支持する。

【0032】
モータ35は、ボディ31に固定されて、不図示の電源より電力供給を受けて、その出力軸から回転力を出力する電気モータである。モータ35の出力軸は、伝達歯車36の回転中心に固定されている。

【0033】
伝達歯車36は、外歯を有する平歯車である。伝達歯車36の外歯は、円筒歯車33の外歯と噛み合う。伝達歯車36は、モータ35の出力軸から回転力が伝達されることで回転し、円筒歯車33との噛み合いを介して当該回転力を円筒歯車33に伝達する。これにより、モータ35が発生した回転力により、円筒歯車33がその中心軸を回転軸Sとして回転する。

【0034】
回転部54は、ダクト部材41、カバー部材42、および複数枚のフィン43を有している。ダクト部材41は、吸引ダクト41aおよび内側円盤部41bを有し、全体として一体に形成されている。

【0035】
吸引ダクト41aは、回転軸Sを中心軸として回転軸S方向に真っ直ぐ伸びる直管である。吸引ダクト41aの一端側(すなわち上端側)には、円筒歯車33の下端が圧入固定されている。したがって、吸引ダクト41aは、円筒歯車33と一体に回転する。それと共に、円筒歯車33内の流路33aと吸引ダクト41a内の流路410とが連通する。吸引ダクト41aの他端側(すなわち下端側)には、内側円盤部41bが接続されている。

【0036】
内側円盤部41bは、中心に円形の吸引口41cが形成された円盤形状の板である。吸引ダクト41aの下端部は、内側円盤部41bの吸引口41cを囲む部分の上側面に接続されている。したがって、吸引ダクト41a内の流路410は吸引口41cに連通する。

【0037】
カバー部材42は、内側円盤部41bに固定される板部材であり、内側円盤部41bを上から覆っている。カバー部材42は、固定部42aおよび外側円盤部42bを有している。固定部42aは、中心部には穴が空けられた部材である。この穴には、吸引ダクト41aが挿通されている。固定部42aは、内側円盤部41bに対して回転軸S方向に重なっており、内側円盤部41bの上側の面に、例えばボルトにより、固定されている。

【0038】
外側円盤部42bは、固定部42aと一体に形成された板部材であり、その内周端は内側円盤部41bの外周端と、全周において接触している。また、外側円盤部42bの外周端は、円形となっている。

【0039】
内側円盤部41bの一方側(すなわち下側)の面411と、外側円盤部42bの当該一方側の面421とは、段差なく滑らかかつ面一に、回転軸Sに対して垂直に交差するように形成されている。つまり、面411、412は、1つの平らな円形の底面であるガイド面40を形成する。ダクト部材41とカバー部材42とが、全体としてガイド部材に対応する。

【0040】
ガイド面40の半径は、吸引口41cの半径の5倍以上かつ10倍以下となっていてもよい。すなわち、ガイド面40の面積は、吸引口41cの流路断面積の25倍以上かつ100倍以下となっていてもよい。また、ガイド面40の半径は、吸引口41cの半径の10倍より大きくてもよい。すなわち、ガイド面40の面積は吸引口41cの流路断面積の100倍より大きくてもよい。このようにすることで、エントレインメントの効果を高くして、竜巻を更に安定化させることができる。

【0041】
複数枚のフィン43の各々は、図2、図3、図4、図5に示すように、ガイド面40に対して直角に交差する細長い板である。このようにすることで、ガイド面40の下側にある流体をガイド面40に沿って吸引口41cから遠ざかるように流す効果が高まる。複数枚のフィン43の枚数は6であるが、6以外であってもよい。

【0042】
各フィン43は、面411と面421の両方に対して固定される。また、各フィンは、面411と面421に対して回転軸Sの方向に重なっている。また、各フィン43は、ガイド面40に沿って、回転軸Sから遠ざかる方向に真っ直ぐ伸びている。より具体的には、複数枚のフィン43は、回転軸Sを中心として放射状に配置されている。すなわち、各フィン43の長手方向は、回転軸Sを中心とする径方向に伸びている。このようにすることで、ガイド面40の下方側にある流体をガイド面40に沿って吸引口41cから遠ざかるように流す効果が高まる。また、各フィン43の長手方向の長さは、ガイド面40の外縁の半径の1/2より長い。

【0043】
このような構成により、円筒歯車33、吸引ダクト41a、内側円盤部41b、固定部42a、外側円盤部42b、および複数枚のフィン43は、伝達歯車36を介してモータ35の回転力が伝達されることで、回転軸Sを中心として一体に剛体回転する。

【0044】
また、上記のような構成の竜巻発生システム1において、内側円盤部41bに形成された吸引口41c、吸引ダクト41a内の流路410、円筒歯車33内の流路33a、ボディ31内の流路31aが、この順に互いに連通する。そして、流路31aは、固定ダクト52内の流路、配管13内の流路、遠心分離機12内の流路にも連通する。

【0045】
次に、上記のような構成の竜巻発生システム1の作動について、図6、図68を用いて説明する。竜巻発生システム1の使用時には、モータ35および吸引装置11が始動する。これにより、上述の通り、円筒歯車33、吸引ダクト41a、内側円盤部41b、固定部42a、外側円盤部42b、および複数枚のフィン43が、回転軸Sを中心として一体に同期して同じ方向に角速度ωで回転する。それと共に、吸引口41cから空気が流量Qで吸い込まれる。

【0046】
これにより、ガイド面40上において、境界層91が、回転軸Sから遠ざかる方向に発達していく。より具体的には、回転軸Sを中心とする半径r方向に円盤境界層流れが発達する。この境界層91は、ガイド面40の回転に引き摺られることで吸引口41cの周りを旋回しながら、ガイド面40に沿ってガイドされて吸引口41cから遠ざかるように流れる空気流61の層である。図68においては、境界層における空気の流速の半径r方向成分Vrのz方向位置に対する依存性を表すグラフ92が、複数の半径rの位置において示されている。ここで、z方向は、回転軸Sに平行な方向である。

【0047】
境界層91の発達と同時に、ガイド面40と同じ方向に回転する複数枚のフィン43の作用により、吸引口41cの周りを回転しながら吸引口41cから遠ざかるように空気が流される。すなわち、ガイド面40付近の境界層91がより大きく発達する。

【0048】
この結果、境界層において空気が回転軸Sを中心とする径方向外側に、かつ回転軸Sに交差する方向(例えば垂直な方向)に、排出される。これにより、ガイド面40の外縁から更に径方向外側まで、空気が排出される。

【0049】
このとき、エントレインメントが発生する。すなわち、図6、図68に示すように、排出された分の空気を補うように、境界層の下方の空間において、ガイド面40に近付いて、ガイド面40の中心部に流れ込む緩い上昇流62が発生する。この上昇流62の流速のz方向成分は、Veである。

【0050】
このような上昇流62があることに加え、ガイド面40および複数枚のフィン43が回転していることで、ガイド面40の下方の空間が、回転系の流体力学に支配されるようになる。具体的には、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った空気の流れ場、すなわち、回転軸S方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。

【0051】
この流れ場においては、図68に示すように、空気流の周方向成分Vθは、回転軸Sからある程度の半径までの領域である中心部において、半径rに比例して増大する。すなわち、剛体回転的に振る舞う。そして、この中心部のエントレインメント速度が下方まで伝達する。

【0052】
換言すれば、地衡流に相当する流れ場、すなわち、圧力勾配と回転座標系におけるコリオリ力とが釣り合った流れ場が、ガイド面40の下側、より具体的にはガイド面40から床面66の間に、発生する。この回転座標系は、回転部54に固定されて回転する座標系である。

【0053】
また、吸引装置11が作動することにより、ガイド面40の下側の空気が、矢印63のように吸引口41cに吸い込まれる。そして、吸い込まれた空気は、矢印64に示すように、吸引口41cから、吸引ダクト41a、円筒歯車33、流路31a、固定ダクト52、配管13、遠心分離機12を通って、吸引装置11に吸い込まれる。

【0054】
上述のように、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流れ場が存在する状況において、さらにこのような吸い込みによる流れが存在することで、上昇流62が強化される。その結果、図6に示すように、強い竜巻65が発生し、発達し、安定して持続する。このように、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流れ場が、竜巻65の発生、発達、安定化を促進する。具体的には、地衡流に相当する流れ場があるので、竜巻65の形状が、回転軸S方向にあまり変化しない。すなわち、吸引口41cから遠い場所において竜巻65が拡散して弱まってしまうことを抑制できる。

【0055】
なお、竜巻65は、吸引ダクト41aによって吸い込まれる空気の流れの下流側から上流側に発達していく。より具体的には吸引口41cまたはその近傍から、吸引口41cに対して空気の流れの上流側に向けて、竜巻65が発達していく。また、回転部54の回転数と竜巻65の渦の回転数とは、ほぼ同じになる。

【0056】
この際、竜巻65は、吸引ダクトによって吸い込まれる流体の流れの上流側の端部(すなわち先端部)から主に空気を吸引し、その側面からはあまり吸引しない。よって、竜巻発生装置15は、指向性のある吸引を行える。この指向性のある吸引は、空中に存在する気体および浮遊物を効率的に吸引する遠隔吸引を、可能にする。また、この指向性のある吸引は、図6のように、床面66に置かれた物体も吸引する。床面66に竜巻65が到達するからである。

【0057】
また、回転部54の回転中心である回転軸Sは、吸引口41cを貫く。このようになっていることで、回転部54の回転時における回転部54の重心の移動量が低減される。すなわち、回転部54のぶれが抑制される。したがって、竜巻発生装置15の安定的な作動が実現し、ひいては、回転部54の回転数を高くすることができる。

【0058】
より詳しくは、吸引ダクト41aの中心軸と回転軸Sとが一致する。また、吸引ダクト41aの重心、内側円盤部41bの重心、カバー部材42の重心のいずれもが、回転軸Sと一致する。また、回転部54全体の重心も、回転軸Sと一致する。これにより、回転部54のぶれの抑制効果が高まる。したがって、回転部54の回転数をより高くすることができる。

【0059】
また、各フィン43の長手方向の長さがガイド面40の外縁の半径の1/2より長い。したがって、空気を吸引口41cから遠ざかる方向に送る効果が高い。また、ガイド面40の半径は、吸引口41cの半径の5倍以上となっている。これにより、エントレインメントの効果を高くして、竜巻を更に安定化させることができる。また、また、ガイド面40の半径は、吸引口41cの半径の10倍以下であれば、ある程度コンパクトに竜巻発生システム1を作成することができる。

【0060】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の竜巻発生システム1に対して、複数枚のフィン43のすべてを除去したものである。それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。

【0061】
本実施形態の竜巻発生システム1の作動は、以下の通りである。竜巻発生システム1の使用時には、モータ35および吸引装置11が始動する。これにより、上述の通り、円筒歯車33、吸引ダクト41a、内側円盤部41b、固定部42a、外側円盤部42bが、回転軸Sを中心として一体に剛体回転する。

【0062】
これにより、ガイド面40上において、境界層が回転軸Sから遠ざかる方向に発達していく。この境界層は、ガイド面40の回転に引き摺られることで吸引口41cの周りを旋回しながら、ガイド面40に沿ってガイドされて吸引口41cから遠ざかるように流れる空気流61の層である。

【0063】
この結果、境界層において空気が回転軸Sを中心とする径方向外側に排出される。このとき、エントレインメントが発生する。すなわち、図7に示すように、排出された分の空気を補うように、境界層の下方の空間において、ガイド面40に近付いて、ガイド面40の中心部に流れ込む緩い上昇流62が発生する。

【0064】
このような上昇流62があることに加え、ガイド面40が回転していることで、ガイド面40の下方の空間が、回転系の流体力学に支配されるようになる。具体的には、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った空気の流れ場、すなわち、回転軸S方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。

【0065】
また、吸引装置11が作動することにより、ガイド面40の下側の空気が、矢印63のように吸引口41cに吸い込まれる。そして、吸い込まれた空気は、矢印64に示すように、フレーム51cから、吸引ダクト41a、円筒歯車33、流路31a、固定ダクト52、配管13、遠心分離機12を通って、吸引装置11に吸い込まれる。

【0066】
上述のように、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流れ場が存在する状況において、さらにこのような吸い込みによる流れが存在することで、上昇流62が強化される。その結果、図7に示すように、強い竜巻65が発生し、発達し、安定して持続する。このように、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流れ場が、竜巻65の発生、発達、安定化を促進する。換言すれば、地衡流に相当する流れが発生する。

【0067】
なお、竜巻65は、吸引ダクト41aによって吸い込まれる空気の流れの下流側から上流側に発達していく。より具体的には吸引口41cまたはその近傍から、吸引口41cに対して空気の流れの上流側に向けて、竜巻65が発達していく。また、回転部54の回転数と竜巻65の渦の回転数とは、ほぼ同じになる。

【0068】
この際、竜巻65は、吸引ダクトによって吸い込まれる流体の流れの上流側の端部(すなわち先端部)から主に空気を吸引し、その側面からはあまり吸引しない。よって、竜巻発生装置15は、指向性のある吸引を行える。この指向性のある吸引は、空中に存在する気体および浮遊物を効率的に吸引する遠隔吸引を、可能にする。また、この指向性のある吸引は、図7のように、床面66に置かれた物体も吸引する。床面66に竜巻65が到達するからである。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0069】
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長さが変更されたものである。具体的には、図8に示すように、各フィン43の長手方向の長さがガイド面40の外縁の半径の1/2より短い。

【0070】
また、各複数枚のフィン43の長手方向における回転軸S側の端部から回転軸Sまでの最短距離と、当該端部からガイド面40の外縁までの最短距離を比較すると、前者の方が短い。すなわち、複数枚のフィン43は、ガイド面40の内周側に偏って配置されている。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0071】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0072】
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長さが変更されたものである。具体的には、図9に示すように、各フィン43の長手方向の長さがガイド面40の外縁の半径の1/2より短い。

【0073】
また、各複数枚のフィン43の長手方向における回転軸S側の端部から回転軸Sまでの最短距離と、当該端部からガイド面40の外縁までの最短距離を比較すると、後者の方が短い。すなわち、複数枚のフィン43は、ガイド面40の外周側に偏って配置されている。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0074】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。なお、第3実施形態と比較した場合、本実施形態の方が、ガイド面40に沿って流れる空気を外周側に排出する効果が高いので、竜巻の安定により高く寄与する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0075】
(第5実施形態)
次に第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長手方向の延伸方向が変更されたものである。具体的には、図10に示すように、各フィン43の長手方向は、それが回転軸Sに垂直な面に投影された場合、回転軸Sを中心とする径方向に対して所定角度αだけ傾いて、真っ直ぐ伸びている。

【0076】
所定角度αは、回転部54の回転方向Rを正方向とすると、0°より小さく-90°よりも大きい角度である。例えば、図10においては、当該所定角度αは-15°である。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0077】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0078】
(第6実施形態)
次に第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長手方向の延伸方向が変更されたものである。具体的には、図11に示すように、各フィン43の長手方向は、それが回転軸Sに垂直な面に投影された場合、回転軸Sを中心とする径方向に対して所定角度βだけ傾いて、真っ直ぐ伸びている。

【0079】
所定角度βは、回転部54の回転方向Rを正方向とすると、0°より大きく90°よりも小さい角度である。例えば、図11においては、当該所定角度βは15°である。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0080】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0081】
(第7実施形態)
次に第7実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長手方向の延伸方向が変更されたものである。具体的には、図12に示すように、各フィン43の長手方向は、それが回転軸Sに垂直な面に投影された場合、回転軸Sを中心とする径方向に対する角度θが、回転軸Sから遠ざかるにつれて変化する。

【0082】
具体的には、回転部54の回転方向Rを正方向とすると、角度θは、0°より小さく-90°よりも大きい範囲で、回転軸Sから遠ざかるにつれて、減少する。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0083】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0084】
(第8実施形態)
次に第8実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の長手方向の延伸方向が変更されたものである。具体的には、図13に示すように、各フィン43の長手方向は、それが回転軸Sに垂直な面に投影された場合、回転軸Sを中心とする径方向に対する角度φが、回転軸Sから遠ざかるにつれて変化する。

【0085】
具体的には、回転部54の回転方向Rを正方向とすると、角度θは、0°より大きく90°よりも小さい範囲で、回転軸Sから遠ざかるにつれて、増大する。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。

【0086】
このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0087】
(第9実施形態)
次に第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、複数枚のフィン43の形状が変更されたものである。具体的には、図14に示すように、各フィン43は、回転軸S方向に伸びる略円柱の形状を有する。その他の複数枚のフィン43の構成は、第1実施形態と同じである。このようになっていても、第1実施形態と同様の原理により、竜巻が安定して発生する。その他、第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0088】
(第10実施形態)
次に第10実施形態について、図15を用いて説明する。本実施形態は、第1~第9実施形態の各々に対して、カバー部材42の構成が変更されたものである。具体的には、カバー部材42は、第1~第9実施形態の固定部42a、外側円盤部42bに加え、スカート部材42cを有している。

【0089】
スカート部材42cは、外側円盤部42bの外縁に固定される。円環形状の部材である。スカート部材42cの底面42dは、回転軸Sを中心とする全周において、ガイド面40と滑らかに接続する。当該下側の底面42dを回転軸Sに垂直な断面で切って得られた切断線の回転軸S方向の位置は、回転軸Sから遠ざかるほど下方にずれている。また、この切断線の接線は、回転軸Sから遠ざかるほど、回転軸Sと成す鋭角の角度が小さくなっていく。また、底面42dの外縁における切断線の接線は、回転軸Sと平行であってもよい。

【0090】
また、底面42dの外縁における切断線の接線は、下方に行くほど回転軸Sから遠ざかるようになっていてもよい。つまり、底面42dの外縁は、下方に対して開くような形状になっていてもよい。

【0091】
このスカート部材42cは、外側円盤部42bと一体的に同期して同じ方向に回転する。底面42dは、回転軸Sに関して軸対称である。

【0092】
以下、本実施形態の竜巻発生システム1の作動について、第1~第9実施形態との違いの部分を中心に説明する。第1~第9実施形態と同様、モータ35および吸引装置11が始動すると、スカート部材42cを含む回転部54全体および円筒歯車33が、回転軸Sを中心として一体に同期して同じ方向に回転する。

【0093】
これにより、回転するガイド面40の引き摺り作用および(あれば)回転する複数枚のフィン43の作用によって、第1~第9実施形態と同等の空気流61から成る境界層が生成される。ただし、本実施形態では、空気流61は、ガイド面40の外縁を超えてスカート部材42cの底面42dに至ると、底面42dの形状に沿って下方に向きを変え、そのまま下方に排出される。

【0094】
このようになっていても、空気流61が排出されるので、第1~第9実施形態と同様、ガイド面40上において、当該境界層が、回転軸Sから遠ざかる方向に発達していく。したがって、これに起因してエントレインメントが発生し、更に、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った空気の流れ場、すなわち、回転軸S方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。そして、そのような状況において、空気が吸引口41cから吸引ダクト41aに吸い込まれることで、強い竜巻65が発生し、発達し、安定して持続する。これは、第1~第9実施形態と同様である。その他、第1~第9実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0095】
なお、吸引口41cから底面42dの外縁までの回転軸Sに沿った位置の差(すなわち高低差)は、ガイド面40の半径よりも小さい。したがって、後述する空気流61が回転軸Sを中心とする径方向外側に排出され易いので、エントレインメントが発生する。

【0096】
(第11実施形態)
次に第11実施形態について、図16を用いて説明する。本実施形態は、第1~第10実施形態の各々に対して、吸引ダクト41aの形状が変更されている。具体的には、吸引ダクト41aが直管形状となっておらず、曲がっている。

【0097】
その結果、吸引ダクト41aの円筒歯車33側部分の中心軸は回転軸Sと一致するが、吸引ダクト41aのカバー部材42側部分の中心軸Sxは、円筒歯車33側部分の中心軸は回転軸Sに対してずれている。したがって、吸引口41cの中心も、回転軸Sに対してずれている。つまり、吸引ダクト41aおよび吸引口41cが、回転軸Sに対して偏心している。その他の構成は、第1~第10実施形態と同様である。なお、回転軸Sは中心軸Sxと平行であってもよいし、平行でなくてもよい。

【0098】
なお、図16では複数枚のフィン43が表されているが、本実施形態が第2実施形態に対する変更である場合は、回転部54は複数枚のフィン43を有さない。また、図16ではスカート部材が表されていないが、本実施形態が第10実施形態に対する変更である場合は、カバー部材42はスカート部材42cを有している。

【0099】
以下、本実施形態の竜巻発生システム1の作動について、第1~第10実施形態との違いの部分を中心に説明する。第1~第10実施形態と同様、モータ35および吸引装置11が始動すると、スカート部材42cを含む回転部54全体および円筒歯車33が、回転軸Sを中心として一体に同期して同じ方向に回転する。これにより、回転するガイド面40の引き摺り作用および(あれば)回転する複数枚のフィン43の作用によって、第1~第10実施形態と同等の空気流61から成る境界層が生成される。そして、ガイド面40上において、当該境界層が、回転軸Sから遠ざかる方向に発達していく。したがって、これに起因してエントレインメントが発生し、更に、テイラー・プラウドマンの定理に概ね従った空気の流れ場、すなわち、回転軸S方向に概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。そして、そのような状況において、空気が吸引口41cから吸引ダクト41aに吸い込まれることで、強い竜巻65が発生し、発達し、安定して持続する。これは、第1~第10実施形態と同様である。

【0100】
それに加え、本実施形態では、吸引口41cの中心が回転軸Sからずれているので、回転部54が回転することにより、吸引口41cが回転軸S周りに公転する。より具体的には、吸引口41cの中心が、回転軸Sを中心に円運動する。吸引口41cの公転半径は、吸引口41cの水力直径の1/2より短くてもよいし、長くてもよい。

【0101】
吸引口41cの公転半径が吸引口41cの水力直径の1/2より長い場合、吸引口41cのうち最も回転軸Sに近い部分の公転による軌跡の内側の静圧が、大気圧に比べて低くなる。これにより、当該軌跡の外側にある竜巻65が、当該軌跡の内側に引っ張られる。その結果、竜巻65が更に安定して長時間持続することができる。

【0102】
逆に、吸引口41cの公転半径が吸引口41cの水力直径の1/2より短い場合、回転軸Sの近傍領域(具体的には、吸引口41cの中心の軌跡よりも内側の領域)の静圧が大気圧に比べて低くなる。これにより、当該軌跡の外側にある竜巻65が、当該近傍領域に引っ張られる。その結果、竜巻65が従来よりも安定して長時間持続することができる。

【0103】
以上の通り、吸引口41cの公転運動により、竜巻65の安定度が増し、竜巻65の吸引力が向上する。その他、第1~第10実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果がもたらされる。

【0104】
(実験例)
以下に、上記実施形態に対応する竜巻発生装置15の実験結果を複数挙げる。図17、図18、図19、図20は、実験結果を列挙した表である。図17が表1を、図18が表2を、図19が表3を、図20が表4に対応する。

【0105】
これらの表において、D[mm]はガイド面40の直径を示し、d[mm]は吸引口41cの直径を示す(図3参照)。また、N[rpm]は回転部54の回転数を示す。また、H[mm]は領域高さを示す(図2参照)。領域高さとは、回転軸Sに沿った床面66から吸引口41cまでの高さである。

【0106】
また、R[mm]は、吸引口41cの公転半径を示す。吸引口41cの中心軸が回転軸Sと一致する場合、すなわち、吸引口41cが公転しない場合は、Rはゼロとなる。Q[m/h]は吸引口41cから吸い込まれる空気の流量、すなわち吸引流量を示す。吸引流量Qは、エアフロメータ14で計測される。フィン数は、複数枚のフィン43の数を示す。フィン配置は、複数枚のフィン43の形状および配置が該当する図面番号を示す。フィンサイズは、複数枚のフィン43の各々の高さ×縦長さ×厚さを示している。高さは、対象のフィンの回転軸S方向の長さである。縦長さは、対象のフィンの長手方向の長さである。厚さは、対象のフィンの厚み方向の長さである。なお、表1~表4のいずれにおいても、スカート部材42cは設けられていない。

【0107】
まず、表1の例について説明する。ケース1-1~1-8において、回転部54および観察領域67(図1参照)における空気の流れを撮影したものが、それぞれ、図21~図28である。観察領域67は、および回転部54のガイド面40側の空間である。空気の流れを可視化するために、ドライアイスミストが観察領域67中に散布されている。

【0108】
表1のすべてのケースにおいて、d=32mmであり、R=0mmである。また、ケース1-3~ケース1-8では、フィンのサイズは19×125×2[mm]であり、フィン配置は、図5に該当する。

【0109】
表1のケース1-1、1-3、1-5、1-7は、比較例である。これらのケースでは、吸引流量Qがゼロとなっている。すなわち、これらのケースでは、吸引口41cから空気が吸引されない。吸引なしで回転部54が回転のみを行う条件では、図21、図23、図25、図27に示すように、フィンの有無にかかわらず、芯のある竜巻は発生しない。

【0110】
一方、ケース1-2、1-4、1-6、1-8では、図22、図24、図26、図28に示すように、芯のある安定した竜巻が安定的に発生する。表1の実験結果より、吸引の重要性が確認できる。なお、芯とは、床面66に到達した強い竜巻65が床面66上に漂うドライアイスミストを直接吸引する事によって竜巻65の2次元的渦構造が可視化されたものである。

【0111】
次に、表2の例について説明する。ケース2-1~2-6において、表1の実験と同じ形態で回転部54および観察領域67(図1参照)における空気の流れを撮影したものが、図29~図35である。図29はケース2-1に対応し、図30はケース2-2に対応し、図31、図32はケース2-3に対応し、図33はケース2-4に対応し、図34はケース2-5に対応し、図35はケース2-6に対応する。

【0112】
表2のすべてのケースにおいて、d=32mmであり、R=0mmである。また、ケース1-3~ケース1-8では、フィンのサイズは19×125×2[mm]であり、フィン配置は、図5に該当する。

【0113】
表2では、領域高さHがケース間で異なっている。領域高さHが大きくなるほど、竜巻が床面66に到達し難くなる。実際、ケース2-1~2-4で芯のある安定した竜巻が発生し、ケース2-5、2-6で芯のある竜巻が発生しない。

【0114】
次に、表3の例について説明する。ケース3-1~3-11において、表1の実験と同じ形態で回転部54および観察領域67(図1参照)における空気の流れを撮影したものが、それぞれ、図36~図46である。表3のすべてのケースにおいて、d=32mmであり、R=0mmである。

【0115】
ケース3-3、3-4、3-6のように、回転軸Sから放射状に直線的な複数枚のフィン43が配置された場合、複数枚のフィン43の各々の縦長さが長いほど竜巻が発生し易く安定し易い。ただし、これらのケースのいずれにおいても、竜巻が発生し易く安定的である。

【0116】
また、ケース3-4とケース3-5とを相互に比較すると、フィンの位置に関する特性がわかる。すなわち、複数枚のフィン43を回転軸Sの近くに(すなわち内周側に)配置するよりも、回転軸Sから遠ざけて(すなわち外周側に)配置した方が、竜巻が発生し易く安定し易いことがわかる。ただし、これらのケースのいずれにおいても、竜巻が発生し易く安定的である。

【0117】
また、ケース3-6、3-7、3-8を相互に比較すると、複数枚のフィン43がそれぞれ直線的に伸びている場合、それが回転軸Sを中心とする径方向に対して成す鋭角の違いは、竜巻発生のし易さおよび安定性に大きな影響を与えないことがわかる。これらのケースのいずれにおいても、竜巻が発生し易く安定的である。

【0118】
また、ケース3-6~3-11を相互に比較すると、ケース3-9~3-11のような長手方向に曲がった形状のフィンよりも、長手方向に真っ直ぐ伸びる形状のフィンの方が、竜巻の発生容易化および安定化に大きく寄与することがわかる。ただし、これらのケースのいずれにおいても、竜巻が発生し易く安定的である。

【0119】
次に、表4の例について説明する。ケース4-1~4-5において、表1の実験と同じ形態で回転部54および観察領域67(図1参照)における空気の流れを撮影したものが、それぞれ、図47~図51である。表3のすべてのケースにおいて、d=32mmであり、R=0mmであり、フィンのサイズは19×48×2[mm]であり、フィン配置は、図5に該当する。

【0120】
表4の各ケースでは、ガイド面40の直径Dが表1、表2、表3のケースよりも小さい。具体的には、表1、表2、表3においては、D/dが10から9.4の範囲に入っているが、表4においては、D/dが5である。なお、ケース4-5は比較例である。

【0121】
全般的に、回転数Nが大きくなるほど竜巻が発生し易くなり、吸引流量Qが小さくなるほど竜巻が発生し易くなり、領域高さHが小さくなるほど竜巻が発生し易くなる。

【0122】
ケース4-1においても、安定した竜巻は発生しない。なお、ケース4-1については、他の条件(回転数N、吸引流量Q、領域高さH等)は同じでD/dを10程度に増やした場合には、安定した竜巻が発生する。

【0123】
これは、ガイド面40を小さくした場合は、ガイド面40を大きくした場合に比べて、ガイド面40の下側の空気に旋回が与えられにくいからと考えられる。ただし、ケース4-2のように、吸引流量Qを小さくすることで吸引口41cの下方における上昇流の流速V1に対する旋回流の流速V2の比V2/V1を適切な値に上げれば、安定した竜巻が発生する。ケース4-3では、吸引流量Qが少なくなり過ぎて竜巻が発生していない。

【0124】
また、ケース4-4では、ケース4-1~4-3に比べて領域高さHが2倍になっている。このように、領域高さHを上げるほど、ガイド面40および複数枚のフィン43によって与えられる旋回流が地上面に到達するのが困難になることが分かる。ただし、ケース4-5では、吸引流量Qがゼロであるにもかかわらず、エントレイメントによる上昇流と旋回流がバランスし、芯のある竜巻が発生している。なお、ケース4-5以外で芯のある竜巻が発生する例では、竜巻発生装置15は集塵機として利用可能である。しかし、ケース4-5は、吸引流量Qがゼロであるので、集塵機としては使用できない。

【0125】
なお、上記表1~3の例では、回転数Nは100rpm以上360rpm以下となっている。しかし、上記ケース1-2、1-8、2-1~2-6、3-1、3-5、3-9では、回転数Nが200rpm以上となっている。ダクト部材41とカバー部材42から成るガイド部材の重心の位置が回転軸Sにあり、回転部54の重心の位置が回転軸Sにあることで、回転部54の回転時におけるガイド部材および回転部54の重心の移動量が低減される。すなわち、回転部54の回転時における竜巻発生装置15の振動が抑制される。したがって、竜巻発生装置15の安定的な作動が実現し、ひいては、回転部54の回転数Nを、このように高くすることができる。

【0126】
なお、重心の位置が回転軸Sにあるというのは、当該重心と回転軸Sが完全に一致しているだけでなく、実質的に重心の位置が回転軸Sにあるとみなせる範囲内で、当該重心の位置が回転軸Sから僅かにずれていることも含む概念である。実質的に重心の位置が回転軸Sにあるとみなせる範囲としては、当該重心の位置が回転軸Sまでの距離が吸引口41cの水力直径の1/10以下の範囲であってもよい。

【0127】
ここで、ケース2-2において、ガイド面40の近傍に発生する境界層の流れを可視化するために、図52に示すような、棒71の先端に全長40mmの糸72の一端が取り付けられたタフトが用いられた。

【0128】
ケース2-2において、図53のように、ガイド面40の僅か下方かつガイド面40の外縁の僅か外側にタフトが配置された状態で竜巻発生システム1を作動させた。すると、図54に示すように、糸は回転軸Sを中心とする径方向外側に付勢されて姿勢を変える。これにより、ガイド面40の表面で発生した境界層を形成する空気の流れ61(図6、図7参照)が、ガイド面40から回転軸Sの径方向外側に排出されていることがわかる。

【0129】
また、ケース2-2において、図55のように、ガイド面40と床面66との中間位置かつガイド面40の外縁の僅か外側にタフトが配置された状態で竜巻発生システム1を作動させた。すると、図56に示すように、糸は回転軸Sを中心とする周方向に付勢されて姿勢を変える。これにより、ガイド面40からも床面66からも離れた箇所では、回転軸Sを中心とする径方向の空気の流入も流出も少ないことがわかる。

【0130】
また、ケース2-2において、図57のように、床面66に接してかつガイド面40の外縁の僅か外側にタフトが配置された状態で竜巻発生システム1を作動させた。すると、図58に示すように、糸は回転軸Sを中心とする径方向内側に付勢されて姿勢を変える。これにより、床面66付近で回転軸Sを中心とする径方向内側に流れ込む空気流が発生していることがわかる。

【0131】
次に、図59~図66に、複数枚のフィン43がある場合とない場合との比較のための実験結果を示す。これらの例では、d=32mm、D=320mm、R=0mm、H=160mmという条件で実験が行われている。

【0132】
図59、図60が、N=150rpmの実験結果で、図61、図62が、N=200rpmの実験結果で、図63、図64が、N=250rpmの実験結果で、図65、図66が、N=300rpmの実験結果を示す。

【0133】
また、図59、図61、図63、図65では、フィンが無い竜巻発生装置15が用いられている。また、図60、図62、図64、図66では、6枚の複数枚のフィン43を有する竜巻発生装置15が用いられている。

【0134】
これら図59~図66は、観察領域67における空気の速度の絶対値を濃度で表している。横軸が、回転軸Sの位置をゼロとする径方向の位置yを表している。縦軸は、ガイド面40の位置をゼロとする回転軸S方向の位置xを表している。各図中の線は、空気の速度の方向を表している。

【0135】
これらの図からわかるように、同じ条件でも、複数枚のフィン43がある例が、ない例に比べ、速度の強い竜巻部分の太さが大きく、かつ竜巻部分の速度も大きい。つまり、複数枚のフィン43がある例が、ない例に比べ、より強く安定的な竜巻が発生している。

【0136】
次に、図67に、無次元パラメータであるスワール数Sおよびスケール比H/dに対するVθmax/Vaxの依存性について示す。Vθmax/Vaxが大きいほど、竜巻発生システム1による竜巻生成および維持の性能が高い。

【0137】
Hは上述の通り領域高さであり、dは上述の通り吸引口41cの直径である。Vθmaxは、吸引口41cから吸引流量Qで空気が吸い込まれると共に回転部54が角速度ωで回転するときの、空気の速度の周方向成分の最大値である。ここで、周方向成分とは、回転部54の回転軸の周りの周方向成分をいう。また、最大値は、観察領域67全体における最大値をいう。また、Vaxは、吸引口41cにおける空気の平均流速である。また、スワール数Sは、S=ω×D/(4×Vax×d)で定義される量であって、旋回流の強さを表す無次元数である。Dは上述の通りガイド面40の直径である。なお、図67に示した実験では、別の無次元数であるレイノルズ数Reは、3.0×10以上5.2×10以下の範囲となっている。

【0138】
図67に示すように、横軸をスワール数S、縦軸をVθmax/Vaxとするグラフ上において、スケール比H/d毎に異なる曲線上に実験結果がプロットされる。このグラフにおいては、スワール数Sがある値になるまでは、スワール数Sの増加と共にVθmax/Vaxが増加し、スワール数Sが当該値より大きくなると、スワール数Sの増加と共にVθmax/Vaxが減少する。このグラフにより、スワール数Sとスケール比H/dのみで、旋回流の代表速度を評価可能である。これにより、竜巻発生性能が高くなるようなスワール数Sの範囲がわかる。

【0139】
(第12実施形態)
次に第12実施形態について、図69~図74を用いて説明する。本実施形態の竜巻発生システム1は、第1実施形態の竜巻発生システム1に対して、駆動部53および回転部54の構成を変更したものである。

【0140】
駆動部53は、図69、図70、図71、図72に示すように、通風部30、ベアリング37、および4つの固定部38を有する。なお、本実施形態の駆動部53は、電動モータも伝達歯車も有していない。

【0141】
回転部54は、ダクト部材41と、複数枚のフィン43と、ガイド部材である円板44と、複数枚のファンブレード45と、リング46と、を有している。複数枚のファンブレード45とリング46が、1つの軸流ファンを構成する。

【0142】
まず駆動部53の構成要素について説明する。通風部30は、筒形状の部材であり、一端が固定ダクト52に連通し、他端がダクト部材41に連通している。固定部38の各々は、通風部30と一体に形成され、フレーム51に対してボルト締結等によって固定される。この固定によって、通風部30の位置が固定的に決まる。

【0143】
このように構成された駆動部53は、吸引装置11の吸引力によって吸引口41cから通風部30に空気を吸い込んで複数枚のファンブレード45に当該空気を当てることで、回転部54を駆動する。

【0144】
ベアリング37は、ボールベアリングである。ベアリング37は、通風部30の他端(すなわち回転部54側の端部)の内周に保持されると共に、ダクト部材41を駆動部53に対して回転可能に支持する。

【0145】
次に回転部54の構成要素について説明する。ダクト部材41は、通風部30のダクト部材41側端部と同軸の筒形状の部材である。円板44は、中央部に円形の吸引口41cが形成された円形の板である。円板44の通風部30とは反対側の面が、ガイド面40となる。吸引口41cは、ガイド面40の表裏に貫通している。ダクト部材41と円板44は一体に形成されており、ダクト部材41は吸引口41cに連通している。

【0146】
複数枚のフィン43は、円板44のガイド面40に固定されている。複数枚のフィン43の形状およびガイド面40への取り付け形態は、第1実施形態と同じである。なお、複数枚のフィン43については、第3~第14実施形態のものを採用してもよい。

【0147】
複数枚のファンブレード45は、ダクト部材41の内部において互いに周方向位置をずらして配置された板形状の部材である。各ファンブレード45は放射状に伸びて外周端でダクト部材41の内周壁に固定的に接続されている。また、各ファンブレード45の内終端はリング46に固定的に接続されている。

【0148】
各ファンブレード45は、吸引口41cから通風部30に流れる空気を受けると、回転部54の回転軸Sを中心とする同じ周方向(例えば、図71における反時計回り方向)に回転するよう、取り付け角度が設定されている。リング46は、中央部分に、回転軸Sの一方側から他方側に貫通した孔が形成されている。この孔を空気が通ることができる。

【0149】
次に、上記のような構成の竜巻発生システム1の作動について説明する。竜巻発生システム1の使用時には、吸引装置11が始動する。これにより、ガイド面40の駆動部53とは反対側の空間の空気が、吸引口41c、ダクト部材41、通風部30、固定ダクト52、配管13、遠心分離機12を通って、吸引装置11に吸い込まれる。

【0150】
このとき、ダクト部材41内にある複数枚のファンブレード45は、ダクト部材41を通る空気から力を受けて、回転軸Sの周りを同じ周方向に回転する。これにより、回転部54全体が一体的に回転する。より具体的には、回転部54のうちダクト部材41、複数枚のフィン43、円板44、リング46は、複数枚のファンブレード45の回転によって発生する力を受けて、複数枚のファンブレード45と同期して、回転軸Sを中心として回転する。吸引装置11が空気を吸い込んで回転部54が回転することによって竜巻が発生するメカニズムは、第1実施形態と同じである。

【0151】
図73に、本実施形態の1つの実験における回転部54および観察領域における空気の流れを撮影した写真を示す。この写真における実験条件は、複数枚のフィン43の回転数N=1700rpm、領域高さH=200mm、吸引口41cの直径d=32mm、円板44の直径D=100mm、設定吸込流量Q=100m/h、実吸込流量Q=80m/hである。図73に示されている通り、渦芯を確認可能な、発達した竜巻状旋回流が発生している。

【0152】
なお、設定吸引流量Qとは、吸引装置11で設定した目標の流量であるが、空気流で回転部54を回転させることによる圧力損失によって、実際に配管13を流れる実吸込流量Qは、設定吸引流量Qよりも20%程度低下した。

【0153】
本実施形態について行った複数の実験結果を、図74に示す。図74の横軸は実吸込流量Qであり、縦軸は回転数Nである。この実験において、領域高さH、吸引口41cの直径d、円板44の直径Dは、図73の実験と同じである。図74からわかるように、実吸込流量Qの増加に伴って、回転数Nが増加する。これは、吸引される空気から力を受けて複数のファンブレード45が回転するからである。

【0154】
このように、吸引する空気から受けた力を利用して複数枚のフィン43を回転させるファンブレード45を設けることで、竜巻を発生させるための空気の吸引そのものに加えて、複数枚のフィン43の回転も、流体の吸引によって発生させることができる。すなわち、竜巻発生システム1が自励回転円盤機構を有する。

【0155】
そして、本実施形態では、回転部54を駆動する電動モータが廃されているため、駆動部53の体格および重量を低減することができる。また、電動モータの出力で回転部54を回転させる場合に比べ、高い回転数Nを得ることができる。

【0156】
なお、第1実施形態に対する第2実施形態のような変更が、本実施形態に対して適用されてもよい。すなわち、本実施形態において、すべての複数枚のフィン43が廃されてもよい。その場合、吸引する空気から受けた力を利用して円板44を回転させるファンブレード45を設けられていることで、竜巻を発生させるための空気の吸引そのものに加えて、円板44の回転も、流体の吸引によって発生させることができる。

【0157】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。

【0158】
(変形例1)
上記実施形態の竜巻発生装置15は、実験用途に用いられるが、竜巻発生装置15の用途は、このようなものに限られない。例えば、竜巻発生装置15は、掃除機として用いられてもよい。この場合、竜巻発生装置15は、吸引口41cから概ね回転軸Sに沿って伸びる竜巻の先端にあるゴミや埃を、竜巻の気流によって吸い取って吸引口41cおよび吸引ダクト41aまで吸引する。この場合、竜巻発生装置15と吸引装置11とは一体に形成され、ユーザが持ち運び可能となっていてもよい。

【0159】
また例えば、竜巻発生装置15は、換気装置として用いられてもよい。この場合、竜巻発生装置15は、吸引口41cから概ね回転軸Sに沿って伸びる竜巻の先端にある部分に限定された空気を、竜巻の気流によって吸い取って吸引口41cおよび吸引ダクト41aまで吸引する。つまり、この換気装置は、局所的な換気装置である。

【0160】
(変形例2)
上記実施形態では、内側円盤部41b、外側円盤部42bは回転している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、吸引ダクト41aと内側円盤部41bとは別体に形成され、内側円盤部41b、カバー部材42は回転しなくてもよい。その場合は、複数枚のフィン43は吸引ダクト41aに固定される。この場合、吸引ダクト41aと共に複数枚のフィン43が回転するだけでも、安定的に竜巻が発生する。

【0161】
具体的には、ガイド面40の下方側にある空気が、複数枚のフィン43の回転によって、ガイド面40に沿って吸引口41cから遠ざかるように流される。このとき、エントレインメントが発生する。すなわち、吸引口41cから遠ざかった分の空気を補うように、ガイド面40に近付く流れが発生する。その結果、空気が回転系の流体力学におけるテイラー・プラウドマンの定理に概ね従った流体の流れ場、すなわち、当該回転軸Sに概ね一様な、すなわち概ね2次元的な、流れ場が形成される。この流れ場が、竜巻の発生、発達、安定化を促進する。

【0162】
(変形例3)
なお、上記実施形態において、表2を用いて、領域高さHの影響について説明しているが、表2の実験結果は、竜巻発生装置15の構成要素として床面66が必須であることを意味しているわけではない。例えば、床面66を有していないとしても、竜巻発生装置15が持ち運び可能であれば、ユーザが竜巻発生装置15の吸引口41cを目的の壁に必要な距離まで近づければ、安定した竜巻が発生し得る。

【0163】
(変形例4)
上記実施形態では、ガイド面40は円形であるが、必ずしも円形でなくてもよい。例えば、楕円形であってもよいし、四角形であってもよい。

【0164】
(変形例5)
上記実施形態では、ガイド面40は平面であるが、必ずしも平面でなくてもよい。例えば、ガイド面40は滑らかに湾曲していてもよい。

【0165】
(変形例6)
上記実施形態において、吸引ダクト41aはガイド面40よりも下方側に短く突出していてもよい。

【0166】
(変形例7)
竜巻発生装置15は、竜巻が吸引口41cの下方に発生するように配置されているが、竜巻が吸引口41cの上方または横方向に発生するように配置されていてもよい。

【0167】
(変形例8)
上記実施形態では、竜巻発生装置15は空気の竜巻を発生させているが、空気以外の流体の竜巻を発生させてもよい。例えば、空気以外の気体の竜巻を発生させてもよいし、水等の液体の竜巻を発生させてもよい。

【0168】
(変形例9)
上記実施形態では、フィンの数は3枚、6枚が例示されているが、フィンの数は1枚でもよいし、2枚でもよいし、7枚以上であってもよい。

【0169】
(変形例10)
竜巻発生装置15は、ゼロより大きい吸引流量Qで竜巻を発生させるモードと、上述のケース4-5のように吸引流量Qをゼロとして竜巻を発生させるモードとを切り替えることが可能であってもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…竜巻発生システム、11…吸引装置、12…遠心分離機、13…配管、14…エアフロメータ、15…竜巻発生装置、31…ボディ、32…ステー、33…円筒歯車、34…ベアリング、35…モータ、36…伝達歯車、40…ガイド面、41…ダクト部材、41a…吸引ダクト、41b…内側円盤部、41c…吸引口、42…カバー部材、42a…固定部、42b…外側円盤部、42c…スカート部材、43…フィン、51…フレーム、52…固定ダクト、53…駆動部、54…回転部、65…竜巻、66…床面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52
【図54】
53
【図55】
54
【図56】
55
【図57】
56
【図58】
57
【図59】
58
【図60】
59
【図61】
60
【図62】
61
【図63】
62
【図64】
63
【図65】
64
【図66】
65
【図67】
66
【図68】
67
【図69】
68
【図70】
69
【図71】
70
【図72】
71
【図73】
72
【図74】
73